2023年05月11日
よるのあいだに 文・ポリー・フェイバー
よるのあいだに みんなをささえる はたらく人たち 文・ポリー・フェイバー 絵・ハリエット・ホブデイ 訳・中井はるの BL出版
第一印象は、きれいな絵だなあです。
読み終えてみて思うのは、絵はきれいでしたが、文章の内容は、どうかなあという感想です。
つっこみどころがあります。(指摘したい部分)
昼間働く人が『ふつう』で、夜働く人は『例外』という扱いで、夜働く人たちに感謝しましょうというテーマでした。
なんというか、働くということは、昼働いても夜働いても同じです。どちらが楽で、どちらが楽ではないとか、区別はありません。苦痛の代償が賃金です。自分で、どの苦痛だったら自分は耐えられるかを基準にして、自分の仕事を選ぶのです。この絵本の文章は、そこのところの基本を踏まえていない理屈の本です。
サービス業というものは、人が休んでいるときに働いて、人が働いているときに休むものです。
自分も四十代のころ、五年間ぐらい、土日出勤、火水休みの仕事をしていたことがあります。
家族たち、とくにまだ小学生低学年だったこどもには、かわいそうなことをしました。土日にいっしょに遊んでやれませんでした。
しかたがないのです。生活費を得るためには、家庭より仕事を優先させなければならないときがあります。
祝日に働いたり、夜中に働いたりもしました。年末年始やゴールデンウイークも働いて、お正月が過ぎてから休みをとったりもしました。それなりに、いいこともあるし、イヤなこともありました。
そんなことを思い出しながら、この絵本を読み始めました。
きれいな絵の表紙です。
黄色い窓の灯り(あかり)に温かい(あたたかい)人の気持ちが感じられます。
絵本の舞台は外国です。作者と絵を描いた人がイギリス人ですから、イギリスのどこかの都市のイメージでしょう。さしあたって、首都ロンドンです。
夕映えの空に鳥が飛んでいます。
鳥が飛ぶ影が、なにかしらわびしさを感じさせます。
登場する家族のいまのようすです。
パパ:主夫? 食器の洗い物をしています。
ママ:行ってきますと、出勤して行きました。(夜のお仕事? 水商売とか風俗業を想像します(違っていました))
こども:声だけします。女の子かな?
サミー:女性です。ビルのフロアーで床ふきの作業をしています。
夜、働く人に感謝しましょうという趣旨での文章が書いてあります。(夜働いている人は、昼間休んでいるからだいじょうぶですよ。静かな夜に淡々と働くことが好きな人もいます)
自分が不思議に思ったことです。絵本の絵では、かなり広いフロアーをサミーひとりで、モップをもって、床をこすっています。広い区域を清掃するときは、チームで行動します。3人なり、5人なりで、班長がいて、班長の指示に従って作業を進行させていきます。
清掃を依頼する側は、備品類を壊したり、盗んだりされないよう気をつけます。(世の中は厳しいのです。お互いの信頼関係は重要で大事です)
ビルの警備員の仕事が紹介されます。モニター監視です。警備員の名前は、ジョルジオです。モニターを長時間監視し続けるのは苦痛な仕事です。異常があったら、駆けつけるなり、警備会社本社や警察に通報しなければなりません。
ビルに迷い込んで来た鳥を助けた話が紹介されますが、微妙な事象です。助けたというよりもビルの敷地から排除した。鳥のことをかまっていられないときもあります。
警察官の話が出ます。ハッサンとアミーナ(女性)のふたりの警官が夜間パトロールで、ごみ置き場がキツネに荒らされている現場に出くわします。
都市部にキツネがいることにおどろかされます。
警察が、ごみの後片付けをするとは思えません。役所のごみ担当の部署に仕事をふるか、何もしないでしょう。
夜働く登場人物と仕事内容の紹介が続きます。
テレビ局です。
熊じいさんは、朝が早いのですが、テレビをつけて思うのは、ニュースキャスターの人たちは、今この時間(午前6時前とか)に生放送でニュースを読みあげているということは、今よりも二時間以上前ぐらいにはテレビ局に出勤して、放送内容の打合せをして、そして、今、仕事をしているということです。テレビ局内で寝泊まりしているのか、テレビ局のそばにあるホテルで寝泊まりしているのではないかと推理してしまうのです。
いまどきは、二十四時間営業のところがたくさんあります。交代制勤務もあります。働く時間帯は個々でバラバラです。
ミュージシャンです。アーチストの働く時間は、観客が見に来ることができる時間帯です。
絵本の中は、夜です。
「レムさん」という男性がステージ上でサックスホーンを吹いています。
(物語では、登場人物に「さん」の敬称はつけないほうが読みやすいです)
昼夜逆転の仕事を続けていると健康に良くないということはあります。毎年健康診断を受けましょう。
大多数の人たちは、昼間働いています。
夜、働く人は、夜じゃないと働けない事情をかかえている人もいます。夜、働くことが好きな人がいます。
人と話すことがにがてで、夜、なるべく人と話をしないでやる仕事を選択する人もいるでしょう。
夜間の車の運転(物資の輸送)なんかは、該当する気がします。ひとりでやる仕事です。
道路や鉄道の作業を夜間行う仕事があります。
人や車両が減る夜間が仕事をしやすい。
給料がいいということもあります。
夜間の労働は割増の賃金があったりもします。
救命救急士の仕事が出てきます。
交代制勤務の労働時間です。
自分自身の生活管理をしっかりしないと、自分が病気になったり、ケガをしたりします。
夜の仕事を継続していると、睡眠時間を十分とれなかったりもします。
短命につながるような気がします。
命をお金に変えているという実感があります。
病院では、夜間も医師や看護師が働いています。
医師だから長寿とは限りません。むしろ心身を酷使して、平均寿命よりも早く亡くなることが多いと医師が書いた別の本で読んだことがあります。
いまどきは、夜中に出産があるとは聞かなくなりました。まったくないとは言えませんが、事例としては少ないのではないか。
出産の時間帯をコントロールできるような気がします。
絵本では、夜中に生まれるあかちゃんのことが書いてあります。
絵本のページをめくると、朝焼けの風景が広がりました。
最初にもどって、昨日夕方出勤した女性の職業が紹介されます。ママのお仕事です。
『…… バスの運転をするのが、わたしのママ。』(始発のバスだろうか。いやいや流れとしては、長距離高速バス。夜通し走るバスではなかろうか。されど、それなら、帰宅するのは、出勤した翌々日ではなかろうか。遠方から戻ってくるのにもう一日がいります。ちょっとつじつまが合わず、わかりません)
次のページに『みんなのために、よるのあいだ、バスを運転するママ。』と出てきました。夜中じゅう市内を走る路線バスがイギリスにはあるのだろうか。わかりません。
ちっちゃい女の子が帰宅したママに感謝しています。そばにパパが立っています。パパは仕事に行かないのだろうか。(どうも、パパは主夫のようです。それとも、小説家かもしれません)
ママは、太陽光線が入ってくる部屋で、めかくしをして、おやすみをして、寝てしまいました。
なかなかすんなり喜べる内容でもありませんでした。
うわべだけの『感謝』のお話でした。
こどもさんは、学校へ行くから、母と娘はすれ違いの生活です。
母子関係として好ましいとは思えません。
絵を楽しむ絵本でした。
第一印象は、きれいな絵だなあです。
読み終えてみて思うのは、絵はきれいでしたが、文章の内容は、どうかなあという感想です。
つっこみどころがあります。(指摘したい部分)
昼間働く人が『ふつう』で、夜働く人は『例外』という扱いで、夜働く人たちに感謝しましょうというテーマでした。
なんというか、働くということは、昼働いても夜働いても同じです。どちらが楽で、どちらが楽ではないとか、区別はありません。苦痛の代償が賃金です。自分で、どの苦痛だったら自分は耐えられるかを基準にして、自分の仕事を選ぶのです。この絵本の文章は、そこのところの基本を踏まえていない理屈の本です。
サービス業というものは、人が休んでいるときに働いて、人が働いているときに休むものです。
自分も四十代のころ、五年間ぐらい、土日出勤、火水休みの仕事をしていたことがあります。
家族たち、とくにまだ小学生低学年だったこどもには、かわいそうなことをしました。土日にいっしょに遊んでやれませんでした。
しかたがないのです。生活費を得るためには、家庭より仕事を優先させなければならないときがあります。
祝日に働いたり、夜中に働いたりもしました。年末年始やゴールデンウイークも働いて、お正月が過ぎてから休みをとったりもしました。それなりに、いいこともあるし、イヤなこともありました。
そんなことを思い出しながら、この絵本を読み始めました。
きれいな絵の表紙です。
黄色い窓の灯り(あかり)に温かい(あたたかい)人の気持ちが感じられます。
絵本の舞台は外国です。作者と絵を描いた人がイギリス人ですから、イギリスのどこかの都市のイメージでしょう。さしあたって、首都ロンドンです。
夕映えの空に鳥が飛んでいます。
鳥が飛ぶ影が、なにかしらわびしさを感じさせます。
登場する家族のいまのようすです。
パパ:主夫? 食器の洗い物をしています。
ママ:行ってきますと、出勤して行きました。(夜のお仕事? 水商売とか風俗業を想像します(違っていました))
こども:声だけします。女の子かな?
サミー:女性です。ビルのフロアーで床ふきの作業をしています。
夜、働く人に感謝しましょうという趣旨での文章が書いてあります。(夜働いている人は、昼間休んでいるからだいじょうぶですよ。静かな夜に淡々と働くことが好きな人もいます)
自分が不思議に思ったことです。絵本の絵では、かなり広いフロアーをサミーひとりで、モップをもって、床をこすっています。広い区域を清掃するときは、チームで行動します。3人なり、5人なりで、班長がいて、班長の指示に従って作業を進行させていきます。
清掃を依頼する側は、備品類を壊したり、盗んだりされないよう気をつけます。(世の中は厳しいのです。お互いの信頼関係は重要で大事です)
ビルの警備員の仕事が紹介されます。モニター監視です。警備員の名前は、ジョルジオです。モニターを長時間監視し続けるのは苦痛な仕事です。異常があったら、駆けつけるなり、警備会社本社や警察に通報しなければなりません。
ビルに迷い込んで来た鳥を助けた話が紹介されますが、微妙な事象です。助けたというよりもビルの敷地から排除した。鳥のことをかまっていられないときもあります。
警察官の話が出ます。ハッサンとアミーナ(女性)のふたりの警官が夜間パトロールで、ごみ置き場がキツネに荒らされている現場に出くわします。
都市部にキツネがいることにおどろかされます。
警察が、ごみの後片付けをするとは思えません。役所のごみ担当の部署に仕事をふるか、何もしないでしょう。
夜働く登場人物と仕事内容の紹介が続きます。
テレビ局です。
熊じいさんは、朝が早いのですが、テレビをつけて思うのは、ニュースキャスターの人たちは、今この時間(午前6時前とか)に生放送でニュースを読みあげているということは、今よりも二時間以上前ぐらいにはテレビ局に出勤して、放送内容の打合せをして、そして、今、仕事をしているということです。テレビ局内で寝泊まりしているのか、テレビ局のそばにあるホテルで寝泊まりしているのではないかと推理してしまうのです。
いまどきは、二十四時間営業のところがたくさんあります。交代制勤務もあります。働く時間帯は個々でバラバラです。
ミュージシャンです。アーチストの働く時間は、観客が見に来ることができる時間帯です。
絵本の中は、夜です。
「レムさん」という男性がステージ上でサックスホーンを吹いています。
(物語では、登場人物に「さん」の敬称はつけないほうが読みやすいです)
昼夜逆転の仕事を続けていると健康に良くないということはあります。毎年健康診断を受けましょう。
大多数の人たちは、昼間働いています。
夜、働く人は、夜じゃないと働けない事情をかかえている人もいます。夜、働くことが好きな人がいます。
人と話すことがにがてで、夜、なるべく人と話をしないでやる仕事を選択する人もいるでしょう。
夜間の車の運転(物資の輸送)なんかは、該当する気がします。ひとりでやる仕事です。
道路や鉄道の作業を夜間行う仕事があります。
人や車両が減る夜間が仕事をしやすい。
給料がいいということもあります。
夜間の労働は割増の賃金があったりもします。
救命救急士の仕事が出てきます。
交代制勤務の労働時間です。
自分自身の生活管理をしっかりしないと、自分が病気になったり、ケガをしたりします。
夜の仕事を継続していると、睡眠時間を十分とれなかったりもします。
短命につながるような気がします。
命をお金に変えているという実感があります。
病院では、夜間も医師や看護師が働いています。
医師だから長寿とは限りません。むしろ心身を酷使して、平均寿命よりも早く亡くなることが多いと医師が書いた別の本で読んだことがあります。
いまどきは、夜中に出産があるとは聞かなくなりました。まったくないとは言えませんが、事例としては少ないのではないか。
出産の時間帯をコントロールできるような気がします。
絵本では、夜中に生まれるあかちゃんのことが書いてあります。
絵本のページをめくると、朝焼けの風景が広がりました。
最初にもどって、昨日夕方出勤した女性の職業が紹介されます。ママのお仕事です。
『…… バスの運転をするのが、わたしのママ。』(始発のバスだろうか。いやいや流れとしては、長距離高速バス。夜通し走るバスではなかろうか。されど、それなら、帰宅するのは、出勤した翌々日ではなかろうか。遠方から戻ってくるのにもう一日がいります。ちょっとつじつまが合わず、わかりません)
次のページに『みんなのために、よるのあいだ、バスを運転するママ。』と出てきました。夜中じゅう市内を走る路線バスがイギリスにはあるのだろうか。わかりません。
ちっちゃい女の子が帰宅したママに感謝しています。そばにパパが立っています。パパは仕事に行かないのだろうか。(どうも、パパは主夫のようです。それとも、小説家かもしれません)
ママは、太陽光線が入ってくる部屋で、めかくしをして、おやすみをして、寝てしまいました。
なかなかすんなり喜べる内容でもありませんでした。
うわべだけの『感謝』のお話でした。
こどもさんは、学校へ行くから、母と娘はすれ違いの生活です。
母子関係として好ましいとは思えません。
絵を楽しむ絵本でした。