2020年08月28日

ポネット フランス映画DVD

ポネット フランス映画DVD 1996年公開

 いい映画でした。
 こういうときのために、『映画』があると再認識できました。映画や小説は、身近な人の「死」と直面したときの心の支えになるために、この世に存在しているのです。

 交通事故で、車の運転をしていた母親が死にます。車に同乗していた4歳の女児は腕をケガしましたが命は助かります。
 4歳女児のポネットが、母親の死を受け入れられません。母親の再来を信じて、彼女の心は閉ざされます。

 父親は、仕事で家にはいられないらしく、ポネットは、おばさんの家に預けられて、いとこ(姉弟)とともに暮らし始めますが、新しい生活になじめません。
 この部分を観ていて、以前観た将棋を素材にした日本映画「3月のライオン」を思い出しました。同じく交通事故で両親と妹を亡くした6歳の桐山零(きりやま・れい)が、棋士の家に預けられます。ほかにいくところがありません。将棋で食べていくしかない人生を決定づけられます。

 話は戻って、このポネットの映画は、『死』を考える映画です。
 死んだら、この世から永遠にいなくなるということが、4歳のこどもには、理解できません。
 ポネットは、だれにも教えないと言って、ママを待つ遊びをします。
 イエスさまとか、神さまとかの話も出ます。
 ママに会うためのおまじないの言葉が、「タリ・タ・クム」です。
 
 映画を観ながら今度は、「アルプスの少女ハイジ」の話を思い出しました。彼女の両親もたしかいませんでした。

 ポネットのパパには、ママの代わりができません。

 ポネットに対しては、成長して、家庭をもって、すてきなママになってくださいとしか、応援のメッセージを送れない自分がいます。
 ポネットは、泣くしかありません。泣いて、くそったれと思って、立ち上がるしかない境遇があります。

 ポネットは、ママのことを忘れられません。

 ポネットは、病的になったからという理由で、孤児院のような雰囲気の寄宿舎に入れられてしまいました。
 ポネットは、ママに会いに行く。死にたいと言い出します。

 ポネットは、ママのお墓に来て、泣きながら、土を掘り返し始めます。葬儀は土葬でした。
 「強くなれ」と声を送りたくなりました。ポネット、君は死んではいけない。

 シンプルな展開で、胸にぐっとくるいい映画でした。

 ポネットを演じた子役さんの演技は天才的でした。ふつうのこどもさんにはできません。

 心に残ったいくつかのセリフとして、
「こどもなんて、楽しくない」
「(神さまに対して)ママとお話ししたいんですけど、どうしても話せません」
「ママ見てた? 全能の神にお話ししたの」
 このあたりで、昔観た洋画「ゴースト ニューヨークの幻」を思い出しました。
「ママが、楽しく生きなさいって。楽しく生きることを覚えなさいって(言ってくれた)」

 加納朋子さんの小説作品「ささらさや」も思い浮かべることができました。一本の映画でたくさんの作品をイメージして楽しめました。
 このテーマは、人にとって重要で永遠なものだと受け止めました。「愛情」です。