2020年05月19日

百円の恋 邦画DVD

百円の恋 邦画DVD 2014年公開

 百円ショップで働く32歳独身女性の恋だから、百円の恋ということがまずあります。その次に、その女性が自分自身を百円程度の女と表現します。

 女性版「ロッキー」です。最初、ボクサーの男性がヒーローになるのかと思いましたが、途中で、男女の立場が入れ替わります。主役の女性が、かっこいい。いい映画でした。おもしろい。心があたたかくなるコメディ根性映画です。お父さんのセリフが良かった。「おまえ、ちょっと、変わったな」

 役者の私生活には興味がありませんが、出演者が不祥事を起こすと、作品が汚れてしまいます。映像内の演技を観ていて、助演男優の不祥事の内容が思い出されてしまいます。創造して表現する作品においては、イメージが大事です。とても残念です。
 
 安藤サクラさんは体当たりの演技でした。最初は太っていてだらしないろくでなしの女でしたが、最後はスリムな女子ボクサーの姿でした。
 
 タバコを吸うボクサーは弱いと思う。
 最初のうちは、100円ショップとか、コンビニで働くときのマニュアル紹介ビデオみたいだと感じました。
 レジに置いてある小銭の募金箱になにかこだわりあり。(わかりませんでした)
 あと、バナナにもこだわりあり。
 若い男性店員が、「マジスカ!」を連発するのがおもしろかった。
 賞味期限切れ弁当をいただきにくる元店員女性と店長とのバトルが何度も続くのですが、そちらの意味はよくわかりませんでした。何にこだわっていたのだろう。
 
 女子は、見た目が、かっこいい男子が好き。
 好きな男に優しくされて、女子は泣く。

 助演男優の声が、ぼそぼそと小さくて、セリフを聞き取れない部分があるのが難儀だった。

 男は、相手に対する愛情もなく、メシを作ってやらせてくれる都合のいい女を簡単に見放す。女子はもっと怒(いか)ったほうがいい。
  

2020年05月18日

西部警察 DVD

西部警察 DVD 1979年(昭和54年) テレビドラマ

 リアルに放送されていた当時はテレビをあまり見ない生活をしていたので見たことがありません。今回、第一巻だけを借りて、第一話「無防備都市前編」第二話「無防備都市後編」第四話「マシンガン狂詩曲(ラプソディー)」を観ました。
 過去の歴史書を見る気分でした。もう過ぎたことですが、自分にとっては新鮮です。過去への時間旅行を楽しみました。

 41年前のなんだかんだです。ダイヤル式黒電話機、黄色い公衆電話機、同じく赤い公衆電話機、プッシュ式電話機、映像の中では、電話の逆探知がすばらしい技術だとされていた時代です。スマホはないし、パソコンは一部の人が利用しているだけでした。こういう時代もあったと思い出させてくれます。長針・短針・秒針が付いた掛け時計、どこでも喫煙が許されていた。新幹線は、「ひかり号」がメインだったなど。今とは別世界の感じもあります。
 ロケ地での撮影として、戦闘装甲車が道路を堂々と走行するシーンの背景で、おそらく一般の人たちが、ふつうに信号待ちをして横断歩道を渡っていきました。番組開始前のロケ地の人々は番組の撮影風景に興味がなかったようです。そののんびりとした雰囲気が、なんとなく感じが良かった。

 現代の刑事ドラマ「相棒」とは対極にある内容です。「相棒」は、頭脳派です。対して、「西部警察」は、体力勝負、ど根性の肉体派です。まあ、どんぱちとすさまじい。初回から戦車みたいな装甲車が登場して、ロケット弾のような砲弾を撃ち込んでくるのです。マシンガンがさく裂したり、警察側もライフルを構えて応戦したり、滅茶苦茶とも思える発砲のあと、警察は、ダイナマイトで敵の装甲車の爆破を試みたりします。まるで玉砕の戦争映画か、遊びとしての「なになにごっこ」の怪獣映画のようでした。模擬ゲームです。
 奇想天外な設定で、現在ではテレビ放映が許容されないようなシーンもあります。とても警察職員には見えません。警察署の課長室で勤務時間中に洋酒をラッパ飲みする課長です。パワハラや男尊女卑と受けとれるセリフも出てきます。仲間意識は強い。師弟関係のきずなも強い。警察側集団による容疑者に対するいじめ虐待ととられそうなシーンも出てきます。問答無用です。言い訳を言う間も与えてくれません。特別公務員暴行陵虐罪(とくべつこうむいんぼうこうりょうぎゃくざい。容疑者に暴行を与えて自白を求めるなど)に該当しそうです。まずもって、裁判所で法の裁きを受ける前に、警察職員に皆殺しにされてしまいそうです。ギャング映画のようでもありました。

 見た目にこだわる映像です。かっこよくが大事です。劇画を動画にしたような映像づくりです。
 どちらかといえば、刑事たちのほうが、見た目が怪しい。

 ドラマは、意図的に、理屈を表明するメッセージが設定されていないと解釈しました。
 娯楽として、スカッとした気分になり、心にしみる歌声を聴いて、いやされる番組です。
 スピーディーな画面展開と、金管楽器のラッパのファンファーレ、そして、爆発によるオレンジ色が画面全体に広がる迫力ある映像で、アクション物語の雰囲気を盛り上げています。  

2020年05月17日

アウトレイジ 邦画DVD 2010年公開

アウトレイジ 邦画DVD 2010年公開

 今さらですが、初めて観ました。最初から最後まで怒鳴り声で、ドンパチ殺し合いをやるのだろうと思って観始めましたがそんなことはありませんでした。静かな時間帯が長い。
 途中、映画ってなんだろうと考えこみました。小説と同じように、「悪」を浮かび上がらせる。最後は、悪が悪を洗浄するという終わり方でおもしろかった。表現に広がりがあります。

 嘘八百を下地にして、組織と組織の権力闘争があります。目的は、「お金」です。たびたび登場するのはメンツです。

 シャブというのは、健康被害防止のために禁止するものだと思い込んでいましたが、反社会勢力の資金源になるから禁止されることを思い出させてくれました。

 大きな組織が、小さな組織を飲み込んでいきます。各組織の中でも序列に基づく活動がうまくっているわけではありません。下は上の地位を狙っています。組織同士にしても、個人同士にしても、信頼関係があやうい。

 映画だと思って観ています。
 トップの地位にある怖い役の北村総一朗さんは、テレビのバラエティー番組で見かけるので、お笑い方向の俳優さんだと思っていました。
 外交官役の外国の人ですが、ヘビを見てあんなに驚くものだろうか。あとは、拳銃の弾(たま)は思ったところに、あんなにうまく当たらない。
 思いどおりにならないと、暴力で従わせる世界です。問答無用で殺します。命がいくつあっても長生きできません。権力図の中で、どちらかといえば弱者のポジションにいるビートたけしさんの役柄が悲しい姿をしていました。
 ラストは、「親友」という意味の「悪友」だと、ビートたけしさんと小日向文世さんを見て思いましたが、その数分後に美しい気持ちは見事に裏切られました。いい人はいないのです。

 アウトレイジ:極悪非道な行為、暴力  

2020年05月16日

トゥルー・ロマンス 洋画DVD

トゥルー・ロマンス 洋画DVD 1994年公開

 本屋大賞受賞作「流浪の月」に出てくる映画です。暴力的で暗い内容を予想しましたが、そういう面もありますが、基本的には、明るく軽妙なコメディでした。ラストのもっていき方で、発するメッセージが変わってくる映画です。

 間違えて、ギャングの保管するコカインを手に入れてしまったカップルが、ギャングから逃げ回る映画です。逃走車で使用した大きなピンクのキャデラックが最後まで印象に残ります。

 エルビスプレスリーのロックミュージックから始まります。驚いたのは、日本人俳優千葉真一さんが映画の中の映画で出てくるのです。最初、「ソニー・千葉」と流れるので、千葉県のソニー(電機会社)だと思っていたら、どうも千葉真一さんは、米国では、ソニー・千葉というお名前なのです。

 最初は、洋画「俺たちに明日はない」みたいなショッキングなランスとシーンを想像したのですが、まあ、暴力的なお祭り騒ぎでしたが、ハッピーな雰囲気で終わったのでびっくりしました。

 気に入ったセリフなどとして、「オレがキミみたいな(美人の)女に惚れられるわけないもんな」「わたしは、足を洗って、あなたと暮らす。100%尽くす」
 軽いノリと軽妙な音楽が流れ続けます。

 それなりに下品です。下ネタ話も多い。あっちのほうは、まあ、盛りが付いた犬・猫のようです。銃社会、気に入らないとすぐに撃ち合うアメリカ合衆国は怖い。
 外国映画のせいもありますが、次に出てくるセリフを予想できません。
 バイオレンスムービーですが、喜劇の面も大きい。ギャングの研修用ビデオのようでもあります。

 芸能界の薬物汚染地図を見るような映画です。

 もうひとつ気に入ったセリフとして、「最初の殺しが一番むずかしい(以降、何度でもできるようになる)」

 痛々しいシーンも多い。されど、映画なので、撮影だと割り切ってみると怖くはない。

 ヒロインは、うまくいかない自分の人生と世の中をうらんでいます。自己防衛のために攻撃をしています。すごい。すさまじい。
 結婚した彼女の言葉が良かった。「人生を最初からやり直せるのね」

 ホモっぽい同居人男性の存在価値がありました。

 戦争映画のようでもありました。
 本当の勝利者は、ヒロインだと思います。
  

2020年05月15日

3月のライオン 邦画DVD

3月のライオン 前編 邦画DVD 2017年公開

 3月のライオン:荒々しく始まり静かに終わるというような説明が最初に表示されます。

 将棋映画「泣き虫しょったんの奇跡」を観てから、こちらの将棋映画にきました。

 交通事故で、突然、両親と妹を亡くした6歳ぐらいの主人公桐山零(きりやま・れい)の姿から始まります。彼は、将棋が好きだった父親のつながりで、父親の友人だったプロ棋士幸田(豊川悦司)さんのお宅で世話になります。そこには、奥さんとプロ棋士を目指す姉弟がいて、きょうだいとの比較などで、零はひとりぼっちになって、それなりにつらい体験をして、中学卒業後、幸田家を出て、ひとり暮らしをしながら高校へ通います。映像を観ながら、零に「がんばれ、がんばれ」と声をかけたくなる映画です。

 将棋を題材にしながら、家族のあり方を考えさせられる映画に仕上がっています。

 彼は、将棋の天才ではないと思います。努力の人です。幼い彼は、うそをつきます。将棋が好きかと問われて、「はい」と答えます。真相は、これからを生きるために「はい」と答えるしかなかったのです。だから、最初のうち、彼は将棋に負け続けます。彼は努力の棋士なのです。
 ドキュメンタリーを観ているようでした。(事実の記録)

 心に響いたセリフとして、「落ち着いて、落ち着いて、まずは、深呼吸をしろ。広く見渡して、最善の道を探せ」「きょうだいにも他人にもなりきれない関係」

 ひとり暮らしの桐山零の窓の外に広がる水のある風景が気に入りました。大きな川が流れているのです。心が落ち着きます。
 
 義父宅で、桐山零は、義父の実子たちにいじめられます。ありがちなことです。勝負の世界では親子の関係は無視されます。勝負において、強いか弱いかが判断基準です。
 「勝負」とはなんだろう。いさぎよく負けを認めることができた者が、本当の勝利者のような気がします。
 桐山零の叫びがあります。「みんなオレのせいかよ! (オレには)将棋しかねぇんだよ!」

 楽しむ将棋もあるんじゃないだろうか。勝負事の「負」の部分が前面に押し出されている最初の一時間です。暗い雰囲気の映画です。桐山零に対する周囲の指摘があります。「むずかしい目つきをしている(相手を見るときに、負け犬を見るような目をしている)」
 
 川本三姉妹が優しい。あかり、ひなた、モモの三人です。ときおり発声があるモモちゃんのひと声に笑いをもらいます。たとえば、「いじわるヤメテ!」
 世の中には、悪い人もいるし、いい人もいると再確認させてもらえる部分です。
 高校の屋上で、桐山零に話しかけてくれる林田先生もいい人です。思いやりをもっている人です。

 厳しさを追求する内容でした。


「後編」
 前編とはがらりと変わって、いったん将棋の話から離れます。女子中学生のいじめの話、不倫の話、不登校のひきこもりゲーム中毒の話、ろくでなしの父親の話などになり、将棋の話はどこへいってしまったのかとがっかりしましたが、それらは、主人公たちに将棋に集中させるための前置きだったことが時間の経過によってわかりました。孤独にさせて、勝負のみに集中させるのです。

 進路を巡る親子げんかは、なかなか避けられない項目です。

 「ふくふくだるま」が、伏線になっていきます。

 良かったセリスなどとして、「自分でつくったバケモノと戦うんじゃない。(勝負を)楽しんでおいで」(幼稚園児らしきモモちゃんの)「胸を張れ!」「ひなちゃんの強さはこの食卓から生まれた」心が温まり優しい気分になれます。(主人公のせりふ)「(自分の)命綱が将棋」「(棋士が勝負に負けたのは)あたしを大切にしないからよ」「(距離感が離れていたふたりが会って、女子が)来てくれて、ありがとう」

 咎められる:とがめられる。望ましくないこととして注意される。

 いないほうがいい父親って何なんだろう。三姉妹のろくでなしの父親に対する結論がとても良かった。思い切りがいい。こどもが親を捨てる映画です。

 礼儀正しい対局を見て、日本人に生まれて良かったと感じることができました。今年観て良かった一本です。まじめで、誠実な映画でした。

 対局の静かな時間帯が長い映画でした。落ち着きました。  

2020年05月14日

帝一の國 1巻から3巻 古屋兎丸

帝一の國 1巻から3巻 古屋兎丸(ふるや・うさまる) 集英社

 映画があるようですが、観たことはありません。2011年3月9日第一刷の発行です。漫画の絵は、古風な日本画に見えます。『大日本帝国』をイメージして描いてあるような気にさせてくれます。
 
「1巻」
 巻末に、「海帝高等学校生徒会規約」なるものが示されています。内容は、一般的なものでした。
 表紙をめくると、4人の生徒の絵が目に飛び込んできます。男、男、メガネをかけた男、そして、女子がひとりです。
 「時は昭和」から始まりました。昭和も戦前と戦後があります。どちらだろう。

(つづく)

赤場帝一:主人公。高校1年1組。中高一貫エリート育成男子校海帝中学・高校において、生徒会長を目指す。生徒会長の派閥というものがあるらしく、それを活用してゆくゆくは首相になることを夢見ている。帝一の國とはすなわり、帝一が治める日本国をさす。彼を支える同級生のパートナーとして、榊原光明(さかきばら・こうめい)がいます。

 登場人物がたくさん出てきます。すぐわかるようにメモしました。あと、赤場家の家系図もつくりました。かなり、力強く、生き生きとした、躍動する物語になりそうです。

 担任の先生の指名方式で、まずは、ルーム長が選ばれます。不正があります。寄付金の多い家の生徒が生徒会の役員になれるのです。赤場帝一はさきざき、どんな国づくりを目指すのか。不安が生まれました。

 ライバルとして、1年2組の東郷菊馬と稲津二四三(いなづ・にしぞう)、1年6組の大鷹弾、おもしろくなりそうです。権力闘争を描く漫画のようです。

 「糸電話」での通話がなつかしかった。

 作品を示すセリフとして、「音はみんな野心家なんだよ」
 野心:やしん。ひそかにいだく大きな望み

 ガリ勉の主人公赤場帝一です。1点2点のテストの点差にこだわります。一番でないと気が済まないのです。
 会長になるためには、サポートしてくれる人材が必要です。赤場帝一と榊原光明(さかきばら・こうめい)とのなれそめのようなふりかえりがあります。友情を超えた、少年同士のラブさえ感じられるものです。

 背景画や内容から察すると、時代設定は、昭和20年代後半から昭和40年代前半の風景です。田畑が広がる風景や、鉄筆(てっぴつ)を使用するガリ版印刷、オート三輪車など、なつかしい。

 将来ボスになる人の下について、従順な犬のようになって、いずれは自分がボスの座に就くことを夢見る。現実社会であることです。そのときに、ボスにはならないけれど、ボスのサポーターにはなりたいという性格の人が必要になります。ただ勉強ができるだけでは不足です。人間活動の実態をとらえた漫画です。

 勝負をして、負けそうになって、大逆転をしました。おもしろかった。

「2巻」
 高校での夏合宿が始まりました。どうもう選抜方式でひとりが選ばれるらしい。模擬殺し合いです。
 やたらと決まりごとが多い。「なになにをするべき」の世界です。
 調べた単語として、「ハイデガー:ドイツの哲学者。著書として『存在と時間』」
 逆転の展開は、『アンパンマンとバイキンマン』のようです。ストーリーづくりの基本パターンなのでしょう。

 ボーイズラブ作品なのだろうか。少年同士の恋の気配があります。「禁断の関係」という言葉も出てきます。

 「学校新聞」という言葉がなつかしい。

 押しては引く、引いては押すを繰り返すストーリー展開手法です。

 赤場帝一は切れるときがある。もうひとつ、男なのに、ファザーコンプレックスがある。昔、同じ高校の生徒会長をめざしてなれなかった父親に対する強い愛情と執着があります。

 「忖度:そんたく。上司や目上の人の気持ちを推し量り、自分の利益のためにそう行動する」が出てきます。組織で出世していくためには必要な行為ととらえられそうです。

 「春子」というセーラー服姿の女子高生が出てきましたが、「男」でした。さらに彼女は(彼は)、「美人局:つつもたせ。女が近づき嘘で男に恋心を抱かせ、次に、女と共謀する男が現場に踏み込み、おれの女をどうしてくれんだと男を恐喝して男からお金をもらう。詐欺脅迫行為」でした。びっくりしました。

 どうも、男と男のラブの雰囲気がただよっています。

 父親の背中にある入れ墨と交わす人生相談、月蝕(げっしょく)にたとえた作戦など、アイデア満載の漫画です。  

Posted by 熊太郎 at 06:07Comments(0)TrackBack(0)読書感想文