2023年04月08日

信仰から解放されない子どもたち 横道誠 編・著

信仰から解放されない子どもたち #宗教2世に信教の自由を 横道誠 編・著 明石書店

 2022年7月8日、前総理大臣の銃撃事件があった昨年夏から話題になっていることがらです。
 新刊書をチェックしていて目に留まり、興味を持ち取り寄せました。
 関係者は、元統一教会2世信者、元オウム真理教2世信者、天理教5世信者、元エホバの証人2世信者、元創価学会2世信者、教育学者、社会福祉士、ジャーナリスト(報道に関わる人)、宗教社会学者などの方々です。

 ふつう、宗教で心が救われるのではないか。
 宗教で苦しまなければならないのは、本末転倒ではないか。(ほんまつてんとう:逆効果。本来の意味を失っている)

 ひとつには、お金の問題があります。
 社会生活を送るためにはお金がいります。
 わたしたちは、税金を支払って、国や自治体に運用をまかせています。
 収入や財産に応じて、税金を負担しています。
 宗教団体活動にもお金がいります。組織を運営し維持していくためにお金がいります。
 宗教団体には、税金という法律に基づく制度はありません。うちわ(内輪)の取り決めで運営費の徴収があります。度が過ぎた徴収(寄附行為)は、不幸を生みます。

 読み始めます。

(そして、最初の人の文章を読み終えました)
 かなり衝撃を受けました。ひどい。
 宗教二世の不幸が書いてありました。
 この文章を読んで、救われる人がいるでしょう。同じく宗教二世で育って、ひどい体験をされた、あるいは、今されている人たちです。

 読む前の前知識として、宗教団体は税金が非課税になる部分がある。学校法人も、医療法人も同様の取り扱いがある。
 だれのために宗教団体があるのか。金銭で利益を受ける組織の上層部にいる人間のためにあるのか。宗教集団の中で、利益を分かち合うのか。仲間である人間関係を利用して、利益獲得活動に生かしていくのか。

 さて、最初の人のお話です。
 発達障害の母親が宗教活動を始めた不幸が書いてあります。
 孤独な発達障害の人は、宗教勧誘のカモだったそうです。(カモ:だまされやすい人。餌食(えじき)都合のいい人)

 夫と妻の関係があります。
 妻は信仰活動に熱心で、夫は反対していても無関心で妻の信仰活動に干渉しないという構図があります。そして、こどもたちは不幸におちいります。父親には、家族という小さな社会をまとめる力(ちから)がありません。

 こどもに対する「ムチ」の時間というのは初めて聞きました。
 明らかに児童虐待です。「しつけ」という名の「暴力」です。気が狂っています。
 サタンとは何? わたしからすれば、自分のこどもをたたく母親がサタンです。(悪魔)
 宗教に浸かった(つかった)発達障害の母親は暴力の加減(かげん。程度)を知りません。徹底的にこどもの心身を痛めつけます。そんなことを続けていたら、こどもが死んじゃいます。こどもが発狂します。宗教が殺人者を生んでしまいます。
 こどもに対するかなりひどい体罰があります。理由がわかりません。再び、サタンとは何者なのかという疑問が生じます。

 宗教二世のこどもに時間の感覚がありません。成長しておとなになっても、虐待を受けた時期の前後関係がありません。時間の経過がないのです。虐待は、過去のことではないのです。フラッシュバックという現象で、過去が、現在のこととして瞬間的に脳裏によみがえるのです。おそろしい。

 (体育教師で体操に失敗して車いす生活になった)星野富弘さんという障害者で、口にくわえた筆でお花の植物絵を描かれる人のことが文章の中に出てきました。(わたしは、群馬県にある富弘美術館まで星野富弘さんの絵を見に行ったことがあります。絵画集も数冊購入しました)
 ふつうは、星野富弘さんのことを、障害に負けずにがんばっている人と思うのですが、こちらの宗教二世である執筆者はそうは思っておられませんでした。宗教をめぐる親子関係に悩んでいた小学四年生のときに、団地の5階から飛び降り自殺をしようとしたけれど、もし即死しないで、星野富弘さんみたいな障害者になったらイヤだと思って飛び降り自殺を思いとどまっておられます。
 こどもの心をそこまで追い込む宗教とはなんだろう。

 ちなみに、星野富弘さんは体が不自由になられたあと、宗教によって救われています。宗教ってなんだろう。宗教には二面性があるようです。
 星野富弘さんは、絶望のふちから帰還されていますが、とても長い時間がかかっています。自由のないお体になられたあと、宗教が心の支えになっていきます。
 1970年6月(昭和45年)中学校の体育教師をしていて運動中に頚椎(けいつい。首のうしろ)を損傷し手足が動かなくなる。口に筆をくわえて絵や文章を書き始める。
 勉強もできてスポーツにも長(た)けている。事故は相当のショックだったでしょう。24歳からの9年間の寝たきり入院生活は絶望の淵(ふち)にいたとお察しします。
 星野富弘さんの言葉で心に残っているものがあります。おぼろげな記憶ですが『川で泳いでいたら川の水の勢いに巻き込まれて自分の体が下流に流されてしまった。元の岸に戻ろうとあがいていたら溺れて死にそうになった。川の流れにさからうことをやめて、川の流れに身をまかせて流れていたら、体は自分の知らない岸に流れ着いた。自分は、流れ着いた岸で暮らしていくことにした。気持ちが楽になった』というような内容でした。自分なりに『川』というのはお住いの近くを流れている『渡良瀬川(わたらせがわ)』だろうと決めつけました。最近読んだ本『リバー 奥田英朗(おくだひでお) 集英社』の舞台です。物語は連続殺人事件の犯人を追う警察ものでした。

 宗教団体の幹部の人は、こちらの宗教二世の本を読んでどう思い、どう感じるのだろうか。
 こどもにとって不幸だらけの生活があります。
 (話は飛びますが、このあと、168ページあたりまで読んで思ったこととして:特定の宗教団体の活動のありかたがおかしい)

 宗教二世のご本人の気持ちとして、(自分に信仰を強制した)母親は、現実には生きているけれど、自分のなかでは死んだままになっているそうです。

 希死念慮(きしねんりょ):消えてなくなりたい。楽になりたい。

 『永遠の地獄を生きている』(すごい言葉です)
 楽しいことがいっぱいあるはずのこども時代です。
 『地獄への扉は開いたままになっている。』と結んであります。
 おそろしい。

(つづく)

 ふたり目は別の宗教の二世の方の記述です。四十代女性。
 両親が入信していて、家族とともに教団施設で生まれ育ったそうです。
 
 異常な世界があります。
 どうしてこんなことが起きるのだろう。
 人間はだまされやすい。
 だれが得をしたのだろう。
 教団の上層部の人間です。
 
 合法的な暴力と虐待があります。
 被害者は抵抗ができないこどもです。

 国政選挙の時には、両親が強制的に選挙の仕事に駆り出される(かりだされる)そうです。選挙の運動員とかウグイス嬢として働き、数週間帰宅しないそうです。(無料奉仕のようなことをニュースで聞きました。政策立案面で団体に利益があるようにという下心が見えます)
 教団施設内のこどもたちは、そのあいだほったらかしにされて、食べ物はなく、衣類の洗濯もしてもらえなかったそうです。
 関与した政治家はこれを聞いてどう思うのだろう。こどもの福祉向上のためにがんばりますなんて、大きな声では言えないでしょう。

 昔のアイドル女性歌手の名前が出ます。
 彼女のファンだった友人に誘われて、わたしも彼女のコンサートに行ったことがあります。
 もう昔のことです。
 その後、彼女が宗教団体と関係があるというニュースを聞いたときには、なんのことか自分にはわかりませんでした。集団だったか合同だったかの結婚式があって、教団が決めた相手と結婚するというような報道でした。(相手とは会ったこともないという状態で結婚する)
 たしか日本国憲法の学習では、両性の合意のみで男女は結婚すると学んだ気がしたのですが、当人同士が了解しているのならそういうこともありなのだろう。教団もそれなりの相手をあてがってくれるのだろうと、そのときはあまり気にもしませんでした。(されど、当事者たちの中には相当悩んでいた人がいたと、この本を読んでわかりました)

 こどもたちの親が洗脳されています。(せんのう。権力者の都合のいいように、心の動きをコントロールされている。心も体もお金も命も、権力者の意のままに管理されている)
 親は教団に対しては、被害者であり、こどもに対しては、加害者でもあります。

 教えとして『……天の前では嘘ではない』『……神さまのところにそのお金が行くことによって、そのサタン側にあったお金が、天の側(そば)に帰る……』
 (わたしには、教団の教えであるその部分を読んでも、教えが、なにを言っているのかわかりません。わたしは、長いこと生きてきましたが、これまでに、神さまを見たことはありません。神さまはいてほしいけれど、現実にはいないのです。ガッツ(闘志)という強い気持ちをもって、自分でがんばるしかないのです)
 
 『天国では公用語は韓国語なんだ……』(? 天国では、韓国語で話すのか。そんなことありえないでしょ。そんな教えを信じることが信じられません)
 疑問をもたないという恐さ(こわさ)があります。何でもすんなり受け入れてしまう。危険です。(人に指示されて生活することは、楽な生き方ではあります。トラブルが起きた時に、あの人がああ言ったからと、責任を他者のせいにすればいいのですから。それは『自立・自活』からは遠ざかった生き方です。だれかに、あるいは組織に寄生する(きせいする)生き方ともいえます)

 相談窓口について書いてあります。
 役所は頼りない。事なかれ主義です。とりあえず、外部向けに、こんなことをしていますというみかけだけの相談窓口をつくってある。なかみはない。
 働く人間は、毎月決まった日に決まった額の給料をもらえればそれでいい。やっかいなことには深入りしない。
 対応する職員の資質次第で、その後の流れの方向性が決まってしまいます。
 宗教二世は途方(とほう)に暮れています。

 宗教二世からの叫び声が聞こえてくる本です。

(つづく)

 3人目の方の告白です。
 仲良しだった母のいとこに誘われて母とともに入信(にゅうしん。信者になる)。1988年(昭和63年)ご本人はまだ小学生です。
 親族の名前を勝手に使って、本人の知らない間に入信させられていた親族もいたそうです。めちゃくちゃです。
 宗教団体の巧妙な仕掛けにはまっていきます。
 読んでいると、まるでばかげたような修行に魂を奪われるようにのめりこんでいます。人間って、洗脳されるとなんでもできてしまうのか……(拒否できないのです)
 修行において、覚せい剤まで使用されています。当然修行をすれば、幻覚が見えます。それが修行の効能だという嘘があります。

 教えに従うことで、社会を敵だと思い、教団を正義だと思う。そんな思い込みがあります。
 宗教を妄信(もうしん)して、教祖を尊ぶ(とうとぶ)。『絶対的な尊師』とあります。
 
 シャクティ-パット:眉間(みけん。まゆの間)を指圧するイニシエーション(儀式。エネルギーを与えて、弟子を成就(じょうじゅ)・解脱(げだつ)させる(わたしにはなんのことかわかりません。そんなことをしなくても人間は生きていけます))なんだか、マンガの本を見るようです。

 宗教二世は、こどものころから閉鎖的な空間に置かれていたので『おかしい』と思う思い付きがありません。

 『中二病(背伸び、自己顕示欲、劣等感、ひねくれた物言い)』がいつまでも抜けない人がいます。
 脳の中身がこどものままで体がおとなになって、なにもしないまま、歳をとっていく人がいます。思考は十代のままです。ただ、そういう人生もあります。否定はできません。
 
 帰依(きえ):拠り所(よりどころ)

 かなり重いお話でした。
 人生はまだ長いので、これから幸せを取りもどしてほしい。

(つづく)

 4人目の方です。 三十代の方です。
 宗教5世の方です。現役です。
 独特な世界観がありますが、日常生活への規制はゆるい。ゆえにやれるということはあります。
 ほかの宗教を否定しない。政府を否定しない。(読んでいて、いろんな考え方をする宗教があると感じました)
 今は宗教活動になじんでいるが、若い頃は悩まれたそうです。
 
 読みながら『バランス』について考えました。
 いろんな人がいます。宗教活動に熱心な人から、辞めたい人までの幅がある。
 『宗教』自体には、学ぶ価値がある。
 『信仰(神や仏を信じて、生きていくための心や気持ちのよりどころとする)』が人間にとって大切なものであるという事実は存在する。
 『どうやったらほかの人に迷惑をかけずに楽しく幸せに信仰を広めていくことができるのかを考える……』というメッセージには、共感しました。
 宗教のことで悩んでいる人たちがたくさんいることがこの本でわかりました。ただし、みなさん、世間では、自分が宗教活動に関わりをもっていることを隠されています。(かくされています)

(つづく)

 5人目の方です。
 3人兄弟のうち、末っ子の三男が17歳で自殺しています。(宗教が原因の自殺)
 暗い話になりそうです。
 生き続けるために宗教や信仰があるのではないのか。
 
 スピリチュアル(精神世界。目には見えない)、霊能力者。
 そんなものはないと自分は思っています。信じちゃいけない。だまされます。

 亡くなった人を悼む気持ちは大事です。(悼む:いたむ。悲しむ。慕う(したう)。感謝する)

 どこの宗教の家でも、夫あるいは父親の立場の男性は、無関心、不干渉です。そして、トラブルになると家からいなくなる人が多い。最終的に離婚です。シングルマザーが残ります。

 宗教に染まっている親はどうかしているとしか思えません。
 こどもに対する『ムチ』という行為は虐待だと思うのですが、家庭の中でやられていると外部の人間は気づけません。されど、宗教施設の中ではやられていたわけで、その場で異論を唱えるおとながひとりもいなかったということは異常です。とくに教団役職のポジションにある人間が『ムチ行為』をやめさせなかったことには読んでいて落胆(らくたん)します。

 なんというか、親族も学校も助けてくれない。警察を呼んでもいいような出来事もあります。だけど警察もどこまで対応できるか疑問です。なにかしら、こどもを救うための法令とか手段が必要です。昨年夏の前首相銃撃事件から検討されているのでしょう。(この部分を書いたあと、150ページに専門家の方の支援者としての強い衝撃があったと書いてありました。大学教授。内閣府・子どもの貧困対策に有識者として参画。学校は宗教二世のこどもの貧困に気づかず、助けてくれなかったのです)
 さらになんというか、こうしている間でも、日本のどこかで、現在進行形で、児童虐待行為は行われているのでしょう。

 ほかの方の告白も含めて、宗教二世は、精神を病(や)んだり、アルコール依存になったりすることが書いてあります。
 宗教活動がない家に生まれていたら起きない現象があります。
 
 バーンアウト:燃え尽き症候群

 この方の告白部分を読み終えて思ったことです。
 -自分が、自分として、しっかりしなきゃ。人から嫌われてもいいから、自分はこうすることが自分にとって正しいと思うからそうするという強い意志をもったほうがいい。迷信を信じちゃいけない。(迷信:めいしん。合理的な根拠がない。科学的な根拠がない。誤った情報。ウソの情報。いないものはいない。いるものはいる。白か黒かの世界を見きわめる。とかく、人はグレーゾーンで生きたがるものですが、肝心なときには、喜怒哀楽の感情を消して、理屈で割り切る)-

(つづく)

 6人目の方です。
 母親が信仰をする人です。
 読んでいると、気の毒で、涙がこぼれ落ちそうになります。
 ちびっこにとっての毎日は『遊び』です。こどもは『遊び』から生活を学びます。
 お経さん(おきょうさん)を強制的に毎日決まった時間に唱えさせられます。(となえさせられます)お経に書いてあること(文章)は何が書いてあるのか、何の意味なのかは、こどもにはわかりません。あんがい、おとなもわかっていません。そして、父親は酒飲みです。

 信仰をしている人にとっては、大切なものなのでしょうが、信仰をしていない人にとっては『紙』でしかありません。そもそも、仏像や紙に魂は宿ってはいないと思います。もとは、木であり、紙であるだけです。

 結局お母さんは、自殺しています。
 救いはなかった。
 夫婦関係は冷え切っていた。
 こどもはがっくりくるしかありません。
 信仰は、天国に行くためではなく、地獄にいくためにあったのか。
 母親は、教団以外に人間関係がなかった。

 勧誘はしつこい。
 母親が亡くなったあとも勧誘はやまりません。
 選挙になれば、投票の依頼があります。(指示に近いのでしょう。強制という圧迫感があります)
 気が狂っている行為です。理解できません。家族のうちのおひとりが、信仰が理由で自殺しているというのに、信仰活動の勧誘をする人はどんな気持ちで勧誘をしているのだろうか。脳の中の活動が機械的です。あるいは、人間にとって大切な脳みその一部分が欠落しているようでもあります。

(つづく)

 第Ⅱ部は専門家同士の対談です。
 宗教二世のこどもは、ものすごい労力を宗教布教活動に費やしています。(ついやしています)
 お金だけではなく、時間と労力です。こどもが労働力として扱われていた昔の日本社会、昔のヨーロッパ社会のようです。
 そうやって、こどもは、いろいろなものを失っていきます。あるいは、おとなたちに奪われています。

 PTA会長をしている人が教団の人だったりもする。
 そんな人が自分のこどもに人が見ていないところで『ムチ』という虐待行為をする。
 だれもがやりたくない地域の職に、みかけの立派さで就(つ)いてしまう危険があります。隙(すき)があります。公的な立場が布教活動に利用されるのではないかという怖さが(こわさが)潜んでいます。(ひそんでいます)
 見かけだけは上品な人が多い宗教というような印象があります。
 
 子育てがじょうずにできる親は少ない。
 愛情不足の親がいます。
 愛情表現のしかたが、屈折している親がいます。
 こどもは(宗教活動をしていてもしていなくても)最後は、「自分で」なんとかするしかない。自立と自活をするしかない。

 アディクション:依存症。満たされなさや空虚な感じを、なにかで満たす。薬物や暴力の行使、アルコール、ギャンブルなどの手段をとる。ネット中毒、ゲーム中毒など。日本語で、嗜癖(しへき)。
 神に依存する。
 こどもを「叱る(しかる)」ことで、快感が生れる。
 パワハラ上司も「叱る」ことで、上司に快感が生れる。部下はひたすら苦痛で、なんの効果もない。こどもも同様に苦痛を感じるだけで、苦痛からの抜け道を考えることしか思い浮かばない。
 
 とりあえず安心な宗教:どんな宗教でも絶対に安全ではない。

 提案として、そういう考え方があるのかとはっとさせられました。
 『宗教活動を18歳未満は禁止にする。成人後、各自がどうするのかを判断する』

 日本国憲法の精神に沿わない宗教を否定する。
 基本的人権の尊重。平和主義。法の下(もと)の平等。教育を受ける権利

 カルト:崇拝。礼拝。中心にカリスマ的指導者の存在がある。(超人間的。教祖。英雄)。熱狂的な会員がいる。反社会的な団体。犯罪行為がある。

 ドグマ的:宗教の教義。独断的な説(せつ)。

 165ページまで読んできて、宗教のことでこんなに悩んでいるのかと驚かされました。
 イヤなことはイヤだと主張できる人間になれたらいいのに。
 自立・自活できるまではがまんして、18歳になったら、そんな親とはサヨナラです。合法的な家出をするしかないという気持ちになります。
 親が、犯罪者に見えてくるような行為を、親が何の疑問ももたずにしてきます。
 こどもは親に連れ回されます。
 
 ウェルビーイング:利益を実現した状態
 猜疑心(さいぎしん):疑う気持ち

 宗教に関しては『親は親、こどもはこども』と分離する。

 こども家庭庁のことも話題として出てきます。

 児相(じそう):文章の中では、児童相談所のことを「児相」と略して表記してありますが、略さずに児童相談所と書かれたほうが読むほうは、わかりやすいです。一般の人で、児童相談所のことを知っている人は少ないと思います。児童相談所と関わりをもつ人は、人口全体のなかでは少ない割合でしょう。

 教義に従わないと『先祖代々まで地獄に落ちる』(先祖というのは、もうこの世に存在しない人たちです。何を言っているのか理解できません)
 『神の子』(いいえ、人の子です)
 どれもこれも「脅迫」です。

 ピアサポーター:同じような立場にいる支援者
 フランスの反セクト法:宗教団体に対する規制法。2001年成立。(自分なりに、人の道に反する反社会的な行為をする宗教団体を取り締まる法律だろうと解釈しました)

(つづく)

 アドボカシー:擁護(ようご)、代弁、支持、表明

 親が宗教にのめりこんでいくなかで、こどもが翻弄される。(ほんろう:本人の意思に関係なくふりまわされる)
 こどもにとっては、まるで、嵐の中にいるようです。不安定です。

 いろいろ問題提起があります。
 現在の政府与党の枠組みから考えて、与党は、特定の団体のこととして処理したい。
 伝統的な宗教団体においても宗教二世の問題と課題は存在する。
 裁判所は、宗教問題の判断に消極的
 
 リテラシー:読解記述力(どっかいきじゅつりょく)。適切に、理解・解釈・分析をして、改めて、記述で表現する。

 読んでいて、いろいろむずかしい現状があります。

 『こども家庭庁』といのは、最初の頃は『こども庁』でいくのだろうと思われていたというのは初めて知りました。社会的に問題になった宗教団体の「家庭連合」からきているのではないかという説があり、真偽のほどはわかりません。

 とかく人間界とか政治の世界は、グレーゾーン(灰色の空間)です。最優先は「権力」と「お金」なのでしょう。

(つづく)

 宗教団体が設立した学校を卒業した宗教二世の不幸が書かれてあります。
 就職時に、偏見、差別にさらされるのです。
 
 パーソナリティ:個性。人柄

 宗教家だから人に優しいということはない。
 教義に従うことに厳しいという面はある。
 自分だけでなくて、抵抗力のないこどもにも信仰を強制する。
 そこに問題点と課題がある。

 いじめが多い学校生活です。
 社会に出てもいじめや差別があります。
 宗教二世は、なにかといじめの対象者になりやすい。
 生きづらさがあります。
 こどもは孤立します。

 作品『星の子』は読みました。
 邦画では、最後に、芦田愛菜さんが演じるこどもさんは信仰から逃れる(のがれる)ことをあきらめるのです。
 両親が信仰する宗教に浸かる(つかる)ことにしたのです。物悲しいお話でした。
 『星の子 今村夏子 朝日新聞出版』
 病弱に生まれた主人公林ちひろ(ちーちゃん)を救うために、「水」にからんだ新興宗教らしき活動に積極的に関わる両親がいます。それが原因で、親族関係、親子関係(ちーちゃんの5歳上に姉のまさみさん、まーちゃんがいる)が破たんしていきます。
 宗教小説は避けられる傾向にあるのですが、この小説の場合、成功しています。

 今年読んで良かった一冊になりました。
 前半のひとりひとりの告白は、胸に響くものがありました。
 後半の専門家同士の対談では、『宗教』とか『信仰』とか、個人の自由に関するもので、対応が不明瞭で取り組みにくかったりすることがわかりました。
 『信仰』というものは、個人の心を支えるものであり、こどもの心を破壊するものではないというところはしっかり押さえておきたいという気持ちになりました。
 非合理的なこと、理屈に合わないことには従わないという強い意志が必要なことがわかりました。  

Posted by 熊太郎 at 07:44Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2023年04月07日

ぼくのおふろ 鈴木のりたけ

ぼくのおふろ 鈴木のりたけ PHP研究所

 表紙をめくると、たくさんのおふろの絵が出てきます。
 幼児にとって、新しい言葉と言葉の意味を覚えることができる絵本です。

 読み終えて、今度親戚のちびっこたちに会った時にプレゼントする絵本の候補の一冊にすることにしました。

 想像力の例示、アイデア集です。
 
 ひらがなをリズムにのせて読む絵本です。
 歌のようでもある。

 迷路ぶろがあります。
 なるほど、ちびっこは、迷路遊びが大好きです。
 絵本に『おふろめいろ』は、わたしにはちょっとむずかしかった。
 なかなかとけなかったので、逆方向、ゴールからスタートをめざしてやれました。

 『会議室ぶろ』は、アイデアがおもしろい。
 国際会議は、入浴しながらやりましょう。
 裸の付き合いです。

 男女混浴ぶろは、見当たりませんが、男女別のおふろはあります。

 スーパー銭湯みたいです。

 『ふかいふろ』は、こわい。かなり深い。だいじょうぶだろうか。

 ママに気を使います。
 ママのためのおふろがあります。
 ママをねぎらうのです。(ねぎらう:苦労に感謝して、いたわる)

 絵本を見ていると、温泉につかりたくなります。

 おふろに入っている人たちがいっぱいいます。
 絵本『ウォーリーをさがせ!』みたいな展開になりました。
 もじゃもじゃあたまのサングラスをかけた男をさがします。
 顔の雰囲気は、フォークシンガーだったころの井上陽水(いのうえ・ようすい)さんみたいです。

 『小』から『大』へ。『狭い』から『広い』へと絵は変化していきます。
 世界は広がりを見せます。
 絵本の中は、宇宙です。
 
 もじゃもじゃあたまのサングラス男を見つけてどうするのかと思っていたら、水鉄砲で男を狙い撃ち(ねらいうち)です。

 ドラえもんとのび太が飛行機にのっているようでもある。

 そして、絵本では、最後は自宅のおふろに戻ります。
 その絵を見ていて、ふと思いました。
 じいちゃんであるわたしは、孫たちがうちに泊まりに来たときは、孫たちがまだしゃべることができないあかちゃんだった時から、いっしょにおふろに入っています。
 あかちゃんと浴槽の湯につかるのは、わたしにとっては得意技です。右手をお尻のしたにおいてあかちゃんの体を支えます。左の手のひらを頭の下において、耳にお湯が入らないように、左手親指であかちゃんの右の耳、薬指で左の耳をふさぎます。もう慣れたのでこわくはありません。湯船にぷっかりと赤ちゃんの体を浮かせます。力はいりません。ぷかぷか浮かんだあかちゃんだったころの孫たちは、気持ち良さそうにしていました。
 孫の数が増えて、数年前からは、おふろは、三人でいっしょに入っています。浴槽の中で大暴れして(おおあばれして)、手に負えません。
 体がちいさかったので、わたしが孫たちのからだを洗います。シャンプーつけて、頭を洗って、あわあわせっけんをつけて体を洗ってあげて、そんなことをしています。
 思うのです。幼稚園も卒園したので、そろそろ、自分で自分の体を洗ってほしい。なのに、洗ってくれという態度なのです。まあいいか。洗ってあげている間、ちびっこたちは、うれしそうな表情をしています。

 おふろが嫌い(きらい)な人もいます。
 入浴はしない。シャワーだけという人もいます。
 おふろには、毎日は入らないという人もいます。
 女の人でもおふろにあまり入らない人もいます。
 心身の健康のために、入浴習慣は身につけたいものです。
 
 裏表紙の裏に「かいてんずしぶろ」というおふろの絵があります。
 最近、なにかと話題になった回転寿司です。
 人がいやがるようなことをやって喜ぶという心理は、正常な精神状態とは思えません。心が、屈折(くっせつ)しています。  

Posted by 熊太郎 at 07:24Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2023年04月06日

でんしゃのひみつ しんかんせんの1日

でんしゃのひみつ しんかんせんの1日 え・溝口イタル 交通新聞社

 先日読んだ絵本が『しごとば 鈴木のりたけ ブロンズ新社』で、複数描かれていた仕事のなかに、新幹線運転士がありました。
 こちらの絵本では、新幹線運転士に着目して、詳しい情報が提供されています。

 自分は、これまではコロナ禍が続いて、移動がしにくかった期間が三年間ぐらいありました。
 コロナ禍がおさまってきたので、これからは、新幹線に乗る回数が増えそうです。
 先日用事があって千葉方面に、二泊三日の移動で、往復に新幹線を利用しました。
 移動時間が短くて済むので、たいへん便利です。
 往復ともに雲がかかって、富士山の上のほうが見えなかったことが残念でした。
 
 自分の体験では、新幹線は、博多駅から仙台駅の間で利用したことがあります。

 絵本では、1本の新幹線が、列車番号を変えながら、福岡県にある博多駅から東京駅までを一日に一往復半します。
 のぞみ8号:午前7時29分博多駅発。午前9時50分新大阪駅着。(JR西日本の運転士からJR東海の運転士に交代。女性運転士も複数おられるそうです)。8ページに運転席付近の絵があります。12時33分東京駅着。
 のぞみ8号は、名前をのぞみ35号に変えて、東京駅から博多駅を目指します。午後1時10分出発です。午後6時14分博多駅着です。
 のぞみ35号は、名前をのぞみ64号に変えて、博多駅から東京駅を目指します。午後11時45分に東京駅着です。(そしてまた、翌朝から動くのでしょう)

 運転士は「点呼」から始まります。点呼(てんこ):本日の業務内容、運転士の健康状態の確認。飲酒状態の確認もあるのでしょう。飛行機のパイロットも同じだと思います。
 想像するに、電車は運転士がいないと発車できないわけですから、運転士はけして遅れてはならないわけで、出発時刻の1時間から30分ぐらい前には現地に出勤しているであろうというイメージです。間違っても、乗車時刻ギリギリの出勤はないと推測します。
 そして駅は、ホテルのような施設になっているでしょう。食事ができる食堂のような部屋、宿泊ができるベッドの部屋、おふろ、台所もあるのでしょう。さらに、会議室や休憩室もあるのでしょう。一般人は立ち入ることができない区域でしょう。

 運転指令室がある場所のことを秘密の場所と書いてあるのですが、その部分を読んだ時、秘密ではないと思いました。
 調べたら、今は秘密になっているそうです。昔は公開で、見学も受けていたそうです。
 テロ行為の防止のためもあるのでしょう。(政治的な目的や意味をもっての無差別大量殺人事件)
 人間というのはむずかしい生き物です。施設を破壊することで自分や組織の目標を達成できるとは思えません。
 
 本の構成として、新幹線の移動の合間に運転士の行動が入れ込んであることが筋立てとしてわかりにくいです。移動は移動、業務内容は業務内容で、ふたつに分けて書いてもらったほうが理解しやすい。
 それから『運転士』に敬称の『さん』は付けないほうが読み手にとってはわかりやすく読みやすいです。児童書でよくみかけますが、氏名に「さん付け」や「くん付け」をされると読むリズムにのれなくて読みにくいです。つくり手はていねいさを表現しているのでしょうが、かえって迷惑です。

 秘密の指令所で働くことはけっこう精神的にストレスがありそうです。ストレス:苦しみ。
 閉鎖空間で、電子機器相手にマニュアルに従ってロボットのように機械的に働く。
 毎日長く続けていくには自己コントロールにおいてむずかしいものがあります。健康第一で気をつけて働かねばなりません。心身の故障を招きそうです。

 ふだんは機械的に動けばいいのですが、イレギュラー(予定外)なことが起きたときがたいへんです。
 事故や事件、自然災害の発生などです。日頃からどうするか決めて、訓練もやっておかねばなりません。人の命を守るための安全第一を目指す交通機関の義務と基本です。
 そしてトラブルは必ず起きるのです。

 絵本の中で、新幹線は、到着した東京駅で車内清掃作業をします。
 水濡れセンサーがついたほうきというのは初めて見ました。
 
 以前新幹線で見たことがありますが、大量のゴミを座席のまえの網ポケットのところに入れっぱなしにしたまま下車した乗客の人たちがいて、次に乗車してきたお客さんたちがたいへん怒っていました。(おこっていました)自分が出したごみは自分で片付けましょう。マナー(礼儀・作法)が悪い人は迷惑客です。

 忘れ物も困りものです。
 忘れ物は忘れた人が一番悪いのに、自分は悪いと思わない人もいます。変な人です。

 27ページまでで絵本の部分は終りです。
 28ページからは資料編のような構成になっています。
 歴史です。新幹線は最初から今の路線でスタートしたわけではないのです。路線が整備されてから生まれた人たちにとっては実感がわかないでしょう。老齢である自分の世代は、これまでの経過をこどものころから体験しています。それまでは、寝台車とか、急行列車などで長距離を移動していました。わたしの祖父母の時代は蒸気機関車で日本列島を移動していました。九州で暮らしていた祖父母が、自分たちが若い頃は、蒸気機関車で神戸や東京まで行っていたと話してくれました。もうしわしわのおじいちゃんやおばあちゃんになってしまっていた祖父母にも若々しくてピカピカした青春時代があったのだと不思議な気分で話を聞いていました。
 1964年(昭和39年):東京-新大阪 4時間 ひかり号で片道2480円
 1965年(昭和40年):東京-新大阪 3時間10分
 1972年(昭和47年):新大阪-岡山 開業
 1974年(昭和49年):食堂車登場 (2000年 平成12年廃止)
 1975年(昭和50年):岡山-博多 開業
 1986年(昭和61年):東京-新大阪 2時間52分
 1987年(昭和62年):国鉄(日本国有鉄道)が分割民営化
 

 国内最高速が東北新幹線と秋田新幹線で320キロメートルとあります。昨年秋に宮城県に行ったときに『こまち』に乗車しました。地形的に速度を上げやすいのでしょう。

 車両の検査について書いてあります。
 経費節減のための検査期間延ばしはやめたほうがいい。故障や事故につながります。新幹線以外の交通機関、移動手段も含めて、安全であるために点検は適時適切にやっておいてほしい。

 現在リニアモーターカーが建設中です。
 東京から名古屋が片道40分ぐらいだと聞きました。
 正直言って、わたしは、今の新幹線のままで十分です。移動にかかる時間は、1時間40分ぐらいです。ほどほどの時間で、とても便利です。駅弁やコーヒータイム、本や雑誌を見たり、雪をかぶった富士山の景色も楽しめたりします。
 リニアモーターカーの40分間トンネル内閉鎖空間移動というのは、仕事用の移動です。  

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2023年04月05日

バス対鉄道対決旅 栃木県佐野市から茨城県鹿島神宮

バス対鉄道乗り継ぎ対決旅 第15弾 栃木県佐野市から茨城県鹿島神宮 テレビ番組

 両者7勝7敗です。路線バス太川さんと鉄道村井さんのバトル(戦い)です。

 路線バス 太川陽介チーム:NGT48 中井りか お笑い毒舌芸人 みなみかわ

 鉄道 村井美樹チーム:織田信成 モグライダー ともしげ

 全体を見て、今回は、ぱっとしなかったような印象が残りました。
 路線バスにしても鉄道にしても、移動にあたって、けっこう不便な地域で、歩く時間がとても長かった。

 お笑い芸人さんが、かたくなに革靴を履き替えることをこばまれたのはちょっと。
 なにか勘違いされているような気がしました。
 村井美樹さんも怒っていましたがこの競争番組に「笑い」はいらないし、そもそもあの言動では笑えません。番組の質が低下することは避けたい。

 村井美樹さんが苦手なグルメ当てゲームは、なかなか当てられない村井美樹さんのために縮小化されたようです。それでもはずされていました。むずかしい。

 風景映像を楽しみました。
 どこの駅舎も建て替えが進んでいることがわかります。
 村井さんたち鉄道チームが見た電車の車窓からの夕映えの光景が美しかった。日本中、自然が豊かな田舎(いなか)では、美しい夕映えを見ることができるのです。
 筑波山の露天の温泉からながめる広々とした関東平野の景色が気持ちいい。たしか、以前、充電させてもらえませんかの出川哲朗さんも同じ露天風呂に入浴したことがあるような記憶が残っています。

 鉄道チームだった中井りかさんが、村井美樹さんのようなポジション(旅番組での鬼軍曹の位置)をめざしているという言葉を聞きました。頼もしい。

 電車1本に1分の差で乗り遅れて、村井美樹鉄道チームが負けてしまいまいた。
 これから答え合わせをネットで見てみます。

(答え合わせ)
 いろいろな組み合わせがありました。
 鉄道チームが余裕で勝てていたルート選択もありました。
 ただ、始まったころからタクシーを使うのは、勇気がいります。
 あとは、地方では、昼間以外の時間帯では、タクシーの利用者が少ないということがわかりました。ゆえに、タクシー会社が営業していない。
 この番組は地元住民が路線バスやタクシーを利用するのではなく、タレントが、バラエティ番組として路線バスやタクシーを利用するイレギュラー(予定外の不規則利用)な利用ですからやむを得ません。  

2023年04月04日

リバー 奥田英朗(おくだひでお)

リバー 奥田英朗(おくだひでお) 集英社

 本の帯の記述にひかれました。
 『十年前、渡良瀬川(わたらせがわ)河川敷で相次いで発見された若い女性の死体……』とあります。
 自分は小学生のときに数年間渡良瀬川の上流にある町で生活を送ったことがあります。
 渡良瀬川は、栃木県の山奥から群馬県に向けて流れています。最後は利根川と合流しています。読んでみたいという意欲が湧きました。

 これまでに何本か読んだ奥田英朗作品では『向田理髪店 奥田英朗(おくだ・ひでお) 光文社』が良かった。最後は感涙(かんるい。思わず涙。感動して涙)でした。
 失敗しても再起のチャンスを与えるという許容の極地に至るまでの気持ちの高まりを表現してありました。

 こちらのお話は、とても長い物語です。648ページあります。
 さあ、スタートです。

 登場人物として、元刑事、殺害された娘、殺害された娘の父親、若手新聞記者女性、犯罪心理学者、新たな容疑者がいるそうです。(本の帯からの情報として)

 5月8日午後3時45分ころ、群馬県にある桐生実業高校河川敷グラウンド付近の渡良瀬川中洲(わたらせがわなかす)にある藪の中(やぶのなか)で若い女性の死体が発見されました。
 定年退職して67歳の年金生活者である藤原達夫が、愛犬柴犬タローと散歩中に、タローが遺体を見つけました。(藤原達夫の妻は民生委員。おふたりには、大卒の長男と次男がおられるそうです)
 さて、どうなる。
 物語の構成は、序章から始まって、終章まで、10の章になっています。
 自分は、発見現場の群馬県桐生市(きりゅうし)には、電車の乗り換えですが、立ち寄ったことが何度かあります。

 群馬枝県警警察本部(県庁所在地の前橋市内にある)の9階が『指令センター』、4階が『刑事部屋』です。
 事件の担当は、桐生南警察署、近隣所轄署、機動捜査隊、鑑識課、捜査一課です。
 

『群馬県側のメンバー』 死体発見は5月8日

 群馬県警 斉藤一馬(さいとう・かずま。ニックネームが「イチウマ」群馬県警のゆるキャラは馬):34歳。既婚。5歳の息子と3歳の娘がいる。

 伊藤:群馬県警桐生南署刑事一家の若い巡査部長。この春、太田東署の地域課から異動してきた。愛称「Kポップ」

 内田警部:群馬県警捜査一課三係長。ベテラン刑事。ニックネーム「ヌシ(主)」

 久保:群馬県警捜査一課三係長補佐。内田警部の片腕

 牟田群馬県警本部長:刑事畑を歩いてきた官僚。議員に負けない姿勢がある。以前、大阪府警で、刑事部長を務めていた。着任して1年半。警察庁のキャリア官僚。長くても2年で去っていく。警視監という身分。警察庁の捜査一課長よりも身分が上。

 堀部群馬県警捜査一課長:剣道五段。目つき厳しい。人相悪い。頭は切れる。今回は、副本部長。娘ふたり。長女は既婚

 群馬県警桐生南署 木田署長:副本部長

 群馬県警管理官 西村:捜査一課のナンバー2。高校生の息子と娘がいる。

 群馬県警 武田刑事部長:今回の件の捜査本部長となる。

 群馬県警 星野広報官:男性(ずーっと、この人は女性だと思って読んでいました。433ページで「ぼくが」と出たので、男性だとわかりました。びっくりしました)群馬県警広報課の担当者。中学生の娘と小学6年生の息子がいる。
 
 群馬県警 藤川:ベテラン刑事。後記する吉田明菜の店スナック「リオ」の客

 帳場(ちょうば):捜査本部。群馬県桐生南署内に置く。

 千野今日子(ちの・きょうこ):群馬県警本部記者クラブに所属する(全国紙の)中央新聞社の記者。中学生まで東京都八王子市育ち。最近まで文化部所属だったが人事異動があった。
 今回の両県をまたがった連続殺人事件で、中央新聞社の群馬県前橋支局と、栃木県宇都宮支局が合同で取材をすることになります。各支局とも取材体制は10人以上。
 4人家族。父は会社員、母は専業主婦、弟は公務員

 小坂(男性):千野今日子の上司。デスク(責任者)警察担当キャップ(グループのリーダー)。
今回の事件に関して、群馬県前橋支局担当キャップを務める。

 中西:元刑事。元捜査一課係長。

 松岡芳邦:62歳。自営で写真館の経営をしている。パニック障害あり。10年前の連続殺人事件の犯人を追う。追って復讐する。十年前の犠牲者が自分の娘だった。松岡美樹。二十歳の専門学校生だった。松岡芳邦は過去をひきずる人です。娘のことをあきらめきれない。粘着質です。
 最近目の調子が良くない。なにか病気が始まっているようす。本人は気づいていない。(読み進めていて、自分と同じ目の病気だったので、びっくりしました。『加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)』といいます。自分はもう15年以上検査のため数か月おきに検査のため通院しています。発病したころに、病気である右の目玉に月1回ペースで3回注射してもらい病気の進行が止まっています。症状は、松岡芳邦さんほど悪くはありません。松岡さんは左目が病気になっていて、視界の中心部が黒くなっているそうです。わたしは、右目の中心部だけがゆがんでみえます。なんというか、この物語を読んでいて、ほかのことも含めて、作者とわたしは、似通った部分があるのではないかと考えてしまいました)松岡芳邦は、自分自身で、眼科だけではなくて、自分は精神科を受診したほうがいいかもと思っています。(気持ちはわかります。なにせ、娘を殺された父親ですから。警察が十年前に犯人をつかまえることができなかったことへの怒り(いかり)の気持ちはわかります)

 松岡和子:松岡芳邦の妻。

 松岡拓哉:32歳。松岡芳邦の長男。松岡写真館の後継ぎ。

 橋田:写真館の協同組合の監事

 安藤麻衣子:今回の被害者。23歳。無職。5月3日午後5時桐生駅近くのコインパーキングに自分の軽自動車を駐車後、午後5時10分、迎えに来た男のミニバンに乗車した。婚活マッチングアプリを使って援助交際をしていたもよう。以降行方不明となり8日に河川敷で全裸の遺体が発見された。

 警察庁刑事局捜査一課河瀬一課長:捜査支援分析センターであるSSBCサイバーから犯罪捜査官の係官を手配した人物。清潔な服装。テキパキと指示を出す。

 篠田准教授:40歳。犯罪心理学者。(この人の推理部分はすばらしい。背筋が冷たくなります)妻と女子高生の娘あり。妻子ふたりとも変わっている。妻は大学の准教授でミドリムシの研究をしている。娘は歴史好きで、戦国時代に存在していた聞いたこともない人物のことを調べている。

 スバル・レヴォーグ:自分が知らない車です。スポーツカータイプの車。堀部捜査一課長が乗っています。

 吉田明菜:32歳。桐生市の南、栃木県足利市の西にある群馬県太田市太田駅南口スナック「リオ」で雇われママをしている。ホステス10人、5人ごとのローテーション。
 離婚母子家庭で育つ。母親は現在単身で生活保護を受給中。61歳の母親は娘に金をせびってばかりいる。母親は、パチンコと怪しげな宗教の手伝いをしている。

 以下は「リオ」のホステス:キャサリン、マリア(ペルー人。そそっかしい)、絵里香(20歳。売春行為あり)

 刈谷文彦:32歳男性。大柄。183cm、80kgぐらい。中学・高校は柔道部員。長野県松本市出身。1986年11月20日生まれ。
 期間工(35か月の雇用期間。2年11月。3年雇うと正式雇用の義務が発生するので企業は3年雇用を避ける)期間工は、3年ぐらい働いて500万円ぐらいの貯蓄ができる。
 刈谷文彦は、3月31日から運転手として採用されている。
 両親はこどものころ離婚。母子家庭で育つ。母親刈谷郁子現在59歳は覚せい剤使用者で前科五犯、覚せい剤のために闇金に借金をつくった。母は、覚せい剤取締法違反で服役経験あり。刈谷文彦は、母親を強く嫌っている。両者の交流なし。2歳年下の妹美香30歳には障害がある。生まれた時から脳性麻痺。運動機能障害あり。介護施設に入っている。
 刈谷文彦の言葉として『おれは(金をもらって)だれとでも寝る女は嫌いだ』
 (刈谷文彦の部分の記述を読んでいると邦画『砂の器(すなのうつわ)』を思い出すようなイメージがあります。

八木:長野県松本市内居住者。刈谷文彦の高校の同級生。ラーメン屋経営

 平塚健太郎:31歳。県会議員の息子。実家は昔からの大地主。兄と妹あり。本人は、大卒後銀行に就職したが2年で退職して昼間は引きこもり。夜間、高級外車で徘徊という日常を送っている。ネットカフェ、マンガ喫茶を利用している。165センチ。小柄。きゃしゃな手のひら。腕は細く女子中学生のよう。人格がおかしい。

 平塚耕一:59歳。平塚健太郎の父親。群馬県議会議員

 太田市にある会社として、外国人期間工が多い。スバル、パナソニック、ゼネラル重機(この会社は架空でしょう。太田市と桐生市と栃木県の足利市に工場があるそうです)。



『栃木県側のメンバー』 5月13日に足利市内渡良瀬運動公園付近の河川敷で若い女性の死体が発見される。(被害者:渡辺沙也加(父:幸一)21歳。衣料品量販店アルバイト)

 野島昌弘巡査部長:30歳。栃木県警足利北警察署(あしかがきたけいさつしょ)刑事第一課(強盗・窃盗担当。除く経済犯と組織犯)。新婚さん。

 栃木県警 土井刑事第一課長

 栃木県警 山下主任:ベテラン刑事

 栃木県警 宮田管理官

 栃木県警 中村刑事部長

 栃木県警 広川捜査一課長

 池田清:45歳。無職。生活保護受給者。障害者。10年前の殺人事件の容疑者(渡良瀬川連続殺人事件)だった。平成21年5月の出来事だった。確実な証拠がなく起訴できなかった。
 覚せい剤で服役した。反社会性が強い人間。最初の連続殺人事件が平成21年(2009年)、今回の事件が令和元年(2019年)
 サイコパス(反社会的人格の持ち主。人を殺してみたい。殺す経過に快楽を感じる。冷酷。無慈悲。尊大。良心欠如。罪悪感薄い。治療法はない)市営住宅に住んでいる。自己愛が異様に強い。無視されることが我慢できない。優秀な生徒が集まる進学校を中退している。書物のコレクター。頭はいい。だれかを殺しているらしいが事件として判明していない。

 大山明美:52歳。池田清の彼女。スナック「アケミ」のママ。

 瀧本誠司:63歳。10年前に池田清を取り調べた栃木県警の元刑事。定年退職して、タクシー会社で総務の仕事をしている。二十年間刑事をしていた。栃木県宇都宮市居住。偏屈でがんこな刑事だった。家庭では浮いている。妻より先に死ぬことが妻への孝行と考えている。こどもは複数いる。すでに独立している。人物像として「保身に走らず、情に厚く、何事も筋を通す。責任から逃げない。

 栃木県警 平野主任:瀧本誠司のかつての部下。弟子の立場。

 栃木県警 島田:瀧本誠司の元同僚。鑑識担当。現在は警察学校で再任用の教官をしている。(たまたまですが、先日見た「相棒14」の最終話で、鑑識役だった六角精児さんが警察学校で教官をされていました。この本のこの部分と重なりました。こういうことがあるとちょっぴり嬉しい)

 渡辺沙也加:犠牲者。21歳。168cm、55kg。衣料品量販店でアルバイト。5月12日日曜日午後6時、自分の軽自動車で足利駅近くの有料駐車場に車を停めたあと、男が運転するセダンに乗り換えた。男は、足利市在住の岡本哲也33歳会社員。岡本は既婚者。マッチングアプリを利用した援助交際。岡本はシロ。ふたりは、駅前で別れたのち、被害者は行方不明になった。

 福田栄一:「古道会」。元暴力団組長。産業廃棄物処理業者福田興産社長

 金村:福田栄一の元舎弟。解体業者。

 10年前と同一犯か。あるいは、あらたな犯人か。

 ふたつの県にまたがっていて、組織がふたつあって、全国を管轄する警察庁がとりまとめをやって、うまくいくのか。混乱しそうです。

 スマホのマッチングアプリの行為は、犯罪に近づく行為と思える。不特定多数から金銭を得ることもできる『援助交際』です。出会い系サイトは、犯罪と距離が近い。

 2009年5月(平成21年)に栃木県足利市(あしかがし)の渡良瀬川河川敷で女性の全裸死体が発見された。半月後、群馬県桐生市(きりゅし)の渡良瀬川河川敷で、同様の事件が起きた。容疑者として浮かんだ人物がいたが有力な証拠がなく未解決事件となっている。今回起きた群馬県内の事件発生地は同じ場所です。昔の犯人からの警察に対する挑戦状なのか。

 (なんというか。騒ぎ過ぎではなかろうか。もうご遺体になってしまっている)
 死後五日間の絞殺。遺体は全裸。

 昔観た映画、織田裕二さんが出ていた『踊る大走査線』の雰囲気があります。とくに、警察署の動きが庶民的なこと。
 警察の捜査はおもに人海戦術です。(じんかいせんじゅつ。おおぜいで事に当たる)

 飛ばし記事:新聞記事で、根拠が明確ではない。誤報になるときがある。

 渡良瀬川の中流から下流のことの内容です。
 読む前に期待していた上流の話は出てこないようです。

 群像劇なので、登場人物が多数です。
(群像劇:主人公をひとりにしない。集団が引き起こすドラマ)
 群馬県と栃木県の捜査について:10年前は合同捜査本部で失敗した(両者がそろってひとつの会議を開催するやり方)。今回は、共同捜査本部(それぞれの県警で会議を開催する。両県警がそれぞれ操作指揮権をもつ。毎日双方の管理官以上が出席して実施する。調整役は、両県警の一課長補佐(キャリア:国家公務員総合職試験に合格した警察官。所属は警察庁)

 シノギ:暴力団の経済活動。収入を得る手段。

 今、86ページ付近にいます。
 ここまで、登場人物を把握するのにせいいっぱいです。
 このページあたりから、物語が流れ始めました。まるで、川の流れのようです。

 まるでゲームのようです。
 作者の事前調査が徹底しています。
 緻密な調査で物語の下地ができていることがわかります。

 同一犯であれば、10年間のブランクが疑問。10年間、別の土地へ行っていたと考えられる。
 容疑者の拘束時間は、48時間、うまくいけば23日間。
 ナンバープレートの番号『群馬100 あ 215×』 コンテナ型トラック。荷台に着脱装置付きのコンテナがある。大量の荷物を運搬できる。「あ行(ぎょう)」と「か行」は、事業者用。定期的な駐車場所は、工場、事務所、店舗。

 パーソナリティ障害:物の考え方、行動が、一般の人と著しく異なる。
 シナをつくる:色気で誘う。

 195ページまで読みました。
 おもしろい。
 あと453ページあります。

(つづく)

 ページ数が多く、登場人物も多く、地理不案内の人が読むと混乱してくるのでしょうが、ていねいに読んでいくと、かなり、おもしろい。大きな紙、数枚に登場人物や出来事をメモしながら読み進めています。
 この作品、映画になるといいのになあと思いながら読んでいます。ヒットすると思います。

 内偵(ないてい):相手に知られないように秘密の捜査
 常套句(じょうとうく):決まり文句
コンテナ式荷台の中型トラック:4トントラックぐらいか。
 奇譚のない(きたんのない):遠慮のない。率直な。

 代貸(だいがし):暴力団の組のナンバー2。組長の代理。

 7月16日、群馬県警と栃木県警の合同捜査本部が設置された。事件発生は5月だった。
 犯人を見つけることができなかった10年前のことも含めて、連続殺人事件の容疑者は両県内に、複数名浮かんでいる。
 
 登山用のハイソックスからは、長野県松本市を思い浮かべます。北アルプス登山のイメージからです。

 いいなと思った文章として『……妻が最近元気なのは、(捜査で)きっと自分が家にいないからだ。そう思うと、罪滅ぼしをしている気にもなる(妻は女友だちたちと旅行に行って楽しんでいる)』

 殺人犯人を捕まえるためには手段を選ばないという執念はどこから生まれてくるのだろう。昔読んだ本『勇気ってなんだろう 江川紹子 岩波ジュニア文庫』現実の出来事として、勇気をふりしぼった人は、孤立とか孤独という厳しい環境を体験されています。
 ことがらはどんどん進行していきます。
 かなりおもしろい。

 猟奇殺人(りょうきさつじん):異常な言動を伴う殺人手法で殺人をおかす。この物語に出てくる複数の容疑者たちは、それぞれ異常で奇妙です。
 エクソシスト:ホラー洋画。高校生の頃、映画館で観ました。館内は若い男女で満席でした。そうか、この本を読んですんなり理解できたことがあります。あの少女は多重人格になっていた。悪魔祓い(あくまばらい)が闘っていたのはあの少女ではなくて、あの少女の中に棲む(すむ)別人格者だったのか。もう半世紀ぐらい前に観た映画のことが今になってわかりました。

 お金があっても、つらいことがある家があります。
 お金がなくてつらい家もあります。
 お金ってなんだろう。
 お金は使うもので、お金に振り回されるようになってはいけない。
 お金があってもなくても「志(こころざし。お金をコントロールしていく)」をもつことが大事。
 学力や知力があってもつらい家があります。
 人間とはなんだろう。
 救いを求めるために文学があります。
 読んでいて、犯罪心理学者の篠田准教授の言葉がけっこう響きます。
 親がこどもによる犯罪拡大防止のために自分のこどもを殺す。実際にそういうことがありました。あるいは、こどもといっしょに心中する。(しんじゅう。殺して自分は自殺する。複数で死ぬ。みちづれ)
 篠田教授の言葉に、学びがあります。

 352ページ付近にいます。あと300ページぐらいです。

(つづく)

 嫌疑性(けんぎせい):疑いがあるが十分ではない。
 エクスタシー:うっとりとした状態
 オミット:却下する。省く。除外する。
 証左(しょうさ):事実を明らかにする証拠となるもの。
 忠臣は二君に仕えず(ちゅうしんはにくんにつかえず):一度主君を決めたら、二度と主君を変えないのが忠臣(主君に誠実に従う家来)である。
 
 読んでいて感じるのは、男社会です。警察組織は、女性の社会ではありません。
 そして制服社会です。命令で動く組織です。
 それから担当区域の区域に関するこだわりがあります。

 人間の多面性について考えました。
 正面から見るとシロだけれど、側面から見ると黒や灰色にも見える。

 母親が壊れると、こどもも壊れるのか。

 佐藤:警友会(けいゆうかい。警察官友の会。OBの会(退職者。オールドボーイ))の理事
 ラティーノ:ラテンアメリカ人の世界

 リレー方式で、語り手が変わっていく群像ドラマです。
 長野県の松本市内には昨年観光で行ったので、土地勘があり、そのときの景色をイメージしながら物語を読んでいます。

 文章を読みながら、最近のテレビ番組のバス旅では、イオンに向かってのバス往復路線がよく映像に出てくるなあと思っていました。地方のバス路線は、駅からイオンショッピングセンターにつながる路線が多い。
 398ページに『……今の日本の地方都市はイオンの一人勝ちってことでしょう……』というセリフが出てきました。同感です。

 いい文章が出てきました。
 『犯罪は、周囲の人間を根こそぎ地獄に突き落とす。』
 本当にそうです。当事者ではない者まで被害を受けます。

 疵:きず。
 
 頭がおかしい人、頭がおかしくなっている人がいる。
 自分の思いをとげるためには、違法行為もやる。
 善良な一般市民をだますこともいとわない。
 異常な世界が始まって、混乱が起きる。

 目的を達成するための取引が多くなってきました。
 
 合同捜査本部:地取り班(近隣住民への聞き込み)、鑑取り班(かんどりはん。交友関係を洗う)、証拠班、特命班(証拠の裏付け)、科学資料班の編成

 昔観た高倉健さんの邦画『駅 STATION』を思い出しました。
 根津甚八さんが連続殺人鬼の兄で、彼の妹が烏丸せつこさんでした。(からすま・せつこさん)
 
 知悉(ちしつ):ことごとく細かい点まで知っている。

 犠牲者は、援助交際をしていた若い女性に限られている。

 記者は経験(が大事。必要)
 マスコミというのは、なんのために犯人を追いかけているのだろう。
 新聞を売るためなのか。(収入を増やすためか……)
 捜査のじゃまをして、関係者家族に不快な思いをさせて、ときに、人の道を踏み外すような行為や言動をしてはいないか。

 捜査陣は、この膠着状態をどう打開するのだろう。(こうちゃくじょうたい。ずっと同じままで変化がない)

 スマホの機能として:位置情報をオフにしても、次に、情報追跡機能を無効にしないとグーグルでは、位置情報が追跡・保存されているそうです。(そういうことがあるのか)
 
 ブルートゥース:デジタル機器の近距離無線通信

 十年前の連続殺人事件と今回の連続殺人事件は、なにか関連があるような気がします。
 快楽殺人事件です。人を殺すことを楽しんでいる。

 赤い繊維片(せんいへん):鍵を握る証拠です。わたしは、登山靴をはくときにはく厚手の靴下の繊維片だと思いながら物語を読んでいます。繊維片について、十年前は、一件目と二件目で、種類が異なっていたそうです。

 障害をもつこどもさんは、一家の精神的な支えになる。

 まず、小動物を殺し、次に人間を殺すようになる。

 容疑者は取り調べ中黙っています。黙っているということは、犯行をしているということなのか。犯行をしていないのなら、必死にやっていないと抗議するはずです。

 長野県から群馬県に来て、(よそ者のくせに)群馬県民を殺したのはけしからん。
 警察はあせっています。
 善光寺や松本城の話も出ます。(昨年、自分は善光寺参りをしたあと、松本城見学もしたので、身近に感じます。景色がリアルに脳裏に浮かびます)
 
 ゴム引きの軍手(軍手のてのひら部分にゴムの部分がある。すべり止め)、厚手のハイソックス。

 519ページ。すごいことになってきました。警察は追い込まれました。

(つづく)

 殺人の目的が理解できません。
 人を殺す経過が楽しいらしい。狂気です。
 加害者は頭が悪いわけではありません。むしろ殺人行為についてばれない策略を巡らす頭脳です。
 たいへんなことになりました。
 大きな出来事が起きました。
 なぜ、全裸にするのだろう。
 身元はすみやかにわかってしまうのに。
 
 新聞記者の真意を、読み手である自分はつかめません。
 『……何としても全貌を明らかにしよう。それが新聞の使命だ』

 シリアルキラー:異常な心理の欲求で、殺人を繰り返す者
 美学(びがく):美に関する独特な考え方、趣味
 懺悔(ざんげ):神に対して罪を告白して許しを乞う(こう。頼む)。
 澱(おり):液体のそこにたまったよどみ。かす。
 アップルウォッチ:アイフォンとの連携機能をもつ。この物語では位置情報が活用されている。
 檀家(だんか):警察言葉として、地域の有力者、協力者のこと。
 
 警察や検事や裁判官らの意識が、犯人がだれであってもかまわない。自分が、毎月決まった日に、決まった額の給料をもらえたらそれでいいと思うようになったら、この世は終わりです。

 事実の現象と、これまでのことのつじつまが合わない。

 そうか……(いつも善人は、泣く思いをする。こんな洗脳のされかたがあったのか。被害者なのに被害者意識がない。逆に、被害者が、加害者をかばおうとする)

 加害者は、人格がおかしくなっている。生まれつきそうなのか。生まれてからそうなったのかはわかりませんが、壊れている。

 読み応え(よみごたえ)がありました。
 事件が解決して、だれかが幸せになったのだろうか……

 緊張がピークまで達して、ことが済んで、いまは、抜け殻です。(ぬけがら)

 いつまでも済んでしまったことをひきずる夫と、過去のことをあきらめて未来に希望を見出そうとする妻がいます。

 自己承認欲求:自分で自分を認めたい。
 
 この物語を、加害者の立場から書くと、また、おもしろいものができあがるのでしょう。

 そして、話は最初に戻る。
 物語づくりの基本のひとつなのでしょう。
 
 なかなか良かった。  

Posted by 熊太郎 at 06:16Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2023年04月03日

太川&えびすのバス旅 館山市から会津若松市 再放送

太川陽介&えびすよしかず ローカル路線バス乗り継ぎの旅 千葉県館山市から福島県会津若松市 BSテレ東 2014年1月4日放送分(平成26年)の再放送

 この映像を観たあと、用事があって千葉県を訪れる予定があったので、いい感じが自分の胸の中に広がりました。
 館山(たてやま)バスターミナルでの映像は、三年ぐらい前に、いとうあさこさんとか、かたせ梨乃さん、小林幸子さんの旅番組で見た記憶がよみがえりました。

 こちらの太川陽介さんとえびすよしかずさんの乗り継ぎバス旅番組では、途中、97歳の方との出会いがあります。
 超高齢の方に出会うと、自分も長寿の恵みをさずかれるのではないかという期待感が生まれます。自分も一度だけ100歳の方と会ったことがありますが、なんだか感激しました。うれしかった。

 映像に出てきた京成成田駅には行ったことがありますが、そのとき、何をしに行ったのか、駅で何をしたのかが思い出せません。たぶん何もせず、電車に乗って、成田空港見学に行ったのでしょう。(この部分を書いたその後思い出しました。成田空港駐車場の混雑がひどいと聞いたので、京成成田駅近くのコインパーキングに車を停めて、京成電車で空港見学に向かいました)

 映像では、落花生(らっかせい。ピーナッツ)の町、八街市(やちまたし)のバスターミナルが夜、ライトアップでとてもきれいでした。
 
 栃木県から福島県への県境越えの路線バスルートがないので、県境を越えるために長距離を歩かなければならないことは、その後の番組でも観ています。
 また、会津若松へつながるバスが、高速バスであり、わざわざ路線バスでつなぐ必要もないという理由も納得できます。路線バスで会津若松に近づくのはたいへんです。

 途中、山あげ会館というところの展示が充実していました。
 栃木県の那須烏山市(なすからすやまし)というところでした。

(2021年10月に観た時の感想)
太川陽介&えびすよしかず ローカル路線バス乗り継ぎの旅 千葉県館山市から福島県会津若松市 BSテレ東 2014年1月4日放送分の再放送

 地名がなかなかすんなり読めないところです。「八街(やちまた)」「東金(とうがね)」「白子(しらこ)」「安房(あわ)」「大網(おおあみ)」「常陸(ひたち)」など。

 田舎のバス停は、廃業した商店前などにあります。

 映像にあるこのころは、観光気分もあっていい雰囲気です。

 冒頭付近で、太川陽介さんが「年3回この番組のロケがある」というような話をしています。

 途中で出会った女性に「(太川陽介さんに向かって)大好きわたし、あなたっていい人ね。お茶飲む時間があったらごちそうしてあげるわ」と言われて、三人は女性といっしょにお茶を飲んでいます。

 千葉県八街市(やちまたし)にあるピーナッツ(南京豆)の像が印象に残りました。知り合いの顔に似ているからです。

 えびすよしかずさんが、「猪苗代湖(いなわしろこ)」という湖の存在を知りません。福島県にあります。
 太川陽介さんにからかわれて、えびすよしかずさんが喫茶店の店員さんにたずねます。「霞が関を知っていますか?」霞ヶ浦の間違いでした。霞が関は、湖じゃないと太川陽介さんに指摘されて照れるえびすよしかずさんでした。

 体力勝負の仕事です。ひたすら長距離を歩く旅になってしまいました。
 針の穴に糸を通すようなバス路線の選択です。
 ホテルに着くまでの気温が2℃しかありません。
 歩く時間が長いのですが、登山だと、早朝から夕方まで、歩くしか手段はありません。

 乗客の利便性の向上のために高速バスの路線網が発達、充実しています。
 番組の都合で、バス会社に路線バスの路線を求めるのは筋違いです。
 しかたがないのです。

 途中でゴールできる路線バスがなくなりました。
 あきらめるときはいさぎよくあきらめましょう。
 ちはるさん「きつかった」
 目標を達成できずに番組が終わるのはさびしい。

(2021年2月のときの感想メモ)
太川陽介&蛭子能収ローカル路線バス乗継の旅 千葉県館山から福島県会津若松 DVD 2014年の第16弾です。失敗に終わっています。

 ふたりとも若い。えびすさんの笑顔はお肌ツルツルでてかっています。
 ゲストは、ちはるさんです。

 えびすさん語録などとして、
 「きのうホテルで髪を染めた。髪染め禁止って書いてあったけど」
 「(バスのなかでちはるさんに)かわいいけれど……ばかっぽい」
 えびすさんは、朝9時にカツ丼を食べていた。
 「(バスからおりたとき)お金を払おうとしたら先払いだった」
 えびすさんは、途中で立ち寄ったお寺の若くてきれいな奥さんが気になる。
 「(二連敗できないと言いつつ)もう行き当たりばったりだ」
 「ノープロブレム(問題ない)」

 自分としては、小学生の時に茨城県、栃木県に住んでいたことがあるのでなつかしかったです。
 旅路風景の映像をながめながら、日本って小さな島国だなあとか、日本は都市部にいろいろなことが集中しすぎているなあと感じました。
 三人と関わりになる人たちが心優しい。日本人のもつ人情っていいなあ。ありがたい。でも善意を悪用する人がいるから、だんだん日本も居心地が悪くなってきています。
 三人が旅の途中でいただいた干し柿がおいしそうでした。

 映像を見ていると、うまくいかなくて、バスの出発時刻までが長時間あって、どうしてこんな無理な旅のしかたをしているのだろうかという気持ちになります。

(上記の文章を書いたあと、先週用事があって千葉へ行ってきました)
 JR千葉駅できれいなライトアップの灯りを見ることができました。
 番組でも八街市(やちまたし)の美しい照明の光景がありました。
 番組での映像と現在とでは、時代は離れていますが、千葉県内では以前から、ライトアップが流行しているのかもしれません。
























 ここには写真をあげることはできませんが、翌日、クロスポ千葉浜野店という子どもさんと親向けのレジャーセンターへ、親族のちびっこたちと遊びに行きました。
 そこは、2021年7月7日放送『ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 路線バスで鬼ごっこin千葉』でのチェックポイントのひとつでした。その番組を観たときに、いつか訪れたいという希望をもち、それから一年半ぐらいがたって行くことができました。JR内房線浜野駅から歩いて10分ぐらいでした。
 ボールプール、トランポリンやボウリング、カラオケ、アーチェリー、ゲームなどをして一日遊び、ちびっこたちも大満足でした。行けて良かった。(その後、別の日に、ちびっこたちは、ボルダリング(壁登り)やジュラシックアドベンチャーにも行ったそうです)ほかにも卓球とか、サバイバルゲームなどがありました。
 ちなみに当時の番組の出演者は、太川陽介チームが、ハマカーンの浜谷健司さん、サッカー選手だった丸山桂里奈さん、EXILE松本利夫チームが、スギちゃん、横粂勝仁さんでした。