2023年02月28日

大分別府駅前での失敗

大分別府駅前での失敗

 次の写真で銅像になっている方は、昭和3年(1928年)に別府温泉地獄めぐり遊覧バスのシステムをつくられた郷土の偉人だそうです。油屋熊八さんです。後ろに小鬼をぶらさげて飛んでおられます。(この銅像の横で熊八さんと同じポーズをとって、うかれながら写真撮影を繰り返していた熊太郎夫婦でした。そのあと十五分ぐらいがたってから、心臓が止まるかと思うほどのハプニングに見舞われました)



 熊八さんの銅像の右側に、温泉の湯が湧き出ている(わきでている)モニュメントがあります。
 (モニュメント:記念のための造形物)
 次の写真がその外観です。



 次の写真が、モニュメントの中です。
 『手湯』とあります。読みがわからないのですが『てゆ』なのでしょう。
 温泉の湯が湧き出ています。



 夫婦ではしゃぎながら写真撮影を終えたあと、駅前のホテルでチェックイン手続きをしていました。
 ふと、気づいたのです。
 自分が持って来た3個の荷物のうちのひとつがないのです。消えたのです。
 慌てました(あわてました)。
 置き引きにあったと思いました。(誤解でした)
 なくなった麻袋の手さげの中には、親戚のちびっこたちにプレゼントする絵本が6冊、ドラえもんとドラミちゃんのぬいぐるみが4体、お手製の絵描き歌の原稿が2セット、それから、ついさきほど別府駅構内で買ったばかりのおみやげのお菓子が入れてありました。
 貴重品ではないけれど、重たかったので、なくしてがっかりしました。
 愛知県から大分県経由で福岡県まで手で持って行くことで、効率は悪いけれどいい思い出にはなると思って、がんばって運んでいたのです。
 いつどこで荷物がなくなったのか、まったく思い出せないまま、どうしょう、どうしようと頭の中はなにかがぐるぐる回るばかりでどうしていいのかわかりません。
 深呼吸をして、もう見つからないだろうと覚悟を決めて、ほかの荷物を見ていてもらうように妻に頼んで、ホテルのカウンターから、駅前のさきほどの熊八さんの銅像のところまでダッシュで走りました。

 ありました! お目当ての自分の麻の手さげ袋が!! 感激しました。
 さきほどの写真『手湯』のところに、麻の手さげ袋が、ちょこんと、きれいに、かっこよく、立っち(たっち)していました。中身も全部ありました。
 大分県は、なんて安全な町なのだろうかと再び感激しました。
 (これが、海外旅行だったら、持って行かれて、もう出てこないのだろうなあ……)  

Posted by 熊太郎 at 06:49Comments(0)TrackBack(0)大分県

2023年02月27日

夜に星を放つ(よるにほしをはなつ) 窪美澄(くぼ・みすみ)

夜に星を放つ(よるにほしをはなつ) 窪美澄(くぼ・みすみ) 文藝春秋

 好みの作家さんです。味わい深い文章を書かれる作家さんです。
 本は直木賞受賞作です。
 いつかは、同賞を受賞される作家さんだと思っていました。
 この本は、短編5本です。

『真夜中のアボカド』 2021年(令和3年)の作品
 綾(あや):32歳女性。
 
 麻生(あそう):34歳男性。フリーのプログラマー。東京西部にある2LDK賃貸マンションで、ひとり暮らし。

 村瀬:男性。綾の妹(弓。ゆみ)の彼氏

 コロナ、リモート勤務、2021年当時の社会背景があります。
 人に会えず、うつ状態になりそうな女性が、主人公の綾です。

 アボカド:果実。スーパーの野菜売り場で売っていますが、うちはほとんど買いません。
 物語はこれから読み始めますが、たぶん、アボカドを育てるのでしょう。アボカドの成長と人間ドラマを重ねるのでしょう。
 なのに『私は観葉植物を枯らす名人だ……』と出てきました。なかなか心憎い展開です。(言動がすぐれている)

 綾さんが、婚活アプリにトライです。(妻子ある男にひっかかるという筋書きではなかろうかという予測が生まれました)。相手は妻帯者かもしれませんよ。綾さん、注意しなさいよ。

 アボカドの成長と綾と麻生のラブの成長を重ねるのだろうか。

 綾は、結婚したい。
 今のままでは、アボカドが友だちになってしまう。

 綾の妹の話が出ます。
 
 ラブ体験において、麻生がおどおどしていたのは、初心者だったからという理由ではなかった。

 高校に『天文部(てんもんぶ)』があるという高校は聞いたことがない。(あとで調べたらけっこうありました。失礼しました)

 どこの家にも、外に出すには不都合な事情があります。
 親族が多ければ、いろいろな人間がいます。
 結婚していっしょになるということは、お互いの家の事情を認め合わないと、なかなかいっしょにはなれませんし、いっしょになっても継続していけません。
 
 コロナの感染者はどんどん増え続けています。
 綾は、厳しい事情をかかえています。
 Face Time:アップルのアプリケーション。ビデオ通話ができる。
 ちょっと背をそむけたくなるような、心が苦しい生活の悲しみが伝わってくる文章です。
 こんな設定が実際にあるのかなあ。少ない事例です。あるのかもしれません。

 愛する相手は、だれでもいいというわけにはいきません。
 おもしろくない話かもしれませんが、一生ひとりの異性を愛することができる人はいます。たいていの人はそうだと思います。

 23ページ末、へーっ。こうくるのか。起承転結の転の部分でしょう。

 ひきずる人がいます。
 
 コロナのせいにするのか。

 育てるのはたいへんですが、喜びもあります。
 親が子を育てるときのことです。
 『……綾は綾の人生をいきなさい……』。なかなか言えない言葉です。理想かもしれません。

 この本や、この短編のタイトルの意味がわかりました。
 読み終えて、中学の時に病気で死んだ自分の親父(おやじ)のことを思い出しました。夜空に金星が輝いていました。


『銀紙色のアンタレス』 2015年8月(平成27年)の作品
 1本前の作品も含めて、星や星座のことが出てきますが、星に関する知識がない自分にはなんのことかわかりません。ピンときません。
 夏の大三角というのは、昨年の夏に千葉市科学館にあるプラネタリウムで天井を見上げながら見た覚えがありますが、ぼんやりとながめていただけです。(こと座のベガ(おりひめ星)、はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイル(ひこ星))。それから、ふたご座のカストルとポルックス。
 そして、今回の短編が『アンタレス』。なんのこっちゃいな?(夏、南のほうに見える赤い星らしい)。
 星や星座のことがわかる人がこの本を読むと、どんな感じがするのだろう。
 
 真(まこと):8月8日生まれ。きのう16歳になった。高校一年生。東京のマンションで母親と住んでいる。父は京都に単身赴任中。水泳部員。夏休みにいなかの海岸近くにある母方祖母の家に来て海を満喫している。祖父は真が小学一年生の時に癌で亡くなった。
 
 ばあちゃん:真の母方祖母。73歳ぐらいに思えます。

 朝日(あさひ。女性):東京在住。真と同じマンションに住む真の幼なじみ同級生だが、通っている高校は違う。家族ぐるみの付き合いで、真の祖母とも親しい。真に遅れて、真の祖母宅に遊びに来る。

 相川たえ:あかちゃんをだっこした女の人。
 相川歩(あゆむ):あかちゃん。たえのこども。

 相川のおばあちゃん:たえの母親。真の祖母と親しい。ご近所さん。

 海で立ち泳ぎをしている真(まこと)の部分の文章を読んで、自分が中学生の時、深い海で、立ち泳ぎをしていたことを思い出しました。中学生の時は2kmぐらい簡単に泳げましたが、今は、同じ場所に浮かんでいるだけでせいいっぱいでしょう。

 年齢を聞くくだりがおもしろい。(59ページ)
 『いくつですか?』
 『もうすぐ、一歳になります』(母親である「たえ」の年齢を知りたかった)

 ページ数はそれほど多くない短編ですが、1ページに、文字がびっしり書いてあります。ゆえに読むのには時間がかかります。
 それでも、読みやすい文章です。書かれている情景は、頭に浮かべやすい。

 祖父を亡くした祖母は、毎日何年もひとりで寝ている。
 それが生きていくということ。

 あかちゃんのようすがおもしろい。じょうずな文章で表現してあります。

 浮気、離婚、結婚、おとなの世界はいろいろあります。
 夫婦は夫婦げんかで言い合いをするうちは、まだだいじょうぶです。本当に険悪になると口をきかなくなります。

 読んでいてのことですが、読書経過中に登場人物である『朝日』の性別がなかなかわかりません。わたしは、しばらくの間、男子高校生だと思って読んでいました。(女子高生でした)
 くわえて、あかちゃんである『歩(あゆむ)』の性別も判然としませんでした。読んでいて男の子だろうと断定しました。

 フェルトでできた小さな象のおもちゃ:生地。ヒツジやラクダの毛を圧縮してある。化学繊維製もある。

 意味深い言葉として『……その光がなんだか僕のなかの、いちばん奥の部分を照らしているような気がした。』
 
 みんなそれぞれつらいことがある。
 
 龍宮窟(りゅうぐうくつ):海岸の岩場にある洞窟でしょう。物語の舞台かどうかは解りませんが、静岡県伊豆の下田にあるようです。

 女性の作者が男性(十六歳高校生)の心理を描くことに挑戦していますが、十六歳男子の頭の中はまだこどもです。ちょっと苦しい設定の中身があります。十八歳ぐらいになれば、内容と脳みそが合致して、あんばいいいような感じがします。

 昔の人は、相手のことなんぞ知らずに、見合いで結婚していたとあります。本当にそうなので、奇跡で結ばれた男女関係です。離婚は少なかった。女子のほうが、がまんしていたことが多かったのでしょう。
 祖母の『……じいちゃんは凶でも外れ(はずれ)でもなかったね』の言葉に救われます。良くも悪くもなく、ふつうが一番です。

 十六歳男子の妄想恋愛がありますが、現実は厳しい。
 見た目で恋をしたい年齢です。見た目と中身が違うことに気づいて了解できるまでには、まだまだ経験がいります。

 ちょっと硬い内容の作品でした。

『真珠星スピカ』 2019年(令和元年)の作品
 母:亡くなった人の幽霊。二か月前に交通事故死した。

 佐倉みちる:幽霊母の娘。女子中学生。文章からは、一年生ぐらいにみえる。よそから転校してきた。同じクラスの女子たちのいじめにあっている。
 
 父:娘とは心の交流は薄い。

 尚ちゃん(船瀬尚。ふなせ・なお):佐倉みちるの隣宅に住む佐倉みちるの男性中学担任教師。幼なじみ。佐倉みちるが小学生一年生のとき、船瀬尚は大学生だった。今は、中学で尚のクラス担任をしている。(こちらも自分は、読んでいる途中まで、尚ちゃんは、女教師だと思い込んでいました)

 保健室の美輪先生。女性教師。
 
 瀧澤さんという女子中学生:佐倉みちると同じクラスで佐倉みちるを女子グループでいじめている。

 どうして佐倉みちるは、父親に死んだ母の幽霊が見えると言わないのだろう。父子の間に距離感があります。中学生女子とサラリーマンの父親、父子家庭です。会話がありません。
 佐倉みちるのつぶやきが続きます。
 読んでいて、読み手の気持ちが沈んでくるような内容です。母親がいないので、食事の料理は佐倉みちるがつくりますが、うまくいかないことが多いようです。
 
 狐女(きつねおんな):佐倉みちるをいじめるときの言葉

 いじめが原因で、母親の幽霊が見えるのか。
 幻視は、心の病気ではなかろうか。

 いじめた人間たちには責任をとってもらう。
 他人の人生の流れを壊した責任をとってもらう。
 加害者の親も含めて、謝罪と金銭による賠償責任を果たしてもらう。
 いじめられる生徒よりもいじめる生徒を守る先生もいます。加害者の親が地元の有力者だったりもします。

 小説の書き方として、よく登場人物の氏名のあと出しを見かけますが、風情(ふぜい。情緒じょうちょ、味わい)は出るのでしょうが、読みにくいです。性別が不明瞭だったりもします。

 母親の幽霊が家にいて、作者はこのあと、この話をどう運んでいくのだろう。
 
 110ページ付近にいます。星のことはいつ出てくるのだろう。

 こっくりさん:心霊現象遊び。自分が中学生のときにクラスの女子たちがやっていた記憶です。たしか教師が禁止しました。インチキ占い(うらない)行為なのでしょう。わたしはどんなものなのかは知りませんが、この物語のなかにやっているようすは出てきます。

 スピカ:真珠星という名前もある。父の田舎は、長崎と佐賀の県境にある。
 わたしは、この部分の文章を読みながら、中学の時に福岡で新聞朝刊の配達をしていたときのことを思い出しました。
 新聞配達を終えて帰宅するとき、流れ星が明け方の夜空で、しょっちゅう流れていました。

 ユーミンの歌として『真珠のピアス』という歌あり。

 保健室登校というのは、いじめで心が痛んだこどもさんが行くのか。

 クライマックスが近づいてきました。
 なるほど、書き手は、何でもできる。なんでも、いかようにでも書ける。すさまじい。

 ルンバ:自動で動いてそうじをしてくれる掃除機というのは、定位置に戻る動きをするのか。知りませんでした。

 おもしろい。大逆転。怖い(こわい)
 いじめる人間と戦わないといじめはやまない。
 良かった一節として『……私が生まれる前の、私が知らない父さんと母さんの時間があることが不思議に思えた』
 じょうずな文章でした。心にしみました。

『湿りの海』2020年(令和2年)の作品
 沢渡(さわたり):37歳バツ1。中堅医療品メーカーの営業担当。仕事ばかりしていたら、妻がさびしさで浮気をして、別の男に妻をとられた。妻は離婚後、その男と再婚してアメリカ合衆国アリゾナ州へ渡った。幼児の娘は妻が引き取った。定期的にネットで実父と娘の面会がある。

 希里子(きりこ):沢渡の前妻。39歳。再婚相手はアメリカ人男性のようです。
 希穂(きほ):沢渡と希里子の長女

 左内(さない):沢渡が住む賃貸マンションの住人。沢渡と同じフロアにいる。老婦人。銀髪(ぎんぱつ)

 園部(そのべ):沢渡の同僚。男性

 宮田:ショートカットの女性。沢渡の合コンの相手。

 船場(せんば):バツイチ女性。沢渡の隣室に引っ越ししてきた。シングルマザーのひとり親家庭。
 沙帆(さほ):船場の娘。3歳になったばかり。母親の虐待が疑われる。

 伏線は絵画『湿りの海』画家エティエンヌ・トルーベロの作品。題材は月の表面にある場所のこと。ふと、アポロ11号月着陸船が着陸した『静かの海』を思い出してしまいました。自分が小学生の時に白黒テレビ放送で見ました。1969年(昭和44年)のことでした。

 オルフェウスの神話:本『星の神話』オルフェウスは竪琴弾き(たてごとひき)。毒蛇(どくへび)に噛まれて亡くなった妻を追って冥土(めいど)の宮殿に向かう。
 オルフェウスは、振り返ってはいけないという冥土の王の指示に従えなかったために失うものがある。(オルフェウスとこの短編の主人公沢渡が重ねてあります)

 失った妻子を取り戻したい沢渡がいます。だけど、できない。元妻子には、「夫」と「ダディ」と呼ばれる一緒に暮らす男がいる。
 かなりせつなく、悲しげなお話が始まりました。
 主人公の沢渡はひどい人です。妻子に捨てられて当然な人間です。妻は離婚して正解です。再婚も良しです。
 仕事人間は家族にとっては迷惑です。むしろ単身赴任状態で別居していた方が家族関係を維持できそうです。元妻の言葉として『あなたは自分以外のことにはまるで興味がないのよ……』(そういう男っています)

 結婚指輪を永年付けていると、指輪を指から抜いたときに左手薬指に指輪の跡が残ります。なかなか消えません。離婚した沢渡の指輪の跡はなかなか消えません。
 作者の表現がうまい。『ここにまだあるんですね』指輪の跡を見た女性からそう声をかけられる沢渡です。
 沢渡のつぶやき『……最低な僕が誰かと恋愛をする権利などない……』(そのとおりです)

 麗子像:大正時代の油彩絵画。肖像画。東京国立博物館蔵。岸田劉生(きしだ・りゅうせい)の絵画作品。

 ストライダー:こどもの乗り物。自転車風。ペダルのない自転車。蹴って(けって)進む。ランニングバイク。
 バンダナ:大型ハンカチ。頭や首に巻く。

 離婚した沢渡の前にふたりの女性が現れました。
 疑似家族。
 離婚で手放した子どものことは、いったん忘れた方がいい。子どもがおとなになって戻ってくるということはあります。
 人間は、どうして仲良くできないのだろう。
 鈍色(にびいろ):濃い灰色。
 バツ1男女のそれぞれの悲しみがあります。悲しみがにじんでいます。
 結婚式での離婚体験者のスピーチはつらい。

 児童虐待はありうる。作品『きみはいい子 中脇初枝 ポプラ社』を思い出しました。
 離婚の際には、虐待する親が引き取るのではなく、虐待していなかった親が引き取るべきです。最悪子どもが殺されてしまいます。
 グサッとくる言葉として『子どもなんか産まなきゃよかった……』

 はかない人間関係があります。
 終わり方もうまい。
 絶品の短編作品でした。

『星の随に(ほしのまにまに)』2021年(令和3年)の作品
 想(そう。男子):小学二年生の春から継母と実父と暮らしている。小学四年生。中学受験するらしい。そのことで、実父母である両親がケンカをして離婚した。父は中学受験に反対だった。それならば、離婚後実母が引き取ればいいのに。どういうわけか父親が引き取っています。まあ、ほかにもいろいろあるのでしょう。両親離婚後は、三か月に一回しか実母に会えない。でも、想としては、いつだって実母に会いたい。

 海(かい):想の異母弟。想が小学四年生になった春に生まれた。まだ、あかちゃん。

 渚(なぎさ):想から見て継母。海から見て実母。

 想の実父:駅前でカフェを経営している。バツ1。再婚者。コロナ禍で店がうまくいってないらしくアルコールに逃げるようになった。(世間では、アルコールに逃げる人が多い)

 想の実母:バツ1。独身。看護師。

 中条(ちゅうじょう):想の同級生男子。同じく両親が離婚している。母親に引き取られている。(ひとり親家庭のこどもが増えました。どちらかが「おまかせします」と言えないと離婚が近づきます)中条君の名セリフとして『……子どもとして当然の権利だよ』

 佐喜子(さきこ):腰の曲がったおばあさん。想ファミリーと同じマンションに住んでいる。白髪。かなりの年齢の高齢者。耳にイヤリングあり。大きなメガネ。指にマニキュア。とても派手なおばあさん。自室で東京大空襲のときの油絵を描き続けている。空襲当時おばあさんは10歳ぐらいだった。(東京大空襲:1945年3月10日は、死者が10万人以上になった)
 三四郎:佐喜子の亡夫。
 
 むずかしい。
 『かあさん』と呼べない女性が家にいます。
 
 今年読んで良かった一冊になりそうです。

 星の話として『夏の大三角形 白鳥座のデネブと織姫星のベガ、そして、彦星のアルタイル』
 
 想はつらそうです。両親が離婚して、引き取った実父が再婚して、実父と継母にこどもが生れて、実母に会いたくてもなかなか会えなくて。
 重松清作品の名作『卒業』を思い出しました。血縁関係のない家族構成のなかで、自立や自活ができない年齢のこどもは悩んでいますが何もできません。
 継父や継母も反抗的なこどもに手を焼いて深く心が傷つき悩みます。作品は、短編集です。『卒業 重松清 新潮文庫』。号泣できます。
 こちらの本の短編では、親の都合に振り回されるこどものつらさが表現してあります。

 こどもが生れてから十年間ぐらいの子育ては本当にたいへんです。夫婦で協力してがんばらないとそれぞれの心が折れてしまいます。苦しいピークを乗り切れば楽になります。

 こどもの孤独を『本』が救ってくれます。
 
 コロナで商売がうまくいかないので、家の中が荒れます。

 こどもみたいなおとなが増えました。

 地域社会がこどもを育てる。
 (そんな機能がだんだん縮小してきていると感じます)

 想の実母もひとりぼっちでつらいんだろうなあ。

 池のスワンボートは30分間:守らない人もいるのだろうなあ。30分間を破ったからといって罰則があるようには思えません。

 如雨露:じょうろ。すっと読めませんでした。植物に水をやるときのジョウロです。

 こどもは、18歳になれば、自分の好きなところに堂々と住める。(父親の意向は関係ありません。憲法に居住の自由があります)。想は、実母と暮らしたい。

 人間が「悪魔」に見える時があります。「戦争」の時です。
 「対立」と「諍い(いさかい)」が、人間界からなくなることはありません。ゆえに、人間は武力を持ちます。

 出会いがあって、別れがあるのが人間社会です。
 おばあちゃんである佐喜子さんの言葉には胸が熱くなります。『……どんなにつらくても途中で生きることをあきらめては駄目よ……』
 
 生き続けるための『光』がある作品でした。
 とうさん、あれがベガだよ。(織姫星)
 作品『自転しながら公転する 山本文緒 新潮社』を思い出しました。
 生きることは、けっこうしんどい。  

Posted by 熊太郎 at 07:09Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2023年02月26日

大分別府へ行く 2023年1月からプランづくり

大分別府へ行く 2023年1月からプランづくり

(以下の文章は1月につくりました)
 2月に用事があって夫婦で福岡県内の親族宅を訪れるのに合わせて、前日に別府温泉へ行くことにしました。
 自分は、とても若かった大昔に、別府駅へは行ったことがありますが市街地は知りません。
 高校一年生15歳だった夏に、クラブ活動で、大分・熊本に広がるくじゅう連山(くじゅうれんざん)に登って数日間キャンプをしたあとの帰路、別府駅で電車の乗り換え時間待ちをしました。
 上級生からまずは自分たちが市街地にある温泉に入ってくるので、下級生はリュックサックなどの荷物番を駅構内でするようにと指示されて、ずっと待合室で先輩たちの入浴帰りを待っていただけです。
 帰って来た先輩たちにフロに行って来ていいと勧められたのですが、当時の自分は、ものぐさ(めんどうがる人)だったので、いいですと断った記憶があります。行けばよかった。
 歳(とし)をとってしまったけれど、今度こそ別府市内で温泉に入ってやろうという意気込みです。

 名古屋駅から新幹線で小倉駅(北九州市内こくら駅)まで行き、同駅からJR特急ソニック大分行きで、別府駅まで行きます。(行ってみてからの追記として:小倉駅で、進行方向と逆方向になってしまう列車の座席の方向を、ステップ部分を踏んづけながら、乗客たちの手で『よいしょ』と、みんなで協力して回転させながらひっくり返します。ちょっとびっくりしました)

(つづく:以下の文章は2月につくりました)

 さて、前記の文章をつくってからひと月ぐらいが経過して、2月下旬の明日、とりあえず大分別府温泉へ出発です。
 何度か見学場所のプランを組みなおして、最終的に、宿泊した翌日は、午前中に定期観光バスに乗って、温泉地獄めぐりコースに参加することにしました。楽しみです。

(以下が、帰宅後の報告です)

 初日の移動日は、新幹線の車窓から見えた滋賀県にある琵琶湖の南側あたりですが、大雪が降っていてびっくりしました。窓の外は、まるでスキー場のようでした。次の写真は、たぶん近江八幡市(おうみはちまんし)あたりです。











 このあと車窓から見える外の風景はお天気が回復して曇り空でした。
 されど、目的地の別府へ着いたら、いきなり雪をかぶった山(鶴見岳あたり)の景色が、目に飛び込んできたのでびっくりしました。
 九州大分でも雪山を見ることができます。翌朝の朝食では、ホテルの朝食会場から雪山が見えて、まるで長野県の松本市とか、大町市(おおまちし)にいるような錯覚を体験しました。でも、そのあとの温泉地獄めぐりは晴天(せいてん)の素晴らしい快晴で良かったです。運(うん)に恵まれました。
 次の写真は別府駅前です。奥に鶴見岳(つるみだけ)と右に扇山(おうぎやま。通称だそうです。正式名は大平山)です。なにもない三角斜面で、三月下旬か四月上旬あたりの春に山焼きがあるそうです。







(つづく)
 文章と写真の用意ができたら、順次、三泊四日だった大分県・福岡県内の旅の風情(ふぜい。ようす)などをご紹介します。


(後日の追記)
 思い出したことがあるので書き足しておきます。

 新幹線車内の乗客の人たちの中で、テキパキと1人で移動をされている方が多いので感心しました。みなさん、頭脳優秀な方たちだと思います。とくにお若い女性の動きがいい。
 大きなスーツケースを自由自在に操って(あやつって)動かします。スーツケースをじょうずにコントロールされています。見ていて気持ちがいい。
 座席の予約もスマホやクレジットカードを使用して、パッパとやられるのでしょう。ビジネスなのでしょうが、旅の移動に熟練されています。
 シートに着席したあとも、靴を脱いで足を休めて、たんたんと毛糸の編み物をされていて、たいへん感心しました。

 広島市近くで、窓の外にプロ野球のマツダスタジアムが見えました。
 去年、仙台で楽天のスタジアムを見ました。同じ赤系統のスタジアムで似ているなと感じました。
 以前、昔の広島球場に行ったときのことを思い出しました。地元の中学生たちの野球大会が開催されていました。もう今は球場もなくなったのでしょう。

 大分県の中津を通過していたときに福沢諭吉のふるさとですというような案内がありました。
 二年ぐらい前に『学問のすすめ 福沢諭吉 斎藤孝・現代語訳 ちくま新書』を読んだことを思い出しました。以下はそのときの読書メモの一部です。
『天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず』
 武士出身の福沢諭吉さんが、江戸時代における士農工商制度を否定するところに、明治維新の気概を感じます。(気概:きがい。やる気。強い気性)。また、バランス感覚がすばらしい。「これからは、日本中ひとりひとりに生まれつきの身分などといったものはない……」とあります。
 生まれたときにはみんな平等ということに続けて、それなのに、世の中は不平等だとつながっていきます。その違いはどこからくるのか。「学ぶか学ばないかによって決まる」と明快な答えが書いてあります。「人は学ばなければ、智(ち:物事をよく理解して、正しく判断して、対応すること)はない。智のないものは愚かな人である」とあります。
 鎖国だとか、攘夷(じょうい。外国を追い払う)だとか、心の狭い対応をしていてはいけない。世界はひとつだ。みんなで協力しようというような趣旨の記述もあります。

 特急ソニックの車窓から見える景色は、広がるたんぼ、ぽつりぽつりと建つ二階建ての一戸建て、ところによっては、江戸時代からほとんど風景が変わっていないような雰囲気のところもありました。とにかく、いなか風景が続きます。ここに生まれて、ここに育ち、人生を終えていく。そんな思いにふけりました。

 到着後、別府のホテルで温泉につかっていい気持ちになりました。
 温泉につかってまったりしていると、これまで生きてきて良かったなーーという気持ちになれます。  

Posted by 熊太郎 at 07:13Comments(0)TrackBack(0)大分県

2023年02月25日

こすずめのぼうけん 福音館書店

こすずめのぼうけん ルース・エインズワース・作 石井桃子・訳 堀内誠一・画 福音館書店

 表紙の絵にあるこどものすずめの絵がかわいい。

 ふつうに読めば、すずめの子の成長を見守るような絵本ですが、偏屈者(へんくつもの。性格がふつうとちょっと違う。ものごとの裏側を見ようとする。表面に出ていることを信用しない)のわたしが読むと、まるっきり異なる状態を感じる絵本です。

 すずめの子の誕生から始まります。
 絵本では、木の上にすずめの巣があって、すずめの親がいますが、わたしの体験だと、すずめは家の軒下に巣をつくります。
 こどものころ、社宅である長屋の屋根の取り換え工事があって、たくさんのすずめの巣が屋根のひさし奥から地面に落とされていました。たしか、巣の中にすずめのひなが居た記憶です。それがどうなったかは記憶がありません。

 人間のこどもをすずめのこどもにたとえる擬人法(ぎじんほう)がもちいられていると思います。
 すずめの子は、やがて巣立ちをするために、空中を飛ぶ練習を始めました。
 すずめの子は、塀を越えて、川を越えて、どんどん巣から遠ざかっていきます。
 小さな体だけれど、動きはダイナミックです。(力強く生き生きと躍動(やくどう)している)
 ずーっと飛び続けることは無理なので、ときどき休憩をとります。

 おもしろいやりとりが始まりました。
 物語のベース(下地(したじ))は、温かい(あたたかい)心とか気持ちです。
 
 仲間とか分類の話が出てきます。
 出会いの第一は『からす』です。
 すずめとからすは鳴き声が違うから仲間じゃない。

 第二の出会いが『やまばと』です。
 鳴き声で分類するので、すずめとやまばとは仲間ではありません。
 自分が毎朝のように散歩で訪れる森にいるカラスたちの鳴き声を思い出しました。キジバトもいます。カラスもキジバトもいつも食べ物をさがしています。

 こすずめは、だれかをさがしています。

 出会いの第三は『ふくろう』です。
 お話のパターン(決まったやり方)は、同じようなことのくり返しで、ちょっとあきてきました。
 すずめとほかの鳥と、明確な分類があります。

 第四の出会いが『かも』です。
 こすずめは、ほかの鳥たちから拒否されてばかりです。
 『血統主義(子は親と同じ国籍を取得する)』を感じる外国絵本です。
 ふーむ。これでいいのだろうか。
 民族主義。
 同一民族で国家を築く。
 他の民族を排除し、同じ民族での結束を重視する。この本は、ちょっと変わった絵本に感じます。

 こすずめを母親の背中に乗せて飛ぶ姿がおもしろい。発想がユニークです。(ふつうじゃない。ほかに例がない。めずらしい)

 作者も翻訳者も画家も三人とも亡くなっています。
 ルース・エインズワース:1984年(昭和59年)70歳ぐらいで没。女性。
 石井桃子:2008年(平成20年)没。101歳没。作品として『ノンちゃん雲に乗る』があります。
 堀内誠一:1987年(昭和62年)54歳没
 この絵本は、1977年(昭和52年)第一刷です。  

Posted by 熊太郎 at 07:10Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2023年02月21日

ばばばあちゃんの なぞなぞりょうりえほん

ばばばあちゃんの なぞなぞりょうりえほん むしぱんのまき さとうわきこ・作 佐々木志乃(ささき・しの)・協力 福音館書店

 『パンはパンでも食べられないパンは?』で始まります。こたえは『フライパン』ですね。
 おばあちゃんがひとりいて、そのまわりには、6人のこどもたちがいる絵です。

 なぞなぞの出しっこです。
 こんどは、ちびっこたちがなぞなぞを出します。
 食べられる・食べられないはそれほどこだわらないなぞなぞです。
 正確な答えよりも『受容(じゅよう。広い心で受け入れる)』が優しい(やさしい)心を育てます。
 クイズ自体はちょっと古いかなーー(20年ぐらい前の絵本です)

 むしぱんをつくります。
 ベーキングパウダー:ふくらし粉(こ)、膨張剤(ぼうちょうざい)
 カレーパン
 なすいりむしぱん
 パンづくり続きます。
 パンのつくりかたがわかりやすい絵本です。
 いろんなものを入れます。あまなっとう。みかん。こんぺいとう。チョコ。さつまいも。ぶどう。いろいろあります。工夫が(くふう:ああでもないこうでもないと考えをめぐらせること)あります。
 
 ちびっこは、おいしいものが好きです。
 この絵本はお料理本です。
 たくさんのパンができあがりました。
 パンを囲んでみんなでおしゃべりします。
 大事な交流です。
 落語のような面もある絵本でした。  

Posted by 熊太郎 at 07:43Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2023年02月20日

ぼくたちは習慣で、できている 佐々木典士

ぼくたちは習慣で、できている 佐々木典士(ささき・ふみお) WANI BOOKS

 ミニマリスト:必要最小限の物で衣食住の生活を送る人。

 生活の基本です。
 朝起きて、顔を洗って、食事をして、以降、昼食と夕食をとって、10時と3時に休息をとって働く。
 入浴をして十分に睡眠時間をとる。心身の体調維持に心がける。
 しっかり入浴をしない女性が増えました。体力を使い果たして疲れて入浴ができないそうです。女性はやることが多いことに加えて、男性より体力がないのでしょう。第三者の立場で見ていて、結婚してこどもが生れた時にどうやって、あかちゃんをお風呂に入れるのだろうかと心配です。
 男女や年齢を問わず、昼夜逆転のような生活や、乱れた食生活は、いずれは体を壊すことにつながります。
 本のタイトルを見ながら、そんなことを思いつつ、この本を読み始ます。
 実用書(じつようしょ。暮らしの参考になる本)を読むときは、いつものように、ページを最初から最後までゆっくりめくりながら目を通します。1回目の読みと2回目の読み、ポイントを押さえる3回目の読みがあります。
 著者は、1979年生まれの男性の方です。そのころわたしはもうおとなでした。
 本は、2018年に発行されています。(平成30年)

(1回目の本読み)
 1章:意志力は、生まれつき決まってる?
 2章:習慣とは何か?
 3章:習慣を身につけるための50のステップ
 4章:ぼくたちは、習慣でできている。

 印象として、幸せな人生を送るためのマニュアル本(手引き)です。
 
 エッセンス:本質

 全体で、332ページあります。
 124ページまでめくって、すごく長い文章です。
 『簡潔さ』が必要なのではないか。読むのがつらい。

 タバコは吸わない。
 アルコールは控えめ。
 睡眠は大事
 体を酷使しない。
 きちんとした入浴と食事が大事
 長生きの秘けつを聴くような気分になってきました。
 体を酷使すると体は壊れます。心も折れます。仕事や学業、スポーツで、いくらいい成績や実績を残しても、心身を病んで、命を落としたら不幸です。まわりの人間も泣きます。

 なになにしないとか、ああする、こうするという調子で文章が書かれているような印象を受けます。

 『日記のコツは事実を書くこと』
 文章を書こうとすると、日記の継続はむずかしい。
 箇条書きで、簡単に書くと楽です。いつ、どこで、だれが、なにを、どのように、なにしたかです。
 話は離れますが、組織の管理職の大半は、一日あった出来事を手帳にそのように記録しています。あとあと、とても役立ちます。そういえば、昨年のサッカーワールドカップの日本チームの監督も試合中にメモ帳にメモをしていました。コクヨの安価なメモ帳だったと思います。メモをすることで気持ちが落ち着くということはあります。

 『瞑想(めいそう)で認知力を鍛える』わたしは、瞑想はしませんが、空想はします。現実逃避なのかもしれません。

 150ページ付近まできて、自己肯定の本なのかなあ。
 この本を読んでどうするかを決めるのは、読み手各自の判断です。

 184ページ『時間割で行動するなんてバカらしい?』 規則正しい生活は大事です。おそらく、バカらしくはないという説明があるのでしょう。

 240ページ『習慣に失敗は不可欠』 失敗は成功のもとです。若いころは、失敗ばかりです。歳をとっていくと、やがて、失敗が許されない年齢になったりもします。とりかえしがつかないのです。

 274ページあたりまできて、くどいような。同じ内容のことが繰り返されているような。

 296ページあたりまでページをめくって、まずは生きていることが大事と思う。人生には危険がいっぱいあります。

 308ページ『幸福の財布には穴があいている』 そうです。人生においては、お金を失うこともあります。

 318ページあたりまできて、忍者の忍法帖(にんぽうちょう)のようだなと。忍法のやり方が書いてあるような巻物です。
 
 325ページ『走りながら考え、考えながら走る』 著者は、ランニングをされる方のようです。ジョギングとか、マラソンに挑戦とかでしょう。わたしは、散歩をしながら考えます。決心や物事の決定、決断をすることもあります。

 328ページ『おわりに』 一生懸命書かれている本であることがわかりました。
 330ページ『……親から過剰にコントロールをされた子どもではなく、選択と自主性が尊重された子どもが最も……』 先日読んだ本を思い出しました。『不親切教師のススメ 松尾英明(まつお・ひであき) さくら社』 親や教師が、本来子どもやるべきことを先にやってあげてしまうから、子どもがちゃんとした人間に育たないと書いてありました。
 この部分には、著者が、お父さんを亡くされたことに少し触れてあります。わたしも中学の時に父を病気で亡くしました。親がいないこどもは、自分ががんばるしか手段がなくなるのです。経済的に追い込まれます。

 332ページまできて、雑談のような部分が多いから、ページ数も多いのかなということが頭に浮かびました。

 これから、2回目の読みを始めます。

(2回目の本読み)
 著者は、現在は組織の中で働く人ではありません。フリーのライターです。組織に属さない文筆家。語り言葉の文章です。ふーむ。著者自身がつぶやきながら、ノートパソコンのキーを押しながらつくったような文章です。

 『双曲割引』 目の前にある利益を優先して手に入れると理解しました。将来よりも今、目の前にある得に手を出すのです。(ただ、そうではない人もままいます)

 人間観察をするような文章です。

 『感情』が大事。

 ドーパミン:神経伝達物質。情報の運搬役となる物質。やる気。幸福感。集中力。前向き。心の動きに関与している。出過ぎると中毒になる。

 意識を使わずにマラソンを走るそうです。ゴール前のしばらくまでは、眠りながら走っている状態。それを『習慣』と呼ぶのでしょう。考えなくても勝手に体が動いてくれる。

(1章を読み終えました。2章につづく)

 『習慣』がない人は、心身が疲労すると読み取れます。
 無意識に体が動いてくれるのが『習慣』。努力は要しない。『めんどうくさい』とは思わない。
 意識を使って動くのは、心身に負担ありです。

 『習慣』は儀式
 習慣化するためにあればいいものとして『報酬(金銭でなくてもいい。名誉欲ほか)』習慣化のきっかけになる。

 著者には過去、アルコール依存があったようです。習慣を変えることで克服されています。飲酒のきっかけとなる食事の食材をやめる。ほかに、場所、時間、心理状態、人物、直前の行動について検討する。

 ルーチン:習慣。一連の動き。
 ルーチンは平常心の維持・形成につながる。なにかをなすために形式的な儀式をつくる。安定したリズムをつくる。

 報酬として心を満たすもの。美食、交流、金銭、ほめられるなど。

 文章は、短い周期で話題がポンポンと変化していきます。

(3章へつづく)
 まずは『やる』のではなく『やめる』を考える。
 『悪い習慣』をやめる。
 口から入れて体にとって毒になる依存性のあるものをやめる。アルコール、ニコチン、そのほかの物質、食材など。
 飲酒、断酒の話が多い。著者は過去にお酒への依存があったようです。

 アイデンティティ:自己同一性。自分は何者なのかということ。
 キーストーンハビット:『習慣』の連鎖である早起き-食事-片付け-仕事(学校)などのつながりの中で、鍵を握る習慣を指す。(その後出てくる言葉として『チェインメイク:習慣を鎖のようにつなぐ』)

 読んでいて、昨年の夏に読んだ建築士の方の本を思い出しました。海外で仕事をすることが多く、手荷物をいかにして減らしたかという体験が書かれていました。着る物を減らされた部分が強く記憶に残っています。なかなかできることではありません。『建築家になりたい君へ 隈研吾(くま・けんご) 河出書房新社(かわでしょぼうしんしゃ)』

 メタ瞑想(めいそう):考えている自分を第三者として観る(みる)。
 デフォルト:初期設定

 常人とは違う世界で生きている人、凡人ではない人のお話に感じます。何のためにこうするのかという疑問があります。いろいろあるのが人生です。不完全であることが人生です。わたしが長い間生きてきて悟ったことです。

 『作家やアーティストはほぼ規則正しく動く』(わたしもそう思います。第三者から見たらたいへんそうでも、本人はなんとも思っていないのです)

 TEDのトーク:動画配信サービス。あらゆる分野のエキスパートのプレゼンテーションを無料で聴けるそうです。

 うなずける文章として『自分というものはひとつの人格などでは決してない』(二重人格は珍しいことではありません。たいてい人間は、俳優です。場所に応じて、人格を使い分けています。演技をしながら人生を生き抜いています)

 昼寝が大事だそうです。ただ、思うに、自由人でないとお昼寝は、なかなかできません。

 柄谷光人(からたに・こうじん):現在81歳。哲学者。文学者。文芸批評家。

 失敗は成功のもとというようなお話があります。失敗しても落ち込まない。落ち込む必要はない。自分を責めてはいけない。自分で自分を責めなくても、人が自分を責めてくる。そんな流れです。おもしろい。
 健康管理においては、入院するなどして、痛い目にあわないと、自己管理が原則である健康管理を自覚できなかったりもします。

(つづく)
 4章まできました。この章で終わりです。
 「努力」と「我慢」の説明は、うまく理解できませんでした。
 
 文章での説明に当たって、だれだれが、なになにというパターンが多い文章です。そのことがいいともわるいともいえませんが、その手法でページを埋めている印象があります。
 いろいろな人が出てきて、これはこうという説明が続きます。ちょっと読むのがつらくなったりもしました。亡くなっている方もおられます。
 読み終えて、独身の人が書いた本なのだなあという感想をもちました。
 日本に自由な気風が広がってきたためなのか、人間の標準化をめざしていた従来の優先順位よりも、それぞれが思う自己都合の優先順位で生活する日本人が増えてきているということを感じるこのごろです。
 きちんとした習慣で秩序よく暮らしを送る日本人は減ってきているような気がします。いいとも悪いとも言えません。時代が変わりました。  

Posted by 熊太郎 at 07:18Comments(0)TrackBack(0)読書感想文