2023年07月28日

東京都世田谷区下北沢『本多劇場(ほんだげきじょう)』にて

東京都世田谷区下北沢『本多劇場(ほんだげきじょう)』にて

 初めて下北沢というところへ行きました。
 人がいっぱいで活気があります。テレビのインタビュー番組でよく登場するところです。『家、ついて行ってイイですか?』とか『月曜から夜ふかし』とか。
 駅を出たところで妻が芸能人を見たそうですが、1980年代ぐらいに活躍された音楽をやる男性で、名前が出てこないといまだに言っています。
 駅の周りは再開発をしているようで、工事のために道が迷路のようになっています。
 エスカレーターで、段差があるようなところを下がってなんとか目的の本多劇場へ着きました。
 スマホの地図を見ながら行きましたが、駅から近いのに、ややこしくて、帰り道のルートを忘れてしまわないかと不安になりましたが、同行の妻が覚えていてくれてだいじょうぶでした。
 都市部での劇場というと、広い道路に面した大きな建物を想像していたのですが、本多劇場は街中のビルで、おそらく地下から3階か4階ぐらいまでが劇場で、上の階は住居に見えました。(事実はわかりません)
 階段をあがっていくとアナログな感じ(昔風)で折り畳みの机を並べただけの受付がありました。演目の開始までに時間があったので、近くのラーメン屋に寄って、しょうゆラーメンを食べました。外食をあまりしないので、夫婦でカウンターに座ったら入口にある機械で食券を買ってくださいとうながされました。ああそうだったと思い出しました。定年退職をしてから何年もたちましたので事前食券購入のやりかたを忘れてしまいました。



 劇場では『鹿版 銀河鉄道の夜‘23』という音楽劇を観劇しました。にぎやかで良かった。ご当地ネタでは、会場が爆笑していました。スズナリという劇場があるようです。柄本明さんのお名前が出ていました。
 演劇のほうは、なんというか、若い男の人たちが、男のだいじなところ(あそこ)だけを隠して、すっぱだかに近い姿で熱演されていました。(いやらしくはありません)
 座長の女性がしきりにお金がないということを強調されていました。衣装を買うお金がないようです。舞台装置のお金もないようです。まあ、劇団というのはそういうものだろうと思っています。
 演劇にしても音楽にしてもダンスにしても、舞台の上は華やかですが、舞台をおりるとお金がない世界です。

 おぼろげな記憶ですが、宮沢賢治作品の銀河鉄道の夜は、貧しくてひとりぼっちのジョバンニが、カムパネルラ(実は水の事故で死んでいる)と電車に乗って、夜空を旅する(冥土(めいど)へ行く旅。死後の世界へ行く旅)話で、途中、タイタニックの沈没事故で亡くなったような人たち(霊魂でしょう)も乗車してくるような感じの話だった記憶です。
 今回の観劇のしばらく前に、外国の人が、氷山に衝突後沈没したタイタニックの残骸(ざんがい)を観光で見学に行って、深海潜水艇が事故を起こして死者が出たニュースがありました。
 天の川=(イコール)三途の川(さんずのかわ。あの世へと渡る川)かなと自分は思っています。わたしの思う筋立てに勘違いがあったらごめんなさい。
 宮沢賢治作品は文章に色彩のイメージがあって、わたしにはむずかしいです。愛知県半田市出身の新美南吉(にいみ・なんきち)作品のこどもさん向け童話のほうが、自分にとっては読みやすいです。

 劇は、若い人たちのパワーが全開でした。男性たちは裸、女性たちは白い衣装をまとって、舞台装置は少なく、体全体をいっぱいに使って表現されていました。
 演者のみなさんが、この演劇の上演のために、すさまじいパワーをつぎこんだことがわかります。大量の労力と時間がそそぎこまれた演技でした。たくさん練習(稽古けいこ)をされたと思います。

 舞台の背景に映し出されるたくさんの色鮮やかな星々は、プラネタリウムのようにロマンチックできれいでした。

 ジョバンニに対する『(あなたは)死ぬな! 死んではいけない!!』のメッセージを正面から受け止めることができました。ジョバンニは、死んでいるカムパネルラについていこうとするのです。親友であるカムパネルラを失いたくないということが動機です。
 カムパネルラは、自分といっしょについてきてはいけないと、ジョバンニを説得します。
 ジョバンニは、死んではいけないのです。君は、生きろ!です。

 劇場には、お客さんがたくさん入っていて、家族的な温かい雰囲気があり好感をもちました。
 ロビーも『昭和時代』の雰囲気が残っていて、そこにいるとほっとできました。



 こちらの劇場では、小泉今日子さんとか、石田ひかりさん、竹下景子さん、松雪泰子さん、黒島結菜(くろしま・ゆいなさん)、それから、自分は今BSNHKで再放送の『あまちゃん』を見ているのですが、あまちゃんに出ている皆川猿時さんとか、荒川良々(あらかわ・よしよしさん)も舞台出演されています。

 今回の観劇で、女性の座長さんの話を聞きながら、自分も十代のころは、そちらの世界で働きたいなあという気持ちがあったけれど、しかしそれでは食べていけないわけで、そんなこともあったなあと自分の若い時をふりかえりました。

 その後、座長さんの履歴を見て、ひっくりかえるほどびっくりしました。
 座長さんの出身地がわたしと同じでした。同郷の人でした。わたしが同地を離れたあとにお生まれになっています。
 山に囲まれた盆地のようなところで、田んぼや川がある自然豊かな地域から、福岡県の博多駅なり、小倉駅まで出て、東を目指されたのでしょう。ご苦労をお察しします。  

Posted by 熊太郎 at 06:56Comments(0)TrackBack(0)東京