2021年05月14日

おともだちと なぞなぞ1・2年生 本間正夫・作 幸地重季・絵

おともだちと なぞなぞ1・2年生 本間正夫・作 幸地重季・絵 高橋書店

 ちびっこたちへプレゼントします。
 リサイクルショップで見つけました。
 二冊あるのですが、どういうわけか、書名も作者も同じです。発行年が違います。2008年と2016年です。全体に目を通したら、2008年がベース(下地、基礎)になっていて、2016年は絵がカラー化してあります。問題は同じものが多い。

「サイコロえあわせ」
 最初はどうやって解けばいいのかわからず、意味もわかりませんでしたが、答を見てわかりました。仲間集めゲームでした。そういうことかと納得しました。

「かおのなかでかくれんぼ」「くっついちゃったぞ」
 なかなかむずかしい。

「まちがいさがし」
 とくにむずかしい。左右の同じような絵を見て、相違点を指摘します。
 まちがいが五か所あるうちのいくつかはわかりますが、五か所全部はピックアップできません。老眼で見えない。とほほ。

「からだのふしぎ」「くっつかないと」
 とんちクイズで一休さん(いっきゅうさん)みたいです。
 おもしろい。

「サーカスは大さわぎ!」
 上手につくってある言葉遊びです。  

Posted by 熊太郎 at 07:07Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2021年05月13日

そのときがくるくる 作・すずきみえ 絵・くすはら順子

そのときがくるくる 作・すずきみえ 絵・くすはら順子 文研出版

 「そのとき」とは、どんなときなのでしょう。そんな疑問をもちながら読み始めます。
 最初のページに、野菜のおなすの絵が描いてあります。
 出だしがおもしろい。『けさは、ぐじゅぐじゅしたやつに おいかけられて、のみこまれちゃうゆめで、目が さめた』おばけのお話でしょうか。
 主人公は、たくま。小学一年生で、もうすぐ夏休みが始まるそうです。
 たくま:食べ物で、なすがにがてです。学校は大好きです。
 まい:クラスメート。なすが食べられないたくまを心配してくれます。にがてなものは、かぼちゃです。
 さき:クラスメート。さきも、なすがきらいです。
 けんご:クラスメート。なすは好きです。
 りょう:クラスメート。体も声も大きいらんぼうもの。ちょっとこわい。だけど、りょうも、なすがにがてです。
 たくまは、なすが、にがいといいます。にがいかなあ。
 たくまとりょうは、給食に出たなすを食べることができなくて、いつまでたっても食事が終わりません。
 そこの部分を読みながら自分が小学二年生ぐらいだったころを思い出しました。おみそ汁の中に入っているワカメがにがてでした。
 給食時間中に食べることができなくて、給食時間のあとも、もうひとりのワカメがにがてな男の子と黒板の前で正座をさせられて、涙をにじませながらワカメを食べようとしていました。
 ワカメのぬるぬるした感触が嫌でした。食べ物を残すと、もったいないとしかられる時代でした。でもやっぱりふたりとも、ワカメをのみこむことができませんでした。体罰には、はんたいです。できないことはできないのです。
 そのときは、ワカメを食べることがにがてでしたが、今はにがてではありません。いつから、にがてじゃなくなったのかは覚えていません。
 それから、給食に出る「チーズ」もにがてでした。せっけんを食べているような味がしていやでした。それでも体が成長するにつれて、チーズも、にがてではなくなりました。チーズケーキも食べることができます。チーズをおいしいと感じることができるようになりました。
 この本のタイトル「そのとき」というのは、そういうときのことをいいます。いまは、できなくてもだいじょうぶなのです。しぜんに、できるようになるときがきます。

 たくまくんのおじいちゃんとおばあちゃんが、たくまくんに、「そのとき」がくることを教えてくれます。
 『いまはきらいでも、おいしく思えるときがくる』
 たくまくんは、おじいちゃんたちといっしょに野菜をつくる世話をします。なすやきゅうりを収穫します。
 年配の人たちは、こどものころに農作業の体験をしたことがある人が多い。日本人の大半は、昔は農家をしていました。祖先をさかのぼれば、農業の家系につながる人が多い。
 39ページにある野菜の絵がきれいです。なす、プチトマト、とうもろこし、きゅうり、左下の絵がなにかわかりにくいのですが、ピーマンのような気がします。どれもおいしそうです。とくに、とうもろこしがおいしそうです。
 夏休みなので、おじいちゃんとおばあちゃんの家に遊びに行ったたくまくんです。よるごはんのときに、れんこんも出ました。てんぷら、サラダ、いためもの。新鮮野菜のごちそうです。
 おばあちゃんは子どものころ、おさしみがにがてだったそうです。いとこのみっちゃんがおいしそうに食べるのを見て、自分も食べられるようになったそうです。
 おじいちゃんも昔は、なすがきらいだったそうです。もしかしたら、たくまが、なすがきらいなのはおじいちゃんからの遺伝かもしれません。
 おじいちゃんは、おばあちゃんと結婚して、おばあちゃんがはりきって、なす料理をつくってくれたので、いつのまにか、なすがおいしいと思えるようになったそうです。
 たくまのまわりにいる人たちが、やさしくたくまを見守ってくれています。まわりにいる人たちは、たくまにとっての財産です。

 パパやママはあまり出てこない物語でした。むかしむかしで始まる物語もそうです。パパやママは仕事で忙しいので、じじやばばが孫の子守りをしていました。
 こどもさんのすこやかな成長を願う、心優しい物語でした。  

Posted by 熊太郎 at 07:29Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2021年05月11日

あなふさぎのジグモンタ

あなふさぎのジグモンタ とみながまい・作 たかおゆうこ・絵 ひさかたチャイルド

 本にかけてある帯に書いてあることを読みました。
 ジグモンタというのは昆虫であるクモの名前だそうです。ジグモという種類です。自分がこどものころに、この虫を見かけたことがあるような記憶が残っています。
 絵本でのジグモの仕事は、洋服にできた虫食い穴をふさぐ作業です。いわゆる「かけつぎ(洋服・和服の修理)」のお話です。
 
 本の表紙の絵を見ました。液体のようなものが入った壺がたくさん棚や床に並べられています。(あとで、液体のようなものは、クモの糸の原料になることがわかりました)
 裏表紙にある絵は、ユーモラスで好みです。ジグモさんがコーヒーを飲みながら休憩しています。

 絵に力が入っています。数ページめくって気がついたのですが、いわゆるコラージュ(貼り絵)です。立体感があります。
 物語のベース(根底)には、いわゆる世襲(せしゅう。親の仕事の後(あと)を継ぐ)があります。ジグモの仕事は代々、洋服にあいた穴をふさぐ仕事をしてきたそうです。
 ジグモ8本の足は『機織機(はたおりき)』です。(昆虫の足の数は6本が多いのでクモの8本は不思議です)
 本では、「たていと」は右足1番と左足4番、「よこいと」は、左足2番と右足3番で処理すると書いてあります。おもしろい発想です。足に番号が付いています。そうやって、ジグモは、洋服にできた穴をふさぐ作業をしているのです。
 洋服を(品物を)大切にして長く着ましょうというメッセージがあります。
 ページの左下で洋服をもちあげているジグモの絵が可愛い。
 ヒキガエルさんができあがったコートをとりに来ました。ヒキガエルさんのお顔は、オオトカゲさんのようにも見えます。
 擬人法を使って、人間社会を表現してあります。
 今度は結婚式のウェディングドレスがらみでハリネズミの6人姉妹がやってきました。ウェディングドレス着用時に頭にかぶるベールをみんなで着まわして、今度は、末っ子の妹が結婚式で着用するそうです。だけど、末っ子はベールが古いからと嫌がっています。
 起承転結の物語づくりの経過の「起」の部分が終わりました。
 
 次は「承(しょう)」の部分です。
 ジグモの気持ちが書いてあります。
 だれかのためになる仕事をして生計を維持していく。
 なのに、結婚式で使うベールを補修しても使ってもらえないみたいだ。
 だったら、この仕事を仕上げる意味がない。代金さえもらえればいいというものではない。自分の気持ちが許さない。ジグモの話ですが、読んでいると、人間は気持ちで生きているというところまで考えが至ります。

 ジグモンタは、うつ病のようになってしまいました。気持ちが沈んでいます。

 「起承転結」の「転」の部分にきました。
 フクロウとそのこどもたちが、ジグモンタを助けてくれます。「フーフー」「クークー」「ロン」という名前のこどもたちです。
 こどもたち三人が使っている毛布に穴があいているのです。寒いからかぜをひきそうです。
 ジグモンタが、がんばって毛布の穴をふさぎます。
 数日後、三羽のこどもたちは巣立っていきました。穴がふさがれた三枚の毛布は、フクロウのママの子育ての思い出になりました。

 補修する楽しみは、破たんした人間関係の修復にも似ています。
 『再生』は、一度失敗した人生のやり直しにも似ています。
 リサイクル、リユースという言葉も思い浮かびました。

 結婚式です。
 ジグモンタは、七人姉妹の末っ子の結婚式で使う素敵なベールを仕上げて、みんなに喜んでもらいました。
 人の役に立つことは、自分の幸せな気持ちにつながります。

 そして、とにかく絵が美しい。絵画集をめくっているようです。お花の色が鮮やかです。
 最終ページから二枚さかのぼった絵からつづく見開きにある絵の色合いが抜群です。落ち着いた安定と地道な幸せが感じられます。
 されど、自分の好みは、気持ちが落ち込んだジグモンタが、森のなかの一本道を歩く姿がある絵です。「暗」があるから「明」が強調されます。
 この世のなにかもかもが二面性をもっています。いいこともあれば、わるいこともあります。そういうものだとわりきって、次はきっといいことがあると思っていれば、命がつながります。  

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2021年05月10日

お探し物は図書室まで 青山美智子

お探し物は図書室まで 青山美智子 ポプラ社

 第一章を読んだところですが、感想を書き始めてみます。なかなかおもしろい、いい本です。

「第一章 朋香(ともか) 二十一歳 婦人服販売員」
 藤本朋香 スーパー「エデン」で婦人服販売担当正社員。レジ打ちと接客をしている。コーラルピンクのブラウスが制服(オレンジがかった桃色)
 東京のアパートでひとり暮らし3年目 地方出身者
 沙耶(さや):朋香の郷里に住む高校時代からの友人
 桐山:25歳男性。スーパーエデンの中にあるメガネ店の社員
 上島:35歳。藤本朋香の上司。仕事をやる気なし。
 沼内:五十代女性。婦人服売り場での勤続十二年というベテランパートさん
 森永のぞみ:図書室受付。容姿は高校生ぐらい。若く見える。瞳が大きい。髪はポニーテール。
 小町さゆり:図書室の司書。白熊のように大きい体格をしている。

 あれやこれやあって、小学校に併設されている図書室へたどり着いた主人公の藤本朋香さんです。東京都羽鳥区(はとりく。架空の行政区)区民のためのコミュニティハウスです。集会所では、各種講座が開催されています。

 羊毛フェルト:手芸。羊毛をつつくと形になる。

 お仕事小説の面と、恋愛小説の面とが重なっています。

 司書の小町さゆりさんが、困っている人に適切な本を紹介していく物語のようです。

 レファレンス:図書館員が図書館利用者に対するサービス。利用者の必要としている情報を提供する。
 ハニードーム(架空の設定):お菓子

「二章 諒(りょう) 三十五歳 家具メーカー経理部」
 ニット帽:毛糸でできた帽子。頭からすっぽりかぶる。

 舞台である場所を想像するに、神奈川県鎌倉あたりにあるらしき、煙木屋(えんもくや。架空の設定)というアンティークショップから始まります。
 読んでいて、そこの店主とこの短編部分の主人公の再会が最後に用意されているのではないかと予想と期待をしましたが、最終的には、そのようにはなりませんでした。

 海岸に打ち寄せられるものはみなゴミだと思っていました。拾って、その物の過去に思いを寄せて再利用する。シーグラスという浜拾いの行為が出てきます。

 浦瀬諒(うらせ・りょう)さんがこの短編部分の主人公です。気弱で、人づきあいが苦手です。
 浦瀬涼さんは、この本の第一章と同じコミュニティハウスの図書室を訪れて巨体の司書小町さゆりさんに出会います。小町さゆりさんは、ゴーストバスターズに登場するマシュマロマンみたいだそうです。マシュマロマンを知らなかったので調べました。巨大な雪だるまみたいなキャラクターでした。

 各短編は、一時間程度で読める分量です。
 読み終えて、さわやかな気持ちになれる読後感の良い小説です。
 お仕事小説です。いろいろ励まされる文章が多い。
 職場に、ひどい上司や怠け者の同僚や部下がいると、やる気が失(う)せます。
 お金のためと割り切って働く。
 定年退職後に夢をかなえることをめざして、健康維持に努め、早くから定年退職後の準備をしておく。

 作品内容から考慮して、一般的に、女子の親は、結婚話の際に、娘の夫になろうとする男について、人物を観るのではなく、男の職業を見るのでしょう。ついでに男の親の職業も見て、娘の結婚についての評価と判断をくだすのでしょう。
 就職の採用にあたっては、血縁、地縁によって採用されることもあります。とてもよくあります。実力で採用された者は、就職後、理不尽に耐えることになります。
 
 パラレルキャリア:仕事をもちながら第二の活動をする。第二の活動は、収入を目的としない。精神的な充足を目的とする。
 
 外に出かけなくても「旅」の経験はできる。

 ひとりでやるのは大変。相棒が必要。

 大事なものは『信用』

 ただ、読んでいて、理想なんだろうなあという思いは残ります。
 現実は厳しい。

「三章 夏美 四十歳 元雑誌編集者」
 崎谷夏美さん、旦那さんが修二さん、お子さんが双葉さん二歳というメンバーの三人家族で、こどもさんを保育園に預けながらの共働きの子育てです。
 冒頭で、サンタクロースがいるかいないかの話が出ます。わたしの自宅の本棚に立ててある『サンタクロースっているんでしょうか? 子どもの質問にこたえて』偕成社という本に目がいきました。でも、その本のお話ではありませんでした。その本では、サンタクロースはいるとされています。さて、こちらの短編ではサンタクロースの存在について、どう決着がつくのでしょうか。

 崎谷奈津美さんは、仕事を優先して、1年4か月とれる育児休業をとらずに早めに職場復帰しますが、人事異動の対象にされ、第一線の編集部から、資料部へと配置換えされてしまいます。育児への配慮が会社側の人事異動を指示した理由です。会社には、子どものいる女性は、崎谷奈津美さん以外はいないそうです。

 共働きの生活というのは、お金で時間を買うような毎日です。ふたりで働いていてもやっぱりお金が十分あるわけではありません。出費はかさみます。

 第三話となり、筋書のワンパターン化がみられます。愚痴の解消マニュアル形式で、マンネリの傾向があります。新鮮さがなくなります。
 五十歳ぐらいである司書の小町さゆりさんは、ちょっとだけ顔を出すだけの登場のしかたです。それでも、この話の部分では、小町さゆりさんの私生活が少しだけこぼれ出ています。
 小町さゆりさんの決めゼリフです。「何をお探し?」。そして、手づくりの羊毛フェルト細工のプレゼントとハニードームという甘いお菓子が加わるのがこの短編集の定番です。

 子どもが病気の時に駆けつけない親は、遠い未来に後悔します。
 子は親を捨てます。
 
 こちらが相手を思っているほど、相手はこちらのことを思ってくれていなかったということはよくあることです。世の中は、誤解と錯覚で成り立っています。

 『変化』に対する考察があります。

「四章 浩弥 三十歳 ニート」
 菅田浩弥(すだ・ひろや)無職。母親とふたり暮らしです。デザイン学校を卒業して就職しましたが、仕事が続かず、退職してうまくいっていません。
 今回、三十歳の節目にタイムカプセルを開くにあたり、高校の同窓会に出席しました。

 「明と暗」「陽と陰」の話に「進化」がからんできます。うまくできた者、できなかった者。対比があります。

 「18歳」が「30歳」になるということは、人生で一番変化がある時期に何があったかということ。なのに、菅田浩弥さんはニートなので、変化がないということ。

 絶対安泰な仕事として、公務員とか大企業と提示がありますが、今の時代、そして、これからの時代は公務員も大企業も大変そうです。
 ストレスで心が壊れないようにが大事です。

 本に書いてあることをそのまままるっきり信じてはいけないという趣旨のセリフは、いいアドバイスでした。
 歴史の本を読むときは、実際のところ、その時代にそこにいた人は、もうこの世にはいないわけで、今となっては、本当のことはわかりません。歴史の本を読むときは、もしかしたら、あるいは、たぶん、こうだったのかもしれないという気持ちで読みます。

 五十歳近く生きてくると百年が短く感じられるという説には同感です。六十歳を超えると、自分が生まれる百五十年ぐらい前が身近に感じられます。父母や、祖父母の誕生日を基準にして時代をさかのぼって出来事を確認すると、とてもわかりやすいのです。

 読み終えて、この短編部分の主人公の性別の設定が女子でも良かったような気がしました。

「五章 正雄 六十五歳 定年退職」
 権野正雄(ごんの・まさお)さん、六十歳で定年退職後、同一職場で再任用されて、六十五歳で雇用期間が終了されたようです。部長職でした。完全退職して六か月が過ぎました。

 権野正雄さんは、何もすることがありません。
 熟年離婚の話だろうか(違っていました)
 六十五歳から囲碁を始めるのは遅すぎるような。
 マンガチックでもあります。滑稽(こっけい)です。
 スェット:だぼっとしていて体操のジャージ風のズボン。権野正雄さんは、このズボンをはいて、サラリーマンをしていた当時の黒い革靴をはくらしい。

 一章から登場していた人たちの関係がつながっていきます。人間関係の伏線の回収に入りました。
 前を見ていると視野が狭くなる。横を観ると視野がワイドになる。
 ラストの表現が良かった。  

Posted by 熊太郎 at 07:13Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2021年05月07日

おとうとのたからもの 小手鞠るい

おとうとのたからもの 小手鞠るい(こでまり・るい) 岩崎書店

 小学1年生、2年生ぐらい向けの文章で書いてありますが、連れ子同士の男女の結婚であり、それぐらいの年齢のこどもさんが、内容をすんなり理解できるとは思えず、結果、おとな向けのお話になっていると感じました。おとなが読むと胸にぐっときて涙がにじみます。

 妻の連れ子の小学生の「あおい」さんは、小学2年生だから8歳ぐらいでしょう。あおいさんの弟が、とうま(冬馬)くんで、あおいさんより3歳年下ですから5歳、幼稚園の年中さんです。とうまくんは、夫の連れ子です。実母は亡くなっています。
 あおいさんは本読みが嫌いなような、苦手なようなという女子で、とうまくんは、絵本読みが好きだという対照的な好みの設定です。

 弟のとうまくんが好きな絵本は、亡くなった実母の形見(かたみ。亡くなった人がのこしてくれたもの)なのです。さらに秘密がありますがここには書きません。
 
 あおいさんの思うことの表現がいい。「あーあ、また本か。うんざりする。本ほどきらいなものは、わたしにはない」
 本読みはある意味めんどうくさいものです。ただ、なにごとも、めんどうくさいといっていたら、いいものを仕上げることはできません。時間と手間をかけるから、いいものができあがるのです。
 あおいさんは、本に対してぶつぶつ文句を言いますが、彼女の後姿は、さみしそうです。

 血のつながらない姉と弟です。姉と弟というよりも基本的に他人です。
 だからお互いにしばられるものはありません。
 こどもというものは、絵本の内容よりも、絵本を読んでもらえるという行為のほうが好きなこともあります。以前読んだ読書エッセイで、どうしてこの内容で、文章が長い同じ絵本ばかりを毎晩読んでくれといったのだろうかと、母親が、成長しておとなになった娘さんにたずねたら「本読みの間、長時間いっしょにいられたから」という答えが返ってきたそうです。意外なところに答があったと、何十年間もたって、ようやく気づかれたのです。
 そのお話と似たような展開がこの物語にもあります。

 絵の雰囲気が優しい。
 とうまくんには、自分を産んでくれた実母と義母がいるわけで、なかなかむずかしいものがありますが、こだわると悲しいことにつながっていきます。こだわらないこと。いまある環境になじんでいくこと。されど、なかなかむずかしい。重松清作品のいくつかが頭に浮かびました。

 小学校の図書室で司書をしている田中子音(たなか・しおん)先生が登場します。そういえば、今朝から読み始めた「お探しものは図書室まで」青山美智子著でもシロクマのように大きな体をした小町さゆりさんという司書さんが登場します。

 多神教の世界があります。森にも草原にも風や海や星、そして月にも妖精がいて、人間の気持ちを支えてくれるのです。
 「本」って、なんなのだろう。ときには、小さなこどもさんの心の支えになっているのが「本」です。本に対する愛情が湧いてくる作品でした。  

Posted by 熊太郎 at 07:26Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2021年05月04日

ふうせんねこ せなけいこ

ふうせんねこ せなけいこ 福音館書店

 「おこっているぞー」のねこです。
 かなりおこっています。
 ますますおこっています。
 おこっているけれど、可愛い。
 ねこの動作は、乳幼児の動作と共通しています。
 「なんとかかんとかぷー」がねこの口癖です。
 「あれ かってくれなきゃ いやだ ぷー」とあります。
 どこかで見たことのあるこどもさんのわがままポーズです。
 ねこさんは、おこって、ふくれて、ふうせんになって、お空の上へ消えていきました。
 おもしろかった。今年読んで良かった一冊です。
 1972年(昭和47年)初版の絵本でした。  

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