2024年11月10日

とんでもない 鈴木のりたけ

とんでもない 鈴木のりたけ アリス館

 油絵のようなタッチ(筆致)の絵本です。

 『サイ』の後ろ姿から始まります。
 自転車にのった『サイ』が、ペダルをこぐ後ろ姿がかわいい。
 のっている『サイ』は、ママさんだろうか? パパさんだろうか? わかりません。

 ページをめくって意外です。
 海辺の町の風景画が出てきました。
 日本各地の海岸線に似たような風景があります。

 少年である『ぼく』が、一戸建ての二階にある自分の部屋で、窓辺で頬づえをつきながら、なにやらぶつぶつ不満をつぶやいています。
 自分は平凡だ。なにかしらずばぬけた能力があるわけでもない。
 『サイ』はいいなあ。よろいのような体がかっこいいなあ。
 そんなことをつぶやいています。

 読み終えてわかるのですが、連鎖の回転が始まります。
 
 少年の自宅のお隣に、『サイ』が住む家がある?
 なんか、変な絵があります。

 おもしろい!
 『サイ』が部屋の中でイスにこしかけて話します。
 『とんでもない』
 わたしにも苦労があるんだよ。(おもしろい)
 『サイ』は、『うさぎ』がうらやましい。
 
 ほう。
 『うさぎ』になりたいようなことを言った『サイ』の次は、『うさぎ』です。
 
 読んですぐにぱっと理解できるものでもないのですが、『うさぎ』が語ります。
 『うさぎ』にも苦労があるのです。
 『うさぎ』は、『くじら』がうらやましい。
 
 『くじら』の絵の構図がすごい。
 見開き2ページのすべてが『くじら』の顔に見えます。
 ブルーの色がきれいです。
 海の中で暮らすのにも苦労があるのです。
 『くじら』は、『きりん』がうらやましいそうです。
 
 おもしろい!
 『きりん』の顔が、煙突(えんとつ)から出ています。
 帰宅しても首が長すぎて困るらしい。
 絵がリアルです。
 『きりん』が生きているみたいです。
 『きりん』は、『とり』みたいに空へ舞い上がりたい。

 『とんでもない』
 『とり』は、地面の上で暮らしたいそうです。
 地面の上には、エサがたくさんあるからだそうです。
 でも、『とり』を襲う敵も多いから、敵につかまらないように空を飛んでいるそうです。
 『とり』は、強い『ライオン』になりたい。

 ページをめくったら、『ライオン』が出てくると思ったのに違っていました。
 たくさんの『ねこ』が、公園広場の草地の上にいます。にゃー にゃー。
 
 ついに、『らいおん』が出てきました。
 『らいおん』にもお悩みがあるのかと思ったら、なさそうです。『うん まあ そうかもね(強いから襲われることがない)』
 ストーリーが進む中で、リズムの変化がありました。おもしろい。
 そんなことを言っていた『男らいおん』の頭に、『パコンッ』と、『らいおんの奥さん』からのお玉(台所の)叩き(たたき)が飛んできました。
 『男らいおん』は、狩りをしません。『女らいおん』が、狩りをします。奥さんは、獲物を追いかけるのもたいへんだと主張します。
 『奥さんらいおん』は、『人間のこども』がうらやましい。人間のこどもは、家でひっくりかえって本でも読んでいればいい気楽な身分だみたいなことを言います。

 ここまで読んで、この絵本を親戚の男の子にプレゼントすることにしました。
 3歳半ぐらいですが、楽しんでもらえそうです。
 
 いい絵本でした。
 港に近い山の上にある住宅地の夜景がきれいです。
 
 いいなあ。
 夜の『サイ』の姿、『サイ』は自転車にまたがってペダルをこいでいます。

 読み終えて、おまけのクイズもありました。
 ちょっとむずかしい問題もありました。
 第1問の答である、『うさぎが描いてあるポスター』が、わたしには見えません。老眼のせいだろうか。

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