2023年07月19日
タガヤセ! 日本 白石優生
タガヤセ! 日本 「農水省の白石さん」が農業の魅力教えます 農林水産省大臣官房広報評価広報室 白石優生(しらいし・ゆうせい) 河出書房新社(かわでしょぼうしんしゃ)
「農水省の白石さん」とあります。むかし『生協の白石さん 東京農工大学の学生さん 白石昌則 講談社』という本を読んだことがあります。なかなかいい本でした。けっこう売れた本です。その本にあやかっている(自分も同じようになりたい)ような紹介のキャッチフレーズです。(目にとまるようにする手法)
本の帯にある「全力で“推す(おす。推薦する)”……」という表現も、べつのところから引っ張ってきてあるだけで安易です。(努力していない)。工夫(くふう)がほしい。
帯には、ほかにも「AI」とか「スマート」「ドローン」「A5ランク」「“ばずる”というような表現」、どこかで目にしたことがあるような単語が続きます。この本を売りたいという気持ちは十分伝わってきます。
さて、内容はどうなのだろう。心配です。(ものまねではなかろうか)
(1回目の読書)
まず、最初から最後までゆっくりページをめくりながら目をとおして、なにが書いてあるのかを見ます。わたしが実用書を読むときの読書法です。
農業のことが書いてあります。
わたしのお気に入りのブログに農業をしている方のものがあります。ときおり、今どんな農作業をしているかを写真付きで掲載されていて、そのページを観ることを楽しみにしています。農家はなかなかたいへんです。
この本の最初のほうに写真が固めてあります。
先日読み終えた本『中村哲物語(なかむらてつものがたり) 大地をうるおし平和につくした医師 松島恵利子 汐文社(ちょうぶんしゃ)』を思い出しました。アフガニスタンで暮らす農民を救うために用水路を引いて、砂漠のような土地を緑の農地に変えた中村哲さんは偉大な人でした。惜しい人を悲しい事件で亡くしてしまいました。
頭にかぶりものをしている著者は、なんだかタレントの『さかなクン』みたいです。だいじょうぶだろうか。
目次の項目が細かすぎて量が多いように感じます。
役所が出す文書を見るようです。
17ページに、著者は鹿児島市出身とあります。
たまたま、自分たち夫婦は、秋に鹿児島市内見物をしに行こうと先日から話をしています。本の内容とのつながりを感じました。
著者は、生まれてからずっと22年間鹿児島県で暮らしてきたそうです。
思うに、人生には大まかに分けて二種類あって、ずーっと同じ地域で生活して人生を完結させるパターンの人と、各地を転々としながら人生を終えるパターンの人がある。そのことで、職業において、その人にとって、向いている業種とそうではない業種がある。
大企業や大きな組織で働く人には、幅広く豊かな人生経験が求められています。自立・自活の苦労体験がないまま広い世界で働くことになると精神的にゆきづまります。自分が働いていた時、そう思ったことがあります。いくら学業成績が優秀でも、社会や職場の環境に適応できない人はいます。
50ページに『A5ランク=おいしいお肉とは限らない? 国内外で大人気の牛肉―和牛』とあります。見出しだけを見てですが同感です。自分は、食事をして、ランクが高いお肉なのにと、首をかしげる味だったことが数回あります。
67ページに『……熊本の九州農政局で働いているとき……』とあります。わたしの父方祖父母宅が熊本県にあって、こどもの頃、数か月間祖父母と同居暮らしをしたことがあります。肉牛ではありませんが、田んぼ仕事をさせるための役牛(えきぎゅう)を飼っていていました。もう60年ぐらい前のことです。
120ページあたりを読んでいて感じたことです。
こちらの著者さんは、農林水産省の広告塔の役割を果たす位置づけで、動画投稿サイトユーチューブや出版による広報活動を仕事とされているようです。
さらに、161ページで国家公務員の仕事をPRされています。国家公務員になるための手法が紹介されているようです。
167ページに『農水省職員=真面目な人……じゃない!』とあります。
自分の体験だと、優秀な人は変わった人が多い。ことに役所の人は不思議な人が多い。民間企業では働けないから役所で働いているという感じの人もいます。まあ、適材適所で自分の進路を決めるのがいいのでしょう。
183ページに食材の豆知識があります。クイズ本のようなつくりでもあります。
186ページ『おわりに』で『日本の食べ物は本当においしいですから!』とあります。
先日観た旅番組『東野・岡村の旅猿』で、ゲストのメッセンジャー黒田有(くろだ・たもつ)さんが、漫才師で料理人なんですが、旅先のシンガポールで、料理は、日本が世界一おいしいと、東野幸治さんと岡村隆史さんに説いて(といて)おられました。同感です。
(2回目の読書)
巻頭の写真で、日本の農業はおもしろいと表現してありますが、わたしは農作業をおもしろいと思ったことはありません。農作業はつらいと思ったことはなんどもあります。(本書では76ページ以降で農業の機械化で体力的には楽になったというようなことが書いてあります。機械化で楽になるということは、機械を利用するためのお金がかかるということです)
日本における農作物の質のことについて強調してあります。
役所の人らしい考え方の優先順位です。
ふつう、人がまっさきに考えるのは『お金(おかね)』のことです。
高品質で高価なものを用意しても売れなければ生活していけません。
農家のこどもに生まれると不思議な体験をすることがあります。
ただで、農作物や果実を大量に食べることができます。
成長して、それらのものが都市部では高価な価格で少量しか売られていないことを知ったときにはカルチャーショックを受けます。(生活習慣の違いでびっくりする)
たとえば、ビワやスイカが店先(みせさき)に並べてあると、農家での成育歴があるこどもは、ビワやスイカは、買って食べるものなのかとびっくりします。
鹿児島県甑島(こしきじま):小学生の時に『孤島の野犬』という椋鳩十さん(むく・はとじゅうさん)の児童文学を読んだことがあります。その舞台です。おとなになってから、甑島出身の人といっしょに仕事をしたことがあります。本を読んでいたので、その人が身近に感じました。
著者自身(自分)をアピール(主張。訴え)する力(ちから)が強い文章です。
この本の読み手は農家の立場の人よりも消費者の立場の人が多いでしょう。
そばとうどんの話があります。
『地域特性』の分析と説明です。
東のそば、西のうどんです。うどんは、小麦粉と塩。(香川県)
たまねぎは、北海道、佐賀県、兵庫県
サプライチェーン:生産、加工、製造、管理、配送、販売という流れ。
『九州は、日本一の畜産供給基地』
以前、鹿児島・宮崎・熊本あたりの高速道路をレンタカーで走ったときに、道路やサービスエリアで和牛を積んだトラックをよく見かけました。
社会科の教科書を読むようです。
内容はやわらかい。
本では、高速道路のおかげで、東北ではくだもの農家が増えたという分析があります。
『品種改良』の話です。
『突然変異』を利用します。
『交雑育種』という言葉があります。お米の品種「コシヒカリ」の説明があります。(コシヒカリの由来が越の国(こしの国(北陸のこと))の光(ヒカリ)輝く品種ということは初めて知りました。なるほど)
本にあるお米の『農林1号』という品種名は、自分が小学校一年生の時に父方祖父の口から出た単語で記憶にあります。農協の人が祖父宅をたずねてきて、米の種類を次回は何にするかねという問い合わせに対して祖父が『農林1号がいい』と返答していた記憶があります。
47ページに『日本のお米の作付面積ベスト10と主な生産地』の表があります。うちは、第10位北海道の『ゆめぴりか』を食べています。1位は『コシヒカリ』で、2位から10位まで『コシヒカリ』の親戚だそうです。
いちごの『博多あまおう』のことが書いてあります。大粒でおいしいいちごです。
お肉のことが書いてあります。和牛です。『A5ランク』だからおいしいというものではないそうです。おいしい基準ではない。「A・B・C」はおいしさの順番ではない。
ABCのアルファベットは:肉の歩留まり等級(ぶどまりとうきゅう)のこと。牛1頭からどれだけお肉がとれるか。Aがお肉をたくさんとれる。
1から5の数値:肉質のこと。数値が大きいほど脂肪が多い。肉の色がいいほど数値が大きくなる。肉のしまりがいいと数値が大きくなる。脂肪の色が白に近いと数値が大きくなる。
(「A5」だけがお肉じゃないのです)
『有機農業』のことが書いてあります。
化学物質である農薬を使ってあるからその作物はだめということはないのです。
農業のことを知らない人は、有機農業のほうがいいと手をあげます。(似たようなパターンはほかのことでもよくあります。専門分野に素人(しろうと。経験がない者)はあまり口を出さないほうがいい。無知な権力を持っている人が感情で誘導すると、あるべき方向が変なほうへ向かっていってしまいます。とかく人間はイメージ(先入観)に影響されやすい)
お金と命のからみについて書いてあります。
動植物の命を売って生活費にあてるのが農業です。
たくさんできすぎても、逆に不作でも困ります。物の値段の動きが関係してきます。
『生産調整』のことが書いてあります。
まあ、なんといいますか、どんな仕事でも苦労はつきものです。
66ページあたりを読んでいてふと思い出したことがあります。
わたしは旅番組が好きで、東野&岡村の『旅猿』を観ているのですが、平成ノブシコブシの吉村崇さん(よしむらたかしさん)をゲストに迎えての長崎ロケで、地元のふつうの食堂をめぐりながら、地元の食材が使われたそれほど高くもない定食類を食べていたときに吉村崇さんが、本音(ほんね)をつぶいたのです。
そのときの感想メモが残っています。
『三人は、朝食に貝汁定食を堪能されました。(たんのう:十分に楽しみ満足した)おでんとして、厚揚げ、牛すじもありました。貝汁は映像を観る限り、一般の家庭でつくる形態のもので、九州地方にあっては、ふだんの生活で食べる食べ物に見えました。
吉村崇さん『(自分は)なんで東京になんか住んでいるのだろう。こんなおいしいものが地方にはいっぱいある』おいしい食べ物を食べて、美しい景色に包まれて暮らしを送る。
働いて、ある程度お金が貯まったら地方で暮らすのも人生を楽しむ手法です。
三人は『100点の朝』と満足されました。』
大都市にある高級料理店で高いお金を出して食べる料理よりも、ふだんの生活の中で手ごろな値段で食べることができるごはんのほうが心の温かみがあっていいと感じることもあります。
79ページに、農業用機械の自動運転について書いてあります。『スマート農業』です。
一般的には、車の自動運転化の技術が進められています。人や車や壁にぶつからないとか、目的地までボタンを押すだけで行けるとか。たぶん何年か後には一部地域でできるようになるのでしょう。今はそういう時代の流れにあることは確かです。
農薬散布はドローンです。模型みたいな小型飛行機で農薬を散布しているのは見たことがあります。(現実の現場ではなく、テレビだったかもしれません)
昔でいうところの『兼業農家』の話です。農業だけでは食べていけない農家が多い。
話し言葉の文章です。著者が語りかけてきます。
うーむ。録音して文章化したのだろうか。
なにかしら、現代農業のいいことばかりが、次々と列記されている本です。
体が資本の仕事です。まあなんでもそうですが。農業はとくにそういう印象があります。
心と体の健康がだいじです。
そして、大きなお金が動きます。北海道での農業の説明があります。大規模です。機械化です。機械を使ってひとりで広大な農地を管理する仕事をします。体を壊したら代わりがなかなか見つかりません。我が家で食べているお米『ゆめぴりか』もつくっているそうです。
自分なりに昭和40年ぐらいから50年ぐらいの農地のことを思い出してみます。(1965年から1975年ぐらいのことです)
大都市にですね、人が集まっていったのです。
集まってきた労働者たちの住む場所がないから宅地開発をしたのです。
多くの農地が宅地化されるなかで、地価が高騰(こうとう。ものすごく値上がりした)したのです。
土地成金(とちなりきん。先祖伝来の農地を売却したり、賃貸マンションを建てて土地活用をしたりして億万長者になる)の誕生です。それまで、百姓仕事をしていた農家の人たちは、不動産会社や建築会社の札束攻勢にあって、なんというか、生活が一変した農家の人たちがおられました。そのことで、いい思いをした人もいたし、そうでなかった人もいました。
それまであった自然の動植物がいた風景は、コンクリートとアスファルト、金属とガラスの世界に変わっていったことは事実です。
農業は地味な仕事です。
太陽のもとで春や秋の日ざしにあたりながらの軽作業は、心にいい効果があります。気持ちがいい。無心に同じ手作業を続けます。植物を育てるという人間らしい行為です。
118ページに、食べることを楽しむ習慣が消えつつあるというような話が出ます。
学校では勉強すること、仕事ではお金をかせぐことに追われて、衣食住を楽しむ余裕がありません。
120ページからは、農林水産省が管轄する動植物について書いてあります。
『カイコ』むかしの小学生向けの学習雑誌には付録として、カイコの白い繭(まゆ)がついていたことがあります。カイコは、家畜扱いで、数を数えるときは、一頭(いっとう)、二頭(にとう)と数えるそうです。(なるほど)
『飛ばないテントウムシ』アブラムシを食べてくれる。遺伝の組み合わせで、飛べないテントウムシをつくったそうです。
まあ、なんにしても、お金がかかることです。
『いぐさ』畳の材料です。熊本県が98%の産地ということは知りませんでした。
『地産地消(ちさんちしょう。その土地でできたものを地元の人たちで食べる)』ぽい話です。第3章が『日本で食べるものは日本でつくろう!』です。
日本の食料自給率が下がってきているということは、もうずいぶん前、何十年も前から話題になっていることです。2020年で37%とあります。
これはもうしかたがないような気がするのです。そういう生活をめざすような動きを日本社会は歴史の中でしてきました。日本人の米離れ(こめばなれ)があります。
農作物を外国に頼る。輸入です。
日本以外の国でも食糧確保に苦しい国もあります。日本はまだ恵まれていると感じるのです。
『食品ロス』のことが書いてあります。さきほどは、食材を輸入に頼る話だったのに、こんどは、食べ物があまる話です。バランスをとることがむずかしい。
156ページ、小間切れ肉と切り落としの違いの説明が良かった。
小間切れ肉:いろいろな部位の切れはし
切り落とし:特定の部位の切れはし
第4章は、国家公務員や農家になりましょうの勧誘の章でした。
国会とかのテレビ中継を見ていると、公務員とは政治家のごきげんとりがおもな仕事ではなかろうかと感じるのです。政治家に気に入ってもらって、人事で上の地位につけてもらえるように働きかけてもらう。
政治家が議会などで話すときのための原稿づくりが、公務員の仕事に見えます。テレビを見ていると日本の政治家は、まあ、ご自身のご了解はあるのでしょうが、自分ではない公務員たちがつくった文書の朗読をしています。(こちらの本でも、このあと政治家さんたちの紹介があります)
なんとなく、なれあいに見えないこともない。(なれあい:もちつもたれつ。利害関係者同士のあまり好ましくないつきあい)
文章を読みながら、著者は目立ちたがり屋だなと考えていたら、173ページに『でも、目立ちたがり屋でお調子者だったことが……』という文章にあたり笑いました。
ずーっと読んでいて、この人(著者)は、いずれ農林水産省の職員を離れるのではないかという予感がありました。独立して自営の立場でなにかをやられるかもしれません。政治家になる道もあるでしょう。
「農水省の白石さん」とあります。むかし『生協の白石さん 東京農工大学の学生さん 白石昌則 講談社』という本を読んだことがあります。なかなかいい本でした。けっこう売れた本です。その本にあやかっている(自分も同じようになりたい)ような紹介のキャッチフレーズです。(目にとまるようにする手法)
本の帯にある「全力で“推す(おす。推薦する)”……」という表現も、べつのところから引っ張ってきてあるだけで安易です。(努力していない)。工夫(くふう)がほしい。
帯には、ほかにも「AI」とか「スマート」「ドローン」「A5ランク」「“ばずる”というような表現」、どこかで目にしたことがあるような単語が続きます。この本を売りたいという気持ちは十分伝わってきます。
さて、内容はどうなのだろう。心配です。(ものまねではなかろうか)
(1回目の読書)
まず、最初から最後までゆっくりページをめくりながら目をとおして、なにが書いてあるのかを見ます。わたしが実用書を読むときの読書法です。
農業のことが書いてあります。
わたしのお気に入りのブログに農業をしている方のものがあります。ときおり、今どんな農作業をしているかを写真付きで掲載されていて、そのページを観ることを楽しみにしています。農家はなかなかたいへんです。
この本の最初のほうに写真が固めてあります。
先日読み終えた本『中村哲物語(なかむらてつものがたり) 大地をうるおし平和につくした医師 松島恵利子 汐文社(ちょうぶんしゃ)』を思い出しました。アフガニスタンで暮らす農民を救うために用水路を引いて、砂漠のような土地を緑の農地に変えた中村哲さんは偉大な人でした。惜しい人を悲しい事件で亡くしてしまいました。
頭にかぶりものをしている著者は、なんだかタレントの『さかなクン』みたいです。だいじょうぶだろうか。
目次の項目が細かすぎて量が多いように感じます。
役所が出す文書を見るようです。
17ページに、著者は鹿児島市出身とあります。
たまたま、自分たち夫婦は、秋に鹿児島市内見物をしに行こうと先日から話をしています。本の内容とのつながりを感じました。
著者は、生まれてからずっと22年間鹿児島県で暮らしてきたそうです。
思うに、人生には大まかに分けて二種類あって、ずーっと同じ地域で生活して人生を完結させるパターンの人と、各地を転々としながら人生を終えるパターンの人がある。そのことで、職業において、その人にとって、向いている業種とそうではない業種がある。
大企業や大きな組織で働く人には、幅広く豊かな人生経験が求められています。自立・自活の苦労体験がないまま広い世界で働くことになると精神的にゆきづまります。自分が働いていた時、そう思ったことがあります。いくら学業成績が優秀でも、社会や職場の環境に適応できない人はいます。
50ページに『A5ランク=おいしいお肉とは限らない? 国内外で大人気の牛肉―和牛』とあります。見出しだけを見てですが同感です。自分は、食事をして、ランクが高いお肉なのにと、首をかしげる味だったことが数回あります。
67ページに『……熊本の九州農政局で働いているとき……』とあります。わたしの父方祖父母宅が熊本県にあって、こどもの頃、数か月間祖父母と同居暮らしをしたことがあります。肉牛ではありませんが、田んぼ仕事をさせるための役牛(えきぎゅう)を飼っていていました。もう60年ぐらい前のことです。
120ページあたりを読んでいて感じたことです。
こちらの著者さんは、農林水産省の広告塔の役割を果たす位置づけで、動画投稿サイトユーチューブや出版による広報活動を仕事とされているようです。
さらに、161ページで国家公務員の仕事をPRされています。国家公務員になるための手法が紹介されているようです。
167ページに『農水省職員=真面目な人……じゃない!』とあります。
自分の体験だと、優秀な人は変わった人が多い。ことに役所の人は不思議な人が多い。民間企業では働けないから役所で働いているという感じの人もいます。まあ、適材適所で自分の進路を決めるのがいいのでしょう。
183ページに食材の豆知識があります。クイズ本のようなつくりでもあります。
186ページ『おわりに』で『日本の食べ物は本当においしいですから!』とあります。
先日観た旅番組『東野・岡村の旅猿』で、ゲストのメッセンジャー黒田有(くろだ・たもつ)さんが、漫才師で料理人なんですが、旅先のシンガポールで、料理は、日本が世界一おいしいと、東野幸治さんと岡村隆史さんに説いて(といて)おられました。同感です。
(2回目の読書)
巻頭の写真で、日本の農業はおもしろいと表現してありますが、わたしは農作業をおもしろいと思ったことはありません。農作業はつらいと思ったことはなんどもあります。(本書では76ページ以降で農業の機械化で体力的には楽になったというようなことが書いてあります。機械化で楽になるということは、機械を利用するためのお金がかかるということです)
日本における農作物の質のことについて強調してあります。
役所の人らしい考え方の優先順位です。
ふつう、人がまっさきに考えるのは『お金(おかね)』のことです。
高品質で高価なものを用意しても売れなければ生活していけません。
農家のこどもに生まれると不思議な体験をすることがあります。
ただで、農作物や果実を大量に食べることができます。
成長して、それらのものが都市部では高価な価格で少量しか売られていないことを知ったときにはカルチャーショックを受けます。(生活習慣の違いでびっくりする)
たとえば、ビワやスイカが店先(みせさき)に並べてあると、農家での成育歴があるこどもは、ビワやスイカは、買って食べるものなのかとびっくりします。
鹿児島県甑島(こしきじま):小学生の時に『孤島の野犬』という椋鳩十さん(むく・はとじゅうさん)の児童文学を読んだことがあります。その舞台です。おとなになってから、甑島出身の人といっしょに仕事をしたことがあります。本を読んでいたので、その人が身近に感じました。
著者自身(自分)をアピール(主張。訴え)する力(ちから)が強い文章です。
この本の読み手は農家の立場の人よりも消費者の立場の人が多いでしょう。
そばとうどんの話があります。
『地域特性』の分析と説明です。
東のそば、西のうどんです。うどんは、小麦粉と塩。(香川県)
たまねぎは、北海道、佐賀県、兵庫県
サプライチェーン:生産、加工、製造、管理、配送、販売という流れ。
『九州は、日本一の畜産供給基地』
以前、鹿児島・宮崎・熊本あたりの高速道路をレンタカーで走ったときに、道路やサービスエリアで和牛を積んだトラックをよく見かけました。
社会科の教科書を読むようです。
内容はやわらかい。
本では、高速道路のおかげで、東北ではくだもの農家が増えたという分析があります。
『品種改良』の話です。
『突然変異』を利用します。
『交雑育種』という言葉があります。お米の品種「コシヒカリ」の説明があります。(コシヒカリの由来が越の国(こしの国(北陸のこと))の光(ヒカリ)輝く品種ということは初めて知りました。なるほど)
本にあるお米の『農林1号』という品種名は、自分が小学校一年生の時に父方祖父の口から出た単語で記憶にあります。農協の人が祖父宅をたずねてきて、米の種類を次回は何にするかねという問い合わせに対して祖父が『農林1号がいい』と返答していた記憶があります。
47ページに『日本のお米の作付面積ベスト10と主な生産地』の表があります。うちは、第10位北海道の『ゆめぴりか』を食べています。1位は『コシヒカリ』で、2位から10位まで『コシヒカリ』の親戚だそうです。
いちごの『博多あまおう』のことが書いてあります。大粒でおいしいいちごです。
お肉のことが書いてあります。和牛です。『A5ランク』だからおいしいというものではないそうです。おいしい基準ではない。「A・B・C」はおいしさの順番ではない。
ABCのアルファベットは:肉の歩留まり等級(ぶどまりとうきゅう)のこと。牛1頭からどれだけお肉がとれるか。Aがお肉をたくさんとれる。
1から5の数値:肉質のこと。数値が大きいほど脂肪が多い。肉の色がいいほど数値が大きくなる。肉のしまりがいいと数値が大きくなる。脂肪の色が白に近いと数値が大きくなる。
(「A5」だけがお肉じゃないのです)
『有機農業』のことが書いてあります。
化学物質である農薬を使ってあるからその作物はだめということはないのです。
農業のことを知らない人は、有機農業のほうがいいと手をあげます。(似たようなパターンはほかのことでもよくあります。専門分野に素人(しろうと。経験がない者)はあまり口を出さないほうがいい。無知な権力を持っている人が感情で誘導すると、あるべき方向が変なほうへ向かっていってしまいます。とかく人間はイメージ(先入観)に影響されやすい)
お金と命のからみについて書いてあります。
動植物の命を売って生活費にあてるのが農業です。
たくさんできすぎても、逆に不作でも困ります。物の値段の動きが関係してきます。
『生産調整』のことが書いてあります。
まあ、なんといいますか、どんな仕事でも苦労はつきものです。
66ページあたりを読んでいてふと思い出したことがあります。
わたしは旅番組が好きで、東野&岡村の『旅猿』を観ているのですが、平成ノブシコブシの吉村崇さん(よしむらたかしさん)をゲストに迎えての長崎ロケで、地元のふつうの食堂をめぐりながら、地元の食材が使われたそれほど高くもない定食類を食べていたときに吉村崇さんが、本音(ほんね)をつぶいたのです。
そのときの感想メモが残っています。
『三人は、朝食に貝汁定食を堪能されました。(たんのう:十分に楽しみ満足した)おでんとして、厚揚げ、牛すじもありました。貝汁は映像を観る限り、一般の家庭でつくる形態のもので、九州地方にあっては、ふだんの生活で食べる食べ物に見えました。
吉村崇さん『(自分は)なんで東京になんか住んでいるのだろう。こんなおいしいものが地方にはいっぱいある』おいしい食べ物を食べて、美しい景色に包まれて暮らしを送る。
働いて、ある程度お金が貯まったら地方で暮らすのも人生を楽しむ手法です。
三人は『100点の朝』と満足されました。』
大都市にある高級料理店で高いお金を出して食べる料理よりも、ふだんの生活の中で手ごろな値段で食べることができるごはんのほうが心の温かみがあっていいと感じることもあります。
79ページに、農業用機械の自動運転について書いてあります。『スマート農業』です。
一般的には、車の自動運転化の技術が進められています。人や車や壁にぶつからないとか、目的地までボタンを押すだけで行けるとか。たぶん何年か後には一部地域でできるようになるのでしょう。今はそういう時代の流れにあることは確かです。
農薬散布はドローンです。模型みたいな小型飛行機で農薬を散布しているのは見たことがあります。(現実の現場ではなく、テレビだったかもしれません)
昔でいうところの『兼業農家』の話です。農業だけでは食べていけない農家が多い。
話し言葉の文章です。著者が語りかけてきます。
うーむ。録音して文章化したのだろうか。
なにかしら、現代農業のいいことばかりが、次々と列記されている本です。
体が資本の仕事です。まあなんでもそうですが。農業はとくにそういう印象があります。
心と体の健康がだいじです。
そして、大きなお金が動きます。北海道での農業の説明があります。大規模です。機械化です。機械を使ってひとりで広大な農地を管理する仕事をします。体を壊したら代わりがなかなか見つかりません。我が家で食べているお米『ゆめぴりか』もつくっているそうです。
自分なりに昭和40年ぐらいから50年ぐらいの農地のことを思い出してみます。(1965年から1975年ぐらいのことです)
大都市にですね、人が集まっていったのです。
集まってきた労働者たちの住む場所がないから宅地開発をしたのです。
多くの農地が宅地化されるなかで、地価が高騰(こうとう。ものすごく値上がりした)したのです。
土地成金(とちなりきん。先祖伝来の農地を売却したり、賃貸マンションを建てて土地活用をしたりして億万長者になる)の誕生です。それまで、百姓仕事をしていた農家の人たちは、不動産会社や建築会社の札束攻勢にあって、なんというか、生活が一変した農家の人たちがおられました。そのことで、いい思いをした人もいたし、そうでなかった人もいました。
それまであった自然の動植物がいた風景は、コンクリートとアスファルト、金属とガラスの世界に変わっていったことは事実です。
農業は地味な仕事です。
太陽のもとで春や秋の日ざしにあたりながらの軽作業は、心にいい効果があります。気持ちがいい。無心に同じ手作業を続けます。植物を育てるという人間らしい行為です。
118ページに、食べることを楽しむ習慣が消えつつあるというような話が出ます。
学校では勉強すること、仕事ではお金をかせぐことに追われて、衣食住を楽しむ余裕がありません。
120ページからは、農林水産省が管轄する動植物について書いてあります。
『カイコ』むかしの小学生向けの学習雑誌には付録として、カイコの白い繭(まゆ)がついていたことがあります。カイコは、家畜扱いで、数を数えるときは、一頭(いっとう)、二頭(にとう)と数えるそうです。(なるほど)
『飛ばないテントウムシ』アブラムシを食べてくれる。遺伝の組み合わせで、飛べないテントウムシをつくったそうです。
まあ、なんにしても、お金がかかることです。
『いぐさ』畳の材料です。熊本県が98%の産地ということは知りませんでした。
『地産地消(ちさんちしょう。その土地でできたものを地元の人たちで食べる)』ぽい話です。第3章が『日本で食べるものは日本でつくろう!』です。
日本の食料自給率が下がってきているということは、もうずいぶん前、何十年も前から話題になっていることです。2020年で37%とあります。
これはもうしかたがないような気がするのです。そういう生活をめざすような動きを日本社会は歴史の中でしてきました。日本人の米離れ(こめばなれ)があります。
農作物を外国に頼る。輸入です。
日本以外の国でも食糧確保に苦しい国もあります。日本はまだ恵まれていると感じるのです。
『食品ロス』のことが書いてあります。さきほどは、食材を輸入に頼る話だったのに、こんどは、食べ物があまる話です。バランスをとることがむずかしい。
156ページ、小間切れ肉と切り落としの違いの説明が良かった。
小間切れ肉:いろいろな部位の切れはし
切り落とし:特定の部位の切れはし
第4章は、国家公務員や農家になりましょうの勧誘の章でした。
国会とかのテレビ中継を見ていると、公務員とは政治家のごきげんとりがおもな仕事ではなかろうかと感じるのです。政治家に気に入ってもらって、人事で上の地位につけてもらえるように働きかけてもらう。
政治家が議会などで話すときのための原稿づくりが、公務員の仕事に見えます。テレビを見ていると日本の政治家は、まあ、ご自身のご了解はあるのでしょうが、自分ではない公務員たちがつくった文書の朗読をしています。(こちらの本でも、このあと政治家さんたちの紹介があります)
なんとなく、なれあいに見えないこともない。(なれあい:もちつもたれつ。利害関係者同士のあまり好ましくないつきあい)
文章を読みながら、著者は目立ちたがり屋だなと考えていたら、173ページに『でも、目立ちたがり屋でお調子者だったことが……』という文章にあたり笑いました。
ずーっと読んでいて、この人(著者)は、いずれ農林水産省の職員を離れるのではないかという予感がありました。独立して自営の立場でなにかをやられるかもしれません。政治家になる道もあるでしょう。