2024年01月16日

地図と拳(ちずとこぶし) 小川哲(おがわ・さとし)

地図と拳(ちずとこぶし) 小川哲(おがわ・さとし) 集英社

 かなり分厚い本です。小説部分は、625ページあります。評判良く、評価が高い小説です。満州(まんしゅう)のことが書いてあるらしい。満州:中国東北部の旧称。1932年(昭和7年)日本が介在して建国。1945年(昭和20年終戦)まで存在した。

 2023年10月22日日曜日から読み始めます。読み終えるまでに時間がかかりそうです。(翌年1月8日月曜日に読み終えました。少しずつ読み進めました)

 THE MAP AND THE FIST 地図と拳 英語のタイトルが表示されています。

 序章があった、第十七章、そして終章までです。
 時代は、1899年夏(明治32年)から始まって、1955年春(昭和30年)までです。
 日露戦争が、1904年(明治37年)。18か月続いた。

 『序章』の部分を読み終えました。
 読み手たちの興味を惹くように(ひくように)、ずるい仕掛けがしてあると感じましたが、小説ですからそれはそれでいい。
 
 松花江(スンガリー):河川の名称。アムール川の最大の支流
 ロシア兵が出てきます。
 
 高木:両親は薩摩出身。亡父は西南戦争で没した。形見は小刀。仕事は、間諜(かんちょう。スパイ)。参謀本部からの特別任務を受けている。お茶の販売目的で満州地域に入る。(鹿児島はお茶の名所なのでお茶なのだろうと推測します)。役職は、「大尉」

 細川:21歳大学生。中国語とロシア語の通訳。高木に雇われている。亡母が薩摩出身。顔色が悪い。腕は細い。丸眼鏡。体力に乏しい。胆力がない。(度胸)。父親は貿易商をしている。

 苦力(クーリー):アジア系の移民(中国・インド)。出稼ぎ労働者。下層階級
 作物が育つ土・燃えない土・燃える土:燃える土は石炭を含んでいる。

 王(ワン):中国人。山西省出身(北京の西)。現在は、奉天(ほうてん)の東にある李家鎮村(リージャジェン村)に住んでいる。東北(トンペイ)に移住した。

 船の目的地は、『ハルビン』
 死の符牒(ふちょう):隠語、記号、合言葉(あいことば)
 長衫(チャンシャン):中国の女性の衣装


『第一章 千九百一年、冬 (明治34年)』

 奉天義和団の馬宇霆(マーユウテイン)。奉天義和団:宗教的秘密結社。白蓮教(びゃくれんきょう)。外国勢力に対抗した中国の団体。

 李大網(リーダーガン):李老師の表記もあり。李家鎮(リージャジエン)の王様。元役人。集落の主

 神拳会(しんきょかい):農民中心の自衛組織。拳法を使う。
 賈二昆(クーアールクン):人物名。神拳会の師範

 タイトルの意味はなんだろう。『地図と拳』。日露戦争(1904年 明治37年開戦)から第二次世界大戦(1945年 昭和20年終戦)までの50年間を描く。国家と武力だろうか。まだわかりません。

 洋鬼子(ヤンクイズ):西洋人
 二毛子(アルマオズ):西洋かぶれの中国人。キリスト教徒、西洋人から雇われた人間、西洋人と中国人のハーフ
 魔尼教(まにきょう):ペルシャ起源の宗教
 鬼子:鬼のような人間ということだろうか。ロシア鬼子とあります。〇〇人ということのようです。日本鬼子(リーベンクイヅ)、ドイツ鬼子、フランス鬼子、イギリス鬼子、ロシア鬼子とあります。
 (中国の人たちがロシアと戦おうとしています。キリスト教との闘いでもあります。この当時のキリスト教の伝道師の真の目的は、領土を奪うことではなかったのか)

 凶星(ションシン):星占い。悪い影響を与える天体
 禍々しい(まがまがしい):不愉快で、癪に触って(しゃくにさわって)、我慢できない。

 (読んでいると、この当時から、中国は欧米やロシアに土地を侵略されていたことがわかります。国土を守るのもたいへんです)

 白乾児酒(バイカンアルジュウ):コーリャンを原料とした蒸留酒
 桃源郷(とうげんきょう):理想郷
 娘娘廟(ニャンニャンミャオ):道教の女神を祭る社(やしろ。建物)

 イヴァン・ミハイロヴィッチ・クラスニコフ:ロシア人宣教師。もともとは測量士。父親は地図職人。地図職人の前は画家だった。父が描いた若い頃の母親の肖像画のタイトルが、『冬の森』。母は、クラスニコフ宣教師が6歳のときに肺炎で亡くなった。兄弟姉妹はいない。実家は、モスクワ郊外にある集合住宅の二階。16歳から寄宿舎で生活した。それまでは、父と一緒のベッドで寝ていた。暗闇が怖かった。(こわかった)。書中では、がんこな宗教者の態度があります。儀式にこだわる。

 劉神父:登場して間もなく殺された。

 林銘伝(リンミンチユエン):中国人通訳(ロシア語)。ハルビンで奴隷売買をしていた。中国人をロシア人に売っていた。阿片(アヘン)を吸い遊女を買っていた。

 匪賊(ひぞく):盗賊。徒党を組んで、略罰や殺人行為を行う集団
 拳匪(けんぴ):義和団の異名。拳、棒術で暴力を振るう集団
 鶏冠山(ジークアンシャン):中国大連市の北東。日露戦争の重要な戦場だった。

 皇帝ニコライ二世

 財務省ウイッテ大臣

 参謀本部 アントネンコ大尉 白ヒゲの男

 ケルベズ四等文官

 極東軍 マドリトーフ少佐

 この物語は、イヴァン・ミハイロヴィッチ・クラスニコフ宣教師を軸にして進行していくようです。
 彼は5年前、1896年(日本だと明治29年)に満州のことを聞いた。ロシアが、測量をして地図をつくりに行く。(いずれ支配するために)満州にロシアからシベリア鉄道を敷く。地図が都市を生む。測量隊の一員として、イヴァン・ミハイロヴィッチ・クラスニコフ宣教師も参加することになった。

 満州の人間は、『地図』というものを理解できなかった。
 満州の人間は、世界も神も知らなかった。針の穴から家の天井をのぞくぐらいの視界しかなかった。

 イヴァン・ミハイロヴィッチ・クラスニコフ宣教師は、1898年の暮れ(明治31年)満州を訪れた。

 羅宋帽(ルオソンマロ):ボルシチ帽(帽子ぼうし)。ロシアから中国に伝わった。ラクダの毛を二重にしてできている。ひさしはない。

 馬掛(マークア):中国の清の時代に男性が着用した服。腰までの丈(たけ)、長袖が少し短い。前をヒモで組まれたボタンで留める。

 孟(もん):林銘伝(リンミンチユエン。通訳)の親戚。妻はロシア系キリスト教の信徒。孟も通訳

 龍擡頭(ロンタイトウ):龍が目覚める日のこと。(旧暦2月2日。2023年は、3月11日月曜日だった)

 イヴァン・ミハイロヴィッチ・クラスニコフ宣教師を捕らえた中国人の若者が死んでいると思っていたら息があった。
 イヴァン・ミハイロヴィッチ・クラスニコフ宣教師は、通訳の林(リン)がやめるように強く説得したのにもかかわらず、自分たちを拘束して敵に引き渡そうとしたその中国人の若者を助けます。(宗教が下地になって、加害者である人間を許そうとなるのですが、読み手の自分は拒否的な心理になります。ありえません。被害者は命を奪おうとした加害者を絶対許しません。設定がおかしい。あるいは宗教の教えが矛盾(むじゅん。食い違い。理屈に合わない)しています)
 『……、これは自分と神との問題だ。』という言葉があります。意味をとれません。そもそも神はいません。(もうこの先読んでもしかたがない。読書をやめうようか……)まだ60ページすぎあたりです。クラスニコフ宣教師と通訳の林は、再びその若い男に拘束されてしまいます。(その後、事態は変化します。男は、クラスニコフ宣教師たちをロシア軍に引き渡したい。李大網(リーダーガン)がふたりを助けたいそうです。

 告解(こっかい):カトリック教会。神の許しを得る儀式

 楊亮康(ヤンリンコン):クラスニコフ宣教師をかつて殴ろうとした男。昔は青島口(チンタオ)で商船の船長をしていたが、海賊がらみで仕事をやめて中国東北部へ生活を移した。そこが、李家鎮(リージャジェン)だった。

 楊日綱(ヤンリーガン):楊亮康(ヤンリンコン)の息子。ロシア人に投げかけた言葉として、『自分たちだけが正しいと思わないでください』

 情報が混乱していて、何を信じたらいいのかわからない状態です。

『第二章 千九百一年、冬 (明治34年)』

 青島口:チンタオ

 海賊の被害が出た。役人は無実の者を海賊だとして捕まえて朝廷に報告していた。
 楊亮康(ヤンリンコン)は人にだまされます。人にだまされて不幸に落とされるところから、たいてい、物語は始まります。

焰星(イエンシン):こちらの物語では、『国家』のこと。日清戦争で中国が負けた記事があります。(1894年(明治27年))

 夷狄(いてき):外国人
 ロシア人は、『神』を正義だとし、『拳』を悪として、中国の広い大地を奪おうとしている。

 劉春光(ウチェングアン):滄州(そうしゅう。都市名。天津市(てんしんし)の南。)出身の形意拳の使い手

 白蓮教(びゃくれんきょう):中国、浄土信仰の一派
 神拳会(シェンチユエン):李大網(リーダーガン)が名付けた武術

 なんだか、少年マンガのシーンのようになってきました。拳法(けんぽう。拳(こぶし))で相手に勝つ。拳には魂や霊気が備わっていて、強力な破壊ができる波動のような動きがあるというものです。
 「硬気功(鋼の精神(はがねのせいしん))」「金房子罩(金属の房子を罩った(かぶった))」「熱力(金属のこと。さらに外国人のこと)」「土木反転(土は東北の民、木が「清朝(国家)、金属(外国人。銃)によって、土が押しつぶされている」)」「排刀一の芸(戦争のこと)」
 銃に対して、鉄の拳で対抗するというように読み取れます。

 孫悟空(ソンウーコン):楊日綱(ヤンリーガン)は自分に孫悟空という神が乗り移ったと悟りました。馬賊の頭(かしら)になって、名は、孫行者(ソンシンジヨオ)となります。

『第三章 千九百一年(明治34年)、冬』
 田(テイエン):支那人の役人

 義和団の反乱:1900年(明治33年)-1901年(明治34年)。清朝末期の動乱(どうらん。世の中が乱れる)。外国人キリスト教宣教師と地元地域の人間が対立した。土地を巡る争いがあった。清軍と義和団は欧米列国と戦争になり清国が負けた。

 高粱(コーリャン):イネ科の一年草。背の高いモロコシ
 寛城子(クワンチヨンツ):長春市
 コサック騎兵:ウクライナやロシアに存在していた軍事共同体
 洋人(ヤンレン):西洋人。欧米人
 
 周天佑(チョウテイエンヨウ):謎の登場人物。老害化した父親を事故死のように死なせた。
 吝嗇(りんしょく):ケチ
 科挙(かきょ):官僚登用試験。公務員試験
 洪秀全(ホンシユウチユエン):清代の宗教家。革命家
 小米(シヤオミー):もみがらを取り除く処理の途中で、砕けて粉のようになった米
 老許(ラオシユウ):年寄りということか。
 遼陽:中国遼寧省に位置する都市
 説話人(シユウホワレン):物語を語る芸人
 大足女:ていそく纏足(足を小さく見せる処理)をしていない女性
 小褂子(シヤオクワツ):中国服。上着
 熱力(ルオリー):本質。熱は命。人間は熱。熱がなくなったときが人間の死。熱をつくるのが、食糧と石炭。内側から発生する熱と外側で発生する熱
 八卦の理(はっけのことわり):中国伝来の占い。八種類の形。理は、物事の道筋
 ロシアの宣撫工作員(せんぶこうさくいん):被占領地の住民が従うよう、住民への援助を行う仕事を担当する。
 大俄国木材公司司総管(ターウーグオムーツアイゴンスーツオングアン):ヤンリーガン楊日網の役職

『第四章 千九百五年(明治38年)、冬』
 日露戦争の真っ最中です。
 沙河(シヤーホー):川の名称。ロシア陸軍と日本陸軍の戦場
 卜者:ぼくしゃ。占いをする人
 城廠:読みは、「じょうしょう」でいいと思います。意味は、屋根だけの建物で、戦地の砦(とりで)だろうと思います。
 
 谷津(やず):日本軍司令部の人間

 旅順が陥落した。(ロシアが負けた)

 于洪屯(ユウホントウン):中国遼寧省瀋陽市西部の地名
 円匙(えんぴ):小型のシャベル
 従卒(じゅうそつ):将校の身の回りの世話をする兵員。この本では、「間島隊員」
 兵卒(へいそつ):最下級の軍人。この本では、「矢部隊員」
 
 伏線の『軍刀』が出てきます。高木大尉にとっての西南戦争で死んだ父親の形見です。高木大尉が満州に来て6年が経過しています。

 兵站(へいたん):物資の補給・輸送担当。この本では、「兵站司令官福田(のちに大尉)」

 日露戦争における戦場での激しい殺人描写があります。
 主人公だと思っていた人物が絶命してしまいました。
 この物語は、群像劇なのだろうか。
 時代の流れの中で、悲しくも消えていった人たちの姿を浮かび上がらせるという手法だろうか。

(つづく)

 以夷制夷(いいせいい):外国を利用して、自国のために他国をおさえる。
 梁山泊(りょうざんぱく):豪傑や野心家が集まる場所のたとえ。山東省に会った沼地の地名。盗賊や反乱軍の本拠地だった。「水滸伝(すいこでん。シエイシユウチユエン)」の主人公たちが立てこもった場所
 靉陽辺門(あいようへんもん):日露戦争の戦地。中国遼寧省瀋陽市。このあたりで、輸送隊が誘拐された。
 士官学校:士官(将校)を養成する学校(現在の防衛大学)
 庇われている:かばわれている。
 支那語の通訳:福田と細川、岡田
 加藤少尉
 黄(ホアン):支那人の密偵(みってい。スパイ)
 花田総統
 新開嶺:遼寧省か吉林省(きつりんしょう)の地名
 便帽児(ビエンマオアル):中国で、ふだんかぶる帽子(儀礼用や軍用ではない)
 奉天(ほうてん):現在の瀋陽市。奉天は、満州当時の地名
 富順(フーシュン):瀋陽市にある地名
 興安:中国東北部にある地名
 団錬:中国の地元住民による自警組織
 馬賊:馬の機動力を利用する盗賊集団
 天門槍(テンメンチャン):団錬や馬賊が使う武器
 射線:射撃の時の銃の向きの延長線
 輜重車(しちょうしゃ):軍需品の輸送・補給に用いた車両。馬で引く木造の荷馬車

 いろいろ意味を調べないと中身を理解できそうもない読書です。コツコツと少しずつ前に進んでいきます。

(つづく)

 鍵を握るのは燃料となる『石炭』です。李家鎮(リージャジエン)には、石炭の鉱床がある。将来、炭鉱都市になりうる。(通訳細川の話として)石炭都市になったら地名を『仙桃城(シエンタオチヨン)』にしたい。仙桃は果実で、食べると不死身になれる。

 尾形少佐

 相手への恨み(うらみ)が、相手の戦死で、憎む者の気持ちが消化(あるいは、消火、昇華(高度な状態に抜ける))される。

『第五章 千九百九年、冬(明治42年)』
 オケアノス:ギリシア神話に登場する海の神。万物の始まりとされる。(こちらの物語では、満州をオケアノスとして、『万物の始まり』になりえるかと問います。
 果実:成果物。利益、金銭その他のもの。
 ホメロス:古代ギリシアの詩人。紀元前8世紀末ころの人物らしい。
 アレクサンドロス大王:古代に王
 プラトン:古代ギリシアの哲学者。紀元前427年ころ―327年。ソクラテスの弟子
 
 須野(すの):南満州鉄道株式会社、通称「満鉄」に報告書としての資料を提出する。東京本郷に住んでいる。大学の気象学研究者。

 元木教授:須野の同僚

 神託書(しんたくしょ):神の言葉、神の意思

 新井:満鉄の歴史地理調査部所属

 黄海(こうかい)にあるとされる青龍島(チンロンタオ):存在しない。

 地図の話が出ます。歴史とか人物とかです。この物語の肝(きも。大事な部分)になるところでしょう。
 まだ文字のなかった古代からです。地面に、獲物がいる場所を書く。雨で流れる。また書く。めんどうなので、今度は、石を掘って地図とする…… そのような流れです。
 徴税のために地図を作成する。領土を広げるために地図をつくる。

 マルコ・ポーロ―の『東方見聞録』が出てきます。読んだことがあります。
 そのときの感想メモが残っています。
 『全訳 マルコ・ポーロー東方見聞録 青木和夫訳 校倉書房』
 初めて読みました。誤解がありました。マルコ・ポーローは冒険家で単独にてシルクロードを歩いた人ではありませんでした。時は日本の鎌倉時代、マルコはまだ15歳、父親と叔父と一緒に商売の旅にイタリアヴェニスからスタートしています。再びヴェニスに戻ってきたのは25年後、マルコは40歳に達しています。
 記述の中にあるのはまるで映画の中の風景です。アジアの様子です。王がいて、一夫多妻制で、世襲です。支配する者の権力は強大です。一族内の権力闘争があって、毒殺がある。日本も同時期に同様な形態の社会がありました。国は発展して堕落の経過をたどり侵略や内戦によりやがて滅びていく。タルタル人、サラセン人、ジェノア人、アルメニア人、ジョルジャ人、トリシン人、カタイ人は今の何人なのかわからない。ドイツ人、フランス人、ユダヤ人、トルコ人はわかる。キリスト教、マホメットの宗教があって、偶像崇拝の宗教がある。

 ここまで読んで、こちらの小説で宗教家が出てくるのですが、思うに、西洋人はまず、キリスト教という宗教で現地の人間を精神的に感化して(洗脳して。マインドコントロールして。感情・意識を操作誘導して)、その国の領土を手に入れる(植民地化する)という手法をとっていた。ゆえに、江戸幕府は、キリスト教を禁止したと考察できます。

 古代ギリシア人:地中海の地図を作製した。
 古代ローマのプトレマイオス:球体の地球を平面に描写した。

 紙の上に『世界』を表現する。

 宣教師たちは、測量技術を使って、地図をつくるようになった。

 日本の伊能忠敬さん(いのう・ただたかさん)を思い出しました。
 1745年-1818年 73歳没 1800年から1816年の17年間、日本各地を歩いて測量をした。本人56歳から測量が始まっています。

 物語のポイントとして、『実在しない「青龍島(チンロンタオ)」が地図に描かれている』こと。

 インバネス:男子用のコート。肩から胸にかけて、もう一枚布(ケープ)が付いている。(満鉄の通訳細川が着用していた)

 高木慶子:寡婦(かふ。夫を亡くした女性)、長男正男5歳、その後須野と再婚して明男(あけお)が誕生する。亡高木大尉の妻。満鉄の職員になった須野(すの)と再婚する。スノ・アケオ:反対から読んで「アケオノス」(万物の始まり)

 そうか…… という物語の仕組みが判明します。途切れたと思った糸が再びつながりました。

 慧深(けいしん):1400年前の支那人僧侶。アメリカ大陸に渡った。

扶桑(ふそう):神木(しんぼく)。ハイビスカス
 
 『満州の地図をつくって、日本の夢を書きこむ。満州に国家をつくる』(満州はまだだれものもでもなかった。清が滅び、中華民国が誕生していたが、満州の統治はできていなかった)

 日本橋三越:先月10月のとある日に、建物の前を歩いたので、作中に出てきた名称を身近に感じます。

 ニライカナイ:沖縄地方の話。海のかなたや海底に理想郷があって、そこをニライカナイという。信仰のひとつ。

 青龍島:チンロンタオ

『第六章 千九百二十三年、秋(大正12年)』
 関東大震災発災の年です。記述にも出てきます。

 須野明男(すの・あけお):独特です。まだ、11歳です。伏線として、高橋大尉の軍刀。
 懐中時計を与えられて、秒針の動きから時間の経過に強い興味と執着心をもつ。
 9歳で温度計を与えられて、温度に異常なまでの興味を示す。狂気すら感じられます。
 時計がなくても現在の時刻がわかるようになる。温度計がなくても、今の温度がわかるようになる。
 11歳で風力計を与えられて、風力計がなくても風力がわかるようになる。
 
 市谷台:いちがやだい。東京新宿区内。登場人物の男の子が通う士官学校がある。(熊太郎はたまたま先日、市ヶ谷にあるJICAジャイカ地球広場を見学したばかりなので、読んでいて縁を感じました。そばに防衛省の広い施設があります。

『第7章 千九百二十八年、夏(昭和3年)』
 福田主計大佐
 山井大尉(やまのいたいい)
 京都帝国大学教授 一木教授(いちききょうじゅ)
 三井物産 棚橋部長:背の高い白髪の男
 松浦商会 横山(ヘアスタイルは、「震災刈り(七三分けなどの短いほうをより短く刈り込む)

 満州にある関西商船が間借りしている三階建ての建物
 ファサード:建物正面から見た外観
 
 『日華青年和合の会』
 『仙桃城炭鉱準備掛』(虹色の都市にする夢がある。満州民族、漢民族、日本人、ロシア人、朝鮮人、モンゴル人、国家や民族、文化の壁を越えて、みんなで手をとりあって生活する。新国家の建設が目標ですとあります。「最後の一色(221ページ)」とありますが、その一色は「死者」を表す。この土地の人のために、これまでに亡くなった人たちの霊魂を指す)
 
 孫文。革命軍を率いる:1866年(日本では江戸時代末期)-1925年(大正14年)58歳没。中華民国の政治家、革命家
 
 張作霖(ちょうさくりん):1875年(日本だと明治8年)-1928年(昭和3年)53歳没。中華民国の政治家。

 蒋介石(しょうかいせき):1887年(日本だと明治20年)-1975年(昭和50年)87歳没。中華民国の政治家。初代中華民国総統。

 土匪(どひ。土着の非正規武装集団。盗賊の類(たぐい))、政匪、商匪、学匪
 跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ):いろいろな妖怪が夜中にうろつきまわること。

 関東軍:大日本帝国陸軍のひとつ。日露戦争後、日本がロシアから引き継いだ土地を担当した。

 炭鉱のことが出てきます。一時期は隆盛をきわめましたが、石油へのエネルギー革命で、急速に衰退化しました。以前、福岡県の飯塚市で歴史資料館の展示を見学しましたが、150年間ぐらいの経済活動だった記憶です。江戸時代末期から1970年代だったと思います。

『第八章 千九百三十二年、春(昭和7年)』
 林銘伝(リンミンチユエン):60歳過ぎの男性。肉体労働者。日本人のための野球場をつくっている。元クラスニコフ神父のロシア語と中国語の中国人通訳。老林:ラオリン。「老」は、年長者に対する親しみがこめられている。若い頃は、ハルビンで奴隷売買をしていた。中国人をロシア人に売っていた。阿片(アヘン)を吸い遊女を買っていた。

 仙桃城(シエンタオチヨン):地名。李家鎮(リージヤジエン)の変更後の地名
 鶏冠山(ジークアリシヤン):山の名称
 クラスニコフ神父:物語の初めの頃に登場したロシア人キリスト教会の神父。聖ヨハネ教会担当。聖ヨハネ教会は、教会とは名ばかりの粗末な小屋
 東州河(トンチヨウホー):川の名称
 孟(モン):林銘伝(リンミンチユエン)の親戚。通訳。孟の妻がロシアキリスト教の信徒

 時代は少しずつ前に進んでいます。
 
 奉天紅槍会(ほうてんホンチアンホエイ)の許春橋(シュウチユンチヤオ)
 赤銃会(チーチヨンホエイ)の孫丞琳(ソンチヨンリン)。愛称が、孫百八姐(ソンバイパージエ)。孫悟空ソンウーコン(孫行者ソンシンジヨオ)の末子だが、父親の孫悟空を嫌っている。強く孫悟空を憎んでいる。(実は、孫悟空は父親ではない)。女性でダンサーをしている。
 炭鉱で働いていた陳昌済(チエンチヤンジー)
 先生:中国語の場合、日本語の「先生」の意味ではない。〇〇さんの「さん」という意味になる。
 溥儀(プーイ):愛新覚羅溥儀(あいしんかくらふぎ)1906年(日本だと明治39年)-1967年(昭和42年)61歳没。中華圏最後の皇帝。ラストエンペラー。満州国の皇帝として即位。
 東州路(トンチヨウルー):道路の名称かと思いましたが、区域ではなかろうかと判断しています。

 石本:須野明男(すの・あけお)と同室者。女好き。
 笠岡教授:東京帝国大学工学部建築学科担当。笠岡研究所担当
 
 1932年(昭和7年)の設定です。満州国がこの年に成立して、終戦の1945年(昭和20年)まで続きます。

 五色旗(ごしょくき):黄色を下地にして左上に、上から赤・藍・白・黒の旗。満州国の国旗
 都邑計画(とゆうけいかく):都市計画。「邑」は、「村」のこと。
 山査子(さんざし):落葉低木
 
 満鉄の村越
 張文貴(チヤウエンクイ):こども、男児。弟がふたりいる。須野明男(すの・あけお)が写真を撮る。その写真がきっと伏線になると予想します。隣に住むのが、「江(ジャン)」さん。
 三国志:サングオジー
 仙人(シエンレン):西方人(アジアから見て西の人)
 古田:日本人警官。中年。優しい。
 安井憲兵少尉
 小明(シヤオン):須野明男(すの・あけお)のダンスの相手をした女性

 トラブルが発生して荒れます。
 下達(かたつ):上層部の命令を伝えること。
 揶揄い:からかい
 
 淡々と冷徹に、日本兵が中国人庶民を集めて大量虐殺をしたことが書いてあります。
 イスラエルによるパレスチナガザ地区攻撃のようでもあります。
 やらなければ、やられるという恐怖にかられているのです。
 戦争の痛ましさがあります。
 みせしめをしても、復讐心は消えるばかりか倍増します。
 戦争は空しい(むなしい)。だれが戦争を主導しているのか。

『第九章 千九百三十二年、秋(昭和7年)』
 安井:守備隊の憲兵。少尉
 考古学者:いまのところ氏名不明
 加納伍長(ごちょう):ニックネームは「将軍」
 奉天紅槍会の許春橋(シユウチユンチヤオ)
 甘粕(あまかす)民政部警務司長

 読んでいて思い出す一冊があります。
 赤塚不二夫さんの自伝です。
 『これでいいのだ 赤塚不二夫自叙伝 文春文庫』
 『戦中編(満州1)』
 現在の北京市(ぺきんし)北東部にある古北口(こほくこう)生まれ。本籍は新潟市だそうです。 著者の父親が、特務警察官です。日本と対立する中国のゲリラ対策対応が業務のようです。ずいぶん危険そうな職業です。髭(ひげ)を生やして(はやして)いた。怖い人というイメージだったとあります。

 黄河文明のことが少し書いてあります。

 五族協和:満州、蒙古、回(イスラム教徒)、蔵(チベット民族)、漢民族

 ひとり殺せば、何人でも殺せるようになるのか。
 へんな話ですが、昔タクシーの運転手と話をしたときに、運転手が、浮気というものは、最初はためらうけれど、一度やってしまうと、何度でもやれるようになると聞いたことがあります。浮気でなくてもほかの罪悪感をもつようなことでも同様でしょう。基本的に人間なんてそんなものなのです。

 『…… 上官の命令は、陛下の命令と同じだと教えられていた……』洗脳による意識操作(マインドコントロール)があります。他者の考えにだまされたり、依存したりしちゃだめです。自分の脳みそで考えなければだめです。

 アナキスト:国家や宗教などの権威と権力を否定する。個人の合意で個人の自由が重視される社会を理想とする思想の人

 邵康(シヤオカン):日本人による虐殺の生き残り。日本人に両親と祖母、ふたりの妹を殺された。兄は戦死した。
 宋其昌(ソンチーチヤン)
 韓(ハン):門番
 王経緯(ワンジンウエイ):奉天抗日軍の連絡役を名乗る男(実は相手をだまして捕まえようとする組織の人間)

 ロシアの言葉として、『キノコと名乗ったからには籠に入れ』(一度手をつけたら、最後までやり遂げなさいという教え)

 耳に痛い言葉として、『日本人たちは、暴力によって他人を支配できると考えている。偽国家を作り、偽の法を作り、偽の王の力でこの地を征服しようとしている……』

 ロシア人キリスト教神父に抗議があります。『あなたの言うように祈ったところで、何も起こりませんでした…… 戦うことでしか、私たちの意思を示すことはできません』(神よーーと 祈っても、戦争はなくならないのです)

 須野正男:須野の長男。工兵として満州へ行く。工兵(軍人。技術的作業担当)
 須野明男(すの・あけお):須野の次男。二十歳

 張学良(ちょうがくりょう):1901年(日本だと明治34年)-2001年。ハワイホノルルにて100歳没。軍人、政治家。張作霖の長男。張作霖(ちょうさくりん):1875年(日本だと明治8年)-1928年(昭和3年)53歳没。中華民国の政治家。

 犬養毅(いぬかいつよし)首相:1855年(江戸時代末期)-1932年(昭和7年)76歳没。五・一五事件で暗殺された。反乱目的で武装した陸海軍の将校たちが内閣総理大臣官邸で殺害した。

 小明(シヤオミン):なになにちゃん、なになに君。細川が須野明男を呼ぶ時の言葉。

 細川が満鉄を辞める。空席となった仙桃城工事事務所長の後任に、松浦商会の取締役で、「日華青年和合の会」の若手強硬派だった横山という三十代の男がなった。ロシアの大学を出たとびぬけた頭脳をもつ男だった。ただし、細川は横山を支持していなかった。

 石原参謀(さんぼう)

 319ページまで読みました。淡々と話が進んでいきます。山場があるようでありません。不思議です。今日は12月2日土曜日です。寒くなりました。

『第十章 一九三四年、夏(昭和9年)』
 石本:須野明男の友人。東横線『代官山駅』の近くに住んでいる。
 中川:石本と同じアパート、二階の手前の部屋に住んでいる。石本いわく、中川は千年に一度の秀才らしい。同潤会に就職した。石本と同じ高校の三年先輩。

 コンター:等高線、輪郭線
 フラット:集合住宅
 同潤会(どうじゅんかい):財団法人。日本で初めての住宅供給組織。大正13年設立。大正12年の関東大震災の義援金で設立された。
 リムスキー=コルサコフの『シェラザード』:1888年完成の交響組曲
 ポール・ヴァレリーが『エウパリノス』の中で言っていた:フランスの詩人・小説家(1871-1945 73歳没)。代表作が、「エウパリノス」建築と音楽。哲学と舞踏論ほか。
 エベネザー・ハワードの『明日の田園都市』:近代都市計画の祖。イギリスの社会改良家、都市計画家。1850-1928。78歳没。明日の田園都市は著作品。モダン(現代的、当世風)な都市計画の提唱者。レッチワースは、ハワードが手がけたロンドンの北にある田園都市
 岸田先生、辰野金吾:建築家。辰野金吾氏は、日銀本店、東京駅、奈良ホテルなどをつくった。
 笠岡教授:専門は防災
 ル・コルビュジエ:スイス生まれでフランスで活躍した建築家。フランス語の論文として、「輝く都市」

 伏線として、『アカシア』:『抽象的な都市生命学』

 満州国三周年記念日の翌週、戦争構造学研究所記念祝賀会
 千里眼ビルディング:正式名称は、東亜ビルディング。仙桃駅直結のビルディング。孫悟空の会社東亜公司が経営する。公司(こうし):中国で会社のこと。

 仙桃城工事事務所長 横山
 駐在員 村越

 ファサード:建物の正面から見た外観

 335ページ。戦争構造学研究所長の細川が、『地図と拳』というタイトルで講演を始めます。
 地図は二人組でつくる。(測量)
 イギリス人のメイソンとディクソン(アメリカ合衆国ペンシルベニア植民地とメリーランド植民地の境界線)
 ルイスとクラーク(アメリカ合衆国西海岸)
 カッシーニ親子(フランス。木星を使って経度の計測に成功した)
 キムとラマ(英領インド)
 漢人シーとホー(古代の天文学者)
 ブーゲとコンダミン(フランス人。ペルーで測量)
 
 三角測量を用いて測量する。

 趣旨として、『国家とは、すなわり地図である。…… 大日本帝国は、台湾を手に入れ、朝鮮を手に入れた。』
 もうひとつ、拳(こぶし)の趣旨として、『この世から「拳」はなくならない。地図があるから、「拳」はなくならない。世界は狭すぎる。人類が住める場所は狭い。だから人類は戦争をする。居住可能な土地を求めて戦う。東欧を統治する者は、ハートランド(ユーラシア大陸)を支配する。ハートランドを支配する者は、世界島(アフリカ大陸)を支配する。世界島を統治するものは全世界を支配する。(中国の政策一帯一路のようです)』
 ユーラシアの東方にドイツがある。西方に日本がある。
 
 昭和9年のことですが、戦争構造学研究所長の細川の頭の中には10年後の世界のことがあります。

 今田:政治活動家。東京上野不忍池(しのばずのいけ)の近くにあるアパートに住んでいる。偽名が今田で、本名は、『鴨田直志(かもだ・なおし)』らしい。
 K:今田が属する政治活動団体のトップ

 石本が考える須野明男があります。
 石本は、須野明男の都市計画能力に嫉妬しています。ライバル視です。
 石本は、自分の代わりに須野明男の対抗馬として、中川を立てます。
 
 革命:資本主義を共産主義に変える。
 議会制度の否定:資本家にとって優位な制度だから。
 ブルジョワ階級:資本家
 プロレタリアート:賃金労働者階級。労働者、農民

 石本は、共産党の末端組織「細胞」の活動に取り組み始めます。
 石本は、『青年建築家同盟』を立ち上げます。建築を通じて世界を変える。考え方は共産主義的です。資本主義を否定する。戦争のない平和で平等な世界を実現する。機関紙が、『青春』

 本のなかの時代は昭和10年(1935年)です。昭和ひとけたから10年あたりが、熊太郎の親世代が生まれたあたりです。昨年12月に九州に住む実母に会ってきました。もう90歳ぐらいです。耳は聞こえにくいようですが、おしゃべりは尽きません。いろいろ叱られるばかりです。黒柳徹子さんの世代です。戦争体験者はご苦労をされています。

 仲間として、木内、須野明男、石本、中川、班長という肩書の人

 須野明男は、昭和10年(1935年)に東京帝国大学を卒業した。まだ、ラジオはあるけれど、テレビはない時代です。昭和16年(1941年)12月から太平洋戦争に突入です。
 美濃部達吉の天皇機関説:1873年(明治6年)-1948年(昭和23年)75歳没。法学者。天皇に主権があるとはしない。天皇は周囲の進言を受けながら国を統治する役割を果たす。(こちらの物語の中では、人民が「機関」の意味をとれず、「機関車」とか「機関銃」と理解しています)

 干城(かんじょう):国を守る軍人
 大元帥(だいげんすい):天皇
 股肱(ここう):部下
 埒があかない(らちがあかない):ものごとがいつまでたっても進まない。「埒(らち)」は、囲い。
 イデオロギー:政治思想、社会思想
 瓦解(がかい):一部の崩れから全部が崩れること。
 
 青年建築家同盟:多い時で50人超え。大学教授、課長級の人物、若手建築家の集団。その後減少して、14人。編集長石本
 
 赤:共産主義者、社会主義者
 酒保(しゅほ):飲食物の売店(軍関係)
 
 軍隊です。鉄拳制裁があります。(殴る(なぐる))

 コミンテルン:国際共産主義運動の指導組織
 美人局(つつもたせ):女を使って男をだまして男から金銭をせしめる。
 拐帯(かいたい):預かっているお金を持ち逃げすること。
 シンパ:共産主義への共鳴者。影で援助する。
 ファシズム:労働階級を権力で押さえる。外国を侵略する。独裁主義。反対派を弾圧する。
 
 橋本:2年兵。薬莢をなくした。やっきょう:鉄砲の発射薬を詰める容器。発射後、銃から排出される。
 白澤:内務班の職員

 転向:共産主義、社会主義をやめる。その思想を捨てる。

 特務曹長(とくむそうちょう):陸軍の准士官。少尉と曹長の間。

 償勤兵:軍法上の罪を犯した(おかした)兵員という意味だろうか。たとえば、脱走兵。

 不寝番:夜通し寝ない出番をする人。役目

 読んでいて、話の話題が小さいような気がします。370ページあたりです。

 内閣総理大臣:須野正男(須野明男の兄)。明朗快活な好男子。中尉として満州に滞在中。
 日本銀行総裁:石本
 海軍大臣:赤石
 仮想内閣→仮想閣議。昭和12年(1937年)5月初めのこと。
 須野:須野明男の父。満鉄の仙桃城工事事務所の工科長。工科は、工業に関する学問。学科。
 陸軍大臣:滝本

 丸眼鏡の男:戦争構造学研究所の細川
 仮想内閣で未来を推測する。
 地政学研究班が導き出した『塘沽事変(とうこじへん)』をもとにして、日本政府の対応を考える。(仮想の塘沽事変(とうこじへん)が、現実の北支事変になる。盧溝橋事件(ろこうきょうじけん)1937年(昭和12年)7月7日)
 
 国民党の蒋介石(しょうかいせき)と共産党の周恩来(しゅうおんらい)。

 デュナミス:ギリシア哲学用語。『現状から発展する可能性のある選択のこと』未来の予想です。戦争になるかならないか。どちらが勝利するかなどです。

 タングステン:金属。洗車の装甲、砲弾、対戦車弾に使われている。

 須野明男:歩兵として、満州に来た。司令部勤務で、仙桃城の派出所で都市計画や建築に携わる。
 須野正男:陸軍の命令で、北支へ行った。
 
『第十一章 一九三七年、秋(昭和12年)』
 中川:昭和12年8月下旬赤紙(召集令状)を受け取った。盧溝橋事件が、7月7日だった。日本人はロシア人が敵だと思っていた。中国人が敵になってしまった。『K』は、中川だった。
 
 多胡(たご):バイオリン弾き

 銃の音についてです。
 ドン:自分が銃を撃った時の音です。
 パン:相手が銃を撃った時の音です。
 ヒュン:相手が撃った銃弾が自分のそばをかすめて通過する音です。
 
 塘沽沖(とうこおき):天津の南東にあたる。
 天津(てんしん):北京の南南東に位置する国家中心都市
 王口鎮(ワンコウジエン):天津の南南西にある土地。天津市の管轄
 子牙河(ズーヤホー):河川
 八貫:3.75kg×8=30kg
 沙河橋鎮(シヤーホーチヤオジエン):天津市の南南西に位置する土地
 海松色(みるいろ):海藻のようなくすんだ濃い黄緑色
 微発(ちょうはつ):軍需物資を人民から強制的に取り立てる。
 献県城(シエンシエンチヨン):天津の南南西に位置する土地
 歩兵の役割:『行軍(こうぐん。軍隊が隊列を整えて移動すること)』と『突撃(喊声(喚き声)をあげて前進すること)』突撃とは、阿呆になり(あおうほうになり)、ただの機械になること。
 孫丞琳(ソンチヨンリン):女性。孫悟空(ソンウーコン(孫行者(ソンシンジヨオ)))の娘。愛称『孫百八姐(ソンバイパージエ)』赤銃会(チーチヨンホエイ)のメンバー
 小島:仙桃城守備隊第二中隊長
 許春橋(シユウチユンチヤオ):奉天紅槍会。炭鉱襲撃の英雄
 安井:守備隊の配属憲兵
 宋其昌(ソンチーチヤン):守備隊に通訳としてもぐりこんだ。
 八路軍(パールー):中国共産党軍。以前は、仙桃城紅軍((シエンタオチヨンホンジユン)
 永陵街(ヨンリンジエ):仙桃城の東に位置する土地
 邵康(シヤオカン):日本人による虐殺の生き残り。日本人に両親と祖母、ふたりの妹を殺された。兄は戦死した。

 父親である孫悟空から娘である孫丞琳(ソンチヨンリン)への教えとして、『王は予言者に反論できなければならない』があります。予言者が王を支配していた。予言者だけが、お文字を読めた。
 予言者のいいなりになってはいけない。王は、学ばなければならない。(権力者になる立場の人間は、学ばなければならない)
 歴史や学問は、『声』によって、後世に伝えられてきた。師匠の教えを弟子が引き継いだ。
 文字は、金勘定をするために生まれた。文字は、物語をつくために生まれたのではない。
 最初に文字を使ってできた物語が、『聖書』だった。
 
 ロシア人のクラスニコフ宣教師は、宣教師の職を失って、老人のホームレスのようにやつれはてています。彼は、地図をつくっている。
 孫丞琳(ソンチヨンリン)と須野明男は再会しますが、孫丞琳(ソンチヨンリン)は須野明男を覚えていません。ふたりが以前会ったのは、1932年(昭和7年)3月2日、午後10時11分です。日本が経営する炭鉱が現地中国人グループに襲撃される直前でした。

 中川
 水島

 戦争の悲惨さが、日本軍の中国における『行軍』行為として表現されています。
 『戦争』は、人間を、『獣(けもの)』に変えます。この付近のシーンでは、日本軍の兵隊は、加害者です。侵略者です。

 山岳地帯の鞍部(あんぶ):山の尾根のくぼんだところ。
 展望哨(てんぼうしょう):遠くを見渡す見張り。
 擲弾筒(てきだんとう):手りゅう弾を遠くに飛ばすための小型の火器
 血路(けつろ):敵の囲みを破って逃げる道
 山縣元帥(やまがたげんすい):山縣有朋(やまがた・ありとも)。長州藩。高杉晋作と奇兵隊を率いた。(たかすぎしんさくと、きへいたいをひきいた)。陸軍大将
 日本男児の気象を示す:気質
 
 414ページ付近を読んでいて、一冊の絵本のことを思い出しました。『百年の家 絵/ロベルト・インノチェンティ 作/J.パトリック・ルイス 訳/長田弘(おさだ・ひろし) 講談社』戦争がからんでいます。

 アリストテレスの言葉があります。『よい人間とは何か。』アリストテレスは答えます。『「思慮(しりょ)である。注意深く、ものごとを様々な側面から考える。他人の立場を慮る(おもんばかる。相手のことを考えて相手のためになる仕事をする)』
 
 平常時は建築の天才といわれた中川は、戦争で歩兵となり、中国大陸で銃撃戦を行い、自分はもう人間ではない。修羅(しゅら。バケモノ。インドの鬼の神)になったと悲しくなるのです。

『第十二章 一九三八年、冬(昭和13年)』
 安井:憲兵中佐。須賀明男からカメラを取り上げた。
 横山所長:今は奉天にいる。
 ジュール・ブルデ:フランスの建築家
 本多静六(ほんだ・せいろく):1866年(江戸時代末期。明治維新が1868年)-1952年(昭和27年)。85歳没。林学者。造園家。株式投資家。「公園の父」。投資で得た巨万の富を匿名で教育機関、公共機関に寄附した。日比谷公園を設計した。

 1889年万国博覧会:明治22年フランスパリにて。第4回パリ万博

 『光とは命である』『建築家は光を利用する』『闇とは想像力である』

 ル・コルビュジエ:建築家。スイス生まれフランスで活躍した。

 須野明男は、公園をつくることを決心する。

 南京陥落:1938年(昭和13年)12月13日

 近衛内閣(このえないかく):内閣総理大臣近衛文麿(このえ・ふみまろ)。第1次から第3次。
 
 黄宝林(ホアンパオリン):別名として『黄司令(ホアンスーリン)』と呼ぶ。反日活動組織のトップ。常に砂時計を使用していて、自分自身の行動の時間の管理をしている。日本人に対する強烈な復讐心をもっている。

 飛龍(フェイロン):軍馬の名前
 牌布(パイプウ):布。ラシャ。毛織物
 輜重係(しちょうかかり):軍隊で兵站(へいたん。物資に関しての支援担当)担当。手荷物係
 『一切行動聴指揮(どんなときも指揮に従って行動せよ』『一切繳獲要帰公(得たものはすべてみんなのもの)』
 『わたしたちの土地を取り戻しましょう』
 惹句(じゃっく):キャッチフレーズ
 
 須野明男のプランとして、『李家鎮公園(リージヤンエン公園)』の計画案

 『燃えない土』は、コンクリートとの相性が良かった。

 ゲニウス・ロキ:ローマ神話における土地の守護精霊。地霊。モニュメント(記念碑)は、公園に潜む魂を立ち上がらせるものでなければならない。
 普請(ふしん):土木・建築工事 公共事業
 アーキテクチャ:建築物。建築学。当初は、「造家(ぞうか)」という訳語だった。

『第十三章 一九三九年、夏(昭和14年)』
 安井:憲兵中佐。この時点で激怒している。自分の『仙桃城再開発計画』をつぶされたことで怒っている。ヤブ医者の誤った治療で、7歳の弟が死んだときよりも怒っている。(おこっている)。計画の中止は中国人によるものではなく、日本人によるものだと判断している。しかし、表向きは中国人が悪いことになっている。満州で日本人が快適に暮らすことができる官舎をつくる予定だった。
 治安課長:司令部から来た。
 甘粕元司長(あまかすもとしちょう)
 永陸街(エンリンジエ):地名

 南清輪船公司(ナンチンルンチユアンゴンスー):船舶会社
 不要停止!(プーヤオテインジイ):止まるな!
 便衣兵:一般市民の服装をした兵員。民間人に変装している。
 放下武器!(フアンシアウーチー):武器を捨てろ!
 大旬子鎮(ターシユンヅジエン):地名。『偽機関銃作戦』を中国側の作戦として行う。

 石本は仙桃城で2年間を過ごしていた。今は、昭和13年の冬。日支戦争は続いていた。
 戸島製作所の鷺島(さぎしま)開発部長
 大連中試の中村社長
 仙桃城東精油工場の白鳥工場長
 燃料廠(ねんりょうしょう。屋根だけで壁のない建物)の高島海軍中佐
 石炭から石油へのエネルギーの変化の話があります。
 この当時の判断として、『日米開戦の確率はそれほど高くはない』
 中川は戦死した。

『第十四章 一九三九年、冬(昭和14年)』
 城島源造(じょうしま・げんぞう):生まれつき恐怖心という感情が薄い。軍人になるとすぐ死んでしまうので、14歳で泥棒になった。おとなになって、『忍びの源』という名で呼ばれる大泥棒になった。満州で活動している。
 男(おそらく細川)に頼まれて、書類の盗みをしている。仙桃城東精油工場から盗み出して、代わりの書類を置いて、そのあと、本物の書類を元の位置に戻している。憲兵安井の部屋からも盗みを依頼されたがあまりに危険なので断った。
 掏摸:すり
 虎臥(こが):虎が大地に伏せている。さらに、「竜跳虎臥(りゅうちょうこが):筆勢のこと。竜が跳ぶ、虎が伏せるような筆の勢い。
 仙台に輸入されたプレス機:トランスファープレス機
 煤都:読みは、「ばいと」か。石炭の煤(すす)。黒煙が立ち上る都市
 
 『超高層の建築を実現するため、絶対に必要だった技術とは何だろうか?』→『エレベーターと空調機の発明だよ……』

 昭和14年のこととして、赤石は、戦争において、日本の敗北を予言しています。

 石本は、満州に残っている。
 
 ノモンハン事件:モンゴルハルハ川付近。1939年(昭和14年)5月-9月。満州国とモンゴル人民共和国の境界線を巡って起きた衝突紛争。モンゴルを衛星国にしていたソビエト連邦と日本の紛争。ソ連とモンゴルが国境を維持した。
 
 フランスがドイツに降伏した日:1940年(昭和15年)6月22日

 隷下(れいか):指揮下

 『「では、また」とここのまま別れたら、もう二度と正男と会うことができないような気がしていたのだった……』
 8年6か月ぶりに、ダンスホールに行く。
 タイガー・ラグ:ジャズ曲。1917年の曲
 
 『昭和15年9月:ドイツはイギリスを空襲していた。日本軍は相変わらず支那と戦っていた……』
 太平洋戦争の開戦が、(1941年)昭和16年12月8日ですが、登場人物たちは、日本の敗戦を予想しています。『戦争は始まっていなかったが、始まる前から終わっていたのである』

『第十五章 一九四一年、冬(昭和16年)』
 須野明男の新しい職場:ソ連国境付近の永久要塞『虎頭要塞』虎頭鎮(フートウジエンにある。ソ連のシベリア鉄道が近い)
 満州事変:昭和6年
 橋頭堡(きょうとうほ):橋を守るための砦(とりで)
 掩体(かんそくようえんたい):格納庫。射撃しやすくするための設備。敵の銃弾から守る設備
 『建築はだれのものか→利用者のものである』須野明男は利用者にとってメリットのある建築物をつくりたいけれど、戦時中のため、強大な兵器のような建築物しかつくれないことに憤りを感じている。

 ベトン:コンクリートのこと。フランス語

 やるべきこととして、『巨大な不要物(満州国のこと)に使う建材を節約すること』

 6月、ナチス・ドイツが不可侵条約を破ってソ連に侵攻した。

 昭和18年4月、須野明男は、仙桃城に帰還する。兵舎の設計をする。
 『誰かを殺すための施設を作ることは、建築家の仕事ではない。』

 1941年(昭和16年)12月8日ハワイ真珠湾攻撃のあと、中国の組織は、日本軍が米軍に負けることを確信した。中国も同様に日本軍に勝つことを確信した。『勝利する未来が確定した。』とあります。

 褲子(クーヅ):パンツ(ズボン)

 戦争が人間を鬼に変えていきます。

『第十六章 一九四四年、冬(昭和19年)』
 町野寿雄(まちの・ひさお):5歳のとき、父親が奉天で戦っていた。敵の銃弾に倒れて戦死した。現在、軍人。

 仙桃城(シエンタオチヨン)という都市にある千里眼ビルディング(せんりがんビルディング)の8階で、孫悟空(ソンウーコン)は、5年間暮らしている。(ひっそりと隠れている)
 
 海賊 バーソロミュー・シャープ:1702年52歳ぐらい没。イギリスの海賊。航海日誌を残した。

 『昭和19年の冬は過去に例がないほど雪が降っていた。(満州にて)……』
 笠岡教授が、雪解け水いっせい流れ出しによる洪水、水害を心配していた。
 須野明男は、工事事務所に残っていた。
 太平洋戦争は、『転進(戦地は南方へ。満州は置き去りにされた)』→『玉砕(ぎょくさい)という名の全滅』→日本本土へ空襲開始
 ナチス・ドイツは近々滅びる。
 
『青龍島はなぜ地図に描かれたのだろうか(空想の場所。この世に存在しない)』

 ガバヌーア・ケンブル・ウォレン将軍:

 地図はキリスト教のためにつくられた。(権力者は、宗教を下地にして、人民の思想を管理し、領土を増やそうと試みたと受け取りました)。そのあと、船乗りのためにつくられた。(これも領土拡大目的でしょう)

 なぜありもしない架空の島、『青龍島(青龍によって守護された理想郷)』が、昔の地図に存在したのか。
 青龍島の北部の形は、モスクワ川の形からきている。
 青龍島を描いたのは、ロシア人であろう。モスクワに縁があるロシア人であろう。
 そのことを調べるために、旧サンクトペテルブルグ(現在のレニングラード)に行く。建設局の人の話を聞く。(戦争が終わって平和になるまでは行けない)

 仙桃城が襲われる。
 町野寿雄軍曹の右肩は銃弾が貫通する。
 『1 撃つ時はなるべく敵に近づくな。相手の顔が見えないきゅおりで撃て。 2 怖くなったら俺の(上司の))顔を思い浮かべろ。俺に命令されたから撃つんだと自分に言い聞かせろ。 3 一人になるな』、『戦場では、銃弾を命中させることよりもずっと、引き金を引くことのほうが難しい……』
 
 鹵獲(ろかく):戦場で敵の武器、弾薬、資材をぶんどること。

 橋本:工兵(土木・建築・鉄道・通信担当の兵員)
 

 『建築とは何か』:建築とは避難所である。人間は建築によって守られる。
 国家とは、暴力から人間を守るためのもの。国家も建築といえる。
 国家の図面を引くのも建築家の仕事だ。
 もうひとつ。
 『建築とは、「時間」だ』

『第十七章 一九四五年、夏(昭和20年)』
 今日は、1月8日(月曜日・祝日・成人の日)です。ようやくこの物語を読み終えました。記録を見ると、読み始めは、昨年10月22日(日曜日)でした。毎日少しずつ読み続けてきての達成感があります。

 嫌われ者の憲兵中佐安井です。
 八月十五日、天皇陛下の敗北宣言がラジオから流れても信じません。偽情報だと言い張ります。興奮して暴れる安井を止める人間を殺そうとまでします。
 『一億玉砕にうよる本土決戦は、米国を倒すための唯一の作戦である……(終戦後、日本にとって米国は一番の友好国になりました)』
 ソ連が中立条約を破って満州へ進軍を始めたのが、終戦直前、昭和二十年八月九日(長崎原爆投下の日)でした。(ソ連は自分たちが利益を得るためには手段を選ばない国です。国のあり方として、何かが貧しい)
 『陛下から賜った(たまわった)貴重な建築資材を盗むことが、愛国精神だと?』(洗脳されています。ふつうに考えて、おかしなことを言っています。人間の脳みそは思想教育によってここまで意思をコントロールされてしまうのか。人間の心は弱い)
 本土と通化:日本国本土と満州国のこと。
 ハラショー:ロシア語。「わかった」「良い」「了解」
 新京:満州国の首都。現在の長春市
 村越:満鉄の職員
 アール・デコ風:欧米で1910年代から1930年代に流行った(はやった)装飾美術。例として、エンパイアステートビルディング。
 村越と石本は、満州に残る。
 ハイラル:内モンゴル自治区にある都市
 
 『…… 建築をします』
 『建築とは時間です。建築は人間の過去を担保します』(建築物を見ると人は過去を思い出すことができる。建築物が時間を繋ぐ(つなぐ))
 
 (シーンは、最初のシーンに戻るようなパターンです。なかなかうまい)

『終章 一九五五年、春(昭和30年)』
 読み終えて、建築の本でした。
 戦争が背景にあるものの、建築家が建築物に気持ちを入れ込む本でした。
 隈研吾さんの本を思い出しました。『建築家になりたい君へ 隈研吾(くま・けんご) 河出書房新社(かわでしょぼうしんしゃ)』

 クラスニコフ神父の話が出ます。彼はすでに他界しています。
 青龍島とクラスニコフ神父がつながります。
 『地平線の向こうにも世界があることを知らなかったあなたへ(あなたは、満州仙桃城の地域(李家鎮)に住む中国人たちのことです。彼らが信じていた島が、「青龍島(理想郷、楽園)」です)』(住民に広い世界があることを知ってほしい)
 青龍島をこれからつくる。都市をつくる。
 
 読む前の予想に反して、淡々と静かに流れる歴史物語でした。読み終えて、すがすがしさが残りました。

 かなりの長文になってしまいました。この文章全体を読める人は少ないでしょう。感想というより、内容を理解するための読書メモになりました。
 気づきがありました。太平洋戦争は始まる前から、軍の関係者には、日米のどちらが勝つかわかっていたのです。それでも、権力者たちは、無理やりに、勝てもしない戦いを米国に挑んでいったのです。死ななくてもいい人がたくさん死んでいきました。それが良かったのか悪かったのかは自分にはわかりません。戦争にならなかったとしても、日本が植民地化されていたということもあるのかもしれません。人間がやることは完ぺきではないということは理解できました。

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