2023年04月14日
君のクイズ 小川哲
君のクイズ 小川哲(おがわ・さとし) 朝日新聞出版
初めて読む作家さんです。
本屋大賞の候補作と帯に書いてあります。(大賞には別の作品が選ばれました)
クイズ番組『Q-1グランプリ』決勝とあります。
三島玲央(みしま・れお。男性)がいて、本庄絆(ほんじょう・きずな)がいる。
本庄絆はクイズ問題が出る前に、クイズの答がわかるそうです。
なぜだろう。
読み始めます。
話は、クイズ番組が生放送されているテレビスタジオの中から始まります。
三島玲央と本庄絆の対決です。
三島玲央(みしま・れお。男子大学生):彼の語りで物語は進行していきます。身長171cm。医療系の出版社勤務。23歳。
桐崎:女性。三島玲央の同棲相手。旅行代理店勤務。23歳
本庄絆(ほんじょう・きずな。男性):クイズの解答がすばらしい。クイズの神さまみたいな存在に思えます。東大医学部四年生。22歳。スター性あり。身長185cm
今回の件(問題が出る前に正答ができた)は、本来、直接、面と向かって、本庄絆に不正の有無を聞くべきですが、物語はそうはいきません。
まあ、大相撲(おおずもう)で言えば審判からの『物言い』がついて、審議すべきことがらです。
本庄一家は、2011年3月11日(東日本大震災の日)、山形県鶴岡市にいた(日本海側にある市)。当時、本庄絆は、中学生だった。
本庄絆は、中学生時代いじめにあって不登校だった時期がある。本庄絆は、いじめに対する復讐の手段として『クイズ』を選んだ。いじめたやつらに、自分が成功した姿を見せつけてやる。
『ママ、クリーニング小野寺よ』(争点となる本庄絆の答です。正解です。でも、問題が読まれる前に答えています。おかしい。不正があったとこの本の読者も思う)
本庄絆はこの正解で、クイズ大会で優勝しました。おかしすぎる。
坂田泰彦(さかた・やすひこ):クイズ番組の総合演出担当者
準決勝出場者として、三島玲央意外に6人がいます。
優勝賞金は1000万円でした。
やってる:やらせ。わたしは「不正」と受け取りました。あとは、自分は、テレビ番組というものは「加工」されていると思いながら見ています。だからだまされちゃいけない。
23ページまで読んで思うことです。
『クイズ』は、娯楽であって、仕事ではない。
不可解なことがあったとしても、実害が大きいとはいえない。
ゆえに読み手としては、事(こと)の重大性に気持ちがのらない。
されど、なにか、しかけがあるようなので、それを知りたい。
推理小説です。
『なぜ、読まれていないクイズ問題の正答がわかったのか』
おもしろい。
(つづく)
テレビ番組製作スタッフはいいかげんなところがあるに違いない。約束をきちんと守らない慣例があるように感じます。やりますといいながら、やるわけないよと腹の中で思っていることもあるでしょう。まあ、テレビに限らず、ほかの世界でもありそうです。釈明会見をやるといいつつ、うやむやになる。まあ、人間というものは信用ならない。
一対一のクイズの勝負の雰囲気は洋画『リアルスチール』のようでもある。戦闘ロボット対戦闘ロボットとの闘いです。
ページ45。ふと、ピンとくるものがある。
この物語には、なにか仕掛け(しかけ)がしてある。
これまでのページの分(ぶん)は、現実ではない可能性がある。
思い過ごしだろうか。(考えすぎでした)
創造力遊びの文脈です。
優秀なクイズプレーヤーは、テレビ局番組制作者にとっては、視聴率をとってスポンサーを喜ばせるための都合のいいロボットです。各自に勇ましい肩書きをつけて、興奮をあおる。
大阪の天保山(てんぽうざん)といえば、そばに水族館の『海遊館(かいゆうかん)』があります。何度か行きました。
abc:大学四年生以下が対象の短文早押しクイズ大会。学生クイズプレーヤーのオリンピック大会のようなもの。
『クイズが生きている……』
東日本大震災と本庄絆のクイズ解答能力の向上がつながっているようです。
三島玲央のクイズ美学:正解を確信してから美しい早押しをする。
クイズで勝利するコツとして:『恥ずかしい』という感情を捨てる。(なにごとにもいえます)クイズで間違えることは恥ずかしいことではない。同様に、若い頃の失敗は、失敗ではない。(歳をとってからの失敗は、とりかえしがつかないということはあります)
人の生き方の教示(きょうじ。教え)があります。
読んでいて『演技』という言葉が頭に浮かびます。
テレビ番組を盛り上げるための演技です。
やらせともいえます。
本庄絆を役者にする。
本庄絆というクイズの英雄がテレビ番組制作者によって創られていく。(つくられていく)本人の実態とは別のキャラクター(個性)が作成される。お金のための広告塔としての役割を果たすようにキャラクターを設定していく。(ありがちな現実です)
さらに、クイズ番組にストーリー性をつくる。物語としての流れをつくる。
(つづく)
クイズ解答者としての『ライバル』という存在があるからこと成り立つ物語です。(事項について考察できる人間がいる)
クイズの問題を答える側の人間と、クイズの問題をつくる側の人間がいます。
本庄絆は、つくる側の人間の思考をもっている。
クイズを解く立場にある人間から見て、どんなクイズ問題でも正解する、正解できるということが前提です。(間違えることはない)
大事なことは、対戦相手よりも早く解答するために、早くボタンを押すことなのです。
野島断層(のじまだんそう):兵庫県淡路島にある活断層。淡路島出身の有名人のことが出ます。阿久悠(あく・ゆう)、上沼恵美子(かみぬま・えみこ)、堀井雄二、渡哲也、渡瀬恒彦。先日、昔の太川&えびすローカルバス乗り継ぎの旅にマドンナとして出演されていた宮地真緒(みやじ・まお)さんも淡路島出身でした。
本庄絆を疑っていた三島玲央が、本所絆を擁護(ようご。かばう)する方向へと変わっていきます。
反発から擁護への変化があります。
背理法(はいりほう):偽(にせ)と仮定して矛盾(むじゅん。理屈が合わない)を導く経過の中で、偽ではないという結論を導く。
良かった表現として『ピンポンという音は、解答者を「君は正しい」と肯定してくれる音でもある』クイズが、僕の人生を肯定してくれる。
『僕は……人間としてはとても未熟だ……』
千葉駅前の交番の話が出ます。
先月旅行の途中で千葉駅に行ったばかりなので縁を感じました。
クイズプレーヤーは、しょせん、クイズ番組制作者の手のひらの上でころがされているのにすぎない。(洗脳されている。いいように利用されている)
緊張感があります。
シンボリルドルフ:なつかしい。競走馬の名前です。この馬が走っていた頃、自分は競馬に熱中していました。競馬で家が建つと錯覚していました。競馬をやり始めた時はもうけましたが、やがて、儲け以上に損をして競馬に関心がなくなりました。
読み終えて、現実が書いてある小説でした。
人間界の(社会の)常識です。
利益を得ようとすると、自然でなくなる。
人類の歴史として『狩猟生活』(やがて傷んでしまう(いたんでしまう)肉をその場で分かち合う)から『農耕生活』(米を備蓄できて、上下関係と貧富の差ができる)を再現したような物語だったと感じました。
初めて読む作家さんです。
本屋大賞の候補作と帯に書いてあります。(大賞には別の作品が選ばれました)
クイズ番組『Q-1グランプリ』決勝とあります。
三島玲央(みしま・れお。男性)がいて、本庄絆(ほんじょう・きずな)がいる。
本庄絆はクイズ問題が出る前に、クイズの答がわかるそうです。
なぜだろう。
読み始めます。
話は、クイズ番組が生放送されているテレビスタジオの中から始まります。
三島玲央と本庄絆の対決です。
三島玲央(みしま・れお。男子大学生):彼の語りで物語は進行していきます。身長171cm。医療系の出版社勤務。23歳。
桐崎:女性。三島玲央の同棲相手。旅行代理店勤務。23歳
本庄絆(ほんじょう・きずな。男性):クイズの解答がすばらしい。クイズの神さまみたいな存在に思えます。東大医学部四年生。22歳。スター性あり。身長185cm
今回の件(問題が出る前に正答ができた)は、本来、直接、面と向かって、本庄絆に不正の有無を聞くべきですが、物語はそうはいきません。
まあ、大相撲(おおずもう)で言えば審判からの『物言い』がついて、審議すべきことがらです。
本庄一家は、2011年3月11日(東日本大震災の日)、山形県鶴岡市にいた(日本海側にある市)。当時、本庄絆は、中学生だった。
本庄絆は、中学生時代いじめにあって不登校だった時期がある。本庄絆は、いじめに対する復讐の手段として『クイズ』を選んだ。いじめたやつらに、自分が成功した姿を見せつけてやる。
『ママ、クリーニング小野寺よ』(争点となる本庄絆の答です。正解です。でも、問題が読まれる前に答えています。おかしい。不正があったとこの本の読者も思う)
本庄絆はこの正解で、クイズ大会で優勝しました。おかしすぎる。
坂田泰彦(さかた・やすひこ):クイズ番組の総合演出担当者
準決勝出場者として、三島玲央意外に6人がいます。
優勝賞金は1000万円でした。
やってる:やらせ。わたしは「不正」と受け取りました。あとは、自分は、テレビ番組というものは「加工」されていると思いながら見ています。だからだまされちゃいけない。
23ページまで読んで思うことです。
『クイズ』は、娯楽であって、仕事ではない。
不可解なことがあったとしても、実害が大きいとはいえない。
ゆえに読み手としては、事(こと)の重大性に気持ちがのらない。
されど、なにか、しかけがあるようなので、それを知りたい。
推理小説です。
『なぜ、読まれていないクイズ問題の正答がわかったのか』
おもしろい。
(つづく)
テレビ番組製作スタッフはいいかげんなところがあるに違いない。約束をきちんと守らない慣例があるように感じます。やりますといいながら、やるわけないよと腹の中で思っていることもあるでしょう。まあ、テレビに限らず、ほかの世界でもありそうです。釈明会見をやるといいつつ、うやむやになる。まあ、人間というものは信用ならない。
一対一のクイズの勝負の雰囲気は洋画『リアルスチール』のようでもある。戦闘ロボット対戦闘ロボットとの闘いです。
ページ45。ふと、ピンとくるものがある。
この物語には、なにか仕掛け(しかけ)がしてある。
これまでのページの分(ぶん)は、現実ではない可能性がある。
思い過ごしだろうか。(考えすぎでした)
創造力遊びの文脈です。
優秀なクイズプレーヤーは、テレビ局番組制作者にとっては、視聴率をとってスポンサーを喜ばせるための都合のいいロボットです。各自に勇ましい肩書きをつけて、興奮をあおる。
大阪の天保山(てんぽうざん)といえば、そばに水族館の『海遊館(かいゆうかん)』があります。何度か行きました。
abc:大学四年生以下が対象の短文早押しクイズ大会。学生クイズプレーヤーのオリンピック大会のようなもの。
『クイズが生きている……』
東日本大震災と本庄絆のクイズ解答能力の向上がつながっているようです。
三島玲央のクイズ美学:正解を確信してから美しい早押しをする。
クイズで勝利するコツとして:『恥ずかしい』という感情を捨てる。(なにごとにもいえます)クイズで間違えることは恥ずかしいことではない。同様に、若い頃の失敗は、失敗ではない。(歳をとってからの失敗は、とりかえしがつかないということはあります)
人の生き方の教示(きょうじ。教え)があります。
読んでいて『演技』という言葉が頭に浮かびます。
テレビ番組を盛り上げるための演技です。
やらせともいえます。
本庄絆を役者にする。
本庄絆というクイズの英雄がテレビ番組制作者によって創られていく。(つくられていく)本人の実態とは別のキャラクター(個性)が作成される。お金のための広告塔としての役割を果たすようにキャラクターを設定していく。(ありがちな現実です)
さらに、クイズ番組にストーリー性をつくる。物語としての流れをつくる。
(つづく)
クイズ解答者としての『ライバル』という存在があるからこと成り立つ物語です。(事項について考察できる人間がいる)
クイズの問題を答える側の人間と、クイズの問題をつくる側の人間がいます。
本庄絆は、つくる側の人間の思考をもっている。
クイズを解く立場にある人間から見て、どんなクイズ問題でも正解する、正解できるということが前提です。(間違えることはない)
大事なことは、対戦相手よりも早く解答するために、早くボタンを押すことなのです。
野島断層(のじまだんそう):兵庫県淡路島にある活断層。淡路島出身の有名人のことが出ます。阿久悠(あく・ゆう)、上沼恵美子(かみぬま・えみこ)、堀井雄二、渡哲也、渡瀬恒彦。先日、昔の太川&えびすローカルバス乗り継ぎの旅にマドンナとして出演されていた宮地真緒(みやじ・まお)さんも淡路島出身でした。
本庄絆を疑っていた三島玲央が、本所絆を擁護(ようご。かばう)する方向へと変わっていきます。
反発から擁護への変化があります。
背理法(はいりほう):偽(にせ)と仮定して矛盾(むじゅん。理屈が合わない)を導く経過の中で、偽ではないという結論を導く。
良かった表現として『ピンポンという音は、解答者を「君は正しい」と肯定してくれる音でもある』クイズが、僕の人生を肯定してくれる。
『僕は……人間としてはとても未熟だ……』
千葉駅前の交番の話が出ます。
先月旅行の途中で千葉駅に行ったばかりなので縁を感じました。
クイズプレーヤーは、しょせん、クイズ番組制作者の手のひらの上でころがされているのにすぎない。(洗脳されている。いいように利用されている)
緊張感があります。
シンボリルドルフ:なつかしい。競走馬の名前です。この馬が走っていた頃、自分は競馬に熱中していました。競馬で家が建つと錯覚していました。競馬をやり始めた時はもうけましたが、やがて、儲け以上に損をして競馬に関心がなくなりました。
読み終えて、現実が書いてある小説でした。
人間界の(社会の)常識です。
利益を得ようとすると、自然でなくなる。
人類の歴史として『狩猟生活』(やがて傷んでしまう(いたんでしまう)肉をその場で分かち合う)から『農耕生活』(米を備蓄できて、上下関係と貧富の差ができる)を再現したような物語だったと感じました。