2019年12月06日
しくじり先生 名作漫画のしくじりから学ぼう キン肉マン
しくじり先生 麒麟 川島明 名作漫画のしくじりから学ぼう キン肉マン テレビ番組
深夜放送の「旅猿」を見たいと思い立ち、テレビの外付けハードディスクを購入してきてセットしていたところ、「しくじり先生」も放映されていることに気づいて、録画して視聴しました。
「キン肉マン」というマンガの内容に不具合があるという紹介から始まって、こどもたちを楽しませたいという目標のために、きちんとやらなくていいという手法に落ち着くまでの創作者の温かい気持ちが伝わってきました。読んだことはありません。こんど読んでみます。
① 15巻で、「ジェロニモ」だったキャラクターが、17巻で、「アパッチ」というキャラクターに変化している
② 擬音の表示が、「スパーンのスに半濁点の゜が付けてあって、本来は存在しない文字になっている。よって、読めない」
③ キャラクターの顔が途中で変わる。
④ 720あるキャラクターのうちの700は、読者からの募集によるもの。
以上のような笑い話が続きました。
変なところが記憶に残る。それが、いい思い出になります。過去の失敗が未来においては笑い話になるようなものです。
深夜放送の「旅猿」を見たいと思い立ち、テレビの外付けハードディスクを購入してきてセットしていたところ、「しくじり先生」も放映されていることに気づいて、録画して視聴しました。
「キン肉マン」というマンガの内容に不具合があるという紹介から始まって、こどもたちを楽しませたいという目標のために、きちんとやらなくていいという手法に落ち着くまでの創作者の温かい気持ちが伝わってきました。読んだことはありません。こんど読んでみます。
① 15巻で、「ジェロニモ」だったキャラクターが、17巻で、「アパッチ」というキャラクターに変化している
② 擬音の表示が、「スパーンのスに半濁点の゜が付けてあって、本来は存在しない文字になっている。よって、読めない」
③ キャラクターの顔が途中で変わる。
④ 720あるキャラクターのうちの700は、読者からの募集によるもの。
以上のような笑い話が続きました。
変なところが記憶に残る。それが、いい思い出になります。過去の失敗が未来においては笑い話になるようなものです。
2019年12月05日
82年生まれ、キム・ジヨン
82年生まれ、キム・ジヨン チョ・ナムジュ 訳 齋藤真理子 筑摩書房
これから読み始めます。売れている本だそうです。憑依もの(ひょうい。のりうつり)ということを知りました。性差別を理由とした韓国人女性の生きづらさが書いてあるようです。
1982年生まれの韓国人女性がいます。2015年の時点で、33歳、名前が、キム・ジヨン、夫が、36歳でチョン・デヒョン、子どもが女児で1歳のチョン・ジウォンです。
彼女に最初にのりうつるのが、彼女の実母です。次にのりうつるのが、去年死んだ大学の3年先輩で、チャ・スンヨンです。夫と大学の同期生です。
そうやって、のりうつられながら、キム・ジヨンが、女性差別を受けたことを語るようです。
日本でいうところの盆正月夫の実家へ家族そろって帰省することへの嫁の心労話があります。
続けて、精神科医の語りがあります。
「1982年-1994年」 キム・ジヨンが、0歳から12歳まで
男尊女卑に関することを、自分の2歳上の姉、自分、5歳下の弟に対する親の扱い態度をもとにして書いてあります。男である弟のことのほうが、女である姉や自分よりも優先されます。
ややこしい部分もあるので、家系図を書きながら読み続けています。
キム・ジヨンの実母のことが書いてあります。厳しい男尊女卑の生活の中で、男兄弟は、大学へ行って、高いポジションの職に就きますが、女姉妹は、夜間中学や内職で、教育や職業選択における差別待遇がありました。
日本にも似たようなことがありますが、韓国のほうがきつい。そして、だれもそのことをなんとも思っていない。当然のこととして、受け止めている社会です。韓国社会のほうが性別差別が深刻に見えます。
女が生まれるとがっかりする一族です。男なら、姉よりも弟のほうが優遇されます。女性にとってつらかった過去の掘り起こし話です。
読んでいていい気持ちがしません。嫌なら男社会と闘うしかありません。
7歳児のキム・ジヨンの実母は小学校で男児にいじめられます。教師は、男児が実母を好きだからちょっかいを出すのだと言って実母にがまんを勧めます。
教師の暴力的な指導があります。
記述にもありますが、女性の大統領が生まれたのは画期的なことだったのでしょうが、彼女のその後は不幸です。
「1995年-2000年」 キム・ジヨンが13歳から18歳まで
女性が、セクハラ、パワハラを受ける社会のことが書いてありました。通学路には変態男がいます。あとは、韓国の厳しい受験競争、いずれも男女差別、女性軽視のことがからんでいます。
女性は被害者なのに、被害に遭うような環境に存在していたり、立場になったりしたことのほうが責められるのです。被害者となった女性のほうが責められる不思議な男性優位の社会です。理不尽であります。「平等」がありません。女よりも男が大事ということを当然のこととして、だれも問題提起をせずに慣例に従っていることが不気味でもあります。女性に人権はありません。女性は人間扱いされていません。闇の部分です。
出産における男女比において、男児のほうがかなり高い。書中では、女児100人に対して、男児116.5人とあります。あかちゃんが、母親のおなかのなかにいるときに女性であることがわかると堕胎している気配があります。
日本とは教育制度が異なります。高校受験は原則としてないそうです。どこの高校に行くかは、割り当てられるとあります。あと、男女共学でも、男女別学級編成だそうです。
どこの国でもいるのだなあと、「露出狂」です。見せて自分の存在を誇示する人間心理です。自分は何をしても許されると思っている誤解です。病気なのでしょう。
まじめな救いの言葉として、「(へんな男もいるけれど)世の中には、いい男の人のほうが多いのよ」、同様に、世の中には、いい人間のほうが多いということもあるのでしょう。
「2001年-2011年」 キム・ジヨンが19歳から29歳まで
IMF危機:1997年(平成9年)。韓国通貨危機(国家破たんの危機)。韓国は国際通貨基金に(IMF)経済主権を委ねた。資金支援。2001年全額返済。日本では、山一證券の破綻があった。
キム・ジヨンさんのご家族は、奥さんの知恵があって、夫の勧奨退職後、金銭には困らない順調な暮らしぶりです。
それでも、求職活動をするジヨンさんは、女性差別を第一として、いろいろな差別を受けます。学歴、どこの大学を出たか、セクハラに順応できるかなどです。女性の採用される比率は申し込んだ人の3割程度です。それでも採用率が高いと喜んでいるという報道には、首をかしげます。男性優先の採用です。ジヨンさんは、61社に不採用で落ちています。
韓国国内の制度や施策なので、日本人の自分は、なんともいえる立場にありません。ただ、読んでいると、韓国の人たちは、チャンスがあれば、他国へ移住してしまうのではないかと予測してしまいます。自分の国に愛着をもてなくなります。それと、男も女もない現代です。タクシーの運転手が女性客を乗せて、しかたがないからのせてやったと言います。それが、同国では、普通の常識のようです。
ジヨンさんはようやく採用されました。
(つづく)
読み終えました。
精神科医の手記という形をとった小説でした。キム・ジヨンさんはうつ病の患者なのです。病気の原因は、男性中心社会、男性優位の制度、女性蔑視、女性軽視、女性差別、そういった大韓民国の実情です。
女性は、ビジネス社会では、夜の接待でアルコールを強要される。
男女の賃金格差がひどい。男性を100としたとき、女性は63.3とあります。
大学を出たのに、アイスクリームを盛るアルバイトともありました。なんのために大学まで通ったのかわかりません。
結婚するにあたって、勉強と仕事だけに没頭してきたので、家事は免除されていた。家事はこれから覚えるという記事もありました。
結婚したら、出産しなければならない。産まないと欠陥があると思われる。出産に当たっては、女子ではなく男子を出産しなければならない。出産したら仕事は辞めなければならない。
だんだん愚痴とも思えるような記述が延々と続くようになりました。なにかしら、すべてが後ろ向きの記述で、読むことが苦痛になってきました。未来に向かって、夢も希望もない言葉が続きます。社会だけのせいではないような。意識の問題もあるような。
大韓民国は、女性が生きづらい国であることが伝わってきます。女性は男性のための道具というような位置づけに見えます。
働く女性にとっては、子どもが生まれてくることが、幸せなことではないというようにもとれます。産休、育休、退職の選択があります。老いた両親に子を預けるのも限界があります。結局、退職を選ぶ女性が多い。夫が働き、妻が子どもを育てる。夫は妻に育児を押し付けて、仕事に専念する。
疑問に思ったのは、結婚式を挙げても、婚姻届けを出すことや出す時期は急がない。
大韓民国の戸籍制度(戸主制度)は、2005年に廃止された。登録簿で平穏無事に生活している。
主婦は、相手にとって都合のいいようにそのときどきで評価されてしまいます。「家で遊んでいる」と言われることもあれば、「家族の守る(尊い)仕事」と言われることもあると書いてあります。
キム・ジヨンは女児の子育て専業主婦になったが、本当は、マスコミの記者になりたかった。結局、33歳の今、彼女は、メンタルの病気になった。ときどき、別人になる。生きている人にもなるし、死んでしまった人にもなる。
最後は、これまでを語った精神科医男性の話になります。
同僚の精神科医が病院を辞めるとあります。理由は、出産です。まわりの協力が十分得られません。「辞めてもらってうまくいった」、「後任には未婚の女性を探す」
損か得かの世界です。
大韓民国の出生率は、1.05(2017年)、日本は、1.44(2016年)、大韓民国にしても、日本にしても、いずれは、国が自然消滅してしまうのではなかろうか。
調べた単語などとして、「幽体離脱話法:前大統領朴槿恵パク・クネが使用している。自分のことをほかの人のことのように話す」、「ナムル:もやし、ぜんまいなどの山菜、野菜を塩ゆでして味付けしたもの」、「リップグロス:化粧品。油分が多く、柔らかい。発色は薄い」
心に残ったセリフや記述などとして、「わたしも先生になりたかった(女子だから教育を受けられなかった)」、「女はお金を稼いで男に貢ぐもの」、「母性愛は宗教なのか」、「男はみんな性犯罪者(予備軍)のような表現」、「(大韓民国は)セクハラ予防教育が浸透していない」、「2013年度から無償保育が始まった」、「スーパーのアルバイト、時給約600円」、「女性には徴兵制がないことを男性は不公平だと考えている)」
「キム・ジヨン」という女性像は、韓国における1980年代生まれの一般的な女性像だそうです。お名前もよくある名前だそうです。いろいろと考えさせられました。
これから読み始めます。売れている本だそうです。憑依もの(ひょうい。のりうつり)ということを知りました。性差別を理由とした韓国人女性の生きづらさが書いてあるようです。
1982年生まれの韓国人女性がいます。2015年の時点で、33歳、名前が、キム・ジヨン、夫が、36歳でチョン・デヒョン、子どもが女児で1歳のチョン・ジウォンです。
彼女に最初にのりうつるのが、彼女の実母です。次にのりうつるのが、去年死んだ大学の3年先輩で、チャ・スンヨンです。夫と大学の同期生です。
そうやって、のりうつられながら、キム・ジヨンが、女性差別を受けたことを語るようです。
日本でいうところの盆正月夫の実家へ家族そろって帰省することへの嫁の心労話があります。
続けて、精神科医の語りがあります。
「1982年-1994年」 キム・ジヨンが、0歳から12歳まで
男尊女卑に関することを、自分の2歳上の姉、自分、5歳下の弟に対する親の扱い態度をもとにして書いてあります。男である弟のことのほうが、女である姉や自分よりも優先されます。
ややこしい部分もあるので、家系図を書きながら読み続けています。
キム・ジヨンの実母のことが書いてあります。厳しい男尊女卑の生活の中で、男兄弟は、大学へ行って、高いポジションの職に就きますが、女姉妹は、夜間中学や内職で、教育や職業選択における差別待遇がありました。
日本にも似たようなことがありますが、韓国のほうがきつい。そして、だれもそのことをなんとも思っていない。当然のこととして、受け止めている社会です。韓国社会のほうが性別差別が深刻に見えます。
女が生まれるとがっかりする一族です。男なら、姉よりも弟のほうが優遇されます。女性にとってつらかった過去の掘り起こし話です。
読んでいていい気持ちがしません。嫌なら男社会と闘うしかありません。
7歳児のキム・ジヨンの実母は小学校で男児にいじめられます。教師は、男児が実母を好きだからちょっかいを出すのだと言って実母にがまんを勧めます。
教師の暴力的な指導があります。
記述にもありますが、女性の大統領が生まれたのは画期的なことだったのでしょうが、彼女のその後は不幸です。
「1995年-2000年」 キム・ジヨンが13歳から18歳まで
女性が、セクハラ、パワハラを受ける社会のことが書いてありました。通学路には変態男がいます。あとは、韓国の厳しい受験競争、いずれも男女差別、女性軽視のことがからんでいます。
女性は被害者なのに、被害に遭うような環境に存在していたり、立場になったりしたことのほうが責められるのです。被害者となった女性のほうが責められる不思議な男性優位の社会です。理不尽であります。「平等」がありません。女よりも男が大事ということを当然のこととして、だれも問題提起をせずに慣例に従っていることが不気味でもあります。女性に人権はありません。女性は人間扱いされていません。闇の部分です。
出産における男女比において、男児のほうがかなり高い。書中では、女児100人に対して、男児116.5人とあります。あかちゃんが、母親のおなかのなかにいるときに女性であることがわかると堕胎している気配があります。
日本とは教育制度が異なります。高校受験は原則としてないそうです。どこの高校に行くかは、割り当てられるとあります。あと、男女共学でも、男女別学級編成だそうです。
どこの国でもいるのだなあと、「露出狂」です。見せて自分の存在を誇示する人間心理です。自分は何をしても許されると思っている誤解です。病気なのでしょう。
まじめな救いの言葉として、「(へんな男もいるけれど)世の中には、いい男の人のほうが多いのよ」、同様に、世の中には、いい人間のほうが多いということもあるのでしょう。
「2001年-2011年」 キム・ジヨンが19歳から29歳まで
IMF危機:1997年(平成9年)。韓国通貨危機(国家破たんの危機)。韓国は国際通貨基金に(IMF)経済主権を委ねた。資金支援。2001年全額返済。日本では、山一證券の破綻があった。
キム・ジヨンさんのご家族は、奥さんの知恵があって、夫の勧奨退職後、金銭には困らない順調な暮らしぶりです。
それでも、求職活動をするジヨンさんは、女性差別を第一として、いろいろな差別を受けます。学歴、どこの大学を出たか、セクハラに順応できるかなどです。女性の採用される比率は申し込んだ人の3割程度です。それでも採用率が高いと喜んでいるという報道には、首をかしげます。男性優先の採用です。ジヨンさんは、61社に不採用で落ちています。
韓国国内の制度や施策なので、日本人の自分は、なんともいえる立場にありません。ただ、読んでいると、韓国の人たちは、チャンスがあれば、他国へ移住してしまうのではないかと予測してしまいます。自分の国に愛着をもてなくなります。それと、男も女もない現代です。タクシーの運転手が女性客を乗せて、しかたがないからのせてやったと言います。それが、同国では、普通の常識のようです。
ジヨンさんはようやく採用されました。
(つづく)
読み終えました。
精神科医の手記という形をとった小説でした。キム・ジヨンさんはうつ病の患者なのです。病気の原因は、男性中心社会、男性優位の制度、女性蔑視、女性軽視、女性差別、そういった大韓民国の実情です。
女性は、ビジネス社会では、夜の接待でアルコールを強要される。
男女の賃金格差がひどい。男性を100としたとき、女性は63.3とあります。
大学を出たのに、アイスクリームを盛るアルバイトともありました。なんのために大学まで通ったのかわかりません。
結婚するにあたって、勉強と仕事だけに没頭してきたので、家事は免除されていた。家事はこれから覚えるという記事もありました。
結婚したら、出産しなければならない。産まないと欠陥があると思われる。出産に当たっては、女子ではなく男子を出産しなければならない。出産したら仕事は辞めなければならない。
だんだん愚痴とも思えるような記述が延々と続くようになりました。なにかしら、すべてが後ろ向きの記述で、読むことが苦痛になってきました。未来に向かって、夢も希望もない言葉が続きます。社会だけのせいではないような。意識の問題もあるような。
大韓民国は、女性が生きづらい国であることが伝わってきます。女性は男性のための道具というような位置づけに見えます。
働く女性にとっては、子どもが生まれてくることが、幸せなことではないというようにもとれます。産休、育休、退職の選択があります。老いた両親に子を預けるのも限界があります。結局、退職を選ぶ女性が多い。夫が働き、妻が子どもを育てる。夫は妻に育児を押し付けて、仕事に専念する。
疑問に思ったのは、結婚式を挙げても、婚姻届けを出すことや出す時期は急がない。
大韓民国の戸籍制度(戸主制度)は、2005年に廃止された。登録簿で平穏無事に生活している。
主婦は、相手にとって都合のいいようにそのときどきで評価されてしまいます。「家で遊んでいる」と言われることもあれば、「家族の守る(尊い)仕事」と言われることもあると書いてあります。
キム・ジヨンは女児の子育て専業主婦になったが、本当は、マスコミの記者になりたかった。結局、33歳の今、彼女は、メンタルの病気になった。ときどき、別人になる。生きている人にもなるし、死んでしまった人にもなる。
最後は、これまでを語った精神科医男性の話になります。
同僚の精神科医が病院を辞めるとあります。理由は、出産です。まわりの協力が十分得られません。「辞めてもらってうまくいった」、「後任には未婚の女性を探す」
損か得かの世界です。
大韓民国の出生率は、1.05(2017年)、日本は、1.44(2016年)、大韓民国にしても、日本にしても、いずれは、国が自然消滅してしまうのではなかろうか。
調べた単語などとして、「幽体離脱話法:前大統領朴槿恵パク・クネが使用している。自分のことをほかの人のことのように話す」、「ナムル:もやし、ぜんまいなどの山菜、野菜を塩ゆでして味付けしたもの」、「リップグロス:化粧品。油分が多く、柔らかい。発色は薄い」
心に残ったセリフや記述などとして、「わたしも先生になりたかった(女子だから教育を受けられなかった)」、「女はお金を稼いで男に貢ぐもの」、「母性愛は宗教なのか」、「男はみんな性犯罪者(予備軍)のような表現」、「(大韓民国は)セクハラ予防教育が浸透していない」、「2013年度から無償保育が始まった」、「スーパーのアルバイト、時給約600円」、「女性には徴兵制がないことを男性は不公平だと考えている)」
「キム・ジヨン」という女性像は、韓国における1980年代生まれの一般的な女性像だそうです。お名前もよくある名前だそうです。いろいろと考えさせられました。
2019年12月04日
M-1ぐらんぷり2005 DVD
M-1ぐらんぷり2005 DVD
優勝はブラックマヨネーズ
「笑い飯」 西田幸治 哲夫 633点
うまい。おもしろかった。知らない人に声をかけられたから始まって、最後は、最初のシーンに戻って、ズボンのファスナーの話で落とします。小学校の下駄箱で靴を隠された話を、「ないな、ないな」の連発で、しゃべくりバトルみたいに仕上げていきます。勢いがあって、活気にあふれていました。
「アジアン」 馬場園梓 隅田美保 564点
女性の上位進出者が少ないので、女性の参加はいいことだと思います。
体形の話から名前の話、早口言葉(すもう力士のしこ名)。リラックスできて軽くおもしろかった。
「南海キャンディーズ」 山里亮太 山崎静代 552点
出演前に、「優勝したら結婚します」と冗談だと思いますが、宣言があります。優勝しなくて良かった。点数はそれほどよくありませんでした。しずちゃんが、子ども番組で歌を歌いたいから始まります。幼稚園でのいじめです。歯みがき上手だなの対象者が98歳というところがおもしろかった。お通夜みたいな終わりかたでした。
「チュートリアル」 徳井義実 福田充徳 622点
点数はそこそこ良かったのですが、自分には合わない内容で、笑えませんでした。バーベキューに行きたい福田君です。ものを串焼きにする順番、ピーマン、玉ねぎ、エリンギ、トウモロコシ、鳥肉のパターンを延々と繰り返す内容でした。
「ブラックマヨネーズ」 小杉竜一 吉田敬 659点
デート先で、ボウリングです。吉田さんの怒り芸です。かんかんに怒ります。小学生のけんかです。ああ言えばこう言う。最後は、「皮膚科の先生に相談する」がオチです。勢いの固まりです。
「品川庄司」 品川祐 庄司智春 626点
コンビ結成10年。死にたくねーという芝居です。あまりピンときませんでした。
「タイムマシーン3号」 山本浩司 関太(せき・ふとし) 571点
デブネタです。ぜったいすぐ死ぬがおもしろかった。デブ専用遊園地、両国、モリクミ、安西先生もよかった。珍しい漫才のパターンだと思いました。
「麒麟」 川島明 田村裕 646点
プロ野球ネタです。川島さんの声がいい。アホ、家のリモコン、最後もバッチリ決まりました。おもしろい。
「千鳥」 大吾 ノブ 607点
日本男児、幕末ごっこでした。勢いがありましたが、それほどおもしろくありませんでした。
〇決勝
「麒麟」
4年前に別れた彼女がストーカーになったから、ファッションモデルの話になり、スーパーモデル田村となります。勢いはありましたが、のってない感じでした。
「笑い飯」
誕生日、ハッピバースデイツーユーの歌を繰り返して歌います。口げんかになって、マリリン・モンローが登場して、ラストのクライマックスにつながっていきます。おもしろい。ただ、マリリン・モンローを知らない世代も増えてきました。
「ブラックマヨネーズ」
街でからまれる。格闘技を習う。いつも行っている皮膚科の先生に助けてもらう。
(優勝したあと、小杉竜一さんが、自分は母子家庭で育ったので、母親に感謝しますというようなことを言われて、ほろりときました)
優勝はブラックマヨネーズ
「笑い飯」 西田幸治 哲夫 633点
うまい。おもしろかった。知らない人に声をかけられたから始まって、最後は、最初のシーンに戻って、ズボンのファスナーの話で落とします。小学校の下駄箱で靴を隠された話を、「ないな、ないな」の連発で、しゃべくりバトルみたいに仕上げていきます。勢いがあって、活気にあふれていました。
「アジアン」 馬場園梓 隅田美保 564点
女性の上位進出者が少ないので、女性の参加はいいことだと思います。
体形の話から名前の話、早口言葉(すもう力士のしこ名)。リラックスできて軽くおもしろかった。
「南海キャンディーズ」 山里亮太 山崎静代 552点
出演前に、「優勝したら結婚します」と冗談だと思いますが、宣言があります。優勝しなくて良かった。点数はそれほどよくありませんでした。しずちゃんが、子ども番組で歌を歌いたいから始まります。幼稚園でのいじめです。歯みがき上手だなの対象者が98歳というところがおもしろかった。お通夜みたいな終わりかたでした。
「チュートリアル」 徳井義実 福田充徳 622点
点数はそこそこ良かったのですが、自分には合わない内容で、笑えませんでした。バーベキューに行きたい福田君です。ものを串焼きにする順番、ピーマン、玉ねぎ、エリンギ、トウモロコシ、鳥肉のパターンを延々と繰り返す内容でした。
「ブラックマヨネーズ」 小杉竜一 吉田敬 659点
デート先で、ボウリングです。吉田さんの怒り芸です。かんかんに怒ります。小学生のけんかです。ああ言えばこう言う。最後は、「皮膚科の先生に相談する」がオチです。勢いの固まりです。
「品川庄司」 品川祐 庄司智春 626点
コンビ結成10年。死にたくねーという芝居です。あまりピンときませんでした。
「タイムマシーン3号」 山本浩司 関太(せき・ふとし) 571点
デブネタです。ぜったいすぐ死ぬがおもしろかった。デブ専用遊園地、両国、モリクミ、安西先生もよかった。珍しい漫才のパターンだと思いました。
「麒麟」 川島明 田村裕 646点
プロ野球ネタです。川島さんの声がいい。アホ、家のリモコン、最後もバッチリ決まりました。おもしろい。
「千鳥」 大吾 ノブ 607点
日本男児、幕末ごっこでした。勢いがありましたが、それほどおもしろくありませんでした。
〇決勝
「麒麟」
4年前に別れた彼女がストーカーになったから、ファッションモデルの話になり、スーパーモデル田村となります。勢いはありましたが、のってない感じでした。
「笑い飯」
誕生日、ハッピバースデイツーユーの歌を繰り返して歌います。口げんかになって、マリリン・モンローが登場して、ラストのクライマックスにつながっていきます。おもしろい。ただ、マリリン・モンローを知らない世代も増えてきました。
「ブラックマヨネーズ」
街でからまれる。格闘技を習う。いつも行っている皮膚科の先生に助けてもらう。
(優勝したあと、小杉竜一さんが、自分は母子家庭で育ったので、母親に感謝しますというようなことを言われて、ほろりときました)
2019年12月03日
R-1ぐらんぷり2007 DVD
R-1ぐらんぷり2007 DVD
タイムトラベル、過去への旅です。
優勝者は、なだぎ武さんでした。
〇土肥ポン太(どひ・ぽんた) 35才
新年会宴会での大ビンゴ大会です。道具を使ってぼけます。ヘッドフォン、トイレのすっぽん吸引棒、ヘルメット、鈴、刀、「祭りのハッピ∔バスの回数乗車券∔めんつゆ」で、ハッピバースディツーユーとつなけたのが軽いノリでおもしろかった。本人の職業として、八百屋さん。
〇徳井義実 32才
おもしろかった。スリランカ人になりきって、最初の部分は下ネタですが十分な笑いをとっていました。動作と声色(こわいろ)でお客さんを笑わせます。田所おじさん、オムライス、明太子スパゲティ。ひとり芸で人を笑わせるのは大変だと思いました。今回は、準優勝でした。
〇大輪教授(おおわきょうじゅ) 32才
数字と笑いのコラボレーションです。難しい部分もありますがおもしろい。ホワイトボードを置いて、書いて、ケーシー高峰さんみたい。
〇友近(ともちか) 34才
ピザ屋さんの店員。あいかわらずおもしろかった。
〇ウメ 28才
同じ紙芝居の絵で、何パターンもの物語を語ってくれました。ときには、逆めくりもありました。初めてそういう発想の芸を見ました。無理はありますが、おもしろかった。「だるまさんがころんだ」のところが愉快でした。
〇やまもとまさみ 33才
小学校の先生役で、修学旅行のシーンです。顔や全身にマジックで落書きがしてあります。眠っているあいだにいたずらをされたという設定です。裸にまでなったので驚きました。日常生活で銭湯に行っているということを聞いてまた驚きました。大道芸を見るようでした。
〇バカリズム 32才
蝶のお面をつけた歴史の先生らしい。イニシャルトークというらしい。頭文字をアルファベットに変えます。織田信長を「0だNなが(おーだえぬなが)」と言います。なにがおもしろいのかということになるのですが、なにかしら、不思議におもしろいのです。知識がないとちんぷんかんぷんでしょう。
〇なだぎ武 37才
アメリカ人俳優を演じました。ビバリーヒルズなんとかでした。松崎しげるが肌の色が黒いというところがおもしろかった。日本人俳優と外国人俳優の似ているところの比較がおもしろかった。審査員は、「間(ま)」が良かったとほめていました。
経歴を見てほろりとくるものがありました。中学でいじめにあってもがんばって学校へ行ったけれど、中学卒業後にひきこもりになって、17歳の正月に映画館で、映画「男はつらいよ」渥美清さんが演じるフーテンの寅さんを観て、あんないいかげんでも生きていけるのなら、自分でも生きていけると精神的に立ち直ったという部分でした。
*全体を通じてですが、ひとり芸なので、なにがそうさせるのか、なにか思いがあって、ひとりでやっているのだろうと理由を考えました。楽しそうにやっておられますが、特典映像を見るとけっこう苦しそうでした。
タイムトラベル、過去への旅です。
優勝者は、なだぎ武さんでした。
〇土肥ポン太(どひ・ぽんた) 35才
新年会宴会での大ビンゴ大会です。道具を使ってぼけます。ヘッドフォン、トイレのすっぽん吸引棒、ヘルメット、鈴、刀、「祭りのハッピ∔バスの回数乗車券∔めんつゆ」で、ハッピバースディツーユーとつなけたのが軽いノリでおもしろかった。本人の職業として、八百屋さん。
〇徳井義実 32才
おもしろかった。スリランカ人になりきって、最初の部分は下ネタですが十分な笑いをとっていました。動作と声色(こわいろ)でお客さんを笑わせます。田所おじさん、オムライス、明太子スパゲティ。ひとり芸で人を笑わせるのは大変だと思いました。今回は、準優勝でした。
〇大輪教授(おおわきょうじゅ) 32才
数字と笑いのコラボレーションです。難しい部分もありますがおもしろい。ホワイトボードを置いて、書いて、ケーシー高峰さんみたい。
〇友近(ともちか) 34才
ピザ屋さんの店員。あいかわらずおもしろかった。
〇ウメ 28才
同じ紙芝居の絵で、何パターンもの物語を語ってくれました。ときには、逆めくりもありました。初めてそういう発想の芸を見ました。無理はありますが、おもしろかった。「だるまさんがころんだ」のところが愉快でした。
〇やまもとまさみ 33才
小学校の先生役で、修学旅行のシーンです。顔や全身にマジックで落書きがしてあります。眠っているあいだにいたずらをされたという設定です。裸にまでなったので驚きました。日常生活で銭湯に行っているということを聞いてまた驚きました。大道芸を見るようでした。
〇バカリズム 32才
蝶のお面をつけた歴史の先生らしい。イニシャルトークというらしい。頭文字をアルファベットに変えます。織田信長を「0だNなが(おーだえぬなが)」と言います。なにがおもしろいのかということになるのですが、なにかしら、不思議におもしろいのです。知識がないとちんぷんかんぷんでしょう。
〇なだぎ武 37才
アメリカ人俳優を演じました。ビバリーヒルズなんとかでした。松崎しげるが肌の色が黒いというところがおもしろかった。日本人俳優と外国人俳優の似ているところの比較がおもしろかった。審査員は、「間(ま)」が良かったとほめていました。
経歴を見てほろりとくるものがありました。中学でいじめにあってもがんばって学校へ行ったけれど、中学卒業後にひきこもりになって、17歳の正月に映画館で、映画「男はつらいよ」渥美清さんが演じるフーテンの寅さんを観て、あんないいかげんでも生きていけるのなら、自分でも生きていけると精神的に立ち直ったという部分でした。
*全体を通じてですが、ひとり芸なので、なにがそうさせるのか、なにか思いがあって、ひとりでやっているのだろうと理由を考えました。楽しそうにやっておられますが、特典映像を見るとけっこう苦しそうでした。
2019年12月02日
きみはいい子 邦画DVD
きみはいい子 邦画DVD 2015年公開
小説は読んだことがあります。母親が幼児を集合住宅の密室で虐待する内容でした。
映像は、終始暗い雰囲気ですすんでいきます。観ているほうの気持ちも沈みます。
家庭環境に恵まれない子どもばかりです。こどものために歯を食いしばって戦ってくれるおとながいない。児童相談所も頼りない。学校も事なかれ主義の人ばかり。こどもが逃げ込む場所がいります。
そのうち、子どもは闘うことを覚えます。そして、親はこどもに負けるときがきます。子どもは学校を卒業すると家を合法的に出て行きます。
荒れた教室の映像を観ていると、とりあえず、(子どもたちが)生きていればいいという気持ちになります。
後半に近づくに従って、じーんと感動の波が近づいてきます。
映画を観たなーという気分に浸れました。今年観て良かった1本です。
ちっちゃな子どもが、「がんばって」とおとなの背中をとんとんしてくれる。
母親の役目は、子どもに優しくすること。優しくすれば、子どもも優しい子になれる。
クライマックスのシーン、宿題として、家族に抱きしめられてくることの報告会が良かった。ハグの体験を、ひとりひとりから聞く。小学4年生の設定でした。
近所のおばあさんの言葉が尊い。自分にはこどもができなかった。こどもを預かると、「すぐに迎えに来ますから」と言われる。すぐに来なくていいのに。
こどもの頃に虐待を受けていた母親が、同じようにこどものときに虐待を受けていて、いまは自分の娘を虐待している別の母親の虐待行為を止めます。ふたりとも、こどものときは、虐待の被害者です。虐待することを止められて、ほっと安心した母親が言います。「こんなに(人から)ほめられたのは初めて。どこにいっても謝ってばかりだった」
暗くなっていた気持ちに勇気を与えてくれる映画でした。
映像で、大きな窓から見える山の斜面に並ぶ家々の風景が温かい。「きみはいい子」というタイトルは、こどものときに虐待を受けて、気持ちがゆがんで、自分が産んだこどもに虐待行為をするようになった母親に送る励ましのメッセージなのです。きみはいい子だから、もうわが子を虐待するのはやめようねという優しいメッセージなのです。
読書感想文 2013年2月23日 きみはいい子 中脇初枝 ポプラ社
本屋大賞候補作10作品目の読書です。
読み始めはなんとも暗い気持ちになりました。「きみはいい子」-「ぼくは悪い子」-だからママはぼくを叩く。児童虐待が素材のお話でした。頼るべき親から暴力をふるわれるかよわき女児・男児の暮らしぶりです。自分も親から虐待されていたから自分も自分の子どもを虐待するというあきらめを肯定する心の弱い親たちには、怒りをとおりこして、どうしてという疑問にかられ、だからといって、どうもしてあげられない無力感にさいなまれました。
舞台は横浜の近くの最近宅地造成が進められた「烏ヶ谷(うがや)」、新興住宅地という設定です。冒頭付近ではそこに住む人たちを「寄せ集めの住人たち」と称しています。街に歴史がありません。人につながりがありません。これからです。これからですが、先行きは明るくありません。5編の短編に関連性があります。
「サンタさんの来ない家」悲しくなってくる物語です。教師になりたての男性岡野匡(ただし)が気の毒です。親も親なら子どもも子どもです。現実と重なる部分もあり残念な気持ちになります。いじめを始めとした昔からある学校での陰湿な事例・事情の数々です。「学校」という、人生の一時的な通過点の場所であることが救いです。学校に通っているときは学校生活がすべてでした。卒業して学校から徐々に遠ざかり社会人の生活を送っていった当時をふりかえると、「学校」は、狭苦しい一時的な滞在地であったことに気づきます。
岡野先生に対しては、試行錯誤を繰り返して自らの教育スタイルを構築していく。読んでいると、ときには信仰の力も必要だと感じました。
「べっぴんさん」団地の砂場にデビューするママと幼子(おさなご)たちのやりとりです。ママ同志は、砂場では仲良しごっこを演じる。遊びが終わって、自宅のドアを開けて室内に入ると、ママは幼児に、叩く蹴るの暴力を行使する。人間心理の表と裏が描写されています。
ママたちが「おしゃれ」に憩いを求めるのは、男性にはあまりない発想でした。それで、楽しんでなごめるのならいい。親から虐待されたから自分も虐待するようになったという連鎖の肯定には賛同、そして共感いたしかねます。乳幼児は欲望の固まりであり、自らで自制する能力をもちません。書中にあるほど、人前で気を使う必要はありません。こどもをちやほやする必要もありません。こどもはこどもです。
読んでいると最終的には夫である男が悪いのだろうなあ。前の短編もこれもオチがオチになっていないので、救われない暗い気持ちにひたりました。
「うそつき」土地家屋調査士の父親の語りです。物語に登場する相談相手は隣家と境界線でもめています。
「こんにちは、さようなら」唄を読んでいるようです。この地でながらく暮らす80代ひとり暮らし女性と家の前を通学するこどもとのやりとりです。女性は認知症のなりかかり。子どもは障害をもつ子です。歳(とし)をとることは忘れていくこと。苦しかったことや悲しかったことも忘れて、今はしあわせ。
「うばすてやま」ポプラ社らしい本です。これまでに読んだ同社の本と傾向が似ています。人間心理の裏面とか、暗い部分に光をあてようとする姿勢がうかがえます。幼い頃、母に虐待されたのに、認知症になった母の介護をしなければならなくなった。受容が表現されています。そこまで、耐えなければならないとは思えません。そこまで譲歩するのは、人として苦しい。マゾヒズムです。(肉体的・精神的苦痛が快感)
最後まで読み終えて、再び1ページに戻って、人物相関図をつくり始めました。
神奈川県烏ヶ谷(うがや)は新興住宅地で、各地からの転入者で町が形成され始めました。当然リーダーはいません。だれもが社長気分です。最初は互いに気を使いますが、そのうち本性が表れます。住民に上下関係はありません。対立しても調整役はいません。声の大きな人間、力の強い人間の意見が通っていきます。その陰で、弱者は泣きます。こんな町、出て行こうと決心します。
やんちゃなこどもたちは片方の親がいなかったり、継母、内夫であったりします。かれらは、家で疎外(そがい、放置)されて、学校で弱者を標的にしていじめぬきます。教師や住民は、自分たちの対応のほうが悪いと考えて相手の言い分を通す方向で対応します。どう感想を表現していいのか迷うのですが、これは、作者からの問題提起ととらえます。
平易な文章で書かれ短時間で読み終えることができる本です。しかし、奥行きは深い。読了後も数日間、内容について考えにふけっています。結局、自分のことは自分でやる。親を頼らない。きちんと育ててくれない親は捨てる。あきらめて、自分は自分で自分が望む家族をつくる。生きづらい時代です。こどもも親も冷めている。ほかの人の心を傷つけている人は、その人自身もほかの人から傷つけられている。
小説は読んだことがあります。母親が幼児を集合住宅の密室で虐待する内容でした。
映像は、終始暗い雰囲気ですすんでいきます。観ているほうの気持ちも沈みます。
家庭環境に恵まれない子どもばかりです。こどものために歯を食いしばって戦ってくれるおとながいない。児童相談所も頼りない。学校も事なかれ主義の人ばかり。こどもが逃げ込む場所がいります。
そのうち、子どもは闘うことを覚えます。そして、親はこどもに負けるときがきます。子どもは学校を卒業すると家を合法的に出て行きます。
荒れた教室の映像を観ていると、とりあえず、(子どもたちが)生きていればいいという気持ちになります。
後半に近づくに従って、じーんと感動の波が近づいてきます。
映画を観たなーという気分に浸れました。今年観て良かった1本です。
ちっちゃな子どもが、「がんばって」とおとなの背中をとんとんしてくれる。
母親の役目は、子どもに優しくすること。優しくすれば、子どもも優しい子になれる。
クライマックスのシーン、宿題として、家族に抱きしめられてくることの報告会が良かった。ハグの体験を、ひとりひとりから聞く。小学4年生の設定でした。
近所のおばあさんの言葉が尊い。自分にはこどもができなかった。こどもを預かると、「すぐに迎えに来ますから」と言われる。すぐに来なくていいのに。
こどもの頃に虐待を受けていた母親が、同じようにこどものときに虐待を受けていて、いまは自分の娘を虐待している別の母親の虐待行為を止めます。ふたりとも、こどものときは、虐待の被害者です。虐待することを止められて、ほっと安心した母親が言います。「こんなに(人から)ほめられたのは初めて。どこにいっても謝ってばかりだった」
暗くなっていた気持ちに勇気を与えてくれる映画でした。
映像で、大きな窓から見える山の斜面に並ぶ家々の風景が温かい。「きみはいい子」というタイトルは、こどものときに虐待を受けて、気持ちがゆがんで、自分が産んだこどもに虐待行為をするようになった母親に送る励ましのメッセージなのです。きみはいい子だから、もうわが子を虐待するのはやめようねという優しいメッセージなのです。
読書感想文 2013年2月23日 きみはいい子 中脇初枝 ポプラ社
本屋大賞候補作10作品目の読書です。
読み始めはなんとも暗い気持ちになりました。「きみはいい子」-「ぼくは悪い子」-だからママはぼくを叩く。児童虐待が素材のお話でした。頼るべき親から暴力をふるわれるかよわき女児・男児の暮らしぶりです。自分も親から虐待されていたから自分も自分の子どもを虐待するというあきらめを肯定する心の弱い親たちには、怒りをとおりこして、どうしてという疑問にかられ、だからといって、どうもしてあげられない無力感にさいなまれました。
舞台は横浜の近くの最近宅地造成が進められた「烏ヶ谷(うがや)」、新興住宅地という設定です。冒頭付近ではそこに住む人たちを「寄せ集めの住人たち」と称しています。街に歴史がありません。人につながりがありません。これからです。これからですが、先行きは明るくありません。5編の短編に関連性があります。
「サンタさんの来ない家」悲しくなってくる物語です。教師になりたての男性岡野匡(ただし)が気の毒です。親も親なら子どもも子どもです。現実と重なる部分もあり残念な気持ちになります。いじめを始めとした昔からある学校での陰湿な事例・事情の数々です。「学校」という、人生の一時的な通過点の場所であることが救いです。学校に通っているときは学校生活がすべてでした。卒業して学校から徐々に遠ざかり社会人の生活を送っていった当時をふりかえると、「学校」は、狭苦しい一時的な滞在地であったことに気づきます。
岡野先生に対しては、試行錯誤を繰り返して自らの教育スタイルを構築していく。読んでいると、ときには信仰の力も必要だと感じました。
「べっぴんさん」団地の砂場にデビューするママと幼子(おさなご)たちのやりとりです。ママ同志は、砂場では仲良しごっこを演じる。遊びが終わって、自宅のドアを開けて室内に入ると、ママは幼児に、叩く蹴るの暴力を行使する。人間心理の表と裏が描写されています。
ママたちが「おしゃれ」に憩いを求めるのは、男性にはあまりない発想でした。それで、楽しんでなごめるのならいい。親から虐待されたから自分も虐待するようになったという連鎖の肯定には賛同、そして共感いたしかねます。乳幼児は欲望の固まりであり、自らで自制する能力をもちません。書中にあるほど、人前で気を使う必要はありません。こどもをちやほやする必要もありません。こどもはこどもです。
読んでいると最終的には夫である男が悪いのだろうなあ。前の短編もこれもオチがオチになっていないので、救われない暗い気持ちにひたりました。
「うそつき」土地家屋調査士の父親の語りです。物語に登場する相談相手は隣家と境界線でもめています。
「こんにちは、さようなら」唄を読んでいるようです。この地でながらく暮らす80代ひとり暮らし女性と家の前を通学するこどもとのやりとりです。女性は認知症のなりかかり。子どもは障害をもつ子です。歳(とし)をとることは忘れていくこと。苦しかったことや悲しかったことも忘れて、今はしあわせ。
「うばすてやま」ポプラ社らしい本です。これまでに読んだ同社の本と傾向が似ています。人間心理の裏面とか、暗い部分に光をあてようとする姿勢がうかがえます。幼い頃、母に虐待されたのに、認知症になった母の介護をしなければならなくなった。受容が表現されています。そこまで、耐えなければならないとは思えません。そこまで譲歩するのは、人として苦しい。マゾヒズムです。(肉体的・精神的苦痛が快感)
最後まで読み終えて、再び1ページに戻って、人物相関図をつくり始めました。
神奈川県烏ヶ谷(うがや)は新興住宅地で、各地からの転入者で町が形成され始めました。当然リーダーはいません。だれもが社長気分です。最初は互いに気を使いますが、そのうち本性が表れます。住民に上下関係はありません。対立しても調整役はいません。声の大きな人間、力の強い人間の意見が通っていきます。その陰で、弱者は泣きます。こんな町、出て行こうと決心します。
やんちゃなこどもたちは片方の親がいなかったり、継母、内夫であったりします。かれらは、家で疎外(そがい、放置)されて、学校で弱者を標的にしていじめぬきます。教師や住民は、自分たちの対応のほうが悪いと考えて相手の言い分を通す方向で対応します。どう感想を表現していいのか迷うのですが、これは、作者からの問題提起ととらえます。
平易な文章で書かれ短時間で読み終えることができる本です。しかし、奥行きは深い。読了後も数日間、内容について考えにふけっています。結局、自分のことは自分でやる。親を頼らない。きちんと育ててくれない親は捨てる。あきらめて、自分は自分で自分が望む家族をつくる。生きづらい時代です。こどもも親も冷めている。ほかの人の心を傷つけている人は、その人自身もほかの人から傷つけられている。
2019年12月01日
決算! 忠臣蔵 映画館
決算! 忠臣蔵 映画館
最初はぎこちない時間帯が過ぎていきましたが、後半は、お金をからめて、おもしろおかしく、笑えました。楽しみました。
最初のほうの笑う場所として用意してあったのが、「小さなことからコツコツと…」の部分ですが、観客はだれも笑っていませんでした。後半のほうの、ひとりいくらかかるとか、道具がいくらだとか、まとめていくらで、やめると経費がこれだけ浮くとか、そういうなんやかんやが、とてもおもしろくて、スリルもあって、笑いました。
最初から始まる映像づくりの工夫は、いい絵(画像)がとれていると感心しました。ときおり、たぶん、ドローンで撮影した空からの俯瞰図(ふかんず)がいい感じでした。
ちょっと記憶違いかもしれませんが、たしか桜の映像があって、それが良かった。日本人と桜は切っても切れないつながりがあるとしみじみしました。
最初のほうのそろばん侍のみなさんは、映像だけで横においといて、本題でどたばたする戦担当侍(いくさたんとうさむらい)の様子を描いたのも効果的でした。
忠臣蔵の事件内容は詳しい説明がないので、この映画を観る場合、下地があるとわかりやすいです。わたしは、映画を観る前に、子どもさん向け児童文学の「白狐記(しらこまき。しろい化け狐の記録です)元禄の雪」作者斉藤洋を読んだので映画の内容に納得できました。大石内蔵助(おおいし・くらのすけ)は、本当は仇討をしたくなかったのです。長生きしたかったのです。家族や家臣を守りたかったのです。でも、武士だから、メンツがあるから、仇討をして、その責任をとって、切腹しなければならない立場に立たされたのです。そして、やむをえず、仇討を実行して、死ぬ道を選んだのです。
前半にある貸付金の回収話がリアルです。とにかく、藩の再建をするにしても仇討をするにしても、なにをするにしてもお金がいります。
大石内蔵助の息子役、鈴木福くんが可愛い。
前半は、淡々と進んでいきます。
裏金、賄賂話などが出ます。
浅野内匠頭の刃傷事件後、播州赤穂藩の人々の生活は過酷です。財政も厳しい。
岡村隆史さんは好演でした。意外な展開でした。予想できませんでした。
経費がなくて、討ち入りの人数を減らすために説得していく様子では、以前野球のマネジメントの洋画を思い起こしました。調整役は、地味ですが、大切な仕事です。映像は、ときに、コンビの漫才を見ているようでもありました。
討ち入りが失敗したときのための「後備え(あとぞなえ)」として、待機していてほしいという説得理由も上手です。
赤穂から江戸までの旅費がかなりかかっていたのですが、最後の旅路では、片道だから、いつもの半額という理屈にはほろりとさせられます。死ぬからもうふるさとには帰れないのです。
何万円、何万円という金額表示が効果的でした。
討ち入りの衣装代が高額で、すでに藩の役割として割り当てられていた江戸の火消し役の衣装でことにのぞんだという理由付けには感心しました。
殿からいただいた馬のご恩は忘れないという例にあるように、恩人のために仇討をしたいという若い人たちの純な気持ちが胸を打ちます。
吉良家の敷地図、家屋配置図を事前に知っていると、警備陣のサムライたちが、本宅を囲うように配置してある長屋(警備陣が住んでいる)からサムライたちが出てこられないように金具のかすがいを打ち込むことがよくわかります。槍と弓矢の購入や裏口から攻め込むメンバーに突入成功を知らせるドラの話や吉良上野介を発見した時に彼の居場所を知らせるための笛の話もでてきます。それら道具ひとつひとつにもお金がかかります。わかりやすかった。
最初はぎこちない時間帯が過ぎていきましたが、後半は、お金をからめて、おもしろおかしく、笑えました。楽しみました。
最初のほうの笑う場所として用意してあったのが、「小さなことからコツコツと…」の部分ですが、観客はだれも笑っていませんでした。後半のほうの、ひとりいくらかかるとか、道具がいくらだとか、まとめていくらで、やめると経費がこれだけ浮くとか、そういうなんやかんやが、とてもおもしろくて、スリルもあって、笑いました。
最初から始まる映像づくりの工夫は、いい絵(画像)がとれていると感心しました。ときおり、たぶん、ドローンで撮影した空からの俯瞰図(ふかんず)がいい感じでした。
ちょっと記憶違いかもしれませんが、たしか桜の映像があって、それが良かった。日本人と桜は切っても切れないつながりがあるとしみじみしました。
最初のほうのそろばん侍のみなさんは、映像だけで横においといて、本題でどたばたする戦担当侍(いくさたんとうさむらい)の様子を描いたのも効果的でした。
忠臣蔵の事件内容は詳しい説明がないので、この映画を観る場合、下地があるとわかりやすいです。わたしは、映画を観る前に、子どもさん向け児童文学の「白狐記(しらこまき。しろい化け狐の記録です)元禄の雪」作者斉藤洋を読んだので映画の内容に納得できました。大石内蔵助(おおいし・くらのすけ)は、本当は仇討をしたくなかったのです。長生きしたかったのです。家族や家臣を守りたかったのです。でも、武士だから、メンツがあるから、仇討をして、その責任をとって、切腹しなければならない立場に立たされたのです。そして、やむをえず、仇討を実行して、死ぬ道を選んだのです。
前半にある貸付金の回収話がリアルです。とにかく、藩の再建をするにしても仇討をするにしても、なにをするにしてもお金がいります。
大石内蔵助の息子役、鈴木福くんが可愛い。
前半は、淡々と進んでいきます。
裏金、賄賂話などが出ます。
浅野内匠頭の刃傷事件後、播州赤穂藩の人々の生活は過酷です。財政も厳しい。
岡村隆史さんは好演でした。意外な展開でした。予想できませんでした。
経費がなくて、討ち入りの人数を減らすために説得していく様子では、以前野球のマネジメントの洋画を思い起こしました。調整役は、地味ですが、大切な仕事です。映像は、ときに、コンビの漫才を見ているようでもありました。
討ち入りが失敗したときのための「後備え(あとぞなえ)」として、待機していてほしいという説得理由も上手です。
赤穂から江戸までの旅費がかなりかかっていたのですが、最後の旅路では、片道だから、いつもの半額という理屈にはほろりとさせられます。死ぬからもうふるさとには帰れないのです。
何万円、何万円という金額表示が効果的でした。
討ち入りの衣装代が高額で、すでに藩の役割として割り当てられていた江戸の火消し役の衣装でことにのぞんだという理由付けには感心しました。
殿からいただいた馬のご恩は忘れないという例にあるように、恩人のために仇討をしたいという若い人たちの純な気持ちが胸を打ちます。
吉良家の敷地図、家屋配置図を事前に知っていると、警備陣のサムライたちが、本宅を囲うように配置してある長屋(警備陣が住んでいる)からサムライたちが出てこられないように金具のかすがいを打ち込むことがよくわかります。槍と弓矢の購入や裏口から攻め込むメンバーに突入成功を知らせるドラの話や吉良上野介を発見した時に彼の居場所を知らせるための笛の話もでてきます。それら道具ひとつひとつにもお金がかかります。わかりやすかった。