2023年01月03日

おかえし 村山桂子・さく 織茂恭子・え

おかえし 村山桂子・さく 織茂恭子(おりも・きょうこ)・え 福音館書店

 1989年(平成元年)の絵本です。
 たぬきのおくさんとこども+きつねのおくさんとこどものお話です。どちらも母子家庭なのだろうか。そのことは物語とは関係ありませんでした。

 ひっこしをしてきたきつねが、お隣のたぬきに引っ越しあいさつをしているところからスタートです。
 ひっこしあいさつでいちごの盛り合わせを受け取ったたぬきが、ひっこしあいさつのお返しにたけのこをきつねにプレゼントします。そこから延々と、いろいろな物がいったりきたりするのです。

 都会の共同住宅では、たいていは、引っ越しあいさつをしません。もう何十年も前から、あいさつをすることのほうがおかしいとされる世の中に変わりました。お互いを警戒しているのです。
 絵本の中の世界は、昭和40年代ぐらいまでの感覚です。みんなが、お金がなかったので、調味料の貸し借りなんかを自然にしていました。(しょうゆとか)もう遠い昔の話です。

 おかえしがらみの品物が、いちご→たけのこ→お花→つぼ……と続いていきます。
 
 引っ越しでなくても、旅行に行ったとか、なにかきっかけがあると人間関係をうまくするために贈り物を知り合いに渡すことがあります。(もらったほうは、お礼と借りをつくりたくない気持ちからお返しをします)
 昔、自分がまだこどもだったころ、死んだオヤジが、長屋で隣の家の人に何かをもっていって、渡した物よりももっといい物をお返ししてくれるのを期待していたことをふと思い出しました。(わらしべ長者のようです)

 社交辞令(しゃこうじれい):うわべだけのあいさつ。本心ではない。人間関係の円滑化をするために語るその場限りの言葉。実際にはそうしない。

 絵本の話のほうは、どんどん発展するというか、物がいったりきたりして、まるで落語のお話みたいです。おもしろい。
 ただ長いので、読み聞かせはつらそうです。『おかえしの おかえしの おかえしの……』が続きます。
 こどもはおもしろがって喜ぶでしょう。

 最後のオチは予想できるのですが、自分はさらに発展して、最初のいちごに戻るのかと予想しました。(予想ははずれました)めでたし、めでたし。

(次は、この部分を読んでいただいた方へ「おかえし」としてのサービス写真です。この絵本を読んだ翌朝に、散歩をしていたら、たぬきさんたちのお迎えがありました。2022年12月27日火曜日朝のことでした)
 遠くから何かが近づいてきます。



 ああ、たぬきさんたちだ。



 くまじいさん『おはようございます! 寒いですねぇ』



 くまじいさん『今年はお世話になりました。来年もよろしくお願いします』
 たぬきさんたち『こちらこそよろしく(ぺこり)』



 2023年も心健やかで(こころすこやかで)、いい年でありますように。  

Posted by 熊太郎 at 10:39Comments(0)TrackBack(0)熊太郎の語り