2019年04月12日

東野・岡村の旅猿 高知・四万十川の旅 DVD

東野・岡村の旅猿 高知・四万十川の旅 DVD 2017年 平成29年7月

 四万十川(しまんとがわ)は、19歳のときに見たことがあります。ゆえに、現地の風景の記憶が残っています。映像に映った川は、昔と変わりありません。豊かな水量です。
 ゲストは、満島ひかりさんです。しじみに関する映画を観たことがあります。川の底がなんとかというタイトルでした。自然で不思議な演技の魅力がある女優さんだという印象が残っています。
 DVDの内容は、満島ひかりさんのインタビュー番組になってしまっています。駅のホーム、電車内、車内、船の上、飲食店、宿と、三人のおしゃべりが続きます。
 いろりで食事、釜戸で薪で炊くご飯、部屋には、お面や甲冑(かっちゅう。武士のよろい)が飾られている。日本の歴史を感じる地域です。
 うなぎの食事の後の駐車場でのゾンビ事件が楽しかった。岡村さんは現地のおばちゃんたちに囲まれていきなりキスされていました。笑いました。そういうファンに支えられているという東野さんのひとことも良かった。  

2019年04月11日

宝島 真藤順丈

宝島 真藤順丈(しんどう・じゅんじょう) 講談社

 30年度下半期直木賞受賞作です。沖縄が舞台です。コザ市(現在沖縄市)。嘉手納空軍基地(キャンプカデナ)。那覇、金武(きん)、浦添、名護、普天間。行為は、戦果アギャー(米軍基地からの物資略奪)
 第一部が、1952年(昭和27年)-1954年(昭和29年)
 第二部が、1958年(昭和33年)-1963年(昭和38年)
 第三部が、1965年(昭和40年)-1972年(昭和47年)です。
 登場人物が、
 オンちゃん(アメリカ合衆国に勝った英雄、豪傑)20歳からスタート
 グスク:オンちゃんの親友。19歳からスタート。アメリカ子飼いの諜報員警官となる。
 レイ:オンちゃんの弟。17歳からスタート
 ヤマコ:女子。本名はマヤ子。オンちゃんとカップル。171cm。手足が長い。髪も長い。
 助っ人メンバーなどとして、那覇のサブロー、フク勝(まさ。英語がぺらぺら)、普天間のシンザ、浦添のキンジョー。ほかに、テルアキと謝花ジョー(じゃはなじょー)、ヨギ
 沖縄言葉などとして、
 クージー(さとうきび畑)、イユ(魚)、美ら(ちゅら)、戦果(米軍基地から盗んできた物)、イイドゥシ(親友)、ウットゥ(弟)、ヤッチー(兄)、フィーフィー(口笛)、火の箭(や)(矢)、ヌチ・ヌー・スージ(命びろいの宴会)、梳られる(くしけずられる。櫛で髪をとかして整える)、戦果アギャー(アメリカ統治下時代の沖縄での略奪行為)、チブル(頭かしら)、ヌスル(泥棒)、スー(おやじ)、アンマー(おふくろ)、スー(お父さん)、ヤマト(日本)、ヤマトンチュ(日本人)、シマ(故郷)、ミーングワ(お嬢ちゃん)、ハーメー(後家さん)、アシバー(ごろつき)、グマヌスル(ケチな泥棒)、ウチナー(沖縄)、ウチンチュ(沖縄人)、ユンター(語り部)、ウムヤー(恋人)、ウータイ(精霊送り)、エイサー(沖縄でお盆に踊られる伝統芸能)、ヤッチー(兄貴)、チュー・サン・ソー(たくましい肝っ玉)、PX(売店)、ダンパチ(散髪)、ジーグイ(いちゃもん)、シカー(腰抜け)、イーシャーアシヒャー(罵倒合戦)、イイドゥシ(親友)、ウットゥ(実弟)、イッチン・ヌ・グー(最高の相棒)、カラハーイ(羅針盤)、イリチー(炒りつけ)、クワッチー(ごちそう)、ヒージャー・ヌ・クス(山羊の糞)、タークトゥ(寝言)、シーサー(獅子像)、業腹(ごうはら。非常に腹が立つ)、MP(憲兵)、フラー(まぬけ)、クワッチー(おすすめ料理)、ウタキ(信仰施設)、ナチグィー(嗚咽おえつ)、アビグィー(悲鳴)、アカングワ(赤んぼう)、カチャーシー(沖縄地方の早いテンポの即興的な踊り)、フュークサラー(ものぐさ男)、スージ(宴)、ユヌ(夜ぬ)、ウガン(祈願)、ガマ(洞窟)、涵養(水が染み込むようにゆっくりと育てる)、フェーレー(追いはぎ)、レーション(お弁当)、ムヌクーヤ(浮浪児)、ガンジュー(元気)、カフー(幸運)、キャンプ嘉手納襲撃事件(嘉手納アギャー)、イングワ(野良犬)、チジャハージャー(つぎはぎだらけ)、ムヌクーヤー(浮浪児)、マチャグワー(雑貨屋)、カサギンチュ(妊婦)、ユクサー(嘘つき)、ジラ(面つら)、ウフソー(すっとこどっこい)、ムンヌキムン(魔よけのお守り)、ムヌマイー(行方不明)、アナヤー(掘っ立て小屋)、クブら(密貿易団)、ユイマール(助け合いの輪)、ミミガー(みみたぶ)、オーエー(取っ組み合い)、チンベール(あかんべえ)、キーマー(けむくじゃら)ウシショー(教師)、オーエー(喧嘩)、テーソー(牢名主)、ヌスル・ワジャ(泥棒稼業)、アシバー(ごろつき)、ジンブナー(知恵者)、ヤマイン(野良犬)、シーバイ(小便)、フラー(馬鹿)、シタイヒャー(ざまあみろ)、ウムカジ(面影)、ヌジュミ(本書中では店名として。希望)、フリムン(変態)、ボーチラー(きかんぼう)、ハゴームン(下衆な男)、ウムヤー(恋人)、Aサインの営業許可(米軍公認の飲食店・風俗店)、ニーワチャレー(面倒事)、ハゴームン(卑怯者)、ウフソー(まぬけ)、ナーイル(クズ男)、ヤフヮラー(繊細)、ヤナムシ(悪い男)、シワ(心配)、アシバー(ごろつき)、ユクサー(嘘つき)、あまりにもたくさんの沖縄言葉なので、77ページ以降は大部分を省略します。文章に独特のリズムがあり、それは、沖縄民舞のリズムです。金科玉条(きんかぎょくじょう。よりどころとする決め事。法律、規則)、かしまさんど(うるさい、わずらわしい)、ハイサイ(こんにちは)、託宜(たくせん。神のお告げ)、なんくるないさ(なんとかなるさ)、烏有に帰す(うゆうにきす。すっかりなくなる。火災で焼ける)、CP(シビリアンポリス。沖縄民警察)、おためごかし(相手のためとみせかけて、実は自分のため)、私淑(ししゅく。密かにその人を尊敬し模範として真似ること)、密貿易団クブラ、ボゼ(仮面神。鹿児島トカラ列島悪石島あくせきじま)、エケリ(兄)、オナリ(妹)、炯々(けいけい。目が鋭く光さま)、あきさみょう(びっくりしたときの感嘆の発声)、正鵠(せいこく。的(まと)の中心にある点)

 どうも、オンちゃんの弟レイは収監されるようです。窃盗罪、不法侵入罪、3年から4年。オンちゃんは行方不明です。略奪集団はやがて暴力団になっていくようです。

 気に入った表現として、「亜熱帯の夜」、「調査不足」

(つづく)

 沖縄の人たちがこの本を読んだらどんな感想をもつのだろう。人間はこんなふうにモノを考えるとは思えません。<略奪を可とする。是とする。良しとする。あるいは、しかたがなかった行為とする>
 オンちゃん20歳が略奪行為の最中にアメリカ兵に追いかけられて行方不明になっています。オンちゃんの弟レイが必死になって兄を探します。

 第二部は、1958年、昭和33年から1963年、昭和38年までです。
 物語は意外な展開を見せます。驚くべきことに、戦果アギャー(米軍基地からの物資略奪メンバー)だったグスク(オンちゃんの親友)25歳が、琉球警察(本土の警察とは違う組織)の刑事職に就いています。沖縄の特殊性とあります。
 沖縄の特殊で深刻な米軍海兵隊犯罪問題があります。沖縄はまるで米国の植民地です。沖縄の悲しみがあります。暗い雰囲気が続きます。
 記述が虚構からのスタートだとしたらすごい想像力です。
 
 オンちゃんという人物は亡くなっているのだろうか。
 
 米軍の飛行機が小学校校舎に墜落します。(現実にあったのだろうか?)調べました。ありました。初めて知りました。ショックです。本土人と沖縄人の米軍に対する意識には違いがあります。
 
 取材に労力を尽くしたことがわかる内容です。
 登場人物はニックネームで表記してあります。本名は出しません。
 「沖縄祖国復帰協議会」、「本土復帰運動」、「オンちゃんはもういない」、「本当に目の敵にしなければならないのはアメリカよりも日本人(本土の人間)」、「(沖縄返還時)沖縄が日本になっても基地はなくならない」
 ただ、先日読んだ別の本では、終戦間近のとき、日本は、沖縄を見捨ててはいないと記されてありました。

 沖縄の戦後歴史書を読むようです。暗殺計画、第二室戸台風、縄張り争い。ベトナム戦争、ページは、第三部「センカアギヤーの帰還(米軍基地物資略奪団の帰還)」へと移ります。
 英雄とあがめたてられるオンちゃんの消息です。

 読み終えました。あいにく、自分には合わない物語でした。自分に伝わって来るものがないのは、共感する共通体験がないせいなのでしょう。物語は、長かった。文章は読みにくかった。疲れました。  

Posted by 熊太郎 at 11:40Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2019年04月10日

学校へ行けない僕と9人の先生 棚園正一

学校へ行けない僕と9人の先生 棚園正一 双葉社

 新聞記事を読んだことがきっかけで、この本を読み始めました。登校拒否だった方の描いた漫画です。今は成人して漫画家です。
 だれしも一度は学校に行きたくないと思うことがあるのでしょう。作者は、教師の暴力が原因で登校拒否が始まっています。昔から教師の体罰は確かにありました。子どもは指示に従わないからイライラがつのるのでしょう。
 物語は7歳の棚橋正知少年から始まります。
 いい先生もいたし、そうでない先生もいた。
 「くろいオジサン」という幻視の人物が登場します。登校拒否の言い訳にするわけですが、くろいオジサンの存在が彼の命を守ったと思いたい。
 彼の対応をするおとなたちがどんどん変わっていきます。じっくり長くということがありません。
 言いたいことはあるけれど、はっきり言えない子どもになっている状況です。暴力をふるった女性教師とはもう会いたくない。会いたくないのに会わせようとする。おとなの都合でしょう。
 少年は依存心が強くなります。(ひとりでいいじゃないか)とは思えません。だれかになにかをしてほしい。自分のことしか出てきません。親御さん、とくに母親の苦しい気持ちが伝わってきます。
 少年は、「平等」を求めています。「特別扱い」を拒否しています。
 いい人ほど早逝なときがあります。
 出てくる場所が身近なので意外です。
 小学2年生で、人間不信になってしまいました。
 3人のいじめっこが出てきます。その3人はいまごろいいポジションにいるのだろうか。
 あのとき言えなかったことを今漫画で表現しています。
 いろいろ本人は気にしているのですが、小学校2年生では、彼の回りにいる子どもたちは彼のことを何とも思っていないでしょう。集団は、ただ毎日、食べて、寝て、遊んで、学ぶだけです。
 本人は教師の体罰を否定しつつも相手によっては容認しています。
 特別扱いを嫌うところからは、自分は悪くない。周りが悪いという言い逃れを感じます。めんどくさい人と評価されて終わってしまいます。だれかのために何かをしてあげようと思わないと自分が苦しい。
 少年は、自分より下に見えるから友達付き合いができるということに気づきます。
 好きな「絵を描くこと」を封印して勉強するものではありません。
 経済的には裕福な家庭の子どもさんに見えます。
 私立中学を目指します。
 「子どもが学校に行かないのは親の責任」親にとってはきつい言葉です。
 標準化を目指す。普通を目指す。だけど、できない子どもがいます。
 9年間は長い。
 結局、普通でなくていいという到達点に達する。
 学校へは行かないよりも行った方が便利。だって、学校のことを素材にして漫画を描けるから。
 生まれてきて良かったと思う瞬間として思い浮かぶのは、「おいしいものを食べたとき」
 集団生活ができない人はいるし、けっこう、案外、多い。
 登校拒否児を励ます漫画です。
 人生の最初にひきこもる人に注目が集まりますが、人生の途中でひきこもる人もいます。働かなくても食べて行ける環境にある人は働けなくなります。だれかがだれかに生き方を強制することは不可能です。だれしも自分で考えて行動します。  

Posted by 熊太郎 at 06:13Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2019年04月09日

ひと 小野寺史宜

ひと 小野寺史宜(おのでら・ふみのり)

 2019年本屋大賞ノミネート作です。
 たくさん出てくる登場人物に関する履歴書のような文脈が続きます。
 軽いテンポで進行していきます。
 主人公は柏木聖輔20歳。両親が死去しています。お金がありません。総菜屋で修行をしながら調理師免許の取得を目指します。
 柏木聖輔のひとり語り、一人称です。明るい未来が見えてきません。親戚が、お金をたかってきます。
 名字が変わることが多い。

(つづく)

 両親を事故死と病死で亡くした孤独な20歳の青年が自分のルーツを求めて、東京で親が働いていた場所を探索します。自分と同年齢ぐらいのときに親が何をしていたのかを知りたい。自分は今、父親と同じ調理師になりたい。主人公は未来のある若い人です。
 しみじみとした文章が続きます。彼をとりまくおとなたちは、冷たくもなく、普通に親切です。
 主人公の彼女の元カレとして書かれる人物には、人間の嫌な面がくっつけられています。優先席に座って、目の前に立った高齢者に『座りたいですか』とたずねます。人に嫌な思いをさせることを何とも思いません。そこに、この作品を読み解くヒントがあるような気がします。
 「市営住宅、2DKの県営住宅、母子家庭」 だれもが広い家に住めるわけではありません。
 「エバーグリーン・バンブー」 曲ですが知りません。
 登場する地名、線路名が、年に何回か訪れる場所なので、連想しやすい。
 
(つづく)

 亡父は、飛び出してきた猫を避けようとして車のハンドルを切ったら自損事故死してしまった。生き続けるのには「運」が必要です。どうしたら「運」を継続できるのか。プラスマイナス0の行動を心がける。
 音楽がからんできます。若い人と音楽との距離は近い。
 逃亡先をふちっこの北海道か沖縄にされると、北海道や沖縄に住んでいる人は複雑な気持ちです。
 「時間はあるようでない。40年なんてすぐに経っちゃう」は、同感です。だから、途中で死んじゃうことのないように心がけます。りきみのないいい作品でした。  

Posted by 熊太郎 at 05:39Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2019年04月08日

旅猿 ニュージーランド・キャンプの旅DVD

東野・岡村の旅猿 ニュージーランド・キャンプの旅DVD 2017年 平成29年4月

 ニュージーランド郊外は田舎なのか、最初のうちは人がいません。いてもふたりから逃げていきます。DVD2枚目のキャンプ場風景になって、ようやく現地の人との交流があります。触れあってみれば優しい人たちです。相手も旅行者さんたちですが、人間があったかい。
 番組内容は、現地の環境が整っているので、あまり山も谷もありません。あいにくの雨もあって、どちらかといえば、出演者のふたりよりもスタッフのほうが苦労しています。
 ニジマスは安易に釣れます。ジェットボートは迫力がありました。雨なので、テントをやめてコテージで過ごします。キャンプがテーマなのに拍子抜けです。
 バーベキューはおいしそう。ワインもおいしそう。東野さんは嬉しそう。大喜びで、おしゃべりです。
 ニュージーランドらしいといえば、ニュージーランドらしい。
 調べたことなどとして、「フラッペ:かきごおり」  

2019年04月07日

旅猿「信州・アイスクライミング」「藤沢・馬術部応援」

東野・岡村の旅猿 シーズン10スペシャルお買得版DVD

「信州・アイスクライミングの旅」 2017年 平成29年3月
 ジミー大西さん新年会無理やり参加で迷惑をこうむったTKO木下さんを慰労する目的の旅になっていますが内容は逆です。木下さんにとっては過酷な旅になりました。
 巨体で垂直の氷壁にピッケルとアイゼンで登る。
 靴のサイズが28.5cmなのに28.0cmしか用意されていなかった。観ていて、何度もやめたほうがいいと思いましたが、木下さんは、意地で氷壁の最上部まで達しました。たいしたものです。
 クライミングが終わったあとのホテル映像では、きれいな夜景が見ごたえがありました。

「藤沢・馬術部応援の旅」
 平穏無事で安定した旅です。
 さきほどのアイスクライミングも今回の乗馬も東野さん、岡村さんの運動能力の高さが光ります。
 オリンピックに向けての日本大学乗馬部の応援です。
 昨年は同大別の部でトラブルがありましたが、大きな組織になると、一部の人がやったことで、全体のイメージがダウンしがちです。平衡感覚をきちんと保つ平常心は失いたくありません。