2025年05月21日

はたらく細胞 邦画 2024年

はたらく細胞 邦画 2024年(令和6年) 1時間49分 動画配信サービス

監督:竹内英樹

俳優:永野芽郁(ながの・めい。苦言になりますが、本人には、『倍賞千恵子の現場 「男はつらいよ」「幸福の黄色いハンカチ」「駅STATION(ステーション)」出会った素敵な人たち 倍賞千恵子 PHP新書』を読んで欲しい。俳優の心構えが書いてあります。ちゃんと生活していくのです。ちゃんと生きる。たくさんの人たちに見られているという意識をもつ。まじめにきちんとした生活を送る)、佐藤健(さとう・たける)、山本耕史、仲里依紗、染谷将太、片岡愛之助、板垣李光人、加藤諒、一ノ瀬ワタル、芦田愛菜、加藤清史郎、鶴見慎吾

原作漫画:清水茜、『はたらく細胞 講談社』

 評判がいい映画です。アニメのようですが、実写版です。素材も含めて、もの珍しい映画です。
 前半はなかなかおもしろかった。
 コメディタッチで笑いました。
 その調子で、最後までいけばよかったのですが、後半は理屈っぽくなってしまいました。
 後半では、ナイフを振り回す暴力的なところもあって、ちょっと受け入れがたかった。

赤血球:酸素を運ぶ。メンバーは、赤い服を着用しています。
白血球:異物をやっつける。異物を排除する。メンバーは、白い服を着用しています。忍者みたいです。
骨髄球(こつずいきゅう):白血球になる前の細胞
キラーT細胞:異常な細胞を認識して破壊してくれる細胞
肺炎球菌:細菌。発熱、倦怠感(けんたいかん)、咳(せき)、痰(たん)、呼吸困難の原因となる。
LDLコレステロール:増えると動脈硬化を引き起こす。悪玉コレステロールとも呼ばれる。
肝細胞:肝臓の約60%を占める細胞
腎臓(じんぞう):血液の老廃物などを、ろ過して、余分な水分を尿として排出する。
NK細胞:異常な細胞を攻撃する免疫細胞
鼻腔(びくう):1日1リットルの免疫が湧き出て、ほこり、かび、ウィルスを鼻水で洗い流す。
急性骨髄性白血病:むずかしいことはわかりませんが、血液のがんです。
マクロファージ:細菌やウィルスを殺す強力な免疫細胞(めんえき:異物から体を守る)

 父親は(阿部サダヲ)はトラック運転手で、不健康です。飲酒、喫煙、カップラーメン、それなりに体を壊しています。喫煙するから、酸素不足です。『同情するなら酸素をくれ』というポスターがおもしろかった。
 阿部サダヲさんの奥さんは病死しています。
 阿部サダヲさんの女子高生の娘(芦田愛菜)は、健康でしたが、白血病になってしまいました。(自分は見ながら、娘は、最後はきっと助かるという結末だろうと予測して、そのとおりになりました。予想的中です)

 父親の健診結果は身につまされます。わたしの健診結果もそれほどよくはありません。まあ、60代後半という同年齢の人たちは、男女ともに、どこかしら病気をかかえておられるでしょう。

 映画は、健康維持とか、人体の仕組みを知るための医療の研修ビデオのようでもあります。
 細胞たちが動き回るシーンのロケ地は、東京有楽町駅近くにある、『東京国際フォーラム(以前東京都庁があったところ)』ではなかろうか。映像にある橋のような通路を何度も往復したことがあります。トイレを利用するためでした。
 
 映画で、『ばいばいきーん』というセリフがありました。アニメのアンパンマンですな。今、NHK朝ドラで流れているドラマ、『あんぱん』ですな。やなせたかしさんですな。お子さんをおもちの方なら、アンパンマンのお世話になる人は多い。アンパンマンは偉大です。泣く子が黙ってくれます。先日の放送で、バイキンマンの声優さんが登場されました。おもしろい。

 映像を観ていて、特殊撮影は、どうやって、つくってあるのだろうかなあと思いました。

 抗がん剤は、やっつけなければならないものと、やっつけなくてもいいものと、両方、破壊する。
 ああ、だから、髪の毛がなくなったりするのか。
 映画では、酸素を運ぶ赤血球が少なくなるような表現がしてありました。
 骨髄性白血病は、骨髄移植で助かる道があるそうです。

 物語を支えている言葉に、『仕事』があります。
 それぞれが、それぞれに与えられた、『仕事』を達成していくのです。
 自分の役割を果たしていくのです。

 阿部サダヲさんの娘(芦田愛菜さん)のがん治療で、放射線治療の開始です。
 北極に出るオーロラのような映像です。
 造血幹細胞たちが働いています。(白血球、赤血球、血小板)の元になる細胞のこと。
 
 後半は、芦田愛菜さんの命がかかった厳しい話になります。
 本音を言うと、前半のようなお笑いがほしい。
 見ていていろいろ思い出すものがあります。
 わたしはこれまでに、若くして、がんでなくなった人たちの本を何冊も読みました。
 また、わたしは長いこと生きてきたので、がんになって、志半ば(こころざしなかば)で、亡くなっていった複数の人たちのお顔を思い出しました。みなさん、泣きながら死んでいかれました。ご家族の方たちはお葬式でしょんぼりされていました。

 骨髄の中に細胞がない状態ですと表現されました。
 骨髄移植待ちです。

 阿部サダヲさんが、『パパが好きなもの』というテーマで、フィリップ芸(紙芝居)を披露してくれましたが、ちょっと泣けない内容でした。平凡です。もうひと工夫(くふう)してほしかった。

 後半の難点です。
 なんというか、理屈と理屈のぶつかり合いにすると、映画は、おもしろくなくなります。

 『おまえをぶっ殺す』(この表現もやめたほうがいい)
 
 後半は、観るのが、しんどい気持ちになりました。前半のコメディ風の流れを維持すれば良かったのに。

 ちいさな女の子は、抽象的です。神の啓示みたい。(神の教え)
 
 赤芽球(せきがきゅう):赤血球になる前の細胞
 血液には、細胞の部分と細胞ではない部分があるそうです。血球部分(細胞)と血漿(けっしょう。液体の部分)だそうです。
 風変わりな映画でしたが、楽しめました。  

2025年05月19日

対岸の家事 第7話 認知症に…? 気付いた家事の意味

対岸の家事 第7話 認知症に…? 気付いた家事の意味  TBS火曜ドラマ 22:00~22:57 動画配信サービス

原作:『対岸の家事 朱野帰子(あけの・かえるこ) 講談社』

俳優:
多部未華子:専業主婦。村上詩穂。娘が、苺(いちご)2歳半ぐらいに見えます。調べたら3歳の子役さんでした。もうすぐ4歳です。かなり演技がうまい。

一ノ瀬ワタル:村上虎朗むらかみ・とらお 多部未華子さんのだんなさん役。かなり優しい性格です。

江口のりこ:長野礼子。こどもふたりを保育園に預けて働いている。だんなの長野量平(川西賢志郎)は仕事で多忙なようす。実質ひとりで子育てと家庭のきりもり(物事をとりさばく)をしているように見えます。息子が、篤正(あつまさ。4歳か5歳ぐらいに見えます)で、娘が、星香(ほしか。まだ1歳半ぐらいに見えます。

ディーン・フジオカ:中谷達也。妻はアラブ首長国連邦都市型国家であるドバイで働くキャリアウーマン。中谷達也本人は、厚生労働省の職員)。中谷達也は、2年間の育児休業中です。娘は1歳ぐらいの佳恋(かれん)です。

田中美佐子:坂上知美さかがみ・ともみ。多部未華子さんを支える心の友。ご近所さん。ひとり暮らし。娘がいるが、結婚はしないし、こどももつくらないという主義の仕事一筋で働く女性。孫は生まれてこないと娘に言われた。
 わたしは、自分が20代だったころ、田中美佐子さんみたいな人と結婚したいと思ったことがあります。それから50年近くがたって、田中美佐子さんは今回のドラマで、認知症の高齢者を演じられました。
 症状として、同じ物をいくつも買う、スーパーでレジを通さずに万引き状態となる。料理の手順を間違える、火の始末を忘れて、火事を出しそうになる。本人の行方(ゆくえ)がわからなくなる徘徊(はいかい)などのシーンが出ました。時がたつのは早いものです。だれでも、肉体や心身の耐用年数が近づいてきて、頭の中が壊れる年寄りになるのだと実感しました。
 ドラマでは、キャリアウーマンの娘は、世間体をきらってか、これは(身内が認知症)、家族の問題ですと主張して、多部未華子さんを田中美佐子さんのことから排除しようとします。

 まあいろいろ考察があります。
 よかれと思ってやっても、相手にとっては、迷惑ということはあります。
 親切の押し売りです。
 介抱(かいほう。世話を)されるほうは、プライド(自尊心。自分が大事という気持ち、心)が傷つくのです。
 『悪意がある善意』ってあります。自分がいい人と思われたい人が行う行為です。

 自分に余裕がないとき(みじめな思いをかかえているとき)に優しくされると、よけいにみじめな気持ちになる。同情は迷惑なのです。

 さんざん苦労してきて、認知症になってしまう。がんばったのに…… という人間の悲しみがあります。
 田中美佐子さんの娘から排除されそうになる多部未華子さんにも主張があります。おせっかい(でしゃばり)→『(専業)主婦って、そういうものです』

 太川陽介さんとえびすよしかずさんの路線バス乗り継ぎ人情旅のロケシーンを思い出しました。今は完璧な認知症になってしまいましたが、えびすさんには認知症の症状がロケ中から出ていました。
 瀬戸内海に近い本州のどこかのお城のバルコニーのようなところで、太川陽介さんと女性ゲストとえびすさんが景色を眺めていて、えびすさんが、『これからぼくたちは新幹線でどこに行くんだっけ』と真顔で質問をされました。
 番組としてのバス旅のロケ中なのです。あのときえびすさんの頭の中は、別の世界に自分がいる状態だったのです。

 恩人とか、人情とか、考えさせられる内容でした。

 ディーン・フジオカさんが、正論を吐きます。毒がありますが、言っていることは正しい。そして、厳しい。なのに、ディーン・フジオカさんの奥さんは自分の会社の部長と不倫をしているようです。ディーン・フジオカさんが、まっすぐでまじめなだけに、かわいそうに見えます。

 『アジサイって、(専業)主婦みたい。陽の当たらないところで、じっとだれかのために家事をする』
 
 江口のりこさん宅もたいへんです。だんなさんが鹿児島転勤です。江口のりこさんは、家族全員の幸せを思って、だんなさんを単身赴任にはさせない。自分は、今の仕事を辞めて、こどもふたりもいっしょに鹿児島へ行くのだという決意を、ディーン・フジオカさんに対して表明されました。

 ディーン・フジオカさんも悩んでいます。1歳児ぐらいの娘さんの夜泣きがつらいのです。佳恋(かれん)ちゃんです。
 それを見ていて、わたしも自分の娘のときの夜泣きを思い出しました。つらかった。
 生後半年ぐらいからひどかった覚えです。深夜2時ごろ、泣きやませようと、胸に抱いて、何度もキッチンであやしました。賃貸マンションに住んでいたので、鳴き声が外に響くことがとても気になりました。
 そんなつらい日々が続いたのですが、半年ぐらいがたって、夜泣きはなくなりました。そして、日にちがたつごとに、そんなことがあったことも忘れてしまいました。
 あかちゃんの成長過程において、あかちゃんの脳みそのなかで、いろいろなものが渦巻いて、だんだん脳みその中が、整理整頓されていく経過での夜泣きであったのだろうと判断するのです。がんばれ中谷さん(ディーン・フジオカさん)、耐えろ中谷さんです。そうやって、人は親になるのです。子育ては、気が遠くなるほどの忍耐の積み重ねです。

 過去を振り返るシーンでの、ピアノのバックグラウンドミュージックがいい感じでした。しみじみしました。
 
多部未華子:(専業)主婦は、ひとりぼっち。
田中美佐子:だいじょうぶよ。いつか笑って話せる日がくる。それまでゆっくりゆっくり、おかあさんになればいい。うちにいらっしゃいよ。わたし専業主婦だから、時間がいっぱいある。

 遠くに光が見える作品です。名作ドラマになるでしょう。

 応援。家族のために応援することが、専業主婦の役割なのです。  

2025年05月18日

しあわせは食べて寝て待て 第6話と第7話

しあわせは食べて寝て待て NHKドラマ10 火曜日夜10時のドラマ 第6話と第7話の感想です。

原作漫画:しあわせは食べて寝て待て 全5巻 水凪トリ(みずなぎ・とり) 秋田書店

俳優:
桜井ユキ:麦巻さとこ。膠原病患者(こうげんびょう。映像では、『シェーグレン症候群』という病名が見えました。自己免疫疾患。体がだるい。微熱。関節がはれる、痛む)
現在は、週4日デザイン事務所でパート。独身38歳。病気(膠原病)で大企業を退職して小さなデザイン事務所に転職した。ひとり暮らし。家賃が更新で高くなる賃貸マンションから、家賃が安い公団団地に引っ越した。

加賀まりこ:美山鈴(みやま・すず)。団地で、麦巻さとこの隣人。90歳高齢者。彼女の同居人として、薬膳に詳しい若い男が居候している。そのふたりの関係は他人

宮沢氷魚(みやざわ・ひお):羽白司(はねしろ・つかさ)。薬膳に詳しい若い男。加賀まりこ宅の同居人

土居志央梨(どい・しおり):高麗さん(こうらいさん)という絵描きの役です。

中山ひなの:目白弓(めじろ・ゆみ)。女子高生。麦巻さとこの副業である部屋貸しの利用者。受験生だが、団地の部屋が狭く、家族が受験勉強に協力してくれない。とくに父親がばかおやじで、大きな声でテレビをつけてねっころがって大笑いしている。母親も弟も非協力的で、本人はふさぎこんでいる。本人は、関西の大学に進学したい。そんな家を出たい。出たらもう帰ってきたくないでしょう。

宮崎美子:ネット上の愛称ウズラ(志穂美春子)。料理のダイアリグラム(インスタグラム)をしている。値引き後の安い食材を使ったイタリアンを紹介している。

(第6話の感想です)
 キンカン(風邪の予防、のどにいい、美肌効果がある)→大豆ミート(今回の登場人物女性は、あまりお肉を食べたくない人です)→ソイラテ(コーヒーと豆乳(とうにゅう))→キャロットケーキ(にんじんケーキ、疲れ目にいい。脾(ひ。消化吸収ほかの体を整える(ととのえる)機能)に効く(きく))、今回の薬膳がらみのお話は、そんな流れです。ベジタリアンという言葉も出てきます。ベジタリアン:肉や魚を食べない食生活を送る人

 地方への移住の話題です。
 膠原病(こうげんびょう)である麦巻さとこさんは、健康のために移住を考える。地元自治体が、住居と仕事をあっせんしてくれる。
 団地の人たちの日々の暮らしについて、土居志央梨さんが感想を述べます。みんな、ここでがまんしながら生活を送っている。
 
 静かな流れです。
 ひきこもり人間である男子(5年間引きこもっていた)と元気のない女子の恋のようなお話があります。
 ふたりとも生活に疲れているようです。
 不思議な雰囲気のドラマです。

 いろいろありますが、団地内の人間関係がうまくいっているので、移住話は積極的には運びません。

 次回予告では、1年後のこととして、みんな1年後もその団地にいます。大規模改修の話が出るようです。


(第7話の感想です)
 家庭環境がイヤで、合法的な家出みたいにして、関西の大学を受験して合格して、団地を去っていく女子高生がいます。やっと出ていけるという女子高生の声があります。主人公の麦巻さとこさんの部屋を受験勉強のために借りていた目白弓です。
 家を出たらもう帰ってこないような決心があったのですが、麦巻さとこに会うために、また帰ってくるそうです。そして、引っ越しを考えていた麦巻さとこの気持ちに変化が生まれます。美山鈴がさとこに(分譲の)部屋を譲ってくれることになりました。されど、ラストで、美山鈴の娘が現れて、そんな話は、自分は聞いていないというところで終わりました。

 登場人物がせいぞろいして食事会です。なごやかでいい感じでした。
 麦巻さと子・むぎまきさとこ(桜井ユキ)、美山鈴みやま・すず(加賀まりこ)、羽白司みょうじの読み方がわかりませんが、劇中では、「つかさ」と呼ばれています。(宮沢氷魚みやざわ・ひお)、青葉乙女(田畑智子)、唐圭一郎から・けいちろう(福士誠治)、反橋りく、そりはし・りく(北乃きい)、八つ頭仁志やつがしらひとし(西山潤)

 会話がちゃんとしています。当たり前の流れがいい。

 スーパーヒーローは出てこないドラマです。
 先日ニュース番組で、劇作家の三谷幸喜さん(みたにこうきさん)が、自分は野球をあまり知らない。勝ち負けを決めるものは見たくない。自分はいつも、負けた方の気持ちを考えるタイプだから(見ると)元気がなくなってしまうからというようなことを言われていました。
 まさに、こちらのドラマがそのパターンで、勝ち負けを決める内容のドラマではありません。
 ここにいれば、なんとかなるという内容のドラマです。胸にじわーっと広がる幸福感があります。今の時代に、人に何が求められているかという提示がある作品です。
 ここには、『平和』があります。対立とか、競い合いはありません。

 料理とか食材は、スーパーの整理品で安価なトビウオ(半額)、天然のタイ(アラ:さばいたあとの頭、骨、ヒレ、尾、カマ(エラから胸ヒレ)など)、タケノコ、キンモクセイのお茶(目の疲れにいい)、クコの実、ツクシ(デトックス効果。毒素や老廃物を体の外に出す)、ヨモギ(血の巡りを良くする。関節の痛みにきく)などが出てきました。

 公団住宅の大規模修繕の話とか、宮崎美子さん(ハンドル名ウズラ)のダイアリグラム(インスタグラムのことらしいです)とかの話が出ました。宮崎美子さんは、スーパーの整理品で見事なイタリアンをつくるインスタをやっていて、アンチコメントをもらってうつ病になって通院服薬をしていた時期があるそうです。利害関係もないのに、他人を攻撃する人がいます。批判です。ネットの言葉はキツイ。
 宮崎美子さんは、離婚後ひとり暮らしになって、24時間を使える喜びを手に入れたそうです。宮崎美子さんは、ひとりでいることを哀れと(あわれと)思われたくない。自分はけして哀れではないと主張します。

 少量の料理をゆっくり味わいながら食べます。わたしは、大量の料理をいっきに食らう(くらう)タイプなので、恐縮します。きょうしゅく:身も縮まるほどおそれいる。  

2025年05月12日

対岸の家事 第6話 “(女性が)働かない”はダメ?

対岸の家事 第6話  TBS火曜ドラマ 22:00~22:57 動画配信サービス

第6話:“(女性が)働かない”はダメ?人生の選択肢

原作:『対岸の家事 朱野帰子(あけの・かえるこ) 講談社』

俳優:
多部未華子(専業主婦。村上詩穂。娘が、苺(いちご)2歳半ぐらいに見えます。調べたら3歳の子役さんでした。もうすぐ4歳です。かなり演技がうまい)

一ノ瀬ワタル(村上虎朗むらかみ・とらお 多部未華子さんのだんなさん役。かなり優しい性格です)

江口のりこ(長野礼子。こどもふたりを保育園に預けて働いている。だんなの長野量平(川西賢志郎)は仕事で多忙なようす。実質ひとりで子育てと家庭のきりもり(物事をとりさばく)をしているように見えます。息子が、篤正(あつまさ。4歳か5歳ぐらいに見えます)で、娘が、星香(ほしか。まだ1歳半ぐらいに見えます)

ディーン・フジオカ(中谷達也。妻はアラブ首長国連邦都市型国家であるドバイで働くキャリアウーマン。中谷達也本人は、厚生労働省の職員)。中谷達也は、2年間の育児休業中です。娘は1歳ぐらいの佳恋(かれん)です。

 いくつかポイントがあります。頭の中を整理するように、書き落としてみます。

 今の時代、女性は、専業主婦ではだめです。女性は、仕事も育児も両立させて、社会活動に貢献してくださいというメッセージがあります。
 それに対して多部未華子さんが、自分は、働かないのではなくて、ふたつのことを両立させる能力がありませんと反発します。働けないのです。能力的に、家庭と仕事の両立ができないのです。(なんというか、大前提として、人は、生活費を稼ぐために働きます。わたしは、妻が働かなくても家族が食べていけるのなら、働かなくていいと思います。うちは、わたしの給料だけでは食べていけなかったので共働きで子育てをしました)

 一馬力(いちばりき。夫だけの収入)だと、将来分譲マンションや一戸建てを買うとか、こどもを大学にやるとかいうときにお金が不足します。そのときになって、それなりの精神的な苦痛を味わうことになるのですが、それでもいいのなら働かなくていいと思います。
 あとはまあ、こどもさんが10歳ぐらいになって、自分のことが自分でできるようになったら、働きに出るという選択肢もあります。
 
 ロールモデル(女性が働いていくときに、模範となるような社員のことをいう)
 昔は、朝早く出勤して、夜遅くまで残業をやって、休日も出勤してという社員が、出世では優遇されたけれど、今、そして、これからは、仕事と子育てを両立させていく女性が、昇進においても優遇されるであろうというドラマの趣旨でした。
(この部分を読んでいて、以前読んだことがある小説の内容を思い出しました)
 出産・子育てをしながら働いてきた女性が、結婚も子育てもせず、仕事一筋でやってきて役職に昇進した女性にくってかかったのです。家事も育児もやって働いてきた自分だって、昇進して役付きになりたいと訴えるのです。自分は、女だから(しかたなく)、結婚して、出産して、子育てをしながら、がんばって仕事をしてきた。がまんをしながら仕事も育児も家事もやってきた自分こそが、職場では役職者になるべき立場の人間だと訴えるのです。その女性は未婚で昇進する女性に対して厳しい言葉をぶつけます。あんたは、仕事しかしてこなかった。仕事しかしてこなかったから、あんたには、家族がいないじゃない! 夫もこどもも孫もいないじゃない! わたしにはいる! と、激しい気持ちが出ていた記憶です。
 わたしは、その部分を読んで、目から鱗(うろこ)が落ちる思いでした。そうか。そうなんだ。うん、そのとおりだと思いました。
 昔は、未婚で仕事に集中して、それなりに幹部社員になった人を、自分の人生を会社に捧げた(ささげた)女性というように見ることがありました。よーく考えると、それは、いい考えではなかったようです。仕事よりも家族が大事です。歳をとってからのひとりぼっちは精神的にこたえます。

 ディーン・フジオカさんから奥さんに、ふたり目のお子さんについて、計画出産をやろうと提案があります。奥さんは、自分の仕事の予定があるからと、提案を拒否しました。
(わたしは、計画出産はやっていいと思います。今は、育児休業の制度がありますが、育児休業の制度がなかったころは、産休明けで、4月に保育園に入れるようにするために2月生まれぐらいで子づくりをしようかというような話はありました)

 ラスト付近では、いろいろと騒動の種がまかれました。夫の鹿児島転勤(単身赴任ですな。母子家庭状態になってしまいます。江口のりこさんのお宅)、妻の不倫(ディーン・フジオカさんのお宅)、頼りにしている女性が、認知症になっているらしい(多部未華子さんのお宅)。そんな話題で、次週に続きます。

 同時期に、テレ東で、『夫よ、死んでくれないか』というドラマをやっていて見ているのですが、ホラー、サスペンスの内容で、夫婦関係が壊れています。殺人の話も出てくるので、とくにそのドラマの感想を書く予定はないのですが、このドラマと対比すると、いろんな夫婦関係や家庭があるなあと感慨深いのです。  

2025年05月10日

コーダ あいのうた アメリカ映画

コーダ あいのうた アメリカ映画 2022年(令和4年) 1時間51分 動画配信サービス

監督:シアン・ヘダー

 先日読んだ本から、この映画に来ました。
『「コーダ」のぼくが見る世界 聴こえない親のもとに生まれて 五十嵐大(いがらし・だい) 紀伊国屋書店』です。
コーダ:Children of Deaf Adults チルドレン(こども) オブ デフ(聴覚障害者) アダルト(おとな) 『聴覚障害者を親にもつこどもさん』という意味にとらえました。当事者ではないわたしには、たいへんだなあと思えるのですが、本を読むと、本人たちにとってはたいへんでもなさそうなのです。なのに、なんで悩むかというと、『障害とか障害をもつ人に理解がない一般人の心もち』なのです。人の目が気になる。標準でない物を差別する意識が人間にはある。同情は迷惑、そんなことが出だしに書いてありました。
 生まれてきて、自分の親の耳が聞こえないという状態が、苦痛ではない。(それなりに順応して、ほぼスムーズに日常生活を送れるという人間のすばらしい能力があるのです)。自分では、あたりまえだと思っていた生活が、小学校に入ると、あたりまえではないということに気がついてショックを受けた。そんな苦労が書いてありました。
 そして、耳が聞こえない親・きょうだいをもつ耳が聞こえるこどもは、親たちと耳が聞こえる人たちとの間をつなぐ、『通訳』の役割を、小さい頃から果たし続けているのです。本人にとっては、その行為は苦痛ではないけれど、自分がなにかをしたいという時間は、通訳仕事のために消費されていきます。そこが悩みです。自分には、自分はこうなりたいという夢があります。そのためには、時間が必要です。こちらの映画は、そのような状況を描き出していました。

 さきほどの本の中で、映画作品が紹介されていました。
 『聲の形(こえのかたち)』:アニメ映画作品。こどもたちの世界です。聴こえないということで主人公である、ろう者(耳が聞こえない人)の少女がいじめられます。
 もうひとつが、今回観た映画です。
 『コーダ あいのうた』:2022年公開の洋画
 さらにもう1本あります。さきほどの著者の生い立ちを追った映画でした。
 『ぼくが生きてる、ふたつの世界 邦画 2024年(令和6年)』です。こちらの本の著者の家族が主人公の映画です。映画のスタートは、無音です。ろう者の世界ですから、音のない世界で、主人公のお父さんが、漁船の船体にブルーの塗料を塗る作業をしています。それが、お父さんの仕事です。
 今回観たこちらの映画、『コーダ あいのうた』でも、冒頭は、漁船のシーンです。海原を走る漁船です。映画の主人公の家族が乗船して、魚を捕っています(とっています)。両親と兄が、耳が聞こえません。妹が主人公です。妹は耳が聞こえます。いろいろあります。映画が始まりました。

 4人家族は、おもに、手話で意思疎通をします。いしそつう:気持ちや考えを伝えあって、理解し合う。家族仲はとてもいい。

主人公女子高生 ルビー:17歳。耳は聴こえます(きこえます)。家族の中で自分だけ聴こえるということが苦痛であったりもします。

父親:耳は聴こえません。いいオヤジさんです。夫婦仲がとてもいい。下ネタ満載で笑いました。

母親:同じく耳は聴こえません。若い頃、ミスコンテストで優勝したことがある。スタイルに自信がある。口やかましい。夫と同じで、下ネタ大好きです。映画のラスト付近で、自分の娘であるルビーが誕生した時の自分の気持ちを語ります。話を聞いていると涙がにじんできます。

兄:耳は聴こえません。父親といっしょに漁船に乗って魚を捕りに行きます。捕った魚を、市場で仲買業者に買い取ってもらいます。そのお金で家族は生活していきますが、生活費に余裕はありません。魚は相場よりの安く買い取られるからです。(障害者差別があるようです。なめられている)。
 兄は、スマホを使った出会い系サイトでがんばっています。

 登場人物たちが、生き生きとしていて、輝くように動いています。手話シーンも生きています。

 いじわる。いじめがあります。
 『(高校で、実家が漁業であるルビーの噂(うわさ)ばなしとして)魚臭くなあ~い』

 白人の人たちの映画です。

 <合唱部>が出てきました。
 NHKのコンテストのようでもあります。(NHK全国学校音楽コンクール)
 
 4人家族についてです。非常におもしろい家族です。
 いんきんたむし話から始まってのくだり(つながった話)に大笑いしました。コメディ映画です。ぜんぜん深刻ではありません。今年観て良かった1本になりそうです。
 
 手話がいっぱいです。いいなあ~
 みなさん芸達者です。芸達者:演技がうまい。
 ろう者(耳が聞こえない人)の映画ですが、ミュージカルみたいです。
 
 お金がないという話が出ます。
 娘は音楽学校へ行って歌手になりたい。
 でもお金がない。
 奨学金に頼る
 でも、家族が漁業に従事していくうえで、耳が聞こえる娘には、『通訳』の役割を果たしてほしい。
 娘の夢を優先させるか、家業を優先させるか悩ましい。
 (なんというか、まずはお金を稼いで、それから夢をかなえるという方法もあります。人生は、若い頃に思うよりも、じっさいは、はるかに長いです。『学び』の時期は、標準よりも遅れてもだいじょうぶです)

 ろう者独特の発声の音が変だと指摘されます。ろう者の声は変(へん)。汚い声という話が出ますが、先生の反応は反対です。『それだ!!』、『その声を待っていた!』(いい感じです)
 声質の話が出ます。映画の中では、ボブディランの声は美声ではないと紹介されます。砂と糊(のり)のような声と表現されます。
 思い出した本が、『喫茶店で松本隆さんから聞いたこと 山下賢二 夏葉社(なつはしゃ)』という本です。松本隆さんは作詞家です。
 本の中に書いてあったことです。
 歌い手の選び方です。写真は参考にならない。みんな可愛い。差異がわからない。声質で選ぶ。歌のうまいへたは、売れる売れないに関係ない。民衆は、おもしろい声を望んでいる。舌足らずなところが良かった歌手がいる。一見、欠点に見えても、そこが魅力だったりもする。合わせて、楽器が弾けることも魅力になる。(読んでいて、「木綿のハンカチーフ」をお歌いになった太田裕美さん(おおた・ひろみさん)のことだろうと思いました)。こちらの映画では、女子高生ルビーの声を聴いたコーラスの先生が、『君の歌に可能性を感じた』と表現します。

 さらに話をふくらませて書くと、その本の著者である山下賢二さんという人もユニーク(希少価値)です。
 『やましたくんはしゃべらない 山下賢二・作 中田いくみ・絵 岩崎書店』
 絵本です。読んだときの感想メモの一部です。この絵本では、小学生時代に学校ではしゃべらなかったという作者ご本人のことを絵本にされているそうです。絵本では、やましたくんについて、1年生から始まって、6年生になったころのことが書いてありました。
 つまり、6年間学校ではしゃべらなかったというような下地があります。(されど、小学校の卒業証書授与式のときにだれにも聞こえないぐらいの声で、名前を呼ばれての返事の発声はしたらしい)
 小学校を卒業して中学生になったらしゃべるようにしたそうな。しゃべらないと、おとなになったら困ります。仕事をしなければなりません。作者であるご本人は、その後、人前でもしゃべるようになられたようです。しゃべらなかった理由もありました。ネットで読みました。ここには書きません。まあ、ミステリーを含んだ推理小説のような要素もある絵本です。

 合唱部での歌の練習方法がおもしろかった。
 ハッハッハという声出しを、次のように変化させながらやるのです。
 小型犬の声、中型犬の声、大型犬の声、かなりおもしろかった。シング・シング・シング(歌え・歌え・歌え)です。
 
 ラップ、ドゥーワップ(リズミカルなハミング風なコーラス)、そして、ラブソングです。

 歌の発表会がありますが、ろう者の夫婦は、耳が聞こえないので、ステージで歌っている娘の歌声は聴こえません。
 ママが娘にお話しします。娘が生まれたとき、娘は、ろう者であって欲しかった。そうでないと、自分たち親は、娘に見捨てられると思って、さびしくなった。(ろう者であることで、生活が不便とは感じておられないのです)
 そして、娘はときに、自分もろう者であったほうが良かったと思ったことがあります。4人家族の中で、自分だけが聴こえるということで悩みます。聴こえなくても、生活していくことはできるのです。

 いい映画です。

 聴こえない世界があります。音のない世界です。
 相手の表情を一生懸命見ます。
 無音の時間帯が長い空間が映像とともに表現されました。
 (無音だったけれど)いいものを聞かせてもらいました。

 自分の思いどおりになる人生を送れる人は少ない。

 のどに指をあてて、のどの震えで、歌を理解する。

 歌唱指導の先生も良かった。生徒思いのいい先生です。

 大事なものは、『家族』です。
 歌を楽しむいい映画でした。
 ああ、映画を観たなあという気分になれました。
 失ったものもあれば、得た(えた)ものもある。毎日がそうやって過ぎていく。
 主人公の女子高生は、聴こえる世界と、聴こえない世界を行ったり来たりしている。
 いい映画でした。  

2025年05月09日

ぼくが生きてる、ふたつの世界 邦画 2024年

ぼくが生きてる、ふたつの世界 邦画 2024年(令和6年) 1時間45分 動画配信サービス

監督:呉美保(お・みぽ)
俳優:吉沢亮介(著者本人役。五十嵐大(いがらし・だい))、忍足亜希子(おしだり・あきこ。生まれつき音が聞こえない役者さんです。母親役)、今井彰人(いまい・あきと。生まれつき音が聞こえない役者さんです。父親役)、でんでん(母方祖父役)、烏丸せつこ(からすま・せつこ。母方祖母役)、ユースケ・サンタマリア(五十嵐大の勤め先で編集長役)

 原作本は読んだことがあるので、本の内容を思い出しながらの映画鑑賞です。
 『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと 五十嵐大(いがらし・だい) 幻冬舎』、2023年(令和5年)に読みました。

 映画のスタートは、無音です。
 ろう者の世界ですから、音のない世界で、主人公のお父さんが、漁船の船体にブルーの塗料を塗る作業をしています。それが、お父さんの仕事です。
 お父さんは、後天性聴覚障害者です。幼児期の病気が原因で耳が聞こえなくなりました。本にそう書いてありました。
 お母さんは、先天性聴覚障害者です。生まれつき耳が聞こえません。

 主人公である五十嵐大さんのベイビー誕生から始まって、(以下は、映画を観ているわたしの判断ですが)生後10か月ぐらい、3歳ぐらい、小学1年生ぐらい、10歳小学4年生ぐらい、中学三年生15歳、高校2年生ぐらい17歳ぐらい、高卒後、東京で就職、パチンコ店員というふうに、子役さんを変えながら成長していきます。
 途中、音が聞こえない両親とのなんだかんだ(夜泣きが母親に聞こえないとか、主人公がこどもですが、親とほかのおとなとの「通訳」の役割を果たします。本に書いてあったとおりの順番で出来事がつなげてあります。
 だんだん聴覚障害者である母親との関係がうまくいかなくなってきます。
 この映画では、母子関係に重点を置いてあります。
 周囲から奇異な目で見られるので、ろう者の母親には、小学校の授業参観には来てほしくない。
 ことに中学生になったときの反抗期は、お母さんが気の毒なほどこどもから責められます。
 学業に縁がなかった(高校入試)両親ですので、中学卒業後の進路決定とか進路相談がうまくいきません。
 将来に夢や希望をもてないこどもさんです。
 
 音のない世界がときおり表現されます。
 静かなアクションシーンです。
 『障害者の家に生まれたくなかった』(障害者でなくても、どこの家でもうまくいかない事情をかかえています)

 ろう者同士である両親の恋愛話があります。
 結婚に反対されて、駆け落ちして、結婚して、主人公が生まれた。大きな喜びがあった。
 ステキな手話の世界があります。(いいなあ)
 
 いろいろたいへんです。

 『コーダ』の説明はもっと詳しいシーンにしても良かったのではないか。
 本では、『コーダ』という言葉、存在を知った時に、著者の感動が大きかったと表現がありました。
 そこが、話の盛り上げどころだったと思うのですが、あっさりした説明で拍子抜けしました。

 ろう者の若い女子たちは元気がいい。明るい。そして、自立していて、自主的です。
 ろう者でも、自分でやれることはたくさんあります!
 障害者だからといって、同情も心配もされたくない。
 プライドがあります。人間の尊厳を傷つけないでほしい。

 5000円札が入った、お母さんからの息子を励ますお手紙には、胸が熱くなりました。

 映像を観ていたら、宮城県の塩釜あたりの架空の鉄道駅が出てきました。
 数年前に塩釜駅から歩いて15分ぐらいのところにあったお寿司屋でにぎり寿司を食べました。そのほかに注文した生ガキが大きくておいしかった。そんな、関係ないことを思い出しながら映像を観ていました。

 映画を観終えましたが、う~む。本を読んだ時のほうが、感動がありました。
 なにかしら、物足りなかった。
 本の帯には、『耳の聞こえない母が大嫌いだった。』と書いてありました。
 コーダ:耳が聞こえない・聞こえにくい親をもつこどものこと。著者の両親は、ふたりとも耳が聴こえないと本の帯に書いてありました。

CODA(コーダ):Children of Deaf Adults 聴こえない親の元で育った、聴こえるこどもたち

 本は、『いつも、ひとりぼっちだった。』から始まります。この言葉が、著者の人生の前半を占めていきます。(しめていきます。時間を埋めていく)

 著者は障害者差別に直面しています。本の47ページあたりは、人間の強さと弱さ、もろさが表現されています。自分を差別した人間を許すことで、笑顔が生れています。

 著者と同じように聴覚障害の両親をもつ同級生女子が登場します。彼女は両親の聴覚障害を隠しません。あっぱれです。

 こちらの著者は、高校をなんとか卒業されて、母親を捨てる気持ちをもちながら東京へと旅立ちます。駅での母親とのせつない別れがあります。
 思春期のころの著者にはマザーコンプレックスの気配があります。そして、心が屈折しています。母親の温情がわからないばかたれでもあります。親の気持ちは、親になってみないとわからないということはあります。
 マザーコンプレックス:母親に対する愛着と執着がつよい。

 耳が聴こえない人たちのお誕生日会があります。あっぴーあーすでぃうーゆー:ハッピバースディトゥユー 拍手を表す手話:両手を上にあげてヒラヒラさせる。(音はしません) ステキです。