2024年01月16日
地図と拳(ちずとこぶし) 小川哲(おがわ・さとし)
地図と拳(ちずとこぶし) 小川哲(おがわ・さとし) 集英社
かなり分厚い本です。小説部分は、625ページあります。評判良く、評価が高い小説です。満州(まんしゅう)のことが書いてあるらしい。満州:中国東北部の旧称。1932年(昭和7年)日本が介在して建国。1945年(昭和20年終戦)まで存在した。
2023年10月22日日曜日から読み始めます。読み終えるまでに時間がかかりそうです。(翌年1月8日月曜日に読み終えました。少しずつ読み進めました)
THE MAP AND THE FIST 地図と拳 英語のタイトルが表示されています。
序章があった、第十七章、そして終章までです。
時代は、1899年夏(明治32年)から始まって、1955年春(昭和30年)までです。
日露戦争が、1904年(明治37年)。18か月続いた。
『序章』の部分を読み終えました。
読み手たちの興味を惹くように(ひくように)、ずるい仕掛けがしてあると感じましたが、小説ですからそれはそれでいい。
松花江(スンガリー):河川の名称。アムール川の最大の支流
ロシア兵が出てきます。
高木:両親は薩摩出身。亡父は西南戦争で没した。形見は小刀。仕事は、間諜(かんちょう。スパイ)。参謀本部からの特別任務を受けている。お茶の販売目的で満州地域に入る。(鹿児島はお茶の名所なのでお茶なのだろうと推測します)。役職は、「大尉」
細川:21歳大学生。中国語とロシア語の通訳。高木に雇われている。亡母が薩摩出身。顔色が悪い。腕は細い。丸眼鏡。体力に乏しい。胆力がない。(度胸)。父親は貿易商をしている。
苦力(クーリー):アジア系の移民(中国・インド)。出稼ぎ労働者。下層階級
作物が育つ土・燃えない土・燃える土:燃える土は石炭を含んでいる。
王(ワン):中国人。山西省出身(北京の西)。現在は、奉天(ほうてん)の東にある李家鎮村(リージャジェン村)に住んでいる。東北(トンペイ)に移住した。
船の目的地は、『ハルビン』
死の符牒(ふちょう):隠語、記号、合言葉(あいことば)
長衫(チャンシャン):中国の女性の衣装
『第一章 千九百一年、冬 (明治34年)』
奉天義和団の馬宇霆(マーユウテイン)。奉天義和団:宗教的秘密結社。白蓮教(びゃくれんきょう)。外国勢力に対抗した中国の団体。
李大網(リーダーガン):李老師の表記もあり。李家鎮(リージャジエン)の王様。元役人。集落の主
神拳会(しんきょかい):農民中心の自衛組織。拳法を使う。
賈二昆(クーアールクン):人物名。神拳会の師範
タイトルの意味はなんだろう。『地図と拳』。日露戦争(1904年 明治37年開戦)から第二次世界大戦(1945年 昭和20年終戦)までの50年間を描く。国家と武力だろうか。まだわかりません。
洋鬼子(ヤンクイズ):西洋人
二毛子(アルマオズ):西洋かぶれの中国人。キリスト教徒、西洋人から雇われた人間、西洋人と中国人のハーフ
魔尼教(まにきょう):ペルシャ起源の宗教
鬼子:鬼のような人間ということだろうか。ロシア鬼子とあります。〇〇人ということのようです。日本鬼子(リーベンクイヅ)、ドイツ鬼子、フランス鬼子、イギリス鬼子、ロシア鬼子とあります。
(中国の人たちがロシアと戦おうとしています。キリスト教との闘いでもあります。この当時のキリスト教の伝道師の真の目的は、領土を奪うことではなかったのか)
凶星(ションシン):星占い。悪い影響を与える天体
禍々しい(まがまがしい):不愉快で、癪に触って(しゃくにさわって)、我慢できない。
(読んでいると、この当時から、中国は欧米やロシアに土地を侵略されていたことがわかります。国土を守るのもたいへんです)
白乾児酒(バイカンアルジュウ):コーリャンを原料とした蒸留酒
桃源郷(とうげんきょう):理想郷
娘娘廟(ニャンニャンミャオ):道教の女神を祭る社(やしろ。建物)
イヴァン・ミハイロヴィッチ・クラスニコフ:ロシア人宣教師。もともとは測量士。父親は地図職人。地図職人の前は画家だった。父が描いた若い頃の母親の肖像画のタイトルが、『冬の森』。母は、クラスニコフ宣教師が6歳のときに肺炎で亡くなった。兄弟姉妹はいない。実家は、モスクワ郊外にある集合住宅の二階。16歳から寄宿舎で生活した。それまでは、父と一緒のベッドで寝ていた。暗闇が怖かった。(こわかった)。書中では、がんこな宗教者の態度があります。儀式にこだわる。
劉神父:登場して間もなく殺された。
林銘伝(リンミンチユエン):中国人通訳(ロシア語)。ハルビンで奴隷売買をしていた。中国人をロシア人に売っていた。阿片(アヘン)を吸い遊女を買っていた。
匪賊(ひぞく):盗賊。徒党を組んで、略罰や殺人行為を行う集団
拳匪(けんぴ):義和団の異名。拳、棒術で暴力を振るう集団
鶏冠山(ジークアンシャン):中国大連市の北東。日露戦争の重要な戦場だった。
皇帝ニコライ二世
財務省ウイッテ大臣
参謀本部 アントネンコ大尉 白ヒゲの男
ケルベズ四等文官
極東軍 マドリトーフ少佐
この物語は、イヴァン・ミハイロヴィッチ・クラスニコフ宣教師を軸にして進行していくようです。
彼は5年前、1896年(日本だと明治29年)に満州のことを聞いた。ロシアが、測量をして地図をつくりに行く。(いずれ支配するために)満州にロシアからシベリア鉄道を敷く。地図が都市を生む。測量隊の一員として、イヴァン・ミハイロヴィッチ・クラスニコフ宣教師も参加することになった。
満州の人間は、『地図』というものを理解できなかった。
満州の人間は、世界も神も知らなかった。針の穴から家の天井をのぞくぐらいの視界しかなかった。
イヴァン・ミハイロヴィッチ・クラスニコフ宣教師は、1898年の暮れ(明治31年)満州を訪れた。
羅宋帽(ルオソンマロ):ボルシチ帽(帽子ぼうし)。ロシアから中国に伝わった。ラクダの毛を二重にしてできている。ひさしはない。
馬掛(マークア):中国の清の時代に男性が着用した服。腰までの丈(たけ)、長袖が少し短い。前をヒモで組まれたボタンで留める。
孟(もん):林銘伝(リンミンチユエン。通訳)の親戚。妻はロシア系キリスト教の信徒。孟も通訳
龍擡頭(ロンタイトウ):龍が目覚める日のこと。(旧暦2月2日。2023年は、3月11日月曜日だった)
イヴァン・ミハイロヴィッチ・クラスニコフ宣教師を捕らえた中国人の若者が死んでいると思っていたら息があった。
イヴァン・ミハイロヴィッチ・クラスニコフ宣教師は、通訳の林(リン)がやめるように強く説得したのにもかかわらず、自分たちを拘束して敵に引き渡そうとしたその中国人の若者を助けます。(宗教が下地になって、加害者である人間を許そうとなるのですが、読み手の自分は拒否的な心理になります。ありえません。被害者は命を奪おうとした加害者を絶対許しません。設定がおかしい。あるいは宗教の教えが矛盾(むじゅん。食い違い。理屈に合わない)しています)
『……、これは自分と神との問題だ。』という言葉があります。意味をとれません。そもそも神はいません。(もうこの先読んでもしかたがない。読書をやめうようか……)まだ60ページすぎあたりです。クラスニコフ宣教師と通訳の林は、再びその若い男に拘束されてしまいます。(その後、事態は変化します。男は、クラスニコフ宣教師たちをロシア軍に引き渡したい。李大網(リーダーガン)がふたりを助けたいそうです。
告解(こっかい):カトリック教会。神の許しを得る儀式
楊亮康(ヤンリンコン):クラスニコフ宣教師をかつて殴ろうとした男。昔は青島口(チンタオ)で商船の船長をしていたが、海賊がらみで仕事をやめて中国東北部へ生活を移した。そこが、李家鎮(リージャジェン)だった。
楊日綱(ヤンリーガン):楊亮康(ヤンリンコン)の息子。ロシア人に投げかけた言葉として、『自分たちだけが正しいと思わないでください』
情報が混乱していて、何を信じたらいいのかわからない状態です。
『第二章 千九百一年、冬 (明治34年)』
青島口:チンタオ
海賊の被害が出た。役人は無実の者を海賊だとして捕まえて朝廷に報告していた。
楊亮康(ヤンリンコン)は人にだまされます。人にだまされて不幸に落とされるところから、たいてい、物語は始まります。
焰星(イエンシン):こちらの物語では、『国家』のこと。日清戦争で中国が負けた記事があります。(1894年(明治27年))
夷狄(いてき):外国人
ロシア人は、『神』を正義だとし、『拳』を悪として、中国の広い大地を奪おうとしている。
劉春光(ウチェングアン):滄州(そうしゅう。都市名。天津市(てんしんし)の南。)出身の形意拳の使い手
白蓮教(びゃくれんきょう):中国、浄土信仰の一派
神拳会(シェンチユエン):李大網(リーダーガン)が名付けた武術
なんだか、少年マンガのシーンのようになってきました。拳法(けんぽう。拳(こぶし))で相手に勝つ。拳には魂や霊気が備わっていて、強力な破壊ができる波動のような動きがあるというものです。
「硬気功(鋼の精神(はがねのせいしん))」「金房子罩(金属の房子を罩った(かぶった))」「熱力(金属のこと。さらに外国人のこと)」「土木反転(土は東北の民、木が「清朝(国家)、金属(外国人。銃)によって、土が押しつぶされている」)」「排刀一の芸(戦争のこと)」
銃に対して、鉄の拳で対抗するというように読み取れます。
孫悟空(ソンウーコン):楊日綱(ヤンリーガン)は自分に孫悟空という神が乗り移ったと悟りました。馬賊の頭(かしら)になって、名は、孫行者(ソンシンジヨオ)となります。
『第三章 千九百一年(明治34年)、冬』
田(テイエン):支那人の役人
義和団の反乱:1900年(明治33年)-1901年(明治34年)。清朝末期の動乱(どうらん。世の中が乱れる)。外国人キリスト教宣教師と地元地域の人間が対立した。土地を巡る争いがあった。清軍と義和団は欧米列国と戦争になり清国が負けた。
高粱(コーリャン):イネ科の一年草。背の高いモロコシ
寛城子(クワンチヨンツ):長春市
コサック騎兵:ウクライナやロシアに存在していた軍事共同体
洋人(ヤンレン):西洋人。欧米人
周天佑(チョウテイエンヨウ):謎の登場人物。老害化した父親を事故死のように死なせた。
吝嗇(りんしょく):ケチ
科挙(かきょ):官僚登用試験。公務員試験
洪秀全(ホンシユウチユエン):清代の宗教家。革命家
小米(シヤオミー):もみがらを取り除く処理の途中で、砕けて粉のようになった米
老許(ラオシユウ):年寄りということか。
遼陽:中国遼寧省に位置する都市
説話人(シユウホワレン):物語を語る芸人
大足女:ていそく纏足(足を小さく見せる処理)をしていない女性
小褂子(シヤオクワツ):中国服。上着
熱力(ルオリー):本質。熱は命。人間は熱。熱がなくなったときが人間の死。熱をつくるのが、食糧と石炭。内側から発生する熱と外側で発生する熱
八卦の理(はっけのことわり):中国伝来の占い。八種類の形。理は、物事の道筋
ロシアの宣撫工作員(せんぶこうさくいん):被占領地の住民が従うよう、住民への援助を行う仕事を担当する。
大俄国木材公司司総管(ターウーグオムーツアイゴンスーツオングアン):ヤンリーガン楊日網の役職
『第四章 千九百五年(明治38年)、冬』
日露戦争の真っ最中です。
沙河(シヤーホー):川の名称。ロシア陸軍と日本陸軍の戦場
卜者:ぼくしゃ。占いをする人
城廠:読みは、「じょうしょう」でいいと思います。意味は、屋根だけの建物で、戦地の砦(とりで)だろうと思います。
谷津(やず):日本軍司令部の人間
旅順が陥落した。(ロシアが負けた)
于洪屯(ユウホントウン):中国遼寧省瀋陽市西部の地名
円匙(えんぴ):小型のシャベル
従卒(じゅうそつ):将校の身の回りの世話をする兵員。この本では、「間島隊員」
兵卒(へいそつ):最下級の軍人。この本では、「矢部隊員」
伏線の『軍刀』が出てきます。高木大尉にとっての西南戦争で死んだ父親の形見です。高木大尉が満州に来て6年が経過しています。
兵站(へいたん):物資の補給・輸送担当。この本では、「兵站司令官福田(のちに大尉)」
日露戦争における戦場での激しい殺人描写があります。
主人公だと思っていた人物が絶命してしまいました。
この物語は、群像劇なのだろうか。
時代の流れの中で、悲しくも消えていった人たちの姿を浮かび上がらせるという手法だろうか。
(つづく)
以夷制夷(いいせいい):外国を利用して、自国のために他国をおさえる。
梁山泊(りょうざんぱく):豪傑や野心家が集まる場所のたとえ。山東省に会った沼地の地名。盗賊や反乱軍の本拠地だった。「水滸伝(すいこでん。シエイシユウチユエン)」の主人公たちが立てこもった場所
靉陽辺門(あいようへんもん):日露戦争の戦地。中国遼寧省瀋陽市。このあたりで、輸送隊が誘拐された。
士官学校:士官(将校)を養成する学校(現在の防衛大学)
庇われている:かばわれている。
支那語の通訳:福田と細川、岡田
加藤少尉
黄(ホアン):支那人の密偵(みってい。スパイ)
花田総統
新開嶺:遼寧省か吉林省(きつりんしょう)の地名
便帽児(ビエンマオアル):中国で、ふだんかぶる帽子(儀礼用や軍用ではない)
奉天(ほうてん):現在の瀋陽市。奉天は、満州当時の地名
富順(フーシュン):瀋陽市にある地名
興安:中国東北部にある地名
団錬:中国の地元住民による自警組織
馬賊:馬の機動力を利用する盗賊集団
天門槍(テンメンチャン):団錬や馬賊が使う武器
射線:射撃の時の銃の向きの延長線
輜重車(しちょうしゃ):軍需品の輸送・補給に用いた車両。馬で引く木造の荷馬車
いろいろ意味を調べないと中身を理解できそうもない読書です。コツコツと少しずつ前に進んでいきます。
(つづく)
鍵を握るのは燃料となる『石炭』です。李家鎮(リージャジエン)には、石炭の鉱床がある。将来、炭鉱都市になりうる。(通訳細川の話として)石炭都市になったら地名を『仙桃城(シエンタオチヨン)』にしたい。仙桃は果実で、食べると不死身になれる。
尾形少佐
相手への恨み(うらみ)が、相手の戦死で、憎む者の気持ちが消化(あるいは、消火、昇華(高度な状態に抜ける))される。
『第五章 千九百九年、冬(明治42年)』
オケアノス:ギリシア神話に登場する海の神。万物の始まりとされる。(こちらの物語では、満州をオケアノスとして、『万物の始まり』になりえるかと問います。
果実:成果物。利益、金銭その他のもの。
ホメロス:古代ギリシアの詩人。紀元前8世紀末ころの人物らしい。
アレクサンドロス大王:古代に王
プラトン:古代ギリシアの哲学者。紀元前427年ころ―327年。ソクラテスの弟子
須野(すの):南満州鉄道株式会社、通称「満鉄」に報告書としての資料を提出する。東京本郷に住んでいる。大学の気象学研究者。
元木教授:須野の同僚
神託書(しんたくしょ):神の言葉、神の意思
新井:満鉄の歴史地理調査部所属
黄海(こうかい)にあるとされる青龍島(チンロンタオ):存在しない。
地図の話が出ます。歴史とか人物とかです。この物語の肝(きも。大事な部分)になるところでしょう。
まだ文字のなかった古代からです。地面に、獲物がいる場所を書く。雨で流れる。また書く。めんどうなので、今度は、石を掘って地図とする…… そのような流れです。
徴税のために地図を作成する。領土を広げるために地図をつくる。
マルコ・ポーロ―の『東方見聞録』が出てきます。読んだことがあります。
そのときの感想メモが残っています。
『全訳 マルコ・ポーロー東方見聞録 青木和夫訳 校倉書房』
初めて読みました。誤解がありました。マルコ・ポーローは冒険家で単独にてシルクロードを歩いた人ではありませんでした。時は日本の鎌倉時代、マルコはまだ15歳、父親と叔父と一緒に商売の旅にイタリアヴェニスからスタートしています。再びヴェニスに戻ってきたのは25年後、マルコは40歳に達しています。
記述の中にあるのはまるで映画の中の風景です。アジアの様子です。王がいて、一夫多妻制で、世襲です。支配する者の権力は強大です。一族内の権力闘争があって、毒殺がある。日本も同時期に同様な形態の社会がありました。国は発展して堕落の経過をたどり侵略や内戦によりやがて滅びていく。タルタル人、サラセン人、ジェノア人、アルメニア人、ジョルジャ人、トリシン人、カタイ人は今の何人なのかわからない。ドイツ人、フランス人、ユダヤ人、トルコ人はわかる。キリスト教、マホメットの宗教があって、偶像崇拝の宗教がある。
ここまで読んで、こちらの小説で宗教家が出てくるのですが、思うに、西洋人はまず、キリスト教という宗教で現地の人間を精神的に感化して(洗脳して。マインドコントロールして。感情・意識を操作誘導して)、その国の領土を手に入れる(植民地化する)という手法をとっていた。ゆえに、江戸幕府は、キリスト教を禁止したと考察できます。
古代ギリシア人:地中海の地図を作製した。
古代ローマのプトレマイオス:球体の地球を平面に描写した。
紙の上に『世界』を表現する。
宣教師たちは、測量技術を使って、地図をつくるようになった。
日本の伊能忠敬さん(いのう・ただたかさん)を思い出しました。
1745年-1818年 73歳没 1800年から1816年の17年間、日本各地を歩いて測量をした。本人56歳から測量が始まっています。
物語のポイントとして、『実在しない「青龍島(チンロンタオ)」が地図に描かれている』こと。
インバネス:男子用のコート。肩から胸にかけて、もう一枚布(ケープ)が付いている。(満鉄の通訳細川が着用していた)
高木慶子:寡婦(かふ。夫を亡くした女性)、長男正男5歳、その後須野と再婚して明男(あけお)が誕生する。亡高木大尉の妻。満鉄の職員になった須野(すの)と再婚する。スノ・アケオ:反対から読んで「アケオノス」(万物の始まり)
そうか…… という物語の仕組みが判明します。途切れたと思った糸が再びつながりました。
慧深(けいしん):1400年前の支那人僧侶。アメリカ大陸に渡った。
扶桑(ふそう):神木(しんぼく)。ハイビスカス
『満州の地図をつくって、日本の夢を書きこむ。満州に国家をつくる』(満州はまだだれものもでもなかった。清が滅び、中華民国が誕生していたが、満州の統治はできていなかった)
日本橋三越:先月10月のとある日に、建物の前を歩いたので、作中に出てきた名称を身近に感じます。
ニライカナイ:沖縄地方の話。海のかなたや海底に理想郷があって、そこをニライカナイという。信仰のひとつ。
青龍島:チンロンタオ
『第六章 千九百二十三年、秋(大正12年)』
関東大震災発災の年です。記述にも出てきます。
須野明男(すの・あけお):独特です。まだ、11歳です。伏線として、高橋大尉の軍刀。
懐中時計を与えられて、秒針の動きから時間の経過に強い興味と執着心をもつ。
9歳で温度計を与えられて、温度に異常なまでの興味を示す。狂気すら感じられます。
時計がなくても現在の時刻がわかるようになる。温度計がなくても、今の温度がわかるようになる。
11歳で風力計を与えられて、風力計がなくても風力がわかるようになる。
市谷台:いちがやだい。東京新宿区内。登場人物の男の子が通う士官学校がある。(熊太郎はたまたま先日、市ヶ谷にあるJICAジャイカ地球広場を見学したばかりなので、読んでいて縁を感じました。そばに防衛省の広い施設があります。
『第7章 千九百二十八年、夏(昭和3年)』
福田主計大佐
山井大尉(やまのいたいい)
京都帝国大学教授 一木教授(いちききょうじゅ)
三井物産 棚橋部長:背の高い白髪の男
松浦商会 横山(ヘアスタイルは、「震災刈り(七三分けなどの短いほうをより短く刈り込む)
満州にある関西商船が間借りしている三階建ての建物
ファサード:建物正面から見た外観
『日華青年和合の会』
『仙桃城炭鉱準備掛』(虹色の都市にする夢がある。満州民族、漢民族、日本人、ロシア人、朝鮮人、モンゴル人、国家や民族、文化の壁を越えて、みんなで手をとりあって生活する。新国家の建設が目標ですとあります。「最後の一色(221ページ)」とありますが、その一色は「死者」を表す。この土地の人のために、これまでに亡くなった人たちの霊魂を指す)
孫文。革命軍を率いる:1866年(日本では江戸時代末期)-1925年(大正14年)58歳没。中華民国の政治家、革命家
張作霖(ちょうさくりん):1875年(日本だと明治8年)-1928年(昭和3年)53歳没。中華民国の政治家。
蒋介石(しょうかいせき):1887年(日本だと明治20年)-1975年(昭和50年)87歳没。中華民国の政治家。初代中華民国総統。
土匪(どひ。土着の非正規武装集団。盗賊の類(たぐい))、政匪、商匪、学匪
跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ):いろいろな妖怪が夜中にうろつきまわること。
関東軍:大日本帝国陸軍のひとつ。日露戦争後、日本がロシアから引き継いだ土地を担当した。
炭鉱のことが出てきます。一時期は隆盛をきわめましたが、石油へのエネルギー革命で、急速に衰退化しました。以前、福岡県の飯塚市で歴史資料館の展示を見学しましたが、150年間ぐらいの経済活動だった記憶です。江戸時代末期から1970年代だったと思います。
『第八章 千九百三十二年、春(昭和7年)』
林銘伝(リンミンチユエン):60歳過ぎの男性。肉体労働者。日本人のための野球場をつくっている。元クラスニコフ神父のロシア語と中国語の中国人通訳。老林:ラオリン。「老」は、年長者に対する親しみがこめられている。若い頃は、ハルビンで奴隷売買をしていた。中国人をロシア人に売っていた。阿片(アヘン)を吸い遊女を買っていた。
仙桃城(シエンタオチヨン):地名。李家鎮(リージヤジエン)の変更後の地名
鶏冠山(ジークアリシヤン):山の名称
クラスニコフ神父:物語の初めの頃に登場したロシア人キリスト教会の神父。聖ヨハネ教会担当。聖ヨハネ教会は、教会とは名ばかりの粗末な小屋
東州河(トンチヨウホー):川の名称
孟(モン):林銘伝(リンミンチユエン)の親戚。通訳。孟の妻がロシアキリスト教の信徒
時代は少しずつ前に進んでいます。
奉天紅槍会(ほうてんホンチアンホエイ)の許春橋(シュウチユンチヤオ)
赤銃会(チーチヨンホエイ)の孫丞琳(ソンチヨンリン)。愛称が、孫百八姐(ソンバイパージエ)。孫悟空ソンウーコン(孫行者ソンシンジヨオ)の末子だが、父親の孫悟空を嫌っている。強く孫悟空を憎んでいる。(実は、孫悟空は父親ではない)。女性でダンサーをしている。
炭鉱で働いていた陳昌済(チエンチヤンジー)
先生:中国語の場合、日本語の「先生」の意味ではない。〇〇さんの「さん」という意味になる。
溥儀(プーイ):愛新覚羅溥儀(あいしんかくらふぎ)1906年(日本だと明治39年)-1967年(昭和42年)61歳没。中華圏最後の皇帝。ラストエンペラー。満州国の皇帝として即位。
東州路(トンチヨウルー):道路の名称かと思いましたが、区域ではなかろうかと判断しています。
石本:須野明男(すの・あけお)と同室者。女好き。
笠岡教授:東京帝国大学工学部建築学科担当。笠岡研究所担当
1932年(昭和7年)の設定です。満州国がこの年に成立して、終戦の1945年(昭和20年)まで続きます。
五色旗(ごしょくき):黄色を下地にして左上に、上から赤・藍・白・黒の旗。満州国の国旗
都邑計画(とゆうけいかく):都市計画。「邑」は、「村」のこと。
山査子(さんざし):落葉低木
満鉄の村越
張文貴(チヤウエンクイ):こども、男児。弟がふたりいる。須野明男(すの・あけお)が写真を撮る。その写真がきっと伏線になると予想します。隣に住むのが、「江(ジャン)」さん。
三国志:サングオジー
仙人(シエンレン):西方人(アジアから見て西の人)
古田:日本人警官。中年。優しい。
安井憲兵少尉
小明(シヤオン):須野明男(すの・あけお)のダンスの相手をした女性
トラブルが発生して荒れます。
下達(かたつ):上層部の命令を伝えること。
揶揄い:からかい
淡々と冷徹に、日本兵が中国人庶民を集めて大量虐殺をしたことが書いてあります。
イスラエルによるパレスチナガザ地区攻撃のようでもあります。
やらなければ、やられるという恐怖にかられているのです。
戦争の痛ましさがあります。
みせしめをしても、復讐心は消えるばかりか倍増します。
戦争は空しい(むなしい)。だれが戦争を主導しているのか。
『第九章 千九百三十二年、秋(昭和7年)』
安井:守備隊の憲兵。少尉
考古学者:いまのところ氏名不明
加納伍長(ごちょう):ニックネームは「将軍」
奉天紅槍会の許春橋(シユウチユンチヤオ)
甘粕(あまかす)民政部警務司長
読んでいて思い出す一冊があります。
赤塚不二夫さんの自伝です。
『これでいいのだ 赤塚不二夫自叙伝 文春文庫』
『戦中編(満州1)』
現在の北京市(ぺきんし)北東部にある古北口(こほくこう)生まれ。本籍は新潟市だそうです。 著者の父親が、特務警察官です。日本と対立する中国のゲリラ対策対応が業務のようです。ずいぶん危険そうな職業です。髭(ひげ)を生やして(はやして)いた。怖い人というイメージだったとあります。
黄河文明のことが少し書いてあります。
五族協和:満州、蒙古、回(イスラム教徒)、蔵(チベット民族)、漢民族
ひとり殺せば、何人でも殺せるようになるのか。
へんな話ですが、昔タクシーの運転手と話をしたときに、運転手が、浮気というものは、最初はためらうけれど、一度やってしまうと、何度でもやれるようになると聞いたことがあります。浮気でなくてもほかの罪悪感をもつようなことでも同様でしょう。基本的に人間なんてそんなものなのです。
『…… 上官の命令は、陛下の命令と同じだと教えられていた……』洗脳による意識操作(マインドコントロール)があります。他者の考えにだまされたり、依存したりしちゃだめです。自分の脳みそで考えなければだめです。
アナキスト:国家や宗教などの権威と権力を否定する。個人の合意で個人の自由が重視される社会を理想とする思想の人
邵康(シヤオカン):日本人による虐殺の生き残り。日本人に両親と祖母、ふたりの妹を殺された。兄は戦死した。
宋其昌(ソンチーチヤン)
韓(ハン):門番
王経緯(ワンジンウエイ):奉天抗日軍の連絡役を名乗る男(実は相手をだまして捕まえようとする組織の人間)
ロシアの言葉として、『キノコと名乗ったからには籠に入れ』(一度手をつけたら、最後までやり遂げなさいという教え)
耳に痛い言葉として、『日本人たちは、暴力によって他人を支配できると考えている。偽国家を作り、偽の法を作り、偽の王の力でこの地を征服しようとしている……』
ロシア人キリスト教神父に抗議があります。『あなたの言うように祈ったところで、何も起こりませんでした…… 戦うことでしか、私たちの意思を示すことはできません』(神よーーと 祈っても、戦争はなくならないのです)
須野正男:須野の長男。工兵として満州へ行く。工兵(軍人。技術的作業担当)
須野明男(すの・あけお):須野の次男。二十歳
張学良(ちょうがくりょう):1901年(日本だと明治34年)-2001年。ハワイホノルルにて100歳没。軍人、政治家。張作霖の長男。張作霖(ちょうさくりん):1875年(日本だと明治8年)-1928年(昭和3年)53歳没。中華民国の政治家。
犬養毅(いぬかいつよし)首相:1855年(江戸時代末期)-1932年(昭和7年)76歳没。五・一五事件で暗殺された。反乱目的で武装した陸海軍の将校たちが内閣総理大臣官邸で殺害した。
小明(シヤオミン):なになにちゃん、なになに君。細川が須野明男を呼ぶ時の言葉。
細川が満鉄を辞める。空席となった仙桃城工事事務所長の後任に、松浦商会の取締役で、「日華青年和合の会」の若手強硬派だった横山という三十代の男がなった。ロシアの大学を出たとびぬけた頭脳をもつ男だった。ただし、細川は横山を支持していなかった。
石原参謀(さんぼう)
319ページまで読みました。淡々と話が進んでいきます。山場があるようでありません。不思議です。今日は12月2日土曜日です。寒くなりました。
『第十章 一九三四年、夏(昭和9年)』
石本:須野明男の友人。東横線『代官山駅』の近くに住んでいる。
中川:石本と同じアパート、二階の手前の部屋に住んでいる。石本いわく、中川は千年に一度の秀才らしい。同潤会に就職した。石本と同じ高校の三年先輩。
コンター:等高線、輪郭線
フラット:集合住宅
同潤会(どうじゅんかい):財団法人。日本で初めての住宅供給組織。大正13年設立。大正12年の関東大震災の義援金で設立された。
リムスキー=コルサコフの『シェラザード』:1888年完成の交響組曲
ポール・ヴァレリーが『エウパリノス』の中で言っていた:フランスの詩人・小説家(1871-1945 73歳没)。代表作が、「エウパリノス」建築と音楽。哲学と舞踏論ほか。
エベネザー・ハワードの『明日の田園都市』:近代都市計画の祖。イギリスの社会改良家、都市計画家。1850-1928。78歳没。明日の田園都市は著作品。モダン(現代的、当世風)な都市計画の提唱者。レッチワースは、ハワードが手がけたロンドンの北にある田園都市
岸田先生、辰野金吾:建築家。辰野金吾氏は、日銀本店、東京駅、奈良ホテルなどをつくった。
笠岡教授:専門は防災
ル・コルビュジエ:スイス生まれでフランスで活躍した建築家。フランス語の論文として、「輝く都市」
伏線として、『アカシア』:『抽象的な都市生命学』
満州国三周年記念日の翌週、戦争構造学研究所記念祝賀会
千里眼ビルディング:正式名称は、東亜ビルディング。仙桃駅直結のビルディング。孫悟空の会社東亜公司が経営する。公司(こうし):中国で会社のこと。
仙桃城工事事務所長 横山
駐在員 村越
ファサード:建物の正面から見た外観
335ページ。戦争構造学研究所長の細川が、『地図と拳』というタイトルで講演を始めます。
地図は二人組でつくる。(測量)
イギリス人のメイソンとディクソン(アメリカ合衆国ペンシルベニア植民地とメリーランド植民地の境界線)
ルイスとクラーク(アメリカ合衆国西海岸)
カッシーニ親子(フランス。木星を使って経度の計測に成功した)
キムとラマ(英領インド)
漢人シーとホー(古代の天文学者)
ブーゲとコンダミン(フランス人。ペルーで測量)
三角測量を用いて測量する。
趣旨として、『国家とは、すなわり地図である。…… 大日本帝国は、台湾を手に入れ、朝鮮を手に入れた。』
もうひとつ、拳(こぶし)の趣旨として、『この世から「拳」はなくならない。地図があるから、「拳」はなくならない。世界は狭すぎる。人類が住める場所は狭い。だから人類は戦争をする。居住可能な土地を求めて戦う。東欧を統治する者は、ハートランド(ユーラシア大陸)を支配する。ハートランドを支配する者は、世界島(アフリカ大陸)を支配する。世界島を統治するものは全世界を支配する。(中国の政策一帯一路のようです)』
ユーラシアの東方にドイツがある。西方に日本がある。
昭和9年のことですが、戦争構造学研究所長の細川の頭の中には10年後の世界のことがあります。
今田:政治活動家。東京上野不忍池(しのばずのいけ)の近くにあるアパートに住んでいる。偽名が今田で、本名は、『鴨田直志(かもだ・なおし)』らしい。
K:今田が属する政治活動団体のトップ
石本が考える須野明男があります。
石本は、須野明男の都市計画能力に嫉妬しています。ライバル視です。
石本は、自分の代わりに須野明男の対抗馬として、中川を立てます。
革命:資本主義を共産主義に変える。
議会制度の否定:資本家にとって優位な制度だから。
ブルジョワ階級:資本家
プロレタリアート:賃金労働者階級。労働者、農民
石本は、共産党の末端組織「細胞」の活動に取り組み始めます。
石本は、『青年建築家同盟』を立ち上げます。建築を通じて世界を変える。考え方は共産主義的です。資本主義を否定する。戦争のない平和で平等な世界を実現する。機関紙が、『青春』
本のなかの時代は昭和10年(1935年)です。昭和ひとけたから10年あたりが、熊太郎の親世代が生まれたあたりです。昨年12月に九州に住む実母に会ってきました。もう90歳ぐらいです。耳は聞こえにくいようですが、おしゃべりは尽きません。いろいろ叱られるばかりです。黒柳徹子さんの世代です。戦争体験者はご苦労をされています。
仲間として、木内、須野明男、石本、中川、班長という肩書の人
須野明男は、昭和10年(1935年)に東京帝国大学を卒業した。まだ、ラジオはあるけれど、テレビはない時代です。昭和16年(1941年)12月から太平洋戦争に突入です。
美濃部達吉の天皇機関説:1873年(明治6年)-1948年(昭和23年)75歳没。法学者。天皇に主権があるとはしない。天皇は周囲の進言を受けながら国を統治する役割を果たす。(こちらの物語の中では、人民が「機関」の意味をとれず、「機関車」とか「機関銃」と理解しています)
干城(かんじょう):国を守る軍人
大元帥(だいげんすい):天皇
股肱(ここう):部下
埒があかない(らちがあかない):ものごとがいつまでたっても進まない。「埒(らち)」は、囲い。
イデオロギー:政治思想、社会思想
瓦解(がかい):一部の崩れから全部が崩れること。
青年建築家同盟:多い時で50人超え。大学教授、課長級の人物、若手建築家の集団。その後減少して、14人。編集長石本
赤:共産主義者、社会主義者
酒保(しゅほ):飲食物の売店(軍関係)
軍隊です。鉄拳制裁があります。(殴る(なぐる))
コミンテルン:国際共産主義運動の指導組織
美人局(つつもたせ):女を使って男をだまして男から金銭をせしめる。
拐帯(かいたい):預かっているお金を持ち逃げすること。
シンパ:共産主義への共鳴者。影で援助する。
ファシズム:労働階級を権力で押さえる。外国を侵略する。独裁主義。反対派を弾圧する。
橋本:2年兵。薬莢をなくした。やっきょう:鉄砲の発射薬を詰める容器。発射後、銃から排出される。
白澤:内務班の職員
転向:共産主義、社会主義をやめる。その思想を捨てる。
特務曹長(とくむそうちょう):陸軍の准士官。少尉と曹長の間。
償勤兵:軍法上の罪を犯した(おかした)兵員という意味だろうか。たとえば、脱走兵。
不寝番:夜通し寝ない出番をする人。役目
読んでいて、話の話題が小さいような気がします。370ページあたりです。
内閣総理大臣:須野正男(須野明男の兄)。明朗快活な好男子。中尉として満州に滞在中。
日本銀行総裁:石本
海軍大臣:赤石
仮想内閣→仮想閣議。昭和12年(1937年)5月初めのこと。
須野:須野明男の父。満鉄の仙桃城工事事務所の工科長。工科は、工業に関する学問。学科。
陸軍大臣:滝本
丸眼鏡の男:戦争構造学研究所の細川
仮想内閣で未来を推測する。
地政学研究班が導き出した『塘沽事変(とうこじへん)』をもとにして、日本政府の対応を考える。(仮想の塘沽事変(とうこじへん)が、現実の北支事変になる。盧溝橋事件(ろこうきょうじけん)1937年(昭和12年)7月7日)
国民党の蒋介石(しょうかいせき)と共産党の周恩来(しゅうおんらい)。
デュナミス:ギリシア哲学用語。『現状から発展する可能性のある選択のこと』未来の予想です。戦争になるかならないか。どちらが勝利するかなどです。
タングステン:金属。洗車の装甲、砲弾、対戦車弾に使われている。
須野明男:歩兵として、満州に来た。司令部勤務で、仙桃城の派出所で都市計画や建築に携わる。
須野正男:陸軍の命令で、北支へ行った。
『第十一章 一九三七年、秋(昭和12年)』
中川:昭和12年8月下旬赤紙(召集令状)を受け取った。盧溝橋事件が、7月7日だった。日本人はロシア人が敵だと思っていた。中国人が敵になってしまった。『K』は、中川だった。
多胡(たご):バイオリン弾き
銃の音についてです。
ドン:自分が銃を撃った時の音です。
パン:相手が銃を撃った時の音です。
ヒュン:相手が撃った銃弾が自分のそばをかすめて通過する音です。
塘沽沖(とうこおき):天津の南東にあたる。
天津(てんしん):北京の南南東に位置する国家中心都市
王口鎮(ワンコウジエン):天津の南南西にある土地。天津市の管轄
子牙河(ズーヤホー):河川
八貫:3.75kg×8=30kg
沙河橋鎮(シヤーホーチヤオジエン):天津市の南南西に位置する土地
海松色(みるいろ):海藻のようなくすんだ濃い黄緑色
微発(ちょうはつ):軍需物資を人民から強制的に取り立てる。
献県城(シエンシエンチヨン):天津の南南西に位置する土地
歩兵の役割:『行軍(こうぐん。軍隊が隊列を整えて移動すること)』と『突撃(喊声(喚き声)をあげて前進すること)』突撃とは、阿呆になり(あおうほうになり)、ただの機械になること。
孫丞琳(ソンチヨンリン):女性。孫悟空(ソンウーコン(孫行者(ソンシンジヨオ)))の娘。愛称『孫百八姐(ソンバイパージエ)』赤銃会(チーチヨンホエイ)のメンバー
小島:仙桃城守備隊第二中隊長
許春橋(シユウチユンチヤオ):奉天紅槍会。炭鉱襲撃の英雄
安井:守備隊の配属憲兵
宋其昌(ソンチーチヤン):守備隊に通訳としてもぐりこんだ。
八路軍(パールー):中国共産党軍。以前は、仙桃城紅軍((シエンタオチヨンホンジユン)
永陵街(ヨンリンジエ):仙桃城の東に位置する土地
邵康(シヤオカン):日本人による虐殺の生き残り。日本人に両親と祖母、ふたりの妹を殺された。兄は戦死した。
父親である孫悟空から娘である孫丞琳(ソンチヨンリン)への教えとして、『王は予言者に反論できなければならない』があります。予言者が王を支配していた。予言者だけが、お文字を読めた。
予言者のいいなりになってはいけない。王は、学ばなければならない。(権力者になる立場の人間は、学ばなければならない)
歴史や学問は、『声』によって、後世に伝えられてきた。師匠の教えを弟子が引き継いだ。
文字は、金勘定をするために生まれた。文字は、物語をつくために生まれたのではない。
最初に文字を使ってできた物語が、『聖書』だった。
ロシア人のクラスニコフ宣教師は、宣教師の職を失って、老人のホームレスのようにやつれはてています。彼は、地図をつくっている。
孫丞琳(ソンチヨンリン)と須野明男は再会しますが、孫丞琳(ソンチヨンリン)は須野明男を覚えていません。ふたりが以前会ったのは、1932年(昭和7年)3月2日、午後10時11分です。日本が経営する炭鉱が現地中国人グループに襲撃される直前でした。
中川
水島
戦争の悲惨さが、日本軍の中国における『行軍』行為として表現されています。
『戦争』は、人間を、『獣(けもの)』に変えます。この付近のシーンでは、日本軍の兵隊は、加害者です。侵略者です。
山岳地帯の鞍部(あんぶ):山の尾根のくぼんだところ。
展望哨(てんぼうしょう):遠くを見渡す見張り。
擲弾筒(てきだんとう):手りゅう弾を遠くに飛ばすための小型の火器
血路(けつろ):敵の囲みを破って逃げる道
山縣元帥(やまがたげんすい):山縣有朋(やまがた・ありとも)。長州藩。高杉晋作と奇兵隊を率いた。(たかすぎしんさくと、きへいたいをひきいた)。陸軍大将
日本男児の気象を示す:気質
414ページ付近を読んでいて、一冊の絵本のことを思い出しました。『百年の家 絵/ロベルト・インノチェンティ 作/J.パトリック・ルイス 訳/長田弘(おさだ・ひろし) 講談社』戦争がからんでいます。
アリストテレスの言葉があります。『よい人間とは何か。』アリストテレスは答えます。『「思慮(しりょ)である。注意深く、ものごとを様々な側面から考える。他人の立場を慮る(おもんばかる。相手のことを考えて相手のためになる仕事をする)』
平常時は建築の天才といわれた中川は、戦争で歩兵となり、中国大陸で銃撃戦を行い、自分はもう人間ではない。修羅(しゅら。バケモノ。インドの鬼の神)になったと悲しくなるのです。
『第十二章 一九三八年、冬(昭和13年)』
安井:憲兵中佐。須賀明男からカメラを取り上げた。
横山所長:今は奉天にいる。
ジュール・ブルデ:フランスの建築家
本多静六(ほんだ・せいろく):1866年(江戸時代末期。明治維新が1868年)-1952年(昭和27年)。85歳没。林学者。造園家。株式投資家。「公園の父」。投資で得た巨万の富を匿名で教育機関、公共機関に寄附した。日比谷公園を設計した。
1889年万国博覧会:明治22年フランスパリにて。第4回パリ万博
『光とは命である』『建築家は光を利用する』『闇とは想像力である』
ル・コルビュジエ:建築家。スイス生まれフランスで活躍した。
須野明男は、公園をつくることを決心する。
南京陥落:1938年(昭和13年)12月13日
近衛内閣(このえないかく):内閣総理大臣近衛文麿(このえ・ふみまろ)。第1次から第3次。
黄宝林(ホアンパオリン):別名として『黄司令(ホアンスーリン)』と呼ぶ。反日活動組織のトップ。常に砂時計を使用していて、自分自身の行動の時間の管理をしている。日本人に対する強烈な復讐心をもっている。
飛龍(フェイロン):軍馬の名前
牌布(パイプウ):布。ラシャ。毛織物
輜重係(しちょうかかり):軍隊で兵站(へいたん。物資に関しての支援担当)担当。手荷物係
『一切行動聴指揮(どんなときも指揮に従って行動せよ』『一切繳獲要帰公(得たものはすべてみんなのもの)』
『わたしたちの土地を取り戻しましょう』
惹句(じゃっく):キャッチフレーズ
須野明男のプランとして、『李家鎮公園(リージヤンエン公園)』の計画案
『燃えない土』は、コンクリートとの相性が良かった。
ゲニウス・ロキ:ローマ神話における土地の守護精霊。地霊。モニュメント(記念碑)は、公園に潜む魂を立ち上がらせるものでなければならない。
普請(ふしん):土木・建築工事 公共事業
アーキテクチャ:建築物。建築学。当初は、「造家(ぞうか)」という訳語だった。
『第十三章 一九三九年、夏(昭和14年)』
安井:憲兵中佐。この時点で激怒している。自分の『仙桃城再開発計画』をつぶされたことで怒っている。ヤブ医者の誤った治療で、7歳の弟が死んだときよりも怒っている。(おこっている)。計画の中止は中国人によるものではなく、日本人によるものだと判断している。しかし、表向きは中国人が悪いことになっている。満州で日本人が快適に暮らすことができる官舎をつくる予定だった。
治安課長:司令部から来た。
甘粕元司長(あまかすもとしちょう)
永陸街(エンリンジエ):地名
南清輪船公司(ナンチンルンチユアンゴンスー):船舶会社
不要停止!(プーヤオテインジイ):止まるな!
便衣兵:一般市民の服装をした兵員。民間人に変装している。
放下武器!(フアンシアウーチー):武器を捨てろ!
大旬子鎮(ターシユンヅジエン):地名。『偽機関銃作戦』を中国側の作戦として行う。
石本は仙桃城で2年間を過ごしていた。今は、昭和13年の冬。日支戦争は続いていた。
戸島製作所の鷺島(さぎしま)開発部長
大連中試の中村社長
仙桃城東精油工場の白鳥工場長
燃料廠(ねんりょうしょう。屋根だけで壁のない建物)の高島海軍中佐
石炭から石油へのエネルギーの変化の話があります。
この当時の判断として、『日米開戦の確率はそれほど高くはない』
中川は戦死した。
『第十四章 一九三九年、冬(昭和14年)』
城島源造(じょうしま・げんぞう):生まれつき恐怖心という感情が薄い。軍人になるとすぐ死んでしまうので、14歳で泥棒になった。おとなになって、『忍びの源』という名で呼ばれる大泥棒になった。満州で活動している。
男(おそらく細川)に頼まれて、書類の盗みをしている。仙桃城東精油工場から盗み出して、代わりの書類を置いて、そのあと、本物の書類を元の位置に戻している。憲兵安井の部屋からも盗みを依頼されたがあまりに危険なので断った。
掏摸:すり
虎臥(こが):虎が大地に伏せている。さらに、「竜跳虎臥(りゅうちょうこが):筆勢のこと。竜が跳ぶ、虎が伏せるような筆の勢い。
仙台に輸入されたプレス機:トランスファープレス機
煤都:読みは、「ばいと」か。石炭の煤(すす)。黒煙が立ち上る都市
『超高層の建築を実現するため、絶対に必要だった技術とは何だろうか?』→『エレベーターと空調機の発明だよ……』
昭和14年のこととして、赤石は、戦争において、日本の敗北を予言しています。
石本は、満州に残っている。
ノモンハン事件:モンゴルハルハ川付近。1939年(昭和14年)5月-9月。満州国とモンゴル人民共和国の境界線を巡って起きた衝突紛争。モンゴルを衛星国にしていたソビエト連邦と日本の紛争。ソ連とモンゴルが国境を維持した。
フランスがドイツに降伏した日:1940年(昭和15年)6月22日
隷下(れいか):指揮下
『「では、また」とここのまま別れたら、もう二度と正男と会うことができないような気がしていたのだった……』
8年6か月ぶりに、ダンスホールに行く。
タイガー・ラグ:ジャズ曲。1917年の曲
『昭和15年9月:ドイツはイギリスを空襲していた。日本軍は相変わらず支那と戦っていた……』
太平洋戦争の開戦が、(1941年)昭和16年12月8日ですが、登場人物たちは、日本の敗戦を予想しています。『戦争は始まっていなかったが、始まる前から終わっていたのである』
『第十五章 一九四一年、冬(昭和16年)』
須野明男の新しい職場:ソ連国境付近の永久要塞『虎頭要塞』虎頭鎮(フートウジエンにある。ソ連のシベリア鉄道が近い)
満州事変:昭和6年
橋頭堡(きょうとうほ):橋を守るための砦(とりで)
掩体(かんそくようえんたい):格納庫。射撃しやすくするための設備。敵の銃弾から守る設備
『建築はだれのものか→利用者のものである』須野明男は利用者にとってメリットのある建築物をつくりたいけれど、戦時中のため、強大な兵器のような建築物しかつくれないことに憤りを感じている。
ベトン:コンクリートのこと。フランス語
やるべきこととして、『巨大な不要物(満州国のこと)に使う建材を節約すること』
6月、ナチス・ドイツが不可侵条約を破ってソ連に侵攻した。
昭和18年4月、須野明男は、仙桃城に帰還する。兵舎の設計をする。
『誰かを殺すための施設を作ることは、建築家の仕事ではない。』
1941年(昭和16年)12月8日ハワイ真珠湾攻撃のあと、中国の組織は、日本軍が米軍に負けることを確信した。中国も同様に日本軍に勝つことを確信した。『勝利する未来が確定した。』とあります。
褲子(クーヅ):パンツ(ズボン)
戦争が人間を鬼に変えていきます。
『第十六章 一九四四年、冬(昭和19年)』
町野寿雄(まちの・ひさお):5歳のとき、父親が奉天で戦っていた。敵の銃弾に倒れて戦死した。現在、軍人。
仙桃城(シエンタオチヨン)という都市にある千里眼ビルディング(せんりがんビルディング)の8階で、孫悟空(ソンウーコン)は、5年間暮らしている。(ひっそりと隠れている)
海賊 バーソロミュー・シャープ:1702年52歳ぐらい没。イギリスの海賊。航海日誌を残した。
『昭和19年の冬は過去に例がないほど雪が降っていた。(満州にて)……』
笠岡教授が、雪解け水いっせい流れ出しによる洪水、水害を心配していた。
須野明男は、工事事務所に残っていた。
太平洋戦争は、『転進(戦地は南方へ。満州は置き去りにされた)』→『玉砕(ぎょくさい)という名の全滅』→日本本土へ空襲開始
ナチス・ドイツは近々滅びる。
『青龍島はなぜ地図に描かれたのだろうか(空想の場所。この世に存在しない)』
ガバヌーア・ケンブル・ウォレン将軍:
地図はキリスト教のためにつくられた。(権力者は、宗教を下地にして、人民の思想を管理し、領土を増やそうと試みたと受け取りました)。そのあと、船乗りのためにつくられた。(これも領土拡大目的でしょう)
なぜありもしない架空の島、『青龍島(青龍によって守護された理想郷)』が、昔の地図に存在したのか。
青龍島の北部の形は、モスクワ川の形からきている。
青龍島を描いたのは、ロシア人であろう。モスクワに縁があるロシア人であろう。
そのことを調べるために、旧サンクトペテルブルグ(現在のレニングラード)に行く。建設局の人の話を聞く。(戦争が終わって平和になるまでは行けない)
仙桃城が襲われる。
町野寿雄軍曹の右肩は銃弾が貫通する。
『1 撃つ時はなるべく敵に近づくな。相手の顔が見えないきゅおりで撃て。 2 怖くなったら俺の(上司の))顔を思い浮かべろ。俺に命令されたから撃つんだと自分に言い聞かせろ。 3 一人になるな』、『戦場では、銃弾を命中させることよりもずっと、引き金を引くことのほうが難しい……』
鹵獲(ろかく):戦場で敵の武器、弾薬、資材をぶんどること。
橋本:工兵(土木・建築・鉄道・通信担当の兵員)
『建築とは何か』:建築とは避難所である。人間は建築によって守られる。
国家とは、暴力から人間を守るためのもの。国家も建築といえる。
国家の図面を引くのも建築家の仕事だ。
もうひとつ。
『建築とは、「時間」だ』
『第十七章 一九四五年、夏(昭和20年)』
今日は、1月8日(月曜日・祝日・成人の日)です。ようやくこの物語を読み終えました。記録を見ると、読み始めは、昨年10月22日(日曜日)でした。毎日少しずつ読み続けてきての達成感があります。
嫌われ者の憲兵中佐安井です。
八月十五日、天皇陛下の敗北宣言がラジオから流れても信じません。偽情報だと言い張ります。興奮して暴れる安井を止める人間を殺そうとまでします。
『一億玉砕にうよる本土決戦は、米国を倒すための唯一の作戦である……(終戦後、日本にとって米国は一番の友好国になりました)』
ソ連が中立条約を破って満州へ進軍を始めたのが、終戦直前、昭和二十年八月九日(長崎原爆投下の日)でした。(ソ連は自分たちが利益を得るためには手段を選ばない国です。国のあり方として、何かが貧しい)
『陛下から賜った(たまわった)貴重な建築資材を盗むことが、愛国精神だと?』(洗脳されています。ふつうに考えて、おかしなことを言っています。人間の脳みそは思想教育によってここまで意思をコントロールされてしまうのか。人間の心は弱い)
本土と通化:日本国本土と満州国のこと。
ハラショー:ロシア語。「わかった」「良い」「了解」
新京:満州国の首都。現在の長春市
村越:満鉄の職員
アール・デコ風:欧米で1910年代から1930年代に流行った(はやった)装飾美術。例として、エンパイアステートビルディング。
村越と石本は、満州に残る。
ハイラル:内モンゴル自治区にある都市
『…… 建築をします』
『建築とは時間です。建築は人間の過去を担保します』(建築物を見ると人は過去を思い出すことができる。建築物が時間を繋ぐ(つなぐ))
(シーンは、最初のシーンに戻るようなパターンです。なかなかうまい)
『終章 一九五五年、春(昭和30年)』
読み終えて、建築の本でした。
戦争が背景にあるものの、建築家が建築物に気持ちを入れ込む本でした。
隈研吾さんの本を思い出しました。『建築家になりたい君へ 隈研吾(くま・けんご) 河出書房新社(かわでしょぼうしんしゃ)』
クラスニコフ神父の話が出ます。彼はすでに他界しています。
青龍島とクラスニコフ神父がつながります。
『地平線の向こうにも世界があることを知らなかったあなたへ(あなたは、満州仙桃城の地域(李家鎮)に住む中国人たちのことです。彼らが信じていた島が、「青龍島(理想郷、楽園)」です)』(住民に広い世界があることを知ってほしい)
青龍島をこれからつくる。都市をつくる。
読む前の予想に反して、淡々と静かに流れる歴史物語でした。読み終えて、すがすがしさが残りました。
かなりの長文になってしまいました。この文章全体を読める人は少ないでしょう。感想というより、内容を理解するための読書メモになりました。
気づきがありました。太平洋戦争は始まる前から、軍の関係者には、日米のどちらが勝つかわかっていたのです。それでも、権力者たちは、無理やりに、勝てもしない戦いを米国に挑んでいったのです。死ななくてもいい人がたくさん死んでいきました。それが良かったのか悪かったのかは自分にはわかりません。戦争にならなかったとしても、日本が植民地化されていたということもあるのかもしれません。人間がやることは完ぺきではないということは理解できました。
かなり分厚い本です。小説部分は、625ページあります。評判良く、評価が高い小説です。満州(まんしゅう)のことが書いてあるらしい。満州:中国東北部の旧称。1932年(昭和7年)日本が介在して建国。1945年(昭和20年終戦)まで存在した。
2023年10月22日日曜日から読み始めます。読み終えるまでに時間がかかりそうです。(翌年1月8日月曜日に読み終えました。少しずつ読み進めました)
THE MAP AND THE FIST 地図と拳 英語のタイトルが表示されています。
序章があった、第十七章、そして終章までです。
時代は、1899年夏(明治32年)から始まって、1955年春(昭和30年)までです。
日露戦争が、1904年(明治37年)。18か月続いた。
『序章』の部分を読み終えました。
読み手たちの興味を惹くように(ひくように)、ずるい仕掛けがしてあると感じましたが、小説ですからそれはそれでいい。
松花江(スンガリー):河川の名称。アムール川の最大の支流
ロシア兵が出てきます。
高木:両親は薩摩出身。亡父は西南戦争で没した。形見は小刀。仕事は、間諜(かんちょう。スパイ)。参謀本部からの特別任務を受けている。お茶の販売目的で満州地域に入る。(鹿児島はお茶の名所なのでお茶なのだろうと推測します)。役職は、「大尉」
細川:21歳大学生。中国語とロシア語の通訳。高木に雇われている。亡母が薩摩出身。顔色が悪い。腕は細い。丸眼鏡。体力に乏しい。胆力がない。(度胸)。父親は貿易商をしている。
苦力(クーリー):アジア系の移民(中国・インド)。出稼ぎ労働者。下層階級
作物が育つ土・燃えない土・燃える土:燃える土は石炭を含んでいる。
王(ワン):中国人。山西省出身(北京の西)。現在は、奉天(ほうてん)の東にある李家鎮村(リージャジェン村)に住んでいる。東北(トンペイ)に移住した。
船の目的地は、『ハルビン』
死の符牒(ふちょう):隠語、記号、合言葉(あいことば)
長衫(チャンシャン):中国の女性の衣装
『第一章 千九百一年、冬 (明治34年)』
奉天義和団の馬宇霆(マーユウテイン)。奉天義和団:宗教的秘密結社。白蓮教(びゃくれんきょう)。外国勢力に対抗した中国の団体。
李大網(リーダーガン):李老師の表記もあり。李家鎮(リージャジエン)の王様。元役人。集落の主
神拳会(しんきょかい):農民中心の自衛組織。拳法を使う。
賈二昆(クーアールクン):人物名。神拳会の師範
タイトルの意味はなんだろう。『地図と拳』。日露戦争(1904年 明治37年開戦)から第二次世界大戦(1945年 昭和20年終戦)までの50年間を描く。国家と武力だろうか。まだわかりません。
洋鬼子(ヤンクイズ):西洋人
二毛子(アルマオズ):西洋かぶれの中国人。キリスト教徒、西洋人から雇われた人間、西洋人と中国人のハーフ
魔尼教(まにきょう):ペルシャ起源の宗教
鬼子:鬼のような人間ということだろうか。ロシア鬼子とあります。〇〇人ということのようです。日本鬼子(リーベンクイヅ)、ドイツ鬼子、フランス鬼子、イギリス鬼子、ロシア鬼子とあります。
(中国の人たちがロシアと戦おうとしています。キリスト教との闘いでもあります。この当時のキリスト教の伝道師の真の目的は、領土を奪うことではなかったのか)
凶星(ションシン):星占い。悪い影響を与える天体
禍々しい(まがまがしい):不愉快で、癪に触って(しゃくにさわって)、我慢できない。
(読んでいると、この当時から、中国は欧米やロシアに土地を侵略されていたことがわかります。国土を守るのもたいへんです)
白乾児酒(バイカンアルジュウ):コーリャンを原料とした蒸留酒
桃源郷(とうげんきょう):理想郷
娘娘廟(ニャンニャンミャオ):道教の女神を祭る社(やしろ。建物)
イヴァン・ミハイロヴィッチ・クラスニコフ:ロシア人宣教師。もともとは測量士。父親は地図職人。地図職人の前は画家だった。父が描いた若い頃の母親の肖像画のタイトルが、『冬の森』。母は、クラスニコフ宣教師が6歳のときに肺炎で亡くなった。兄弟姉妹はいない。実家は、モスクワ郊外にある集合住宅の二階。16歳から寄宿舎で生活した。それまでは、父と一緒のベッドで寝ていた。暗闇が怖かった。(こわかった)。書中では、がんこな宗教者の態度があります。儀式にこだわる。
劉神父:登場して間もなく殺された。
林銘伝(リンミンチユエン):中国人通訳(ロシア語)。ハルビンで奴隷売買をしていた。中国人をロシア人に売っていた。阿片(アヘン)を吸い遊女を買っていた。
匪賊(ひぞく):盗賊。徒党を組んで、略罰や殺人行為を行う集団
拳匪(けんぴ):義和団の異名。拳、棒術で暴力を振るう集団
鶏冠山(ジークアンシャン):中国大連市の北東。日露戦争の重要な戦場だった。
皇帝ニコライ二世
財務省ウイッテ大臣
参謀本部 アントネンコ大尉 白ヒゲの男
ケルベズ四等文官
極東軍 マドリトーフ少佐
この物語は、イヴァン・ミハイロヴィッチ・クラスニコフ宣教師を軸にして進行していくようです。
彼は5年前、1896年(日本だと明治29年)に満州のことを聞いた。ロシアが、測量をして地図をつくりに行く。(いずれ支配するために)満州にロシアからシベリア鉄道を敷く。地図が都市を生む。測量隊の一員として、イヴァン・ミハイロヴィッチ・クラスニコフ宣教師も参加することになった。
満州の人間は、『地図』というものを理解できなかった。
満州の人間は、世界も神も知らなかった。針の穴から家の天井をのぞくぐらいの視界しかなかった。
イヴァン・ミハイロヴィッチ・クラスニコフ宣教師は、1898年の暮れ(明治31年)満州を訪れた。
羅宋帽(ルオソンマロ):ボルシチ帽(帽子ぼうし)。ロシアから中国に伝わった。ラクダの毛を二重にしてできている。ひさしはない。
馬掛(マークア):中国の清の時代に男性が着用した服。腰までの丈(たけ)、長袖が少し短い。前をヒモで組まれたボタンで留める。
孟(もん):林銘伝(リンミンチユエン。通訳)の親戚。妻はロシア系キリスト教の信徒。孟も通訳
龍擡頭(ロンタイトウ):龍が目覚める日のこと。(旧暦2月2日。2023年は、3月11日月曜日だった)
イヴァン・ミハイロヴィッチ・クラスニコフ宣教師を捕らえた中国人の若者が死んでいると思っていたら息があった。
イヴァン・ミハイロヴィッチ・クラスニコフ宣教師は、通訳の林(リン)がやめるように強く説得したのにもかかわらず、自分たちを拘束して敵に引き渡そうとしたその中国人の若者を助けます。(宗教が下地になって、加害者である人間を許そうとなるのですが、読み手の自分は拒否的な心理になります。ありえません。被害者は命を奪おうとした加害者を絶対許しません。設定がおかしい。あるいは宗教の教えが矛盾(むじゅん。食い違い。理屈に合わない)しています)
『……、これは自分と神との問題だ。』という言葉があります。意味をとれません。そもそも神はいません。(もうこの先読んでもしかたがない。読書をやめうようか……)まだ60ページすぎあたりです。クラスニコフ宣教師と通訳の林は、再びその若い男に拘束されてしまいます。(その後、事態は変化します。男は、クラスニコフ宣教師たちをロシア軍に引き渡したい。李大網(リーダーガン)がふたりを助けたいそうです。
告解(こっかい):カトリック教会。神の許しを得る儀式
楊亮康(ヤンリンコン):クラスニコフ宣教師をかつて殴ろうとした男。昔は青島口(チンタオ)で商船の船長をしていたが、海賊がらみで仕事をやめて中国東北部へ生活を移した。そこが、李家鎮(リージャジェン)だった。
楊日綱(ヤンリーガン):楊亮康(ヤンリンコン)の息子。ロシア人に投げかけた言葉として、『自分たちだけが正しいと思わないでください』
情報が混乱していて、何を信じたらいいのかわからない状態です。
『第二章 千九百一年、冬 (明治34年)』
青島口:チンタオ
海賊の被害が出た。役人は無実の者を海賊だとして捕まえて朝廷に報告していた。
楊亮康(ヤンリンコン)は人にだまされます。人にだまされて不幸に落とされるところから、たいてい、物語は始まります。
焰星(イエンシン):こちらの物語では、『国家』のこと。日清戦争で中国が負けた記事があります。(1894年(明治27年))
夷狄(いてき):外国人
ロシア人は、『神』を正義だとし、『拳』を悪として、中国の広い大地を奪おうとしている。
劉春光(ウチェングアン):滄州(そうしゅう。都市名。天津市(てんしんし)の南。)出身の形意拳の使い手
白蓮教(びゃくれんきょう):中国、浄土信仰の一派
神拳会(シェンチユエン):李大網(リーダーガン)が名付けた武術
なんだか、少年マンガのシーンのようになってきました。拳法(けんぽう。拳(こぶし))で相手に勝つ。拳には魂や霊気が備わっていて、強力な破壊ができる波動のような動きがあるというものです。
「硬気功(鋼の精神(はがねのせいしん))」「金房子罩(金属の房子を罩った(かぶった))」「熱力(金属のこと。さらに外国人のこと)」「土木反転(土は東北の民、木が「清朝(国家)、金属(外国人。銃)によって、土が押しつぶされている」)」「排刀一の芸(戦争のこと)」
銃に対して、鉄の拳で対抗するというように読み取れます。
孫悟空(ソンウーコン):楊日綱(ヤンリーガン)は自分に孫悟空という神が乗り移ったと悟りました。馬賊の頭(かしら)になって、名は、孫行者(ソンシンジヨオ)となります。
『第三章 千九百一年(明治34年)、冬』
田(テイエン):支那人の役人
義和団の反乱:1900年(明治33年)-1901年(明治34年)。清朝末期の動乱(どうらん。世の中が乱れる)。外国人キリスト教宣教師と地元地域の人間が対立した。土地を巡る争いがあった。清軍と義和団は欧米列国と戦争になり清国が負けた。
高粱(コーリャン):イネ科の一年草。背の高いモロコシ
寛城子(クワンチヨンツ):長春市
コサック騎兵:ウクライナやロシアに存在していた軍事共同体
洋人(ヤンレン):西洋人。欧米人
周天佑(チョウテイエンヨウ):謎の登場人物。老害化した父親を事故死のように死なせた。
吝嗇(りんしょく):ケチ
科挙(かきょ):官僚登用試験。公務員試験
洪秀全(ホンシユウチユエン):清代の宗教家。革命家
小米(シヤオミー):もみがらを取り除く処理の途中で、砕けて粉のようになった米
老許(ラオシユウ):年寄りということか。
遼陽:中国遼寧省に位置する都市
説話人(シユウホワレン):物語を語る芸人
大足女:ていそく纏足(足を小さく見せる処理)をしていない女性
小褂子(シヤオクワツ):中国服。上着
熱力(ルオリー):本質。熱は命。人間は熱。熱がなくなったときが人間の死。熱をつくるのが、食糧と石炭。内側から発生する熱と外側で発生する熱
八卦の理(はっけのことわり):中国伝来の占い。八種類の形。理は、物事の道筋
ロシアの宣撫工作員(せんぶこうさくいん):被占領地の住民が従うよう、住民への援助を行う仕事を担当する。
大俄国木材公司司総管(ターウーグオムーツアイゴンスーツオングアン):ヤンリーガン楊日網の役職
『第四章 千九百五年(明治38年)、冬』
日露戦争の真っ最中です。
沙河(シヤーホー):川の名称。ロシア陸軍と日本陸軍の戦場
卜者:ぼくしゃ。占いをする人
城廠:読みは、「じょうしょう」でいいと思います。意味は、屋根だけの建物で、戦地の砦(とりで)だろうと思います。
谷津(やず):日本軍司令部の人間
旅順が陥落した。(ロシアが負けた)
于洪屯(ユウホントウン):中国遼寧省瀋陽市西部の地名
円匙(えんぴ):小型のシャベル
従卒(じゅうそつ):将校の身の回りの世話をする兵員。この本では、「間島隊員」
兵卒(へいそつ):最下級の軍人。この本では、「矢部隊員」
伏線の『軍刀』が出てきます。高木大尉にとっての西南戦争で死んだ父親の形見です。高木大尉が満州に来て6年が経過しています。
兵站(へいたん):物資の補給・輸送担当。この本では、「兵站司令官福田(のちに大尉)」
日露戦争における戦場での激しい殺人描写があります。
主人公だと思っていた人物が絶命してしまいました。
この物語は、群像劇なのだろうか。
時代の流れの中で、悲しくも消えていった人たちの姿を浮かび上がらせるという手法だろうか。
(つづく)
以夷制夷(いいせいい):外国を利用して、自国のために他国をおさえる。
梁山泊(りょうざんぱく):豪傑や野心家が集まる場所のたとえ。山東省に会った沼地の地名。盗賊や反乱軍の本拠地だった。「水滸伝(すいこでん。シエイシユウチユエン)」の主人公たちが立てこもった場所
靉陽辺門(あいようへんもん):日露戦争の戦地。中国遼寧省瀋陽市。このあたりで、輸送隊が誘拐された。
士官学校:士官(将校)を養成する学校(現在の防衛大学)
庇われている:かばわれている。
支那語の通訳:福田と細川、岡田
加藤少尉
黄(ホアン):支那人の密偵(みってい。スパイ)
花田総統
新開嶺:遼寧省か吉林省(きつりんしょう)の地名
便帽児(ビエンマオアル):中国で、ふだんかぶる帽子(儀礼用や軍用ではない)
奉天(ほうてん):現在の瀋陽市。奉天は、満州当時の地名
富順(フーシュン):瀋陽市にある地名
興安:中国東北部にある地名
団錬:中国の地元住民による自警組織
馬賊:馬の機動力を利用する盗賊集団
天門槍(テンメンチャン):団錬や馬賊が使う武器
射線:射撃の時の銃の向きの延長線
輜重車(しちょうしゃ):軍需品の輸送・補給に用いた車両。馬で引く木造の荷馬車
いろいろ意味を調べないと中身を理解できそうもない読書です。コツコツと少しずつ前に進んでいきます。
(つづく)
鍵を握るのは燃料となる『石炭』です。李家鎮(リージャジエン)には、石炭の鉱床がある。将来、炭鉱都市になりうる。(通訳細川の話として)石炭都市になったら地名を『仙桃城(シエンタオチヨン)』にしたい。仙桃は果実で、食べると不死身になれる。
尾形少佐
相手への恨み(うらみ)が、相手の戦死で、憎む者の気持ちが消化(あるいは、消火、昇華(高度な状態に抜ける))される。
『第五章 千九百九年、冬(明治42年)』
オケアノス:ギリシア神話に登場する海の神。万物の始まりとされる。(こちらの物語では、満州をオケアノスとして、『万物の始まり』になりえるかと問います。
果実:成果物。利益、金銭その他のもの。
ホメロス:古代ギリシアの詩人。紀元前8世紀末ころの人物らしい。
アレクサンドロス大王:古代に王
プラトン:古代ギリシアの哲学者。紀元前427年ころ―327年。ソクラテスの弟子
須野(すの):南満州鉄道株式会社、通称「満鉄」に報告書としての資料を提出する。東京本郷に住んでいる。大学の気象学研究者。
元木教授:須野の同僚
神託書(しんたくしょ):神の言葉、神の意思
新井:満鉄の歴史地理調査部所属
黄海(こうかい)にあるとされる青龍島(チンロンタオ):存在しない。
地図の話が出ます。歴史とか人物とかです。この物語の肝(きも。大事な部分)になるところでしょう。
まだ文字のなかった古代からです。地面に、獲物がいる場所を書く。雨で流れる。また書く。めんどうなので、今度は、石を掘って地図とする…… そのような流れです。
徴税のために地図を作成する。領土を広げるために地図をつくる。
マルコ・ポーロ―の『東方見聞録』が出てきます。読んだことがあります。
そのときの感想メモが残っています。
『全訳 マルコ・ポーロー東方見聞録 青木和夫訳 校倉書房』
初めて読みました。誤解がありました。マルコ・ポーローは冒険家で単独にてシルクロードを歩いた人ではありませんでした。時は日本の鎌倉時代、マルコはまだ15歳、父親と叔父と一緒に商売の旅にイタリアヴェニスからスタートしています。再びヴェニスに戻ってきたのは25年後、マルコは40歳に達しています。
記述の中にあるのはまるで映画の中の風景です。アジアの様子です。王がいて、一夫多妻制で、世襲です。支配する者の権力は強大です。一族内の権力闘争があって、毒殺がある。日本も同時期に同様な形態の社会がありました。国は発展して堕落の経過をたどり侵略や内戦によりやがて滅びていく。タルタル人、サラセン人、ジェノア人、アルメニア人、ジョルジャ人、トリシン人、カタイ人は今の何人なのかわからない。ドイツ人、フランス人、ユダヤ人、トルコ人はわかる。キリスト教、マホメットの宗教があって、偶像崇拝の宗教がある。
ここまで読んで、こちらの小説で宗教家が出てくるのですが、思うに、西洋人はまず、キリスト教という宗教で現地の人間を精神的に感化して(洗脳して。マインドコントロールして。感情・意識を操作誘導して)、その国の領土を手に入れる(植民地化する)という手法をとっていた。ゆえに、江戸幕府は、キリスト教を禁止したと考察できます。
古代ギリシア人:地中海の地図を作製した。
古代ローマのプトレマイオス:球体の地球を平面に描写した。
紙の上に『世界』を表現する。
宣教師たちは、測量技術を使って、地図をつくるようになった。
日本の伊能忠敬さん(いのう・ただたかさん)を思い出しました。
1745年-1818年 73歳没 1800年から1816年の17年間、日本各地を歩いて測量をした。本人56歳から測量が始まっています。
物語のポイントとして、『実在しない「青龍島(チンロンタオ)」が地図に描かれている』こと。
インバネス:男子用のコート。肩から胸にかけて、もう一枚布(ケープ)が付いている。(満鉄の通訳細川が着用していた)
高木慶子:寡婦(かふ。夫を亡くした女性)、長男正男5歳、その後須野と再婚して明男(あけお)が誕生する。亡高木大尉の妻。満鉄の職員になった須野(すの)と再婚する。スノ・アケオ:反対から読んで「アケオノス」(万物の始まり)
そうか…… という物語の仕組みが判明します。途切れたと思った糸が再びつながりました。
慧深(けいしん):1400年前の支那人僧侶。アメリカ大陸に渡った。
扶桑(ふそう):神木(しんぼく)。ハイビスカス
『満州の地図をつくって、日本の夢を書きこむ。満州に国家をつくる』(満州はまだだれものもでもなかった。清が滅び、中華民国が誕生していたが、満州の統治はできていなかった)
日本橋三越:先月10月のとある日に、建物の前を歩いたので、作中に出てきた名称を身近に感じます。
ニライカナイ:沖縄地方の話。海のかなたや海底に理想郷があって、そこをニライカナイという。信仰のひとつ。
青龍島:チンロンタオ
『第六章 千九百二十三年、秋(大正12年)』
関東大震災発災の年です。記述にも出てきます。
須野明男(すの・あけお):独特です。まだ、11歳です。伏線として、高橋大尉の軍刀。
懐中時計を与えられて、秒針の動きから時間の経過に強い興味と執着心をもつ。
9歳で温度計を与えられて、温度に異常なまでの興味を示す。狂気すら感じられます。
時計がなくても現在の時刻がわかるようになる。温度計がなくても、今の温度がわかるようになる。
11歳で風力計を与えられて、風力計がなくても風力がわかるようになる。
市谷台:いちがやだい。東京新宿区内。登場人物の男の子が通う士官学校がある。(熊太郎はたまたま先日、市ヶ谷にあるJICAジャイカ地球広場を見学したばかりなので、読んでいて縁を感じました。そばに防衛省の広い施設があります。
『第7章 千九百二十八年、夏(昭和3年)』
福田主計大佐
山井大尉(やまのいたいい)
京都帝国大学教授 一木教授(いちききょうじゅ)
三井物産 棚橋部長:背の高い白髪の男
松浦商会 横山(ヘアスタイルは、「震災刈り(七三分けなどの短いほうをより短く刈り込む)
満州にある関西商船が間借りしている三階建ての建物
ファサード:建物正面から見た外観
『日華青年和合の会』
『仙桃城炭鉱準備掛』(虹色の都市にする夢がある。満州民族、漢民族、日本人、ロシア人、朝鮮人、モンゴル人、国家や民族、文化の壁を越えて、みんなで手をとりあって生活する。新国家の建設が目標ですとあります。「最後の一色(221ページ)」とありますが、その一色は「死者」を表す。この土地の人のために、これまでに亡くなった人たちの霊魂を指す)
孫文。革命軍を率いる:1866年(日本では江戸時代末期)-1925年(大正14年)58歳没。中華民国の政治家、革命家
張作霖(ちょうさくりん):1875年(日本だと明治8年)-1928年(昭和3年)53歳没。中華民国の政治家。
蒋介石(しょうかいせき):1887年(日本だと明治20年)-1975年(昭和50年)87歳没。中華民国の政治家。初代中華民国総統。
土匪(どひ。土着の非正規武装集団。盗賊の類(たぐい))、政匪、商匪、学匪
跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ):いろいろな妖怪が夜中にうろつきまわること。
関東軍:大日本帝国陸軍のひとつ。日露戦争後、日本がロシアから引き継いだ土地を担当した。
炭鉱のことが出てきます。一時期は隆盛をきわめましたが、石油へのエネルギー革命で、急速に衰退化しました。以前、福岡県の飯塚市で歴史資料館の展示を見学しましたが、150年間ぐらいの経済活動だった記憶です。江戸時代末期から1970年代だったと思います。
『第八章 千九百三十二年、春(昭和7年)』
林銘伝(リンミンチユエン):60歳過ぎの男性。肉体労働者。日本人のための野球場をつくっている。元クラスニコフ神父のロシア語と中国語の中国人通訳。老林:ラオリン。「老」は、年長者に対する親しみがこめられている。若い頃は、ハルビンで奴隷売買をしていた。中国人をロシア人に売っていた。阿片(アヘン)を吸い遊女を買っていた。
仙桃城(シエンタオチヨン):地名。李家鎮(リージヤジエン)の変更後の地名
鶏冠山(ジークアリシヤン):山の名称
クラスニコフ神父:物語の初めの頃に登場したロシア人キリスト教会の神父。聖ヨハネ教会担当。聖ヨハネ教会は、教会とは名ばかりの粗末な小屋
東州河(トンチヨウホー):川の名称
孟(モン):林銘伝(リンミンチユエン)の親戚。通訳。孟の妻がロシアキリスト教の信徒
時代は少しずつ前に進んでいます。
奉天紅槍会(ほうてんホンチアンホエイ)の許春橋(シュウチユンチヤオ)
赤銃会(チーチヨンホエイ)の孫丞琳(ソンチヨンリン)。愛称が、孫百八姐(ソンバイパージエ)。孫悟空ソンウーコン(孫行者ソンシンジヨオ)の末子だが、父親の孫悟空を嫌っている。強く孫悟空を憎んでいる。(実は、孫悟空は父親ではない)。女性でダンサーをしている。
炭鉱で働いていた陳昌済(チエンチヤンジー)
先生:中国語の場合、日本語の「先生」の意味ではない。〇〇さんの「さん」という意味になる。
溥儀(プーイ):愛新覚羅溥儀(あいしんかくらふぎ)1906年(日本だと明治39年)-1967年(昭和42年)61歳没。中華圏最後の皇帝。ラストエンペラー。満州国の皇帝として即位。
東州路(トンチヨウルー):道路の名称かと思いましたが、区域ではなかろうかと判断しています。
石本:須野明男(すの・あけお)と同室者。女好き。
笠岡教授:東京帝国大学工学部建築学科担当。笠岡研究所担当
1932年(昭和7年)の設定です。満州国がこの年に成立して、終戦の1945年(昭和20年)まで続きます。
五色旗(ごしょくき):黄色を下地にして左上に、上から赤・藍・白・黒の旗。満州国の国旗
都邑計画(とゆうけいかく):都市計画。「邑」は、「村」のこと。
山査子(さんざし):落葉低木
満鉄の村越
張文貴(チヤウエンクイ):こども、男児。弟がふたりいる。須野明男(すの・あけお)が写真を撮る。その写真がきっと伏線になると予想します。隣に住むのが、「江(ジャン)」さん。
三国志:サングオジー
仙人(シエンレン):西方人(アジアから見て西の人)
古田:日本人警官。中年。優しい。
安井憲兵少尉
小明(シヤオン):須野明男(すの・あけお)のダンスの相手をした女性
トラブルが発生して荒れます。
下達(かたつ):上層部の命令を伝えること。
揶揄い:からかい
淡々と冷徹に、日本兵が中国人庶民を集めて大量虐殺をしたことが書いてあります。
イスラエルによるパレスチナガザ地区攻撃のようでもあります。
やらなければ、やられるという恐怖にかられているのです。
戦争の痛ましさがあります。
みせしめをしても、復讐心は消えるばかりか倍増します。
戦争は空しい(むなしい)。だれが戦争を主導しているのか。
『第九章 千九百三十二年、秋(昭和7年)』
安井:守備隊の憲兵。少尉
考古学者:いまのところ氏名不明
加納伍長(ごちょう):ニックネームは「将軍」
奉天紅槍会の許春橋(シユウチユンチヤオ)
甘粕(あまかす)民政部警務司長
読んでいて思い出す一冊があります。
赤塚不二夫さんの自伝です。
『これでいいのだ 赤塚不二夫自叙伝 文春文庫』
『戦中編(満州1)』
現在の北京市(ぺきんし)北東部にある古北口(こほくこう)生まれ。本籍は新潟市だそうです。 著者の父親が、特務警察官です。日本と対立する中国のゲリラ対策対応が業務のようです。ずいぶん危険そうな職業です。髭(ひげ)を生やして(はやして)いた。怖い人というイメージだったとあります。
黄河文明のことが少し書いてあります。
五族協和:満州、蒙古、回(イスラム教徒)、蔵(チベット民族)、漢民族
ひとり殺せば、何人でも殺せるようになるのか。
へんな話ですが、昔タクシーの運転手と話をしたときに、運転手が、浮気というものは、最初はためらうけれど、一度やってしまうと、何度でもやれるようになると聞いたことがあります。浮気でなくてもほかの罪悪感をもつようなことでも同様でしょう。基本的に人間なんてそんなものなのです。
『…… 上官の命令は、陛下の命令と同じだと教えられていた……』洗脳による意識操作(マインドコントロール)があります。他者の考えにだまされたり、依存したりしちゃだめです。自分の脳みそで考えなければだめです。
アナキスト:国家や宗教などの権威と権力を否定する。個人の合意で個人の自由が重視される社会を理想とする思想の人
邵康(シヤオカン):日本人による虐殺の生き残り。日本人に両親と祖母、ふたりの妹を殺された。兄は戦死した。
宋其昌(ソンチーチヤン)
韓(ハン):門番
王経緯(ワンジンウエイ):奉天抗日軍の連絡役を名乗る男(実は相手をだまして捕まえようとする組織の人間)
ロシアの言葉として、『キノコと名乗ったからには籠に入れ』(一度手をつけたら、最後までやり遂げなさいという教え)
耳に痛い言葉として、『日本人たちは、暴力によって他人を支配できると考えている。偽国家を作り、偽の法を作り、偽の王の力でこの地を征服しようとしている……』
ロシア人キリスト教神父に抗議があります。『あなたの言うように祈ったところで、何も起こりませんでした…… 戦うことでしか、私たちの意思を示すことはできません』(神よーーと 祈っても、戦争はなくならないのです)
須野正男:須野の長男。工兵として満州へ行く。工兵(軍人。技術的作業担当)
須野明男(すの・あけお):須野の次男。二十歳
張学良(ちょうがくりょう):1901年(日本だと明治34年)-2001年。ハワイホノルルにて100歳没。軍人、政治家。張作霖の長男。張作霖(ちょうさくりん):1875年(日本だと明治8年)-1928年(昭和3年)53歳没。中華民国の政治家。
犬養毅(いぬかいつよし)首相:1855年(江戸時代末期)-1932年(昭和7年)76歳没。五・一五事件で暗殺された。反乱目的で武装した陸海軍の将校たちが内閣総理大臣官邸で殺害した。
小明(シヤオミン):なになにちゃん、なになに君。細川が須野明男を呼ぶ時の言葉。
細川が満鉄を辞める。空席となった仙桃城工事事務所長の後任に、松浦商会の取締役で、「日華青年和合の会」の若手強硬派だった横山という三十代の男がなった。ロシアの大学を出たとびぬけた頭脳をもつ男だった。ただし、細川は横山を支持していなかった。
石原参謀(さんぼう)
319ページまで読みました。淡々と話が進んでいきます。山場があるようでありません。不思議です。今日は12月2日土曜日です。寒くなりました。
『第十章 一九三四年、夏(昭和9年)』
石本:須野明男の友人。東横線『代官山駅』の近くに住んでいる。
中川:石本と同じアパート、二階の手前の部屋に住んでいる。石本いわく、中川は千年に一度の秀才らしい。同潤会に就職した。石本と同じ高校の三年先輩。
コンター:等高線、輪郭線
フラット:集合住宅
同潤会(どうじゅんかい):財団法人。日本で初めての住宅供給組織。大正13年設立。大正12年の関東大震災の義援金で設立された。
リムスキー=コルサコフの『シェラザード』:1888年完成の交響組曲
ポール・ヴァレリーが『エウパリノス』の中で言っていた:フランスの詩人・小説家(1871-1945 73歳没)。代表作が、「エウパリノス」建築と音楽。哲学と舞踏論ほか。
エベネザー・ハワードの『明日の田園都市』:近代都市計画の祖。イギリスの社会改良家、都市計画家。1850-1928。78歳没。明日の田園都市は著作品。モダン(現代的、当世風)な都市計画の提唱者。レッチワースは、ハワードが手がけたロンドンの北にある田園都市
岸田先生、辰野金吾:建築家。辰野金吾氏は、日銀本店、東京駅、奈良ホテルなどをつくった。
笠岡教授:専門は防災
ル・コルビュジエ:スイス生まれでフランスで活躍した建築家。フランス語の論文として、「輝く都市」
伏線として、『アカシア』:『抽象的な都市生命学』
満州国三周年記念日の翌週、戦争構造学研究所記念祝賀会
千里眼ビルディング:正式名称は、東亜ビルディング。仙桃駅直結のビルディング。孫悟空の会社東亜公司が経営する。公司(こうし):中国で会社のこと。
仙桃城工事事務所長 横山
駐在員 村越
ファサード:建物の正面から見た外観
335ページ。戦争構造学研究所長の細川が、『地図と拳』というタイトルで講演を始めます。
地図は二人組でつくる。(測量)
イギリス人のメイソンとディクソン(アメリカ合衆国ペンシルベニア植民地とメリーランド植民地の境界線)
ルイスとクラーク(アメリカ合衆国西海岸)
カッシーニ親子(フランス。木星を使って経度の計測に成功した)
キムとラマ(英領インド)
漢人シーとホー(古代の天文学者)
ブーゲとコンダミン(フランス人。ペルーで測量)
三角測量を用いて測量する。
趣旨として、『国家とは、すなわり地図である。…… 大日本帝国は、台湾を手に入れ、朝鮮を手に入れた。』
もうひとつ、拳(こぶし)の趣旨として、『この世から「拳」はなくならない。地図があるから、「拳」はなくならない。世界は狭すぎる。人類が住める場所は狭い。だから人類は戦争をする。居住可能な土地を求めて戦う。東欧を統治する者は、ハートランド(ユーラシア大陸)を支配する。ハートランドを支配する者は、世界島(アフリカ大陸)を支配する。世界島を統治するものは全世界を支配する。(中国の政策一帯一路のようです)』
ユーラシアの東方にドイツがある。西方に日本がある。
昭和9年のことですが、戦争構造学研究所長の細川の頭の中には10年後の世界のことがあります。
今田:政治活動家。東京上野不忍池(しのばずのいけ)の近くにあるアパートに住んでいる。偽名が今田で、本名は、『鴨田直志(かもだ・なおし)』らしい。
K:今田が属する政治活動団体のトップ
石本が考える須野明男があります。
石本は、須野明男の都市計画能力に嫉妬しています。ライバル視です。
石本は、自分の代わりに須野明男の対抗馬として、中川を立てます。
革命:資本主義を共産主義に変える。
議会制度の否定:資本家にとって優位な制度だから。
ブルジョワ階級:資本家
プロレタリアート:賃金労働者階級。労働者、農民
石本は、共産党の末端組織「細胞」の活動に取り組み始めます。
石本は、『青年建築家同盟』を立ち上げます。建築を通じて世界を変える。考え方は共産主義的です。資本主義を否定する。戦争のない平和で平等な世界を実現する。機関紙が、『青春』
本のなかの時代は昭和10年(1935年)です。昭和ひとけたから10年あたりが、熊太郎の親世代が生まれたあたりです。昨年12月に九州に住む実母に会ってきました。もう90歳ぐらいです。耳は聞こえにくいようですが、おしゃべりは尽きません。いろいろ叱られるばかりです。黒柳徹子さんの世代です。戦争体験者はご苦労をされています。
仲間として、木内、須野明男、石本、中川、班長という肩書の人
須野明男は、昭和10年(1935年)に東京帝国大学を卒業した。まだ、ラジオはあるけれど、テレビはない時代です。昭和16年(1941年)12月から太平洋戦争に突入です。
美濃部達吉の天皇機関説:1873年(明治6年)-1948年(昭和23年)75歳没。法学者。天皇に主権があるとはしない。天皇は周囲の進言を受けながら国を統治する役割を果たす。(こちらの物語の中では、人民が「機関」の意味をとれず、「機関車」とか「機関銃」と理解しています)
干城(かんじょう):国を守る軍人
大元帥(だいげんすい):天皇
股肱(ここう):部下
埒があかない(らちがあかない):ものごとがいつまでたっても進まない。「埒(らち)」は、囲い。
イデオロギー:政治思想、社会思想
瓦解(がかい):一部の崩れから全部が崩れること。
青年建築家同盟:多い時で50人超え。大学教授、課長級の人物、若手建築家の集団。その後減少して、14人。編集長石本
赤:共産主義者、社会主義者
酒保(しゅほ):飲食物の売店(軍関係)
軍隊です。鉄拳制裁があります。(殴る(なぐる))
コミンテルン:国際共産主義運動の指導組織
美人局(つつもたせ):女を使って男をだまして男から金銭をせしめる。
拐帯(かいたい):預かっているお金を持ち逃げすること。
シンパ:共産主義への共鳴者。影で援助する。
ファシズム:労働階級を権力で押さえる。外国を侵略する。独裁主義。反対派を弾圧する。
橋本:2年兵。薬莢をなくした。やっきょう:鉄砲の発射薬を詰める容器。発射後、銃から排出される。
白澤:内務班の職員
転向:共産主義、社会主義をやめる。その思想を捨てる。
特務曹長(とくむそうちょう):陸軍の准士官。少尉と曹長の間。
償勤兵:軍法上の罪を犯した(おかした)兵員という意味だろうか。たとえば、脱走兵。
不寝番:夜通し寝ない出番をする人。役目
読んでいて、話の話題が小さいような気がします。370ページあたりです。
内閣総理大臣:須野正男(須野明男の兄)。明朗快活な好男子。中尉として満州に滞在中。
日本銀行総裁:石本
海軍大臣:赤石
仮想内閣→仮想閣議。昭和12年(1937年)5月初めのこと。
須野:須野明男の父。満鉄の仙桃城工事事務所の工科長。工科は、工業に関する学問。学科。
陸軍大臣:滝本
丸眼鏡の男:戦争構造学研究所の細川
仮想内閣で未来を推測する。
地政学研究班が導き出した『塘沽事変(とうこじへん)』をもとにして、日本政府の対応を考える。(仮想の塘沽事変(とうこじへん)が、現実の北支事変になる。盧溝橋事件(ろこうきょうじけん)1937年(昭和12年)7月7日)
国民党の蒋介石(しょうかいせき)と共産党の周恩来(しゅうおんらい)。
デュナミス:ギリシア哲学用語。『現状から発展する可能性のある選択のこと』未来の予想です。戦争になるかならないか。どちらが勝利するかなどです。
タングステン:金属。洗車の装甲、砲弾、対戦車弾に使われている。
須野明男:歩兵として、満州に来た。司令部勤務で、仙桃城の派出所で都市計画や建築に携わる。
須野正男:陸軍の命令で、北支へ行った。
『第十一章 一九三七年、秋(昭和12年)』
中川:昭和12年8月下旬赤紙(召集令状)を受け取った。盧溝橋事件が、7月7日だった。日本人はロシア人が敵だと思っていた。中国人が敵になってしまった。『K』は、中川だった。
多胡(たご):バイオリン弾き
銃の音についてです。
ドン:自分が銃を撃った時の音です。
パン:相手が銃を撃った時の音です。
ヒュン:相手が撃った銃弾が自分のそばをかすめて通過する音です。
塘沽沖(とうこおき):天津の南東にあたる。
天津(てんしん):北京の南南東に位置する国家中心都市
王口鎮(ワンコウジエン):天津の南南西にある土地。天津市の管轄
子牙河(ズーヤホー):河川
八貫:3.75kg×8=30kg
沙河橋鎮(シヤーホーチヤオジエン):天津市の南南西に位置する土地
海松色(みるいろ):海藻のようなくすんだ濃い黄緑色
微発(ちょうはつ):軍需物資を人民から強制的に取り立てる。
献県城(シエンシエンチヨン):天津の南南西に位置する土地
歩兵の役割:『行軍(こうぐん。軍隊が隊列を整えて移動すること)』と『突撃(喊声(喚き声)をあげて前進すること)』突撃とは、阿呆になり(あおうほうになり)、ただの機械になること。
孫丞琳(ソンチヨンリン):女性。孫悟空(ソンウーコン(孫行者(ソンシンジヨオ)))の娘。愛称『孫百八姐(ソンバイパージエ)』赤銃会(チーチヨンホエイ)のメンバー
小島:仙桃城守備隊第二中隊長
許春橋(シユウチユンチヤオ):奉天紅槍会。炭鉱襲撃の英雄
安井:守備隊の配属憲兵
宋其昌(ソンチーチヤン):守備隊に通訳としてもぐりこんだ。
八路軍(パールー):中国共産党軍。以前は、仙桃城紅軍((シエンタオチヨンホンジユン)
永陵街(ヨンリンジエ):仙桃城の東に位置する土地
邵康(シヤオカン):日本人による虐殺の生き残り。日本人に両親と祖母、ふたりの妹を殺された。兄は戦死した。
父親である孫悟空から娘である孫丞琳(ソンチヨンリン)への教えとして、『王は予言者に反論できなければならない』があります。予言者が王を支配していた。予言者だけが、お文字を読めた。
予言者のいいなりになってはいけない。王は、学ばなければならない。(権力者になる立場の人間は、学ばなければならない)
歴史や学問は、『声』によって、後世に伝えられてきた。師匠の教えを弟子が引き継いだ。
文字は、金勘定をするために生まれた。文字は、物語をつくために生まれたのではない。
最初に文字を使ってできた物語が、『聖書』だった。
ロシア人のクラスニコフ宣教師は、宣教師の職を失って、老人のホームレスのようにやつれはてています。彼は、地図をつくっている。
孫丞琳(ソンチヨンリン)と須野明男は再会しますが、孫丞琳(ソンチヨンリン)は須野明男を覚えていません。ふたりが以前会ったのは、1932年(昭和7年)3月2日、午後10時11分です。日本が経営する炭鉱が現地中国人グループに襲撃される直前でした。
中川
水島
戦争の悲惨さが、日本軍の中国における『行軍』行為として表現されています。
『戦争』は、人間を、『獣(けもの)』に変えます。この付近のシーンでは、日本軍の兵隊は、加害者です。侵略者です。
山岳地帯の鞍部(あんぶ):山の尾根のくぼんだところ。
展望哨(てんぼうしょう):遠くを見渡す見張り。
擲弾筒(てきだんとう):手りゅう弾を遠くに飛ばすための小型の火器
血路(けつろ):敵の囲みを破って逃げる道
山縣元帥(やまがたげんすい):山縣有朋(やまがた・ありとも)。長州藩。高杉晋作と奇兵隊を率いた。(たかすぎしんさくと、きへいたいをひきいた)。陸軍大将
日本男児の気象を示す:気質
414ページ付近を読んでいて、一冊の絵本のことを思い出しました。『百年の家 絵/ロベルト・インノチェンティ 作/J.パトリック・ルイス 訳/長田弘(おさだ・ひろし) 講談社』戦争がからんでいます。
アリストテレスの言葉があります。『よい人間とは何か。』アリストテレスは答えます。『「思慮(しりょ)である。注意深く、ものごとを様々な側面から考える。他人の立場を慮る(おもんばかる。相手のことを考えて相手のためになる仕事をする)』
平常時は建築の天才といわれた中川は、戦争で歩兵となり、中国大陸で銃撃戦を行い、自分はもう人間ではない。修羅(しゅら。バケモノ。インドの鬼の神)になったと悲しくなるのです。
『第十二章 一九三八年、冬(昭和13年)』
安井:憲兵中佐。須賀明男からカメラを取り上げた。
横山所長:今は奉天にいる。
ジュール・ブルデ:フランスの建築家
本多静六(ほんだ・せいろく):1866年(江戸時代末期。明治維新が1868年)-1952年(昭和27年)。85歳没。林学者。造園家。株式投資家。「公園の父」。投資で得た巨万の富を匿名で教育機関、公共機関に寄附した。日比谷公園を設計した。
1889年万国博覧会:明治22年フランスパリにて。第4回パリ万博
『光とは命である』『建築家は光を利用する』『闇とは想像力である』
ル・コルビュジエ:建築家。スイス生まれフランスで活躍した。
須野明男は、公園をつくることを決心する。
南京陥落:1938年(昭和13年)12月13日
近衛内閣(このえないかく):内閣総理大臣近衛文麿(このえ・ふみまろ)。第1次から第3次。
黄宝林(ホアンパオリン):別名として『黄司令(ホアンスーリン)』と呼ぶ。反日活動組織のトップ。常に砂時計を使用していて、自分自身の行動の時間の管理をしている。日本人に対する強烈な復讐心をもっている。
飛龍(フェイロン):軍馬の名前
牌布(パイプウ):布。ラシャ。毛織物
輜重係(しちょうかかり):軍隊で兵站(へいたん。物資に関しての支援担当)担当。手荷物係
『一切行動聴指揮(どんなときも指揮に従って行動せよ』『一切繳獲要帰公(得たものはすべてみんなのもの)』
『わたしたちの土地を取り戻しましょう』
惹句(じゃっく):キャッチフレーズ
須野明男のプランとして、『李家鎮公園(リージヤンエン公園)』の計画案
『燃えない土』は、コンクリートとの相性が良かった。
ゲニウス・ロキ:ローマ神話における土地の守護精霊。地霊。モニュメント(記念碑)は、公園に潜む魂を立ち上がらせるものでなければならない。
普請(ふしん):土木・建築工事 公共事業
アーキテクチャ:建築物。建築学。当初は、「造家(ぞうか)」という訳語だった。
『第十三章 一九三九年、夏(昭和14年)』
安井:憲兵中佐。この時点で激怒している。自分の『仙桃城再開発計画』をつぶされたことで怒っている。ヤブ医者の誤った治療で、7歳の弟が死んだときよりも怒っている。(おこっている)。計画の中止は中国人によるものではなく、日本人によるものだと判断している。しかし、表向きは中国人が悪いことになっている。満州で日本人が快適に暮らすことができる官舎をつくる予定だった。
治安課長:司令部から来た。
甘粕元司長(あまかすもとしちょう)
永陸街(エンリンジエ):地名
南清輪船公司(ナンチンルンチユアンゴンスー):船舶会社
不要停止!(プーヤオテインジイ):止まるな!
便衣兵:一般市民の服装をした兵員。民間人に変装している。
放下武器!(フアンシアウーチー):武器を捨てろ!
大旬子鎮(ターシユンヅジエン):地名。『偽機関銃作戦』を中国側の作戦として行う。
石本は仙桃城で2年間を過ごしていた。今は、昭和13年の冬。日支戦争は続いていた。
戸島製作所の鷺島(さぎしま)開発部長
大連中試の中村社長
仙桃城東精油工場の白鳥工場長
燃料廠(ねんりょうしょう。屋根だけで壁のない建物)の高島海軍中佐
石炭から石油へのエネルギーの変化の話があります。
この当時の判断として、『日米開戦の確率はそれほど高くはない』
中川は戦死した。
『第十四章 一九三九年、冬(昭和14年)』
城島源造(じょうしま・げんぞう):生まれつき恐怖心という感情が薄い。軍人になるとすぐ死んでしまうので、14歳で泥棒になった。おとなになって、『忍びの源』という名で呼ばれる大泥棒になった。満州で活動している。
男(おそらく細川)に頼まれて、書類の盗みをしている。仙桃城東精油工場から盗み出して、代わりの書類を置いて、そのあと、本物の書類を元の位置に戻している。憲兵安井の部屋からも盗みを依頼されたがあまりに危険なので断った。
掏摸:すり
虎臥(こが):虎が大地に伏せている。さらに、「竜跳虎臥(りゅうちょうこが):筆勢のこと。竜が跳ぶ、虎が伏せるような筆の勢い。
仙台に輸入されたプレス機:トランスファープレス機
煤都:読みは、「ばいと」か。石炭の煤(すす)。黒煙が立ち上る都市
『超高層の建築を実現するため、絶対に必要だった技術とは何だろうか?』→『エレベーターと空調機の発明だよ……』
昭和14年のこととして、赤石は、戦争において、日本の敗北を予言しています。
石本は、満州に残っている。
ノモンハン事件:モンゴルハルハ川付近。1939年(昭和14年)5月-9月。満州国とモンゴル人民共和国の境界線を巡って起きた衝突紛争。モンゴルを衛星国にしていたソビエト連邦と日本の紛争。ソ連とモンゴルが国境を維持した。
フランスがドイツに降伏した日:1940年(昭和15年)6月22日
隷下(れいか):指揮下
『「では、また」とここのまま別れたら、もう二度と正男と会うことができないような気がしていたのだった……』
8年6か月ぶりに、ダンスホールに行く。
タイガー・ラグ:ジャズ曲。1917年の曲
『昭和15年9月:ドイツはイギリスを空襲していた。日本軍は相変わらず支那と戦っていた……』
太平洋戦争の開戦が、(1941年)昭和16年12月8日ですが、登場人物たちは、日本の敗戦を予想しています。『戦争は始まっていなかったが、始まる前から終わっていたのである』
『第十五章 一九四一年、冬(昭和16年)』
須野明男の新しい職場:ソ連国境付近の永久要塞『虎頭要塞』虎頭鎮(フートウジエンにある。ソ連のシベリア鉄道が近い)
満州事変:昭和6年
橋頭堡(きょうとうほ):橋を守るための砦(とりで)
掩体(かんそくようえんたい):格納庫。射撃しやすくするための設備。敵の銃弾から守る設備
『建築はだれのものか→利用者のものである』須野明男は利用者にとってメリットのある建築物をつくりたいけれど、戦時中のため、強大な兵器のような建築物しかつくれないことに憤りを感じている。
ベトン:コンクリートのこと。フランス語
やるべきこととして、『巨大な不要物(満州国のこと)に使う建材を節約すること』
6月、ナチス・ドイツが不可侵条約を破ってソ連に侵攻した。
昭和18年4月、須野明男は、仙桃城に帰還する。兵舎の設計をする。
『誰かを殺すための施設を作ることは、建築家の仕事ではない。』
1941年(昭和16年)12月8日ハワイ真珠湾攻撃のあと、中国の組織は、日本軍が米軍に負けることを確信した。中国も同様に日本軍に勝つことを確信した。『勝利する未来が確定した。』とあります。
褲子(クーヅ):パンツ(ズボン)
戦争が人間を鬼に変えていきます。
『第十六章 一九四四年、冬(昭和19年)』
町野寿雄(まちの・ひさお):5歳のとき、父親が奉天で戦っていた。敵の銃弾に倒れて戦死した。現在、軍人。
仙桃城(シエンタオチヨン)という都市にある千里眼ビルディング(せんりがんビルディング)の8階で、孫悟空(ソンウーコン)は、5年間暮らしている。(ひっそりと隠れている)
海賊 バーソロミュー・シャープ:1702年52歳ぐらい没。イギリスの海賊。航海日誌を残した。
『昭和19年の冬は過去に例がないほど雪が降っていた。(満州にて)……』
笠岡教授が、雪解け水いっせい流れ出しによる洪水、水害を心配していた。
須野明男は、工事事務所に残っていた。
太平洋戦争は、『転進(戦地は南方へ。満州は置き去りにされた)』→『玉砕(ぎょくさい)という名の全滅』→日本本土へ空襲開始
ナチス・ドイツは近々滅びる。
『青龍島はなぜ地図に描かれたのだろうか(空想の場所。この世に存在しない)』
ガバヌーア・ケンブル・ウォレン将軍:
地図はキリスト教のためにつくられた。(権力者は、宗教を下地にして、人民の思想を管理し、領土を増やそうと試みたと受け取りました)。そのあと、船乗りのためにつくられた。(これも領土拡大目的でしょう)
なぜありもしない架空の島、『青龍島(青龍によって守護された理想郷)』が、昔の地図に存在したのか。
青龍島の北部の形は、モスクワ川の形からきている。
青龍島を描いたのは、ロシア人であろう。モスクワに縁があるロシア人であろう。
そのことを調べるために、旧サンクトペテルブルグ(現在のレニングラード)に行く。建設局の人の話を聞く。(戦争が終わって平和になるまでは行けない)
仙桃城が襲われる。
町野寿雄軍曹の右肩は銃弾が貫通する。
『1 撃つ時はなるべく敵に近づくな。相手の顔が見えないきゅおりで撃て。 2 怖くなったら俺の(上司の))顔を思い浮かべろ。俺に命令されたから撃つんだと自分に言い聞かせろ。 3 一人になるな』、『戦場では、銃弾を命中させることよりもずっと、引き金を引くことのほうが難しい……』
鹵獲(ろかく):戦場で敵の武器、弾薬、資材をぶんどること。
橋本:工兵(土木・建築・鉄道・通信担当の兵員)
『建築とは何か』:建築とは避難所である。人間は建築によって守られる。
国家とは、暴力から人間を守るためのもの。国家も建築といえる。
国家の図面を引くのも建築家の仕事だ。
もうひとつ。
『建築とは、「時間」だ』
『第十七章 一九四五年、夏(昭和20年)』
今日は、1月8日(月曜日・祝日・成人の日)です。ようやくこの物語を読み終えました。記録を見ると、読み始めは、昨年10月22日(日曜日)でした。毎日少しずつ読み続けてきての達成感があります。
嫌われ者の憲兵中佐安井です。
八月十五日、天皇陛下の敗北宣言がラジオから流れても信じません。偽情報だと言い張ります。興奮して暴れる安井を止める人間を殺そうとまでします。
『一億玉砕にうよる本土決戦は、米国を倒すための唯一の作戦である……(終戦後、日本にとって米国は一番の友好国になりました)』
ソ連が中立条約を破って満州へ進軍を始めたのが、終戦直前、昭和二十年八月九日(長崎原爆投下の日)でした。(ソ連は自分たちが利益を得るためには手段を選ばない国です。国のあり方として、何かが貧しい)
『陛下から賜った(たまわった)貴重な建築資材を盗むことが、愛国精神だと?』(洗脳されています。ふつうに考えて、おかしなことを言っています。人間の脳みそは思想教育によってここまで意思をコントロールされてしまうのか。人間の心は弱い)
本土と通化:日本国本土と満州国のこと。
ハラショー:ロシア語。「わかった」「良い」「了解」
新京:満州国の首都。現在の長春市
村越:満鉄の職員
アール・デコ風:欧米で1910年代から1930年代に流行った(はやった)装飾美術。例として、エンパイアステートビルディング。
村越と石本は、満州に残る。
ハイラル:内モンゴル自治区にある都市
『…… 建築をします』
『建築とは時間です。建築は人間の過去を担保します』(建築物を見ると人は過去を思い出すことができる。建築物が時間を繋ぐ(つなぐ))
(シーンは、最初のシーンに戻るようなパターンです。なかなかうまい)
『終章 一九五五年、春(昭和30年)』
読み終えて、建築の本でした。
戦争が背景にあるものの、建築家が建築物に気持ちを入れ込む本でした。
隈研吾さんの本を思い出しました。『建築家になりたい君へ 隈研吾(くま・けんご) 河出書房新社(かわでしょぼうしんしゃ)』
クラスニコフ神父の話が出ます。彼はすでに他界しています。
青龍島とクラスニコフ神父がつながります。
『地平線の向こうにも世界があることを知らなかったあなたへ(あなたは、満州仙桃城の地域(李家鎮)に住む中国人たちのことです。彼らが信じていた島が、「青龍島(理想郷、楽園)」です)』(住民に広い世界があることを知ってほしい)
青龍島をこれからつくる。都市をつくる。
読む前の予想に反して、淡々と静かに流れる歴史物語でした。読み終えて、すがすがしさが残りました。
かなりの長文になってしまいました。この文章全体を読める人は少ないでしょう。感想というより、内容を理解するための読書メモになりました。
気づきがありました。太平洋戦争は始まる前から、軍の関係者には、日米のどちらが勝つかわかっていたのです。それでも、権力者たちは、無理やりに、勝てもしない戦いを米国に挑んでいったのです。死ななくてもいい人がたくさん死んでいきました。それが良かったのか悪かったのかは自分にはわかりません。戦争にならなかったとしても、日本が植民地化されていたということもあるのかもしれません。人間がやることは完ぺきではないということは理解できました。
2024年01月15日
東野・岡村の旅猿 四度(よたび) インドの旅
東野・岡村の旅猿 24 ~プラベートでごめんなさい~ 『四度(よたび) インドの旅』 fulu(フールー)とかTVer(ティーバー)とか。
岡村隆史さんは、右足アキレスけん断裂のため今回の旅行はパスです。インド料理店で、東野幸治さんのインドひとり旅を映像で観ながらコメントする立場で参加だそうです。おだいじにしてください。(この番組の放送回シリーズが終わるころには治っているかもしれません)
東野さんだけで、インド旅です。南インドを訪問するそうです。寺院・遺跡巡りを目的にして、南インドのチェンナイ国際空港からスタートです。
インドは10年ぶりぐらいだそうです。
初期のころの旅猿インド訪問は楽しかった。15年ぐらい前になるかと思います。まだ充電バイクが始まる前の出川哲朗さんも参加して、三人のインド旅行は、路線バスでインド人に囲まれたり、狭くて安い宿で泊まったりして、歓楽街で、部屋の外は一晩中騒がしいホテルでした。
もうめちゃくちゃで、出川哲朗さんは牛のうんこを踏ん付けて、うんこがついた臭い靴を履いたまま移動して、珍道中で見ていて爆笑しました。
東野さんは、Tシャツにジーンズで、サンダル履きの姿です。OKです。思うに、海外旅行で、いいかっこうをしていくと、どろぼうさんに狙われそうになります。(ねらわれそうになります)
カジュアル(普段着)なかっこうのほうが安全です。
インダス川で沐浴(もくよく。祈りながら川につかる)するそうです。岡村さんの足が治りますようにとお祈りします。
もうひとつの目的として、南インド料理を楽しむそうです。(じっさいの沐浴は、インダス川ではなく海でした)
タクシー関係者との交渉は英語と日本語混じりです。むかしみたいに乗車料金を値切る交渉は、今どきは嫌がられているようです。
運転手が同じことを何回も東野さんに聞きますが、東野さんの耳には、『あおもり、あおもり』としか聞こえていないそうです。運転手は、『How many days stay here?』と言っているようにわたしには聞こえます。映像では、スタッフの声がして、ようやく通じました。何日ここにいるのか? です。2・3日だそうです。
バザール(市場)の場所を訪れます。ここでも東野さんは勘違いをします。
牛と男性ふたり、女性ひとりがいます。男性のひとりが長い縦笛の楽器を吹きます。コブラの踊りのときに吹くような音色です。牛が、犬がお手をするように右前足を上げます。大道芸です。
東野さんは、牛に乗って周辺の観光案内をする企画だと誤解をして、相手にお金を払えないと主張します。相手も内心怒っています。
また、スタッフの助けがあって、少しお金を払ってことなきを得ました。
ロケの背景で時折聞こえる車のクラクションが激しい。インドらしい。
カレー専門店で食事です。
東野さんがおいしいと満足されています。
食べ方がむずかしい。からい(辛い)けれどおいしい。
指で米をつまんで食べるのは、自分はイヤです。
(次回へつづく)
ビーチでイザコザが発生するそうです。
うーむ。力の入らないロケでした。
砂浜から海までがはるかに遠い。
乗馬の料金のごたごたと番組ロケスタッフのやる気のなさ(暑くて、砂の上の乗馬撮影でやりにくい)もいたしかたありませんでした。
クリシナのバターボールという今にも転がり落ちそうな大きな岩の映像も、まあ、そういうこともありそうかなで、そのあとの、おみやげのサルのお面は不気味で、映像を観て、ぜひそこへ行ってみたいと思うものではありませんでしたが、映像を観て、行った気分にはなれました。
(次の3週目です)
スペシャルゲストが、ジミー大西さんです。最近知ったのですが、東京ドームのそばにできた新しい劇場のロゴをジミー大西さんがつくられたそうです。(現在、明石家さんまさんと俳優さんたちで、聖徳太子の劇をやられています)
IMM THEAYER(アイエムエム シアター)という劇場の名称です。
IMMの意味は、『生きてるだけでまるもうけ』というさんまさんの言葉からとってあるようです。
さんまさんは、昭和60年(1985年)に起きた日航ジャンボ機の御巣鷹山墜落事故で墜落したジャンボに乗っていたかもしれなかったそうです。東京から大阪へ行くのに、仕事が早く終わったので、飛行機をその飛行機より早いものに変更して命拾いされています。
娘さんのいまるさん(IMALUさん)の名前の由来も、「生きてるだけでまるもうけ」という意味のようです。お母さんの大竹しのぶさんにとっては、「今を生きる」からきているそうです。
つらいときでも生きてるだけでまるもうけ。「生きていればたまには幸せだなあと思うことがあるじゃないか」とフーテンの寅さんで、渥美清さんの言葉もありました。
さて、旅猿のほうは、ちょっとかわいそうな東野幸治さんの映像でした。
2時間のスパ(マッサージ)は、ちょっとひどい映像でした。細いふんどし一枚であそこを隠し、すっぽんぽんで男ふたりに体中をこねくりまわされて、折檻(せっかん。厳しく肉体を苦しめる)のようなマッサージでした。東野さんは、みっともないかっこうをさらしています。とても心と体をいやすマッサージとは思えませんでした。インドらしいのかもしれませんが、術後のシャワーもなく、小さな手桶でバケツの水をくんで自分の体にかけておられました。(後日ベッキーさんが、あんなひどいマッサージではないと説明されていました。ちゃんと心身に良いそうです)
夕食は、ビリヤニという炊き込みご飯でした。右手の指でつまんで口へもっていきます。
ちょっとわたしに無理です。
ホテルはいいホテルで良かった。
東野さんは、体を壊しそうな一日でした。お疲れさまでした。
東京で、映像を観ている岡村さんとジミー大西さんはもめていました。
どうも、ジミー大西さんが、この仕事が終わっても、新幹線で大阪に帰ることができる時間なのに、撮影会社の経費でホテルに泊まるようです。それを岡村さんがとがめています。自費で宿泊してほしいものです。ジミー大西さんは、あまり仕事がなくヒマなようです。
(放送は、次週へつづく)
今回の放送映像では、『宗教』について考えました。
インドですから、ヒンドゥー教です。神さまは牛だったっけ? ネットで解説を読みましたがよくわかりません。宗教という狭い意味ではなく、インドの慣習だそうです。牛は神さまではなく、神さまの使いだそうで、神さまは複数おられるそうです。
東野幸治さんは、今回の放送でふたつの寺院に参拝します。相方の岡村さんの足のケガが治りますようにを目的として祈願します。
最近放送されるパレスチナガザ地区とかイスラエルの映像を観ていて自分が思うことです。
イスラムの人たちは、一日に何回も神さまにお祈りをするけれど、結局、『平和』は訪れない。『戦争』で、たくさんの人たちが亡くなっていく。とくに、女性とこどもさんが亡くなっていく。叱られるかもしれませんが、『宗教』が、対立の下地になっているのではないか。
宗教=教育のようなもので、人民を教育して、人民の言動や思考を管理して、国を統治していく。国家の維持と、一部の権力者の権力維持と保護のために、『宗教』が利用されているのではないか。
そして、いつも犠牲になっていくのは、弱者の立場である人民です。女性とこどもたちです。老齢者と障害者です。なにか変です。
東京での撮影シーンでは、外国でのお金の支払いのしかたの話になって、喫茶店で映像を観ている岡村隆史さんとジミー大西さんが、小学生程度の算数の問題を、3分間で10問解くチャレンジをしました。
正解数は、岡村さんが5問で、ジミー大西さんが3問でした。算数ができないおふたりですが、才能と努力で働いて稼いでおられます。学校教育ってなんだろうと思ってしまうのです。学歴がなくても稼げます。学力がなくても働けます。
学校教育というのは、学校教育関係者が食べていくためと学校教育組織の維持のためにあるのではないかと思ってしまうのです。一部の人が必要なだけなのかもしれません。『学び』は学校以外でもできたりもします。
ロケ日は、インドのお祭りの日なので(10月末から11月始め)、路上で花火がパンパンと破裂します。銃撃の音に聞こえます。恐ろしい(おそろしい)。怖い(こわい)。
東野さんは、朝食をビュッフェ(バイキング)でいただきます。
カレーとか、パンとか、トウモロコシとか、クリームシチューっぽいものとか。
おいしいそうです。
飛行機でインドの南に移動して訪れたマドウィという街は、途中の自動車専用道路のような道路はきれいだったのですが、市街地に入ると、道の上はゴミだらけです。ゴミの量がすごい。道路の両側にゴミがいっぱいです。
バイクは5人乗り、4人乗りをしています。交通法規はないのか。あっても守らないのか。危険です。取り締まるほうの人数がいないのかもしれません。
ここまで、今回のロケでは、演者・スタッフだけが日本人で、ほかの日本人には一度も会っていません。本物のインドに来た感じです。
東野さんは、自分と岡村さんのおみやげに、東野さんのシンボルカラーである黄緑色のベルト、岡村さんのシンボルカラーであるピンクのベルトを買いました。2本合わせても安い。数百円だったと思います。
おみやげのピンクのベルトは短い。岡村さんのウェストに合わせてかったベルトです。ジミー大西さんの笑いのツボに、『岡村さんのサイズ「特小」があります』どうして、笑えるのかわからないのですが、ジミーさんは大笑いが止まらなくなります。不思議です。
(次週に続く)
やはり東野幸治さん一人だけの演者旅だともの足りない。スケジュールの消化のような経過をたどっています。
今回のゲストは、ベッキーさんで、自分は東野さんのファンではありませんというような言動から始まります。無理もありません。ベッキーさんはこれまで何度も旅猿に出演して番組に貢献されていますが、東野・岡村のふたりからは、ゲストとしての扱いではなく、いじめられるキャラクターとして扱われていました。いつも、運転手扱いで、ベッキーさんがハンドルを握って移動していました。(ただ、ベッキーさんはレンタカーで、マニュアルギアの車しか運転できないということもありました)。
ベッキーさんは海外旅行の経験が豊富だそうですが、インドには行ったことがないそうです。でも、最近南インド料理には、はまっているそうです。
東野幸治さんはインドの雑踏を歩いています。銃声のような音が連発です。(爆竹の音。お祭りの時期だから)。東野さんが現地のようすをレポートしてくれます。ひとりでよくがんばっています。
商店で洋服のショッピングをします。じゅうたんを見学したりもします。
緑色のTシャツは汗臭くなっていて暑いそうです。白いカッターシャツを買ってさっそく着用して、涼しいとうれしそうです。
岡村さんにはピンク色の洋服を買いました。インド料理店で動画を観ている岡村さんがそのピンクの衣装を着用しました。林家ぺーさんみたいになりました。
(次週、最終回に続く)
二泊三日のけっこう強行スケジュールのインド旅のようです。
山並みと夕陽の景色がいいレストランで早めの夕食をとられました。スープとフィッシュカレーでした。
東野さんは、インドの偉人ガンジーさんがかけるような丸眼鏡をかけておられます。
東野さんは、最後の日の早朝(夜明け前午前5時過ぎ)に海で沐浴(もくよく)のロケです。
海の近くのホテルに行くまでが車で3時間かかります。途中、知らない人たちに仲間入りさせてもらって打ち上げ花火を楽しみました。
打ち上げ花火の色も音も火花の勢いもすごい。
バーン!! 大迫力です。自分で点火する打ち上げ花火でした。東野さんとスタッフは、だれだかわからない現地インド人の人たちに点火をやらせてくれと頼んでやらせてもらいました。
映像を観ていたベッキーさんが、アーユルヴェーダというマッサージが、女性のあこがれなのに、東野さんが受けた同マッサージの映像がひどいものだったと苦言を出されました。
そういうものなのか。すっぽんぽんの裸になって、男二人にオイルまみれの両手のひらでからだじゅうをなでられて…… (ワタシには無理です)
翌朝、東野さんが、ホテルの部屋から出られません。ドアを内側からどうやってあけていいかわからなかったそうです。(そういうものなのか)番組スタッフが、外から鍵で開けました。
ベッドには掛布団がなかったそうです。(これも、そういうものなのか)
ナマステ(おはよう、こんにちは、こんばんは、さようならなどのあいさつ用語)
ヒンドゥー教のこととして、インドの北の人はガンジス河で沐浴(もくよく。体を清める。神に祈る)をする。南の人は海で沐浴をするそうです。
ロケ地『ラメスワラム』はまだ夜明け前なのにたくさんの人たちが海をめざして歩いています。宗教の力ってすごいなあ。教えによる意思のコントロールがあります。
東野さんが、岡村さんにスマホで電話をかけてビデオ通話にチャレンジしました。岡村さんはちょうどお子さんの学校見学中だったそうでそわそわされていました。(学校というより幼稚園の見学のように思えました)
東野さんがお願いしたことです。
1 岡村さんの足が早く治りますように。(あとで、岡村さんがあと1週間で治るようなことを言っておられました)
2 岡村さんのお子さんが希望の幼稚園に行けますように。
3 東野幸治が幸せになれますように。
4 『旅猿』が一日も長く続きますように。
海の中で東野さんの隣にいたインド人の方も東野さんといっしょに海面を上下してお祈りをしてくれました。インドの人たちは人懐こい。(ひとなつこい)
エンディング(最後のシーン)は、20円のチャイ(ミルクティーのようなもの)を飲みながらのごあいさつでした。背景の海には、たくさんの船が浮かんでいました。お疲れさまでした。
岡村隆史さんは、右足アキレスけん断裂のため今回の旅行はパスです。インド料理店で、東野幸治さんのインドひとり旅を映像で観ながらコメントする立場で参加だそうです。おだいじにしてください。(この番組の放送回シリーズが終わるころには治っているかもしれません)
東野さんだけで、インド旅です。南インドを訪問するそうです。寺院・遺跡巡りを目的にして、南インドのチェンナイ国際空港からスタートです。
インドは10年ぶりぐらいだそうです。
初期のころの旅猿インド訪問は楽しかった。15年ぐらい前になるかと思います。まだ充電バイクが始まる前の出川哲朗さんも参加して、三人のインド旅行は、路線バスでインド人に囲まれたり、狭くて安い宿で泊まったりして、歓楽街で、部屋の外は一晩中騒がしいホテルでした。
もうめちゃくちゃで、出川哲朗さんは牛のうんこを踏ん付けて、うんこがついた臭い靴を履いたまま移動して、珍道中で見ていて爆笑しました。
東野さんは、Tシャツにジーンズで、サンダル履きの姿です。OKです。思うに、海外旅行で、いいかっこうをしていくと、どろぼうさんに狙われそうになります。(ねらわれそうになります)
カジュアル(普段着)なかっこうのほうが安全です。
インダス川で沐浴(もくよく。祈りながら川につかる)するそうです。岡村さんの足が治りますようにとお祈りします。
もうひとつの目的として、南インド料理を楽しむそうです。(じっさいの沐浴は、インダス川ではなく海でした)
タクシー関係者との交渉は英語と日本語混じりです。むかしみたいに乗車料金を値切る交渉は、今どきは嫌がられているようです。
運転手が同じことを何回も東野さんに聞きますが、東野さんの耳には、『あおもり、あおもり』としか聞こえていないそうです。運転手は、『How many days stay here?』と言っているようにわたしには聞こえます。映像では、スタッフの声がして、ようやく通じました。何日ここにいるのか? です。2・3日だそうです。
バザール(市場)の場所を訪れます。ここでも東野さんは勘違いをします。
牛と男性ふたり、女性ひとりがいます。男性のひとりが長い縦笛の楽器を吹きます。コブラの踊りのときに吹くような音色です。牛が、犬がお手をするように右前足を上げます。大道芸です。
東野さんは、牛に乗って周辺の観光案内をする企画だと誤解をして、相手にお金を払えないと主張します。相手も内心怒っています。
また、スタッフの助けがあって、少しお金を払ってことなきを得ました。
ロケの背景で時折聞こえる車のクラクションが激しい。インドらしい。
カレー専門店で食事です。
東野さんがおいしいと満足されています。
食べ方がむずかしい。からい(辛い)けれどおいしい。
指で米をつまんで食べるのは、自分はイヤです。
(次回へつづく)
ビーチでイザコザが発生するそうです。
うーむ。力の入らないロケでした。
砂浜から海までがはるかに遠い。
乗馬の料金のごたごたと番組ロケスタッフのやる気のなさ(暑くて、砂の上の乗馬撮影でやりにくい)もいたしかたありませんでした。
クリシナのバターボールという今にも転がり落ちそうな大きな岩の映像も、まあ、そういうこともありそうかなで、そのあとの、おみやげのサルのお面は不気味で、映像を観て、ぜひそこへ行ってみたいと思うものではありませんでしたが、映像を観て、行った気分にはなれました。
(次の3週目です)
スペシャルゲストが、ジミー大西さんです。最近知ったのですが、東京ドームのそばにできた新しい劇場のロゴをジミー大西さんがつくられたそうです。(現在、明石家さんまさんと俳優さんたちで、聖徳太子の劇をやられています)
IMM THEAYER(アイエムエム シアター)という劇場の名称です。
IMMの意味は、『生きてるだけでまるもうけ』というさんまさんの言葉からとってあるようです。
さんまさんは、昭和60年(1985年)に起きた日航ジャンボ機の御巣鷹山墜落事故で墜落したジャンボに乗っていたかもしれなかったそうです。東京から大阪へ行くのに、仕事が早く終わったので、飛行機をその飛行機より早いものに変更して命拾いされています。
娘さんのいまるさん(IMALUさん)の名前の由来も、「生きてるだけでまるもうけ」という意味のようです。お母さんの大竹しのぶさんにとっては、「今を生きる」からきているそうです。
つらいときでも生きてるだけでまるもうけ。「生きていればたまには幸せだなあと思うことがあるじゃないか」とフーテンの寅さんで、渥美清さんの言葉もありました。
さて、旅猿のほうは、ちょっとかわいそうな東野幸治さんの映像でした。
2時間のスパ(マッサージ)は、ちょっとひどい映像でした。細いふんどし一枚であそこを隠し、すっぽんぽんで男ふたりに体中をこねくりまわされて、折檻(せっかん。厳しく肉体を苦しめる)のようなマッサージでした。東野さんは、みっともないかっこうをさらしています。とても心と体をいやすマッサージとは思えませんでした。インドらしいのかもしれませんが、術後のシャワーもなく、小さな手桶でバケツの水をくんで自分の体にかけておられました。(後日ベッキーさんが、あんなひどいマッサージではないと説明されていました。ちゃんと心身に良いそうです)
夕食は、ビリヤニという炊き込みご飯でした。右手の指でつまんで口へもっていきます。
ちょっとわたしに無理です。
ホテルはいいホテルで良かった。
東野さんは、体を壊しそうな一日でした。お疲れさまでした。
東京で、映像を観ている岡村さんとジミー大西さんはもめていました。
どうも、ジミー大西さんが、この仕事が終わっても、新幹線で大阪に帰ることができる時間なのに、撮影会社の経費でホテルに泊まるようです。それを岡村さんがとがめています。自費で宿泊してほしいものです。ジミー大西さんは、あまり仕事がなくヒマなようです。
(放送は、次週へつづく)
今回の放送映像では、『宗教』について考えました。
インドですから、ヒンドゥー教です。神さまは牛だったっけ? ネットで解説を読みましたがよくわかりません。宗教という狭い意味ではなく、インドの慣習だそうです。牛は神さまではなく、神さまの使いだそうで、神さまは複数おられるそうです。
東野幸治さんは、今回の放送でふたつの寺院に参拝します。相方の岡村さんの足のケガが治りますようにを目的として祈願します。
最近放送されるパレスチナガザ地区とかイスラエルの映像を観ていて自分が思うことです。
イスラムの人たちは、一日に何回も神さまにお祈りをするけれど、結局、『平和』は訪れない。『戦争』で、たくさんの人たちが亡くなっていく。とくに、女性とこどもさんが亡くなっていく。叱られるかもしれませんが、『宗教』が、対立の下地になっているのではないか。
宗教=教育のようなもので、人民を教育して、人民の言動や思考を管理して、国を統治していく。国家の維持と、一部の権力者の権力維持と保護のために、『宗教』が利用されているのではないか。
そして、いつも犠牲になっていくのは、弱者の立場である人民です。女性とこどもたちです。老齢者と障害者です。なにか変です。
東京での撮影シーンでは、外国でのお金の支払いのしかたの話になって、喫茶店で映像を観ている岡村隆史さんとジミー大西さんが、小学生程度の算数の問題を、3分間で10問解くチャレンジをしました。
正解数は、岡村さんが5問で、ジミー大西さんが3問でした。算数ができないおふたりですが、才能と努力で働いて稼いでおられます。学校教育ってなんだろうと思ってしまうのです。学歴がなくても稼げます。学力がなくても働けます。
学校教育というのは、学校教育関係者が食べていくためと学校教育組織の維持のためにあるのではないかと思ってしまうのです。一部の人が必要なだけなのかもしれません。『学び』は学校以外でもできたりもします。
ロケ日は、インドのお祭りの日なので(10月末から11月始め)、路上で花火がパンパンと破裂します。銃撃の音に聞こえます。恐ろしい(おそろしい)。怖い(こわい)。
東野さんは、朝食をビュッフェ(バイキング)でいただきます。
カレーとか、パンとか、トウモロコシとか、クリームシチューっぽいものとか。
おいしいそうです。
飛行機でインドの南に移動して訪れたマドウィという街は、途中の自動車専用道路のような道路はきれいだったのですが、市街地に入ると、道の上はゴミだらけです。ゴミの量がすごい。道路の両側にゴミがいっぱいです。
バイクは5人乗り、4人乗りをしています。交通法規はないのか。あっても守らないのか。危険です。取り締まるほうの人数がいないのかもしれません。
ここまで、今回のロケでは、演者・スタッフだけが日本人で、ほかの日本人には一度も会っていません。本物のインドに来た感じです。
東野さんは、自分と岡村さんのおみやげに、東野さんのシンボルカラーである黄緑色のベルト、岡村さんのシンボルカラーであるピンクのベルトを買いました。2本合わせても安い。数百円だったと思います。
おみやげのピンクのベルトは短い。岡村さんのウェストに合わせてかったベルトです。ジミー大西さんの笑いのツボに、『岡村さんのサイズ「特小」があります』どうして、笑えるのかわからないのですが、ジミーさんは大笑いが止まらなくなります。不思議です。
(次週に続く)
やはり東野幸治さん一人だけの演者旅だともの足りない。スケジュールの消化のような経過をたどっています。
今回のゲストは、ベッキーさんで、自分は東野さんのファンではありませんというような言動から始まります。無理もありません。ベッキーさんはこれまで何度も旅猿に出演して番組に貢献されていますが、東野・岡村のふたりからは、ゲストとしての扱いではなく、いじめられるキャラクターとして扱われていました。いつも、運転手扱いで、ベッキーさんがハンドルを握って移動していました。(ただ、ベッキーさんはレンタカーで、マニュアルギアの車しか運転できないということもありました)。
ベッキーさんは海外旅行の経験が豊富だそうですが、インドには行ったことがないそうです。でも、最近南インド料理には、はまっているそうです。
東野幸治さんはインドの雑踏を歩いています。銃声のような音が連発です。(爆竹の音。お祭りの時期だから)。東野さんが現地のようすをレポートしてくれます。ひとりでよくがんばっています。
商店で洋服のショッピングをします。じゅうたんを見学したりもします。
緑色のTシャツは汗臭くなっていて暑いそうです。白いカッターシャツを買ってさっそく着用して、涼しいとうれしそうです。
岡村さんにはピンク色の洋服を買いました。インド料理店で動画を観ている岡村さんがそのピンクの衣装を着用しました。林家ぺーさんみたいになりました。
(次週、最終回に続く)
二泊三日のけっこう強行スケジュールのインド旅のようです。
山並みと夕陽の景色がいいレストランで早めの夕食をとられました。スープとフィッシュカレーでした。
東野さんは、インドの偉人ガンジーさんがかけるような丸眼鏡をかけておられます。
東野さんは、最後の日の早朝(夜明け前午前5時過ぎ)に海で沐浴(もくよく)のロケです。
海の近くのホテルに行くまでが車で3時間かかります。途中、知らない人たちに仲間入りさせてもらって打ち上げ花火を楽しみました。
打ち上げ花火の色も音も火花の勢いもすごい。
バーン!! 大迫力です。自分で点火する打ち上げ花火でした。東野さんとスタッフは、だれだかわからない現地インド人の人たちに点火をやらせてくれと頼んでやらせてもらいました。
映像を観ていたベッキーさんが、アーユルヴェーダというマッサージが、女性のあこがれなのに、東野さんが受けた同マッサージの映像がひどいものだったと苦言を出されました。
そういうものなのか。すっぽんぽんの裸になって、男二人にオイルまみれの両手のひらでからだじゅうをなでられて…… (ワタシには無理です)
翌朝、東野さんが、ホテルの部屋から出られません。ドアを内側からどうやってあけていいかわからなかったそうです。(そういうものなのか)番組スタッフが、外から鍵で開けました。
ベッドには掛布団がなかったそうです。(これも、そういうものなのか)
ナマステ(おはよう、こんにちは、こんばんは、さようならなどのあいさつ用語)
ヒンドゥー教のこととして、インドの北の人はガンジス河で沐浴(もくよく。体を清める。神に祈る)をする。南の人は海で沐浴をするそうです。
ロケ地『ラメスワラム』はまだ夜明け前なのにたくさんの人たちが海をめざして歩いています。宗教の力ってすごいなあ。教えによる意思のコントロールがあります。
東野さんが、岡村さんにスマホで電話をかけてビデオ通話にチャレンジしました。岡村さんはちょうどお子さんの学校見学中だったそうでそわそわされていました。(学校というより幼稚園の見学のように思えました)
東野さんがお願いしたことです。
1 岡村さんの足が早く治りますように。(あとで、岡村さんがあと1週間で治るようなことを言っておられました)
2 岡村さんのお子さんが希望の幼稚園に行けますように。
3 東野幸治が幸せになれますように。
4 『旅猿』が一日も長く続きますように。
海の中で東野さんの隣にいたインド人の方も東野さんといっしょに海面を上下してお祈りをしてくれました。インドの人たちは人懐こい。(ひとなつこい)
エンディング(最後のシーン)は、20円のチャイ(ミルクティーのようなもの)を飲みながらのごあいさつでした。背景の海には、たくさんの船が浮かんでいました。お疲れさまでした。
2024年01月12日
熱海殺人事件 邦画 1986年
熱海殺人事件 邦画 1986年(昭和61年) 1時間57分 動画配信サービス
俳優塩見三省さんの本『歌うように、伝えたい 人生を中断した私の再生と希望 塩見三省(しおみ・さんせい) 角川春樹事務所』を読んでこの映画を観ることにしました。
原作は、つかこうへいさんという方です。(2010年(平成22年)62歳没)
16歳高校生だった頃、福岡県から大分県日田市に行く途中に位置する馬見・屛・古処(うまみ・へい・こしょ。馬見山(うまみやま)・屛山(へいざん)・古処山(こしょさん))と連なる(つらなる)みっつの山の尾根付近を縦走(じゅうそう)したことがあります。
つかこうへんさんという方が、馬見山のふもとにある地域の出身だと聞いたのは、成人してだいぶたってからでした。
昨年は、俳優の瀬戸康史さんが、お友だちとそのあたりを散策している旅番組をBS放送で見てなつかしくもありました。
『熱海殺人事件』という言葉は若い頃に聞いたことがありますが、映画を観たのは今回が初めてです。
静岡県熱海で工員が女性を絞め殺したという設定から始まります。熱海には何度か行ったことがあるので、海岸あたりの風景を思い出しながら映画の中の事件を想像しました。
映像は非常識な思考から入ります。犯人(容疑者)と警察職員が、トランプの賭けで殺人の刑期を決めようとしています。
刑務所内では、どういうわけか、囚人(大滝秀治さん)のほうが、刑務所の職員よりも立場が偉い。逆転しています。
演者の方たちが若い。仲代達也さん(現在91歳。映画公開当時53歳)、風間杜夫さん(かざまもりおさん。現在74歳。当時37歳)、志穂美悦子さん(現在68歳。当時30歳)、大滝秀治さん(おおたきひでじさん。(2012年(平成24年)87歳没。当時61歳)
映像に出てくる車の型が古い。もう今から37年ぐらい前の車です。
志穂美悦子さんが若い。役柄としての志穂美さんが、あさってが結婚式というような話が出ます。志穂美悦子さんは、『水野』という警視庁職員です。仲代達也さん(二階堂伝兵衛役)が上司ですが、どうもふたりはできている。
九州弁が多用されるのは、つかこうへいさんが九州福岡県出身だからでしょう。
しろうとには、よくわからない話のつくりです。
『刑事というものは、事件とともに成長していく』
『事件はだれのものか。(自分なりに法治国家の説明をしているセリフだとうけとりました)。だれでも人は殺せるが、犯人になるためには、法律であなたが犯人と指定されなければならない』
まあ、昭和時代の昔のことですから、差別用語がいっぱい出てきます。女性蔑視(べっし。見くだす。ばかにする)、女性差別もありますし、公務員(警察職員)による容疑者への暴力行為もあります。
なんというか、つじつまの合わない話で、ついていけないと思ったら観るのはやめてしまうのですが、それが、ユーモアと理解できるかできないかについて、視聴者の心が試される作品です。
いいなと思ったセリフです。『オレは、弁護士に頼るような、そんな弱虫は、キライだ!!』
いなかの人間(犯人と殺人の犠牲者女性)ふたりが、東京にあこがれます。
田舎者は、劣等感が強い。
都会のコーヒー1杯は、450円。
田舎者は、すそが広がったベルボトムのパンツ(ズボン)をはいて、ロンドンブーツ(かかとが高い)をはいている。
いなか者のふたりは、もう田舎に帰ろうとか、都会でがんばって、ナンバー1になろうとか、混乱状態です。(なんというか、自分の母親の世代の心意気を感じるやりとりでした)
底辺の人間の暮らしを描写した作品で、そのあたりの映像の迫力がすごかった。
『忘れたばい(忘れたよ)』のひとことが引き金になって殺人事件が起きる。容疑者は、少年期の忘れられないがんばりのシーンを女性に否定されたから、怒りが頂点に達した。『あのシーンはオイの人生の一番です』ふるさとには、山や海、美しい人の心がある。なんだか支離滅裂なのですが、『気持ち』はよく伝わってきました。
空間移動のしかけがあります。
<2階に置いてあるテレビで映画を見始めて1時間ぐらいたった時に、自宅が揺れ始めました。北陸、日本海側で大地震が発生しました。映画を止めて、地震情報のテレビ画面に変えました。北陸から離れている愛知県内でもかなり長い時間揺れました>
<落ち着いてから、映画の続きを観ました>
人間を殺してはいけないという趣旨の熱弁が良かった。風間杜夫さん(警察職員)のセリフです。
いまどきよく聞く、高齢者の車の逆走運転のようなシーンが出てきます。
仲代達也さん『オレといっしょにならんか』
志穂美悦子さん『お断りします』
仲代達也さん『そうか、戻せ!(志穂美悦子さんが、道路の逆走運転をやめる)』
貧乏くさいシーンもあります。歯ブラシを箸にして(はし)、カップラーメンを食べる。
あとはまあ、タバコ映画です。喫煙シーンだらけ。
給料は4万円、手取りは2万4000円。家は2部屋に、8人きょうだいと祖父母の10人が住んでいる。「ゆきのじょう」という名のセントバーナード犬の乳でこどもたちは育ったそうな。そこに新婚のふたりが入って、12人で住む。かわりばんこに寝ればいい。
後半は、舞台劇を観ているようでした。
歌『美しい十代』が流れました。1963年(昭和38年)三田明さんのデビュー曲。こどもの頃に聞いたことがあります。
都はるみさんの歌を久しぶりに聴きました。『アンコ椿は恋の花』(1964年(昭和39年))
男にとって都合のいい内容の映画ではあります。
その後、世の中のありようは、180度変わりました。
最後のほうは、わけがわかりませんでした。(新婚旅行中のオープンカーが山の峠道を走っているシーンで終わり)
俳優塩見三省さんの本『歌うように、伝えたい 人生を中断した私の再生と希望 塩見三省(しおみ・さんせい) 角川春樹事務所』を読んでこの映画を観ることにしました。
原作は、つかこうへいさんという方です。(2010年(平成22年)62歳没)
16歳高校生だった頃、福岡県から大分県日田市に行く途中に位置する馬見・屛・古処(うまみ・へい・こしょ。馬見山(うまみやま)・屛山(へいざん)・古処山(こしょさん))と連なる(つらなる)みっつの山の尾根付近を縦走(じゅうそう)したことがあります。
つかこうへんさんという方が、馬見山のふもとにある地域の出身だと聞いたのは、成人してだいぶたってからでした。
昨年は、俳優の瀬戸康史さんが、お友だちとそのあたりを散策している旅番組をBS放送で見てなつかしくもありました。
『熱海殺人事件』という言葉は若い頃に聞いたことがありますが、映画を観たのは今回が初めてです。
静岡県熱海で工員が女性を絞め殺したという設定から始まります。熱海には何度か行ったことがあるので、海岸あたりの風景を思い出しながら映画の中の事件を想像しました。
映像は非常識な思考から入ります。犯人(容疑者)と警察職員が、トランプの賭けで殺人の刑期を決めようとしています。
刑務所内では、どういうわけか、囚人(大滝秀治さん)のほうが、刑務所の職員よりも立場が偉い。逆転しています。
演者の方たちが若い。仲代達也さん(現在91歳。映画公開当時53歳)、風間杜夫さん(かざまもりおさん。現在74歳。当時37歳)、志穂美悦子さん(現在68歳。当時30歳)、大滝秀治さん(おおたきひでじさん。(2012年(平成24年)87歳没。当時61歳)
映像に出てくる車の型が古い。もう今から37年ぐらい前の車です。
志穂美悦子さんが若い。役柄としての志穂美さんが、あさってが結婚式というような話が出ます。志穂美悦子さんは、『水野』という警視庁職員です。仲代達也さん(二階堂伝兵衛役)が上司ですが、どうもふたりはできている。
九州弁が多用されるのは、つかこうへいさんが九州福岡県出身だからでしょう。
しろうとには、よくわからない話のつくりです。
『刑事というものは、事件とともに成長していく』
『事件はだれのものか。(自分なりに法治国家の説明をしているセリフだとうけとりました)。だれでも人は殺せるが、犯人になるためには、法律であなたが犯人と指定されなければならない』
まあ、昭和時代の昔のことですから、差別用語がいっぱい出てきます。女性蔑視(べっし。見くだす。ばかにする)、女性差別もありますし、公務員(警察職員)による容疑者への暴力行為もあります。
なんというか、つじつまの合わない話で、ついていけないと思ったら観るのはやめてしまうのですが、それが、ユーモアと理解できるかできないかについて、視聴者の心が試される作品です。
いいなと思ったセリフです。『オレは、弁護士に頼るような、そんな弱虫は、キライだ!!』
いなかの人間(犯人と殺人の犠牲者女性)ふたりが、東京にあこがれます。
田舎者は、劣等感が強い。
都会のコーヒー1杯は、450円。
田舎者は、すそが広がったベルボトムのパンツ(ズボン)をはいて、ロンドンブーツ(かかとが高い)をはいている。
いなか者のふたりは、もう田舎に帰ろうとか、都会でがんばって、ナンバー1になろうとか、混乱状態です。(なんというか、自分の母親の世代の心意気を感じるやりとりでした)
底辺の人間の暮らしを描写した作品で、そのあたりの映像の迫力がすごかった。
『忘れたばい(忘れたよ)』のひとことが引き金になって殺人事件が起きる。容疑者は、少年期の忘れられないがんばりのシーンを女性に否定されたから、怒りが頂点に達した。『あのシーンはオイの人生の一番です』ふるさとには、山や海、美しい人の心がある。なんだか支離滅裂なのですが、『気持ち』はよく伝わってきました。
空間移動のしかけがあります。
<2階に置いてあるテレビで映画を見始めて1時間ぐらいたった時に、自宅が揺れ始めました。北陸、日本海側で大地震が発生しました。映画を止めて、地震情報のテレビ画面に変えました。北陸から離れている愛知県内でもかなり長い時間揺れました>
<落ち着いてから、映画の続きを観ました>
人間を殺してはいけないという趣旨の熱弁が良かった。風間杜夫さん(警察職員)のセリフです。
いまどきよく聞く、高齢者の車の逆走運転のようなシーンが出てきます。
仲代達也さん『オレといっしょにならんか』
志穂美悦子さん『お断りします』
仲代達也さん『そうか、戻せ!(志穂美悦子さんが、道路の逆走運転をやめる)』
貧乏くさいシーンもあります。歯ブラシを箸にして(はし)、カップラーメンを食べる。
あとはまあ、タバコ映画です。喫煙シーンだらけ。
給料は4万円、手取りは2万4000円。家は2部屋に、8人きょうだいと祖父母の10人が住んでいる。「ゆきのじょう」という名のセントバーナード犬の乳でこどもたちは育ったそうな。そこに新婚のふたりが入って、12人で住む。かわりばんこに寝ればいい。
後半は、舞台劇を観ているようでした。
歌『美しい十代』が流れました。1963年(昭和38年)三田明さんのデビュー曲。こどもの頃に聞いたことがあります。
都はるみさんの歌を久しぶりに聴きました。『アンコ椿は恋の花』(1964年(昭和39年))
男にとって都合のいい内容の映画ではあります。
その後、世の中のありようは、180度変わりました。
最後のほうは、わけがわかりませんでした。(新婚旅行中のオープンカーが山の峠道を走っているシーンで終わり)
2024年01月11日
出川哲朗充電バイクの旅 新春4時間スペシャル 富士山ぐるり
出川哲朗充電バイクの旅 新春4時間スペシャル 富士山ぐるり 神奈川相模湖→静岡富士山本宮浅間大社(せんげんたいしゃ)
出川哲朗の充電させてもらえませんか? 新春!絶景の“富士山”グルっと富士見街道173キロ!相模湖から“パワスポ”富士山浅間大社へ!佐藤栞里&佐藤隆太は初登場でルンルンですが一茂だけはプンプンだあ!ヤバイよヤバイよSP
元旦のことでした。
年賀状が家に届いて、家族と年賀状の内容のことであれやこれやと会話のキャッチボールをして、受け取った年賀状のうち、自分が年賀状を出していなかった人への年賀状を何枚か書いて、散歩がてらポストまで行って投函して、元旦の午前中が終わりました。
お昼過ぎから動画配信サービスを利用してテレビで邦画を見始めて1時間が経過したころでした。自分がいた二階の部屋がじわじわと揺れ始めました。(ついに来たか。(よりによって元旦に))。じつは、年末あたりから、そろそろ大きな地震が日本で起きるのではないかという予感がありました。(12月にNHKで、関東大震災の白黒映像をカラー化したという番組を観たせいもあります)。
揺れる時間の長さを掛け時計の秒針を見ながらカウントしていました。かなり長い。揺れの強弱が1分ぐらい経過して、(心の中で「おさまれ、おさまれ」と念じていました)、自分がいる場所(愛知県)が震源地ではないと判断しました。日本のどこかの土地がとてつもなく大きな地震に襲われていると判断しました。(能登半島でした)
能登半島は、太川陽介さんたちのバス旅番組とか、出川哲朗さんたちの充電バイクの旅番組で、輪島の朝市とか、なんどか映像を楽しませてもらいました。巨大地震発生後の輪島朝市あたりの燃え盛る火災が映像に出て恐怖感をもちました。長時間燃え続けたあと、焼野原が広がっています。まるで戦争での空襲の跡のようです。
元旦の夜に放映されるこちらの充電バイクの番組を楽しみにしていたのですが、テレビ東京の番組は地震・津波報道ニュース番組になり、充電バイクの番組は放送が飛んだと思いました。どこのチャンネルも津波が来るぞ逃げろーーの連呼でした。
2024年(令和6年)は、元旦早々たいへんなことが起きました。(翌日2日火曜日の夕方は、羽田空港でジェット旅客機が炎上して丸焼けになりました。もーびっくりすることばかりです。羽田空港の展望デッキは行ったことがあるので、映像がリアルに感じました)
元旦の夜、時間がたつうちに、この充電バイクの番組が放送されていることに気づきました。3人目のゲストの佐藤栞里さんのところだけ見ました。ぼーっとながめていました。(ああ、テレビ東京はお金も人もあまりない放送局だから、ニュース報道のネットワークが北陸にはないので、報道は他局にまかせて、自局の通常番組を放送することにしたのだろうなあと理解しました)
余談ですが、テレビ東京の番組をよく見るので、応援したいという気持ちから、テレビ東京の株を買おうと思っているのですが、なかなかえい!と買えなくて、二年間ぐらい株価の動きだけを追っています。ほしいなーと思った時に買っておけば、そこそこ株価が上がったときもありましたが、その後また下がりました。あまり売り買いの出来高がない株なので、売り買いする相手がなかなか現れないかもという心配が自分にはあります。長期保有向きの株です。
なんだか、神妙な気持ち(元気なくおとなしい)での新年になってしまいましたが、1月3日水曜日になって、TVer(ティーバー)でこの番組の全編が放送されていることに気づいて、気を取り直して番組映像を観てみました。後ろ向きになっていた気持ちを少し前向きにしてみました。
行ったことがあるところが何か所か映像で出てきたのでなつかしかった。富士急ハイランドとか(自分が二十歳ごろに友だちと夜間のバス移動旅行で行きました)、三島大社(息子が生まれてまだあかちゃんだったときに親族一同で行きました)とか。
番組初日ゲスト佐藤隆太さんのときは富士山が、天候が良くなくて見えませんでしたが、三日目の佐藤栞里さんの時はたいへんきれいに見えていました。わたしは、佐藤隆太さんという方はよく知りませんが、映像の中では、ROOKIES(ルーキーズ。高校野球部のドラマ)という番組で教師役をやって、とくに女性の方からの支持があるということがわかりました。
二人目のゲストの長島一茂さんは前回出演時の運転免許証ハワイに忘れたのでレンタル自転車で同じ町内だけ回ったということが強烈に思い出されました。まあ、今回も暴れん坊状態でした。いいともよくないともいいようがありません。
番組内の映像から察すると、ロケは、2023年(令和5年)12月1日(金)2日(土)3日(日)であったことがわかりました。
佐藤隆太さんが最初の充電を依頼したお宅は、ちょっとむずかしそうな元公務員の男性でした。『オレ、出川哲朗って好きじゃないんですけど……』と、最初からなにかしら人を斜め(ななめ)に見る方でしたが、遅れて到着した出川哲朗さんと会うと、『出川さん!大好きです!!』とおっしゃって、さすが年の功(としのこう。経験力。場慣れしている)と感心しました。お宅に干してあった干し柿を提供されましたが、とてもおいしかったと思います。
出川哲朗さんみたいにロケ先でこどもさんを大切に扱うタレントさんはそうそういません。わたしは出川哲朗さんのそういうところを尊敬しています。
『猿橋』という珍しい構造の橋も良かった。
バス通学の中学生がたくさんいました。いろいろ出会いがあって良かった。
この日は、昼食、夕食と『天丼』が続きましたが、それはそれで良かった。
国定忠治(くにさだちゅうじ):最近は聞かなくなりました。江戸時代後期の渡世人(とせいにん。いばっている人をこらしめ、弱い立場の人を助ける)。生存期間1810年-1851年。現在の群馬県出身。舞台劇の題材になっている。名文句として、『赤城(あかぎ)の山も今夜を限り(こよいをかぎり)……』
実際に動いているリニアモーターカーを見る展示館が良かった。佐藤隆太さんの発言、『なんで東京から大阪まで1時間で行きたいんですか?!』はもっと良かった。(わたしもそんなに急がなくてもいいと思います。今でさえ新幹線はビジネス列車になっています。東北新幹線の「はやぶさ」に乗りましたが、車内のほとんどがスーツ姿のビジネスマンで、テーブルに、ノートパソコンやタブレットを開いて、車内が事務室、会議室(リモート)のようで、のんびりした旅気分とか旅情はありませんでした)
番組で、途中で立ち寄ったバッティングセンターも良かった。野球ボールを打ったあとの卓球対決で、佐藤隆太さんは、卓球をしたことがないということもよくわかりました。中学3年生、1年生、小学5年生の三姉妹が明るいのがいい。
スマホを使って親御さん(おやごさん)と話して、テレビ電話みたいでお互いに顔も見ることができて、今は便利になりました。
どこも満室で、ようやく見つけた館内工事中の河口湖のホテルに佐藤隆太さんがスケジュールの都合で東京に帰らなければならないというのはお気の毒でした。ぎりぎりまで帰京を教えてもらえなかったのは演出のためでしょうが、翌日の長島一茂さんは夜中、勝手にホテルから東京に帰ってしまったわけであり、まあなんだかめちゃくちゃですな。結局二日間とも出川さんと熊谷ディレクターが宿泊しただけです。ホテルにはお世話になったので、きちんとお礼をしたほうがいいです。
長島一茂さんのお化け屋敷ビビリは、なんというか、おっきな体をしているのに、気持ちは臆病なのねです。わがまま乱暴者のようですが、ああ見えて、感受性が強いのかも。
わたしは、お化け屋敷という施設が、どういうふうにつくられていて、演じられていて、ストーリーはどうなっているのかと作り手の立場でものごとを考えるので、ものすごく怖いとは思いません。
さらに儲け(もうけ)はいくらぐらい出るのかと経営のことまで考えてしまいます。何人入場して、人件費や光熱費はいくらぐらいかかるかとかです。まあ、そんなふうですから、夢はありません。経営する側の視点で、ものごとを見てしまいます。
神社で充電のお願いをしたときに頼まれた男性が、『まかしてくださいよ(任せて)』と力強く返事をされたのが、たのもしくてとても良かった。
移動の途中で見えた花火大会の花火がとてもきれいで良かった。
ラーメン屋さんにいた、野球選手だったときの長島一茂さんのホームランを球場で見たことがあるというファンの人が良かった。偶然の出会いがあります。
ラーメン屋のお嬢さんが、介護の仕事で夜勤明けなのに家の手伝いをされていて偉い!
佐藤栞里さんは、先日は旅番組の『東野・岡村の旅猿』でお見かけしました。青森県大間(おおま)で男の旅猿メンバーたちが釣り上げた巨大な本マグロを食べる会に出席されていました。旅番組への出演がお好きなのでしょう。明るい方です。
行く先々の神社でおみくじを引いて、書いてあることを読み上げて確認してという流れがなかなかおもしろくて良かった。最後は、ディレクターを含めた三人とも『大吉』で良かった。
途中の神社では、出川さんが、『小吉(しょうきち) 目標高すぎ、方向間違い。原点に立ち返れ』佐藤栞里さんが、たしか『末吉(すえきち) 見通し立たない。山と川にはさまれて、身動きがとれない状態』というのもおもしろかった。
静岡県沼津市あたりの海辺は、強風がすごかった。静岡県は海風が強いというイメージがあります。
陽が沈むころの夕映えの富士山がきれいでした。わたしは、先月夕日を浴びた鹿児島桜島を観ましたが、映像を観ていて、赤く染まる桜島を思い出しました。
名古屋からの年配のご夫婦が出ておられましたが、名古屋から静岡は近いです。
焼き肉もおいしそうでした。
おみくじ大吉『病気は軽い。治りも早い』
健康が一番です。
番組を見終えて、自分の人生をふりかえってみると、10年に1回ぐらいのペースで大きな自然災害を見聞きしています。
1995年(平成7年)の阪神淡路大震災のときは、職場からの指示で震災の翌月2月に神戸市内の現地に入り、災害復旧支援の仕事をしていました。そのころ自分は三十代でした。
2000年(平成12年)愛知県を襲った東海豪雨のときは、大雨で河川が破れて、市街地に流れ込んだ洪水で水没した地下鉄の駅にいて、家に帰ることができませんでした。そのころは四十代でした。
2011年(平成23年)の東日本大震災の時は、若い人たちが現地に支援に行きました。自分は五十代で体を壊していて、もう現地で対応できるような体力はありませんでした。後方支援のような立場で働きました。
リタイア後は、スーパー台風が来て、近所の電信柱がポキンと折れて、半日ぐらいの停電を体験しました。(中部電力さんが来て、代わりに仮設の電柱を立ててくれました)
また、これからさき10年後ぐらいにとても大きな地震が来るだろうと予想しています。10年後、たぶんまだ自分は生きていると思います。いちおう地震対策とか備えはしてありますが、不安は消えません。
(2024年(令和6年)1月23日火曜日に追加記載)
先週用事があって東京に行ったおり、富士山とリニアモーターカーの広告を見ました。(リニアモーターカーの広告があったのは、品川駅新幹線乗り場のコンコースです)
この番組を観たときのことを思い出しました。
なかなかかっこいいリニアモーターカーでした。
ドーンと突き進むのでしょう。
出川哲朗の充電させてもらえませんか? 新春!絶景の“富士山”グルっと富士見街道173キロ!相模湖から“パワスポ”富士山浅間大社へ!佐藤栞里&佐藤隆太は初登場でルンルンですが一茂だけはプンプンだあ!ヤバイよヤバイよSP
元旦のことでした。
年賀状が家に届いて、家族と年賀状の内容のことであれやこれやと会話のキャッチボールをして、受け取った年賀状のうち、自分が年賀状を出していなかった人への年賀状を何枚か書いて、散歩がてらポストまで行って投函して、元旦の午前中が終わりました。
お昼過ぎから動画配信サービスを利用してテレビで邦画を見始めて1時間が経過したころでした。自分がいた二階の部屋がじわじわと揺れ始めました。(ついに来たか。(よりによって元旦に))。じつは、年末あたりから、そろそろ大きな地震が日本で起きるのではないかという予感がありました。(12月にNHKで、関東大震災の白黒映像をカラー化したという番組を観たせいもあります)。
揺れる時間の長さを掛け時計の秒針を見ながらカウントしていました。かなり長い。揺れの強弱が1分ぐらい経過して、(心の中で「おさまれ、おさまれ」と念じていました)、自分がいる場所(愛知県)が震源地ではないと判断しました。日本のどこかの土地がとてつもなく大きな地震に襲われていると判断しました。(能登半島でした)
能登半島は、太川陽介さんたちのバス旅番組とか、出川哲朗さんたちの充電バイクの旅番組で、輪島の朝市とか、なんどか映像を楽しませてもらいました。巨大地震発生後の輪島朝市あたりの燃え盛る火災が映像に出て恐怖感をもちました。長時間燃え続けたあと、焼野原が広がっています。まるで戦争での空襲の跡のようです。
元旦の夜に放映されるこちらの充電バイクの番組を楽しみにしていたのですが、テレビ東京の番組は地震・津波報道ニュース番組になり、充電バイクの番組は放送が飛んだと思いました。どこのチャンネルも津波が来るぞ逃げろーーの連呼でした。
2024年(令和6年)は、元旦早々たいへんなことが起きました。(翌日2日火曜日の夕方は、羽田空港でジェット旅客機が炎上して丸焼けになりました。もーびっくりすることばかりです。羽田空港の展望デッキは行ったことがあるので、映像がリアルに感じました)
元旦の夜、時間がたつうちに、この充電バイクの番組が放送されていることに気づきました。3人目のゲストの佐藤栞里さんのところだけ見ました。ぼーっとながめていました。(ああ、テレビ東京はお金も人もあまりない放送局だから、ニュース報道のネットワークが北陸にはないので、報道は他局にまかせて、自局の通常番組を放送することにしたのだろうなあと理解しました)
余談ですが、テレビ東京の番組をよく見るので、応援したいという気持ちから、テレビ東京の株を買おうと思っているのですが、なかなかえい!と買えなくて、二年間ぐらい株価の動きだけを追っています。ほしいなーと思った時に買っておけば、そこそこ株価が上がったときもありましたが、その後また下がりました。あまり売り買いの出来高がない株なので、売り買いする相手がなかなか現れないかもという心配が自分にはあります。長期保有向きの株です。
なんだか、神妙な気持ち(元気なくおとなしい)での新年になってしまいましたが、1月3日水曜日になって、TVer(ティーバー)でこの番組の全編が放送されていることに気づいて、気を取り直して番組映像を観てみました。後ろ向きになっていた気持ちを少し前向きにしてみました。
行ったことがあるところが何か所か映像で出てきたのでなつかしかった。富士急ハイランドとか(自分が二十歳ごろに友だちと夜間のバス移動旅行で行きました)、三島大社(息子が生まれてまだあかちゃんだったときに親族一同で行きました)とか。
番組初日ゲスト佐藤隆太さんのときは富士山が、天候が良くなくて見えませんでしたが、三日目の佐藤栞里さんの時はたいへんきれいに見えていました。わたしは、佐藤隆太さんという方はよく知りませんが、映像の中では、ROOKIES(ルーキーズ。高校野球部のドラマ)という番組で教師役をやって、とくに女性の方からの支持があるということがわかりました。
二人目のゲストの長島一茂さんは前回出演時の運転免許証ハワイに忘れたのでレンタル自転車で同じ町内だけ回ったということが強烈に思い出されました。まあ、今回も暴れん坊状態でした。いいともよくないともいいようがありません。
番組内の映像から察すると、ロケは、2023年(令和5年)12月1日(金)2日(土)3日(日)であったことがわかりました。
佐藤隆太さんが最初の充電を依頼したお宅は、ちょっとむずかしそうな元公務員の男性でした。『オレ、出川哲朗って好きじゃないんですけど……』と、最初からなにかしら人を斜め(ななめ)に見る方でしたが、遅れて到着した出川哲朗さんと会うと、『出川さん!大好きです!!』とおっしゃって、さすが年の功(としのこう。経験力。場慣れしている)と感心しました。お宅に干してあった干し柿を提供されましたが、とてもおいしかったと思います。
出川哲朗さんみたいにロケ先でこどもさんを大切に扱うタレントさんはそうそういません。わたしは出川哲朗さんのそういうところを尊敬しています。
『猿橋』という珍しい構造の橋も良かった。
バス通学の中学生がたくさんいました。いろいろ出会いがあって良かった。
この日は、昼食、夕食と『天丼』が続きましたが、それはそれで良かった。
国定忠治(くにさだちゅうじ):最近は聞かなくなりました。江戸時代後期の渡世人(とせいにん。いばっている人をこらしめ、弱い立場の人を助ける)。生存期間1810年-1851年。現在の群馬県出身。舞台劇の題材になっている。名文句として、『赤城(あかぎ)の山も今夜を限り(こよいをかぎり)……』
実際に動いているリニアモーターカーを見る展示館が良かった。佐藤隆太さんの発言、『なんで東京から大阪まで1時間で行きたいんですか?!』はもっと良かった。(わたしもそんなに急がなくてもいいと思います。今でさえ新幹線はビジネス列車になっています。東北新幹線の「はやぶさ」に乗りましたが、車内のほとんどがスーツ姿のビジネスマンで、テーブルに、ノートパソコンやタブレットを開いて、車内が事務室、会議室(リモート)のようで、のんびりした旅気分とか旅情はありませんでした)
番組で、途中で立ち寄ったバッティングセンターも良かった。野球ボールを打ったあとの卓球対決で、佐藤隆太さんは、卓球をしたことがないということもよくわかりました。中学3年生、1年生、小学5年生の三姉妹が明るいのがいい。
スマホを使って親御さん(おやごさん)と話して、テレビ電話みたいでお互いに顔も見ることができて、今は便利になりました。
どこも満室で、ようやく見つけた館内工事中の河口湖のホテルに佐藤隆太さんがスケジュールの都合で東京に帰らなければならないというのはお気の毒でした。ぎりぎりまで帰京を教えてもらえなかったのは演出のためでしょうが、翌日の長島一茂さんは夜中、勝手にホテルから東京に帰ってしまったわけであり、まあなんだかめちゃくちゃですな。結局二日間とも出川さんと熊谷ディレクターが宿泊しただけです。ホテルにはお世話になったので、きちんとお礼をしたほうがいいです。
長島一茂さんのお化け屋敷ビビリは、なんというか、おっきな体をしているのに、気持ちは臆病なのねです。わがまま乱暴者のようですが、ああ見えて、感受性が強いのかも。
わたしは、お化け屋敷という施設が、どういうふうにつくられていて、演じられていて、ストーリーはどうなっているのかと作り手の立場でものごとを考えるので、ものすごく怖いとは思いません。
さらに儲け(もうけ)はいくらぐらい出るのかと経営のことまで考えてしまいます。何人入場して、人件費や光熱費はいくらぐらいかかるかとかです。まあ、そんなふうですから、夢はありません。経営する側の視点で、ものごとを見てしまいます。
神社で充電のお願いをしたときに頼まれた男性が、『まかしてくださいよ(任せて)』と力強く返事をされたのが、たのもしくてとても良かった。
移動の途中で見えた花火大会の花火がとてもきれいで良かった。
ラーメン屋さんにいた、野球選手だったときの長島一茂さんのホームランを球場で見たことがあるというファンの人が良かった。偶然の出会いがあります。
ラーメン屋のお嬢さんが、介護の仕事で夜勤明けなのに家の手伝いをされていて偉い!
佐藤栞里さんは、先日は旅番組の『東野・岡村の旅猿』でお見かけしました。青森県大間(おおま)で男の旅猿メンバーたちが釣り上げた巨大な本マグロを食べる会に出席されていました。旅番組への出演がお好きなのでしょう。明るい方です。
行く先々の神社でおみくじを引いて、書いてあることを読み上げて確認してという流れがなかなかおもしろくて良かった。最後は、ディレクターを含めた三人とも『大吉』で良かった。
途中の神社では、出川さんが、『小吉(しょうきち) 目標高すぎ、方向間違い。原点に立ち返れ』佐藤栞里さんが、たしか『末吉(すえきち) 見通し立たない。山と川にはさまれて、身動きがとれない状態』というのもおもしろかった。
静岡県沼津市あたりの海辺は、強風がすごかった。静岡県は海風が強いというイメージがあります。
陽が沈むころの夕映えの富士山がきれいでした。わたしは、先月夕日を浴びた鹿児島桜島を観ましたが、映像を観ていて、赤く染まる桜島を思い出しました。
名古屋からの年配のご夫婦が出ておられましたが、名古屋から静岡は近いです。
焼き肉もおいしそうでした。
おみくじ大吉『病気は軽い。治りも早い』
健康が一番です。
番組を見終えて、自分の人生をふりかえってみると、10年に1回ぐらいのペースで大きな自然災害を見聞きしています。
1995年(平成7年)の阪神淡路大震災のときは、職場からの指示で震災の翌月2月に神戸市内の現地に入り、災害復旧支援の仕事をしていました。そのころ自分は三十代でした。
2000年(平成12年)愛知県を襲った東海豪雨のときは、大雨で河川が破れて、市街地に流れ込んだ洪水で水没した地下鉄の駅にいて、家に帰ることができませんでした。そのころは四十代でした。
2011年(平成23年)の東日本大震災の時は、若い人たちが現地に支援に行きました。自分は五十代で体を壊していて、もう現地で対応できるような体力はありませんでした。後方支援のような立場で働きました。
リタイア後は、スーパー台風が来て、近所の電信柱がポキンと折れて、半日ぐらいの停電を体験しました。(中部電力さんが来て、代わりに仮設の電柱を立ててくれました)
また、これからさき10年後ぐらいにとても大きな地震が来るだろうと予想しています。10年後、たぶんまだ自分は生きていると思います。いちおう地震対策とか備えはしてありますが、不安は消えません。
(2024年(令和6年)1月23日火曜日に追加記載)
先週用事があって東京に行ったおり、富士山とリニアモーターカーの広告を見ました。(リニアモーターカーの広告があったのは、品川駅新幹線乗り場のコンコースです)
この番組を観たときのことを思い出しました。
なかなかかっこいいリニアモーターカーでした。
ドーンと突き進むのでしょう。
2024年01月10日
ちょっと思い出しただけ 邦画
ちょっと思い出しただけ 邦画 2022年(令和3年)公開 1時間54分 動画配信サービス
伊藤沙莉さん(いとうさいりさん)の演技に魅力を感じて、伊藤さん出演の映画をいくつか見るつもりで見始めた2本目の映画でした。
伊藤さんの魅力は十分発揮されていましたが、内容はいまいちでした。
男の誕生日を起点にして、過去へさかのぼっていく内容でした。
若い頃のちょっとうまくいかなかった男女の交際、男女の恋愛、そんな思い出話なのでしょう。
男の人の誕生日についてこだわりがあるのですが、誕生日を祝ってもらって嬉しいのはこどものうちだけです。(ゆえに、この映画はこどもの映画です)。
2021年7月26日に34歳を迎えた男性です。(ふつーー この年齢なら、こどもを複数かかえて、生活に追いまくられています。衣食住のきちんとした生活を送ろうという気迫とか気力が感じられない登場人物の男性です)
伊藤沙莉さんはタクシードライバー役で、いくつかいいセリフがありました。タクシーの後席で死にたいという女性客に対して、『死んじゃだめです!』、『(コロナ禍で)どこもたいへんですねーー』、『(東京)オリンピックやるなんて思いませんでしたね』、『(自分は)どこかに行きたいけれど、どこに行ったらいいのかわからない。(だから、タクシードライバーをしている(お客さんに行き先を決めてもらっている))』、『お金は必要だけれど、重要じゃない。単純にこの仕事が好き』、『(男女のコンパのシーンを喫煙口実で抜け出したあと、コンパの宴席へ戻るのですが)地獄に戻らなきゃ』
伊藤さんは本当のタクシードライバーのようでした。
最初のうちは話の進め方がうまかった。
ペットの猫の存在に効果があった。(猫の名前は、「もんじゃ」)
公園のベンチでいつも妻を待っている男性の存在の意味はとれなかった。奥さんは亡くなったのか。(最後のほうで登場しましたが、生存していた過去のこととしての登場と受け取りました)
映画が始まって20分が経過しても、なにがいいたいのかわからない内容でした。
九州弁が出ます。自分も九州出身なので親しみは感じますが、どうしてここのシーンで九州弁をアピールするのか疑問でした。長崎県の軍艦島に関するセリフも出ていました。
こちらの映画もタバコ映画でがっかりしました。喫煙シーンが、6シーンか、7シーンぐらいはありました。嗜好品(しこうひん)や薬物に依存するような人間にはなりたくありません。
バンドミュージックで、尺(しゃく。時間)をつぶす手法です。ラストの曲もそうですが、どうしてあんなヘンな声を出して歌うのだろう。聴いているほうが喜ぶと思っていたらそれは思い違いです。
ダンサーの女性のセリフだったと思いますが、『ダンスは、言葉を超えられる』が良かった。ただ、生活をしていくうえで、ダンスの仕事しかできないという人の数は少ないと思います。なんでもやって働いて稼がねば生活していけません。
もうひとつは、タクシーで塾通いをしている小学6年生ぐらいの男の子がタクシードライバーの伊藤沙莉さんにかけたセリフとして、『(元気がない伊藤さんに)ぼくもこれから塾行くのがイヤですけど、お互いにがんばりましょう!』
全般的にいいセリフはいくつもありました。待ち人来たらずのとき、『待っても来ないときは、たまには迎えに行ってもいいかもしれませんね』、それから、どろぼうみたいに建物内へ侵入を試みようとしているところを見つかって、『ボルダリングです』というセリフも良かった。笑えました。
まあ、男と女は、恋人には見えませんでした。ダンサーくずれの男性からは離れたほうがいい。彼には生活能力がありません。彼は自分のことしか考えていません。男と女のもつれが描かれていますが、ずっと会話になっていなかった。見ていて、まあ好きにしてちょうだいと思いました。あんな人間(男)のどこがいいのかわかりません。はがゆい男です。
年数をさかのぼる経緯がわかりにくい。時間と経費と労力のムダづかいのような映像が続きます。だらだらです。
ときおり男女が笑いころげるシーンがあるのですが、なぜ笑えるのかわかりませんでした。リアリティ(現実味)がない空虚な空想の世界です。見ているとむなしくなりました。
踊る表現手法の演劇の舞台劇+映画という位置づけの映画でした。
最後のほうのバックグラウンドミュージックの付け方が良かった。路上演奏の女性のギター弾き語りがあるシーンです。
コロナ禍対策のマスク姿の伊藤沙莉さんです。コロナ禍がつくらせた映画と受け止めました。
伊藤沙莉さん(いとうさいりさん)の演技に魅力を感じて、伊藤さん出演の映画をいくつか見るつもりで見始めた2本目の映画でした。
伊藤さんの魅力は十分発揮されていましたが、内容はいまいちでした。
男の誕生日を起点にして、過去へさかのぼっていく内容でした。
若い頃のちょっとうまくいかなかった男女の交際、男女の恋愛、そんな思い出話なのでしょう。
男の人の誕生日についてこだわりがあるのですが、誕生日を祝ってもらって嬉しいのはこどものうちだけです。(ゆえに、この映画はこどもの映画です)。
2021年7月26日に34歳を迎えた男性です。(ふつーー この年齢なら、こどもを複数かかえて、生活に追いまくられています。衣食住のきちんとした生活を送ろうという気迫とか気力が感じられない登場人物の男性です)
伊藤沙莉さんはタクシードライバー役で、いくつかいいセリフがありました。タクシーの後席で死にたいという女性客に対して、『死んじゃだめです!』、『(コロナ禍で)どこもたいへんですねーー』、『(東京)オリンピックやるなんて思いませんでしたね』、『(自分は)どこかに行きたいけれど、どこに行ったらいいのかわからない。(だから、タクシードライバーをしている(お客さんに行き先を決めてもらっている))』、『お金は必要だけれど、重要じゃない。単純にこの仕事が好き』、『(男女のコンパのシーンを喫煙口実で抜け出したあと、コンパの宴席へ戻るのですが)地獄に戻らなきゃ』
伊藤さんは本当のタクシードライバーのようでした。
最初のうちは話の進め方がうまかった。
ペットの猫の存在に効果があった。(猫の名前は、「もんじゃ」)
公園のベンチでいつも妻を待っている男性の存在の意味はとれなかった。奥さんは亡くなったのか。(最後のほうで登場しましたが、生存していた過去のこととしての登場と受け取りました)
映画が始まって20分が経過しても、なにがいいたいのかわからない内容でした。
九州弁が出ます。自分も九州出身なので親しみは感じますが、どうしてここのシーンで九州弁をアピールするのか疑問でした。長崎県の軍艦島に関するセリフも出ていました。
こちらの映画もタバコ映画でがっかりしました。喫煙シーンが、6シーンか、7シーンぐらいはありました。嗜好品(しこうひん)や薬物に依存するような人間にはなりたくありません。
バンドミュージックで、尺(しゃく。時間)をつぶす手法です。ラストの曲もそうですが、どうしてあんなヘンな声を出して歌うのだろう。聴いているほうが喜ぶと思っていたらそれは思い違いです。
ダンサーの女性のセリフだったと思いますが、『ダンスは、言葉を超えられる』が良かった。ただ、生活をしていくうえで、ダンスの仕事しかできないという人の数は少ないと思います。なんでもやって働いて稼がねば生活していけません。
もうひとつは、タクシーで塾通いをしている小学6年生ぐらいの男の子がタクシードライバーの伊藤沙莉さんにかけたセリフとして、『(元気がない伊藤さんに)ぼくもこれから塾行くのがイヤですけど、お互いにがんばりましょう!』
全般的にいいセリフはいくつもありました。待ち人来たらずのとき、『待っても来ないときは、たまには迎えに行ってもいいかもしれませんね』、それから、どろぼうみたいに建物内へ侵入を試みようとしているところを見つかって、『ボルダリングです』というセリフも良かった。笑えました。
まあ、男と女は、恋人には見えませんでした。ダンサーくずれの男性からは離れたほうがいい。彼には生活能力がありません。彼は自分のことしか考えていません。男と女のもつれが描かれていますが、ずっと会話になっていなかった。見ていて、まあ好きにしてちょうだいと思いました。あんな人間(男)のどこがいいのかわかりません。はがゆい男です。
年数をさかのぼる経緯がわかりにくい。時間と経費と労力のムダづかいのような映像が続きます。だらだらです。
ときおり男女が笑いころげるシーンがあるのですが、なぜ笑えるのかわかりませんでした。リアリティ(現実味)がない空虚な空想の世界です。見ているとむなしくなりました。
踊る表現手法の演劇の舞台劇+映画という位置づけの映画でした。
最後のほうのバックグラウンドミュージックの付け方が良かった。路上演奏の女性のギター弾き語りがあるシーンです。
コロナ禍対策のマスク姿の伊藤沙莉さんです。コロナ禍がつくらせた映画と受け止めました。
2024年01月09日
とんこつQ&A 今村夏子
とんこつQ&A 今村夏子 講談社
短編4本です。
『とんこつQ&A』
街の大衆食堂の店舗名が、『とんこつ』ですが、とんこつラーメンの提供はしていません。
本来の店舗名は、『敦煌(とんこう。中国の都市名)』だったのですが、店名『とんこう』の、『う』の上にある点の部分がはずれて、『とんこつ』となったそうな。
メニューに、しょうゆラーメンはあるけれど、とんこつラーメンはないそうです。
店内には、4人がけのテーブルが3卓。テーブルの左手にカウンターがある。チャーハン、ギョーザ、天津飯(てんしんはん)、中華どんぶり、オムライス、カレーライス、ナポリタン、トーストとゆで卵のセットなどがある。
『Q&A(キューアンドエー)』は、よくある質問(クエスチョン)と答え(アンサー)のことです。大衆食堂でのお客さんからの質問とそれに対する店員としての答えという意味です。QAを書いたメモが、やがてノートにまで発展します。マニュアル本の完成です。(手引き)
大将:店主。店主もその息子も気が長い。優しい。人を責めない。攻撃しない。
ぼっちゃん:大将の息子。物語の最初では、10歳、小学校4年生から始まります。不登校児。その後7年が経過します。ぼっちゃんは、気持ちを立て直して高校へ進学しました。実母は、ぼっちゃんが5歳の時に、心臓の病気で亡くなっています。
わたし(今川という女性):2014年から(平成26年)『とんこつ』でパート仕事をして7年が経過している。ダブルワークで、『ドルフィン』という店で皿洗いもしている。年齢は明記されていませんが、30代なかば過ぎに思えます。
16ページまで読んできて、おもしろい。村田紗耶香(むらた・さやか)さんの芥川賞受賞作品『コンビニ人間』のようです。内容のつくりは似ています。
丘崎たま美:仕事が忙しいので、追加のパート募集に応募してきた女性。30代なかば。どんくさい。動かない。言われたことはするけれど、言われないと何時間も動かない。働かないが、休憩はとる。今川さんいわく、わたし以下の人間を初めて見た。
独特な書きぶりの文章です。
今川さんは最初接客ができなかった。『いらっしゃいませ』が言えなかった。メモ用紙に書いた『いらっしゃいませ』を読むことで言えるようになった。克服した。同様に、いろいろな言葉をメモして読むことで接客接遇ができるようになった。
今川さんは、とうてい接客業に向かない人です。それでも、稽古(けいこ。練習)を積んで、接客じょうずになっていきます。
坊ちゃんと大将が、今川さんに優しい。けして、叱ったり、否定したりしません。優しく励まします。(どうも父子は、今川さんを再婚相手として意識しているようすがあります)
大将も坊ちゃんも、今川さんの接客苦手を否定しないところがいい。(ほかに店で働いてくれる人のあてがないということも理由なのでしょう)
労働者として、労働者を演じて、労働による収入を得るというちゃんとした形が表現されています。
好みが分かれる作品かもしれません。
機械的な人間を表現してあります。
働くためには暗記力がいる。
今川さんは自分が買ったノートを使って、お手製の仕事のマニュアルノートを手書きで作成します。手引き『とんこつQ&A』です。お客さんとの会話のやりとりのしかたが書いてあります。
繰り返しの稽古(けいこ)をして、今川さんは接客のテクニックを身に着けていきます。ノートは見なくても会話のキャッチボールができるようになります。
亡きおかみさんの大阪弁のイントネーションも身に付けます。
喜怒哀楽の感情が薄い無言の人というのはじっさいにいます。なにか、脳みその病気なのかもしれません。別に怒って(おこって)いるわけでもない。自分で自分の意識をコントロールできない。人から指令されないと動けない。自分のことを自分で思考して判断して決断してやれない。しかたがないのです。
大将と坊ちゃんは、妻(母親)を病気で亡くしてさみしかった。
亡くなった奥さんの大阪弁にこだわりがあります。
店員ふたりに亡き奥さんの像を見ている大将と坊ちゃんです。
『とんこつQ&A 大阪版』のできあがりを待っている。まだ完成していない本を待っている人がいる。
言葉とか、方言にこだわる。研究する。
不思議な雰囲気をもつ短編です。現実ならありえない展開の内容です。
大事な言葉が、『ありがとう』
教育があります。
協力もあります。
舞台劇のシナリオのようでもあります。
空想の世界です。
現実にはない空想の世界を文章化してあります。
作者は、最後はどう決着をつけるのだろうか。今67ページ付近にいます。あと数ページで読み終わります。
優しい。心優しい。
開店記念日の8月30日に4人でささやかなお祝いをする。
内容はち密です。
海遊館(かいゆうかん。水族館。大阪にあります)の話が出ました。熊太郎は、たしか、3回訪れたことがあります。もうずいぶん前のことです。
すごい終わり方をしました。すばらしい終わり方です。
創作の醍醐味(だいごみ。やりがい。快楽)があります。
『噓の道』
与田正:小学6年生男子。素行が悪い。幼稚園の時から嘘つき。主人公「僕」のひとつ上の姉のクラスメート。与田正には、4歳年下の弟がいる。ぼろいアパートに母子で住んでいる。父親は、昔はいた。
僕:小学5年生
僕の姉
僕の父
僕の母:町内会の役員、PTAの役員をしている。
リサ、マイ、ノグっちゃん、クミ:僕の姉の仲良しクラスメート
せいこ先生:幼稚園の先生
白井君のお父さん:材木問屋の社長
有馬のお母さん:看護師
離婚体験者として:松本と橘(たちばな)
嘘つきの話です。
小学生たちです。
いじめがあります。
『僕』は、現在おとなです。だから小学校の時の思い出話です。
与田正は、幼稚園の時から嘘つきでした。
どうして嘘をつくのかは、最後まで語られません。
与田の世帯は、ひとつのところにじっとしていられない世帯だから、そのうちいなくなるだろう。
小学校で、与田正に対するおおがかりないじめと差別が発生します。教師もいじめの主導者のような行為をします。与田正に対してよかれと思ってした教師の行為が、さらなる陰湿ないじめに発展します。いやがらせをして快感を味わう小学生女子たちがいます。
かわいそうだから、『その一、話しかける。』『その二、悪口を言わない。』『その三、一緒に遊ぶ。』そのとおりにすることが、陰湿ないじめなのです。ほめ殺しのようなものです。
いじめの物語です。
ただ、被害者は、与田正だけにとどまりません。『僕の姉』にもふりかかってきます。
公民館で敬老の日のお祭りが開催される。
アクシデントが起きる。
おばあさんが左足首を骨折する。僕の姉が原因である。でも、僕の姉は責任を与田正のこととした。責任を与田正になすりつけた。与田正は無実なのに、与田正に罪をかぶせた。姉は悪人です。冤罪が発生しました。(えんざい:無罪なのに有罪とされた)
大衆の怖さ(こわさ)が表現してある作品です。
善人の顔をした悪人がたくさんいます。
社会的制裁は、法令による制裁よりも厳しい。僕の姉には、厳罰が待ち受けています。
なんだか暗いお話です。
ひきこもりになっているらしき姉と弟が、関りになっていた同級生たちの記憶から存在が消えているのです。
ひきこもりというものは、学校とつながりがあるうちはなにかと声をかけてくれますが、学校を卒業して、学校とのつながりがなくなると、永久にまわりとの交流が絶たれます。死ぬまで引きこもりが続くという厳しいものがあります。
『良夫婦』
土橋友加里(どばし・ゆかり):主人公。妻。35歳。9時から4時まで和菓子製造工場で勤務している。元ヘルパー。甘いものは苦手(にがて)。
土橋幹也(どばし・みきや):主人公の夫。36歳。訪問介護事業所副所長。妻の元上司。両親はいずれも40代で死去した。妻と同じく、甘いものは苦手。
アンコ:メスの老犬。土橋家のペット。人間だと90歳ぐらい。土橋幹也の死んだ親から引き継いだペット。名前『アンコ』の由来はわからない。親も親の友人から譲り受けた犬で、譲られた時にすでに『アンコ』という名前だった。
横井先生:獣医
タム(たむら・ゆうと):公立N小学校5年生男児。学童保育所に通っている。二丁目に住んでいる。親から虐待を受けているおそれあり。老犬アンコと午後5時ころ話をしているような感じがあった。タムはたいてい空腹でいる。老犬アンコのエサを見て、おいしそうと言った。タムは、人に対する警戒心が強い。やせっぽちの少年。たまにからだにあざがある。(腕の内側)
伊藤敏郎:昔、土橋友加里が担当していた在宅高齢者
子どもに興味のない夫の言葉として、『子育てにお金を遣う(つかう)くらいなら老後の資金に回そう……』(ふ~む。体のめんどうは、他人にみてもらうつもりなのか)
しかし、妻は、特別養子縁組制度について調べている。
189:電話番号。児童相談所虐待対応ダイヤル。「いちはやく」
児童相談所の建設反対運動:以前そんなニュースが東京で流れました。その話題にちなんだ作品なのでしょう。
いわゆる嫌悪施設(障害者施設とか高齢者施設、火葬場など)が近所にできると知ると反対する人たちがいるのですが、できてしまうととくにトラブルもなくそれまでの静かな環境は維持されるものだと自分は理解しています。そして案外、反対していた人やその関係者が、類似の施設利用者になることも未来ではありうるのです。
(読み終えました)
庶民の心に潜む悪意について表現してあります。ぞわっと胸騒ぎするような後ろめたさがあります。読後感は良くありません。『イヤミス』というのでしょうか、読後イヤな気持ちになるミステリーのようです。
主人公はヒーローではありません。善人のようで善人でもありません。されど、こういう人って現実にいます。いい人ぶっている、いい人に見える、だけど違う。イヤな人なのです。善意をふるまっているようで、相手を落とし穴に落として、快楽を得る。加えて(くわえて)、自分を守る人です。自分のことを自分でやらず、人にやらせる、やってもらう人です。
こちらの作家さんは、人間がもつ心の闇を素材にして、文章作品を創作される方だと悟りました。
ダイヤル式鍵の番号:4122(よい夫婦)
友加里は自分の子どもがほしい。
疑似家族を体験したい。
子どもがいない人は、パチンコをして時間をつぶすのか。
夫婦は、タワーマンションが欲しい。
スイミー:絵本『スイミー ちいさな かしこい さかなの はなし レオ=レオニ 訳 谷川俊太郎 好学社』
友加里は、善人の顔をしているうそつき人間です。(最低人間)
同じようなことを繰り返すことが、そういう人間の人生ですというお話でした。
『冷たい大根の煮物』
人にだまされてお金を失う話です。
木野:19歳。ひとり暮らしの女性。高卒後、プラスチック部品工場で働いている。非正規社員。だまされる人
芝山:おばちゃん。だます人。木野と同じ工場の異なる部署で働いている。非正規社員
じょうずにだまされて、1万円の貸し倒れになる木野さんです。
たいてい、だます人は、だましたあといなくなります。
最後はどうまとめるのだろう。
だまされたほうは、マイナスばかりでもない。プラスの遺産を木野さんに提供して行方をくらませた芝山さんです。
まあ、木野さんはお人よしでした。断れない人です。『お金の貸し借りはしません』と言える人にならなければ、まただまされるでしょう。
人間なんてそんなもの。だまされたり、だましたり……
『冷たい大根の煮物はあれきり一度も食べていない』→だまされたことを思い出したくないのでしょう。
短編4本です。
『とんこつQ&A』
街の大衆食堂の店舗名が、『とんこつ』ですが、とんこつラーメンの提供はしていません。
本来の店舗名は、『敦煌(とんこう。中国の都市名)』だったのですが、店名『とんこう』の、『う』の上にある点の部分がはずれて、『とんこつ』となったそうな。
メニューに、しょうゆラーメンはあるけれど、とんこつラーメンはないそうです。
店内には、4人がけのテーブルが3卓。テーブルの左手にカウンターがある。チャーハン、ギョーザ、天津飯(てんしんはん)、中華どんぶり、オムライス、カレーライス、ナポリタン、トーストとゆで卵のセットなどがある。
『Q&A(キューアンドエー)』は、よくある質問(クエスチョン)と答え(アンサー)のことです。大衆食堂でのお客さんからの質問とそれに対する店員としての答えという意味です。QAを書いたメモが、やがてノートにまで発展します。マニュアル本の完成です。(手引き)
大将:店主。店主もその息子も気が長い。優しい。人を責めない。攻撃しない。
ぼっちゃん:大将の息子。物語の最初では、10歳、小学校4年生から始まります。不登校児。その後7年が経過します。ぼっちゃんは、気持ちを立て直して高校へ進学しました。実母は、ぼっちゃんが5歳の時に、心臓の病気で亡くなっています。
わたし(今川という女性):2014年から(平成26年)『とんこつ』でパート仕事をして7年が経過している。ダブルワークで、『ドルフィン』という店で皿洗いもしている。年齢は明記されていませんが、30代なかば過ぎに思えます。
16ページまで読んできて、おもしろい。村田紗耶香(むらた・さやか)さんの芥川賞受賞作品『コンビニ人間』のようです。内容のつくりは似ています。
丘崎たま美:仕事が忙しいので、追加のパート募集に応募してきた女性。30代なかば。どんくさい。動かない。言われたことはするけれど、言われないと何時間も動かない。働かないが、休憩はとる。今川さんいわく、わたし以下の人間を初めて見た。
独特な書きぶりの文章です。
今川さんは最初接客ができなかった。『いらっしゃいませ』が言えなかった。メモ用紙に書いた『いらっしゃいませ』を読むことで言えるようになった。克服した。同様に、いろいろな言葉をメモして読むことで接客接遇ができるようになった。
今川さんは、とうてい接客業に向かない人です。それでも、稽古(けいこ。練習)を積んで、接客じょうずになっていきます。
坊ちゃんと大将が、今川さんに優しい。けして、叱ったり、否定したりしません。優しく励まします。(どうも父子は、今川さんを再婚相手として意識しているようすがあります)
大将も坊ちゃんも、今川さんの接客苦手を否定しないところがいい。(ほかに店で働いてくれる人のあてがないということも理由なのでしょう)
労働者として、労働者を演じて、労働による収入を得るというちゃんとした形が表現されています。
好みが分かれる作品かもしれません。
機械的な人間を表現してあります。
働くためには暗記力がいる。
今川さんは自分が買ったノートを使って、お手製の仕事のマニュアルノートを手書きで作成します。手引き『とんこつQ&A』です。お客さんとの会話のやりとりのしかたが書いてあります。
繰り返しの稽古(けいこ)をして、今川さんは接客のテクニックを身に着けていきます。ノートは見なくても会話のキャッチボールができるようになります。
亡きおかみさんの大阪弁のイントネーションも身に付けます。
喜怒哀楽の感情が薄い無言の人というのはじっさいにいます。なにか、脳みその病気なのかもしれません。別に怒って(おこって)いるわけでもない。自分で自分の意識をコントロールできない。人から指令されないと動けない。自分のことを自分で思考して判断して決断してやれない。しかたがないのです。
大将と坊ちゃんは、妻(母親)を病気で亡くしてさみしかった。
亡くなった奥さんの大阪弁にこだわりがあります。
店員ふたりに亡き奥さんの像を見ている大将と坊ちゃんです。
『とんこつQ&A 大阪版』のできあがりを待っている。まだ完成していない本を待っている人がいる。
言葉とか、方言にこだわる。研究する。
不思議な雰囲気をもつ短編です。現実ならありえない展開の内容です。
大事な言葉が、『ありがとう』
教育があります。
協力もあります。
舞台劇のシナリオのようでもあります。
空想の世界です。
現実にはない空想の世界を文章化してあります。
作者は、最後はどう決着をつけるのだろうか。今67ページ付近にいます。あと数ページで読み終わります。
優しい。心優しい。
開店記念日の8月30日に4人でささやかなお祝いをする。
内容はち密です。
海遊館(かいゆうかん。水族館。大阪にあります)の話が出ました。熊太郎は、たしか、3回訪れたことがあります。もうずいぶん前のことです。
すごい終わり方をしました。すばらしい終わり方です。
創作の醍醐味(だいごみ。やりがい。快楽)があります。
『噓の道』
与田正:小学6年生男子。素行が悪い。幼稚園の時から嘘つき。主人公「僕」のひとつ上の姉のクラスメート。与田正には、4歳年下の弟がいる。ぼろいアパートに母子で住んでいる。父親は、昔はいた。
僕:小学5年生
僕の姉
僕の父
僕の母:町内会の役員、PTAの役員をしている。
リサ、マイ、ノグっちゃん、クミ:僕の姉の仲良しクラスメート
せいこ先生:幼稚園の先生
白井君のお父さん:材木問屋の社長
有馬のお母さん:看護師
離婚体験者として:松本と橘(たちばな)
嘘つきの話です。
小学生たちです。
いじめがあります。
『僕』は、現在おとなです。だから小学校の時の思い出話です。
与田正は、幼稚園の時から嘘つきでした。
どうして嘘をつくのかは、最後まで語られません。
与田の世帯は、ひとつのところにじっとしていられない世帯だから、そのうちいなくなるだろう。
小学校で、与田正に対するおおがかりないじめと差別が発生します。教師もいじめの主導者のような行為をします。与田正に対してよかれと思ってした教師の行為が、さらなる陰湿ないじめに発展します。いやがらせをして快感を味わう小学生女子たちがいます。
かわいそうだから、『その一、話しかける。』『その二、悪口を言わない。』『その三、一緒に遊ぶ。』そのとおりにすることが、陰湿ないじめなのです。ほめ殺しのようなものです。
いじめの物語です。
ただ、被害者は、与田正だけにとどまりません。『僕の姉』にもふりかかってきます。
公民館で敬老の日のお祭りが開催される。
アクシデントが起きる。
おばあさんが左足首を骨折する。僕の姉が原因である。でも、僕の姉は責任を与田正のこととした。責任を与田正になすりつけた。与田正は無実なのに、与田正に罪をかぶせた。姉は悪人です。冤罪が発生しました。(えんざい:無罪なのに有罪とされた)
大衆の怖さ(こわさ)が表現してある作品です。
善人の顔をした悪人がたくさんいます。
社会的制裁は、法令による制裁よりも厳しい。僕の姉には、厳罰が待ち受けています。
なんだか暗いお話です。
ひきこもりになっているらしき姉と弟が、関りになっていた同級生たちの記憶から存在が消えているのです。
ひきこもりというものは、学校とつながりがあるうちはなにかと声をかけてくれますが、学校を卒業して、学校とのつながりがなくなると、永久にまわりとの交流が絶たれます。死ぬまで引きこもりが続くという厳しいものがあります。
『良夫婦』
土橋友加里(どばし・ゆかり):主人公。妻。35歳。9時から4時まで和菓子製造工場で勤務している。元ヘルパー。甘いものは苦手(にがて)。
土橋幹也(どばし・みきや):主人公の夫。36歳。訪問介護事業所副所長。妻の元上司。両親はいずれも40代で死去した。妻と同じく、甘いものは苦手。
アンコ:メスの老犬。土橋家のペット。人間だと90歳ぐらい。土橋幹也の死んだ親から引き継いだペット。名前『アンコ』の由来はわからない。親も親の友人から譲り受けた犬で、譲られた時にすでに『アンコ』という名前だった。
横井先生:獣医
タム(たむら・ゆうと):公立N小学校5年生男児。学童保育所に通っている。二丁目に住んでいる。親から虐待を受けているおそれあり。老犬アンコと午後5時ころ話をしているような感じがあった。タムはたいてい空腹でいる。老犬アンコのエサを見て、おいしそうと言った。タムは、人に対する警戒心が強い。やせっぽちの少年。たまにからだにあざがある。(腕の内側)
伊藤敏郎:昔、土橋友加里が担当していた在宅高齢者
子どもに興味のない夫の言葉として、『子育てにお金を遣う(つかう)くらいなら老後の資金に回そう……』(ふ~む。体のめんどうは、他人にみてもらうつもりなのか)
しかし、妻は、特別養子縁組制度について調べている。
189:電話番号。児童相談所虐待対応ダイヤル。「いちはやく」
児童相談所の建設反対運動:以前そんなニュースが東京で流れました。その話題にちなんだ作品なのでしょう。
いわゆる嫌悪施設(障害者施設とか高齢者施設、火葬場など)が近所にできると知ると反対する人たちがいるのですが、できてしまうととくにトラブルもなくそれまでの静かな環境は維持されるものだと自分は理解しています。そして案外、反対していた人やその関係者が、類似の施設利用者になることも未来ではありうるのです。
(読み終えました)
庶民の心に潜む悪意について表現してあります。ぞわっと胸騒ぎするような後ろめたさがあります。読後感は良くありません。『イヤミス』というのでしょうか、読後イヤな気持ちになるミステリーのようです。
主人公はヒーローではありません。善人のようで善人でもありません。されど、こういう人って現実にいます。いい人ぶっている、いい人に見える、だけど違う。イヤな人なのです。善意をふるまっているようで、相手を落とし穴に落として、快楽を得る。加えて(くわえて)、自分を守る人です。自分のことを自分でやらず、人にやらせる、やってもらう人です。
こちらの作家さんは、人間がもつ心の闇を素材にして、文章作品を創作される方だと悟りました。
ダイヤル式鍵の番号:4122(よい夫婦)
友加里は自分の子どもがほしい。
疑似家族を体験したい。
子どもがいない人は、パチンコをして時間をつぶすのか。
夫婦は、タワーマンションが欲しい。
スイミー:絵本『スイミー ちいさな かしこい さかなの はなし レオ=レオニ 訳 谷川俊太郎 好学社』
友加里は、善人の顔をしているうそつき人間です。(最低人間)
同じようなことを繰り返すことが、そういう人間の人生ですというお話でした。
『冷たい大根の煮物』
人にだまされてお金を失う話です。
木野:19歳。ひとり暮らしの女性。高卒後、プラスチック部品工場で働いている。非正規社員。だまされる人
芝山:おばちゃん。だます人。木野と同じ工場の異なる部署で働いている。非正規社員
じょうずにだまされて、1万円の貸し倒れになる木野さんです。
たいてい、だます人は、だましたあといなくなります。
最後はどうまとめるのだろう。
だまされたほうは、マイナスばかりでもない。プラスの遺産を木野さんに提供して行方をくらませた芝山さんです。
まあ、木野さんはお人よしでした。断れない人です。『お金の貸し借りはしません』と言える人にならなければ、まただまされるでしょう。
人間なんてそんなもの。だまされたり、だましたり……
『冷たい大根の煮物はあれきり一度も食べていない』→だまされたことを思い出したくないのでしょう。