2020年08月13日

バイオハザード 洋画DVD

バイオハザード 洋画DVD 2002年公開

 ウィルス感染の映画だと思って観始めましたが、ちょっと違うような印象を受けました。
 ゾンビホラーがメインの映画でした。SFサイエンス・フィクション、科学映画です。
 
 以下が感想の経過でした。
 なぜ、会社内の廊下で歩きながらホットコーヒーを飲むのだろう(後半でこの伏線が回収されました)
 なにが起こったのかが長時間わかりません。
 研究所が密封されてハロンという名称の毒ガスが噴出されたようです。
 試験官が割れて「細菌兵器」が外気に出たのか。(なぜ、簡単に割れるような試験管を使用して怖ろしい菌を扱っているのだろうか。不用心ぶようじん。まあ、不自然です)
 
 映像が一転して、すっぱだかの女優さんが浴室で目を覚まします。けがしていて、ちょっと気色わるい。
 室内に、「今日、きみの夢がすべてかなう」のメモあり。

 人工知能が監視しているのだろうという予想があたりました。

 なにが、どうなっているのかが、なかなかわかりません。

 地下鉄みたいな電車が走っています。(そのあと、地下研究施設であることがやがてわかりました)

 だれと闘っているのだろう。
 グロテスクだけれど、敵の姿がないので、実感が湧きません。

 なんだか、仮想シュミレーションゲームみたい。

 ゾンビ登場。人間は、AI人工知能には勝てないのか。人間の特殊工作員チームは、全滅しそうです。
 
 獰猛(どうもう)なゾンビ犬たちが、だんだん可愛らしいワンちゃんに見えてきたのは、自分自身がどうかしているのかも。ゲームみたいなのです。終わりが見えません。なんでも設定、想定ができてしまいます。

 とりあえずの敵は、ウィルスというよりもゾンビです。

 青がウィルス、緑がワクチン。やはり、解決策は、映画のなかでも「ワクチン」なのでしょう。

 ベロ長(なが)ゾンビは、気持ち悪い。(でも、ベロをつかまえて攻撃したのには笑いました)

 なぜ研究所に斧が保管してあるのだろう。

 なんだか、むりやりな展開です。

 映画の続編へ続くという誘導なのか。
 ウィルスには勝てなかったというような結末でした。  

2020年08月12日

ペスト カミュ

ペスト カミュ 新潮文庫

 ペスト:ネズミやノミに噛まれることで人間に感染する。発熱、頭痛、脱力感。皮膚が内出血する。別名黒死病。治療しないと致死率60%-90%。古来より、なんどか世界的大流行あり。14世紀には約1億人が死亡。1347年から1353年の間にヨーロッパの人口の三分の一が死滅した。19世紀末に感染防止策がなされて流行は減った。
 この本のなかでの症状としては、吐血、嘔吐、39度5分から40度の発熱、頚部(首)のリンパ腺と四肢(手足)が腫れる(はれる)。脇腹に黒っぽい斑点(はんてん。内出血と思われる)。焼けつくような痛みがあるという患者の発言あり。
 肺ペストと線ペストと敗血症型ペストがある。

 この本では、194*年に、アフリカ、地中海の南に面したアルジェリアにあるスペインの南に位置するオラン市で、ペストが大流行する設定になっています。1947年の出版です。

 アルベール・カミュ:フランス人小説家。1913年-1960年 交通事故で46歳没 ノーベル文学賞受賞者

 登場人物として、
医師ベルナール・リウー35歳ぐらい。フランスのモンテリマル生まれ(フランス南部の小都市)。中背、がっしりした肩つき。長方形の顔。まっすぐな暗い目つき。あごは張っている。たくましい鼻。短く刈り込んだ黒い頭髪。熱いくちびる。シチリアの百姓風

門番ミッシェル老人:ペストの最初の犠牲者。病死する。

予審判事オトン氏:長身、黒髪。裁判官。予審はフランスでの昔の制度。刑事事件の証拠の有無を確認・判断する。彼の息子フィリップは、ペストに感染して死亡する。

新聞記者レイモン・ランベール 短い胴、厚い肩、はっきりした顔つき、明るく聡明な眼

市の吏員ジョゼフ・グラン。ひょろりとやせている。体全体が、だぶだぶの服の中でただよっているように見える。うわあごの歯はない。笑顔は亡者のような口つきになる。日給62フラン30。フランス本国に甥と姪が要るのが唯一の親族。本を書いている。老人。

医師リシャール:医師ベルナール・リウーの同僚。オラン市医師会の会長職

パヌルー神父:ミッシェル老人を発病の始めに開放したイエズス会士。ペストは、あなたがたの当然の報い(むくい)と説諭する。『反省すべきときがきたのです』。最期は、ペストの症状を発症するが、検査を受けずに死亡する。

ジャン・タルー:旅行者。今回の病気の記録者。がっしりと彫りの深い(ほりのふかい)顔に、濃いまゆ毛を一文字に引いた、姿全体に重々しさがある若い男。この物語のはじめのほうで出てくる人物。数週間前にここオラン市に住居を定め、そのときから大きなホテルに宿泊している。いろんな収入があって、楽をして暮らしている。ただ、どこのだれでなにをしている人間なのかはわからない。海で泳いでいる。いつもニコニコしている。娯楽の愛好家。イスパニア人の舞踏師と楽士たちのところへ熱心に通っている。彼の手帳には、日記のように、オラン市に来てからのことが記録されている。ペストが終息を迎える頃、ジャン・タルーは、ペストで死亡する。

カステル老人:年配の医師。「ペスト」の発生をリウー医師に告げる。

コタール:犯罪歴のある自殺未遂者。密輸業。前科あり。

 4月16日にネズミの死骸が一匹見つかるところから始まって、4月25日には、ネズミの死骸が一日だけで、6231匹収拾されるまでに増加します。
 
 どういうわけか、猫がいなくなります。
 正体不明の熱病がはやりだします。
 パニックが始まろうとしています。突発的な混乱です。
 48時間以内で死者11名です。

 ジョゼフ・グラン(オラン市の職員)と医師ベルナール・リウー、そして、首つり自殺に失敗したコタールの三人が、同一の人格のなかに存在するように感じながら読んでいます。同一の人格者は、作者のカミュです。

 医師のベルナール・リウーは県庁に保健委員会の召集を要請しました。
 ペストは市民の半数を死に至らしめる危険性があるとリウーは警告します。治療法とワクチン(予防薬)がありません。

 行政機関である県庁はのんきです。楽観的です。
 日がたつごとに死者数が急増していきます。四日間で100人の死者に達しました。
 ついにペストであることの宣言、市の閉鎖(ロックダウン)に踏み切ります。

 市外電話が使用できなくなりました。電話回線使用の混雑が集中したためです。代替えの方法が電報と手紙です。「コチラブジ アンジテイル ゲンキデ」の電文が飛び交います。
 医師は伝染するかもしれないので、家に帰れません。家族との別居が長引きます。
 作者の言葉として、『ペストがわが市民にもたらした最初のものは、追放の状態であった』
 いまの、新型ウィルス感染拡大中の社会にあってこの本を読むと、時代は違えど、状況に大きな相違はないと感じます。
 第五週目で321人の死者が出ています。市の人口は20万人です。
 食料の補給が制限され、車のガソリンは割り当て制になりました。
 映画館では、同じ映画しか上映されません。
 物の買い占めと高値転売行為が始まります。
 「オレはペストだ!」といって戸外でかけまわる男が現れます。
 
 6月の終わりまで進みました。
 一週間のペスト感染者数が700人近くです。
 夏の暑さがますます感染を助長するだろうと人々の間に恐怖が広がっています。ペストが発生して、94日目の死者数が124名です。

 科学や医学がいまほど発達していないので、神に祈る行為で病気をさけようという雰囲気があります。ところどころは、読んでいても意味がとれないのは、自分の読解力のなさなのでしょう。

<ここで物語からは離れますが、ペスト菌がらみの日本人の偉人として>
北里柴三郎:1853年(江戸時代。明治元年が1968年)-1931年(昭和6年) 1894年(明治27年)にペスト菌を発見。

<話を戻します>
 8月のなかばまできました。
 自宅への放火が増えます。ペストを焼き殺す幻想をみて、自分の家に火をはなつ人が出てきたのです。
 投獄されている収監者と刑務所従事者看守等の間にもペストが広がり死者が出ます。裁判に基づき処刑されるのではなく、だれかれなしに死が襲いかかります。法秩序の崩壊です。
 
 埋葬においては、遺族の気持ちを落ち着かせる儀式をすることができません。

 9月、10月と時が過ぎていきます。

 物の値段が高騰しますが、死を覚悟した市民たちは、持ち金をつぎ込む浪費を始めました。生きているうちに持ち金を使い切って最後の人生を楽しむのです。
 「ペストが終わったらこうしよう」という言葉も出てきますが、ペストが終わるまでに生きていられる保証がありません。

 表面上、『米』がありませんが、ヤミ米はあります。

 今晩12時、まちを脱出する計画が密輸グループを主体として組まれます。人を通じて、医師のベルナール・リウーを療養所で療養している彼の妻に会わせたいようですが、肝心の本人の意思表示が物語には出てきません。その後、ベルナール・リウーは、提案を拒否します。
 
 10月下旬、年配の医師であるカステルが、血清を仕上げました。
 しかし、血清の効果はありませんでした。判事オトンの息子フィリップに試されましたが失敗でした。息子は骨と皮になって死んでいきました。血清づくりはやり直しです。

 パヌルー神父は、ペストに感染する原因は、生まれる前の前世において、なにかよくないことをした報いだと説きますが、そのパヌルー神父自身がたぶんペストに感染して亡くなります。本人は、自分がペストに感染したことを認めたくなかったようで、診察を拒否しました。

 人々は、ペストの感染がおさまることはないのではないかと考え始めます。
 
 ペストに感染しても無症状の患者が出てきます。それでも感染者の隔離は必要です。
 無症状だった患者は、やがて、発病し急速に亡くなります。この部分を読んでいて考えたのですが、現在、新型コロナウィルスに感染しても無症状とか軽症だといわれている若者世代は、いまはそうでも、これから先も無症状、軽症でいられるとは限らないのでないか。安心するのは、危険ではないかという疑念が生じました。

 食糧難が起こります。経済は混乱します。

 旅人であるジャン・タルーが、医師のベルナール・リウーに自分の身の上話を語り始めます。父親は次席検事だった。ある日、裁判所で、父親が、容疑者に死刑を求刑した。
 自分は、銃殺による死刑を見たことがある。相手からわずか1.5mのところから射殺する。タルーは、殺人行為だと思った。自分には反発する気持ちが芽生えて、政治運動をやるようになった。
 タルーは、「僕たちはみんなペストの中にいる」と強調しますが、その意味は本を読んでいる自分には理解できません。こじつけると、人は心の中にペスト(殺人願望と殺人可能能力。いわゆる『悪』)をもっている。

 息子をペストで亡くした判事のオトン氏は、ペストから隔離するための収容所で働くことを希望します。オトン氏は、収容所で事務員の仕事をするつもりです。彼は、ペストに対応する世界のなかにいて、ペストで亡くなった息子をしのびたいと希望します。息子を失って、これからさきの自分の生きがいとして、そういう人生を過ごすことを決心しました。

 ペストの感染は自然に衰退していきます。台風が去っていくようです。
 人々は、元の生活にもどれると思いつつも、生活のしかたのすべてを元通りに戻ることはできないと感じています。「(ペストは)この市を変えるだろう」「(嵐は去ったけれどペストのことを)忘れることはできない」
 
 年が明けて、1月25日まできました。
 これまで、病気の記録者としての立場で物語の中で存在していたジャン・タルーがペストに感染しました。そして、ジャン・タルーは、亡くなります。
 このあたりが、わかりにくいのですが、神の存在の否定とか宗教的な話が出てきます。
 『(旅行者の)ジャン・タルーは、勝負に負けた。いっぽう(医師の)ベルナール・リウーは勝負に勝った』と書いてあります。なんの勝負に負けたり勝ったりしたのだろう。相手は、『ペスト』という感染病です。死んだら、主役にはなれないということだろうか。ちょっと理解できません。

 医師ベルナール・リウーの母親が出てきました。母親は生き抜きました。そして、ベルナール・リウーの妻はペストで亡くなりました。
 
 ペスト菌が去って、生き残った人々に活気が戻ってきます。まるで、ペスト菌で亡くなった人たちのことは、これから忘れ去られるようです。

 この世では、人、ひとりひとりに割り当てられた演じる役割があると書いてあるように読めます。

 医師ベルナール・リウーも旅人であるジャン・タルーも、そして、作者のカミュも、このペストという物語の記録者であると自己解釈しました。三人ともが同一人物なのです。
 『ペスト』は、病気のペストだけではなく、『戦争』とか、『人間がもつ殺意』とか、悪の部分を象徴している言葉だと解釈しました。
 この世に、『神』はいるかという問いかけがあり、神はいないという結論に達するのですが、登場人物のひとりは、『聖人』になることを強く願うのです。聖人は正しいことをする人です。でも、聖人にはなれないし、ペストには勝てないのです。ペストは、一時的に起こったことですが、ペスト菌は死滅したわけではないのです。いつ、また、未来のどこかの時代で、息を吹き返すかもしれないのです。再び戦争が起こることを予期するような地雷として扱ってあると解釈しました。
 結局、歴史は、悪(戦争)によって進んでいくし、正しき者は消えていき、生き残った者が、正しい、正しくないは別として、勝利者なのです。

 とてもむずかしい本でした。何度も読み返さないと理解できません。そして、いまは、そのエネルギーが自分にはありません。長い物語でした。疲れました。半月ぐらいかけて毎日少しずつ読みました。
 
 最後のほうのシーンで、自殺未遂者で悪人グループのコタールが発砲騒ぎを起こします。気が狂ったという扱いで終わっています。なぜそういう記述になったのか、わかりません。

 調べた単語などとして、
醜聞:しゅうぶん。そのひとの名誉や人格を傷つけるような噂
嘲弄:ちょうろう。ばかにしてからかう。
外郭区域:外側の地域(この本の場合、貧民の住居がある地域)
ティラード・スーツ:テーラード・スーツ。仕立てをしたスーツ
留保のない証言しか認めない:りゅうほ。中途半端ではっきりしない証言は採用しないという意味に受け取りました。
テレビン油:マツ科の樹木から得られる油。医薬品の成分になる。
イスパニア:スペイン
コンスタンティノープル:イスタンブール
血清:感染症の検査に使用する。
鼠径部:そけいぶ。足の付け根からななめ上へ三角状の部分
チフス:細菌感染症。発熱、下痢、発疹(ほっしん)汚染された食べ物や水で感染する。
脾臓:ひぞう。左わき腹にある器官。循環器官。免疫機能あり。
コレラ:食べ物や水から感染する。急性腸炎
ソドムとゴモラ:聖書に登場する都市。天からのイオウと火で滅びた。
アビシニアのキリスト教徒:エチオピアの旧名
ラヴァリエール・ネクタイ:1880年代。幅広ネクタイ
少年衛兵:警備や監視を行う兵士
冥府:めいふ。死後の世界
帷:とばり。隠すための垂れ布(たれぬの)
豌豆:えんどう。豆

(その後、録画してあったテレビ番組で、小説『ペスト』の解説を聴きました)
 NHKのEテレ『100分で名著“ペスト”』 2020年4月11日(土)に放映されたうちの第3回分と第4回分を観ました。
 司会:伊集院光 島津有里子 ゲスト:フランス文学者 中条省兵 哲学者・武道家 内田樹(うちだ・たつる)

 登場人物各自の心の動きがメインで、ペストという病気の感染話はほとんど出てきませんでした。人間は、『不条理(ふじょうり。筋道が通らない話)』とどう向き合うのかがテーマでした。
 いくつかの発見がありました。
1 自殺未遂者で犯罪者のコタールの自殺の理由は、「逮捕される恐怖」だった。しかし、ペストの感染が拡大して社会が混乱したので、自分に対する逮捕捜査活動がにぶり、逃げおおせることができるようになったので、コタールは、ペストの出現を喜んだ。つまり、コタールは、ペストによって、『自由』を獲得した。
 ピンときたのは、『ペスト』によって、損をした人と得をした人がいた。物事には二面性があります。だから、今回の新型コロナウィルスにおいても、損をする人と得をする人が存在することは事実です。得をした人は、利益を還元する行為をしてほしい。

2 ジャン・タルーは、『死刑廃止論者』だった。人間として、『殺人』という行為が許せなかった。だから、処罰に死刑という殺人行為を用いたくなかった。

3 『ペスト』は、ナチスドイツのたとえであった。この物語全体は、第二次世界大戦が素材だった。ナチスドイツのことを書いた文学で、カミュは、レジスタンス(ナチスドイツに対抗する地下抵抗組織)に参加して、ナチスドイツに反抗し、仲間と『連帯』をつくった。

4 『神』は信じないが、人間は、グレーゾーンをもちながら『聖人』になることはできる。

5 自分の死を受け入れたあとも『文学』として、この世に本を残す。つまり、本に記録して、『認識と記憶』を次世代に伝えて、戦争を回避する。未来において、平和で健康的な世界をつくる。  

Posted by 熊太郎 at 06:20Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2020年08月11日

よあけ ユリー・シュルヴィッツ

よあけ ユリー・シュルヴィッツ作・画 瀬田貞二・訳 福音館書店

 ポーランドのワルシャワ生まれの作家さんです。1959年にアメリカ合衆国へ渡っておられます。
 絵本は、1977年初版、手もとにある本は、2020年で、第53刷です。

 タイトルのとおり、「夜明け」について絵本化されています。
 無音の世界、くすんだ暗い風景、まだ夜が明ける前の情景からスタートします。
 気温は、「寒い」とあります。
 ちょっと怖い絵があります。おじいさんと孫が毛布にくるまって木の下で野宿をしています。暗い人生の始まりのようでもある。
 日本語訳がグッドです。自分の言葉で書いてあります。文語調です。
 「静」から「動」へと変化していきます。
 風の動きから始まって、「光」がさしてきます。
 観察です。写真家が長時間自然のなかでカメラを構えているような感じです。シャッターチャンスを待っています。
 コウモリが舞い、かえるが水に飛び込みます。生き物たちの活動が始まりました。
 鳥が鳴き始めました。
 おじいさんとおまごさんが、目を覚ましました。
 自然に包まれて神秘的です。
 ふたりは、毛布を巻いてかたづけて、小舟に毛布とほかの荷物を積んで湖にこぎだします。外国人のふたりの姿が岸辺にあります。
 お孫さんは幼児だと思っていましたが、じっさいは、小学校の高学年ぐらいに見える男の子です。ふたりとも、てこぎボートから落ちないように気をつけてください。
 湖に大自然の風景が映ります。
 色彩がきれいです。美術書か、画集を開くようです。
 人生の夜明けです。ドラマチックでした。
 
 調べた言葉として、
 みおひく:こぶねをこいだときにできるこぶねのうしろの波、水の筋  

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2020年08月10日

げんきなマドレーヌ

げんきなマドレーヌ ルドウィッヒ・ベーマルマンス作・画 瀬田貞二・訳 福音館書店

 絵本のなかの風景は、1930年代ぐらいのできごとに見えます。
 たぶん、いまから90年ぐらい前のフランスはパリを舞台にした絵本です。絵本は1972年日本での初版ですが、1939年にニューヨークで発表されています。作者ご本人は、1962年に亡くなっています。

 外国のこどもたちが読んだ絵本はどんなものなのだろう。絵は、パリの風景として、コンコルド広場、オペラ座、バンドーム広場、アンパリッド廃兵院、ノートルダム寺院、リュクサンブール公園、サクレ・クール寺院、エッフェル塔、チェイルリー公園、ルーブル美術館。一冊読んだだけで、パリの街中を散歩できた気分になれました。絵本のなかのパリは、芸術と文化、そして歴史に満ちた街でした。

 『パリのつたのからんだ、あるふるいやしきに、12人のおんなのこがくらしていました』から始まります。くわしくはかいてありませんが、自分なりに、こどもたちはみな孤児で、教会の施設のようなところで生活しているのだろうと想像しました。以前、そういう小説を読んだことがあります。たしか、『ピエタ』大島真寿美さんの作品で、舞台はイタリアでした。

 今回の絵本では、パリの風景が、絵本いっぱいに広がっています。いわゆる写真風の美しい絵画ではありませんが、シャガール風ではあります。色彩も豊かです。個性的、独創的な絵です。絵本の1ページが、一枚の絵画のようです。12人のおんなのこたちの一体性が強く、12人そろって同じ動きをするところに一定のリズムが感じられて心地良い。12人が一体になっている不思議さがあります。きちんと二列になって、まるでひとりの人間の動きのように動きます。

 登場人物は、12人のおんなのこのうちのひとりとして「マドレーヌ」それから先生として、「ミス・クラベル」あともうひとりが医師で男性の「コーン先生」が関与することになりました。マドレーヌが、盲腸にかかってしまったからです。
 11人のおんなのこが、盲腸の手術をしたマドレーヌのお見舞いに病院を訪れました。手術後、10日間が経過しています。
 その部分を読んでいるときに、こどものころの体験として、中学一年生のとき、学校帰りにクラスメイトたちと、学校の近くにある病院に入院している級友をお見舞いに行ったことを思い出しました。でも、結局、病室のベッドで寝ていたその男の子は病気で亡くなってしまいました。この世では、こどものままで人生を終える命があります。遠い過去のことを思い出してしみじみしました。だから、こどもに愛情をそそぐのだという気持ちをうけとれる絵が34ページにありました。
 11人のおんなのこのだれもが、人から優しくされたいと願っています。
 12人いたうちのひとりのマドレーヌが広い寝室にいなくなってさびしいとほかの11人のおんなのこは感じています。
 親代わりのミス・クラベルさんの心理が伝わってきました。
 親に甘えたい時期のおんなのこたちでした。  

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2020年08月09日

路線バスVS鉄道乗り継ぎ対決 金沢市-輪島市

ローカル路線バスVS鉄道乗り継ぎ対決 第4弾 観光地を巡るならどっちが早い? 石川県金沢市近江市場-石川県輪島市キリコ会館 テレビ番組

 いい勝負でした。楽しみました。
 どちらが勝ってもおかしくなかった。太川陽介さんチームが、18分早くゴールに着けたのは、運が良かったからです。

 路線バスの太川陽介チーム:NGTの荻野由香さん マテンロウのアントニーさん
 鉄道の村井美樹チーム:はるな愛さん Wエンジンのチャンカワイさん

 チームに太った人をいれるのは、ハンディをもたせておもしろくする企画なのか。
 ゲストたちが、わざとらしく、冒頭のシーンで食べ物屋にいくのも、仕込みっぽい。事前の打ち合わせでスタッフにこうしてほしいといわれてそうしているような、つくってある雰囲気あり。
 えびすさんのように、素(す)の性格を出して、ありのままに、人をいやしてくれる人はなかなかいません。番組のなかで、タクシーの運転手さんが太川陽介さんに、「えびすさんはどこにいるのですか?」とたずねていたのが印象的でした。
 あの怠惰なえびすさんがいたときのほうが、もっと真剣味があったように思えたという、ちょっといらつく出だしでした。
 えびすさんがいなくなった今は、このさい、純粋に本気で勝負にいどんでみてはどうだろうか。やせていて、ビュンビュン体が動くゲストを入れた真剣勝負を見てみたい。
 好みが分かれるところですが、ためしに1回スポーツ競技のように、真剣チーム同士でやってみてもいい。
 とはいえ、時間が経過するにつれて、みなさんは、追い込まれていきました。

 鉄道チームにおける村井美樹さんとはるな愛さんの考えが一致せず、タクシー利用のしかたに関する判断が勝負を分けて、鉄道チームが負け試合になってしまったという結果でしたが、ふりかえって考えてみて、あれはああするしかなかった。
 勝負においては、鉄道利用のほうが有利に思えるのですが、鉄道チームは、できるだけ徒歩時間を減らすことが、なかなかむずかしい。
 
 能登半島は、自然が豊かで、映像を観ていて気持ちよさが伝わってきました。野には緑が広がり、海はマリンブルーに光り輝いていました。

 鉄道会社、バス会社の社員にとっては、イレギュラーな問い合わせの連続で、現場の人は迷惑だろうという思いで、路線バス乗継の旅のときからこの番組を見ていましたが、なかには、笑顔で協力的な乗り物おたくのような人もいて、感心しながら感動するときもあるといういい番組です。毎回楽しみにしています。

 ポイント地点で、何回も両チームのメンバーが出会うのが楽しかった。企画段階でよく考えてあるコースでした。スタッフのなかによっぽど詳しい人がいるのでしょう。

 はるな愛さんの言葉がけが良かった。「(ゴールの海賊の宝箱を開くとき)ワンピースみたい(アニメです)」「歩いているときの元気を出すためのいろいろなかけ声」
 最後に、太川陽介さんひきいる路線バスチームのメンバーに向けて、「おそれいりました」というひとこと。潔く(いさぎよく)負けを認めることは大事です。
 そして、太川陽介さんは、相手チームの作戦のこともよーく考えるいい人です。  

2020年08月08日

きょうはなんのひ? 瀬田貞二・作 林明子・絵

きょうはなんのひ? 瀬田貞二・作 林明子・絵 福音館書店

 1979年8月10日付発行の絵本です。昭和54年のことです。この絵本を発行して11日後の8月21日に作者の瀬田貞二さんはご病気で亡くなっています。63歳でした。ご冥福をお祈りいたします。

 絵本の中には、ダイヤル式の黒電話が出てきます。
 いまだに、ダイヤル式の黒電話、あるいは、ダイヤル式のクリーム色の電話機を使っている家を何軒か知っています。
 日本には、一億二千四百万人ぐらいのひとたちが住んでいます。だれもかれもが、スマホやパソコンで、SNSを使いこなせているわけでもありません。人の数だけ、いろんな生活があります。

 お話は、手紙のリレーで、ロシアの民芸品、マトリョーシカ人形を思い出すような内容でした。
 きょうは両親に関するなにかの記念日で、小学三年生ぐらいのまみこちゃんという娘さんが、両親のお祝いをしたい。
 たきたてのあたたかいごはんからは湯気がのぼっています。おみそ汁からも湯気がのぼっています。こたつのテーブルで三人家族です。幸せな空気に包まれています。

 さいしょに「かいだんさんだんめ」の意味がわかりました。階段のステップの三段目にメッセージがおいてありました。『ケーキのはこをごらんなさい』まみこさんからお母さんへのクイズお手紙です。
 ケーキのはこのなかをあけると、『つぎはげんかんのかさたてのなか』とあります。そうやって、次々に手紙のリレーがつづきます。
 二階建て一戸建てのどの部屋も、家族のあたたかみで満ちています。
 お母さんがピアノでまみこさんの好きなキラキラ星をひくシーンには、お母さんの娘さんに対する愛情が満ちています。

 お父さんがバスケットをもって帰宅した時になにかしらピンときました。(バスケットのなかには、たぶん犬が入っているのにちがいない)
 
 次は、まみこちゃんからご両親へのプレゼントです。お金がかからない贈り物です。
 りゅうのひげのたま:植物で、はっぱが、りゅうのひげのような形状をしていて、むらさきの小さなたまができる。お庭とか、駐車場の装飾で植えてあるのを見たことがあります。
 なんてんのみ:ナンテンという木の赤い実。観賞用の庭木や鉢で見たことがあります。難を(福に)転じる。たしかそういう縁起ものです。
 まみこちゃんにいわせると、「紫色のりゅうのひげの実」がお父さんで、「赤いなんてんの実」がお母さんだそうです。きょうは、ご両親の結婚10周年の記念日だそうです。

 仲良し家族です。絵本を読み終わったあと、うらやましかった。
 自分が結婚10周年だったときは、どうだっただろう。
 思い出しました。
 長時間労働で、ひたすら働いていました。
 仕事優先で、家族にはいっぱい迷惑をかけました。
 絵本をよんだあと、反省しました。
 まだ学校も週休二日制ではありませんでした。  

Posted by 熊太郎 at 07:18Comments(0)TrackBack(0)読書感想文