2024年06月18日
聞いて聞いて! 音と耳のはなし
聞いて聞いて! 音と耳のはなし 高津修・遠藤義人 文 長崎訓子(ながさき・くにこ) 絵 福音館書店
こどもさん向けの絵本です。
何の話だろう。まず思う。何のお話が書いてあるのだろう。何のお話が始まるのだろう。
お部屋で、ひとりで、絵本を読んでいる少年の絵があります。そばには、時計とラジオと太鼓とワンちゃんがいます。窓の外には鳥が三羽飛んでいます。
ベビーベッドで寝ていたあかちゃんが、『ほぎゃー』と大きな声で泣き出しました。
ママがあわててあかちゃんに駆け寄ります。あかちゃんは、泣かないとめんどうをみてもらえません。めんどうをみてもらえないと、最悪死んじゃいます。だから、あかちゃんは、必死で泣きます。
少年は、あかちゃんの泣き声を聞いて、何か思いついたようです。
どうして、声が出るのかな。どうやったら、声が出るのかな。声という音が聞こえる仕組みはどうなっているのかな。
『のどの奥に「声帯」がある。「声帯」は2枚ある。息がのどを通る時に、声帯が震えて声が出る。』
(へーぇ。人間のからだって、うまくできている)
音=空気の振動
口から出た音を、耳が拾う。
耳は、空気の振動をキャッチする。
鼓膜(こまく)→耳小骨(じしょうこつ。3つの骨。振動が大きくなる)→蝸牛(かぎゅう。振動が電気信号をつくって、信号を脳に伝える)→脳が計算をして、何の音なのかを判断する。
スピーカーの構造みたいな話です。
耳鼻科(じびか)の勉強みたいです。
事例が列挙されます。
大太鼓、輪ゴム、電動鉛筆削り器、鼻をかむ動作など。
低い音、高い音、例示しながら説明があります。
ミンミンゼミは、おなかの中の膜を震わせて音を出すそうです。羽をこすり合わせて音を出していると勘違いしていました。
羽をすりあわせて音を出していたのは、コオロギのほうでした。
動物によって、聞こえる音の振動の範囲があるらしい。
人間:1秒間に、20回から2万回の震え(振動)を聞き取れる。
ネズミ:1秒間に、5万回震える音で仲間に合図を送る。(ネコには、その音が聞こえる)
ネコ:1秒間に、7万回以上震える音がわかる。
イルカとコウモリ:1秒間に、10万回以上震える音がわかる。その音がはねかえってくる仕組みを利用して獲物をつかまえる。(すごいなあ)
クジラやゾウ:グーンと低い声で、離れたところにいる仲間に合図を送る。そういえば、クジラの出す音を素材にした小説作品がありました。
『52ヘルツのクジラたち 町田そのこ 中央公論新社』。クジラの声が表現するものが、人間の『孤独』でした。
ゾウ:1秒間に、10回から20回震える音でとても低い声を出すそうです。
小さなものが出す音は高くて、大きなものが出す音は低いそうな。
音を伝えるものとして、『空気』以外の紹介があります。
鉄のレール:たった1秒で、6km先まで音が届く。
川の水:音は、1秒間で1.5km進む。
空気:1秒間に、約340mしか進まない。6km先で上がった花火の音が聞こえるのは、18秒後になる。
光:1秒間で、30万km進む。(地球を7周半です)。絵本では、花火を例に説明があります。そういえば、雷の稲妻(いなづま)の光と、音の時差があります。ふとそう思いつきました。
100年以上前のフランスでのことが書いてあります。
当時は、ラジオもテレビもありません。
発明家クレマン・アデールが、電話の受話器を両耳に当てた。昔の受話器は、マイクのような形でした。両耳に当てて音を聴くと、リアルな音に聞こえた。(自分がその場所にいるような感じということです)。両方の耳に、電話の受話器を当ててその場の音を聴くと、ふたつの耳と脳が、リアルな光景を脳内に再現してくれる。これを、『ステレオ効果』というそうです。
脳の力はすごい。左右で聞こえた音のズレから、ステレオ効果をつくりだすそうです。
この絵本は、『音』の研究本です。
読みながら、毎週日曜日午前10時から熊太郎じいさんが聴いているNHKラジオ番組、『子ども科学電話相談』のコーナーを思い出しました。
こどもさんから、こういう音に関する質問もあるでしょう。
絵本では、いわゆる、『こだま(山でヤッホーというとヤッホーと自分の声が返ってくる)』の説明があります。発展して、音楽ホールで、合唱の声が反響することの説明があります。『ステレオ効果』の説明です。
熊太郎じいさんは、たまに夫婦でミュージカルを観に行くので、観に行ったときのステージを思い出しました。
胎児のことが書いてあります。(おなかの中にいるとき、あかちゃんは、お母さんの声を聞いている)
生まれてくると、まっしろな脳みそに、たくさんの情報が、順番に記録されていく。
きみたちの未来は明るいというような雰囲気で、絵本は終わっています。
絵本を読み終えて、いわゆる耳が聞こえない障害者の人たちの本を2冊思い出しました。参考までに、ここに落としておきます。
『育児まんが日記 せかいはことば 齋藤陽道(さいとう・はるみち) ナナロク社』
ろう(聾):聴力を失っている。耳が聞こえない。
コーダ:耳が聞こえない・聞こえにくい親をもつこどものこと。
ふたりのお子さんをもつ、ろうのご両親のうちのパパが書いた本です。本の帯にあるメッセージは、『毎日は、いつもおもしろい』です。0才と3才のこどもさんがおられます。
もう一冊です。
『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと 五十嵐内(いがらし・だい) 幻冬舎』
ろう(聾):聴力を失っている。耳が聞こえない。本の帯に『耳の聞こえない母が大嫌いだった。』と書いてあります。著者は、ろうあ者の両親のもとに生まれて、いつもひとりぼっちだったそうです。
本の中では、著者と、著者とは他人である聴覚障害者たちとの出会いがあります。手話と手話で話すのですが、言葉が通じると、心が通い合ったり、気持ちが通じ合ったりします。ステキなことです。
そして『……ぼくは決して孤独ではなかったのだ。』という自覚が芽生えます。(日本国内には推定2万2000人のコーダがいる)
耳が聴こえない人たちのお誕生日会があります。
あっぴーあーすでぃうーゆー:ハッピバースディトゥユー
拍手を表す手話:両手を上にあげてヒラヒラさせる。(音はしません)
ステキです。
本の中に、『第五章 母親との関係をやり直す』がありました。人生は、やり直すことができるのです。
こどもさん向けの絵本です。
何の話だろう。まず思う。何のお話が書いてあるのだろう。何のお話が始まるのだろう。
お部屋で、ひとりで、絵本を読んでいる少年の絵があります。そばには、時計とラジオと太鼓とワンちゃんがいます。窓の外には鳥が三羽飛んでいます。
ベビーベッドで寝ていたあかちゃんが、『ほぎゃー』と大きな声で泣き出しました。
ママがあわててあかちゃんに駆け寄ります。あかちゃんは、泣かないとめんどうをみてもらえません。めんどうをみてもらえないと、最悪死んじゃいます。だから、あかちゃんは、必死で泣きます。
少年は、あかちゃんの泣き声を聞いて、何か思いついたようです。
どうして、声が出るのかな。どうやったら、声が出るのかな。声という音が聞こえる仕組みはどうなっているのかな。
『のどの奥に「声帯」がある。「声帯」は2枚ある。息がのどを通る時に、声帯が震えて声が出る。』
(へーぇ。人間のからだって、うまくできている)
音=空気の振動
口から出た音を、耳が拾う。
耳は、空気の振動をキャッチする。
鼓膜(こまく)→耳小骨(じしょうこつ。3つの骨。振動が大きくなる)→蝸牛(かぎゅう。振動が電気信号をつくって、信号を脳に伝える)→脳が計算をして、何の音なのかを判断する。
スピーカーの構造みたいな話です。
耳鼻科(じびか)の勉強みたいです。
事例が列挙されます。
大太鼓、輪ゴム、電動鉛筆削り器、鼻をかむ動作など。
低い音、高い音、例示しながら説明があります。
ミンミンゼミは、おなかの中の膜を震わせて音を出すそうです。羽をこすり合わせて音を出していると勘違いしていました。
羽をすりあわせて音を出していたのは、コオロギのほうでした。
動物によって、聞こえる音の振動の範囲があるらしい。
人間:1秒間に、20回から2万回の震え(振動)を聞き取れる。
ネズミ:1秒間に、5万回震える音で仲間に合図を送る。(ネコには、その音が聞こえる)
ネコ:1秒間に、7万回以上震える音がわかる。
イルカとコウモリ:1秒間に、10万回以上震える音がわかる。その音がはねかえってくる仕組みを利用して獲物をつかまえる。(すごいなあ)
クジラやゾウ:グーンと低い声で、離れたところにいる仲間に合図を送る。そういえば、クジラの出す音を素材にした小説作品がありました。
『52ヘルツのクジラたち 町田そのこ 中央公論新社』。クジラの声が表現するものが、人間の『孤独』でした。
ゾウ:1秒間に、10回から20回震える音でとても低い声を出すそうです。
小さなものが出す音は高くて、大きなものが出す音は低いそうな。
音を伝えるものとして、『空気』以外の紹介があります。
鉄のレール:たった1秒で、6km先まで音が届く。
川の水:音は、1秒間で1.5km進む。
空気:1秒間に、約340mしか進まない。6km先で上がった花火の音が聞こえるのは、18秒後になる。
光:1秒間で、30万km進む。(地球を7周半です)。絵本では、花火を例に説明があります。そういえば、雷の稲妻(いなづま)の光と、音の時差があります。ふとそう思いつきました。
100年以上前のフランスでのことが書いてあります。
当時は、ラジオもテレビもありません。
発明家クレマン・アデールが、電話の受話器を両耳に当てた。昔の受話器は、マイクのような形でした。両耳に当てて音を聴くと、リアルな音に聞こえた。(自分がその場所にいるような感じということです)。両方の耳に、電話の受話器を当ててその場の音を聴くと、ふたつの耳と脳が、リアルな光景を脳内に再現してくれる。これを、『ステレオ効果』というそうです。
脳の力はすごい。左右で聞こえた音のズレから、ステレオ効果をつくりだすそうです。
この絵本は、『音』の研究本です。
読みながら、毎週日曜日午前10時から熊太郎じいさんが聴いているNHKラジオ番組、『子ども科学電話相談』のコーナーを思い出しました。
こどもさんから、こういう音に関する質問もあるでしょう。
絵本では、いわゆる、『こだま(山でヤッホーというとヤッホーと自分の声が返ってくる)』の説明があります。発展して、音楽ホールで、合唱の声が反響することの説明があります。『ステレオ効果』の説明です。
熊太郎じいさんは、たまに夫婦でミュージカルを観に行くので、観に行ったときのステージを思い出しました。
胎児のことが書いてあります。(おなかの中にいるとき、あかちゃんは、お母さんの声を聞いている)
生まれてくると、まっしろな脳みそに、たくさんの情報が、順番に記録されていく。
きみたちの未来は明るいというような雰囲気で、絵本は終わっています。
絵本を読み終えて、いわゆる耳が聞こえない障害者の人たちの本を2冊思い出しました。参考までに、ここに落としておきます。
『育児まんが日記 せかいはことば 齋藤陽道(さいとう・はるみち) ナナロク社』
ろう(聾):聴力を失っている。耳が聞こえない。
コーダ:耳が聞こえない・聞こえにくい親をもつこどものこと。
ふたりのお子さんをもつ、ろうのご両親のうちのパパが書いた本です。本の帯にあるメッセージは、『毎日は、いつもおもしろい』です。0才と3才のこどもさんがおられます。
もう一冊です。
『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと 五十嵐内(いがらし・だい) 幻冬舎』
ろう(聾):聴力を失っている。耳が聞こえない。本の帯に『耳の聞こえない母が大嫌いだった。』と書いてあります。著者は、ろうあ者の両親のもとに生まれて、いつもひとりぼっちだったそうです。
本の中では、著者と、著者とは他人である聴覚障害者たちとの出会いがあります。手話と手話で話すのですが、言葉が通じると、心が通い合ったり、気持ちが通じ合ったりします。ステキなことです。
そして『……ぼくは決して孤独ではなかったのだ。』という自覚が芽生えます。(日本国内には推定2万2000人のコーダがいる)
耳が聴こえない人たちのお誕生日会があります。
あっぴーあーすでぃうーゆー:ハッピバースディトゥユー
拍手を表す手話:両手を上にあげてヒラヒラさせる。(音はしません)
ステキです。
本の中に、『第五章 母親との関係をやり直す』がありました。人生は、やり直すことができるのです。