2024年11月15日
ハサミ男 殊能将之(しゅのう・まさゆき)
ハサミ男 殊能将之(しゅのう・まさゆき) 講談社文庫
文庫本の帯に、『古典にして、大傑作』とあります。知らなかった。洋画のシザーハンズとは違うでしょう。読んでみたい。読み始めます。
作者のみょうじが読めませんでした。作者は、1964年(昭和39年生まれ)、そして、2013年(平成25年)に亡くなっています。49歳没。
読み始めて数ページで感じたことです。
社会のようすが古いかな。しかたがありません。
スマホの地図アプリは出てきません。交通系ICカードも出てきません。地図は紙です。
小型の東京都分区地図です。文庫版東京23区地図です。うちにも古い物があります。
ほかにもいろいろ過去のものがあります。時代としては、1980年代から90年代、昭和55年代から平成の始めの世の中の風景です。
単行本は、1999年(平成11年)の発行です。
殺人事件の加害者が、ハサミ男です。すでにふたり犠牲者が出ているようですが、逮捕はされていません。三人目の犠牲者を物色して決めて、下調べをしている段階です。
二番目の殺人は、半年以上前だったそうです。
目黒区鷹番:わたしは、『たかばん』と読む地名だと思いましたが、ハサミ男は、『たかつがい』と読みます。蝶番(ちょうつがい)からきているそうです。(でも、たかばんが正解でした)
ハサミ男:アルバイトをしている。バイト先は、『氷室川出版(ひむろかわしゅっぱん)神田小川町にある。5階建てビルの3階営業部と4階編集部を借りている。正社員は十数名。アルバイトは3人』そこで、2年以上働いている。
地下鉄駅に近い鉄筋アパートに住んでいる。駅から徒歩1分のところにある。相当古い建物である。アパートの住人は他人に無関心である。
樽宮由紀子(たるみや・ゆきこ):三番目の殺人被害者候補。16歳高校2年生。私立葉桜高校に通学している。目黒区鷹番に住んでいる。親と同居らしい。マンションの503号室。デゼール碑文谷(ひもんや)503。赤褐色のマンション。
樽宮一弘:由紀子の父親。
わたしも今、東京の一枚地図を見ながら、目黒区あたりに目を落としています。
鉄道線路の話が多い。著者は鉄道好きなのでしょう。そして、地図好きなのでしょう。
目黒区、駒沢通り、東急東横線、学芸大学駅、地下鉄丸の内線、日比谷線、中目黒駅、菊名行き。
小西美奈:第一の犠牲者、高校一年生。平成14年10月21日。埼玉県内送電塔の敷地内で殺された。埼玉県居住者だった。美人ではないが、若々しく愛らしい顔立ちだった。ショートヘア、銀ぶち眼鏡。
松原雅代:第二の犠牲者。江戸川区の湾岸で殺された。
岡島部長:五十代女性。ハサミ男のバイト先である『氷室川出版』の部長。白髪まじりのおかっぱ頭。化粧気がない馬面(うまづら)。地味だが、いいスーツを着ている。有能。
佐々塚:三十代なかばの小男(こおとこ)。氷室川出版の社員
和田:デザイナー
山岸:氷室川出版のアルバイト。ハサミ男の同僚。中途退職後アルバイトをしている。黒ぶち眼鏡の脱サラ中年男性
スピードキング:バイク便の会社
タブロイド紙:新聞の用紙サイズの半分のサイズの新聞など。
写真のポジ:ポジフィルム。フィルムの状態で色などがわかる。
彫心鏤骨(ちょうしんるこつ):非常に苦心してつくりあげたもの。
玉稿(ぎょっこう):他人の原稿を敬って言う言葉
光磁気ディスク:MOディスク。記憶媒体。それらは、代替品が出て、2000年代に消滅した。
ハサミ男は、火曜日に有給休暇をとる。(女子高生を尾行するため)。
ハサミ男は、アルバイト先で、高校生たちの個人情報を見ることができる。(獲物の候補をそうやって探す)。添削式通信教育の仕事をする勤務先が、個人情報を盗む場所になっている。(恐ろしいことです。(おそろしい)。人を雇う時は、能力の前に、人間として信用できるかを判断せねばなりません)
ハサミ男には、自殺願望があるらしい。(薬物による自殺)。
ドラッグストアーで、『クレゾール石鹸液』を購入しました。
(つづく)
犯罪者自身の心理が、一人称による本人の語りで語られ続けます。
不気味で気色悪い。(きしょくわるい。生理的に受け付けがたい)。また、薄気味悪い。
仕事の資料を利用して、女子高生を物色して、自宅を下見して、学校を見張って、殺人の獲物のとして狙います。ハサミ男は、頭のいい女の子にあこがれています。
不思議なのは、本人に自殺企図の意思があることです。クレゾール石鹸(化学物質)を飲みます。でも、未遂です。本気で死ぬ気はないと読み手であるわたしは判断します。
おそろしい人格をもった男です。地球上には、79億人、日本には、1億2300万人ぐらいが住んでいて、いろんな脳みそがあるわけで、凡人では理解できない不可解な脳みそをもった人がいます。殺したいから殺す。具体的な理由はありません。人間個々がもつ、その人間なりの、『欲(よく)』です。
精神科医であろう60歳ぐらいの医師。純白の短髪。まんなか分け。痩身(そうしん。やせている)。丸い眼鏡をかけている。
殺人のターゲットにしている女子高生が住むマンション503号室の住人として、
おそらく父であろう、樽宮一弘
おそらく母であろう、とし恵。(のちに美人とわかる。37歳)。
狙われている(ねらわれている)本人、由紀子。葉桜高校2年生。背中まで髪が伸びている。美人。165cm。細い体。猫のよう。
おそらく弟であろう、健三郎(のちに、葉桜高校1年生とわかる)
<のちにわかることとして、お互いに連れ子を連れた者同士の再婚。健三郎には実兄がいる。兄が、ふたりいる>
高校の制服で、本人を特定していく。(もう、制服の制度は防犯上やめたほうがいいのかも)。
(つづく)
目黒署刑事課のメンバーです。
磯部龍彦:27歳。ハサミ男と同じぐらいの年齢。第1章では、彼のひとり語りで物語が進行していく部分があります。髪はまんなか分け。逆三角形の顔。整った顔立ち。背は高い。童顔。頼りなさそう。
下川宗夫:160cm。中2のひとり息子がいる。『長さん』と呼ばれるのがイヤ。(ドリフターズのいかりや長介さんのことでしょう)
上井田嘉暁(かみいだ・よしあき)警部:刑事課長。はげている。立派なあごヒゲがある。温厚で礼儀正しい。
松元順三郎:唯一の喫煙者。偏屈そう(へんくつそう)です。
進藤誠斗(しんどう・まこと):若手。おとなしくて優しい。
村木晴彦:巡査部長。30代後半。天然パーマ。手足がひょろ長い。クラシック音楽マニア。冷笑的。いつも超然としている。ときおり突拍子もない行動に出る。予想不可能な性格。
10月17日金曜日:ハサミ男は、早退した。樽宮由紀子の尾行。
カリカチュア:漫画、風刺画
ブランド品のスーツを着た40歳前後の男:援助交際の相手か。
ハサミ:仕事場から盗んだ。仕事場の備品。(なぜ、凶器がハサミなのだろうか)。
11月1日土曜日:尾行する。
高橋:アルバイト。のっぽ。
キルモア:殺鼠剤(さっそざい)
プラシーボ効果:偽薬で効果がみられる。気持ちのもちよう。
ロマン主義者:情緒的、感情的な人。
ハサミ男の主治医は、ハサミ男が殺人犯人であることを知っている。
主治医は、仮想のドクターなのではないか。
『チョキ、チョキ、チョキ…… 三人目の犠牲者が出る……』
おふらんど:学芸大学駅のすぐそばの喫茶店。
アヤコ:樽宮由紀子の友人。高校生。
自由が丘駅の近くにある映画館。上映中の映画は、『地下鉄のザジ』。
11月4日火曜日:二日ぶりに出勤する。
平成15年(2003年)11月11日火曜日午後9時40分頃:東京都目黒区鷹番四丁目にある西公園の茂みの中で、鷺宮由紀子が殺されていた。首にビニール紐(ひも)、絞殺後、首にハサミが突き立てられていた。
ハサミ男の手口で殺されていたが、第一発見者は、ハサミ男であり、ハサミ男は真犯人ではない。鷺宮由紀子の首に刺さっていたハサミは、ハサミ男がその時、かばんの中にもっていたハサミと同じものであった。ハサミ男は、ごまかすために、そのハサミを公園の茂みに捨てた。
ハサミ男はまた、鷺宮由紀子の足もとに、なにやら、『小さく光るもの』を見つけたが、小説では、そのあと、詳記(しょうき。くわしい説明)はされない。(その後:金属製のガスライター。『K』のイニシャル彫り込みありとわかる)。
マルサイ:警視庁科学捜査研究所内に新設された犯罪心理分析官職。サイコアナリシス:成人分析。サイコメトリックス:心理測定法。
広域連続殺人犯エ十二号:マスコミが付けた通称が、『ハサミ男』。
(つづく)
ハサミ男の自殺願望の理由がわかりません。自分はこの世に存在していてはいけない人間だと自分で定義づけしているのだろうか。自分が存在していると、自分がだれかを殺してしまう。(ターゲットは女子高生というのもなにか理由があるのか)。
ディクスン・カー:アメリカ合衆国の推理小説家。密室殺人を素材にする。
11月14日金曜日:第一回捜査会議開催。
堀之内靖治(ほりのうち・やすはる):40歳手前の年齢。科捜研の犯罪心理分析官(マルサイ)。大学講師のように見える。髪はまんなか分け。丸顔。
警視庁捜査一課長:パンチ・ドランカー(ボクシングで、相手にパンチをもらいすぎ)のブルドッグみたいな顔。特別捜査本部の総責任者。
索状物(さくじょうぶつ):ひものようなもの。
死亡推定時刻は、11月11日午後8時から8時20分の間。
白皙(はくせき)の検事:皮膚の色が白い検事。
快楽殺人者:苦しむ姿が楽しい。本人がもつ固定観念。無意識の衝動。
第三の殺人は、ハサミ男による可能性は75%(100%ではない)
犯人は、知能指数が高い(ただし、真犯人は、ハサミ男ではない)、慎重かつ周到で、学習能力がある。
11月14日:ハサミ男は、アルバイトを休む。ハサミ男は、仕事で得た資料で、樽宮家へ電話をかけて、犠牲者の母親樽宮とし恵と話して、葬儀の日取りを聞いた。11月15日午後2時から。春藤斎場にて(しゅんどうさいじょう)。
(つづく)
岩佐邦馬(いわさ・くにま):私立葉桜学園高校の体育教師。35歳独身。
長谷川:葬儀の世話人。60代前半。
黒梅夏絵(くろうめ・なつえ):週刊アルカナ編集部所属のフリーライター(正社員ではない)
250ページまで読みました。全体の半分ぐらいの位置です。全体で502ページあります。
読んでいて、真犯人のめぼしはまだつきません。まだ、情報が足りません。
だれかが、人を殺したのですが、犯行をハサミ男がしたものとみせかけています。
本物のハサミ男は、自分の名前をかたって人殺しをしたのが、だれなのかを知ろうとしています。
ただ、考えてみると、ハサミ男が偽装犯人を警察に通報しようとすると、自分がハサミ男であることが警察にばれてしまいます。さて、そのへんを物語の中で、どう処理するのだろうか。
読んでいて、なんとなく、うすうす気づいていましたが、被害者の家庭がいろいろわけありであり、被害者自身も問題ありです。
連れ子同士をともなっての再婚には、読んでいるうちに気づきました。また、本人が援助交際を積極的にしていることにも気づきました。だれかが、なにかしらの不都合があって女子高生を殺して、その行為をハサミ男がやったことにしようとしたのです。
女子高生樽宮由紀子は、お金欲しさで、接客相手を脅していた(おどしていた)というパターンがひとつあります。
親族間のもつれがからんでいたというパターンもあります。
話のつくりを推理する小説という位置づけで文章を読んでいます。
なぜ凶器が、『ハサミ』なのかにも興味が湧きます。
ハサミ男の心理として、『わたしの内側は、からっぽだ』。
アヤコ(椿田亜矢子)という同級生が、鍵を握っている。
周囲の人間の現実的な話が書いてあります。
女子高生殺人事件は、関係者にとっては悲劇ですが、騒ぎ立てる、あおりたてるマスコミ関係者と捜査する警察関係者にとっては、仕事です。仕事だからやっている。給料をもらうためにやっている。
シリアル・キラー:複数の連続殺人犯。異常な心理的欲求をかかえている。
こどもを亡くした直後の親の心理として:『……子供といっしょに何かが死んでしまったようなんだ。とても大事なにかが。』
人間のその時の心理を観察するために、その人間の手の動きを見る。
犯罪心理分析は、心理がどうなのかを考える学問ではなく、『統計学』だそうです。たくさんのサンプルを集めて分析して、こういうときは、こうだという傾向を研究して参考にする。プロファイリング=横顔を描く。こういうふうだから、犯人は、こういうふうのパターンが多いと考える。
動機がないのに、殺人を繰り返す人間がいる。
『正社員になる気はありませんか』(ハサミ男にかけられた言葉です)。
<世界は誤解と錯覚で成り立っている(女ひとりで世界を旅した人の言葉です。以前旅行記の本で読みました)>
犯人検挙のためには、物的証拠が大事。
(つづく)
402ページまで読みました。
日高光一:26歳。さて、誰でしょう。髪の毛の生え際(はえぎわ)が後退している。体重が90キロから100キロぐらい。誰なのかはここには書けません。
喫茶『おふらんど(フランス語で、「捧げ物(ささげもの)」という意味』の店主50歳ぐらい。自家製ミートパイがお勧めの商品。
精神分析医:丸い眼鏡をかけている。土に汚れた白衣を着ている。もぐらの顔をしている。
樽宮由紀子は、ロックバンドの音楽が好きだった。
解離性人格障害(かりせいじんかくしょうがい):多重人格。
鍵を握るポイントとして、『金属製ライターにあったイニシャル「K」』、ライターと関連づけて、『喫煙者』、そして、わたしは、『ハサミ』と考えます。
刑事の進藤が使っているカメラが、デジカメではなく、フィルムカメラのようです。時代を感じました。
読んでいて思ったことです。悪意をもった善意というのはあります。
相手ができないことがわかっているのに、親切そうに声をかけて、相手ができなくて困っているようすをみて楽しむのです。やっかいなのは、加害者の立場にある者が、その行為を無意識にやっていることです。
真実を伝えることがジャーナリズムではない。
パターンをつくって、ドラマチックな報道をして、お金もうけをすることがジャーナリズムである。
ジャーナリズム:新聞、雑誌、放送などの報道活動。
ニヒリスト:虚無主義者(きょむしゅぎしゃ)。なにもないとする。すべて、無価値である。
母と娘の関係に、『異常』あり。
容疑者の目撃者探しのあたりの記述に不自然さを感じました。目撃者が、見つかりそうなものなのに、なかなか見つかりません。いくら、人海戦術によるローラー作戦がやれないとはいえ、駅近くにいつもいる目撃者をいつまでたっても見つけられないというのは不自然です。
住宅地図を持って聞き込みをします。今もそうだろうか。違うような気がします。う~む。わからない。
喫煙の話がたびたび出てきます。
たぶん作者も喫煙者なのでしょう。
真犯人がだれなのか、いつまでたってもわからない390ページあたりです。
時間が流れて、雪が降ってきました。
冬が始まったのです。
フランス革命:1789年-1795年。貴族+高級聖職者VS商工業者+金融業者。王制が崩壊した。『シゾー・オム、ア・ラ・ランテルヌ!』フランス語で、『ハサミ男を街灯に吊るせ!(つるせ)』。
どうして人を殺してはいけないのか:人が死ぬところを見ると不愉快になるから。たんなる不快感。
読んでいて、阿部サダヲさんの映画を思い出しました。
『死刑にいたる病(やまい) 邦画 2022年(令和4年) 2時間9分 動画配信サービス』
こちらの映画は、阿部サダヲさんが、連続殺人鬼を演じます。17歳・18歳のまじめでおとなしく学力優秀な高校生である男女23人と、26歳の成人女性1人を殺した罪で、死刑判決を受けて服役中です。
400ページあたり、自問自答をする文章が続きます。読みながら、『引用が多い』と感じていたら、401ページに、『……ぼくには、引用癖がついたようです!……』と文章があり笑いました。
(つづく)
すべて読み終わりました。
う~む。これでいいのだろうか。これでいいのでしょう。わたしは、本格的な推理小説マニアではないので否定する力がありません。これでいいのです。
ハサミ男の正体が判明します。
ここには書きません。
よくわからない内容の文章が続きます。本自体が多重人格です。
ハサミ男は豪快です。
こんがらがって混乱する422ページあたりです。
だれが話をしているのかわからない。
現実と幻(まぼろし)が、同じ空間に存在する。
女子高生は、男たちを相手に実験をしていた。
なんというか、事実がわからない文章です。
現実と幻想が入り混じった内容の文章になっているのではないか。
刑事課職員のチームワークと真実の追求があります。
この終わり方でいいのだろうか。
496ページの位置にいます。あと5ページで終わります。
『不幸』があります。
『悪魔』あるいは、『悪党』のような人間が生き続けます。
人間と言うよりも、『人格』が生き延びます。
(参考・引用文献の部分を読みました)
鶴見済(つるみ・わたる)『完全自殺マニュアル』(太田出版)は、読んだことがあります。2022年12月22日に長い感想メモがあります。自殺防止が目的の本です。
文庫本の帯に、『古典にして、大傑作』とあります。知らなかった。洋画のシザーハンズとは違うでしょう。読んでみたい。読み始めます。
作者のみょうじが読めませんでした。作者は、1964年(昭和39年生まれ)、そして、2013年(平成25年)に亡くなっています。49歳没。
読み始めて数ページで感じたことです。
社会のようすが古いかな。しかたがありません。
スマホの地図アプリは出てきません。交通系ICカードも出てきません。地図は紙です。
小型の東京都分区地図です。文庫版東京23区地図です。うちにも古い物があります。
ほかにもいろいろ過去のものがあります。時代としては、1980年代から90年代、昭和55年代から平成の始めの世の中の風景です。
単行本は、1999年(平成11年)の発行です。
殺人事件の加害者が、ハサミ男です。すでにふたり犠牲者が出ているようですが、逮捕はされていません。三人目の犠牲者を物色して決めて、下調べをしている段階です。
二番目の殺人は、半年以上前だったそうです。
目黒区鷹番:わたしは、『たかばん』と読む地名だと思いましたが、ハサミ男は、『たかつがい』と読みます。蝶番(ちょうつがい)からきているそうです。(でも、たかばんが正解でした)
ハサミ男:アルバイトをしている。バイト先は、『氷室川出版(ひむろかわしゅっぱん)神田小川町にある。5階建てビルの3階営業部と4階編集部を借りている。正社員は十数名。アルバイトは3人』そこで、2年以上働いている。
地下鉄駅に近い鉄筋アパートに住んでいる。駅から徒歩1分のところにある。相当古い建物である。アパートの住人は他人に無関心である。
樽宮由紀子(たるみや・ゆきこ):三番目の殺人被害者候補。16歳高校2年生。私立葉桜高校に通学している。目黒区鷹番に住んでいる。親と同居らしい。マンションの503号室。デゼール碑文谷(ひもんや)503。赤褐色のマンション。
樽宮一弘:由紀子の父親。
わたしも今、東京の一枚地図を見ながら、目黒区あたりに目を落としています。
鉄道線路の話が多い。著者は鉄道好きなのでしょう。そして、地図好きなのでしょう。
目黒区、駒沢通り、東急東横線、学芸大学駅、地下鉄丸の内線、日比谷線、中目黒駅、菊名行き。
小西美奈:第一の犠牲者、高校一年生。平成14年10月21日。埼玉県内送電塔の敷地内で殺された。埼玉県居住者だった。美人ではないが、若々しく愛らしい顔立ちだった。ショートヘア、銀ぶち眼鏡。
松原雅代:第二の犠牲者。江戸川区の湾岸で殺された。
岡島部長:五十代女性。ハサミ男のバイト先である『氷室川出版』の部長。白髪まじりのおかっぱ頭。化粧気がない馬面(うまづら)。地味だが、いいスーツを着ている。有能。
佐々塚:三十代なかばの小男(こおとこ)。氷室川出版の社員
和田:デザイナー
山岸:氷室川出版のアルバイト。ハサミ男の同僚。中途退職後アルバイトをしている。黒ぶち眼鏡の脱サラ中年男性
スピードキング:バイク便の会社
タブロイド紙:新聞の用紙サイズの半分のサイズの新聞など。
写真のポジ:ポジフィルム。フィルムの状態で色などがわかる。
彫心鏤骨(ちょうしんるこつ):非常に苦心してつくりあげたもの。
玉稿(ぎょっこう):他人の原稿を敬って言う言葉
光磁気ディスク:MOディスク。記憶媒体。それらは、代替品が出て、2000年代に消滅した。
ハサミ男は、火曜日に有給休暇をとる。(女子高生を尾行するため)。
ハサミ男は、アルバイト先で、高校生たちの個人情報を見ることができる。(獲物の候補をそうやって探す)。添削式通信教育の仕事をする勤務先が、個人情報を盗む場所になっている。(恐ろしいことです。(おそろしい)。人を雇う時は、能力の前に、人間として信用できるかを判断せねばなりません)
ハサミ男には、自殺願望があるらしい。(薬物による自殺)。
ドラッグストアーで、『クレゾール石鹸液』を購入しました。
(つづく)
犯罪者自身の心理が、一人称による本人の語りで語られ続けます。
不気味で気色悪い。(きしょくわるい。生理的に受け付けがたい)。また、薄気味悪い。
仕事の資料を利用して、女子高生を物色して、自宅を下見して、学校を見張って、殺人の獲物のとして狙います。ハサミ男は、頭のいい女の子にあこがれています。
不思議なのは、本人に自殺企図の意思があることです。クレゾール石鹸(化学物質)を飲みます。でも、未遂です。本気で死ぬ気はないと読み手であるわたしは判断します。
おそろしい人格をもった男です。地球上には、79億人、日本には、1億2300万人ぐらいが住んでいて、いろんな脳みそがあるわけで、凡人では理解できない不可解な脳みそをもった人がいます。殺したいから殺す。具体的な理由はありません。人間個々がもつ、その人間なりの、『欲(よく)』です。
精神科医であろう60歳ぐらいの医師。純白の短髪。まんなか分け。痩身(そうしん。やせている)。丸い眼鏡をかけている。
殺人のターゲットにしている女子高生が住むマンション503号室の住人として、
おそらく父であろう、樽宮一弘
おそらく母であろう、とし恵。(のちに美人とわかる。37歳)。
狙われている(ねらわれている)本人、由紀子。葉桜高校2年生。背中まで髪が伸びている。美人。165cm。細い体。猫のよう。
おそらく弟であろう、健三郎(のちに、葉桜高校1年生とわかる)
<のちにわかることとして、お互いに連れ子を連れた者同士の再婚。健三郎には実兄がいる。兄が、ふたりいる>
高校の制服で、本人を特定していく。(もう、制服の制度は防犯上やめたほうがいいのかも)。
(つづく)
目黒署刑事課のメンバーです。
磯部龍彦:27歳。ハサミ男と同じぐらいの年齢。第1章では、彼のひとり語りで物語が進行していく部分があります。髪はまんなか分け。逆三角形の顔。整った顔立ち。背は高い。童顔。頼りなさそう。
下川宗夫:160cm。中2のひとり息子がいる。『長さん』と呼ばれるのがイヤ。(ドリフターズのいかりや長介さんのことでしょう)
上井田嘉暁(かみいだ・よしあき)警部:刑事課長。はげている。立派なあごヒゲがある。温厚で礼儀正しい。
松元順三郎:唯一の喫煙者。偏屈そう(へんくつそう)です。
進藤誠斗(しんどう・まこと):若手。おとなしくて優しい。
村木晴彦:巡査部長。30代後半。天然パーマ。手足がひょろ長い。クラシック音楽マニア。冷笑的。いつも超然としている。ときおり突拍子もない行動に出る。予想不可能な性格。
10月17日金曜日:ハサミ男は、早退した。樽宮由紀子の尾行。
カリカチュア:漫画、風刺画
ブランド品のスーツを着た40歳前後の男:援助交際の相手か。
ハサミ:仕事場から盗んだ。仕事場の備品。(なぜ、凶器がハサミなのだろうか)。
11月1日土曜日:尾行する。
高橋:アルバイト。のっぽ。
キルモア:殺鼠剤(さっそざい)
プラシーボ効果:偽薬で効果がみられる。気持ちのもちよう。
ロマン主義者:情緒的、感情的な人。
ハサミ男の主治医は、ハサミ男が殺人犯人であることを知っている。
主治医は、仮想のドクターなのではないか。
『チョキ、チョキ、チョキ…… 三人目の犠牲者が出る……』
おふらんど:学芸大学駅のすぐそばの喫茶店。
アヤコ:樽宮由紀子の友人。高校生。
自由が丘駅の近くにある映画館。上映中の映画は、『地下鉄のザジ』。
11月4日火曜日:二日ぶりに出勤する。
平成15年(2003年)11月11日火曜日午後9時40分頃:東京都目黒区鷹番四丁目にある西公園の茂みの中で、鷺宮由紀子が殺されていた。首にビニール紐(ひも)、絞殺後、首にハサミが突き立てられていた。
ハサミ男の手口で殺されていたが、第一発見者は、ハサミ男であり、ハサミ男は真犯人ではない。鷺宮由紀子の首に刺さっていたハサミは、ハサミ男がその時、かばんの中にもっていたハサミと同じものであった。ハサミ男は、ごまかすために、そのハサミを公園の茂みに捨てた。
ハサミ男はまた、鷺宮由紀子の足もとに、なにやら、『小さく光るもの』を見つけたが、小説では、そのあと、詳記(しょうき。くわしい説明)はされない。(その後:金属製のガスライター。『K』のイニシャル彫り込みありとわかる)。
マルサイ:警視庁科学捜査研究所内に新設された犯罪心理分析官職。サイコアナリシス:成人分析。サイコメトリックス:心理測定法。
広域連続殺人犯エ十二号:マスコミが付けた通称が、『ハサミ男』。
(つづく)
ハサミ男の自殺願望の理由がわかりません。自分はこの世に存在していてはいけない人間だと自分で定義づけしているのだろうか。自分が存在していると、自分がだれかを殺してしまう。(ターゲットは女子高生というのもなにか理由があるのか)。
ディクスン・カー:アメリカ合衆国の推理小説家。密室殺人を素材にする。
11月14日金曜日:第一回捜査会議開催。
堀之内靖治(ほりのうち・やすはる):40歳手前の年齢。科捜研の犯罪心理分析官(マルサイ)。大学講師のように見える。髪はまんなか分け。丸顔。
警視庁捜査一課長:パンチ・ドランカー(ボクシングで、相手にパンチをもらいすぎ)のブルドッグみたいな顔。特別捜査本部の総責任者。
索状物(さくじょうぶつ):ひものようなもの。
死亡推定時刻は、11月11日午後8時から8時20分の間。
白皙(はくせき)の検事:皮膚の色が白い検事。
快楽殺人者:苦しむ姿が楽しい。本人がもつ固定観念。無意識の衝動。
第三の殺人は、ハサミ男による可能性は75%(100%ではない)
犯人は、知能指数が高い(ただし、真犯人は、ハサミ男ではない)、慎重かつ周到で、学習能力がある。
11月14日:ハサミ男は、アルバイトを休む。ハサミ男は、仕事で得た資料で、樽宮家へ電話をかけて、犠牲者の母親樽宮とし恵と話して、葬儀の日取りを聞いた。11月15日午後2時から。春藤斎場にて(しゅんどうさいじょう)。
(つづく)
岩佐邦馬(いわさ・くにま):私立葉桜学園高校の体育教師。35歳独身。
長谷川:葬儀の世話人。60代前半。
黒梅夏絵(くろうめ・なつえ):週刊アルカナ編集部所属のフリーライター(正社員ではない)
250ページまで読みました。全体の半分ぐらいの位置です。全体で502ページあります。
読んでいて、真犯人のめぼしはまだつきません。まだ、情報が足りません。
だれかが、人を殺したのですが、犯行をハサミ男がしたものとみせかけています。
本物のハサミ男は、自分の名前をかたって人殺しをしたのが、だれなのかを知ろうとしています。
ただ、考えてみると、ハサミ男が偽装犯人を警察に通報しようとすると、自分がハサミ男であることが警察にばれてしまいます。さて、そのへんを物語の中で、どう処理するのだろうか。
読んでいて、なんとなく、うすうす気づいていましたが、被害者の家庭がいろいろわけありであり、被害者自身も問題ありです。
連れ子同士をともなっての再婚には、読んでいるうちに気づきました。また、本人が援助交際を積極的にしていることにも気づきました。だれかが、なにかしらの不都合があって女子高生を殺して、その行為をハサミ男がやったことにしようとしたのです。
女子高生樽宮由紀子は、お金欲しさで、接客相手を脅していた(おどしていた)というパターンがひとつあります。
親族間のもつれがからんでいたというパターンもあります。
話のつくりを推理する小説という位置づけで文章を読んでいます。
なぜ凶器が、『ハサミ』なのかにも興味が湧きます。
ハサミ男の心理として、『わたしの内側は、からっぽだ』。
アヤコ(椿田亜矢子)という同級生が、鍵を握っている。
周囲の人間の現実的な話が書いてあります。
女子高生殺人事件は、関係者にとっては悲劇ですが、騒ぎ立てる、あおりたてるマスコミ関係者と捜査する警察関係者にとっては、仕事です。仕事だからやっている。給料をもらうためにやっている。
シリアル・キラー:複数の連続殺人犯。異常な心理的欲求をかかえている。
こどもを亡くした直後の親の心理として:『……子供といっしょに何かが死んでしまったようなんだ。とても大事なにかが。』
人間のその時の心理を観察するために、その人間の手の動きを見る。
犯罪心理分析は、心理がどうなのかを考える学問ではなく、『統計学』だそうです。たくさんのサンプルを集めて分析して、こういうときは、こうだという傾向を研究して参考にする。プロファイリング=横顔を描く。こういうふうだから、犯人は、こういうふうのパターンが多いと考える。
動機がないのに、殺人を繰り返す人間がいる。
『正社員になる気はありませんか』(ハサミ男にかけられた言葉です)。
<世界は誤解と錯覚で成り立っている(女ひとりで世界を旅した人の言葉です。以前旅行記の本で読みました)>
犯人検挙のためには、物的証拠が大事。
(つづく)
402ページまで読みました。
日高光一:26歳。さて、誰でしょう。髪の毛の生え際(はえぎわ)が後退している。体重が90キロから100キロぐらい。誰なのかはここには書けません。
喫茶『おふらんど(フランス語で、「捧げ物(ささげもの)」という意味』の店主50歳ぐらい。自家製ミートパイがお勧めの商品。
精神分析医:丸い眼鏡をかけている。土に汚れた白衣を着ている。もぐらの顔をしている。
樽宮由紀子は、ロックバンドの音楽が好きだった。
解離性人格障害(かりせいじんかくしょうがい):多重人格。
鍵を握るポイントとして、『金属製ライターにあったイニシャル「K」』、ライターと関連づけて、『喫煙者』、そして、わたしは、『ハサミ』と考えます。
刑事の進藤が使っているカメラが、デジカメではなく、フィルムカメラのようです。時代を感じました。
読んでいて思ったことです。悪意をもった善意というのはあります。
相手ができないことがわかっているのに、親切そうに声をかけて、相手ができなくて困っているようすをみて楽しむのです。やっかいなのは、加害者の立場にある者が、その行為を無意識にやっていることです。
真実を伝えることがジャーナリズムではない。
パターンをつくって、ドラマチックな報道をして、お金もうけをすることがジャーナリズムである。
ジャーナリズム:新聞、雑誌、放送などの報道活動。
ニヒリスト:虚無主義者(きょむしゅぎしゃ)。なにもないとする。すべて、無価値である。
母と娘の関係に、『異常』あり。
容疑者の目撃者探しのあたりの記述に不自然さを感じました。目撃者が、見つかりそうなものなのに、なかなか見つかりません。いくら、人海戦術によるローラー作戦がやれないとはいえ、駅近くにいつもいる目撃者をいつまでたっても見つけられないというのは不自然です。
住宅地図を持って聞き込みをします。今もそうだろうか。違うような気がします。う~む。わからない。
喫煙の話がたびたび出てきます。
たぶん作者も喫煙者なのでしょう。
真犯人がだれなのか、いつまでたってもわからない390ページあたりです。
時間が流れて、雪が降ってきました。
冬が始まったのです。
フランス革命:1789年-1795年。貴族+高級聖職者VS商工業者+金融業者。王制が崩壊した。『シゾー・オム、ア・ラ・ランテルヌ!』フランス語で、『ハサミ男を街灯に吊るせ!(つるせ)』。
どうして人を殺してはいけないのか:人が死ぬところを見ると不愉快になるから。たんなる不快感。
読んでいて、阿部サダヲさんの映画を思い出しました。
『死刑にいたる病(やまい) 邦画 2022年(令和4年) 2時間9分 動画配信サービス』
こちらの映画は、阿部サダヲさんが、連続殺人鬼を演じます。17歳・18歳のまじめでおとなしく学力優秀な高校生である男女23人と、26歳の成人女性1人を殺した罪で、死刑判決を受けて服役中です。
400ページあたり、自問自答をする文章が続きます。読みながら、『引用が多い』と感じていたら、401ページに、『……ぼくには、引用癖がついたようです!……』と文章があり笑いました。
(つづく)
すべて読み終わりました。
う~む。これでいいのだろうか。これでいいのでしょう。わたしは、本格的な推理小説マニアではないので否定する力がありません。これでいいのです。
ハサミ男の正体が判明します。
ここには書きません。
よくわからない内容の文章が続きます。本自体が多重人格です。
ハサミ男は豪快です。
こんがらがって混乱する422ページあたりです。
だれが話をしているのかわからない。
現実と幻(まぼろし)が、同じ空間に存在する。
女子高生は、男たちを相手に実験をしていた。
なんというか、事実がわからない文章です。
現実と幻想が入り混じった内容の文章になっているのではないか。
刑事課職員のチームワークと真実の追求があります。
この終わり方でいいのだろうか。
496ページの位置にいます。あと5ページで終わります。
『不幸』があります。
『悪魔』あるいは、『悪党』のような人間が生き続けます。
人間と言うよりも、『人格』が生き延びます。
(参考・引用文献の部分を読みました)
鶴見済(つるみ・わたる)『完全自殺マニュアル』(太田出版)は、読んだことがあります。2022年12月22日に長い感想メモがあります。自殺防止が目的の本です。
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