2024年12月21日
儚い羊たちの祝宴 米澤穂信
儚い羊たちの祝宴(はかないひつじたちのしゅくえん) 米澤穂信(よねざわ・ほのぶ) 新潮文庫
ミステリー小説です。(犯罪・事件の推理小説)。
短編が5本あります。連続・関連があるのだろうか。
読み始めます。
それぞれのタイトルについて、読み方とか、意味がわかりにくいものもあります。
『身内に不幸がありまして』
<村里夕日の手記>から始まりました。
村里夕日(むらさと・ゆうひ):人の名前です。彼女の語りで物語が進みます。孤児院育ちで、5歳のときに、上紅丹地方(かみくたんちほう)を支配する丹山因陽(たんざん・いんよう)という資産家に引き取られて、丹山家のお嬢さまである3歳年上の吹子の世話係として仕える(つかえる)ことになった。夕日が小学校5年生のときに、吹子は、中学一年生です。吹子の父親が、丹山高人(たんざん・たかひと)、母親が、丹山軽子(たんざん・かるこ)です。
吹子の部屋を和風から洋風に変えて、本棚をつくった。吹子は読書家です。
本棚に扉をもうけて、本棚の奥に、隠し部屋をつくった。
文机(ふづくえ):床に座って使う和風の机
典籍(てんせき):書籍、書物
横溝正史(よこみぞ・せいし。推理作家。1902年(明治35年)-1981年(昭和56年)79歳没)の『夜歩く』(昭和23年頃の作品。ドラマ化された)。
谷崎潤一郎:小説家。1965年(昭和40年)79歳没。作品として、『柳湯の事件』
志賀直哉:小説家。1971年(昭和46年)88歳没。作品として、『濁った顔(にごったかお)』
木々高太郎(きぎ・たかたろう):大脳生理学者、小説家。1969年(昭和44年)72歳没。作品として、『睡り人形(ねむりにんぎょう)』。
小酒井不木(こさかい・ふぼく):医学者、推理作家。1929年(昭和4年)肺炎で38歳没。作品として、『メヂューサの首』。
浜尾四郎:検事、弁護士、探偵小説家。1935年(昭和10年)39歳没。脳溢血(のういっけつ)。作品として、『夢の殺人』。
海野十三(うんの・じゅうざ):小説家。1949年(昭和24年)51歳没。結核。作品として、『地獄街道』。
夢野久作:小説家。1936年(昭和11年)47歳没。脳溢血。作品として、『ドグラ・マグラ』。
江戸川乱歩:推理作家。1965年(昭和40年)70歳没。作品として、『夢遊病者の死』、『二癈人(にはいじん)』
ジャン・コクトー:詩人、小説家。フランス人。1963年(昭和38年)74歳没
ヨハンナ・スピリ:スイスの女性作家。1901年(明治34年)74歳没。作品として、『アルプスの少女』
シェイクスピア:イングランドの劇作家、詩人。1616年51歳没。作品として、『マクベス』。
革の書皮(しょひ):ブックカバー
記紀(きき):古事記と日本書紀
衣通姫(そとおりひめ):古事記と日本書紀に登場する女性
丹山宗太(たんざん・そうた):丹山吹子の兄。不行跡(ふぎょうせき。行いが良くない。暴力を振るう。粗暴)だった。
大旗神代(おおはた・かみよ):丹山吹子の大叔母(祖父母の姉妹)。吹子をいじめていた。
満美子:丹山吹子の伯母(父母の姉妹)。吹子をいじめていた。
エラリー・クイーン:アメリカ合衆国の推理作家、編集者。従兄(いとこ)同士、男性ふたりのペンネーム。フレデリック・ダネイ(1982年(昭和57年76歳没)とマンフレッド・ベニントン・リー(1971年(昭和46年)66歳没)のふたり。本書に出てくるのは、『十日間の不思議』という作品です。1948年(昭和23年)の長編推理小説。
う~む。文章が作為的に感じられます。(意図があって、読者を誘導しようとしている)
詐欺的でもあり、洗脳の気配(読者の心理をコントロールしようという試み)があります。
だまし本です。
吹子お嬢さんは、大学で、『バベルの会』という読書界に入った。バベル:旧約聖書に出てくる伝説の塔。バベルの塔。ヘブライ語で、混乱、ごちゃまぜ。
毎年8月1日に避暑を兼ねて、涼しい蓼沼(たてぬま)というところで読書会を行う。
御前様(ごぜんさま):おじいさんのことでしょう。丹山因陽(たんざん・いんよう)のこと。
奇貨(きか):めったにない機会。丹山宗太は、生きているのに死んだことにされてしまいました。葬式があります。吹子はバベルの会の読書会へ行けませんでした。
宗太はどこかへ逃げていなくなった。
読み終わりました。
つくってある話です。(つくり話)。
無残な殺しがあります。
ストーリーに仕掛けがあります。(わたしはあまり好まない仕掛けでした。現実味がありません。錯覚です)。
種明かしはわかりましたが、怖くはありません。(こわくはありません)。
最後のオチは、なぜそうなるのか、わたしにはわかりません。
言下に(げんかに):言い終わったすぐあと。
泉鏡花:小説家。1939年(昭和14年)65歳没。作品として、『外科室』
『北の館の罪人』
千人原地方(せんにんばらちほう)での出来事です。
六綱家(むつなけ)という家の出来事です。
当主(その家の主人):六綱光次(むつな・こうじ) 三十歳前後の年齢
わたし(物語の語り手)内名あまり(うちな・あまり)女性。敷地の中にふたつ屋敷があって、『北の館』に住んでいる。内名あまりは、妾の子(次に出てくる六名虎一郎の子)
六綱虎一郎(むつな・こいちろう):六名光次の父親。事故で寝たきり状態にある。
六綱早太郎(むつな・そうたろう):六名光次の兄。北の館に住んでいる。
疎林(そりん):木がまばらに生えた林
絵がある。本館(六名光次が住む)の絵は、青い空、青い海、青い人影。空は、紫がかった色。
別館(北の館)の絵は、また違う雰囲気であるというような書き方がしてあります。
語り手の内名あまりと、六名早太郎は、北の館から出ることができない状態にある。
内名あまりは、六名早太郎の掃除と給仕(雑用、飲食)の世話をする。
戦前の日本のようです。
基本的人権の尊重はありません。移動の自由とか、居住の自由がありません。
どんな事件が起きるのだろう。
(つづく)
千代:本館の使用人
初代六綱龍之介(むつな・りゅうのすけ):紡績工場を興した。その後、製薬工場を興した。
正一:初代六綱龍之介の長男。奇矯の振る舞いがあった。(言動が異様)
先々代六綱恭一郎(むつな・きょういちろう):好色(こうしょく。すけべ)。変態。サディスト
六綱早太郎と光次の妹 詠子(よみこ)
黒窓館(別館・北の館のこと)
不気味ではある。
六綱早太郎も内名あまりも北の館で軟禁状態です。でも、ふたりとも外に出たいとは思いません。
内名あまちだけが、六綱早太郎に頼まれて買い物に行きます。六綱光次はそれを許可します。
内名あまりが買ってくるものとして、ビネガー(酢)、画鋲(がびょう)、糸鋸(いとのこ)、乳鉢(にゅうばち。薬を入れてすりつぶすときに使う)、鉛、木材、ニス、凧糸(たこいと)、卵、牛の血、ラピスラズリの原石(青い鉱物)……
獄卒(ごくそつ):牢獄の番人。役人
いろいろ事情があります。
文章は読みやすい。さきほどの『身内に不幸がありまして』よりも腹に落ちる話です。(理解できる)
青色にこだわる作品です。
『バベルの会(読書会)』:紫を観た。露草の青と紅(くれない。べにばな)の赤を加えてつくった紫。露草の青は、色あせしやすい。紫は、赤に変化する。
114ページ、そうか。予測できなかった殺人事件です。ひそかに人殺しが行われました。動機は、復讐と相続です。まだ、殺人行為は続くのでしょう。
『山荘秘聞(さんそうひぶん。家や地区に密かに(ひそかに)伝わっていること)』
わたし(この短編での語り手)屋島守子19歳ぐらい。『飛鶏館(ひけいかん)』という別荘の管理人をしている。別荘の所有者は、東京目黒に住む貿易商の辰野嘉門という人物。別荘の管理人室で、住み込みで働いている。
八垣内(やがきうち):別荘地。山のかなり奥地にある。
越智靖巳(おちやすみ):山の崖地から落ちて遭難した大学登山クラブ所属の人
原沢登:産大山岳部長
読み終えて、恐ろしい人がいたものだと、ぞっとしました。<現実にもこういう人がいそうです>
この本では、人格が異常な人が殺人事件の犯人として順番に紹介されていきます。
きちょうめんでまじめな殺人犯人です。
自分に与えられた仕事(別荘の管理)に生きがいをもっています。
やるべきことはきちんとやるのです。なんでもできる有能な人間です。
仕事優先、仕事好き、仕事人間です。されど、人間として大切な脳みその一部が欠けているような人間です。きちんとした仕事を最高レベルで達成するためには人をも殺します。
ドローイングルーム:客間、宴会場
ルバーブ:食用植物。和名は、ショクヨウダイオウ。
ハーケン:登山道具。岸壁の割れ目に打ち込んで使用する。
リヴ・ヴォールト:ゴシック建築における天井の様式。アーチ型
殺人者は、お客が欲しかった。自分の仕事の成果をお客に見てもらいたかった。
仕事の面ではいい人なのですが、殺人を行うその人は、人格異常者です。
『玉野五十鈴の誉れ(たまのいすずのほまれ)』
誉れ(ほまれ):名誉、いい評判
言葉がむずかしいので、言葉を理解するのに調べる時間が必要で、読むのがたいへんです。
いわゆる、『イヤミス(いや~な気持ちで読み終えるミステリー小説)』作品が続きます。殺人者優位で末尾が結ばれます。あとは、読者の想像におまかせします、です。
玉野五十鈴(たまの・いすず):15歳。豪邸の使用人。令嬢の世話人。令嬢もまた15歳。玉野五十鈴は頭がいい。もともとは、自分自身も令嬢だったようです。家が火災で燃えて、親族も焼死でなくなって身寄りがなくなったような経過がうかがえます。
小栗純香(おぐり・すみか):15歳。名家小栗家のひとり娘。跡継ぎの立場なので、祖母の帝王教育がきつい。(地位にふさわしい教育を受ける)。祖母が、この名家の癌(がん)のような存在になっている。厳しい。
玉野五十鈴の父:婿養子で、何の力もない。
玉野五十鈴の母:男の子を産めなかった(男子の跡取りを産めなかった)ことで、立場が弱い。
祖母は、男三人を産んだが、それぞれ、戦死、病死、事故死で亡くした。
小栗家は、駿河灘(するがなだ)に面した、高大寺(こうだいじ)という土地の名家
『鵠は日に浴せずして白し』(ことわざ:白鳥は水浴びしなくてもいつも白い。いい容姿や性質は、なにもしなくても悪い方へは変わらない)
詠雪の才(えいせつのさい):文学的な才能がある女性。ほめ言葉
『直き(なおき)を友とし、諒(まこと)を友とし、多聞(たぶん)を友とするは益なり』(正直な人、誠実な人、多聞(博識)な人を友だちにすることは有益です)
『其の子を知らざれば、其の友を視よ(みよ)』(その子のことがわからないときは、その子の友だちをみなさい。その子が付き合っている友だちをみれば、その子の性格や性質などがわかる)こちらの本の場合は、おろかな者と付き合うなという祖母の孫娘に対する教育があります。
祖母はかなり勝手な人です。跡継ぎ候補の小栗純香(おぐり・すみか)15歳は孤高の人(こどくな人)になってしまいますが、そこに、利口(りこう。頭がいい)な玉野五十鈴が小栗純香の世話人として現れます。
文房四宝(ぶんぼうしほう):中国の書道で欠かせない道具。筆、墨(すみ)、紙、硯(すずり)のこと。
稀覯書(きこうしょ):世の中に出回ることが少ない貴重な書物、古書のこと。
須臾(しゅゆ):しばらくの間、わずかの間
一損(いちゆう):会釈、おじぎ
書見台(しょけんだい):本が見やすいように、本の後ろに立てかける台。ブックスタンド、読書台
諧謔(かいぎゃく):おもしろい気の利いた(きいた)冗談。ユーモア
轍鮒の急(てっぷのきゅう):危険や困難が迫っている状況。車が通ったあどにできた轍(わだち。タイヤの跡)にたまった少しの水の中に鮒(フナ)がいる。フナがもう死んでしまうかもしれないという緊急の状態
霖雨(りんう):幾日も降り続く長雨(ながあめ)
有徳の人(ゆうとくのひと):金銀財宝をたくさん持っている裕福な人
『紫蘭の室に入るが如し(しらんのしつにはいるがごとし)』(徳の高い人と付き合っていると、自然に良い影響を受ける)
有象無像(うぞうむぞう):世の中にたくさんあるくだらないもの。
『鮑魚の肆に入るが如し(ほうぎょのいちぐらにいるがごとし)』:(悪い仲間と付き合っているとそれに染まってしまう)
軛(くびき):複数いる牛馬を横につなぐ木製の棒
小栗純香(おぐり・すみか)は、大学へ行き、外の世界を知り、学びたいと祖母に申し出て、玉野五十鈴を世話人として連れて、高大寺を出ます。玉野五十鈴が10日に一度、報告書を祖母に送るそうです。
小栗純香(おぐり・すみか)は、2か月にならない期間、高大寺を離れた。(大学通学にしては短い。実家で殺人事件が起きたのです。老夫婦は縛り(しばり)あげられ、孫ふたりは刺殺されました。犯人は、蜂谷大六(はちや・だいろく)。小栗純香(おぐり・すみか)の父の兄です)。
小栗純香(おぐり・すみか)は、大学で、読書会である『バベルの会』に入会した。
折竹孫七(おりたけ・まごしち):小説家小栗虫太郎の秘境探検小説に登場する人物。鳥獣採集人。理学士
マーヴィン・バンター:推理小説に出てくる召使。
玉野五十鈴は外国作家の推理小説が好きで、小栗純香(おぐり・すみか)にも勧めます。
殺人事件の発生により、小栗家から小栗純香(おぐり・すみか)の父親が追い出されました。
小栗純香(おぐり・すみか)も出て行けとの祖母の命令です。
玉野五十鈴の小栗純香(おぐり・すみか)を世話する役ははずされて、単なる召使になりました。
玉野五十鈴の小栗純香(おぐり・すみか)に対する態度が冷たくなります。
ジーヴス:なんでも知っていて、なんでもできる従者。小説の登場人物
イズレイル・ガウ:小説に出てくる召使
一高:旧制第一高等学校。東京大学教養学部、千葉大学医学部、薬学部の前身。帝国大学の予科(予備教育課程)
物語は、小栗純香(おぐり・すみか)が孤独になっていく経過をたどります。
小栗純香(おぐり・すみか)は、小栗家にとって不要な人間となり、部屋に閉じ込められ、『飼い殺し』状態です。ときに、自害を(自殺を)迫られたりもします。
どうぞ、ご賢察(けんさつ)ください:お察し(さっし)ください。(毒種をもられたときに玉野五十鈴から小栗純香が聞いた言葉)
小栗純香(おぐり・すみか)は、死にません。
祖母が死にます。死んでまわりの人間から喜ばれる祖母がいます。
権力闘争があります。
大学の学生(上流階級の)読書会である『バベルの会』とは何なのだろう。
不気味な話です。
昭和50年代にはやった(1975年代)、横溝正史(よこみぞ・せいし 推理作家1981年(昭和56年)79歳没)の怪奇映画シリーズを思い出します。『八つ墓村』、『犬神家の一族』、『獄門島(ごくもんとう)』など。
怖い話(こわいはなし)、恐ろしい(おそろしい)話でした。
たまたまなのですが、最近、小泉今日子さんの本で紹介されていたホラー映画を順番に動画配信サービスで観ています。映画と小説の恐ろしさが重なります。
『儚い羊たちの晩餐(はかないひつじたちのばんさん)』
この本のタイトルと同じだと思いこんでいたら違っていました。
この本のタイトルは、『儚い羊たちの祝宴』でした。なんの意味があって、異なるタイトルなのだろうか。
(わたし)大寺鞠絵(おおでら・まりえ):読書会『バベルの会』の会費を払えなくて、会を除名された。金はあってもケチなパパが会費を出してくれなかった。パパは、読書を道楽と判断した。
おじいちゃんが大寺家を築いた。立派な人だった。パパはだめな人。鞠絵はおじいちゃんを大好きだった。
大寺鞠絵のパパ
厨娘(ちゅうじょう。):女性の料理人で名前は、『夏 なつ。美人。鮮やかな赤い上着に翠(みどり)のスカート姿。ちょっとツンとしている。二十歳ぐらい。夏の小間使いか見習いが、文(あや。10歳ぐらい)という名前。大寺家に住み込みで働く。料理はじょうずです。ただ、お金や物にがめつい(欲張りみたいです)
馬淵(まぶち):大寺家のもとからいたお手伝い。
黒井:大寺家の召使
第一話の『丹山家(たんざんけ)』と第二話の『六綱家(むつなけ)』のことが出てきます。
日記とか日誌の書き方です。これまでの短編とは雰囲気が異なります。
『バベルの会はこうして消滅した』とあります。
口入れ屋:奉公人、雇い人、芸者などのあっせん仲介業者
アイリッシュ:アメリカ合衆国の推理作家。1968年(昭和43年)64歳没
ダール:イギリスの小説家、脚本家。1990年(平成2年)74歳没
ダンセイニ:アイルランドの小説家、軍人。1957年(昭和32年)79歳没
羊頭肉(ようとうにく):マトン。ヒツジの肉
慨嘆(がいたん):嘆いたり(なげいたり)、心配したり。
鵝掌(がしょう):ガチョウの足を料理したもの。
文章は、だれかが(女学生)、大寺鞠絵が描き残した日記を読んでいる光景です。
パパが画商から絵を買うつもりだ。
絵を買うのは投資目的です。
テオドール・ジェリコーの『メデュース号の筏(いかだ)』:フランスの画家。1824年32歳没
バベルの会:幻想と現実とを混乱してしまう儚い者(はかないもの)たちの聖域(せいいき。アジール)という意味の会。宿痾(しゅくあ。長く続く心の病(やまい))を抱えた者たちが集まる会。現実のあまりの単純さ、複雑さに耐えきれない人間の集まり。逃避のために物語を読んでいる。現実逃避のために夢想家になっている。
実際家:現実家。夢はみない。日常生活を現実的に処理していく。理屈も理論も理想も追わない。理想は幻想でしかないとする。
殺人の話が出ます。
鳥兜(トリカブト):毒を持つ植物
アミルスタン羊:羊ではない。
僭越ながら(せんえつながら):出過ぎたことをしますが。
柘榴(ざくろ):実が食用になる。
葱:ねぎ
遥拝(ようはい):はるかに遠いところから拝むこと。(おがむこと)
『夢見る儚い羊たち(ゆめみるはかないひつじたち)』(意味がわかりました)
オソロシイ
不気味です。
心がザワザワします。
読み終えました。
『解説』に書いてあるとおりでした。
目的のためにはどんな無慈悲な行為も辞さない登場人物たちの……
奸計合戦(かんけいかっせん):悪だくみの応酬(おうしゅう。やりとり)
ミステリー小説です。(犯罪・事件の推理小説)。
短編が5本あります。連続・関連があるのだろうか。
読み始めます。
それぞれのタイトルについて、読み方とか、意味がわかりにくいものもあります。
『身内に不幸がありまして』
<村里夕日の手記>から始まりました。
村里夕日(むらさと・ゆうひ):人の名前です。彼女の語りで物語が進みます。孤児院育ちで、5歳のときに、上紅丹地方(かみくたんちほう)を支配する丹山因陽(たんざん・いんよう)という資産家に引き取られて、丹山家のお嬢さまである3歳年上の吹子の世話係として仕える(つかえる)ことになった。夕日が小学校5年生のときに、吹子は、中学一年生です。吹子の父親が、丹山高人(たんざん・たかひと)、母親が、丹山軽子(たんざん・かるこ)です。
吹子の部屋を和風から洋風に変えて、本棚をつくった。吹子は読書家です。
本棚に扉をもうけて、本棚の奥に、隠し部屋をつくった。
文机(ふづくえ):床に座って使う和風の机
典籍(てんせき):書籍、書物
横溝正史(よこみぞ・せいし。推理作家。1902年(明治35年)-1981年(昭和56年)79歳没)の『夜歩く』(昭和23年頃の作品。ドラマ化された)。
谷崎潤一郎:小説家。1965年(昭和40年)79歳没。作品として、『柳湯の事件』
志賀直哉:小説家。1971年(昭和46年)88歳没。作品として、『濁った顔(にごったかお)』
木々高太郎(きぎ・たかたろう):大脳生理学者、小説家。1969年(昭和44年)72歳没。作品として、『睡り人形(ねむりにんぎょう)』。
小酒井不木(こさかい・ふぼく):医学者、推理作家。1929年(昭和4年)肺炎で38歳没。作品として、『メヂューサの首』。
浜尾四郎:検事、弁護士、探偵小説家。1935年(昭和10年)39歳没。脳溢血(のういっけつ)。作品として、『夢の殺人』。
海野十三(うんの・じゅうざ):小説家。1949年(昭和24年)51歳没。結核。作品として、『地獄街道』。
夢野久作:小説家。1936年(昭和11年)47歳没。脳溢血。作品として、『ドグラ・マグラ』。
江戸川乱歩:推理作家。1965年(昭和40年)70歳没。作品として、『夢遊病者の死』、『二癈人(にはいじん)』
ジャン・コクトー:詩人、小説家。フランス人。1963年(昭和38年)74歳没
ヨハンナ・スピリ:スイスの女性作家。1901年(明治34年)74歳没。作品として、『アルプスの少女』
シェイクスピア:イングランドの劇作家、詩人。1616年51歳没。作品として、『マクベス』。
革の書皮(しょひ):ブックカバー
記紀(きき):古事記と日本書紀
衣通姫(そとおりひめ):古事記と日本書紀に登場する女性
丹山宗太(たんざん・そうた):丹山吹子の兄。不行跡(ふぎょうせき。行いが良くない。暴力を振るう。粗暴)だった。
大旗神代(おおはた・かみよ):丹山吹子の大叔母(祖父母の姉妹)。吹子をいじめていた。
満美子:丹山吹子の伯母(父母の姉妹)。吹子をいじめていた。
エラリー・クイーン:アメリカ合衆国の推理作家、編集者。従兄(いとこ)同士、男性ふたりのペンネーム。フレデリック・ダネイ(1982年(昭和57年76歳没)とマンフレッド・ベニントン・リー(1971年(昭和46年)66歳没)のふたり。本書に出てくるのは、『十日間の不思議』という作品です。1948年(昭和23年)の長編推理小説。
う~む。文章が作為的に感じられます。(意図があって、読者を誘導しようとしている)
詐欺的でもあり、洗脳の気配(読者の心理をコントロールしようという試み)があります。
だまし本です。
吹子お嬢さんは、大学で、『バベルの会』という読書界に入った。バベル:旧約聖書に出てくる伝説の塔。バベルの塔。ヘブライ語で、混乱、ごちゃまぜ。
毎年8月1日に避暑を兼ねて、涼しい蓼沼(たてぬま)というところで読書会を行う。
御前様(ごぜんさま):おじいさんのことでしょう。丹山因陽(たんざん・いんよう)のこと。
奇貨(きか):めったにない機会。丹山宗太は、生きているのに死んだことにされてしまいました。葬式があります。吹子はバベルの会の読書会へ行けませんでした。
宗太はどこかへ逃げていなくなった。
読み終わりました。
つくってある話です。(つくり話)。
無残な殺しがあります。
ストーリーに仕掛けがあります。(わたしはあまり好まない仕掛けでした。現実味がありません。錯覚です)。
種明かしはわかりましたが、怖くはありません。(こわくはありません)。
最後のオチは、なぜそうなるのか、わたしにはわかりません。
言下に(げんかに):言い終わったすぐあと。
泉鏡花:小説家。1939年(昭和14年)65歳没。作品として、『外科室』
『北の館の罪人』
千人原地方(せんにんばらちほう)での出来事です。
六綱家(むつなけ)という家の出来事です。
当主(その家の主人):六綱光次(むつな・こうじ) 三十歳前後の年齢
わたし(物語の語り手)内名あまり(うちな・あまり)女性。敷地の中にふたつ屋敷があって、『北の館』に住んでいる。内名あまりは、妾の子(次に出てくる六名虎一郎の子)
六綱虎一郎(むつな・こいちろう):六名光次の父親。事故で寝たきり状態にある。
六綱早太郎(むつな・そうたろう):六名光次の兄。北の館に住んでいる。
疎林(そりん):木がまばらに生えた林
絵がある。本館(六名光次が住む)の絵は、青い空、青い海、青い人影。空は、紫がかった色。
別館(北の館)の絵は、また違う雰囲気であるというような書き方がしてあります。
語り手の内名あまりと、六名早太郎は、北の館から出ることができない状態にある。
内名あまりは、六名早太郎の掃除と給仕(雑用、飲食)の世話をする。
戦前の日本のようです。
基本的人権の尊重はありません。移動の自由とか、居住の自由がありません。
どんな事件が起きるのだろう。
(つづく)
千代:本館の使用人
初代六綱龍之介(むつな・りゅうのすけ):紡績工場を興した。その後、製薬工場を興した。
正一:初代六綱龍之介の長男。奇矯の振る舞いがあった。(言動が異様)
先々代六綱恭一郎(むつな・きょういちろう):好色(こうしょく。すけべ)。変態。サディスト
六綱早太郎と光次の妹 詠子(よみこ)
黒窓館(別館・北の館のこと)
不気味ではある。
六綱早太郎も内名あまりも北の館で軟禁状態です。でも、ふたりとも外に出たいとは思いません。
内名あまちだけが、六綱早太郎に頼まれて買い物に行きます。六綱光次はそれを許可します。
内名あまりが買ってくるものとして、ビネガー(酢)、画鋲(がびょう)、糸鋸(いとのこ)、乳鉢(にゅうばち。薬を入れてすりつぶすときに使う)、鉛、木材、ニス、凧糸(たこいと)、卵、牛の血、ラピスラズリの原石(青い鉱物)……
獄卒(ごくそつ):牢獄の番人。役人
いろいろ事情があります。
文章は読みやすい。さきほどの『身内に不幸がありまして』よりも腹に落ちる話です。(理解できる)
青色にこだわる作品です。
『バベルの会(読書会)』:紫を観た。露草の青と紅(くれない。べにばな)の赤を加えてつくった紫。露草の青は、色あせしやすい。紫は、赤に変化する。
114ページ、そうか。予測できなかった殺人事件です。ひそかに人殺しが行われました。動機は、復讐と相続です。まだ、殺人行為は続くのでしょう。
『山荘秘聞(さんそうひぶん。家や地区に密かに(ひそかに)伝わっていること)』
わたし(この短編での語り手)屋島守子19歳ぐらい。『飛鶏館(ひけいかん)』という別荘の管理人をしている。別荘の所有者は、東京目黒に住む貿易商の辰野嘉門という人物。別荘の管理人室で、住み込みで働いている。
八垣内(やがきうち):別荘地。山のかなり奥地にある。
越智靖巳(おちやすみ):山の崖地から落ちて遭難した大学登山クラブ所属の人
原沢登:産大山岳部長
読み終えて、恐ろしい人がいたものだと、ぞっとしました。<現実にもこういう人がいそうです>
この本では、人格が異常な人が殺人事件の犯人として順番に紹介されていきます。
きちょうめんでまじめな殺人犯人です。
自分に与えられた仕事(別荘の管理)に生きがいをもっています。
やるべきことはきちんとやるのです。なんでもできる有能な人間です。
仕事優先、仕事好き、仕事人間です。されど、人間として大切な脳みその一部が欠けているような人間です。きちんとした仕事を最高レベルで達成するためには人をも殺します。
ドローイングルーム:客間、宴会場
ルバーブ:食用植物。和名は、ショクヨウダイオウ。
ハーケン:登山道具。岸壁の割れ目に打ち込んで使用する。
リヴ・ヴォールト:ゴシック建築における天井の様式。アーチ型
殺人者は、お客が欲しかった。自分の仕事の成果をお客に見てもらいたかった。
仕事の面ではいい人なのですが、殺人を行うその人は、人格異常者です。
『玉野五十鈴の誉れ(たまのいすずのほまれ)』
誉れ(ほまれ):名誉、いい評判
言葉がむずかしいので、言葉を理解するのに調べる時間が必要で、読むのがたいへんです。
いわゆる、『イヤミス(いや~な気持ちで読み終えるミステリー小説)』作品が続きます。殺人者優位で末尾が結ばれます。あとは、読者の想像におまかせします、です。
玉野五十鈴(たまの・いすず):15歳。豪邸の使用人。令嬢の世話人。令嬢もまた15歳。玉野五十鈴は頭がいい。もともとは、自分自身も令嬢だったようです。家が火災で燃えて、親族も焼死でなくなって身寄りがなくなったような経過がうかがえます。
小栗純香(おぐり・すみか):15歳。名家小栗家のひとり娘。跡継ぎの立場なので、祖母の帝王教育がきつい。(地位にふさわしい教育を受ける)。祖母が、この名家の癌(がん)のような存在になっている。厳しい。
玉野五十鈴の父:婿養子で、何の力もない。
玉野五十鈴の母:男の子を産めなかった(男子の跡取りを産めなかった)ことで、立場が弱い。
祖母は、男三人を産んだが、それぞれ、戦死、病死、事故死で亡くした。
小栗家は、駿河灘(するがなだ)に面した、高大寺(こうだいじ)という土地の名家
『鵠は日に浴せずして白し』(ことわざ:白鳥は水浴びしなくてもいつも白い。いい容姿や性質は、なにもしなくても悪い方へは変わらない)
詠雪の才(えいせつのさい):文学的な才能がある女性。ほめ言葉
『直き(なおき)を友とし、諒(まこと)を友とし、多聞(たぶん)を友とするは益なり』(正直な人、誠実な人、多聞(博識)な人を友だちにすることは有益です)
『其の子を知らざれば、其の友を視よ(みよ)』(その子のことがわからないときは、その子の友だちをみなさい。その子が付き合っている友だちをみれば、その子の性格や性質などがわかる)こちらの本の場合は、おろかな者と付き合うなという祖母の孫娘に対する教育があります。
祖母はかなり勝手な人です。跡継ぎ候補の小栗純香(おぐり・すみか)15歳は孤高の人(こどくな人)になってしまいますが、そこに、利口(りこう。頭がいい)な玉野五十鈴が小栗純香の世話人として現れます。
文房四宝(ぶんぼうしほう):中国の書道で欠かせない道具。筆、墨(すみ)、紙、硯(すずり)のこと。
稀覯書(きこうしょ):世の中に出回ることが少ない貴重な書物、古書のこと。
須臾(しゅゆ):しばらくの間、わずかの間
一損(いちゆう):会釈、おじぎ
書見台(しょけんだい):本が見やすいように、本の後ろに立てかける台。ブックスタンド、読書台
諧謔(かいぎゃく):おもしろい気の利いた(きいた)冗談。ユーモア
轍鮒の急(てっぷのきゅう):危険や困難が迫っている状況。車が通ったあどにできた轍(わだち。タイヤの跡)にたまった少しの水の中に鮒(フナ)がいる。フナがもう死んでしまうかもしれないという緊急の状態
霖雨(りんう):幾日も降り続く長雨(ながあめ)
有徳の人(ゆうとくのひと):金銀財宝をたくさん持っている裕福な人
『紫蘭の室に入るが如し(しらんのしつにはいるがごとし)』(徳の高い人と付き合っていると、自然に良い影響を受ける)
有象無像(うぞうむぞう):世の中にたくさんあるくだらないもの。
『鮑魚の肆に入るが如し(ほうぎょのいちぐらにいるがごとし)』:(悪い仲間と付き合っているとそれに染まってしまう)
軛(くびき):複数いる牛馬を横につなぐ木製の棒
小栗純香(おぐり・すみか)は、大学へ行き、外の世界を知り、学びたいと祖母に申し出て、玉野五十鈴を世話人として連れて、高大寺を出ます。玉野五十鈴が10日に一度、報告書を祖母に送るそうです。
小栗純香(おぐり・すみか)は、2か月にならない期間、高大寺を離れた。(大学通学にしては短い。実家で殺人事件が起きたのです。老夫婦は縛り(しばり)あげられ、孫ふたりは刺殺されました。犯人は、蜂谷大六(はちや・だいろく)。小栗純香(おぐり・すみか)の父の兄です)。
小栗純香(おぐり・すみか)は、大学で、読書会である『バベルの会』に入会した。
折竹孫七(おりたけ・まごしち):小説家小栗虫太郎の秘境探検小説に登場する人物。鳥獣採集人。理学士
マーヴィン・バンター:推理小説に出てくる召使。
玉野五十鈴は外国作家の推理小説が好きで、小栗純香(おぐり・すみか)にも勧めます。
殺人事件の発生により、小栗家から小栗純香(おぐり・すみか)の父親が追い出されました。
小栗純香(おぐり・すみか)も出て行けとの祖母の命令です。
玉野五十鈴の小栗純香(おぐり・すみか)を世話する役ははずされて、単なる召使になりました。
玉野五十鈴の小栗純香(おぐり・すみか)に対する態度が冷たくなります。
ジーヴス:なんでも知っていて、なんでもできる従者。小説の登場人物
イズレイル・ガウ:小説に出てくる召使
一高:旧制第一高等学校。東京大学教養学部、千葉大学医学部、薬学部の前身。帝国大学の予科(予備教育課程)
物語は、小栗純香(おぐり・すみか)が孤独になっていく経過をたどります。
小栗純香(おぐり・すみか)は、小栗家にとって不要な人間となり、部屋に閉じ込められ、『飼い殺し』状態です。ときに、自害を(自殺を)迫られたりもします。
どうぞ、ご賢察(けんさつ)ください:お察し(さっし)ください。(毒種をもられたときに玉野五十鈴から小栗純香が聞いた言葉)
小栗純香(おぐり・すみか)は、死にません。
祖母が死にます。死んでまわりの人間から喜ばれる祖母がいます。
権力闘争があります。
大学の学生(上流階級の)読書会である『バベルの会』とは何なのだろう。
不気味な話です。
昭和50年代にはやった(1975年代)、横溝正史(よこみぞ・せいし 推理作家1981年(昭和56年)79歳没)の怪奇映画シリーズを思い出します。『八つ墓村』、『犬神家の一族』、『獄門島(ごくもんとう)』など。
怖い話(こわいはなし)、恐ろしい(おそろしい)話でした。
たまたまなのですが、最近、小泉今日子さんの本で紹介されていたホラー映画を順番に動画配信サービスで観ています。映画と小説の恐ろしさが重なります。
『儚い羊たちの晩餐(はかないひつじたちのばんさん)』
この本のタイトルと同じだと思いこんでいたら違っていました。
この本のタイトルは、『儚い羊たちの祝宴』でした。なんの意味があって、異なるタイトルなのだろうか。
(わたし)大寺鞠絵(おおでら・まりえ):読書会『バベルの会』の会費を払えなくて、会を除名された。金はあってもケチなパパが会費を出してくれなかった。パパは、読書を道楽と判断した。
おじいちゃんが大寺家を築いた。立派な人だった。パパはだめな人。鞠絵はおじいちゃんを大好きだった。
大寺鞠絵のパパ
厨娘(ちゅうじょう。):女性の料理人で名前は、『夏 なつ。美人。鮮やかな赤い上着に翠(みどり)のスカート姿。ちょっとツンとしている。二十歳ぐらい。夏の小間使いか見習いが、文(あや。10歳ぐらい)という名前。大寺家に住み込みで働く。料理はじょうずです。ただ、お金や物にがめつい(欲張りみたいです)
馬淵(まぶち):大寺家のもとからいたお手伝い。
黒井:大寺家の召使
第一話の『丹山家(たんざんけ)』と第二話の『六綱家(むつなけ)』のことが出てきます。
日記とか日誌の書き方です。これまでの短編とは雰囲気が異なります。
『バベルの会はこうして消滅した』とあります。
口入れ屋:奉公人、雇い人、芸者などのあっせん仲介業者
アイリッシュ:アメリカ合衆国の推理作家。1968年(昭和43年)64歳没
ダール:イギリスの小説家、脚本家。1990年(平成2年)74歳没
ダンセイニ:アイルランドの小説家、軍人。1957年(昭和32年)79歳没
羊頭肉(ようとうにく):マトン。ヒツジの肉
慨嘆(がいたん):嘆いたり(なげいたり)、心配したり。
鵝掌(がしょう):ガチョウの足を料理したもの。
文章は、だれかが(女学生)、大寺鞠絵が描き残した日記を読んでいる光景です。
パパが画商から絵を買うつもりだ。
絵を買うのは投資目的です。
テオドール・ジェリコーの『メデュース号の筏(いかだ)』:フランスの画家。1824年32歳没
バベルの会:幻想と現実とを混乱してしまう儚い者(はかないもの)たちの聖域(せいいき。アジール)という意味の会。宿痾(しゅくあ。長く続く心の病(やまい))を抱えた者たちが集まる会。現実のあまりの単純さ、複雑さに耐えきれない人間の集まり。逃避のために物語を読んでいる。現実逃避のために夢想家になっている。
実際家:現実家。夢はみない。日常生活を現実的に処理していく。理屈も理論も理想も追わない。理想は幻想でしかないとする。
殺人の話が出ます。
鳥兜(トリカブト):毒を持つ植物
アミルスタン羊:羊ではない。
僭越ながら(せんえつながら):出過ぎたことをしますが。
柘榴(ざくろ):実が食用になる。
葱:ねぎ
遥拝(ようはい):はるかに遠いところから拝むこと。(おがむこと)
『夢見る儚い羊たち(ゆめみるはかないひつじたち)』(意味がわかりました)
オソロシイ
不気味です。
心がザワザワします。
読み終えました。
『解説』に書いてあるとおりでした。
目的のためにはどんな無慈悲な行為も辞さない登場人物たちの……
奸計合戦(かんけいかっせん):悪だくみの応酬(おうしゅう。やりとり)
2024年12月20日
背中の蜘蛛(くも) 誉田哲也(ほんだ・てつや)
背中の蜘蛛(くも) 誉田哲也(ほんだ・てつや) 双葉文庫
推理小説を読みます。警察モノです。
背中の蜘蛛という言葉からは、背中に蜘蛛の入れ墨がある人間がいるという発想が生まれます。さて、どうなりますか。(入れ墨は関係ありませんでした)
『第一部 裏切りの日』
本宮夏生(もとみや・なつお):池袋署刑事課長(彼が語りながら物語が進行していきます)。眼鏡をかけている。53歳か54歳ぐらい。成人した娘がひとりいる。娘は大学卒業後、神戸の電子医療機器メーカーに勤務している。今は、ひとり暮らし。15年前に妻を胃がんで亡くした。
担当係長、統括係長。制服職場、上下関係のきつい職場です。指示・命令と服従が基本です。
組対(そたい):組織犯罪対策課。
上山:本宮夏生刑事課長が渋谷署にいたときの後輩。富坂(東京都文京区東京ドーム北西)の近くにある、『サイバー攻撃対策センター』に配属されて日が間もない。公安担当(国家体制を脅かす(脅かす)事案担当)。アメリカ合衆国FBI(連邦捜査局)で10か月間の研修を受けて帰国して2週間がたったばかり。細身の美男子。係長職。45歳か46歳。
浜木和昌(はまき・かずまさ):ガイシャ(殺人事件の被害者)。43歳。定職なし。転々としていた。住所は、川崎市多摩区登戸(のぼりと)。
9月25日20時19分、西池袋五丁目において、遺体で見つかった。(目白署との境)。目撃者なし。死因は腹部の刺し傷。刺されたあと歩いた形跡あり。傷害致死か。
浜木名都(はまき・なつ):浜木和昌の妻。江戸時代とか室町時代ぐらいの古風な顔立ちの女性。目が細くてのっぺりとしている。
西池袋五丁目路上男性殺人事件特別捜査本部:池袋署7階講堂。総勢55名で捜査開始。
防犯カメラに5人の男が映っている。そのうちの黒っぽいスーツの男が怪しい(あやしい)。
<人がたくさん出てきます。家で使用済みになったカレンダーの裏白い紙に登場人物名を書いて、整理整頓(せいりせいとん)しながら、内容を理解していきます。77ページで、第一の殺人事件が解決しました。この本は、個別の事件解決を紹介するというよりも、警察組織の上層部にいる人間同士のあれやこれやをあぶりだすことがテーマのように見受けられます>
SSBC:捜査支援分析センター
『第二部 顔のない目』
渋谷区千駄ヶ谷二丁目、北参道駅あたり。それから、杉並区浜田山三丁目、西永福駅あたり。
警察職員がたくさん出てきます。薬物売人逮捕のための捜査です。
植木範和(うえき・のりかず):警視庁所属。警部補。35歳。妹がいる。実家は山梨。父は死去。母は存命
佐古充之(さこ・みつゆき):高井戸署所属。巡査部長。29歳
千倉葵(ちくら・あおい):キャバ嬢。
森田一樹(もりた・かずき):25歳無職なれど、薬物の売人。身長180cm以上。千倉葵と関係がある。
Nシステム:自動車ナンバー自動読取装置。
ナカジマアキラ:薬物所持者
浅沼係長:捜査一課
本宮管理官(もとみやかんりかん):捜査一課(第一部の本宮夏生。人事異動で、池袋署から警視庁へ移った。刑事課長から管理官になった。管理官も課長職)
漢(おとこ):男子という意味
湾岸署:東京湾岸警察署。江東区
違法薬物:大麻、覚せい剤、MDMA(合成幻覚剤)
17日:中島逮捕
特捜部(特別捜査本部):警視庁捜査一課が仕切っている。
階級:巡査→(巡査長(正式名ではないそうです))→巡査部長→警部補→警部(係長職)→警視→警視正→警視長→警視監→警視総監
刑事部、組織犯罪対策部、生活安全部、地域部、公安部(国家警察)。
なにやら、組織の中のかけひきとかがありそうな小説の内容です。事件よりも、そちらのほうがメインぽい。
タレコミ:密告、裏切り、内通(ないつう)
サツカン:警察官
捜査一課 本宮管理官:特別捜査本部の最高責任者
『第三部 蜘蛛の背中』
冒頭は不思議な記述です。
意識もうろうとした状態で、だれが、語っているのかわからない文章が続きます。
理(おさむ):この人物男性がひとり語りをしています。
涼太(りょうた):飲み屋で理と知り合った。27歳。父親の顔は知らない。母親もよくわからず、母親は癌で死んだ。涼太が小学校三年生、姉の幹子が中学二年生だった。その後、悲惨な暮らしが続いている。施設ではなく、異母兄安藤光雄が世話してくれたが、異母兄はハングレ(準暴力団員)だった。生活費の面倒はみてくれたが、暴力で支配された。
幹子(涼太の姉):姉と弟涼太のふたり暮らし。身長170cmにとどくぐらい。涼太も幹子も不幸な家庭に生まれて苦労して、今は、ハングレ(やくざ者。準暴力団。異母兄安藤光雄)の支配下におかれて、違法行為をしている。かなりすさんだ暮らしをしている。
理のひとり語りが途絶えて、ひと区切りついたあと、情景描写は、警察関係の場所に移りました。
上山章宏:警察官。係長職。官舎住まい。46歳ぐらい。妻咲子165cmぐらい、長男蓮(れん)16歳、長女唯(ゆい)10歳ケータイが欲しいが父が許さない。
ねまわし、下地づくりをして上司長谷川管理官にプランをあげることが仕事。調整役。警務部人事二課、刑事部捜査一課、操作支援分析センターほかの幹部・関係者と調整を図る。
國見健次:警部補。統括主任。上山章宏にとって、年上の部下。52歳ぐらい。
松尾信晴:警部補。担当主任。元公安二課極左担当43歳
天野照良:警部補。担当主任。36歳独身。元SE(システムエンジニア)運三(警視庁総務部情報管理課運用第三係)の創立メンバーで、経験は2年7月。以前の所属は、生活安全部のサイバー犯罪対策課。松尾信晴と天野照良は、ステングレイによる張り込みの交代要員。
ステングレイ:携帯電話の番号で、電波の発信地を見つける装置。アメリカのハリス社が開発した携帯端末の追跡と盗聴を可能にする装置。ステングレイは、海にいる魚、『アカエイ』という意味。
阿川喜久雄:巡査部長。警視庁総務部情報管理課運用第三係所属と刑事部捜査支援分析センター職を併任。
向野哲郎(こうの・てつろう41歳)、荒山:運用第三係のメンバー。刑事畑での経験が豊富。
理(おさむ)という男は何者なのかを想像する読書です。
理はなんだかフラフラです。認知症の症状みたいです。薬物中毒かとも思えたりします。
お金ももっていません。
涼太は、まっとうな人間ではないでしょう。涼太は、理を犯罪行為で利用するでしょう。(利用はしませんでした)。
下井草駅:杉並区。西武新宿線。
高田馬場駅:新宿区
愛宕警察署の隣に警視庁新橋庁舎12階建てがあって、最上階が、上山章宏の職場。コールセンターのような部屋。パソコンが並んでいる。『捜査員』はいない。『技官』がいる。そこを、『平場』という。捜査員の部屋が、『奥』という。窓はどこにもない。部署名は、『警視庁総務部情報管理課運用第三係』
特殊詐欺の主犯格のアカウント。
アカウントで犯人をシステム上で追跡するようです。
鑑取り(かんどり):容疑者等の人間関係を調べる。
タレコミで容疑者逮捕の事案が二件あって、タレコミの主が警察職員らしいことに疑問をもった本宮夏生であった。
タレコミを受けたのは、佐古充之(さこ・みつゆき):高井戸署所属。巡査部長。29歳。
前回、本宮夏生にタレコミしたのは、警視庁の小菅捜査一課長だった。今の捜査一課長は、徳永警視正。同じ携帯電話の番号を使っているはず。殺人班の浅沼係長がからんでいるはず。そもそもタレコミはなかったのではないか。タレコミ以外の状態で、情報が提供されたのではないか。
デジタル犯罪とか、デジタル捜査のたいへんさが書いてあります。警察内でUSBメモリなどの情報量映画内容に厳しい管理体制がしかれていて、異変があったときは、システムがストップする仕組みになっています。
マルA:ステングレイ。携帯電話の電波の発信地を探す機器。
マルC:新橋庁舎にある総合検索システム、『スパイダー』(「蜘蛛」。この小説のタイトル蜘蛛の背中と関係があるのだろうか)。
預金詐欺事案:ネット空間で、預金が吸い取られて消えていく。どこに入金されていくのかがわからない。イットコイン:アメリカ発祥の暗号資産。
違法薬物の事件。
複数の事件が、重なって進行していきます。
サーフウェブ:一般的なパソコンユーザーが触れているネットワークの空間。インターネットの表層にある。検索エンジンで探すことができる。無料で閲覧できる。インターネット内に占める割合は1%未満
ディープウェブ:アクセス権をもつ限られたメンバーだけが閲覧できるページのこと。非公開ページ。有料サイト、有料動画配信サービス。インターネット内に占める割合は、99%以上
ダークウェブ:ディープウェブのさらなる奥底に存在する。一般のブラウザ(グーグルクロームとか)ではアクセスできない。専用のソフトウェアが必要になる。
匿名性が高い。違法薬物、偽造免許、偽造パスポート、偽札、違法ポルノ、児童ポルノ、改造拳銃、正規の軍用拳銃、爆弾、(この部分の記述を読んで、なるほどと感心しました。わかりやすい)
こだわりがあります。
薬物の売人である中島晃は、『ナカジマ・アキラ』と読むのか、『ナカシマ・アキラ』と読むのか。(なるほど)
捩じ込む:ねじこむ。(読めませんでした)
DOR:ダイレクト・オニオン・ルーター。タマネギのようになっている。皮を何度もむかないと核心に到達できない。
伝々(でんでん):次から次へ。
どん底の生活があります。
ちっぽけな弱者
理(おさむ)が動き出しました。
321ページまで読んで、かなり時間をかけて、ゆっくり調べて、状況を把握しながら読んでいます。
情報量は多いのですが、話自体は、シンプルにゆったりと進んできています。
全体で573ページあるので、あと252ページです。
これからどうなるのだろう。
(つづく)
朝陽新聞の記者 宇治木丈博(うじき・たけひろ):殺された。
PRS:台湾の総合電機メーカー
アース・エレクトロニクス:国内電子機器メーカーとヤマト電通:自衛隊が使用する防衛装備品等の開発をしている。
どうも、警視庁の情報管理機器のデータが何者かに乱されているらしい。
マルウェア:コンピューターの正常な動作を妨げたり(さまたげたり)、データやシステムの破壊等を行う、悪意を持って開発されたソフトウェアの総称。
サイバー戦争:コンピューターネットワーク上で行われる戦争。敵からのサイバーテロ(破壊行為)とシステムの防御・反撃。
防御だけではなく、相手のシステムをダウンさせる。反撃能力がないときは、ネットから離脱する。離脱すれば、ハッキングはされない。(乗っ取り)。
第二勾留(こうりゅう。取り調べのために拘束する(こうそく)):複数の罪を勾留理由にする。二番目の理由での勾留が第二勾留。
『テクノロジーは、人を幸せにもするけれど、確実に不幸せにもする……(いまどきの、スマホアプリを使った犯罪のあれこれを思い浮かべる言葉です)』
『蜘蛛(くも)』がネット上を回遊している。蜘蛛=警視庁が、ネット上に犯罪情報がないかと見回っている。『蜘蛛』の背中をよしよしとなでる犯罪者がいる。『蜘蛛』は、犯罪者の言いなりになる。
蜘蛛=スパイダー=米国が開発した通信監視、検索、分析プログラム。
だんだん話が見えてきました。
犯人は、バックドアをつくって、バックドアからシステムに入ってくる。
昔、組織運営の研修で習った言葉を思い出します。
『組織は、外部からの力ではなく、内部からの力で崩壊する。』
『……この三十年、四十年で我々が住む社会は、生きる世界は、大きく様変わりしてしまった。』(善意を悪用する人間が増えました)。
439ページに、『世界の真実がどれほど残酷か、この男にはわかるまい』とあるのを読んで、そのあとの記述も含めてですが、この人たちだけの世界で通用する事柄だと感じました。『違法捜査』は、ちゃんと暮らしている一般人にとっては、興味のないことです。人間界は、それほど狭くはありません。ごく狭い世界での警察と犯罪との戦いが繰り広げられています。
必要悪:良くないことではあるが、社会を維持していくうえでやむを得ず必要であること。
447ページまで読んできて、ようやくこの小説のテーマが見えてきました。長かった。
読んでいて、『幸せって何だろう?』という気持ちになりました。きれいごとだけでは生活していけません。理想を追うことは大事ですが、現実を乗り切ることはもっと大事です。ブレーキを踏みながらアクセルを踏む行為ですから、慎重にやらねば事故になります。
肚括って:はらくくって。覚悟を決めて。
本宮は先輩で、上山は後輩
システムを使う人間の行為によって、不幸な事件が起きる。
携帯電話は弄る(いじる):読めませんでした。
フロントガラスが、斑(まだら)に曇っている:同じく読めませんでした。
読んでいて、3000万円というお金で済む話ではないと思う。
こういう結末にしたのか。う~む。なんと言っていいのか思いつかない。
鬼畜(きちく):心のある人間のすることではない。残酷な行為をする者
『信頼関係』のために、蜘蛛を取り除く。
心の病(やまい)があります。
変な人間がいます。(人間は権力をもつと気持ちの持ちようが変化します。支配者になるのです。自分は何をやっても許されると勘違いするのです)。
いろいろ理屈はありますが、職員が定年退職すると終わってしまうことです。
法令に寄りかかってやるしかない事柄なのでしょう。
全体で564ページを一週間ぐらいかけて読みました。
読書をしたという実感がひたひたと湧いてきて満足しました。
いい作品でした。よかった。
事件が起きる。
表向きの理由がある。
裏向きの理由で本音(ほんね)が出る。
個人に番号を付けて特定して、行動を記録して、保存しておいて、なにかあったら、組織が利用する。考えてみれば、マイナンバーカードとか、交通系ICカードとか、クレジットカードを使った時のデータは、どこかに集約されて保存されているのでしょう。
その人が、いつどこで電車に乗っていくら使って、どんな病気でどこの病院にかかって、どんな薬をどれだけもらって、お金の出し入れはいつどこでいくら動かして…… いろいろなことが本人の知らない間に、電子データを管理運営する組織で働く他人が知ることになる。
本人が自分の端末で履歴を削除しても、元データはどこかに残っているような気がします。
国家組織が、組織を維持するために個人の情報を利用する。そのとき、個人の都合は聞かない。
そんな話です。
素材をじょうずに組み合わせて、お話がつくってありました。
推理小説を読みます。警察モノです。
背中の蜘蛛という言葉からは、背中に蜘蛛の入れ墨がある人間がいるという発想が生まれます。さて、どうなりますか。(入れ墨は関係ありませんでした)
『第一部 裏切りの日』
本宮夏生(もとみや・なつお):池袋署刑事課長(彼が語りながら物語が進行していきます)。眼鏡をかけている。53歳か54歳ぐらい。成人した娘がひとりいる。娘は大学卒業後、神戸の電子医療機器メーカーに勤務している。今は、ひとり暮らし。15年前に妻を胃がんで亡くした。
担当係長、統括係長。制服職場、上下関係のきつい職場です。指示・命令と服従が基本です。
組対(そたい):組織犯罪対策課。
上山:本宮夏生刑事課長が渋谷署にいたときの後輩。富坂(東京都文京区東京ドーム北西)の近くにある、『サイバー攻撃対策センター』に配属されて日が間もない。公安担当(国家体制を脅かす(脅かす)事案担当)。アメリカ合衆国FBI(連邦捜査局)で10か月間の研修を受けて帰国して2週間がたったばかり。細身の美男子。係長職。45歳か46歳。
浜木和昌(はまき・かずまさ):ガイシャ(殺人事件の被害者)。43歳。定職なし。転々としていた。住所は、川崎市多摩区登戸(のぼりと)。
9月25日20時19分、西池袋五丁目において、遺体で見つかった。(目白署との境)。目撃者なし。死因は腹部の刺し傷。刺されたあと歩いた形跡あり。傷害致死か。
浜木名都(はまき・なつ):浜木和昌の妻。江戸時代とか室町時代ぐらいの古風な顔立ちの女性。目が細くてのっぺりとしている。
西池袋五丁目路上男性殺人事件特別捜査本部:池袋署7階講堂。総勢55名で捜査開始。
防犯カメラに5人の男が映っている。そのうちの黒っぽいスーツの男が怪しい(あやしい)。
<人がたくさん出てきます。家で使用済みになったカレンダーの裏白い紙に登場人物名を書いて、整理整頓(せいりせいとん)しながら、内容を理解していきます。77ページで、第一の殺人事件が解決しました。この本は、個別の事件解決を紹介するというよりも、警察組織の上層部にいる人間同士のあれやこれやをあぶりだすことがテーマのように見受けられます>
SSBC:捜査支援分析センター
『第二部 顔のない目』
渋谷区千駄ヶ谷二丁目、北参道駅あたり。それから、杉並区浜田山三丁目、西永福駅あたり。
警察職員がたくさん出てきます。薬物売人逮捕のための捜査です。
植木範和(うえき・のりかず):警視庁所属。警部補。35歳。妹がいる。実家は山梨。父は死去。母は存命
佐古充之(さこ・みつゆき):高井戸署所属。巡査部長。29歳
千倉葵(ちくら・あおい):キャバ嬢。
森田一樹(もりた・かずき):25歳無職なれど、薬物の売人。身長180cm以上。千倉葵と関係がある。
Nシステム:自動車ナンバー自動読取装置。
ナカジマアキラ:薬物所持者
浅沼係長:捜査一課
本宮管理官(もとみやかんりかん):捜査一課(第一部の本宮夏生。人事異動で、池袋署から警視庁へ移った。刑事課長から管理官になった。管理官も課長職)
漢(おとこ):男子という意味
湾岸署:東京湾岸警察署。江東区
違法薬物:大麻、覚せい剤、MDMA(合成幻覚剤)
17日:中島逮捕
特捜部(特別捜査本部):警視庁捜査一課が仕切っている。
階級:巡査→(巡査長(正式名ではないそうです))→巡査部長→警部補→警部(係長職)→警視→警視正→警視長→警視監→警視総監
刑事部、組織犯罪対策部、生活安全部、地域部、公安部(国家警察)。
なにやら、組織の中のかけひきとかがありそうな小説の内容です。事件よりも、そちらのほうがメインぽい。
タレコミ:密告、裏切り、内通(ないつう)
サツカン:警察官
捜査一課 本宮管理官:特別捜査本部の最高責任者
『第三部 蜘蛛の背中』
冒頭は不思議な記述です。
意識もうろうとした状態で、だれが、語っているのかわからない文章が続きます。
理(おさむ):この人物男性がひとり語りをしています。
涼太(りょうた):飲み屋で理と知り合った。27歳。父親の顔は知らない。母親もよくわからず、母親は癌で死んだ。涼太が小学校三年生、姉の幹子が中学二年生だった。その後、悲惨な暮らしが続いている。施設ではなく、異母兄安藤光雄が世話してくれたが、異母兄はハングレ(準暴力団員)だった。生活費の面倒はみてくれたが、暴力で支配された。
幹子(涼太の姉):姉と弟涼太のふたり暮らし。身長170cmにとどくぐらい。涼太も幹子も不幸な家庭に生まれて苦労して、今は、ハングレ(やくざ者。準暴力団。異母兄安藤光雄)の支配下におかれて、違法行為をしている。かなりすさんだ暮らしをしている。
理のひとり語りが途絶えて、ひと区切りついたあと、情景描写は、警察関係の場所に移りました。
上山章宏:警察官。係長職。官舎住まい。46歳ぐらい。妻咲子165cmぐらい、長男蓮(れん)16歳、長女唯(ゆい)10歳ケータイが欲しいが父が許さない。
ねまわし、下地づくりをして上司長谷川管理官にプランをあげることが仕事。調整役。警務部人事二課、刑事部捜査一課、操作支援分析センターほかの幹部・関係者と調整を図る。
國見健次:警部補。統括主任。上山章宏にとって、年上の部下。52歳ぐらい。
松尾信晴:警部補。担当主任。元公安二課極左担当43歳
天野照良:警部補。担当主任。36歳独身。元SE(システムエンジニア)運三(警視庁総務部情報管理課運用第三係)の創立メンバーで、経験は2年7月。以前の所属は、生活安全部のサイバー犯罪対策課。松尾信晴と天野照良は、ステングレイによる張り込みの交代要員。
ステングレイ:携帯電話の番号で、電波の発信地を見つける装置。アメリカのハリス社が開発した携帯端末の追跡と盗聴を可能にする装置。ステングレイは、海にいる魚、『アカエイ』という意味。
阿川喜久雄:巡査部長。警視庁総務部情報管理課運用第三係所属と刑事部捜査支援分析センター職を併任。
向野哲郎(こうの・てつろう41歳)、荒山:運用第三係のメンバー。刑事畑での経験が豊富。
理(おさむ)という男は何者なのかを想像する読書です。
理はなんだかフラフラです。認知症の症状みたいです。薬物中毒かとも思えたりします。
お金ももっていません。
涼太は、まっとうな人間ではないでしょう。涼太は、理を犯罪行為で利用するでしょう。(利用はしませんでした)。
下井草駅:杉並区。西武新宿線。
高田馬場駅:新宿区
愛宕警察署の隣に警視庁新橋庁舎12階建てがあって、最上階が、上山章宏の職場。コールセンターのような部屋。パソコンが並んでいる。『捜査員』はいない。『技官』がいる。そこを、『平場』という。捜査員の部屋が、『奥』という。窓はどこにもない。部署名は、『警視庁総務部情報管理課運用第三係』
特殊詐欺の主犯格のアカウント。
アカウントで犯人をシステム上で追跡するようです。
鑑取り(かんどり):容疑者等の人間関係を調べる。
タレコミで容疑者逮捕の事案が二件あって、タレコミの主が警察職員らしいことに疑問をもった本宮夏生であった。
タレコミを受けたのは、佐古充之(さこ・みつゆき):高井戸署所属。巡査部長。29歳。
前回、本宮夏生にタレコミしたのは、警視庁の小菅捜査一課長だった。今の捜査一課長は、徳永警視正。同じ携帯電話の番号を使っているはず。殺人班の浅沼係長がからんでいるはず。そもそもタレコミはなかったのではないか。タレコミ以外の状態で、情報が提供されたのではないか。
デジタル犯罪とか、デジタル捜査のたいへんさが書いてあります。警察内でUSBメモリなどの情報量映画内容に厳しい管理体制がしかれていて、異変があったときは、システムがストップする仕組みになっています。
マルA:ステングレイ。携帯電話の電波の発信地を探す機器。
マルC:新橋庁舎にある総合検索システム、『スパイダー』(「蜘蛛」。この小説のタイトル蜘蛛の背中と関係があるのだろうか)。
預金詐欺事案:ネット空間で、預金が吸い取られて消えていく。どこに入金されていくのかがわからない。イットコイン:アメリカ発祥の暗号資産。
違法薬物の事件。
複数の事件が、重なって進行していきます。
サーフウェブ:一般的なパソコンユーザーが触れているネットワークの空間。インターネットの表層にある。検索エンジンで探すことができる。無料で閲覧できる。インターネット内に占める割合は1%未満
ディープウェブ:アクセス権をもつ限られたメンバーだけが閲覧できるページのこと。非公開ページ。有料サイト、有料動画配信サービス。インターネット内に占める割合は、99%以上
ダークウェブ:ディープウェブのさらなる奥底に存在する。一般のブラウザ(グーグルクロームとか)ではアクセスできない。専用のソフトウェアが必要になる。
匿名性が高い。違法薬物、偽造免許、偽造パスポート、偽札、違法ポルノ、児童ポルノ、改造拳銃、正規の軍用拳銃、爆弾、(この部分の記述を読んで、なるほどと感心しました。わかりやすい)
こだわりがあります。
薬物の売人である中島晃は、『ナカジマ・アキラ』と読むのか、『ナカシマ・アキラ』と読むのか。(なるほど)
捩じ込む:ねじこむ。(読めませんでした)
DOR:ダイレクト・オニオン・ルーター。タマネギのようになっている。皮を何度もむかないと核心に到達できない。
伝々(でんでん):次から次へ。
どん底の生活があります。
ちっぽけな弱者
理(おさむ)が動き出しました。
321ページまで読んで、かなり時間をかけて、ゆっくり調べて、状況を把握しながら読んでいます。
情報量は多いのですが、話自体は、シンプルにゆったりと進んできています。
全体で573ページあるので、あと252ページです。
これからどうなるのだろう。
(つづく)
朝陽新聞の記者 宇治木丈博(うじき・たけひろ):殺された。
PRS:台湾の総合電機メーカー
アース・エレクトロニクス:国内電子機器メーカーとヤマト電通:自衛隊が使用する防衛装備品等の開発をしている。
どうも、警視庁の情報管理機器のデータが何者かに乱されているらしい。
マルウェア:コンピューターの正常な動作を妨げたり(さまたげたり)、データやシステムの破壊等を行う、悪意を持って開発されたソフトウェアの総称。
サイバー戦争:コンピューターネットワーク上で行われる戦争。敵からのサイバーテロ(破壊行為)とシステムの防御・反撃。
防御だけではなく、相手のシステムをダウンさせる。反撃能力がないときは、ネットから離脱する。離脱すれば、ハッキングはされない。(乗っ取り)。
第二勾留(こうりゅう。取り調べのために拘束する(こうそく)):複数の罪を勾留理由にする。二番目の理由での勾留が第二勾留。
『テクノロジーは、人を幸せにもするけれど、確実に不幸せにもする……(いまどきの、スマホアプリを使った犯罪のあれこれを思い浮かべる言葉です)』
『蜘蛛(くも)』がネット上を回遊している。蜘蛛=警視庁が、ネット上に犯罪情報がないかと見回っている。『蜘蛛』の背中をよしよしとなでる犯罪者がいる。『蜘蛛』は、犯罪者の言いなりになる。
蜘蛛=スパイダー=米国が開発した通信監視、検索、分析プログラム。
だんだん話が見えてきました。
犯人は、バックドアをつくって、バックドアからシステムに入ってくる。
昔、組織運営の研修で習った言葉を思い出します。
『組織は、外部からの力ではなく、内部からの力で崩壊する。』
『……この三十年、四十年で我々が住む社会は、生きる世界は、大きく様変わりしてしまった。』(善意を悪用する人間が増えました)。
439ページに、『世界の真実がどれほど残酷か、この男にはわかるまい』とあるのを読んで、そのあとの記述も含めてですが、この人たちだけの世界で通用する事柄だと感じました。『違法捜査』は、ちゃんと暮らしている一般人にとっては、興味のないことです。人間界は、それほど狭くはありません。ごく狭い世界での警察と犯罪との戦いが繰り広げられています。
必要悪:良くないことではあるが、社会を維持していくうえでやむを得ず必要であること。
447ページまで読んできて、ようやくこの小説のテーマが見えてきました。長かった。
読んでいて、『幸せって何だろう?』という気持ちになりました。きれいごとだけでは生活していけません。理想を追うことは大事ですが、現実を乗り切ることはもっと大事です。ブレーキを踏みながらアクセルを踏む行為ですから、慎重にやらねば事故になります。
肚括って:はらくくって。覚悟を決めて。
本宮は先輩で、上山は後輩
システムを使う人間の行為によって、不幸な事件が起きる。
携帯電話は弄る(いじる):読めませんでした。
フロントガラスが、斑(まだら)に曇っている:同じく読めませんでした。
読んでいて、3000万円というお金で済む話ではないと思う。
こういう結末にしたのか。う~む。なんと言っていいのか思いつかない。
鬼畜(きちく):心のある人間のすることではない。残酷な行為をする者
『信頼関係』のために、蜘蛛を取り除く。
心の病(やまい)があります。
変な人間がいます。(人間は権力をもつと気持ちの持ちようが変化します。支配者になるのです。自分は何をやっても許されると勘違いするのです)。
いろいろ理屈はありますが、職員が定年退職すると終わってしまうことです。
法令に寄りかかってやるしかない事柄なのでしょう。
全体で564ページを一週間ぐらいかけて読みました。
読書をしたという実感がひたひたと湧いてきて満足しました。
いい作品でした。よかった。
事件が起きる。
表向きの理由がある。
裏向きの理由で本音(ほんね)が出る。
個人に番号を付けて特定して、行動を記録して、保存しておいて、なにかあったら、組織が利用する。考えてみれば、マイナンバーカードとか、交通系ICカードとか、クレジットカードを使った時のデータは、どこかに集約されて保存されているのでしょう。
その人が、いつどこで電車に乗っていくら使って、どんな病気でどこの病院にかかって、どんな薬をどれだけもらって、お金の出し入れはいつどこでいくら動かして…… いろいろなことが本人の知らない間に、電子データを管理運営する組織で働く他人が知ることになる。
本人が自分の端末で履歴を削除しても、元データはどこかに残っているような気がします。
国家組織が、組織を維持するために個人の情報を利用する。そのとき、個人の都合は聞かない。
そんな話です。
素材をじょうずに組み合わせて、お話がつくってありました。
2024年12月19日
『ねこはい 南伸坊』と、『ねこはいに』
『ねこはい 南伸坊(みなみ・しんぼう) 青林工藝社(せいりんこうげいしゃ)』と、『ねこはいに』
南伸坊:編集者、イラストレーター、エッセイスト 1947年(昭和22年)生まれ77歳
『わたしの、本のある日々 小林聡美(こばやし・さとみ) 毎日文庫』で紹介されていた本です。もう一冊、『ねこはいに』と合わせて読んでみます。『ねこはいに』は、『ねこはい』の二冊目という意味です。
まず、『ねこはい』からです。
絵本だと思っていたら違いました。俳句集でした。
『まえがき』に、ねこがはいくをつくるから(じっさいは、南伸坊さんがつくるのですが)、『ねこはい』だそうです。五・七・五の俳句です。だから、次の本は、『ねこはいに』なのか。なるほど。
文章は、ひらがなでできています。
絵も南伸坊さんです。自費出版みたいなつくりです。(じっさいは、商業出版です)
数えたら、24の俳句がありました。
わたしは、俳句のことについて詳しくはないのですが、一句ずつ、噛みしめるように読むと、それぞれ味わいがあります。
ねこの立場に立ってつくった俳句だそうです。なぜねこの立場でつくるのかを考えました。
きっと猫がお好きなのでしょう。
絵がおだやかで、落ち着きます。
絵本みたいです。
ねこがいて、金魚がいて、てるてるぼうずやらカエルやらがいます。
気に入った一句です。
『どろぼうと ののしるこえを おいぬいて』
黒いねこがさんまを口にくわえて走って行きます。
もうひとつ。
『おおぞらに くもひとつなし ひるのつき』
ねこも青空が好きなのでしょう。
ねこが煮干しを17匹食べて満腹(まんぷく)のようすですが、最近のねこは、煮干しを食べてくれません。キャットフードか、かつおぶしがいいらしい。
先日、公園でノラネコにエサをやっている人がそんなものを与えているのを見ました。
この句がとてもいい。気に入りました。
『ゆきだるま いつあっても むくち……』
変な絵が出てきました。
壁から白い木の棒のようなものが突き出ています。少々長い棒です。
なにかをひっかけるのだろうか?
俳句の中にある言葉で、『こぞことし』の意味がわかりませぬ。
調べました。こぞことし=去年今年だそうです。新年の季語だそうです。むずかしいですな。
尻切れトンボのような終わり方でした。
『……ニャー』とあります。
『ねこはいに 南伸坊(みなみ・しんぼう) 青林工藝社(せいりんこうげいしゃ)』
「ねこはいを、もう一冊だしてもいいといわれたので、また猫になって書きました」とあります。おもしろい。
絵には自然がいっぱいあります。
海、野生の草花、ひまわり、セミ、あかとんぼ、季節の歳時記です。さいじき:季節を表現する俳句を載せた書物。
ねこの気持ちになる。いぬの気持ちとは違うのでしょう。
『う』にてんてんのひらがな単語がありますが、このノートパソコンではその文字が出ません。ヴィオロンです。フランス語で、バイオリンです。うに点々が、ヴの部分です。
ひらがな文章です。味わいがあります。
あんか:見かけなくなりました。暖房のための用具。冬、寒い時期に、布団に入れて、足もとを温める。
うすらひ:薄く張った氷。薄ら氷(ひ)。
はつすずめ:元旦の雀(すずめ)のこと。雀のさえずりのこと。
ゆきうさぎ:雪で体をつくり、目はナンテンの実、耳はユズリハの葉でつくる。
観察する。散歩する。徘徊(はいかい。うろつく)する。俳句づくり、言葉さがしです。
ひざかり:太陽が盛んに照りつける。
上品な俳句集でした。
南伸坊:編集者、イラストレーター、エッセイスト 1947年(昭和22年)生まれ77歳
『わたしの、本のある日々 小林聡美(こばやし・さとみ) 毎日文庫』で紹介されていた本です。もう一冊、『ねこはいに』と合わせて読んでみます。『ねこはいに』は、『ねこはい』の二冊目という意味です。
まず、『ねこはい』からです。
絵本だと思っていたら違いました。俳句集でした。
『まえがき』に、ねこがはいくをつくるから(じっさいは、南伸坊さんがつくるのですが)、『ねこはい』だそうです。五・七・五の俳句です。だから、次の本は、『ねこはいに』なのか。なるほど。
文章は、ひらがなでできています。
絵も南伸坊さんです。自費出版みたいなつくりです。(じっさいは、商業出版です)
数えたら、24の俳句がありました。
わたしは、俳句のことについて詳しくはないのですが、一句ずつ、噛みしめるように読むと、それぞれ味わいがあります。
ねこの立場に立ってつくった俳句だそうです。なぜねこの立場でつくるのかを考えました。
きっと猫がお好きなのでしょう。
絵がおだやかで、落ち着きます。
絵本みたいです。
ねこがいて、金魚がいて、てるてるぼうずやらカエルやらがいます。
気に入った一句です。
『どろぼうと ののしるこえを おいぬいて』
黒いねこがさんまを口にくわえて走って行きます。
もうひとつ。
『おおぞらに くもひとつなし ひるのつき』
ねこも青空が好きなのでしょう。
ねこが煮干しを17匹食べて満腹(まんぷく)のようすですが、最近のねこは、煮干しを食べてくれません。キャットフードか、かつおぶしがいいらしい。
先日、公園でノラネコにエサをやっている人がそんなものを与えているのを見ました。
この句がとてもいい。気に入りました。
『ゆきだるま いつあっても むくち……』
変な絵が出てきました。
壁から白い木の棒のようなものが突き出ています。少々長い棒です。
なにかをひっかけるのだろうか?
俳句の中にある言葉で、『こぞことし』の意味がわかりませぬ。
調べました。こぞことし=去年今年だそうです。新年の季語だそうです。むずかしいですな。
尻切れトンボのような終わり方でした。
『……ニャー』とあります。
『ねこはいに 南伸坊(みなみ・しんぼう) 青林工藝社(せいりんこうげいしゃ)』
「ねこはいを、もう一冊だしてもいいといわれたので、また猫になって書きました」とあります。おもしろい。
絵には自然がいっぱいあります。
海、野生の草花、ひまわり、セミ、あかとんぼ、季節の歳時記です。さいじき:季節を表現する俳句を載せた書物。
ねこの気持ちになる。いぬの気持ちとは違うのでしょう。
『う』にてんてんのひらがな単語がありますが、このノートパソコンではその文字が出ません。ヴィオロンです。フランス語で、バイオリンです。うに点々が、ヴの部分です。
ひらがな文章です。味わいがあります。
あんか:見かけなくなりました。暖房のための用具。冬、寒い時期に、布団に入れて、足もとを温める。
うすらひ:薄く張った氷。薄ら氷(ひ)。
はつすずめ:元旦の雀(すずめ)のこと。雀のさえずりのこと。
ゆきうさぎ:雪で体をつくり、目はナンテンの実、耳はユズリハの葉でつくる。
観察する。散歩する。徘徊(はいかい。うろつく)する。俳句づくり、言葉さがしです。
ひざかり:太陽が盛んに照りつける。
上品な俳句集でした。
2024年12月17日
あめだま ペク・ヒナ作 長谷川義史・訳
あめだま ペク・ヒナ作 長谷川義史(はせがわ・よしふみ)訳 ブロンズ新社
先日読んだ、『ぼくは犬や ペク・ヒナ作 長谷川義史(はせがわ・よしふみ)訳 ブロンズ新社』と同じ作者、訳者の絵本です。
『ぼくは犬や』が、2020年(令和2年)の発行で、こちらの、『あめだま』が、2018年(平成30年)の発行です。
同じ登場人物が出てきます。
こどもさんの名前が、『ドンドン』という男の子で、『あめだま』のほうは8歳で、『ぼくは犬や』のほうは、3歳ぐらいに見えます。時系列でいうと順番が逆ですな。
こちらの、『あめだま』の絵本のほうが売れているようですが、わたしは、先日読んだ、『ぼくは犬や』のほうが好みです。『ぼくは犬や』のほうが好きですな。
ちなみに、犬のお名前は、『グスリ』です。
立体的な写真に見える絵本です。
リアルです。表情とか、とくに手のひらのしわとかが本物の人間の手みたいです。
紅葉がきれいな絵本でした。
葉っぱが、黄色とかオレンジ色です。
紅葉(もみじ)や、イチョウの木の葉っぱが地面に落ちて広がっています。
8歳(日本だと小学二年生)のドンドンが、犬のお散歩で、グスリの首に付いているヒモを引っ張っています。
ドンドンは、新しいビー玉が欲しいそうです。
文房具屋か雑貨屋のおじいさんが、ドンドンに、あめだまが入った袋をくれました。
袋には、6個のあめだまが入っています。
1個目のあめだま:ハッカ味。あめだまをなめると、しゃべらない物がしゃべる声が聞こえるという効果があるらしい。自宅の居間にあるリビングがしゃべる声が聞こえてきます。
読んでいて、笑いました。ソファーが言います。お~れの(ソファーの)わき腹にテレビのリモコンがはさまっているから取ってほしい。わき腹が痛いそうです。
あわせて、キミのパパの『おなら』がつらい。息ができんと訴えてきます。おもしろい。
2個目のあめだま:犬のグスリが話す声が聞こえてきました。自分はもう年寄りの犬で、若い頃のような元気はなくなってきているから、いっしょに駆け回って遊ぶのもほどほどにしてちょうだいとドンドンに相談しています。走り回ることがしんどい年齢だそうです。グスリはおじいちゃんになってしまったのね。(人間のおじいちゃんみたいです)
突然パパがでてきて、ドンドンに、ああしろ、こうしろと命令と指示が山のように出てきました。
ページいっぱいに、ああしろ、こうしろと文字が書いてあります。
しゅくだいしたんか? おもちゃちゃんとかたづけろ……
うっとおしいなあ。
3個目のあめだまをなめました。どういうわけか、『すき(好き)』の連呼です。
なんだかんだ言われても、ドンドンは、パパが好きということを表現したのでしょうが、読んでいるわたしには、ちょっと意味がわかりませんでした。
パパの愛情に感謝なのでしょうが、あまりにも指示や命令が多すぎます。(そういえば、この家にはママがいません。わけありですな)。
4個目のあめだま:おばあちゃんの声が聞こえてきました。先日読んだ、『ぼくは犬や』に出ていたおばあちゃんは、それから5年ぐらいが過ぎた設定で、こちらの絵本では亡くなっています。
2冊の絵本の出版時期と内容が前後していますが、あとから出版された絵本のほうが、時代をさかのぼっています。
おばあちゃんの声は元気です。(ゆうれいのおばあちゃんです)
『ドンドンや。元気にしてるか?』。おばあちゃんは、女学校のときの友だちみんなと会ったそうです。(天国で)。
おばあちゃんから、ドンドンは、ともだちとぎょうさん走って遊びなはれとアドバイスがあります。
5個目のあめだま:たぶん公園でしょう。紅葉がとてもきれいです。遠くにぼんやり人の姿が見えます。バイバイの声が聞こえてきました。
6個目のあめだま:声は聞こえてきません。だから、ドンドンから声をかけました。『ぼくと いっしょに あそべへん?』。新しいともだちの出現です。公園にいた子どもに声をかけました。
りくつっぽいかなと思います。
あとは、詩的です。
なにせ、紅葉の背景が美しい。
なんとなく、心が温まる、少年の心理でした。
先日読んだ、『ぼくは犬や ペク・ヒナ作 長谷川義史(はせがわ・よしふみ)訳 ブロンズ新社』と同じ作者、訳者の絵本です。
『ぼくは犬や』が、2020年(令和2年)の発行で、こちらの、『あめだま』が、2018年(平成30年)の発行です。
同じ登場人物が出てきます。
こどもさんの名前が、『ドンドン』という男の子で、『あめだま』のほうは8歳で、『ぼくは犬や』のほうは、3歳ぐらいに見えます。時系列でいうと順番が逆ですな。
こちらの、『あめだま』の絵本のほうが売れているようですが、わたしは、先日読んだ、『ぼくは犬や』のほうが好みです。『ぼくは犬や』のほうが好きですな。
ちなみに、犬のお名前は、『グスリ』です。
立体的な写真に見える絵本です。
リアルです。表情とか、とくに手のひらのしわとかが本物の人間の手みたいです。
紅葉がきれいな絵本でした。
葉っぱが、黄色とかオレンジ色です。
紅葉(もみじ)や、イチョウの木の葉っぱが地面に落ちて広がっています。
8歳(日本だと小学二年生)のドンドンが、犬のお散歩で、グスリの首に付いているヒモを引っ張っています。
ドンドンは、新しいビー玉が欲しいそうです。
文房具屋か雑貨屋のおじいさんが、ドンドンに、あめだまが入った袋をくれました。
袋には、6個のあめだまが入っています。
1個目のあめだま:ハッカ味。あめだまをなめると、しゃべらない物がしゃべる声が聞こえるという効果があるらしい。自宅の居間にあるリビングがしゃべる声が聞こえてきます。
読んでいて、笑いました。ソファーが言います。お~れの(ソファーの)わき腹にテレビのリモコンがはさまっているから取ってほしい。わき腹が痛いそうです。
あわせて、キミのパパの『おなら』がつらい。息ができんと訴えてきます。おもしろい。
2個目のあめだま:犬のグスリが話す声が聞こえてきました。自分はもう年寄りの犬で、若い頃のような元気はなくなってきているから、いっしょに駆け回って遊ぶのもほどほどにしてちょうだいとドンドンに相談しています。走り回ることがしんどい年齢だそうです。グスリはおじいちゃんになってしまったのね。(人間のおじいちゃんみたいです)
突然パパがでてきて、ドンドンに、ああしろ、こうしろと命令と指示が山のように出てきました。
ページいっぱいに、ああしろ、こうしろと文字が書いてあります。
しゅくだいしたんか? おもちゃちゃんとかたづけろ……
うっとおしいなあ。
3個目のあめだまをなめました。どういうわけか、『すき(好き)』の連呼です。
なんだかんだ言われても、ドンドンは、パパが好きということを表現したのでしょうが、読んでいるわたしには、ちょっと意味がわかりませんでした。
パパの愛情に感謝なのでしょうが、あまりにも指示や命令が多すぎます。(そういえば、この家にはママがいません。わけありですな)。
4個目のあめだま:おばあちゃんの声が聞こえてきました。先日読んだ、『ぼくは犬や』に出ていたおばあちゃんは、それから5年ぐらいが過ぎた設定で、こちらの絵本では亡くなっています。
2冊の絵本の出版時期と内容が前後していますが、あとから出版された絵本のほうが、時代をさかのぼっています。
おばあちゃんの声は元気です。(ゆうれいのおばあちゃんです)
『ドンドンや。元気にしてるか?』。おばあちゃんは、女学校のときの友だちみんなと会ったそうです。(天国で)。
おばあちゃんから、ドンドンは、ともだちとぎょうさん走って遊びなはれとアドバイスがあります。
5個目のあめだま:たぶん公園でしょう。紅葉がとてもきれいです。遠くにぼんやり人の姿が見えます。バイバイの声が聞こえてきました。
6個目のあめだま:声は聞こえてきません。だから、ドンドンから声をかけました。『ぼくと いっしょに あそべへん?』。新しいともだちの出現です。公園にいた子どもに声をかけました。
りくつっぽいかなと思います。
あとは、詩的です。
なにせ、紅葉の背景が美しい。
なんとなく、心が温まる、少年の心理でした。
2024年12月16日
ぼくは犬や ペク・ヒナ作 長谷川義史・訳
ぼくは犬や ペク・ヒナ作 長谷川義史(はせがわ・よしふみ)訳 ブロンズ新社
心温まる絵本です。
親戚のちびっこにプレゼントする一冊にします。
登場する人物や動物が、立体的な絵の絵本です。
めずらしい。
人形みたい。
おもしろい。
優しい(やさしい)。
いい絵本です。
登場する犬のお名前:グスリ。犬種はポインターの子犬に見えます。
グスリの母親のお名前が、パンウリで、そのとき住んでいたのが、スーパーマーケットで、4匹の子犬が産まれて、グスリは、4匹目に生まれた子犬だったそうな。
そこから、もらわれた家が、今の家だそうです。
おとうちゃんとおばあさんと、ちびの男の子(お名前は、ドンドンで6歳。わるさをする。すぐ泣く。パンツにおもらしをする。おねしょもする)の三人家族です。
不思議なのは、グスリは犬種でポインターに見えるのですが、グスリの母親は、犬種がポインターではありません。
父親が、ポインターなのだろうか。
近所にいる犬の一覧が出てきます。29匹もいます。みんな家族、みんな仲間だそうです。
人間三人がお出かけして、グスリだけがお留守番で、さびしいな。
このへんを表現した絵がなかなかいい。(まだ、まだ、まだ、まだ、帰ってこない……(三人の帰宅を心待ちにしています))
グスリがお散歩に行くときの勢いがすばらしい!!
グスリには、6歳のこどもであるドンドンのめんどうをみなければならないという責任感があります。
うんこするのよ。グスリは、犬だから。そのへんで。うんこするのよ。ベッドの上で。いやーねぇ。 (おとうちゃんにしかられた)
優しい男の子のドンドンが、犬のグスリのところに来てくれました。
よかったね。
心温まる絵本です。
親戚のちびっこにプレゼントする一冊にします。
登場する人物や動物が、立体的な絵の絵本です。
めずらしい。
人形みたい。
おもしろい。
優しい(やさしい)。
いい絵本です。
登場する犬のお名前:グスリ。犬種はポインターの子犬に見えます。
グスリの母親のお名前が、パンウリで、そのとき住んでいたのが、スーパーマーケットで、4匹の子犬が産まれて、グスリは、4匹目に生まれた子犬だったそうな。
そこから、もらわれた家が、今の家だそうです。
おとうちゃんとおばあさんと、ちびの男の子(お名前は、ドンドンで6歳。わるさをする。すぐ泣く。パンツにおもらしをする。おねしょもする)の三人家族です。
不思議なのは、グスリは犬種でポインターに見えるのですが、グスリの母親は、犬種がポインターではありません。
父親が、ポインターなのだろうか。
近所にいる犬の一覧が出てきます。29匹もいます。みんな家族、みんな仲間だそうです。
人間三人がお出かけして、グスリだけがお留守番で、さびしいな。
このへんを表現した絵がなかなかいい。(まだ、まだ、まだ、まだ、帰ってこない……(三人の帰宅を心待ちにしています))
グスリがお散歩に行くときの勢いがすばらしい!!
グスリには、6歳のこどもであるドンドンのめんどうをみなければならないという責任感があります。
うんこするのよ。グスリは、犬だから。そのへんで。うんこするのよ。ベッドの上で。いやーねぇ。 (おとうちゃんにしかられた)
優しい男の子のドンドンが、犬のグスリのところに来てくれました。
よかったね。
2024年11月21日
書いてはいけない 日本経済墜落の真相 森永卓郎
書いてはいけない 日本経済墜落の真相 森永卓郎 三五館シンシャ(さんごかんしんしゃ)
わたしは、著者のことをほとんど知りません。
森永卓郎(もりなが・たくろう):経済アナリスト(分析家)、1957年(昭和32年)生まれ、67歳。2023年12月にがんであることを公表した。
お金の話(投資)かと思ってこの本を買いましたが、表紙を開いてみると、書いてあることは、①ジャニーズ事務所の話 ②財務省と統一教会の話 ③御巣鷹山に墜落した日航ジャンボ機の話 ④日本経済が墜落した話でした。週刊誌の記事みたい。
まあ、ざーっと読んでみます。
『まえがき』に、本当のことを言ったら、瞬時にメディアに出られなくなるとあります。
がんになったから、覚悟を決められたということもあるのでしょう。
ようやく出版を受けてくれる出版社が見つかったそうです。三五館シンシャ(さんごかんしんしゃ)は、一人で経営している出版社だそうです。以前、職業体験をされた一般人の方々が書いた同社の本を何冊か読んだことがあります。
『第1章 ジャニーズ事務所』
セクハラ行為のことが書いてあります。
人事権があるかなり年上の男が、支配下にある少年たち多数に対して、性的に異常な行為をしたのです。
わたしは、組織の上層部にいる人に、いい人はいないと思っています。組織の上層部にいる人の役割は、利潤の追求という目的を達成するために、自分より下の地位にある人間を将棋の駒のように動かしたり、扱ったりすることが仕事です。人情を排除して、非人間的な面を求められることもある立場です。
そして、人間には二面性があります。あんな感じがいい人が、あんなことをするのかと驚くこともあります。コワイ、コワイです。
勉強ができる頭のいい人たちは、事件や事故が起きたときに、自分や自分たちの都合がよくなるように、何も起きていない、何も起こらなかったという状況を想定することができる人たちです。オソロシイ人たちがいます。
人の気持ちや命よりも、自分たちの利益を優先することが、資本主義とか、社会主義、民主主義だと思っている人がいます。
マスコミ(マスメディア)は、正義ではありません。人心を誘導する力をもっているコワイ組織です。
カリスマ型人間がいます。生きている神さまです。生き神さま的立場の人のそばに、人がたくさん集まってきて、彼あるいは彼女と組織に心理をコントロールされて、組織の上層部にいる一部の人間だけが得をするシステムを構築します。古代卑弥呼(ひみこ)の時代から続く人間界のありようです。人間界には、天才的な詐欺師(さぎし)がいます。そこに(彼や彼女、そして、組織に)お金が集まるのです。
日本には、『長い物には巻かれろ』ということわざがあります。(自分よりも強い相手にはさからわない。そのほうが自分にとって得になる)。
先日、NHKスペシャルでジャニーズ事務所の件について、報道番組が流れていました。わたしは見ていませんが、家族がその番組を見て、なにか話をしていました。闇(やみ)は深い。
『放置』が、モンスターを育てて、のさばらせた。モンスターをかばう身内である親族がいた。利益がからんだ関係者たちが口をつぐんだ。(黙った)。
いっけん対立する組織同士であっても、上層部同志は知り合いということもあります。私立中学校から大学までの同窓生であったり、ときには、仕事では対立する立場であっても、お互いに親族関係があったりもするでしょう。
グル(仲間)なのです。対立する立場であっても、互いが組んで、権力を思いのままに操作できる人間関係とシステムがあります。同じ箱(類似職業世界)の中でなら、やれることです。
自分や自分のグループが被害を受けなければ、他人がどうなってもいいという感覚が、身にしみついている人がいます。
抗拒不能(こうきょふのう):抵抗できない。
2003年7月東京高等裁判所判決:加害者と事務所による名誉棄損で出版社を訴えた裁判の判決は、加害者による性被害を認めた。民事事件だった。
2004年2月、最高裁が上告を棄却。高裁の判決が確定した。明らかに刑事事件に該当する事件だった。
警察は動かなかった。マスコミは騒がなかった。
以降も性被害は続いた。
おぞましい。(ぞっとする。不気味(ぶきみ))。
芸能界だから、そんなこともあるだろうで、見すごされたのか。
それに耐えて、売れるのが、芸能人の仕事ぶりと判断されたのだろうか。
なんともひどい世界ですが、一般企業で同じようなことがあってもおかしくはありません。
事務所のタレントは、まじめで、努力家で、人間性も豊かだったとあります。
著者が理解できなかったのは、なぜ一般人の女性たちが、彼らのようなタレントに熱狂するのかという点だったそうです。
かれらよりもかっこいい男子は、一般社会にもいる。(彼女たちは洗脳されている。マインドコントロール)。
まだこどもの頃から、タレントを育てる。タレントを、自分が育てた自分の創作物とする気持ちが女性の側にあるそうです。
熱狂する女性たちと同じ感覚を、異常な性的志向をもっていた加害者が有していた。
事務所には、テレビ界・芸能界に対する『圧力』という武器があった。お金の流れと、うっとうしさという側面がある『圧力』だった。
なにかしら、きついことがいろいろ書いてあります。
事務所の記者会見をわたしもテレビで見ましたが、表面上はおだやかな話し方でも、じっさいにあった事実は、この本によるとかなりひどくきつい。不信感はつのるばかりです。
なんというか、芸能界とかテレビ界では重要なことなのでしょうが、暗黙の忖度(そんたく。相手に言われなくても相手にとって有利な方向へ話を導く)とか、芸能界でのおかしな慣例の事例を読むと、利害関係にない者からすると、ばかばかしい行為に思えます。違法行為とも思えるテレビ局から事務所に対する忖度(そんたく)があります。
人間のまっすぐな心がゆがめられています。ひどい。
性加害を意図的に表に出さない、『共犯者、共犯組織』があります。さらに、それぐらいいいじゃないかという意識もあります。鬼や悪人がいます。日本人社会にありがちな傾向です。
人間の(日本人の)もつ闇の部分が、イギリスの放送局によって(外国人によって)暴かれて(あばかれて)います。日本人社会によくある、『同調圧力』です。だれかを助けるために、だれかをみんなでいじめるのです。自分たちの反対勢力を徹底的に叩く(たたく)のです。犠牲者がいます。まるで生贄(いけにえ)のようです。
ふりかえってみると、昭和の時代は、いいところもありましたが、前記したようなよくないところもありました。みんなの感覚が鈍って(にぶって)いました。
テレビ局の中にも役所のような縦割り行政のようなものがあることは、本を読んで初めて知りました。『報道番組部門』と『バラエティ番組部門』です。両者に壁があるそうです。
事務所の権力は、『恐怖による支配』だったそうです。
わたしは、テレビ報道は、人心を操作することができるので、気をつけなければならないと思っています。
情報を丸のみにして信じてはいけないと常日頃から思って番組を見ています。
報道されたとおりに、未来がそうならないこともままあります。
テレビの人は、予想がはずれても知らん顔です。
わたしはテレビやネットの情報をあてにしていません。ニュース報道や解説、出演者の発言などは、たいてい疑いながら見たり聞いたり読んだりしています。本当だろうか? だまされないぞという意識です。
バーター(抱き合わせ):売れているタレントを出演させる引き換えに若手を売り込む。
人権感覚が、鈍い(にぶい)とあります。
『第2章 ザイム真理教』
う~む。78ページまで読んで思ったことです。
センセーショナル(人の心をかきたてる。かきまわす。あおる。ゆすぶる。あっといわせる)に書いてある。おおげさに感じます。それから、もう終わったことです。いまさらという気持ちも湧きます。著者はあせっているのか……
財務省のことが書いてあります。
『税金』の話です。
ときおり、税収が増えたと、いいことがあったかのようなニュースが流れます。
税収が増えることは、本当にいいことなのだろうか。
喜ぶのは、税金徴収とそれをもとに予算をつくたり、執行したりする関係者だけではなかろうか。
財務省という組織の体質は、芸能事務所と同じ、カルト教団(教団の上層部が、信者から財産を搾取(さくしゅ。ぶんどる。しぼりとる)する)と同じというような書きぶりです。
アベノミクスについて書いてあります。
2012年(平成24年)12月発足第二次安倍晋三政権の政策です。
おもに、異次元の金融緩和と財政出動です。大規模な資金供給拡大があったとあります。
物価が下がる。給料が上がらないという時代が長らく続いていたが改善のきざしがあった。それなりの良い効果があった。
2014年(平成26年)4月に消費税を5%から8%に上げたとたん、経済は冷えた。アクセルを踏みながらブレーキを踏んだようなものだった。
いろいろ書いてあります。
内容は、国から(財務省から)、補助金(利益)を受けている有名人・有名企業は、国の(財務省の)味方である。(だから、増税に賛成する。利益をもらったお返しに、増税をPRするための広告塔の役割を果たす。もちつもたれつ)ということです。
そして、財務省の方針(増税)に反対する個人や法人には、税務調査に入って、不正があったとして、税金を追加徴収して、さらしものにするという制裁を課すのです。税務職員には、裁量権があるので、グレーゾーンにあたる行為に対しては、特定の意思をもって、いやがらせが合法的にできるそうです。
お金と人事の権力をもっている幹部や特定の職員が頂点に立って、政治家も国民も自らの支配下に置こうとしているのです。(なんだかすごい話です。極端な表現もあるような気もしますが……)
財務省内では、増税を『勝ち』、減税を、『負け』と呼ぶそうです。
『勝ち』を続けた人が、天下りができて得をするそうです。天下りができる人の数はそれほど多くはないらしい。(そこまでしてお金が欲しいのか)。
『増税』でふえた税収は、どこへ行ったのだろう?
著者は、景気上昇のために、消費税の減税を強く訴えています。
景気を良くして、所得税の税収を増やすことが社会を良くすると判断されています。
増税に代わる保険料の引き上げは、邪道(じゃどう。正しくないやりかた)だと主張されています。
83ページに、『高齢者は年金をもらいすぎている?』という項目があります。
わたしは、年金は、長生きをした人が得をする制度だと思っています。こまかくいえば、年金をもらう前に亡くなれば、納めた年金保険料はパーになるし、超高齢まで生きれば、納めた年金保険料よりも得をします。
基本的には、年金制度は世代間の支え合いですが、ふつうに考えると、貯金的感覚で、自分が納めた年金保険料という貯金を、歳をとって働けなくなったから食いつぶしていくという体感があります。
わたしはまず、これまでに自分がいくら年金保険料を納めたかを計算します。サラリーマンは給料からしっかり各種税金も各種保険料も差し引かれます。
次に、事業主負担がいくらだったかを把握します。合計の年金保険料をこれから先、何年生きたらペイ(消化、消費、元をとれる)できるかを計算します。事業主負担については、事業主が支払った年金保険料(個人が払う額と同額)ですが、わたしは、朝早くから夜遅くまで働いたサービス残業(無料奉仕。タダ働き)の分や仕事関係で自腹を切った自己負担分が事業主負担分だという理屈で自分の気持ちを納得させています。
預金や国債の利子もあったとして計算した合計額は、けっこう長く生きないと元は取り戻せません。
そして命は、いつ尽きるのかはわかりません。
高齢者が年金をもらい過ぎているという実感はありません。なぜなら、自分がすでに納めた保険料という自分のお金を返してもらっているという意識があるからです。
サラリーマンとして、イヤな仕事に耐え続けて年金保険料を納付してきた結果です。後ろめたさはありません。とても長い歳月にわたる忍耐と努力と根性の成果なのです。
権力者たちは、みんなグル(悪い仲間)で、自分たちの利益のために徒党(ととう。良からぬことをたくらむ集まり)を組んでいるというような書き方がしてあります。(すべてとは思えませんが、あたっている面もあるのでしょう。上級国民は、法に守られるのです)。
ときに、職務に忠実な正義を訴える公務員がうつ病になって自殺してしまいます。それでも悪人はケロっとしています。責任は感じません。責任を感じるような脳みそはもっていないのです。
お金と人事権をもっている部署は強い。
教科書に書いてある、『三権分立(さんけんぶんりつ。立法、行政、司法は、各自独立していて、権力の濫用(らんよう。むやみやたらに使う)はしないで、国民の権利と自由を守る』ということは、ないのです。特定の人と組織を守るのです。
本を読みながら、昔、公務員が不祥事をおかして損害を与えたときは、まずは、自治体なりが、賠償をして、その後、自治体なりが、不祥事をおかした本人に賠償請求をすると習ったことがありますが、あれは、そう文章に書いてあっただけで、現実に実行はされていないということなのだろうかと思いました。
『第3章 日航123便はなぜ墜落したのか』
すごいことが書いてあります。映画にできそうな内容です。
御巣鷹山(おすたかやま)に日航ジャンボ機が墜落して大事故になったとき、わたしは、帰省した九州福岡の実家でその時、そのテレビニュースを見ていました。
夕方のニュースでした。自分も飛行機で帰省をしていたので、他人事とは思えませんでした。大きなショックを受けました。
速報があったそのときは、たしかまだ、事故があったらしいジャンボジェット機の機体がどこにいるのか見つからないという報道でした。(自衛隊が墜落現場を特定したのは、公式発表で、翌朝4時39分とされている)。
ところが、それはウソだったと本に書いてあります。機体は、墜落直後に見つかっていた。自衛隊機の小型ジェット機が二機、ジャンボ機の後ろを飛んでいた。米軍機もすみやかに現場に到着していた。米軍のヘリも救援に駆け付けた。しかし、救出活動にストップがかかった。
そんな恐ろしい話が書いてあります。さらに、事故原因は、その後公表されたジャンボ機の機体後部にある圧力隔壁が破損したことによるものではない。圧力隔壁の破損が、過去の尻もち事故の修理に欠陥や問題があったのではない。そのとき自衛隊が実験だか練習だかで、なんとか(可能性として、「対艦誘導弾」)を発射したら、それが、偶然日航ジャンボ機の尾翼のまんなかあたりに当たってしまったそうです。だから、自衛隊はあわてて、二機の小型ジェット戦闘機で乗客乗員500人以上が乗ったジャンボ機を追いかけたのです。
そんな話、初めて聞きました。さらに、そのことに引き続いて、ひどい話がどんどん書いてあります。乗客乗務員の命は、国家の不祥事を隠すために犠牲になったのです。救出活動をすみやかに実行すれば、助かった命があった。
読み始める前、最初はこの部分を、航空機事故についてなにか問題があったようだが、いかんせん、もうずいぶん前のことだ、いまさらという気分で読み始めました。
1985年(昭和60年)8月12日18時12分発日本航空123便羽田→伊丹。18時56分群馬県にある御巣鷹山の尾根に墜落した。乗員乗客524人中520人が死亡した。
読んで、かなりショックを受けました。政府を始め、権力者たちはひどいことをします。そして、報道機関もグル(悪だくみの仲間)です。
裁判は、法律論で結論付けられる。人間の感情は度外視される。どがいし:無視される。
そうか、あれは、嘘(うそ)だったのか。
昔は、『(秘密を)墓場まで持って行く』と言ったものですが、最近は、持って行かない人が出てきました。
お互いに権利義務関係がなくなって、生活の糧(かて。お金)の心配がなくなると、がまんしていたものをがまんしなくてもすむようになります。
事故や事件を実行した関係者が亡くなると、公表の自由が保障されたりもします。
本当のことがわかる世の中に変化してきています。
それでも、亡くなった命が生き返ることはありません。人の世は非情です。
事実を確認できる証拠が示されていきます。
一般的に事件とか、事故の真実には、驚くべきものがあります。
本当のことは、当事者とそのそばにいて深く関りになる立場の者にしかわかりません。(報道等は、うわべだけのことです)。数式を解くように、公式とか論理で事実が進行していくわけではありません。
まさか、そんなことがあったのか、(普通は考えられないチョンボ(失策、エラー。うっかりミス))ということがあります。
あわせて、トラブルとか、チョンボは、単体で順番に起きるわけではありません。
複数のチョンボが、同時進行で、起きます。関連のないものが、最後に関連をもって、大きな事故や事件につながります。
だから、責任者の立場にある人は、危機管理の気持ちをゆるめてはいけないのです。チョンボは避けられません。だけど、被害を最小限に食い止める努力は、毎日必要です。
読みながらそんなことを考えました。
自衛隊は本当に国民を守ってくれるのだろうか。
自衛隊が守るのは、自衛隊という組織と自衛隊の関係者だけではなかろうか。
同様に、警察も、警察という組織と警察職員を守るためにあるのではなかろうか。
読んでいると、いろいろな不信感が増幅していきます。
マスコミも同様のパターンに思えてきます。
それが人間界の現実と限界なのでしょう。
考えが、『人間とは何か』にまで及んでいきます。
お金もうけは、じょうずに人心をあやつって、できるだけ多くの人から薄く広くお金を集めた人が成功するものと思えてきます。
日航ジャンボ機は、神奈川県にある横田基地に緊急着陸したかった。
だれかが、あるいは、どこかの組織が、その願いをはばんだ。
横田基地への着陸をあきらめたジャンボ機は、長野県内にあったレタス畑に着陸を考えた。それもかなわなかった。
証拠隠滅のために、自衛隊の特殊部隊が、証拠を焼いた。(第4エンジン)。
ジャンボジェット機に備え付けられていたブラックボックス(ボイスレコーダーとフライトレコーダー)を調べればわかるが、非公開となっている。情報開示をしない。もし公開しても、改ざん(変更)された情報が発表される可能性がある。
そんなことが書いてあります。
結局、権力者と権力を持つ組織は信用できない。
彼らは、自分たちの都合のよいように、歴史を書き換えてしまう。(外国ではありそうなことです)。
『第4章 日本経済墜落の真相』
プレゼンス:存在感。
歴史が流れていく中で、衰退していく日本企業の経済活動を解説されています。
繁栄を誇った1980年代(昭和55年代)がありました。
日航ジャンボ機墜落事故が、1985年(昭和60年)8月12日です。
同年9月22日プラザ合意(ニューヨークにあるプラザホテルに先進5か国の代表者が集まって、日本円の急激な円高をもたらす合意がなされた。1ドル240円台が、1987年年末に120円台まで円高になった。日本の輸出商品の現地価格がとても高くなった。(円高は、日本経済にマイナスの影響を与える)。輸出総額が年々減っていった。
1986年(昭和61年)9月2日に、日米半導体協定が締結された。(わたしは、この部分を読んでも理屈を理解することができませんが、世界シェア50%を超えていた日本の半導体産業は、このあとぼろぼろになったと書いてあります)
日航ジャンボ機墜落事故の原因をボーイング社に押し付けた反動(反作用)として、日本は米国の要求を飲んだという理屈立てになっています。
読んでいて、なかば信じられないのですが、現実には、そういうことってあるのだろうなあという気分になります。
責任は取りたくないけれど地位と名誉とお金が欲しい人が責任者になっているという構図です。あれこれ、策略を考えて、自分や自分の組織だけのために作戦を立てて実行する人です。
著者は、政府とか、国の幹部職員、日銀のやりかたを批判しています。
わたしもリアルタイムであの渦巻の中にいるような時代にいたわけで、思い出してみると、住宅ローンは高金利であり、ああもう自分は、一生、中古マンションも買えないとあきらめた時期がありました。
株式の持ち合い:取引関係にある企業間で、お互いに株式を持ち合う仕組み。企業の乗っ取り防止策。
不動産担保金融:金融機関が不動産を担保にとって融資をする。
不良債権:担保割れ。担保にした不動産に十分な価値がない。
2001年(平成13年)4月自民党総裁選がありました。小泉純一郎首相が誕生しました。
そのときのニュース番組でのご自身の質問発言をとても後悔されています。そのことが、小泉純一郎内閣の誕生につながったと判断されています。メンバーは、橋本龍太郎氏、麻生太郎氏、亀井静香氏、小泉純一郎氏です。コメントをしていた著者の前振りの言葉を起点にして、そのとき、小泉純一郎氏から、『私は自民党をぶっこわす。構造改革だ!』という発言が飛び出しています。小泉劇場が開幕したとあります。
アメリカ合衆国有利の政策がなされた。日本はアメリカの言いなりになった。
郵政民営化と不良債権処理だった。
元本保証のある郵便貯金を、元本保証のない投資信託に誘導する。
国民がコツコツ貯めてきたばく大な郵便貯金を、投資に回してもらって、そのお金を外国のハゲタカ組織が狙う(ねらう)という構図を解説されています。
読み終えると、もう日本の未来はだめなのかなあと、元気がなくなる本でした。
わたしは、著者のことをほとんど知りません。
森永卓郎(もりなが・たくろう):経済アナリスト(分析家)、1957年(昭和32年)生まれ、67歳。2023年12月にがんであることを公表した。
お金の話(投資)かと思ってこの本を買いましたが、表紙を開いてみると、書いてあることは、①ジャニーズ事務所の話 ②財務省と統一教会の話 ③御巣鷹山に墜落した日航ジャンボ機の話 ④日本経済が墜落した話でした。週刊誌の記事みたい。
まあ、ざーっと読んでみます。
『まえがき』に、本当のことを言ったら、瞬時にメディアに出られなくなるとあります。
がんになったから、覚悟を決められたということもあるのでしょう。
ようやく出版を受けてくれる出版社が見つかったそうです。三五館シンシャ(さんごかんしんしゃ)は、一人で経営している出版社だそうです。以前、職業体験をされた一般人の方々が書いた同社の本を何冊か読んだことがあります。
『第1章 ジャニーズ事務所』
セクハラ行為のことが書いてあります。
人事権があるかなり年上の男が、支配下にある少年たち多数に対して、性的に異常な行為をしたのです。
わたしは、組織の上層部にいる人に、いい人はいないと思っています。組織の上層部にいる人の役割は、利潤の追求という目的を達成するために、自分より下の地位にある人間を将棋の駒のように動かしたり、扱ったりすることが仕事です。人情を排除して、非人間的な面を求められることもある立場です。
そして、人間には二面性があります。あんな感じがいい人が、あんなことをするのかと驚くこともあります。コワイ、コワイです。
勉強ができる頭のいい人たちは、事件や事故が起きたときに、自分や自分たちの都合がよくなるように、何も起きていない、何も起こらなかったという状況を想定することができる人たちです。オソロシイ人たちがいます。
人の気持ちや命よりも、自分たちの利益を優先することが、資本主義とか、社会主義、民主主義だと思っている人がいます。
マスコミ(マスメディア)は、正義ではありません。人心を誘導する力をもっているコワイ組織です。
カリスマ型人間がいます。生きている神さまです。生き神さま的立場の人のそばに、人がたくさん集まってきて、彼あるいは彼女と組織に心理をコントロールされて、組織の上層部にいる一部の人間だけが得をするシステムを構築します。古代卑弥呼(ひみこ)の時代から続く人間界のありようです。人間界には、天才的な詐欺師(さぎし)がいます。そこに(彼や彼女、そして、組織に)お金が集まるのです。
日本には、『長い物には巻かれろ』ということわざがあります。(自分よりも強い相手にはさからわない。そのほうが自分にとって得になる)。
先日、NHKスペシャルでジャニーズ事務所の件について、報道番組が流れていました。わたしは見ていませんが、家族がその番組を見て、なにか話をしていました。闇(やみ)は深い。
『放置』が、モンスターを育てて、のさばらせた。モンスターをかばう身内である親族がいた。利益がからんだ関係者たちが口をつぐんだ。(黙った)。
いっけん対立する組織同士であっても、上層部同志は知り合いということもあります。私立中学校から大学までの同窓生であったり、ときには、仕事では対立する立場であっても、お互いに親族関係があったりもするでしょう。
グル(仲間)なのです。対立する立場であっても、互いが組んで、権力を思いのままに操作できる人間関係とシステムがあります。同じ箱(類似職業世界)の中でなら、やれることです。
自分や自分のグループが被害を受けなければ、他人がどうなってもいいという感覚が、身にしみついている人がいます。
抗拒不能(こうきょふのう):抵抗できない。
2003年7月東京高等裁判所判決:加害者と事務所による名誉棄損で出版社を訴えた裁判の判決は、加害者による性被害を認めた。民事事件だった。
2004年2月、最高裁が上告を棄却。高裁の判決が確定した。明らかに刑事事件に該当する事件だった。
警察は動かなかった。マスコミは騒がなかった。
以降も性被害は続いた。
おぞましい。(ぞっとする。不気味(ぶきみ))。
芸能界だから、そんなこともあるだろうで、見すごされたのか。
それに耐えて、売れるのが、芸能人の仕事ぶりと判断されたのだろうか。
なんともひどい世界ですが、一般企業で同じようなことがあってもおかしくはありません。
事務所のタレントは、まじめで、努力家で、人間性も豊かだったとあります。
著者が理解できなかったのは、なぜ一般人の女性たちが、彼らのようなタレントに熱狂するのかという点だったそうです。
かれらよりもかっこいい男子は、一般社会にもいる。(彼女たちは洗脳されている。マインドコントロール)。
まだこどもの頃から、タレントを育てる。タレントを、自分が育てた自分の創作物とする気持ちが女性の側にあるそうです。
熱狂する女性たちと同じ感覚を、異常な性的志向をもっていた加害者が有していた。
事務所には、テレビ界・芸能界に対する『圧力』という武器があった。お金の流れと、うっとうしさという側面がある『圧力』だった。
なにかしら、きついことがいろいろ書いてあります。
事務所の記者会見をわたしもテレビで見ましたが、表面上はおだやかな話し方でも、じっさいにあった事実は、この本によるとかなりひどくきつい。不信感はつのるばかりです。
なんというか、芸能界とかテレビ界では重要なことなのでしょうが、暗黙の忖度(そんたく。相手に言われなくても相手にとって有利な方向へ話を導く)とか、芸能界でのおかしな慣例の事例を読むと、利害関係にない者からすると、ばかばかしい行為に思えます。違法行為とも思えるテレビ局から事務所に対する忖度(そんたく)があります。
人間のまっすぐな心がゆがめられています。ひどい。
性加害を意図的に表に出さない、『共犯者、共犯組織』があります。さらに、それぐらいいいじゃないかという意識もあります。鬼や悪人がいます。日本人社会にありがちな傾向です。
人間の(日本人の)もつ闇の部分が、イギリスの放送局によって(外国人によって)暴かれて(あばかれて)います。日本人社会によくある、『同調圧力』です。だれかを助けるために、だれかをみんなでいじめるのです。自分たちの反対勢力を徹底的に叩く(たたく)のです。犠牲者がいます。まるで生贄(いけにえ)のようです。
ふりかえってみると、昭和の時代は、いいところもありましたが、前記したようなよくないところもありました。みんなの感覚が鈍って(にぶって)いました。
テレビ局の中にも役所のような縦割り行政のようなものがあることは、本を読んで初めて知りました。『報道番組部門』と『バラエティ番組部門』です。両者に壁があるそうです。
事務所の権力は、『恐怖による支配』だったそうです。
わたしは、テレビ報道は、人心を操作することができるので、気をつけなければならないと思っています。
情報を丸のみにして信じてはいけないと常日頃から思って番組を見ています。
報道されたとおりに、未来がそうならないこともままあります。
テレビの人は、予想がはずれても知らん顔です。
わたしはテレビやネットの情報をあてにしていません。ニュース報道や解説、出演者の発言などは、たいてい疑いながら見たり聞いたり読んだりしています。本当だろうか? だまされないぞという意識です。
バーター(抱き合わせ):売れているタレントを出演させる引き換えに若手を売り込む。
人権感覚が、鈍い(にぶい)とあります。
『第2章 ザイム真理教』
う~む。78ページまで読んで思ったことです。
センセーショナル(人の心をかきたてる。かきまわす。あおる。ゆすぶる。あっといわせる)に書いてある。おおげさに感じます。それから、もう終わったことです。いまさらという気持ちも湧きます。著者はあせっているのか……
財務省のことが書いてあります。
『税金』の話です。
ときおり、税収が増えたと、いいことがあったかのようなニュースが流れます。
税収が増えることは、本当にいいことなのだろうか。
喜ぶのは、税金徴収とそれをもとに予算をつくたり、執行したりする関係者だけではなかろうか。
財務省という組織の体質は、芸能事務所と同じ、カルト教団(教団の上層部が、信者から財産を搾取(さくしゅ。ぶんどる。しぼりとる)する)と同じというような書きぶりです。
アベノミクスについて書いてあります。
2012年(平成24年)12月発足第二次安倍晋三政権の政策です。
おもに、異次元の金融緩和と財政出動です。大規模な資金供給拡大があったとあります。
物価が下がる。給料が上がらないという時代が長らく続いていたが改善のきざしがあった。それなりの良い効果があった。
2014年(平成26年)4月に消費税を5%から8%に上げたとたん、経済は冷えた。アクセルを踏みながらブレーキを踏んだようなものだった。
いろいろ書いてあります。
内容は、国から(財務省から)、補助金(利益)を受けている有名人・有名企業は、国の(財務省の)味方である。(だから、増税に賛成する。利益をもらったお返しに、増税をPRするための広告塔の役割を果たす。もちつもたれつ)ということです。
そして、財務省の方針(増税)に反対する個人や法人には、税務調査に入って、不正があったとして、税金を追加徴収して、さらしものにするという制裁を課すのです。税務職員には、裁量権があるので、グレーゾーンにあたる行為に対しては、特定の意思をもって、いやがらせが合法的にできるそうです。
お金と人事の権力をもっている幹部や特定の職員が頂点に立って、政治家も国民も自らの支配下に置こうとしているのです。(なんだかすごい話です。極端な表現もあるような気もしますが……)
財務省内では、増税を『勝ち』、減税を、『負け』と呼ぶそうです。
『勝ち』を続けた人が、天下りができて得をするそうです。天下りができる人の数はそれほど多くはないらしい。(そこまでしてお金が欲しいのか)。
『増税』でふえた税収は、どこへ行ったのだろう?
著者は、景気上昇のために、消費税の減税を強く訴えています。
景気を良くして、所得税の税収を増やすことが社会を良くすると判断されています。
増税に代わる保険料の引き上げは、邪道(じゃどう。正しくないやりかた)だと主張されています。
83ページに、『高齢者は年金をもらいすぎている?』という項目があります。
わたしは、年金は、長生きをした人が得をする制度だと思っています。こまかくいえば、年金をもらう前に亡くなれば、納めた年金保険料はパーになるし、超高齢まで生きれば、納めた年金保険料よりも得をします。
基本的には、年金制度は世代間の支え合いですが、ふつうに考えると、貯金的感覚で、自分が納めた年金保険料という貯金を、歳をとって働けなくなったから食いつぶしていくという体感があります。
わたしはまず、これまでに自分がいくら年金保険料を納めたかを計算します。サラリーマンは給料からしっかり各種税金も各種保険料も差し引かれます。
次に、事業主負担がいくらだったかを把握します。合計の年金保険料をこれから先、何年生きたらペイ(消化、消費、元をとれる)できるかを計算します。事業主負担については、事業主が支払った年金保険料(個人が払う額と同額)ですが、わたしは、朝早くから夜遅くまで働いたサービス残業(無料奉仕。タダ働き)の分や仕事関係で自腹を切った自己負担分が事業主負担分だという理屈で自分の気持ちを納得させています。
預金や国債の利子もあったとして計算した合計額は、けっこう長く生きないと元は取り戻せません。
そして命は、いつ尽きるのかはわかりません。
高齢者が年金をもらい過ぎているという実感はありません。なぜなら、自分がすでに納めた保険料という自分のお金を返してもらっているという意識があるからです。
サラリーマンとして、イヤな仕事に耐え続けて年金保険料を納付してきた結果です。後ろめたさはありません。とても長い歳月にわたる忍耐と努力と根性の成果なのです。
権力者たちは、みんなグル(悪い仲間)で、自分たちの利益のために徒党(ととう。良からぬことをたくらむ集まり)を組んでいるというような書き方がしてあります。(すべてとは思えませんが、あたっている面もあるのでしょう。上級国民は、法に守られるのです)。
ときに、職務に忠実な正義を訴える公務員がうつ病になって自殺してしまいます。それでも悪人はケロっとしています。責任は感じません。責任を感じるような脳みそはもっていないのです。
お金と人事権をもっている部署は強い。
教科書に書いてある、『三権分立(さんけんぶんりつ。立法、行政、司法は、各自独立していて、権力の濫用(らんよう。むやみやたらに使う)はしないで、国民の権利と自由を守る』ということは、ないのです。特定の人と組織を守るのです。
本を読みながら、昔、公務員が不祥事をおかして損害を与えたときは、まずは、自治体なりが、賠償をして、その後、自治体なりが、不祥事をおかした本人に賠償請求をすると習ったことがありますが、あれは、そう文章に書いてあっただけで、現実に実行はされていないということなのだろうかと思いました。
『第3章 日航123便はなぜ墜落したのか』
すごいことが書いてあります。映画にできそうな内容です。
御巣鷹山(おすたかやま)に日航ジャンボ機が墜落して大事故になったとき、わたしは、帰省した九州福岡の実家でその時、そのテレビニュースを見ていました。
夕方のニュースでした。自分も飛行機で帰省をしていたので、他人事とは思えませんでした。大きなショックを受けました。
速報があったそのときは、たしかまだ、事故があったらしいジャンボジェット機の機体がどこにいるのか見つからないという報道でした。(自衛隊が墜落現場を特定したのは、公式発表で、翌朝4時39分とされている)。
ところが、それはウソだったと本に書いてあります。機体は、墜落直後に見つかっていた。自衛隊機の小型ジェット機が二機、ジャンボ機の後ろを飛んでいた。米軍機もすみやかに現場に到着していた。米軍のヘリも救援に駆け付けた。しかし、救出活動にストップがかかった。
そんな恐ろしい話が書いてあります。さらに、事故原因は、その後公表されたジャンボ機の機体後部にある圧力隔壁が破損したことによるものではない。圧力隔壁の破損が、過去の尻もち事故の修理に欠陥や問題があったのではない。そのとき自衛隊が実験だか練習だかで、なんとか(可能性として、「対艦誘導弾」)を発射したら、それが、偶然日航ジャンボ機の尾翼のまんなかあたりに当たってしまったそうです。だから、自衛隊はあわてて、二機の小型ジェット戦闘機で乗客乗員500人以上が乗ったジャンボ機を追いかけたのです。
そんな話、初めて聞きました。さらに、そのことに引き続いて、ひどい話がどんどん書いてあります。乗客乗務員の命は、国家の不祥事を隠すために犠牲になったのです。救出活動をすみやかに実行すれば、助かった命があった。
読み始める前、最初はこの部分を、航空機事故についてなにか問題があったようだが、いかんせん、もうずいぶん前のことだ、いまさらという気分で読み始めました。
1985年(昭和60年)8月12日18時12分発日本航空123便羽田→伊丹。18時56分群馬県にある御巣鷹山の尾根に墜落した。乗員乗客524人中520人が死亡した。
読んで、かなりショックを受けました。政府を始め、権力者たちはひどいことをします。そして、報道機関もグル(悪だくみの仲間)です。
裁判は、法律論で結論付けられる。人間の感情は度外視される。どがいし:無視される。
そうか、あれは、嘘(うそ)だったのか。
昔は、『(秘密を)墓場まで持って行く』と言ったものですが、最近は、持って行かない人が出てきました。
お互いに権利義務関係がなくなって、生活の糧(かて。お金)の心配がなくなると、がまんしていたものをがまんしなくてもすむようになります。
事故や事件を実行した関係者が亡くなると、公表の自由が保障されたりもします。
本当のことがわかる世の中に変化してきています。
それでも、亡くなった命が生き返ることはありません。人の世は非情です。
事実を確認できる証拠が示されていきます。
一般的に事件とか、事故の真実には、驚くべきものがあります。
本当のことは、当事者とそのそばにいて深く関りになる立場の者にしかわかりません。(報道等は、うわべだけのことです)。数式を解くように、公式とか論理で事実が進行していくわけではありません。
まさか、そんなことがあったのか、(普通は考えられないチョンボ(失策、エラー。うっかりミス))ということがあります。
あわせて、トラブルとか、チョンボは、単体で順番に起きるわけではありません。
複数のチョンボが、同時進行で、起きます。関連のないものが、最後に関連をもって、大きな事故や事件につながります。
だから、責任者の立場にある人は、危機管理の気持ちをゆるめてはいけないのです。チョンボは避けられません。だけど、被害を最小限に食い止める努力は、毎日必要です。
読みながらそんなことを考えました。
自衛隊は本当に国民を守ってくれるのだろうか。
自衛隊が守るのは、自衛隊という組織と自衛隊の関係者だけではなかろうか。
同様に、警察も、警察という組織と警察職員を守るためにあるのではなかろうか。
読んでいると、いろいろな不信感が増幅していきます。
マスコミも同様のパターンに思えてきます。
それが人間界の現実と限界なのでしょう。
考えが、『人間とは何か』にまで及んでいきます。
お金もうけは、じょうずに人心をあやつって、できるだけ多くの人から薄く広くお金を集めた人が成功するものと思えてきます。
日航ジャンボ機は、神奈川県にある横田基地に緊急着陸したかった。
だれかが、あるいは、どこかの組織が、その願いをはばんだ。
横田基地への着陸をあきらめたジャンボ機は、長野県内にあったレタス畑に着陸を考えた。それもかなわなかった。
証拠隠滅のために、自衛隊の特殊部隊が、証拠を焼いた。(第4エンジン)。
ジャンボジェット機に備え付けられていたブラックボックス(ボイスレコーダーとフライトレコーダー)を調べればわかるが、非公開となっている。情報開示をしない。もし公開しても、改ざん(変更)された情報が発表される可能性がある。
そんなことが書いてあります。
結局、権力者と権力を持つ組織は信用できない。
彼らは、自分たちの都合のよいように、歴史を書き換えてしまう。(外国ではありそうなことです)。
『第4章 日本経済墜落の真相』
プレゼンス:存在感。
歴史が流れていく中で、衰退していく日本企業の経済活動を解説されています。
繁栄を誇った1980年代(昭和55年代)がありました。
日航ジャンボ機墜落事故が、1985年(昭和60年)8月12日です。
同年9月22日プラザ合意(ニューヨークにあるプラザホテルに先進5か国の代表者が集まって、日本円の急激な円高をもたらす合意がなされた。1ドル240円台が、1987年年末に120円台まで円高になった。日本の輸出商品の現地価格がとても高くなった。(円高は、日本経済にマイナスの影響を与える)。輸出総額が年々減っていった。
1986年(昭和61年)9月2日に、日米半導体協定が締結された。(わたしは、この部分を読んでも理屈を理解することができませんが、世界シェア50%を超えていた日本の半導体産業は、このあとぼろぼろになったと書いてあります)
日航ジャンボ機墜落事故の原因をボーイング社に押し付けた反動(反作用)として、日本は米国の要求を飲んだという理屈立てになっています。
読んでいて、なかば信じられないのですが、現実には、そういうことってあるのだろうなあという気分になります。
責任は取りたくないけれど地位と名誉とお金が欲しい人が責任者になっているという構図です。あれこれ、策略を考えて、自分や自分の組織だけのために作戦を立てて実行する人です。
著者は、政府とか、国の幹部職員、日銀のやりかたを批判しています。
わたしもリアルタイムであの渦巻の中にいるような時代にいたわけで、思い出してみると、住宅ローンは高金利であり、ああもう自分は、一生、中古マンションも買えないとあきらめた時期がありました。
株式の持ち合い:取引関係にある企業間で、お互いに株式を持ち合う仕組み。企業の乗っ取り防止策。
不動産担保金融:金融機関が不動産を担保にとって融資をする。
不良債権:担保割れ。担保にした不動産に十分な価値がない。
2001年(平成13年)4月自民党総裁選がありました。小泉純一郎首相が誕生しました。
そのときのニュース番組でのご自身の質問発言をとても後悔されています。そのことが、小泉純一郎内閣の誕生につながったと判断されています。メンバーは、橋本龍太郎氏、麻生太郎氏、亀井静香氏、小泉純一郎氏です。コメントをしていた著者の前振りの言葉を起点にして、そのとき、小泉純一郎氏から、『私は自民党をぶっこわす。構造改革だ!』という発言が飛び出しています。小泉劇場が開幕したとあります。
アメリカ合衆国有利の政策がなされた。日本はアメリカの言いなりになった。
郵政民営化と不良債権処理だった。
元本保証のある郵便貯金を、元本保証のない投資信託に誘導する。
国民がコツコツ貯めてきたばく大な郵便貯金を、投資に回してもらって、そのお金を外国のハゲタカ組織が狙う(ねらう)という構図を解説されています。
読み終えると、もう日本の未来はだめなのかなあと、元気がなくなる本でした。