過去記事

2018年01月17日

授乳 村田紗耶香

授乳 村田紗耶香 講談社文庫

「授乳」
 まだ、読み終えていませんが、感想を書き始めてみます。
 新しい世界です。新鮮です。
 家庭教師と女子中学生直子の関係があります。中学生は下品で、家庭教師男子28歳はひ弱です。母親は神経質です。血液型A型のお母さんです。きちょうめん。母は父を軽蔑している。
 音へのこだわりがあります。家庭教師の足音です。
 ひ弱な家庭教師にはぞっとさせられます。彼は、リストカットの常習者です。

 思い浮かぶのは、「不幸を背負った女」。それは、母親です。

 なんだか、女性が、汚く描いてあります。だけど、珍しい。おもしろい。

(つづく)

 ポルノではありません。独特です。
 書中の言葉を借りると、無機質、味気ない。それから、腐った女。

 ルーズソックス。見なくなりました。

 主旨(主題)はわからない。しかし、いい感覚が読後に残る。

「コイビト」
 ポルノっぽい。流し読みです。ポルノではない。
 動物(ハムスター)との性行為に似た行為。動物にはカタカナで、ホシオという名前が付いている。発想がすごいなァ。

 印象に残ったセリフとして、「お姉さんて、なんでもめんどくさいんだねえ」

 社会とか、周囲の人間とかと、交流できない、適応障害の人が書いたような内容です。

「御伽の部屋」(おとぎのへや)
 タイトルの字が読めなかったので調べました。御伽:貴人の話し相手をする。
 毛が好きな作家さんです。
 22歳の佐々木ゆきが主人公で、彼女と男女の関係をするのが、関口要二22歳です。ふたりとも大学生です。

 そこにもうひとつのお話が出てきて、並行して同時進行していきます。
 こどもの話です。女装する正男君が登場します。ふたつの物語は、交互に現れ、不思議感をかもしだします。いろんな人がいます。奇異です。カタカナ文字の連続に読み手が圧倒される時間帯があります。

 登場人物は人間ではなく、綿(わた)の入った人形ばかりに思えました。独特な世界観の中で作者は創作活動をしています。いいも悪いもありません。好きか、嫌いかです。わたしは、80%ぐらい好きです。あとは、気持ち悪いです。  

Posted by 熊太郎 at 14:20Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2018年01月15日

殺人出産 村田紗耶香

殺人出産 村田紗耶香 講談社文庫

 「コンビニ人間」の著者である。くわばたりえさんの子育て本からこの物語につながった。不気味なつながり方でくわばたさんには申し訳ないが、しかたがない。本屋の中を歩いていたら、この本にぶちあたってしまった。

 短編4本です。

「殺人出産」
 半分ぐらいのページ数を読んだところです。すごいなァ。
 怖さを与えてくれる才能があります。魅力があります。

 100年後の日本です。少子化です。
 10人のこどもを産むと、1人の人間を殺せます。恨み、憎しみの対象としてのひとりです。
 女性も男性も子どもを産むことができますが、人工授精です。男子の場合は人口子宮がとりつけられます。

(つづく)

 100年後これだけ世界が変化すると、「盆正月」というものはないと思うのですが、書中ではあります。まあ、なんでもありの世界です。

 だれかを殺すという強い思いがあります。
 10人産むのに20年間ぐらいかかる。
 20年間は、特定のだれかを殺したいと思い続ける。
 生まれながらに殺人をしたい衝動をもつ姉がいる。

 殺人を肯定するオソロシイ未来社会です。
 女性の裏社会でもあります。

 書き言葉は明瞭でわかりやすい。

(つづく)

 読み終えました。
 文才ある文章と独特の世界観です。恐れ入りました。たいしたものです。

 うまいなあと思った部分です。「殺人出産システム」、「恋愛とセックスは別、種の保存法も別」、
「殺したいなあ」、「体温の高い手」、「殺人シーンはグロテスク」

 終わり方はこういう終わり方か、うまくできていると感心しました。「愛」があります。


つづけて、他の短編の感想も付記します。

「トリプル」
 すごい発想です。常に未来志向で、未来にはなんでもあるのです。
 カップルではなく、トリプルで交際するのです。
 良かった表現として、「私は、傍観者ではなく参加者になった」
 不道徳、倫理無視のようで、そうではない。未来のルールにのっとっているし、節度もある。(ゆきすぎない。)

 どうなんだろう。作者は虐待でも受けていたのだろうか。そして、パワフルです。なにか、満たされないものがあって、想像がふくらんでいく。

調べた言葉として、「タピオカ:でんぷん」

「清潔な結婚」
 これもまた、100年後のことです。
 繁殖するのにすることをしないのです。
 人工授精ばかりのお話です。
 行為は、こっけいでもあります。(滑稽:笑い、突然に起こるような笑い)
 
「余命」
 わたしは好みです。
 未来、死がない。人は死なないのです。だから、自死を選択します。
 4ページと2行しかありません。短いけれど、中身は濃い。  

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2018年01月14日

ママの涙 くわばたりえ

ママの涙 くわばたりえ 主婦の友社

 NHK教育テレビ、夜9時ぐらいの番組で見かけます。うちは、孫たちがいるので、見ています。

 本は、タイトルどおり、少し湿っぽいかな。
 がんばって子育てです。
 せつなくなるときもあります。

 3人のお子さんを、隊長、福隊長、笑隊長とニックネームをつけて、自分をメガネママと位置づけ、わかりやすく記してあります。

 こどもさんへの愛情が満載の本です。
 
 だんなさんも立てて、ちょっと、優等生すぎる内容ではあります。

 ブログを本にしてある風です。忙しいママさんのためには、少量の文章でいい。

 おおむねこどもさんひとりあたり10年間の子育てです。それを過ぎると楽になります。
 たいへんだけど、喜びも多い10年間です。明るくいきましょう。

 保育園に預けることに罪悪を感じる必要はありません。
 人にもまれて育って強くならねばなりません。大丈夫です。
 子どもが泣くのは最初だけです。
 
 赤ちゃんがいると夜中寝られないのはあたりまえです。寝られないことが習慣になります。体験してみて初めてわかることです。でも、夜泣きは永久に続くわけではありません。そのうちやみます。数年たつとそんなことがあったことも忘れます。

 人間って、うんこに始まり、うんこに終わる(介護で)と妙に納得しました。

 健康が一番

 虐待とか、避けたいなあ。読んでいてつぶやくのは、「もっと、おおらかに」。手抜きでいい。

 アドバイスがたくさん載っています。

 「まわりの子と比べるのではなく、1か月まえの我が子と比べる」は名言です。  

Posted by 熊太郎 at 06:14Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2018年01月13日

夫の後始末 曽野綾子

夫の後始末 曽野綾子 講談社

 老化のお話です。

 夫は、三浦朱門氏、昨年2月3日、91歳で亡くなっています。

 著者の奥さんは、85歳です。お元気です。文章はめりはりきいて、きびきびと、頭はっきり、気持ちしっかりされています。

 自宅で看取る(死を迎える)お話です。

 50年前にバリアフリーな間取りの家を建てられたことはすばらしい。

 認知症だったとあります。まだ、30ページ付近なので、このあと、感想を継ぎ足します。

(つづく)

 介護される人間にとっては、寝かされているスペースが全世界である。自分自身の入院経験を振り返るとそのとおりだとうなずきました。
 読書好きで、2mのLEDの灯りを用意した。読書好きも自分と似通っています。

 著者の介護に関する豊富なアイデアが次々と出てきます。良書です。
 耳がきこえなくなるとボケが早く来る。
 寝床のそばに、ソファーが役立つ。
 
 驚いたこととして、著者は子どもの頃、家庭内暴力を体験していた。
 アフリカの救急車は、高額か、そもそもない。だから老人はいない。

 自己満足のための一方的な奉仕活動は迷惑というのはうなずけます。

 結果的に万引きと思われてしまう行為をする認知症高齢者のために親族が店にお金を預けておく。ああ、そういうことってあるのだ。

 いろいろな実話、実例、アイデア満載の良書でした。

良かった表現です。「人生は、善悪明暗が混然としている」、「老人は先がない」、「老後はケチな経済観念で暮らさなければならないという趣旨」、「作家の資質:運・鈍・根」、「変化のない人生はない」、「体力と釣り合った暮らしをする」、「会話大事(押し黙らない)」、「自分でできることは自分でやらせる」、「世の中は万事思い通りにならない」、「万事が道徳的、人道的になって、つまらなくなった」、「救急車で運ばれて9日間であの世の人となった(91歳という年齢を考えると延命治療は考える)。末期医療の看護を受けた。」、「立春(告別式が)」

調べた言葉です。「変性:性質が変わる」、「悔悟かいご:自分のしたかったことを悪かったと悟り反省する」、「中間宿主:寄生虫の複数の宿主のうち、途中経過で宿主にするもの」、「ER:救急室」、「喧伝けんでん:盛んに言いふらして宣伝する」、「人為的死:安楽死」  

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2018年01月11日

芸能界蛭子目線 蛭子能収

芸能界蛭子目線 蛭子能収(えびす・よしかず) 竹書房

2015年4月発行のマンガ含みの本です。
今読むとしみじみします。複雑な気持ちにもなります。
路線バスの旅は終わりました。
この本では、太川さんの奥さんも登場します。

マンガの絵はうまくない。(ヘタとは言いにくい)
その点で、漫画家志望の人には希望を与えてくれる絵です。

記事は、今となっては過ぎたことです。
(現在がどんどん過去になっていきます。)

筆者の写真は、どこにでもいるくたびれたおじさんの姿です。
その点で、平均的な日本人です。
罪のない善人の顔立ちです。
芸能界に染まらない中途半端な位置にいる人です。(後半の孤独感は、冷たく、でも事実として、よく伝わってきました。)

バス旅で歩いて体重10kg減の話が良かった。
太川さんとの行動比較話も良かった。
仕事の内容がだんだん低次元のものになっていく。下り坂を落ちている感じというのが良かった。
セリフ「わたしは無力である」が良かった。
経済的な余裕がないと卑屈になるお話しも良かった。

印象に残ったのは「NHKは王様」

ひな壇の芸人は楽屋では疲れ切っている。
芸能人は、チヤホヤされるか、けなされるかのどちらかひとつとあります。どちらも生きにくい。

夜の付き合いは、キツク、オソロシイ。朝帰りばかりです。
有名になってお金持ちになるって何なのだろう。失うものも大きい。

芸能界の裏話がおもしろかったり、悲しかったりします。

そうか、そうだなと、思わせてくれる1冊でした。  

Posted by 熊太郎 at 18:25Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2018年01月10日

(再読))ふなふな船橋 吉本ばなな

(再読))ふなふな船橋 吉本ばなな 朝日新聞出版

 つらい出だしです。父母離婚、父失踪、母再婚、自分は、母親の妹(叔母)とふたり暮らしをこれからする。主人公女子花さん15歳、選択肢のない年齢です。
 ふなっしーのぬいぐるみを母と思って抱いてくれは、なんと、ひどい母親です(母の分身として)。そんな母も病死します。なんにせよ、母との別れは淋しい。

 柔らかく読みやすい文章です。ここを目指したい。
 とかく、文芸小説は、読めない漢字や意味がわからない珍しい漢字が多用されています。だから売れない。

 本好きの人の話がたくさん出てきます。みなさん本を読んで、いまある自分の境遇の困難に耐えている。

(つづく)

 実母の妹と実父ができていたり、心中事故物件の分譲マンションで父親に殺された女児の霊が夢に出てきたりして、不気味ですが、生きることには前向きな主人公です。
 
 繊細です。生きていくのに苦しい。

 船橋市を讃える小説でもあります。

 そして、若い。

 漢字のひらがな表記(たとえば、けんめい)がやわらかで味わいがあっていい。

 生きていることの追求が「小説」の目的と思わせてくれる良作でした。

調べた言葉として、「チャネリング:自己睡眠に入り霊界と交信して情報を現実世界に流す」、「冥界:死後の世界」

良かった表現として、「館山の静かな海」、「(男が)性欲が強くて、ついていけなかった」、「本に支えられて大きくなった」、「もう人生にはなにも残っていない」、「だれのことも裁かない人」、「失ったものを別のもので埋めようとしない」、「もう男性はいらない」、「彼の支配下で生きてしまった」、「好かれたいから合わせていた」、「条件付きが嫌だった」、「ぺちゃんこになっていたわたしの心」、「自分を罰する」



2015年12月14日記事
ふなふな船橋 吉本ばなな 朝日新聞出版

 明るい内容ではありません。
 168ページまで読みました。
 実父は借金をつくって失踪、15歳の立石花は、実母と千葉県船橋市の駅前で立っています。雨が降っています。実母はこれから再婚します。花は継父と彼の連れ子(花からみて義理の妹)とは暮らしません。実母の妹奈美さんと彼女のマンションで二人暮らしを続けます。その後、実母は病死しています。
 立石花28歳、恋人との別れ話から始まります。

 船橋という街を讃える。その街にいる人が好きだから、ふなっしー(妖精として)が好きだから、そういう思いが込められた作品です。
 作家さんの文章です。わずか数ページで、長い歴史を深く表現してある文章です。読んでいると、「こども」がかわいそうになってきます。こどもは非力です。かよわい。
 花は、継父・義理妹、実母と自分の4人で暮らしたくないと言ったけれど、本当は、強引に暮らそうと言ってほしかった気持ちが伝わってきます。ほとんど天涯孤独みたいな身分です。
 孤独だから、本読みが好きになります。だから書店で働くようになりました。ひきこもりの親友幸子さん32歳がいます。千葉県佐倉市川村記念美術館で知り合いました。
 落ち着いた安心感のある文章が続きます。立石花を囲む状況はさらに悪化するのですが、幻想的です。気に入った表現として、「私はしばらくそおっと暮らした」。太宰治に対する愛着が見受けられます。太宰も昔船橋にいたらしい。ふなっしーは、先日読んだ本にいたコロボックル(アイヌ語の妖精。こびと)と合い通じます。

(つづく)

 ときおり登場するのが、「ロスコの絵」です。川村記念美術館にある壁画だそうです。深い色が特色とあります。小説にある人の経歴の深さと重ねてあります。
 異父・異母きょうだいの物語です。暮らしていると表面には出てこないのですが、そういう境遇の人って多いのでしょう。ふつうの家族関係で育つ人ばかりではありません。
 小説の登場人物たちは、それに悩みながらもそれを受け入れてひっそりと生活しています。女子にとっては、いざ結婚というようなときに、壁とまではいかなくても相手方親族がすんなり受け入れてくれるか不安になるでしょう。
 そんなところを恋愛にからめて、立石花28歳女性に決断を求めていきます。

 母は、恋愛のために子を捨てることがあります。
 花は、結婚のために、船橋を離れることはしませんでした。見事でした。   

Posted by 熊太郎 at 18:55Comments(0)TrackBack(0)読書感想文