2023年05月04日
うまれてくるよ海のなか 高久至 かんちくたかこ
うまれてくるよ海のなか しゃしん・高久至(たかく・いたる) ぶん・かんちくたかこ アリス館
熊じいさんは、毎週日曜日午前10時から始まるNHKラジオ番組『子ども科学電話相談』を楽しみにしていて、いつも聴いています。(きいています)
ぺらぺらとじょうずにお話ができるこどもさんもいますが、たいていは、途中で言葉が続かなくなって、自分の頭の中にあることをうまく言葉で表現できないちびっこのほうが多いような気がします。
どうなるのだろうかと聞いているほうは心配になるのですが、女性のアナウンサーさんが根気よく、ゆっくりと時には言い方を変えるなりして、こどもさんに優しく話しかけておられます。
質問に答える先生方は、たぶん、科学好きだった自分がこどもだったときのことを思い出しながら、苦労しながらも答えをこどもさんに教えてあげています。
こどもさんとアナウンサーさんと先生という組み合わせのコンビネーション、それから、声は聴こえませんが、番組を支えている裏方のスタッフさんたちの姿勢がとてもいい番組です。
こどもさんの質問は『恐竜』『昆虫』『草花』『生きもの』など多彩です。
好奇心旺盛なちびっこたちには、知りたいことがいっぱいあります。
活発な会話のやりとりがあって、活気がある雰囲気のときもあります。
この写真絵本の表紙をながめながら、そんなことを考えました。
表紙をめくります。
きれいな小魚たちがいっぱいです。
水中が、銀色に光っています。
名古屋港水族館では『マイワシのトルネード』というマイワシが渦巻きになっているところを見学する機会があります。その光景に似ています。同館の水槽にはマイワシが3万5000尾(び)もいるそうです。すごいなあ。
さらにページをめくりました。
かわいいカニの写真です。
ちょっと変わったカニです。シマシマもようの足とオレンジ色の体です。
『がんばれー』って、カニの声が言葉にしてあります。
ほんとうにそう言っているみたいです。
次のページをめくって、さいしょは、なんの写真だかわかりませんでした。
写真に添えられている文章を読みました。
おさかなである『クマノミ』が正面を向いて2匹います。(なるほど)
二匹のクマノミのおなかの下にはオレンジ色のちいさなツブツブがいっぱい広がっています。
卵です。そうするとクマノミは、ご夫婦ですな。若夫婦です。
最初はなんの写真かわかりませんでしたが、しっかり見ると、そうなのかと納得できます。
被写体の構図が一般的でないところが、おもしろみにつながって成功しています。魚の正面からの構図です。
クマノミ夫婦と、ふたりのこどもといってもいい卵です。家族です。表現手法が秀逸です。(優れていて抜きんでている)
さきほどのクマノミファミリーの物語が始まります。
夫婦は若いパパとママです。
卵の中に目が現れて、小さな細長いあかちゃんの姿が見えてきます。
お魚の子育ては、卵からあかちゃんが産まれるまでなのでしょう。
生まれてきたあかちゃんたちは、自力で海の中で生き抜いていくのです。がんばれーー
この写真絵本の最初のほうのページにいたカニが応援していました。『がんばれーー』
次の卵は『アイナメの卵』だそうです。
アイナメは体が大きい魚です。写真にあるアイナメの顔は怖そうです。(こわそうです)
アイナメの口は大きいので、食べられてしまいそうです。恐怖感があります。
アイナメの顔を撮影した時の被写体の角度がいい。独特です。
アイナメの母性本能が強い。(もしかしたらパパかもしれませんが)
卵を食べようと近づいてきたヒトデをパクっと自分の口の中に入れてしまいました。(やっぱり怖い)
自分のこどもたちが生きるために、親が、こどもたちを食べようとするほかの生き物を食べます。
(人間もそういうことってあるのでしょう。自分のこどもを守ることが親の役目です)
写真に出てくるお魚の名前は『サビハゼ』『カモハラビンポ』『チャガラ』『ウバウオ』『シモフリタナバアウオ』初めて聞く名前ばかりです。
みんないっしょうけんめい生きています。いっしょうけんめい卵を育てています。
魚の卵を食べる生き物から卵を守るために親はいろいろ工夫します。
シワイカナゴ:細長いメダカみたいな魚です。擬態です。(ぎたい。真似まね)卵を海藻にくっつけて、卵が海藻の一部に見えるようにします。
ホシカゲアゴアマダイ:親魚の口の中に卵を入れて保管する。口の中で命を守る。親が卵を食べているように見えるけれどじっさいは違うのです。
卵から小魚が生れる時には、親の口の中からどーっと、ちっちゃなオタマジャクシみたいな姿のあかちゃんさかなが湧きだしてくるのです。昔洋画で観た『グリーンマイル』のシーンを思い出しました。あれは、卵じゃなかったけれど(たしか、難病の原因になる悪いばい菌みたいなものでした)
キンセンイシモチ:ママが卵を産むとパパが卵を口に入れました。口にくわえて卵を守るそうです。ごはんはどうやって食べるのだろう? 卵がかえるまで食べないのかもしれません。やせてしまいます。
タツノオトシゴの親子の写真が出てきました。
親のおなかにある袋からこどもの顔がちょこんと出ています。
オーストラリアにいるカンガルーのこどもみたいです。有袋類(ゆうたいるい)です。
この写真絵本には『学び』があります。
へー タツノオトシゴのママは、パパのおなかのふくろに卵を産むそうです。初めて知りました。そうなんだ。
甲殻類(こうかくるい)です。カニです。
エビもそうです。
かたい殻(から)の間にたくさんの卵をくっつけるそうです。
ベンケイガニ。ママのおなからちびっこカニがいっぱい出てきます。
ワレモドキ:初めて見ました。宇宙人みたいな姿をした生き物です。
親子の話。種の継続(しゅのけいぞく。子孫をつないでいく)を意識します。
『美』があります。文章と写真で表現する『美』があります。
なんだか、夜空に輝く星のようでもあります。
タコのママ:卵を産むのは一生に一回しかないそうです。初めて聞きました。つまり、産んだら死ぬということです。自然の厳しさがあります。産んで、何も食べずに卵の世話をして、タコのあかちゃんが生まれる頃に亡くなるのです。おかあさんありがとう。おかあさんからしてみれば、こどもたちに対して、命をつないでくれてありがとうです。
『ゴブダイ』『ミヤケテグリ』『カエルアンコウ』たくさん卵を産んで、たくさん赤ちゃんがかえるけれど、ずっと生き残れるのはごく少数のようです。たくさんの中から生き残るためには『運』が必要です。
親たちは自分を犠牲にしながら卵を守ります。
『ギンポ(卵にうなぎのような体を巻き付けて卵を守る)』『ムシャギンポ(自分より大きな貝のなかに隠れる夫婦です)』『アオスジテンジクダイ(口の中に卵を入れる)』『ルリホシスズメ(卵の前で敵を威嚇する(いかくする)』いろんなパターンで、親はこどもを守ります。
写真絵本の中で、ちっちゃな命がたくさん生まれてきます。
人間よりも愛情が深いのではないか。(そもそもの理由は、生物の本能(ほんのう。生まれもった性質)なのでしょう)
いろんな魚類がいます。『クマノミ』『アイナメ』『サビハゼ』『シワイカナゴ』『タツノオトシゴ』『ミヤケテグリ』『ルリホシスズメ』『フリンデエビ』『ヤリイカ』『ベニワモンヤドカリ』『キツネベラ』『カモハラビンポ』『シモフリタナバタウオ』『チャガラ』『ヒメダンゴイカ』『カエルアンコウ』『コブダイ』『モンガラカワハギ』『マダコ』『オビアナハゼ』『ミナミハコフグ』『キンセンイシモチ』みんな、いまはまだ小さいけれど、無事に成長して、大きなおとなになって、また、卵を産んでほしい。ちびっこたちを新しい未来に送り届けてほしい。
みんなで共存。戦争反対。地球を大切にしよう。自然環境を守ろう。そんなメッセージが聞こえてくる写真絵本でした。
最初のほうのページにもどってカニさんが『がんばれー』
生き物の世界では、こどもが育つには、パパとママの協力が必要です。人間も同じですが、人間の場合は、パパとママがうまくいかないこともあります。そのときは、ちびっこが自分でがんばるしかないときもあります。がんばれーー
自分が大きくなったら自立と自活で、新しい自分の家族をつくりましょう。
写真絵本では、海の生き物たちの卵の色と形がきれいでした。
裏表紙の手前の写真は、ミノカサゴの仲間の卵でした。ブルーに輝いています。
熊じいさんは、毎週日曜日午前10時から始まるNHKラジオ番組『子ども科学電話相談』を楽しみにしていて、いつも聴いています。(きいています)
ぺらぺらとじょうずにお話ができるこどもさんもいますが、たいていは、途中で言葉が続かなくなって、自分の頭の中にあることをうまく言葉で表現できないちびっこのほうが多いような気がします。
どうなるのだろうかと聞いているほうは心配になるのですが、女性のアナウンサーさんが根気よく、ゆっくりと時には言い方を変えるなりして、こどもさんに優しく話しかけておられます。
質問に答える先生方は、たぶん、科学好きだった自分がこどもだったときのことを思い出しながら、苦労しながらも答えをこどもさんに教えてあげています。
こどもさんとアナウンサーさんと先生という組み合わせのコンビネーション、それから、声は聴こえませんが、番組を支えている裏方のスタッフさんたちの姿勢がとてもいい番組です。
こどもさんの質問は『恐竜』『昆虫』『草花』『生きもの』など多彩です。
好奇心旺盛なちびっこたちには、知りたいことがいっぱいあります。
活発な会話のやりとりがあって、活気がある雰囲気のときもあります。
この写真絵本の表紙をながめながら、そんなことを考えました。
表紙をめくります。
きれいな小魚たちがいっぱいです。
水中が、銀色に光っています。
名古屋港水族館では『マイワシのトルネード』というマイワシが渦巻きになっているところを見学する機会があります。その光景に似ています。同館の水槽にはマイワシが3万5000尾(び)もいるそうです。すごいなあ。
さらにページをめくりました。
かわいいカニの写真です。
ちょっと変わったカニです。シマシマもようの足とオレンジ色の体です。
『がんばれー』って、カニの声が言葉にしてあります。
ほんとうにそう言っているみたいです。
次のページをめくって、さいしょは、なんの写真だかわかりませんでした。
写真に添えられている文章を読みました。
おさかなである『クマノミ』が正面を向いて2匹います。(なるほど)
二匹のクマノミのおなかの下にはオレンジ色のちいさなツブツブがいっぱい広がっています。
卵です。そうするとクマノミは、ご夫婦ですな。若夫婦です。
最初はなんの写真かわかりませんでしたが、しっかり見ると、そうなのかと納得できます。
被写体の構図が一般的でないところが、おもしろみにつながって成功しています。魚の正面からの構図です。
クマノミ夫婦と、ふたりのこどもといってもいい卵です。家族です。表現手法が秀逸です。(優れていて抜きんでている)
さきほどのクマノミファミリーの物語が始まります。
夫婦は若いパパとママです。
卵の中に目が現れて、小さな細長いあかちゃんの姿が見えてきます。
お魚の子育ては、卵からあかちゃんが産まれるまでなのでしょう。
生まれてきたあかちゃんたちは、自力で海の中で生き抜いていくのです。がんばれーー
この写真絵本の最初のほうのページにいたカニが応援していました。『がんばれーー』
次の卵は『アイナメの卵』だそうです。
アイナメは体が大きい魚です。写真にあるアイナメの顔は怖そうです。(こわそうです)
アイナメの口は大きいので、食べられてしまいそうです。恐怖感があります。
アイナメの顔を撮影した時の被写体の角度がいい。独特です。
アイナメの母性本能が強い。(もしかしたらパパかもしれませんが)
卵を食べようと近づいてきたヒトデをパクっと自分の口の中に入れてしまいました。(やっぱり怖い)
自分のこどもたちが生きるために、親が、こどもたちを食べようとするほかの生き物を食べます。
(人間もそういうことってあるのでしょう。自分のこどもを守ることが親の役目です)
写真に出てくるお魚の名前は『サビハゼ』『カモハラビンポ』『チャガラ』『ウバウオ』『シモフリタナバアウオ』初めて聞く名前ばかりです。
みんないっしょうけんめい生きています。いっしょうけんめい卵を育てています。
魚の卵を食べる生き物から卵を守るために親はいろいろ工夫します。
シワイカナゴ:細長いメダカみたいな魚です。擬態です。(ぎたい。真似まね)卵を海藻にくっつけて、卵が海藻の一部に見えるようにします。
ホシカゲアゴアマダイ:親魚の口の中に卵を入れて保管する。口の中で命を守る。親が卵を食べているように見えるけれどじっさいは違うのです。
卵から小魚が生れる時には、親の口の中からどーっと、ちっちゃなオタマジャクシみたいな姿のあかちゃんさかなが湧きだしてくるのです。昔洋画で観た『グリーンマイル』のシーンを思い出しました。あれは、卵じゃなかったけれど(たしか、難病の原因になる悪いばい菌みたいなものでした)
キンセンイシモチ:ママが卵を産むとパパが卵を口に入れました。口にくわえて卵を守るそうです。ごはんはどうやって食べるのだろう? 卵がかえるまで食べないのかもしれません。やせてしまいます。
タツノオトシゴの親子の写真が出てきました。
親のおなかにある袋からこどもの顔がちょこんと出ています。
オーストラリアにいるカンガルーのこどもみたいです。有袋類(ゆうたいるい)です。
この写真絵本には『学び』があります。
へー タツノオトシゴのママは、パパのおなかのふくろに卵を産むそうです。初めて知りました。そうなんだ。
甲殻類(こうかくるい)です。カニです。
エビもそうです。
かたい殻(から)の間にたくさんの卵をくっつけるそうです。
ベンケイガニ。ママのおなからちびっこカニがいっぱい出てきます。
ワレモドキ:初めて見ました。宇宙人みたいな姿をした生き物です。
親子の話。種の継続(しゅのけいぞく。子孫をつないでいく)を意識します。
『美』があります。文章と写真で表現する『美』があります。
なんだか、夜空に輝く星のようでもあります。
タコのママ:卵を産むのは一生に一回しかないそうです。初めて聞きました。つまり、産んだら死ぬということです。自然の厳しさがあります。産んで、何も食べずに卵の世話をして、タコのあかちゃんが生まれる頃に亡くなるのです。おかあさんありがとう。おかあさんからしてみれば、こどもたちに対して、命をつないでくれてありがとうです。
『ゴブダイ』『ミヤケテグリ』『カエルアンコウ』たくさん卵を産んで、たくさん赤ちゃんがかえるけれど、ずっと生き残れるのはごく少数のようです。たくさんの中から生き残るためには『運』が必要です。
親たちは自分を犠牲にしながら卵を守ります。
『ギンポ(卵にうなぎのような体を巻き付けて卵を守る)』『ムシャギンポ(自分より大きな貝のなかに隠れる夫婦です)』『アオスジテンジクダイ(口の中に卵を入れる)』『ルリホシスズメ(卵の前で敵を威嚇する(いかくする)』いろんなパターンで、親はこどもを守ります。
写真絵本の中で、ちっちゃな命がたくさん生まれてきます。
人間よりも愛情が深いのではないか。(そもそもの理由は、生物の本能(ほんのう。生まれもった性質)なのでしょう)
いろんな魚類がいます。『クマノミ』『アイナメ』『サビハゼ』『シワイカナゴ』『タツノオトシゴ』『ミヤケテグリ』『ルリホシスズメ』『フリンデエビ』『ヤリイカ』『ベニワモンヤドカリ』『キツネベラ』『カモハラビンポ』『シモフリタナバタウオ』『チャガラ』『ヒメダンゴイカ』『カエルアンコウ』『コブダイ』『モンガラカワハギ』『マダコ』『オビアナハゼ』『ミナミハコフグ』『キンセンイシモチ』みんな、いまはまだ小さいけれど、無事に成長して、大きなおとなになって、また、卵を産んでほしい。ちびっこたちを新しい未来に送り届けてほしい。
みんなで共存。戦争反対。地球を大切にしよう。自然環境を守ろう。そんなメッセージが聞こえてくる写真絵本でした。
最初のほうのページにもどってカニさんが『がんばれー』
生き物の世界では、こどもが育つには、パパとママの協力が必要です。人間も同じですが、人間の場合は、パパとママがうまくいかないこともあります。そのときは、ちびっこが自分でがんばるしかないときもあります。がんばれーー
自分が大きくなったら自立と自活で、新しい自分の家族をつくりましょう。
写真絵本では、海の生き物たちの卵の色と形がきれいでした。
裏表紙の手前の写真は、ミノカサゴの仲間の卵でした。ブルーに輝いています。