2016年01月31日

きのうの影踏み 辻村深月

きのうの影踏み 辻村深月 角川書店

 ホラー(恐怖小説)の短編集です。13本もあります。長いもので20ページぐらい、短いものはほんの数ページです。ゆっくり、時間をかけて読むのがいい。恐怖を味わうのです。
 掲載された雑誌が、「メフィスト」、「Mei(冥)」、怪談実話系などです。いずれも読んだことはありません。そういう本があるんだ。
 さて、小説は、都市伝説が連続します。怖い。

「十円参り」女子3人の三角関係のなれの果て。消滅させる行為は殺人のようでもある。不気味です。
「手紙の主」前の話と関連があるようにとれる。消えた人物からの手紙だろう。
「丘の上」作者自身が出産したのか、赤ちゃんネタが続きます。
「殺したもの」作品群は、商品です。洗練された(推敲すいこう・見直しが繰り返された)特上の商品です。
「スイッチ」、「私の町の占い師」、「やみあかご」、「だまだまマーク」、「マルとバツ」、「噂地図」、ここまで読んで、ばけものは、そばにいるし、そばにいても、かまわないじゃないかという悟りに達しました。
そして、最後の作品「七つのカップ」には、しみじみしました。同作者の作品「ツナグ」を思い出しました。交通事故死した小学生の娘の霊に会いたい母親です。

 中高生女子を対象とした文章、文体です。先週読んだ同作者の「朝が来る」は大人向けのものでした。作者は、器用です。

 わからなかった言葉として、「メシュガー:スウェーデンの音楽バンド、ギターに特徴があるらしい」、「攫われる:さらわれる(単に漢字を読めなかった)」
 気に入った表現として、「目に見える範囲の世界にしか創造力の及ばない子ども時代」

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この記事へのコメント
楽しく読みました。
ホラーにしても幻想にしても読みやすかったです。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
Posted by 藍色 at 2017年11月03日 11:22
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