2019年04月09日

ひと 小野寺史宜

ひと 小野寺史宜(おのでら・ふみのり)

 2019年本屋大賞ノミネート作です。
 たくさん出てくる登場人物に関する履歴書のような文脈が続きます。
 軽いテンポで進行していきます。
 主人公は柏木聖輔20歳。両親が死去しています。お金がありません。総菜屋で修行をしながら調理師免許の取得を目指します。
 柏木聖輔のひとり語り、一人称です。明るい未来が見えてきません。親戚が、お金をたかってきます。
 名字が変わることが多い。

(つづく)

 両親を事故死と病死で亡くした孤独な20歳の青年が自分のルーツを求めて、東京で親が働いていた場所を探索します。自分と同年齢ぐらいのときに親が何をしていたのかを知りたい。自分は今、父親と同じ調理師になりたい。主人公は未来のある若い人です。
 しみじみとした文章が続きます。彼をとりまくおとなたちは、冷たくもなく、普通に親切です。
 主人公の彼女の元カレとして書かれる人物には、人間の嫌な面がくっつけられています。優先席に座って、目の前に立った高齢者に『座りたいですか』とたずねます。人に嫌な思いをさせることを何とも思いません。そこに、この作品を読み解くヒントがあるような気がします。
 「市営住宅、2DKの県営住宅、母子家庭」 だれもが広い家に住めるわけではありません。
 「エバーグリーン・バンブー」 曲ですが知りません。
 登場する地名、線路名が、年に何回か訪れる場所なので、連想しやすい。
 
(つづく)

 亡父は、飛び出してきた猫を避けようとして車のハンドルを切ったら自損事故死してしまった。生き続けるのには「運」が必要です。どうしたら「運」を継続できるのか。プラスマイナス0の行動を心がける。
 音楽がからんできます。若い人と音楽との距離は近い。
 逃亡先をふちっこの北海道か沖縄にされると、北海道や沖縄に住んでいる人は複雑な気持ちです。
 「時間はあるようでない。40年なんてすぐに経っちゃう」は、同感です。だから、途中で死んじゃうことのないように心がけます。りきみのないいい作品でした。


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