2019年12月01日

決算! 忠臣蔵 映画館

決算! 忠臣蔵 映画館

 最初はぎこちない時間帯が過ぎていきましたが、後半は、お金をからめて、おもしろおかしく、笑えました。楽しみました。
 最初のほうの笑う場所として用意してあったのが、「小さなことからコツコツと…」の部分ですが、観客はだれも笑っていませんでした。後半のほうの、ひとりいくらかかるとか、道具がいくらだとか、まとめていくらで、やめると経費がこれだけ浮くとか、そういうなんやかんやが、とてもおもしろくて、スリルもあって、笑いました。

 最初から始まる映像づくりの工夫は、いい絵(画像)がとれていると感心しました。ときおり、たぶん、ドローンで撮影した空からの俯瞰図(ふかんず)がいい感じでした。
 ちょっと記憶違いかもしれませんが、たしか桜の映像があって、それが良かった。日本人と桜は切っても切れないつながりがあるとしみじみしました。

 最初のほうのそろばん侍のみなさんは、映像だけで横においといて、本題でどたばたする戦担当侍(いくさたんとうさむらい)の様子を描いたのも効果的でした。

 忠臣蔵の事件内容は詳しい説明がないので、この映画を観る場合、下地があるとわかりやすいです。わたしは、映画を観る前に、子どもさん向け児童文学の「白狐記(しらこまき。しろい化け狐の記録です)元禄の雪」作者斉藤洋を読んだので映画の内容に納得できました。大石内蔵助(おおいし・くらのすけ)は、本当は仇討をしたくなかったのです。長生きしたかったのです。家族や家臣を守りたかったのです。でも、武士だから、メンツがあるから、仇討をして、その責任をとって、切腹しなければならない立場に立たされたのです。そして、やむをえず、仇討を実行して、死ぬ道を選んだのです。

 前半にある貸付金の回収話がリアルです。とにかく、藩の再建をするにしても仇討をするにしても、なにをするにしてもお金がいります。

 大石内蔵助の息子役、鈴木福くんが可愛い。

 前半は、淡々と進んでいきます。

 裏金、賄賂話などが出ます。

 浅野内匠頭の刃傷事件後、播州赤穂藩の人々の生活は過酷です。財政も厳しい。

 岡村隆史さんは好演でした。意外な展開でした。予想できませんでした。

 経費がなくて、討ち入りの人数を減らすために説得していく様子では、以前野球のマネジメントの洋画を思い起こしました。調整役は、地味ですが、大切な仕事です。映像は、ときに、コンビの漫才を見ているようでもありました。
 討ち入りが失敗したときのための「後備え(あとぞなえ)」として、待機していてほしいという説得理由も上手です。
 赤穂から江戸までの旅費がかなりかかっていたのですが、最後の旅路では、片道だから、いつもの半額という理屈にはほろりとさせられます。死ぬからもうふるさとには帰れないのです。

 何万円、何万円という金額表示が効果的でした。

 討ち入りの衣装代が高額で、すでに藩の役割として割り当てられていた江戸の火消し役の衣装でことにのぞんだという理由付けには感心しました。

 殿からいただいた馬のご恩は忘れないという例にあるように、恩人のために仇討をしたいという若い人たちの純な気持ちが胸を打ちます。

 吉良家の敷地図、家屋配置図を事前に知っていると、警備陣のサムライたちが、本宅を囲うように配置してある長屋(警備陣が住んでいる)からサムライたちが出てこられないように金具のかすがいを打ち込むことがよくわかります。槍と弓矢の購入や裏口から攻め込むメンバーに突入成功を知らせるドラの話や吉良上野介を発見した時に彼の居場所を知らせるための笛の話もでてきます。それら道具ひとつひとつにもお金がかかります。わかりやすかった。

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