2020年08月06日

おおきくなるっていうことは 中川ひろたか

おおきくなるっていうことは 中川ひろたか・文 村上康成・絵 童心社

 いいなあ。絵本のでだしです。『おおきくなるっていうことは ようふくが ちいさくなるってこと』
 『成長』に関して、いろいろ書いてあります。
 いままで、できなかったことが、できるようになるのです。
 親の喜びと、こどもの嬉しさがあります。
 やってもらっていたことを、じぶんでやれるようになるということ。
 『にゅうえんおめでとう』の文字がおどっています。この絵本は、入園とか入学時にプレゼントできる絵本です。
 おおきくなるっていうことは、じぶんの後輩ができるということ。
 じぶんより、ちいさなひとに、やさしくするようにというアドバイスがあります。
 やってみて、一回や二回、失敗したことがあっても、また挑戦することができるということ。

 1999年第一刷の絵本ですから、この絵本を読んでもらった世代はもう成人して、もしかしたら、もうお子さんがいて、パパやママになっていて、やっぱりこの絵本をこどもさんに読み聞かせしている人もいるかもしれません。絵本は『時間(とき)』を超えて、世代間をつないでいく本です。

 人間は人生の前半で、急速に変化していきます。
 おとなになってからは、体の大きさ自体はそれほど変化しません。
 そして、だんだん歳をとっていきます。
 ちびっこだった体は、やがて、おじいさん、おばあさんになっていきます。
 若いころはできていたことが、だんだんできなくなってきます。だれでもそうです。
 だんだん、としをとって、また、ちびっこのからだのようにもどっていきます。
 絵本の表紙に、『DAY BAY DAY』と英語で書いてあります。『人間は、一日、一日 おおきくなって、さいごはちいさくなって、もといた国へ戻っていくのです』  

Posted by 熊太郎 at 06:54Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2020年08月05日

だるまちゃんとかみなりちゃん 加古里子

だるまちゃんとかみなりちゃん 加古里子(かこ・さとし)さく/え 福音館

 こどもさん向けの絵本です。
 あたまに小さなツノが出ている雲の上にいるというかみなりさんのこどもと赤いだるまさんという不思議な組み合わせのペアです。
 1968年(昭和43年)初版です。手元の本には、2020年1月で第120刷とあります。
 作者の加古里子さんは、2018年に92歳で亡くなっています。わたしが以前読んだのは、「からすのパン屋さん」でした。

(1回目の本読み)
 おもに、文字を優先しながら読んでみます。
 「だるまちゃん」は地上に住む人、「かみなりちゃん」は雲の上に住む人です。
 空から浮き輪が落ちてきました。つづけて、かみなりちゃんも落ちてきました。どしん、がらがら、ぴかぴか、ごろごろです。
 浮き輪が気の枝にひっかかっています。
 だるまちゃんが、まるじ、じいじ(まごからみたおじいちゃん)のように、がんばって、ジャンプして、木にひっかかったかみなりちゃんの浮き輪をとろうとしますが、なかなかとれません。ふたちのようすは、おじいさんと孫のようです。
 じいじのだるまちゃんは、傘をとばして、浮き輪にぶつけて浮き輪を落とそうとチャレンジしました。
 ざんねーん。こんどは、かさもひっかかってしまいました。
 かみなり雲ののったかみなりちゃんのおとーさん登場です。
 まるで、浦島太郎のように、だるまちゃんは、かみなりさまの住む国へご招待されます。おもしろい。
 楽しいものがたりでした。

(2回目の本読み)
 こんどは、絵を中心にみながらページをめくってみます。
 だるまちゃんが、せなかにかみなりちゃんをのせて、ぎっこんばったんをしています。ちいさいころ、そうやってきょうだいたちと遊んだっことを思い出しました。だるまちゃんとかみなりちゃんは、なかよしです。
 こぢんまりとした絵なのですが、まずもっては、筆致(ひっち)と色合い、表情が優しい。そして、点としてはこぢんまりとしているのですが、無限の広がりがあります。
 浮き輪は、まんまるではなく、ツノの部分があります。ツノがあるかみなりさまのこどものもつ浮き輪だからだとわかります。
 11ページの絵がきれいです。ふたりの表情がしっかりしています。レインボー(虹)もきれい。
 15ページの浮き輪がとれずにうまくいかなかったシーンへの展開がおもしろい。
 18ページから19ページに広がる絵では、ひとつひとつの絵は小さいのですが、ここにも無限の広がりがあります。
 20ページと21ページの絵は、『未来都市』です。続く22ページをめくって、和洋折衷(わようせっちゅう。日本風と西洋風の様式を両方取り入れる)昭和35年ぐらいから昭和45年ぐらいの夢があった時代が思い出されます。  

Posted by 熊太郎 at 06:30Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2020年08月02日

おこだでませんように くすのきしげのり・作 石井聖岳・絵

おこだでませんように くすのきしげのり・作 石井聖岳(いしいきよたか)・絵 小学館

 タイトルは、「おこられませんように」という意味で、登場人物となる小学一年生のやんちゃ坊主くんが、たなばたのたんざくに書いた願いごとです。
 「おこだでませんように」の音の響きがユーモラスで、読み手の興味をひきつけます。

 思い出してみると、昭和40年代ぐらいまでのこどもというのは、怒られるどころか、たたかれていました。家では、親にたたかれ、そして、きょうだいにたたかれ、学校では先生にたたかれ、さらに、けんかをするとクラスメートにもたたかれていました。そして、たたかれたらたたきかえすこともありました。体罰が容認されていた時代でした。けして、それが良かったとは思いません。まあ、親や祖父母の世代も子だくさんの社会のなかで、そのように鍛えられたのでしょう。いまは、こどもの数がへりました。まけてたまるかという人間力も弱くなっているかもしれません。

 本の表紙で、主人公の「ぼく」の顔がこわい。目が大きくて、まゆ毛がつりあがって、どうみても怒っています。口は真一文字です。相手にけんかを売っています。

 読んでいると、おこられるのは、なぜなのかがわかります。
 「ぼく」は、イライラしています。なぜかというと、おかあさんをはじめとした、まわりの人たちからの愛情に飢えているからです。人は、人からやさしくされないと、人にやさしい人間になるのはむずかしい。

 小学生低学年にみえる「ぼく」は、まだ幼稚園生ぐらいに見えるいもうとにあたりちらします。
 いもうともかわいそうですが、じつは、「ぼく」もかわいそうなのです。
 これは、こどもが読む絵本ではなく、親が読む絵本です。

 相手がいやがることをするから、おとなから怒られます。
 いわゆる迷惑行為があります。
 らんぼうでもあります。
 かまってほしいから、あいてがいやがることをするということはあります。
 
 「ぼく」へのアドバイスです。
 ほめる。おだてる。ごまをする。じぶんがいい思いをするために種をまきましょう。
 なのに、おかあさんには、「きれいだね」といえばいいのに、「おこると、しわが、ふえるで」と言ってしまいます。
 だから、「ぼく」は、おこられて、孤独になっていきます。

 たなばたのたんざくにかいたおねがいごとのひらがなもじは、いちぶが、かがみ文字になっています。机の上に置いてあるけしごむも、ちぎれたような、けしごむです。ものは、ていねいにあつかいましょう。
 それから、言いたいことがあったら、ちゃんと声に出して、相手に言いましょう。言わないと伝わりません。

 さいごは、心があったかくなるいいお話でした。

 思い出してみると、こどものころ、親にほめられたことがありません。
 あのころの日本には、こどもは、ほめるものではないというような下向きの風潮がありました。  

Posted by 熊太郎 at 06:25Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2020年07月26日

友だち幻想 人と人の<つながり>を考える 菅野仁

友だち幻想 人と人の<つながり>を考える 菅野仁(かんの・ひとし) ちくまプリマ―新書

 著者は2016年56歳のときに癌で亡くなっています。亡くなった方が残したメッセージです。かみしめながら読んでみます。この本の初版は、2008年です。
 内容は、高校生向けが基本で、あとは、親御(おやご)さんとか学校の先生向けのように感じます。
 
 これからの友だちづくりについて書いてあります。
 年齢を重ねて、勤労生活の現役を引退すると、終活ということで、人間関係の整理が始まります。人生の時期によって、人とのつながりのつくりかたが異なると気づきながら読み始めました。

 友だち関係というものは、二面性があると思っています。お互いに、いいこともあるし、いやなこともあります。いやなこともふくめて、受け入れることができる相手が「友だち」だと思っています。

 友だちが多いこと=いいことだと、思いこまないほうがいい。自分は友だちだと思っていても、相手は自分を友だちだと思っていないことはよくあります。
 うわべだけの仲良しこよしもよくあることです。やばいことになったとき、たいていの他人はパーっと離れていきます。そのときそばにいてくれるのが友だちです。

 この本に書いてある幸福感を得るためのモメント:きっかけ、契機として、
1 自己充実:自分のやりたいことがかなう。
2 他者との交流:親子、恋人、友人との交流。他者からほめられる。

 読みながら人について考えています。地球上にはたくさんの人がいますが、自分が関わりをもつ人の数は限られています。
 大半の人とは、なんのつながりもできません。つながりがあると、縁があるという表現をします。
1 お金のやりとりをするつながり
2 血縁関係、姻族関係の親族、地縁のつながり
3 愛情のつながり。恋人、夫婦
4 気持ちのつながり。趣味、スポーツ活動など。
5 病気つながり。体の病気、心の病気など。

 本に書いてあることとして、人が集まって話をしているシーンがあります。仲が良くて話をしているのではなく、そこにいないと自分の悪口を言われるからそこにいるという意識があるそうです。あたっています。

 SNSの話が出てきますが、この本が書かれたのは、2008年ごろなので、「LINEライン」の話ではなく、電子メールの話になっています。「即レス」が愛情・友情をはかる基準になってしまっていて、苦痛の発生源になっているとあります。同様に「既読」のサインが出るラインはいじめの素材になることもあります。「既読」にしない「無視」があります。仲間はずれがあるようです。どうしても必要でなければ、やらないほうがいい。この本では、『同調圧力』という言葉で表現されています。

 本に記述があるように、人間関係のつくりが、昭和時代の昔(昭和40年代ごろまで)と現在ではすっかり変わってしまいました。180度の転換です。昔は、いけないといわれていたことが、いまは当然やっていいし、むかしはいいことだとされたことが、今では禁止になったりしています。喫煙とか、酒の席での大騒ぎとかセクハラとかパワハラとか、しかたがないこととして昔はあきらめられていました。
 もしかしたら、昔は、本当の「友情」があったのかもしれません。返済できないのなら貸した金は返してもらわなくてもいいとか、世話になったから、あいつがやった罪を代わりに自分がかぶってやるとか。一方的ではなく、お互いに迷惑をかけあってつくられた固い絆(きずな)のような信頼関係は確かにありました。
 
 テレビでは、「ワンチーム」と強調しますが、この本では、昔はそうはできたかもしれないが、1980年代以降の社会においては、「同質性共同性」には無理があり、そうできない人間の心は破たんするというような趣旨で分析があります。
 「ワンチーム」は、無理なときもあるのです。メンバーのうちのひとりが、そうできないからといって、思いつめて悩んで心の病気になって、自殺したらもともこもありません。

 生きのびるための心構えとしての紹介があります。
『気に入らない相手とも、お互い傷つけあわない形で、ともに時間と空間をとりあえず共有できる作法』を身につける。
『やりすごす』
『距離をおいてぶつからないようにする』
『自分は自分、人は人』

ルサンチマン:弱者の強者に対する感情。うらみ、反感、嫉妬(しっと)、憤り(いきどおり)、非難

 つながりの形態として、あわせて、相手との距離のとりかたについて、
「ルール関係」共存のためにお互いに守らなければならないルールをもつ。こういうことをやってはいけない。いじめを起こさないためにはこれを徹底する。「みんなと仲良くしなければならない」というルールはない。仲が良くても良くなくてもとりあえず共存できるルールをつくる。気に入らない上司や部下がいても適当な距離感をもって共存していくしかない。「ルールがあるところに『自由』がある」と力説されています。
「フィーリング共有関係」小学一年生になったら、友だち100人できるかなみたいな関係。同じノリでがんばっていこうという呼びかけ。人間の標準化があります。これだけだと、いじめが発生する。みんな仲良くは無理。あわせて、なれあいでは、立派でしっかりとした組織目標を達成することはできないとあります。

 だれかをいじめると自分がいじめられる。立場が逆転するリスク(危険性)がある。だれかをいじめる行為は、将来、自分がいじめられる要素を自分でつくっていることになる。

 印象に残ったいろいろな言葉、文節として、本のカバーや帯に書いてあったことも含めて、
重圧:じゅうあつ。プレッシャー
間合い:まあい。適当な距離
「誰とも付き合わず、一人で生きる」
「ある程度社会経験を重ねれば、のらりくらりとかわせる」
気の合わない人とでも一緒にいなければならないときもあるから、そのときの作法を身につけておく。
「気に入らない人とも並存する」そのためには、最低限のあいさつだけは欠かさないようにする。自然に敬遠するつもりでやる。敬遠:野球のファーボール。一塁を与える。
生徒の記憶に残らない教師像でいい。ドラマや映画の教師像はドラマや映画のなかだけのものです。一般的に、現実には、過剰な精神的関与や信念の押しつけはしないとあります。
教師に人格の高い高邁な資質を求めない。(こうまい:ぬきんでている能力をもつ)
親子は、他者性ゼロからスタートして、だんだん離れていって、他者性を認め合うようになるのが理想というような考察
(こどもには)無限の可能性があるが、限界もある。
自分のことをまるごと受け入れてくれる人間はいない。
人は、どれだけ親しくなっても他者なんだということを意識したうえで信頼関係をつくる。
恋愛は幻想。自分のことをすべてきいてくれる王子様はいない。

 後半部には、言葉づかいのことが書いてあり同感です。明確に否定してあって気持ちがいい。
 どこでそういう言葉を覚えてきて使うのかわかりませんが、本人にとってもよくないことです。おとななのに幼児のようです。自分で、相手との信頼関係を築くチャンスを失います。
「ムカツク」「うざい」「ていうか。てゆうか」「はぁ?」
 こういう言葉をぶつけられたら、もう、その人とは会話を続けたくなくなります。いずれも相手を攻撃する言葉です。

 すべての人とは仲良くはなれません。読み手である自分が考える友だちにしたくない、いやな相手のパターンとして、
親切そうに近づいてきて、情報を聞きだして、周囲に言いふらして、ばかにしたり、いちゃもんをつけたりして楽しむ人
自分がやるべき仕事や作業を、人にやらせるように話をもっていく人
人を人と思わず、将棋の駒のように思って、人を動かして策略を巡らすことを楽しむ人
当事者ではないのに、自分が窓口になるからと、代理人になりたがる人
口から出てくる言葉がすべて嘘の人。瞬間的につじつまの合う嘘がつける人

 なんとかがまんできるタイプとして、
同じ話を何度もくりかえしてする人(あまりくどいと、もうなんども聞きましたと話します。そうするとその話はもう話さなくなります。きっと同じ内容をだれかれなしにみんなに話しているのでしょう。自慢話のときがおおい)
「どうするの、どうするの」を連発する人。自分のことは、自分の頭で考えて、判断して、決断して、実行して、責任を負ってほしい。あとから、アドバイスをした人間に対して、あのとき、あなたが、ああいったから、こんなことになってしまったと責めないでほしい。
人の幸せをねたむ人、人の不幸を喜ぶ人
物やお金を借りて返さない人
相手をばかにしたり、みくだしたり、自分と比較して、自分をよくみせようとする人
人が話している話の内容を奪って、自分の場合に変えて話す人
しゃべらない人。反論しないで黙っているから容認してくれたと思っていたら、陰で悪口を言う人
自分が言ったことで、相手が負担を負うことに気づけない人
権限も責任もないのに取り仕切る人
会話が否定から始まる人
とにかくがんこで、気が短い人
裏表がある人。裏では悪口を言って、表ではおだてる人
えこひいきをする人
いじめをする人

 最後半部で著者が、100年前に書かれた今は亡き本の作者と対話できるのが読書のよいところですと記しています。リレーのバトンを渡してもらうように、今回は、数年前に亡くなった著者が残したメッセージをこの本で読むことができました。感謝します。  

Posted by 熊太郎 at 07:34Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2020年07月25日

本当の「頭のよさ」ってなんだろう? 斎藤孝

本当の「頭のよさ」ってなんだろう? 勉強と人生に役立つ、一生使えるものの考え方 斎藤孝 誠文堂新光社

 本屋さんで手にして、知りたい興味を満たしてくれるかもしれないと期待して読み始めました。2ページにある『脳の状態』というところにひかれるものがありました。
 ただ、34ページまで読んだところですが、期待はずれにおわるかもしれません。

 小中学生向けの本です。中学受験をする予定の小学生向けという一面もあります。
 ここまで読んで、『なになにすべき』という標準化をめざす本の内容だと感じています。無難な人生をおくるための人間の標準化です。
 この世は広い。脳は人間の数だけある。同じものを見ていても、それぞれの脳の中では違って見えているという自分の意見をもっています。だから、よく言葉をかわさなければ、お互いの意思疎通ができないと考えています。
 この本の内容は、一部の人たち向けの内容になっていると感じながら読んでいます。この世は広いです。全面的に取り入れるのではなく、参考にすることを考えながら読む本です。

 フレーズとして、共感した部分は、『脳のよしあしをほかの人と比較しても意味がない。とりかえることはできない』

 本にもあるとおり、『勉強ができる』ことと『社会に適応できる』ことは違います。
 学校で、勉強はできたのに、社会に出てきて不可解な言動や奇妙な行動をする若者がいます。喜怒哀楽の表情がなかったり、周囲の人と日常会話ができなかったり、自分の思いどおりにならないと机やイスをけったり、あいさつはしない、意思表示をしない、そういう人がいます。きっと、学校で無理をしてきたのだと思います。やりたくもないことをがまんしてやって、脳が悲鳴をあげたのです。
 世の中に出てみて、社会には、五体満足で、口も達者なのに、働けない人がいるということがわかりました。だからといって、その人の人格を否定することはできません。ただ、距離を置くことにはなります。

 この本では、『社会的適応性』を重視すると書いてありますので、そのことに着目して読み続けてみます。

 ことは単純で、『自分のことは自分でやる』が柱なのですが、だれかのご機嫌をとるために、だれかの言うとおりにロボットみたいに生活してきた(たとえば親のために)というパターンは危険です。いやなことはいやだとしっかり言えるようになったほうが、自分の心身を守れます。
 自分で自分をコントロールできるようになる。そのために勉強をすると思いたい。

 年収に関する記述は全面的にOKとは思えません。『大卒のほうが、生涯年収が有利』とあります。生涯獲得収入というものは、就労連続継続期間で増えていくものです。中卒でも、高卒でも、無職の期間がまったくなく、歳をとって働けなくなる時期まで働き続ければ、毎月の収入は少なくても全体では相当な額に達することができます。さらに老後は年金が重なります。きちんと年金保険料を納めておけば、長生きすればするほど生涯獲得収入は、うわのせになります。
 
 文章というよりも話したことを録音してテープ起こしをしてあるような文脈です。講演会の台本のようでもあります。

 いまは、サラリーマン世界では、役職につきたくない人が増えているような気がします。むかしあった秩序は乱れています。お金や名誉よりも心身の健康や時間のゆとりを求めている心理があります。豊かさはむかし財力でしたが、いまは、多方面へ労働者の顔が向いています。

 高学歴をめざす小中学生が読む本です。
 学校でいい子でいなさいと勧める本のようでもあります。
 
 とりあえず生きていればいい。
 学校重視はあまり意味がありません。
 社会に出ると学校でなにがあったかは問題になりません。異端児みたいだった生徒が、社会に出てスターになることもあります。

 教科は、『考え方の手法』を学ぶため、それから、学校は先生も含めて、いろんな人間を見る場所という趣旨には共感します。

 『読書』について書いてあります。かなりのページ数が使われています。人それぞれかなと思う面もあります。それぞれがなにかに夢中になれればそれでいいと思います。

 『こども孫子の兵法』というこどもさん向けの著者の本は読んだことがあります。勝負においての勝ち方が書いてありました。意外だったのは、「孫子」は人名ではなく、書いたのは孫武という人だということでした。2400年前のお話です。
 画期的な勝利法が書いてあるわけではありません。負けないための準備をする。効率優先、安全第一、精神論よりも科学です。
 無難な道を選択して、安全と安心を確保します。そういう点では、刺激の少ないおもしろみのない本という面もありました。いま読んでいるこの本にもあるとおり、「逃げてもいい」のです。相手の戦法を予測して、勝てないという結論が出たら、とりあえず逃げて、次は勝てるように準備するのです。

 本を読むのはいいのですが、いいことが書いてあっても、記憶の引き出しの容量が決まっていて、引き出しに入らなくなると忘れてしまうのです。だから、『記録』しておいたほうがいいのです。
 わたしは、読書メモを残していますが、先日は、ホタルのおしりはなぜ光るかということが気になり、以前、本で読んだのですが、忘れてしまっており、記録をさがしました。ありました。蛍は体そのものが光る。発光の役割として、「求愛行為」オスもメスも光を出し合ってカップルをつくる。次の役割が、光る生物は食べてもおいしくない」とアピールする。自分の命を守る行為。そして、ホタルイカだと敵の視界をふさぐための「めくらまし」、アンコウだと、「えさをおびきよせる」と記録してありました。

 調べた言葉として、
シナプス:情報伝達のための接触構造
ウズベキスタン:カスピ海の東にある中央アジアの国。人口約3,200万人。旧ソビエト連邦の一員

 例示が、ここ最近生まれた、いまどきのこどもさんには、古いような気がしました。カフカの『変身』、芥川龍之介の『蜘蛛の糸(くものいと)』、マンガのなかにあるナポレオンのコメント『余の辞書に不可能はない(よのじしょにふかのうはない)』、司馬遼太郎「竜馬がゆく」、宮沢賢治「虔十公園(けんじゅうこうえん)」

 共感した部分として、
「好きなものがあれば、この世は楽しい」
「友だちとは、好きなものについて楽しく語り合える人」

 気の合わない人とは無理をして、仲良くする必要はありません。それでも最低限、相手の足を引っ張らないようにしておきたい。

 200ページにあるウズベキスタン人のバスの話と217ページにあるマンガのシーンが関連づけてありますが、趣旨が異なるような気がしました。

 206ページから207ページを読んでいた時に、「人間はロボットじゃない。よくもわるくも、一番大事なことは、『死なないこと』」と考えながら、次の208ページをめくったら、太い文字で、『自分をおいつめない、絶対に死んではいけない』と出てきたので共感しました。
 昔からいわれていることですが、死にたくなったら、いったん仕事をやめるか、仕事を休んで休憩すればいいのです。恥をかくことを恐れることはありません。仕事というものは、デビューも引退も、引退後の復帰も自己申告のようなものです。いつでも辞められるし、いつでも復帰することができます。
 身近な人が自殺すると、そばにいた人の気持ちはかなりへこみます。「どうして」とか、「なぜ」が頭の中に充満して悩みます。

 『おわりに』の部分はいらなかったと思います。しつこかったです。どうしても入れたいのなら本文の枠組みのなかに入れてほしかった。一般的に、『おわりに』は、長文を書き終えて自分はやりとげたという書いた人の自己満足です。読み手は、いったん終わったものと思っていますので、深い意味合いの重たい文章が続くと疲れます。言いたいことは本文のなかで終わらせてほしい。『おわりに』は、出版にあたっての関係者への謝辞程度にして結んでほしい。  

Posted by 熊太郎 at 06:29Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2020年07月24日

時代の流れが図解でわかる! 早わかり日本史 河合敦

時代の流れが図解でわかる! 早わかり日本史 河合敦 日本実業出版社

 前回読んだ「日本を変えた50の事件(小学5年生向け学習参考書の付録)」同様、読みたい本が手元になくなったので、クローゼットをごそごそ探していたら出てきて、最近歴史に興味が湧いてきているので読んでみます。これもまた20年以上前の本です。

 1997年の日付で、著者のコメントが出ています。高校の歴史の先生とあります。
 テレビにも出演されている方のようです。
 全部を丁寧に読むのではなく、興味をもったところに着目しながら流すように読んでみます。

第1章 日本文化のはじまり -縄文から弥生時代へ
 狩猟中心の洞窟・穴倉移動生活が数十万年も続いていた。それまでは、食料を分かち合い、平等に暮らしていた。
 稲作によって平等が崩れた。食料の備蓄ができるようになった。よい田をもつ者ともたない者が生まれた。貧富の格差が生まれた。他人の収穫物や土地、労働力を奪う人間が現れた。戦争が始まり、勝ったものが支配者、負けた者が、奴隷となった。弥生時代が始まった。人間の『欲』の誕生です。ドラマチックでもあります。
 記事にある、青森県の三内丸山遺跡(さんないまるやまいせき。約5900年前から4200年前の生活跡がわかる)には行ったことがあります。そのときのことを思い出しながら文章を読みました。

57年:金印『漢委奴国王印(かんのわのなのこくおういん)福岡県志賀島で1784年発見されたという説あり。江戸時代「天明」黒田藩所蔵』後漢の光武帝から倭国王へプレゼント。日本は島国といえども、大昔から、船旅で諸国と交流があったのでしょう。江戸時代の鎖国のイメージが強いので、つい日本は単体でやってきたというイメージが付いてしまっています。
 治安のことが書いてありますが、この本の248ページにタウンゼントハリス(外交官。日米修好通商条約締結)が、この時代の日本は治安が良く、人々は平等で、平和に暮らしているとあります。ほかの当時日本を訪れた外国人が書いた本でも、他国では、支配者が豪華な宮殿に住みぜいたくな暮らしをしているが、日本の武士は、質素な暮らしをしている。驚きだと記してありました。また、身分制度はあるものの、実体としては、上下関係はきついものではなく、みんな仲良く暮らしているとありました。日本人として誇れることだと思います。

239年:邪馬台国の卑弥呼登場(やまたいこくの女王ひみこ)魏(ぎ)に使いを送った。

第2章 律令国家の誕生 -大和政権から奈良・平安の時代へ
 なんだか、『対立』ばかりです。
 中央集権化を図るために大和政権が『仏教』を取り入れて、うまくいったと思ったら、僧侶が政権をとろうとする。そして、武士が登場して僧侶を殺し、寺院を焼き払う。
 目標は、天皇を中心とした国家をつくることです。
聖徳太子:574年-622年 593年から、推古天皇(554年-628年。女帝)の摂政 冠位十二階、十七条憲法
桓武天皇:737年-806年。794年に平安京への遷都
 
 興味が湧いて調べたこととして、日本人の平均寿命の変遷
奈良・平安時代:30代
鎌倉時代:20代
室町時代:10代
安土・桃山時代:30代
江戸時代:30代~40代
明治・大正時代:40代
昭和時代の戦後:60代~70代
むかしはこどもさんの死亡率が高かったので、正確ではない部分もあるでしょう。

 気になったところをつなげてみます。
 聖徳太子は、蘇我馬子をよくは思っていなかった。聖徳太子は天皇の家系だったが、豪族の蘇我馬子は、自分が天皇のようになって権力をふるおうとしていた。
 聖徳太子は、蘇我馬子の武力が強いので、表立って、蘇我馬子を攻撃することができなかった。
 聖徳太子は「冠位十二階」と「十七条憲法」で蘇我氏の勢力を抑えた。
 聖徳太子は、622年に亡くなり、蘇我馬子は626年に亡くなった。蘇我馬子の子が蘇我蝦夷(そがのえみし)で、その子が、蘇我入鹿(そがのいるか)
 聖徳太子の息子山背大兄王(やましろのおおえのおう)が蘇我入鹿の陰謀で643年に自殺させられた。
 中臣鎌足(なかとみのかまたり)と中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)が、豪族の蘇我氏を政治から排除するために、645年に蘇我入鹿を暗殺した。翌日、蘇我蝦夷は自害した。これを大化改新という。
 中大兄皇子は、天智天皇になった。天智天皇の同母弟の大海人皇子(おおあまのみこ)が皇位後継者だったのに、天智天皇は、自分の息子大友皇子を後継者にした。大海人皇子は、自分が殺されるかもしれないと思い、奈良県吉野へ逃げた。671年に天智天皇が死去した。大海人皇子は挙兵して大友皇子と戦い勝利した。これを壬申の乱という。勝利した大海人皇子は、天武天皇となった。
平安時代 平将門の乱 935年から940年 武士による関東の独立国家をめざした。本人は討ち死にした。

 平安時代の文化として、『平泉文化』 中尊寺金色堂
 以前見学したことがあります。仏像というよりも、美術品に見えました。

第3章 武士が主導する時代 -鎌倉幕府の誕生から室町へ
 国家の支配者が、『公家(くげ。朝廷の貴族)』から『武士』に変わります。『庶民(国民)』になるのは、まだ先、明治時代からのことです。武士の時代が700年間ぐらい続くと書いてあります。武力のもとにある日常生活です。

後鳥羽上皇:ごとばじょうこう。1180年-1239年。1221年に、公家対武士で、鎌倉幕府の北条義時を相手に承久の乱を起こすが敗北して、島根県隠岐島(おきしま)に流され生涯を終える。鎌倉幕府にいた源頼朝の妻北条政子が尼将軍として手腕をふるい武士が公家に勝利した。後鳥羽上皇は武力をもった公家であった。わかりやすかったです。

元寇:鎌倉時代の出来事。中国大陸を当時支配していた『元』の皇帝フビライが鎌倉幕府に服従を要求してきたので戦った。鎌倉幕府側は、執権北条時宗
1274年文永の役:元軍3万2000人が博多に上陸したが、夜、船に戻ったときに、暴風雨となり元軍は敗退した。
1281年弘安の役:元軍14万人 台風で元軍は壊滅した。
なんと、運が良かったことでしょう。

御家人:鎌倉時代にあっては、将軍直属の武士

後醍醐天皇:ごだいごてんのう。1288年-1339年 1333年鎌倉幕府滅亡の役割を果たした当時の天皇。のちに足利尊氏と対立して、奈良県の吉野に南朝をつくり、南北朝時代が始まる。この当時の武士として、足利尊氏、楠木正成、新田義貞

応仁の乱:1467年-1478年 11年間続いて、その後、戦国時代へ
 室町幕府時代。1467年に京都に25万人の軍勢が集まって、西軍、東軍に分かれて戦った。
 原因:室町幕府八代将軍足利義政・日野富子夫婦の対立。日野富子にこどもができなかったので、足利義政は自分の弟の足利義視(あしかが・よしみ)を後継者に選定した。ところが、その後、日野富子が妊娠出産して、男児の足利義尚(あしかが・よしひさ)を産み、彼を後継者にしたくなったので、幕府の実力者であった山名持豊(やまな・もちとよ)に相談した。これに対して、夫の足利義政は、政治的に無能な人間だった。事態を収拾できず。
 後継者争いが原因の戦(いくさ)ばかりです。兄弟は敵、叔父甥も敵です。

第4章 日本統一と太平の時代 -戦国時代を経て江戸幕府へ
 江戸幕府が長続きした理由として、「人間が平和を望む動物だから」には賛同します。100年ぐらい戦が続いて、みんな疲れ果てたのです。多少のことはがまんしても、『平和』がいいのです。
1582年:本能寺の変
1590年:豊臣秀吉が天下統一
16世紀後半:安土・桃山文化
1600年:関ケ原の戦い
1603年:江戸幕府開設
1614年:大坂冬の陣
1615年:大坂夏の陣
1637年:島原の乱
1646年-1709年:五代将軍徳川綱吉 生類憐みの令
17世紀なかばから18世紀初め:元禄文化
1701年:忠臣蔵事件
1716年:享保の改革 八代将軍 徳川吉宗 目安箱 倹約令
1730年-1801本居宣長
1787年:寛政の改革 田沼政治のあと、老中松平定信が幕府を引き締める。
1796年-1866年:ドイツ人医師シーボルト。1830年まで日本にいた。
18世紀末から19世紀初め:化政文化
1841年:天保の改革 老中水野忠邦

第5章 近代化する日本 -明治維新から太平洋戦争へ
政党政治
 自由党:党首 板垣退助 1881年(明治14年) 士族と農民が基盤
 立憲改進党:党首 大隈重信 1882年(明治15年) 資本家と知識階級
 立憲帝政党:党首 福地源一郎 1882年(明治14年) 官僚と軍人

 1941年(昭和16年)に政党は、『大政翼賛会』に統一される。

 選挙:1919年(大正8年)までは、年齢25歳以上、納税額(10円以上、3円以上)、男子のみだった。1925年(大正14年)納税要件撤廃、1945年(昭和20年)女性が選挙権を得た。

 ヨーロッパ諸国、フランス、イギリス、ドイツの制度の模倣
 
 1914年7月28日(大正3年)-1918年11月11日(大正7年)に第一次世界大戦

 1941年12月8日真珠湾攻撃で第二次世界大戦参戦
 1942年6月ミッドウェー海戦大敗北で敗戦へ向かう。日本軍の勢いがよかったのは、開戦からわずか半年間ぐらいだったようです。
 1943年、ガダルカナル島撤退
 1944年7月、サイパン島陥落
 日本本土への空襲激化
 1945年6月23日、米軍沖縄上陸、日本軍全滅
 1945年8月、原子爆弾投下、終戦

 朝鮮戦争:1950年(昭和25年)-1953年(昭和28年) 韓国(米国、英国支援)対北朝鮮(中国、ソ連支援)


*びっしりと情報が詰められている本ですので、なんども読み返しながら楽しんでみます。  

Posted by 熊太郎 at 06:50Comments(0)TrackBack(0)読書感想文