2015年01月14日

フォルトゥナの瞳 百田尚樹

フォルトゥナの瞳 百田尚樹(ひゃくたなおき) 新潮社

 出足が良かっただけに、惜しい。結末まできて、うーん。どうかなあ。
 この作家さんの文章は早読みができるので、5時間ぐらい、1日で読みました。読ませる興味を呼び起こす力は強い。
 他人の死期がわかる。書中の表現では、他人の死の予兆が見える。
 以下、読書の経過です。
 主人公木山慎一郎28歳。4歳の頃、自宅火災で両親と妹を失い施設で育つ。中卒後、定時制高校に通いながら働き、今は、高級車のコーティングの仕事をしている。舞台は神奈川県川崎市、横浜市周辺です。以前何度か訪れたことがあるので、身近でした。
 はじまりで、就職口がなかなか見つからない木山をとおして、現代の世相がかかえる課題を扱っており、いい本にあたったかなと思わせてくれました。遠藤社長のセリフ、学歴で車は磨けないがよかった。
 読み進めるワクワク感があります。自分の好みの物語世界です。
 このあと同様の事例を並べて、そのあとどうもっていくのか。身近な人の死につなぎ、最後は亡くした家族の話もしくは、主人公自身の話につなげるというのはどうだろうか。
 予知能力をもった者は、自分が死に神に思えてくるだろう。仏教の世界。巡り合わせ、「縁」。
 その能力を活用して、富豪になってゆくのか。
 その能力は、人を殺める(あやめる)ことにも使えるようになるだろう。
 出し抜かれたような展開になったが、洋画ゴーストが頭に浮かんだ。
 展開を予測できなくなってきた。
 話題が恋愛に流れたのはどうか。理屈っぽくなってきて、素材の魅力が低下してきました。
 後半に向かって、不気味さは、増してきました。情に流されるのか。流れはその方向へ向かっている。読み手も主人公と一緒に迷うし悩む。外を出歩かずに、ふとんにもぐってひきこもっていた方がいい。 
 本格派の小説ではない。アイデア伸ばしの虚構想像。女性像に固定観念があります。女性が女神になってしまっています。
 疑問が残った部分として、指輪が戻った理由(なんとなくはわかる)、とある人の死因が不明。
 自分の考えとしては、「運命」というものは、途中経過で何がどう変化しようと、迎える結末は変わらないと悟っています。
 ラストシーンで、自発的にこうする人はいない。何かの縛りがほしい。

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この記事へのコメント
2日ほどで読み終えてしまうほど、一気に読破してしまいました。
面白い展開と予想できない内容でした。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
Posted by 藍色 at 2016年01月26日 13:05
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