2023年06月22日
月の立つ林で 青山美智子
月の立つ林で 青山美智子 ポプラ社
目次を見ると、五つ(いつつ)の章があります。
タイトルの『月が立つ』とはどういうことだろう。
五つの章には『月が立つ』はありません。
単純に考えると『月が昇る』です。
第一章:誰かの朔(さく? 人の名前らしい)
第二章:レゴリス(今はまだ、意味がわかりません)
第三章:お天道様(読みは「おてんとうさま」でしょう)
第四章:ウミガメ
第五章:針金の光
(読み終えて:群像劇でした。章ごとに主人公が変わります)
『一章 誰かの朔(さく)』
朔ヶ崎怜花(さくがさき・れいか):主人公女性。41年間ずっと同じ一軒家に住んでいるそうです。41歳です。未婚。元看護士。三か月前、総合病院を辞めた。実家暮らし。40過ぎの無職の未婚女性に貸してくれる不動産物件なしのため実家暮らしをしている。印刷所の事務員の求職に申し込んだ。
高校生のとき、うさぎ(小雪という名前)を飼っていたことがある。
朔ヶ崎祐樹(さくがさき・ゆうき):怜花の弟。『劇団ホルス(ホルスは「太陽神」古代エジプトの男神)』の劇団員。30歳ぐらい。あまり自宅では泊まらない。劇団の稽古場(けいこば)とか知り合いの家を泊まり歩いている。ツイッターのフォロワーが2300人ぐらい。
怜花の母:とくに特徴なし。
怜花の父:今年いっぱいで定年退職する。
樋口淳(夫):怜花宅の隣人。半年前、空き家だった隣家を購入して居住開始。フォトグラファー
樋口妻:猫を飼っている。WEBデザイナー。挙動不審。浮気しているんじゃないかと読者に思わせるような出だしです。(違っていました)51歳ぐらい。
ルナ:樋口宅の飼い猫。白い猫
神城龍(かみしろ・りゅう):52歳。28歳のとき劇団ホルスを立ち上げた同劇団の主宰者(しゅさいしゃ。中心人物。まとめる人)11年前に離婚した。高校生の息子と同居している。シングルファーザー
杉浦:看護師だった時の主人公の部下女性看護師。看護師経験三年目。プリセプター制度(先輩が後輩をマンツーマンで指導する)の先輩看護師役を務める。
近野(こんの):杉浦から教えられる後輩看護師。新人
和恵(かずえ):主人公の同僚看護師
いい出だしです。
『人のために役に立ちたいと、ずっとそう思ってきたけれど、「人」とはいったい誰のことなんだろう。』
これから始まるのは、じっくり読ませる文章でしょう。
パンプス:婦人向けの革靴。甲の部分が広い。
急な旅行だから、家の飼い猫ルナを祐樹に預けるという隣家の樋口夫人です。(旅行は急にはしません。親族の葬儀ぐらいです)
ポッドキャスト:アマゾンミュージック。ネット上で、音声・動画を公開する。この物語では『ツキない話 タケトリ・オキナ(秘密の人物として書かれています。推理小説的です) 毎日午前七時に10分間アップされている。ラジオのような無料コンテンツ 話の素材は「竹取物語」 月の通り道を「白道(はくどう)」と呼ぶなどの話が紹介される。出だしは「かぐや姫は元気かな」 月は年に3.8センチ地球から遠ざかっている……』
いま21ページ付近にいます。
しみじみとした雰囲気がいい感じの作品です。
(つづく)
チュール:ねこのおやつ。水分を含んだペースト状の食べ物
パウチ:フィルムでできた小袋
『虹の橋を渡る』:猫や犬が天国に行くことの表現。宮沢賢治作品『銀河鉄道の夜』を思い出しました。わたしのかすかな記憶では、同作品では、水難事故(タイタニック号氷山ぶつかり沈没のイメージ)の死者たちの善良な霊が、夜空を飛ぶ蒸気機関車に乗って、天の川(あまのがわ。三途の川。さんずのかわのたとえ)を渡って、あの世(天国)へ行くのです。
ツイート:書き込みの投稿
リツイート:自分はツイッターというものをやらないのでわからないのですが、もう一回表示することのようです。
リプライ:返信すること。
ラスタ:ハンドメイドの通販サイト(この物語の中の設定のようです)
朔(さく):ラスタで見つけた指輪の名称。作家の名前が『mina』1800円
紗がかかる(しゃがかかる):ぼんやりしている。陰りが(かげり)がある。
いいなあと思った文章です。
『……濡れた衣服を洗濯カゴに入れるためだろう。そこに放り込んでおけば自動的にきれいになると思っていることが腹立たしい』
この話の設定には無理があります。
ふだんから実家にいない31歳の独身男に隣家の奥さんが、自分の旅行不在中の数日間、飼い猫のルナを預けるという設定です。
主人公の朔ヶ崎怜花(さくがさき・れいか)について、退職してしまいましたが、看護師長への昇進話があったことが書いてあります。結果的には、ぽしゃっています。退職のきっかけのひとつでしょう。
再就職話として、元看護士を事務職で使うのは雇い主としては、使いづらい。(やはり、不採用でした)看護師資格がある人は、看護師を続けたほうがいい。(その方向へ向かうようです)
お話は、平面的です。
ストーリーを楽しむよりも、語り手である主人公の心理の動きを読む小説です。
主人公は看護して働いていて、部下への指導の面で落ち度があったのですが、根はいい人です。
たいていの労働者は、賃金と休みのことしか考えていません。
主人公はそんなことはありません。
『朔(さく)(月における新月の意味があるそうです)(ブラックムーンストーンというものでつくってある)』という指輪が、ストレス社会で生きる自分へのご褒美(ごほうび)になる。
9号:指輪のサイズ。4センチ9ミリ
もうひとつ良かった表現です。
『わ・た・し・は。』
『生活をリセットする』
推理小説のような運びです。
ふーむ。思考を楽しむ文章です。
生活臭(せいかつしゅう。暮らしぶりがただよってくる日常生活の雰囲気がありません)
『二章 レゴリス』
しみじみとくるいい話でした。
レゴリスとは…… あとから書きます。
青森県に実家がある『僕』のひとり語りです。
僕(本田。芸名が『ポン重太郎』解散した漫才のコンビ名が『ポンサク』):宅配便会社ミツバ急便で契約社員として働いている。正社員ではない。軽自動車で配達をしている。
22歳のときに地元の大学を卒業した。地元の信用金庫の就職内定を断って、お笑い芸人になりたくて青森県から東京に出てきて8年、今は30歳になったけれど、芸人としては売れないまま、お笑いの世界にかろうじてしがみついている。
お笑い芸人養成所で出会った男とコンビを組んだが、相手がほかの道に行くと言って、お笑い界を去った。以降、ひとりでお笑いの活動をしているが、売れない。
てっちゃん:主人公の同級生。大学生の頃、故郷である地元で、主人公とコンビを組んでいた。『ゴエモンズ』がコンビ名だった。てっちゃんは、現在、地元にある公立中学校で教師をしている。
夜風(よかぜ):主人公のツイッターのフォロワーのアカウント名。人物不詳。性別・年齢・職業不明だが、主人公にとっては心の支えになっている存在。『いいね』をつけてくれる。夜風もツイッターをしているが、フォロワーはだれもいない。
恵里佳(えりか):主人公の妹。青森県にある実家の近くに居住。29歳。既婚。福祉施設勤務
吉沢:企画会社の社長
以降、ツイッターのことなんかが書いてあります。
今は9月。
洋画『ローマの休日』:今の若い人は観るのだろうか。王女と新聞記者のふたりが乗っていたスクーターがベスパ(イタリア語で「スズメバチ」、すずめはイタリア語で「パッセロ」)
黒歴史:暗い過去。恥ずかしい。なかったことにしたい。
東京生まれの人と地方生まれの人の気持ちの表現が出てきます。
地方から出てくる人は『志(こころざし)』が高いと思います。
レゴリス:月の表面にある細かい砂。この砂のおかげで、月が美しく見える。太陽光を四方八方(しほうはっぽう)にはねかえす。
主人公の父親の還暦祝い(60歳)がある。
『月は昔エンタメだった』もいい表現です。エンターテインメント(人々の心を楽しませるもの)
太古の昔、人々は白く輝く月を見上げる。日々、月の形は変化していく。神秘的な光景だったことでしょう。そして、月の周りには満点の星が広がっているのです。
中途半端な自分がみっともない。(主人公の気持ち)
心やさしいご両親がいます。『帰ってこなくてもいいし、帰ってきてもいいよ……』
伏線が『靴づれ』です。なるほどという気持ちになります。うまい!
月の話です。見えない新月(しんげつ。地球から月が見えない)に願いとか、祈りを立てる。(太古の昔から)しみじみと味わいが心に広がる作品です。
文中にある解釈が素敵です。『……月って、願いよりも祈りがふさわしいと思うんです……だけど祈りは、なすすべのないことにただ静かに想いを込めることなんじゃないかな』
月は人を見守ってくれている。
心の中にある自分だけの信仰です。
さわやかな読後感があります。
『三章 お天道様(おてんとうさま。太陽のこと)』
味わいのある作品が続きます。
こちらの作品は、嫁いだ娘を新月にたとえて、お父上(おちちうえ)が娘を思うせつない気持ちを表現してありました。
夫 高羽:自営自動二輪(バイク)の整備工場経営 56歳 東京のはずれに居住
妻 千代子:主婦
長女 亜弥(あや):24歳 大卒社会人二年目で、できちゃった結婚になる。結婚式はしない。夫は大学の同級生
長女の夫 内川信彦:大手電機メーカーのSE(システムエンジニア) 勤務地は福岡県内 夫の高羽は最初、娘のだんなになる内川のことを『知らん男』と表現する。
『俺』という高羽のひとり語り一人称で話は進んでいきます。
四十歳のときに自動車工場を辞めて独立した。
二輪車が好き。二輪専門の自動車工場を自営している。
これまでの章で登場してきた人物もからみます。ただしその姿は現れませんが。この本の素材である『新月(しんげつ。姿は見えないけれど確かにそこに存在している)』のようです。
ノートパソコンとかアイパッドのことが書いてあります。
熊じいさんは、10年間使い続けていたノートパソコンの動きが不安定になったので、先日新しいノートパソコンを電気店で買ってきました。
いろいろ昔とは変わっていて驚かされました。
今は、大きな画面のノートパソコンは少ない。SDカードのスロット(入れるところ)はないのが普通。パソコンのハードディスクにDドライブはない。クラウドに保存するのが当たりまえ。どんどん自動的に保存されていくシステムです。
最初はとまどいましたが、慣れてきました。
こちらの小説を読むと、ノートパソコンよりも指でタッチするタブレットのほうが今は主流のようです。ちょっと年寄りにはつらい。なんとか新しい技術ややり方についていきたいという気持ちがありますが、目はかすみ、脳みその働きも低下してきています。
125ページの表現がなかなかいい。
以下概略としてですが、昔から人は太陽と月をペアとしてとらえて、いろいろな思いをつくっていた。太陽が父なるもの、月が母なるものという位置づけをした。太陽は男、月は女(これはこれで男女差別になるのかも)
このあと131ページで、太陽は父、月は母というたとえばなしがあります。(うまいなあ)
父親から見て不本意な男に嫁いだ娘を『月』として心配する父親の愛情があります。
されど、娘はもうその不本意な男の手にあるのです。
そんな屈折した父親の気持ちが洗われる出来事があります。
148ページにある『無言の心遣い(こころづかい)』という表現が光っています。
ぶきようだけれど、心がやさしい人がいます。
伏線として『熊みたい』があります。ていねいにつくってあります。
156ページにある『月のキャッチボール』は、娘を月にたとえてあると思うのですが、ピンときませんでした。
『四章 ウミガメ』
8月が18歳の誕生日である高校三年生女子高生の話です。母ひとり子ひとりの母子家庭です。
中学一年のときに両親が離婚して、名前が『村田那智(むらた・なち)』から『逢坂那智(あいさか・なち)』に変わっています。父親は女をつくって家を出て行きました。
女子高生の愛するものが、なんだかんだあってようやく買ったスクーターです。(買ったときは、中古でボロボロで泥で汚れていた。車種は「ベスパ(74ページに記事がありました)」)
スクーターに自分でつけた愛称が『夜風』です。
女子高生は孤独な毎日を送っています。高校へ行っても友だちはいません。
神城仁(かみしろ・じん):逢坂那智のクラスメイト。母親が切り絵作家
こちらの四章で、これまでの章に出ていた人物とか話の展開がつながっていきます。じょうずな構成です。感心しました。
出だしの一行目がいい。
『さびしいと思わずにすむ一番の方法は、人と関わらないことだ……』
なかなか書ける文章ではありません。
さらに160ページで『明るいと思っていた場所で生まれてみたら、この世は真っ暗で、雨で……』(すごいなあ。こういう文章はなかなか書けない。この作品が本屋大賞を受賞しても良かった)
ジェンガ:木片でつくられたタワーをくずさないように、順番にひとつずつ木片を抜いていく。
このつながった短編集では『タケトリ・オキナ』が語るポッドキャストが、各章の主人公をつなげていきます。
女子高生の父親は女をつくって家を出て行き、離婚後の母親は恋人を変えながら歳をとっていく。女子高生は、こんな家は高校を卒業したら出て行ってやるといきまいている。
女子高生はさみしい。父親似の自分の顔を母親は嫌っている。女子高生はともだちがいない。
女子高生の心の支えは『スクーター(愛称:夜風)』です。
もうひとり、ともだちがいなさそうな男子高生が出てきます。意外に女子高生のそばにいた人物でした。彼もひとり親家庭です。
バイク通学はしてはいけない。バイトはしてはいけない。
世代と住む場所での意識の差を感じます。
わたしが高校生の時は、バイク通学は当然でした。
いなかゆえ、通学の足がありません。バス停までの距離が遠い。バスの本数がない。
先日、BSテレビで、去年の鎌倉時代を題材にした大河ドラマにも出た若手の俳優さんが、出身地紹介ということで、福岡県の山のふもとあたりにあるまちを旅する番組を観ました。自分の高校の同級生たちが住んでいるところでなつかしく拝見しました。同級生たちは毎日高校までバイクで通学していました。雨の日はカッパを着てバイクで高校まで来ていました。
アルバイトの制限というのは、生徒を守るという意味があるのでしょうが、どちらかといえば、事故があった時の、学校関係者たちの責任回避が目的ではなかろうか。
わたしは中学二年生の秋から高校を卒業するまで朝刊の新聞配達をしていました。母子家庭のこどもは働かないと、修学旅行の積立金や給食費、参考書や問題集を買うお金がないのです。
そんな話を就職したときに同期で採用された女の子に話をしたことがあります。その女の子は、自分は牛乳配達をしていたと言ったのでびっくりしました。その子も母子家庭でした。
女の子は、大卒の学歴よりもお金が欲しかった。自分が働いてもらった給料で、自分が着たい服を買いたかった。自分のお金で自分が食べたいものを買って食べたかったと言っていました。
この本に出てくる女子高生を本の中で見ていて思ったことです。
『自立心がないと仕事は続かない』
うまいなあと思わせてくれる文章表現です。
167ページ『ひとめ見て、この子だ、とわかった。思ったんじゃない。わかったんだ。』
男女の出会いがあります。
素敵な話がつくってあります。
両親が離婚した体験をもつ人にとって実感がわく作品です。
『……学校ってすごいよね、いろんなこと教えてくれて』(いい感じの表現です)
主人公女子高生のお父さんについてです。
そうか、お父さんはお母さんに束縛(そくばく。何かと命令や指示をされて、自分の思いどおりのことができない)される人生がイヤで家を出て行った。父は母に寄生されていた。
75ページにある『東緑地公園』が再登場しています。
読み終えました。
すごい。力強い作品に仕上がっています。
『五章 針金の光』
私:南沢睦子(みなみさわむつこ 「苗字(みょうじ)から minaと名乗る」)→結婚して「北島睦子」。ハンドメイドアクセサリー販売をしている。結婚して三年。25歳で結婚した。「ラスタ」というハンドメイド通販サイトに出店している。『ワイヤーアクセ』という工芸品の制作をしている。
剛志(つよし):minaの夫。ひとりっ子
剛志の母:息子夫婦の賃貸マンションから徒歩10分のところに住んでいる。
篠宮(しのみや):編集者。24歳女子。『グーグル・ポッドキャスト』の番組を配信する仕事をしている。
リリカ:切り紙作家。イギリスのアートコンクールで受賞歴あり。50歳手前のほっそりした女性
深川:隣町の町内会長
縁があります。つながりです。物語は、最終章です。
仕事場と日常生活を送る場所は分けたほうがいい。
夫婦仲がうまくいかないmiwaです。
『もうだめかもしれない。私たち夫婦は。』とあります。(その部分を読んで思ったことです。お互いになにかひとつでも尊敬できるところがあれば、ほかのことは許せるということはあります)
バングル:ブレスレット。留め具はない。
タイトルにもある「月が立つ」の意味があります。なかなかいい。
この本を買って読まない人にとっては、一生知ることもないであろう情報であることから、ここに記しておきます。
「月が立つ」は、「月の始まり」を指す。新月の状態です。(太陰暦において)新月が、一か月の始まりの日だった。「つきがたつ」という言葉がやがて「ついたち」に変化した。「一日(ついたち)」です。
これから、始まるのです。
そういうことかと腑に落ちました。(ふにおちる。納得する)
新月の夜に林がある。林の木々の一本一本が人間で、それぞれにつながりがあるのです。
そして、これから始まるものがある。
人は過ち(あやまち)を犯す。
ただし、再起はできる。
いつだって『今』が始まりなのです。めげなくていい。
(林は、竹林のイメージがあります。竹林に立つ竹は、土の下で、根っこは、お互いにつながっているのです)
(すごいなあ。こういうふうには書けません)
夫から、誕生日に欲しいものをたずねられて、妻は『ひとりの時間が欲しい』と答えています。
男性が女性を自分の所有物と思う男性の心もちがあります。まちがった考えです。
この世には、自分の世話をしてくれる人の悪口を言うことで自分の心を支える人がいます。
直りません(なおりません)。悪口を言うことをやめると、その人は死んでしまいます。生きていても死んでいるような状態になります。しかたがありません。しかたがないから悪口を聞くしかありません。
目薬とアロマオイルを間違えて目にさしてしまう主人公です。(そんなことがあるのだろうか。アロマオイルというものを自分は知らないので、似た容器に入っているのでしょう)
『救急医療相談』(そういうところ(ネットでの情報提供サイト)があるのか。初めて知りました)
そうか、タケトリ・オキナがだれなのか判明しました。その部分を読んで思ったことがあります。
先日自衛隊の隊員候補生が訓練中に小銃で上司と先輩に発砲する事件がありました。
小さなころに絵本をしっかり読んでいたら、あんな事件を起こすことにはならなかったと思うのです。
さきざき、ドラマか映画になってほしい作品です。
ていねいにつくられた作品です。
最初は関係なかったことが、(本人は知らないのですが、読者にはわかる)判明していくのです。月明かりに徐々に照らされてわかっていくような感覚があります。
すごいなあ。こんなふうには書けません。
『西の空の低いところに、二日目の月が見えた』
最後の一行(いちぎょう)も良かった。
『あの針金のような光は、これから確かに、ゆっくりと膨らんで(ふくらんで)いくのだ。』
読後に調べたら、以前この作者さんの作品で『お探し物は図書館まで』を読んだことがありました。
それから、わたしは、これから読む本を段ボール箱の中に並べてあって、そのなかに同作者の『赤と青とエスキース』がありました。わたしは、書評を読んで回っていて、評判が良かった作品はとりあえず取り寄せて、順番に読んでいます。まだ、先になると思いますが、その本の感想もいつか書くでしょう。
竹林の話が出てきます。タケトリ・オキナのつぶやきです。『竹林よりお送りしております』
朝、熊太郎じいさんが歩く散歩コースに、きれいな竹林があります。
最近の竹林のようすを写真にして、ここに落としておきます。
つゆどきの雨に濡れて、しっとりとした雰囲気をただよわせています。
小説『月の立つ林で』は、いい作品でした。
目次を見ると、五つ(いつつ)の章があります。
タイトルの『月が立つ』とはどういうことだろう。
五つの章には『月が立つ』はありません。
単純に考えると『月が昇る』です。
第一章:誰かの朔(さく? 人の名前らしい)
第二章:レゴリス(今はまだ、意味がわかりません)
第三章:お天道様(読みは「おてんとうさま」でしょう)
第四章:ウミガメ
第五章:針金の光
(読み終えて:群像劇でした。章ごとに主人公が変わります)
『一章 誰かの朔(さく)』
朔ヶ崎怜花(さくがさき・れいか):主人公女性。41年間ずっと同じ一軒家に住んでいるそうです。41歳です。未婚。元看護士。三か月前、総合病院を辞めた。実家暮らし。40過ぎの無職の未婚女性に貸してくれる不動産物件なしのため実家暮らしをしている。印刷所の事務員の求職に申し込んだ。
高校生のとき、うさぎ(小雪という名前)を飼っていたことがある。
朔ヶ崎祐樹(さくがさき・ゆうき):怜花の弟。『劇団ホルス(ホルスは「太陽神」古代エジプトの男神)』の劇団員。30歳ぐらい。あまり自宅では泊まらない。劇団の稽古場(けいこば)とか知り合いの家を泊まり歩いている。ツイッターのフォロワーが2300人ぐらい。
怜花の母:とくに特徴なし。
怜花の父:今年いっぱいで定年退職する。
樋口淳(夫):怜花宅の隣人。半年前、空き家だった隣家を購入して居住開始。フォトグラファー
樋口妻:猫を飼っている。WEBデザイナー。挙動不審。浮気しているんじゃないかと読者に思わせるような出だしです。(違っていました)51歳ぐらい。
ルナ:樋口宅の飼い猫。白い猫
神城龍(かみしろ・りゅう):52歳。28歳のとき劇団ホルスを立ち上げた同劇団の主宰者(しゅさいしゃ。中心人物。まとめる人)11年前に離婚した。高校生の息子と同居している。シングルファーザー
杉浦:看護師だった時の主人公の部下女性看護師。看護師経験三年目。プリセプター制度(先輩が後輩をマンツーマンで指導する)の先輩看護師役を務める。
近野(こんの):杉浦から教えられる後輩看護師。新人
和恵(かずえ):主人公の同僚看護師
いい出だしです。
『人のために役に立ちたいと、ずっとそう思ってきたけれど、「人」とはいったい誰のことなんだろう。』
これから始まるのは、じっくり読ませる文章でしょう。
パンプス:婦人向けの革靴。甲の部分が広い。
急な旅行だから、家の飼い猫ルナを祐樹に預けるという隣家の樋口夫人です。(旅行は急にはしません。親族の葬儀ぐらいです)
ポッドキャスト:アマゾンミュージック。ネット上で、音声・動画を公開する。この物語では『ツキない話 タケトリ・オキナ(秘密の人物として書かれています。推理小説的です) 毎日午前七時に10分間アップされている。ラジオのような無料コンテンツ 話の素材は「竹取物語」 月の通り道を「白道(はくどう)」と呼ぶなどの話が紹介される。出だしは「かぐや姫は元気かな」 月は年に3.8センチ地球から遠ざかっている……』
いま21ページ付近にいます。
しみじみとした雰囲気がいい感じの作品です。
(つづく)
チュール:ねこのおやつ。水分を含んだペースト状の食べ物
パウチ:フィルムでできた小袋
『虹の橋を渡る』:猫や犬が天国に行くことの表現。宮沢賢治作品『銀河鉄道の夜』を思い出しました。わたしのかすかな記憶では、同作品では、水難事故(タイタニック号氷山ぶつかり沈没のイメージ)の死者たちの善良な霊が、夜空を飛ぶ蒸気機関車に乗って、天の川(あまのがわ。三途の川。さんずのかわのたとえ)を渡って、あの世(天国)へ行くのです。
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リツイート:自分はツイッターというものをやらないのでわからないのですが、もう一回表示することのようです。
リプライ:返信すること。
ラスタ:ハンドメイドの通販サイト(この物語の中の設定のようです)
朔(さく):ラスタで見つけた指輪の名称。作家の名前が『mina』1800円
紗がかかる(しゃがかかる):ぼんやりしている。陰りが(かげり)がある。
いいなあと思った文章です。
『……濡れた衣服を洗濯カゴに入れるためだろう。そこに放り込んでおけば自動的にきれいになると思っていることが腹立たしい』
この話の設定には無理があります。
ふだんから実家にいない31歳の独身男に隣家の奥さんが、自分の旅行不在中の数日間、飼い猫のルナを預けるという設定です。
主人公の朔ヶ崎怜花(さくがさき・れいか)について、退職してしまいましたが、看護師長への昇進話があったことが書いてあります。結果的には、ぽしゃっています。退職のきっかけのひとつでしょう。
再就職話として、元看護士を事務職で使うのは雇い主としては、使いづらい。(やはり、不採用でした)看護師資格がある人は、看護師を続けたほうがいい。(その方向へ向かうようです)
お話は、平面的です。
ストーリーを楽しむよりも、語り手である主人公の心理の動きを読む小説です。
主人公は看護して働いていて、部下への指導の面で落ち度があったのですが、根はいい人です。
たいていの労働者は、賃金と休みのことしか考えていません。
主人公はそんなことはありません。
『朔(さく)(月における新月の意味があるそうです)(ブラックムーンストーンというものでつくってある)』という指輪が、ストレス社会で生きる自分へのご褒美(ごほうび)になる。
9号:指輪のサイズ。4センチ9ミリ
もうひとつ良かった表現です。
『わ・た・し・は。』
『生活をリセットする』
推理小説のような運びです。
ふーむ。思考を楽しむ文章です。
生活臭(せいかつしゅう。暮らしぶりがただよってくる日常生活の雰囲気がありません)
『二章 レゴリス』
しみじみとくるいい話でした。
レゴリスとは…… あとから書きます。
青森県に実家がある『僕』のひとり語りです。
僕(本田。芸名が『ポン重太郎』解散した漫才のコンビ名が『ポンサク』):宅配便会社ミツバ急便で契約社員として働いている。正社員ではない。軽自動車で配達をしている。
22歳のときに地元の大学を卒業した。地元の信用金庫の就職内定を断って、お笑い芸人になりたくて青森県から東京に出てきて8年、今は30歳になったけれど、芸人としては売れないまま、お笑いの世界にかろうじてしがみついている。
お笑い芸人養成所で出会った男とコンビを組んだが、相手がほかの道に行くと言って、お笑い界を去った。以降、ひとりでお笑いの活動をしているが、売れない。
てっちゃん:主人公の同級生。大学生の頃、故郷である地元で、主人公とコンビを組んでいた。『ゴエモンズ』がコンビ名だった。てっちゃんは、現在、地元にある公立中学校で教師をしている。
夜風(よかぜ):主人公のツイッターのフォロワーのアカウント名。人物不詳。性別・年齢・職業不明だが、主人公にとっては心の支えになっている存在。『いいね』をつけてくれる。夜風もツイッターをしているが、フォロワーはだれもいない。
恵里佳(えりか):主人公の妹。青森県にある実家の近くに居住。29歳。既婚。福祉施設勤務
吉沢:企画会社の社長
以降、ツイッターのことなんかが書いてあります。
今は9月。
洋画『ローマの休日』:今の若い人は観るのだろうか。王女と新聞記者のふたりが乗っていたスクーターがベスパ(イタリア語で「スズメバチ」、すずめはイタリア語で「パッセロ」)
黒歴史:暗い過去。恥ずかしい。なかったことにしたい。
東京生まれの人と地方生まれの人の気持ちの表現が出てきます。
地方から出てくる人は『志(こころざし)』が高いと思います。
レゴリス:月の表面にある細かい砂。この砂のおかげで、月が美しく見える。太陽光を四方八方(しほうはっぽう)にはねかえす。
主人公の父親の還暦祝い(60歳)がある。
『月は昔エンタメだった』もいい表現です。エンターテインメント(人々の心を楽しませるもの)
太古の昔、人々は白く輝く月を見上げる。日々、月の形は変化していく。神秘的な光景だったことでしょう。そして、月の周りには満点の星が広がっているのです。
中途半端な自分がみっともない。(主人公の気持ち)
心やさしいご両親がいます。『帰ってこなくてもいいし、帰ってきてもいいよ……』
伏線が『靴づれ』です。なるほどという気持ちになります。うまい!
月の話です。見えない新月(しんげつ。地球から月が見えない)に願いとか、祈りを立てる。(太古の昔から)しみじみと味わいが心に広がる作品です。
文中にある解釈が素敵です。『……月って、願いよりも祈りがふさわしいと思うんです……だけど祈りは、なすすべのないことにただ静かに想いを込めることなんじゃないかな』
月は人を見守ってくれている。
心の中にある自分だけの信仰です。
さわやかな読後感があります。
『三章 お天道様(おてんとうさま。太陽のこと)』
味わいのある作品が続きます。
こちらの作品は、嫁いだ娘を新月にたとえて、お父上(おちちうえ)が娘を思うせつない気持ちを表現してありました。
夫 高羽:自営自動二輪(バイク)の整備工場経営 56歳 東京のはずれに居住
妻 千代子:主婦
長女 亜弥(あや):24歳 大卒社会人二年目で、できちゃった結婚になる。結婚式はしない。夫は大学の同級生
長女の夫 内川信彦:大手電機メーカーのSE(システムエンジニア) 勤務地は福岡県内 夫の高羽は最初、娘のだんなになる内川のことを『知らん男』と表現する。
『俺』という高羽のひとり語り一人称で話は進んでいきます。
四十歳のときに自動車工場を辞めて独立した。
二輪車が好き。二輪専門の自動車工場を自営している。
これまでの章で登場してきた人物もからみます。ただしその姿は現れませんが。この本の素材である『新月(しんげつ。姿は見えないけれど確かにそこに存在している)』のようです。
ノートパソコンとかアイパッドのことが書いてあります。
熊じいさんは、10年間使い続けていたノートパソコンの動きが不安定になったので、先日新しいノートパソコンを電気店で買ってきました。
いろいろ昔とは変わっていて驚かされました。
今は、大きな画面のノートパソコンは少ない。SDカードのスロット(入れるところ)はないのが普通。パソコンのハードディスクにDドライブはない。クラウドに保存するのが当たりまえ。どんどん自動的に保存されていくシステムです。
最初はとまどいましたが、慣れてきました。
こちらの小説を読むと、ノートパソコンよりも指でタッチするタブレットのほうが今は主流のようです。ちょっと年寄りにはつらい。なんとか新しい技術ややり方についていきたいという気持ちがありますが、目はかすみ、脳みその働きも低下してきています。
125ページの表現がなかなかいい。
以下概略としてですが、昔から人は太陽と月をペアとしてとらえて、いろいろな思いをつくっていた。太陽が父なるもの、月が母なるものという位置づけをした。太陽は男、月は女(これはこれで男女差別になるのかも)
このあと131ページで、太陽は父、月は母というたとえばなしがあります。(うまいなあ)
父親から見て不本意な男に嫁いだ娘を『月』として心配する父親の愛情があります。
されど、娘はもうその不本意な男の手にあるのです。
そんな屈折した父親の気持ちが洗われる出来事があります。
148ページにある『無言の心遣い(こころづかい)』という表現が光っています。
ぶきようだけれど、心がやさしい人がいます。
伏線として『熊みたい』があります。ていねいにつくってあります。
156ページにある『月のキャッチボール』は、娘を月にたとえてあると思うのですが、ピンときませんでした。
『四章 ウミガメ』
8月が18歳の誕生日である高校三年生女子高生の話です。母ひとり子ひとりの母子家庭です。
中学一年のときに両親が離婚して、名前が『村田那智(むらた・なち)』から『逢坂那智(あいさか・なち)』に変わっています。父親は女をつくって家を出て行きました。
女子高生の愛するものが、なんだかんだあってようやく買ったスクーターです。(買ったときは、中古でボロボロで泥で汚れていた。車種は「ベスパ(74ページに記事がありました)」)
スクーターに自分でつけた愛称が『夜風』です。
女子高生は孤独な毎日を送っています。高校へ行っても友だちはいません。
神城仁(かみしろ・じん):逢坂那智のクラスメイト。母親が切り絵作家
こちらの四章で、これまでの章に出ていた人物とか話の展開がつながっていきます。じょうずな構成です。感心しました。
出だしの一行目がいい。
『さびしいと思わずにすむ一番の方法は、人と関わらないことだ……』
なかなか書ける文章ではありません。
さらに160ページで『明るいと思っていた場所で生まれてみたら、この世は真っ暗で、雨で……』(すごいなあ。こういう文章はなかなか書けない。この作品が本屋大賞を受賞しても良かった)
ジェンガ:木片でつくられたタワーをくずさないように、順番にひとつずつ木片を抜いていく。
このつながった短編集では『タケトリ・オキナ』が語るポッドキャストが、各章の主人公をつなげていきます。
女子高生の父親は女をつくって家を出て行き、離婚後の母親は恋人を変えながら歳をとっていく。女子高生は、こんな家は高校を卒業したら出て行ってやるといきまいている。
女子高生はさみしい。父親似の自分の顔を母親は嫌っている。女子高生はともだちがいない。
女子高生の心の支えは『スクーター(愛称:夜風)』です。
もうひとり、ともだちがいなさそうな男子高生が出てきます。意外に女子高生のそばにいた人物でした。彼もひとり親家庭です。
バイク通学はしてはいけない。バイトはしてはいけない。
世代と住む場所での意識の差を感じます。
わたしが高校生の時は、バイク通学は当然でした。
いなかゆえ、通学の足がありません。バス停までの距離が遠い。バスの本数がない。
先日、BSテレビで、去年の鎌倉時代を題材にした大河ドラマにも出た若手の俳優さんが、出身地紹介ということで、福岡県の山のふもとあたりにあるまちを旅する番組を観ました。自分の高校の同級生たちが住んでいるところでなつかしく拝見しました。同級生たちは毎日高校までバイクで通学していました。雨の日はカッパを着てバイクで高校まで来ていました。
アルバイトの制限というのは、生徒を守るという意味があるのでしょうが、どちらかといえば、事故があった時の、学校関係者たちの責任回避が目的ではなかろうか。
わたしは中学二年生の秋から高校を卒業するまで朝刊の新聞配達をしていました。母子家庭のこどもは働かないと、修学旅行の積立金や給食費、参考書や問題集を買うお金がないのです。
そんな話を就職したときに同期で採用された女の子に話をしたことがあります。その女の子は、自分は牛乳配達をしていたと言ったのでびっくりしました。その子も母子家庭でした。
女の子は、大卒の学歴よりもお金が欲しかった。自分が働いてもらった給料で、自分が着たい服を買いたかった。自分のお金で自分が食べたいものを買って食べたかったと言っていました。
この本に出てくる女子高生を本の中で見ていて思ったことです。
『自立心がないと仕事は続かない』
うまいなあと思わせてくれる文章表現です。
167ページ『ひとめ見て、この子だ、とわかった。思ったんじゃない。わかったんだ。』
男女の出会いがあります。
素敵な話がつくってあります。
両親が離婚した体験をもつ人にとって実感がわく作品です。
『……学校ってすごいよね、いろんなこと教えてくれて』(いい感じの表現です)
主人公女子高生のお父さんについてです。
そうか、お父さんはお母さんに束縛(そくばく。何かと命令や指示をされて、自分の思いどおりのことができない)される人生がイヤで家を出て行った。父は母に寄生されていた。
75ページにある『東緑地公園』が再登場しています。
読み終えました。
すごい。力強い作品に仕上がっています。
『五章 針金の光』
私:南沢睦子(みなみさわむつこ 「苗字(みょうじ)から minaと名乗る」)→結婚して「北島睦子」。ハンドメイドアクセサリー販売をしている。結婚して三年。25歳で結婚した。「ラスタ」というハンドメイド通販サイトに出店している。『ワイヤーアクセ』という工芸品の制作をしている。
剛志(つよし):minaの夫。ひとりっ子
剛志の母:息子夫婦の賃貸マンションから徒歩10分のところに住んでいる。
篠宮(しのみや):編集者。24歳女子。『グーグル・ポッドキャスト』の番組を配信する仕事をしている。
リリカ:切り紙作家。イギリスのアートコンクールで受賞歴あり。50歳手前のほっそりした女性
深川:隣町の町内会長
縁があります。つながりです。物語は、最終章です。
仕事場と日常生活を送る場所は分けたほうがいい。
夫婦仲がうまくいかないmiwaです。
『もうだめかもしれない。私たち夫婦は。』とあります。(その部分を読んで思ったことです。お互いになにかひとつでも尊敬できるところがあれば、ほかのことは許せるということはあります)
バングル:ブレスレット。留め具はない。
タイトルにもある「月が立つ」の意味があります。なかなかいい。
この本を買って読まない人にとっては、一生知ることもないであろう情報であることから、ここに記しておきます。
「月が立つ」は、「月の始まり」を指す。新月の状態です。(太陰暦において)新月が、一か月の始まりの日だった。「つきがたつ」という言葉がやがて「ついたち」に変化した。「一日(ついたち)」です。
これから、始まるのです。
そういうことかと腑に落ちました。(ふにおちる。納得する)
新月の夜に林がある。林の木々の一本一本が人間で、それぞれにつながりがあるのです。
そして、これから始まるものがある。
人は過ち(あやまち)を犯す。
ただし、再起はできる。
いつだって『今』が始まりなのです。めげなくていい。
(林は、竹林のイメージがあります。竹林に立つ竹は、土の下で、根っこは、お互いにつながっているのです)
(すごいなあ。こういうふうには書けません)
夫から、誕生日に欲しいものをたずねられて、妻は『ひとりの時間が欲しい』と答えています。
男性が女性を自分の所有物と思う男性の心もちがあります。まちがった考えです。
この世には、自分の世話をしてくれる人の悪口を言うことで自分の心を支える人がいます。
直りません(なおりません)。悪口を言うことをやめると、その人は死んでしまいます。生きていても死んでいるような状態になります。しかたがありません。しかたがないから悪口を聞くしかありません。
目薬とアロマオイルを間違えて目にさしてしまう主人公です。(そんなことがあるのだろうか。アロマオイルというものを自分は知らないので、似た容器に入っているのでしょう)
『救急医療相談』(そういうところ(ネットでの情報提供サイト)があるのか。初めて知りました)
そうか、タケトリ・オキナがだれなのか判明しました。その部分を読んで思ったことがあります。
先日自衛隊の隊員候補生が訓練中に小銃で上司と先輩に発砲する事件がありました。
小さなころに絵本をしっかり読んでいたら、あんな事件を起こすことにはならなかったと思うのです。
さきざき、ドラマか映画になってほしい作品です。
ていねいにつくられた作品です。
最初は関係なかったことが、(本人は知らないのですが、読者にはわかる)判明していくのです。月明かりに徐々に照らされてわかっていくような感覚があります。
すごいなあ。こんなふうには書けません。
『西の空の低いところに、二日目の月が見えた』
最後の一行(いちぎょう)も良かった。
『あの針金のような光は、これから確かに、ゆっくりと膨らんで(ふくらんで)いくのだ。』
読後に調べたら、以前この作者さんの作品で『お探し物は図書館まで』を読んだことがありました。
それから、わたしは、これから読む本を段ボール箱の中に並べてあって、そのなかに同作者の『赤と青とエスキース』がありました。わたしは、書評を読んで回っていて、評判が良かった作品はとりあえず取り寄せて、順番に読んでいます。まだ、先になると思いますが、その本の感想もいつか書くでしょう。
竹林の話が出てきます。タケトリ・オキナのつぶやきです。『竹林よりお送りしております』
朝、熊太郎じいさんが歩く散歩コースに、きれいな竹林があります。
最近の竹林のようすを写真にして、ここに落としておきます。
つゆどきの雨に濡れて、しっとりとした雰囲気をただよわせています。
小説『月の立つ林で』は、いい作品でした。
2023年06月21日
酔うと化け物になる父がつらい 菊池真理子
酔うと化け物になる父がつらい 菊池真理子 秋田書店
著者を主人公にしたマンガ本です。
うちの父親もお酒のみだったので家族が苦労しました。
わたしが中学のときにお酒が原因で内臓を壊して亡くなりましたが、後年、老いた母親と『もし生きていたらたいへんな目にあっていた』とふたりでしみじみ話したことを、このマンガストーリーを読みながら思い出しました。
お酒のみの親のこどもに生まれた苦悩は、体験者にしかわかりません。
お酒のみと結婚すると、しなくてもいい苦労を体験することになります。
こういう男性像って、けっこう現実にいます。
仕事はしっかりやりたいタイプ(人からは良く見られたい。だからまわりの人にはチヤホヤされる。ときには、他人のいいように利用されるけれど本人はわかっていない)
仕事仲間との人間関係は良好(そのぶん家族は犠牲(ぎせい)になる)
仕事仲間との付き合いが大事(主人公の父親は、休日は仲間とソフトボール、マージャン遊びをします。当然、付き合いにアルコールもからみます)
そして、安易に保証人になってだまされる。
へんな話ですが、お酒のみの親をもって、メリットがあったこともあります。
成人して社会に出て働き出して、そこにもやっぱりお酒のみがいるのです。
職場の人や顧客(こきゃく)にもアル中みたいな人がいます。
自分は酒のみを怖いと思ったことがありません。酒のみの扱いに、こどものころからの体験で慣れていたのです。相手が酔っ払って大声を出して暴れて威嚇してきても(いかくしてきても。こわがらせて言うことをきかせようと要求してきても)、どうってことありませんでした。
自分が若かったこともあって、いざ取っ組み合いのケンカになっても、酔っ払ったおじさん相手なら、俊敏に動けてみなぎる腕力がある自分のほうが強いわけで、相手に勝つ自信が十分ありました。酔っ払い慣れして精神的にもずぶとかったので、メンタルの病(やまい)になることもありませんでした。その点は良かったと思います。
(つづく)
マンガによるメッセージ本です。
タイトル『酔うと化け物になる父がつらい』から発想する別の本があります。『母が重くてたまらない』です。10年ぐらい前に読んだ時の感想コメントが残っていました。こちらのマンガの内容と共通する部分もあります。
『母が重くてたまらない 信田さよ子(のぶたさよこ) 春秋社』(当時の読書メモの一部です)
読みやすい本です。読み終えるまでに1日かかりません。読み始めで、作者の意見に同感します。こどもにとって親は重荷です。こどもに自分の面倒をみてもらうことを期待しないでほしい。こどもにあれこれ干渉しないでほしい。何か趣味でももって、こどものこと以外のことに没頭して欲しい。こどもは、親が思うような進路をたどってはくれません。こどもの人生はこどもの人生であり、親の人生ではないのです。
本に書かれてあることは、表面に出てこないだけで、どこの家庭でもあることなのでしょう。こどもに重くのしかかってくる母親は暇なのでしょう。主婦は実はひきこもりという解釈は新鮮でした。
自分のことは自分でやる。こどもに依存しない。親に依存しない。親も子も自立する。わたしはこの本を読んで、慰められました。今まで親孝行とは反対のことをしてきたのですが、いつも罪悪感に苦しんでいました。しかしそれは間違っていなかったことをこの本は示してくれました。
さて、マンガに戻ります。
父親はお酒のみ、母親は宗教活動にのめりこみです。かわいそうな姉妹がいます。こどもにとって、苦しいパターンの生活環境です。
姉が主人公ですが、主人公が成長して、付き合う男性もアルコール依存症のDV男(ふだんはおとなしくてまじめそうだが、裏では暴力で女性を支配する男性)です。悲劇です。学歴があって一流企業で働いていても異常な人格をもつ男がいます。
お酒のみの人は、自分が何をやっても許してもらえる。許されると勘違いしています。許されません。アルコールが抜けるとケロッとしています。なにもなかったことにしてしまいます。
意志薄弱なのです。がまんができない。物事を最後までやり遂げることができない。決断も判断もできない。反対に相手や周囲に向かってクレーム(文句もんく。不平不満。要求)はいくらでも出せる。愚痴話(ぐちばなし)が多い。
『父にとって母は、愛する女ではなく、召使い、酔った時の介護人(だった)』(よくあるパターンです)
母は自死してしまいました。
自分が成人してから知ったことが、アルコールを大量に摂取する人の死に方です。
内臓がぐちゃぐちゃになって、体の働きが正常に機能していかなくなるイメージがあります。
おしっこ・うんこのコントロールが自分でできなくなって、オムツを付けて、糞尿(ふんにょう)まみれになって死んでいく。(このマンガの本を読んでいたら、最後のほうでそのようなシーンに出会いました。やっぱり……)
そこまでしてアルコールを飲む理由は、心の病(やまい)なのでしょう。依存症です。
主人公の父も物語の最後では全身がんのような状態で亡くなります。食道にも肺にも脳みそにもがんができます。ステージ4の余命宣告です。あと半年の命です。まだ70歳手前の年齢です。(父親には借金がありますから死後『相続放棄』の手続きをしなければなりません。しないとこどもは借金取りに追いかけられます。負(ふ)の相続財産です。なかなかたいへんです)
父親は、年金保険料も納めていません。今さらですが…… 今まで、父親は、なにをしていたのだろう。無年金者の老後は、アウトです。生活保護しか思い浮かびません。
自死で母親を亡くした長女の主人公は、父子家庭において、母親の役割を果たしていかなければなりません。
これが、男の兄弟だと、長男が父親代わりを務めなければなりません。長男は、ぐれる(不良になる)わけにはいかないのです。男でも家事はやります。料理もチャレンジします。
読んでいると気の毒で、こんな父親は切り捨てればいいと思ってしまいます。
主人公が二重人格になっていきます。外面(そとづら)はいい。家では暗い人間です。(そのうち、父親に対して暴力を振るい始めます。DVドメスティックバイオレンス、父親虐待です)
親がアル中というこども体験のある人はけっこう多そうです。
そういう体験をした人は、おとなになってから、アルコールは飲まないか、たしなむ程度なのでしょう。あるいは逆に遺伝でこどももやっぱりアルコール漬けになることもありそうです。
ナルシスト:自分が好き。自分を愛する。自分は立派な人間だとうぬぼれる。自信たっぷり。
父親のようすを見ていると、世話をするほうは、自分はもうこの世にいたくないと思ってもおかしくありません。父親は、人間のクズです。
父親の友人にあんがいいい人もいます。いい人にも苦労体験があるのでしょう。
理屈ではなく、感情で付き合う人間関係です。
父親は若いころ小説家志望だったらしい。
破滅型の小説家ですな。
不思議なのは、主人公の祖父母とか叔父叔母(おじおば)、いとこは出てきません。
酒乱の父親と宗教のめりこみの母親だと、親戚は距離をおくのかもしれません。
人に優しく(やさしく)されたことがない人は、人に優しくできないということはあります。自分のことは自分でやってきた人です。だから、自分のことは自分でやれ!が思考の基本です。
暗い話です。
救いがありません。
長女を堕胎(だたい)する話があった。(父にとって主人公は)望まれて産まれてきたこどもではない。
ただ、主人公にも大きな課題があります。
なんだろう。主人公に毅然(きぜん。はっきりした)とした意思決定の態度がありません。
まわりの人に、かわいそうなわたしをかわいそうと言ってほしいという気持ちはあります。
主人公は、意思表示をしない人です。
察して(さっして)ほしい人です。
それでは、自立・自活は、無理です。
依存とか寄生によって生活してく人の日常生活です。
主人公は頭がおかしいのではないかとすら思えてきます。
反発しなければならない相手(アル中の父親、DV(暴力をふるう)恋人みたいな男性)にしっぽを振っています。
本の中では主人公のことを『学習性無気力』と表現します。苦しみに耐えすぎて感覚がマヒしています。
自分の思いどおりにならないと、机をたたいたり、イスをけったりする人がいます。まともな人ではありません。距離を置いたほうがいい。
父親は、右半身まひになります。そうなるまで車の運転をしていました。(ひどい。犠牲者が出なくてよかった)
言うのが遅い。
『あんたは、こどもにうらまれて死んでいくんだ!』
友人で、法律事務所で働いていたことがあるミーちゃんという人柄のいい女性がいます。きっと主人公と同じような苦労をされた体験があるから心優しいのだと思います。
最後のほうのマンガの絵は、感情的になりすぎていて、別の本のようで違和感がありました。(しっくりこなかった)
著者を主人公にしたマンガ本です。
うちの父親もお酒のみだったので家族が苦労しました。
わたしが中学のときにお酒が原因で内臓を壊して亡くなりましたが、後年、老いた母親と『もし生きていたらたいへんな目にあっていた』とふたりでしみじみ話したことを、このマンガストーリーを読みながら思い出しました。
お酒のみの親のこどもに生まれた苦悩は、体験者にしかわかりません。
お酒のみと結婚すると、しなくてもいい苦労を体験することになります。
こういう男性像って、けっこう現実にいます。
仕事はしっかりやりたいタイプ(人からは良く見られたい。だからまわりの人にはチヤホヤされる。ときには、他人のいいように利用されるけれど本人はわかっていない)
仕事仲間との人間関係は良好(そのぶん家族は犠牲(ぎせい)になる)
仕事仲間との付き合いが大事(主人公の父親は、休日は仲間とソフトボール、マージャン遊びをします。当然、付き合いにアルコールもからみます)
そして、安易に保証人になってだまされる。
へんな話ですが、お酒のみの親をもって、メリットがあったこともあります。
成人して社会に出て働き出して、そこにもやっぱりお酒のみがいるのです。
職場の人や顧客(こきゃく)にもアル中みたいな人がいます。
自分は酒のみを怖いと思ったことがありません。酒のみの扱いに、こどものころからの体験で慣れていたのです。相手が酔っ払って大声を出して暴れて威嚇してきても(いかくしてきても。こわがらせて言うことをきかせようと要求してきても)、どうってことありませんでした。
自分が若かったこともあって、いざ取っ組み合いのケンカになっても、酔っ払ったおじさん相手なら、俊敏に動けてみなぎる腕力がある自分のほうが強いわけで、相手に勝つ自信が十分ありました。酔っ払い慣れして精神的にもずぶとかったので、メンタルの病(やまい)になることもありませんでした。その点は良かったと思います。
(つづく)
マンガによるメッセージ本です。
タイトル『酔うと化け物になる父がつらい』から発想する別の本があります。『母が重くてたまらない』です。10年ぐらい前に読んだ時の感想コメントが残っていました。こちらのマンガの内容と共通する部分もあります。
『母が重くてたまらない 信田さよ子(のぶたさよこ) 春秋社』(当時の読書メモの一部です)
読みやすい本です。読み終えるまでに1日かかりません。読み始めで、作者の意見に同感します。こどもにとって親は重荷です。こどもに自分の面倒をみてもらうことを期待しないでほしい。こどもにあれこれ干渉しないでほしい。何か趣味でももって、こどものこと以外のことに没頭して欲しい。こどもは、親が思うような進路をたどってはくれません。こどもの人生はこどもの人生であり、親の人生ではないのです。
本に書かれてあることは、表面に出てこないだけで、どこの家庭でもあることなのでしょう。こどもに重くのしかかってくる母親は暇なのでしょう。主婦は実はひきこもりという解釈は新鮮でした。
自分のことは自分でやる。こどもに依存しない。親に依存しない。親も子も自立する。わたしはこの本を読んで、慰められました。今まで親孝行とは反対のことをしてきたのですが、いつも罪悪感に苦しんでいました。しかしそれは間違っていなかったことをこの本は示してくれました。
さて、マンガに戻ります。
父親はお酒のみ、母親は宗教活動にのめりこみです。かわいそうな姉妹がいます。こどもにとって、苦しいパターンの生活環境です。
姉が主人公ですが、主人公が成長して、付き合う男性もアルコール依存症のDV男(ふだんはおとなしくてまじめそうだが、裏では暴力で女性を支配する男性)です。悲劇です。学歴があって一流企業で働いていても異常な人格をもつ男がいます。
お酒のみの人は、自分が何をやっても許してもらえる。許されると勘違いしています。許されません。アルコールが抜けるとケロッとしています。なにもなかったことにしてしまいます。
意志薄弱なのです。がまんができない。物事を最後までやり遂げることができない。決断も判断もできない。反対に相手や周囲に向かってクレーム(文句もんく。不平不満。要求)はいくらでも出せる。愚痴話(ぐちばなし)が多い。
『父にとって母は、愛する女ではなく、召使い、酔った時の介護人(だった)』(よくあるパターンです)
母は自死してしまいました。
自分が成人してから知ったことが、アルコールを大量に摂取する人の死に方です。
内臓がぐちゃぐちゃになって、体の働きが正常に機能していかなくなるイメージがあります。
おしっこ・うんこのコントロールが自分でできなくなって、オムツを付けて、糞尿(ふんにょう)まみれになって死んでいく。(このマンガの本を読んでいたら、最後のほうでそのようなシーンに出会いました。やっぱり……)
そこまでしてアルコールを飲む理由は、心の病(やまい)なのでしょう。依存症です。
主人公の父も物語の最後では全身がんのような状態で亡くなります。食道にも肺にも脳みそにもがんができます。ステージ4の余命宣告です。あと半年の命です。まだ70歳手前の年齢です。(父親には借金がありますから死後『相続放棄』の手続きをしなければなりません。しないとこどもは借金取りに追いかけられます。負(ふ)の相続財産です。なかなかたいへんです)
父親は、年金保険料も納めていません。今さらですが…… 今まで、父親は、なにをしていたのだろう。無年金者の老後は、アウトです。生活保護しか思い浮かびません。
自死で母親を亡くした長女の主人公は、父子家庭において、母親の役割を果たしていかなければなりません。
これが、男の兄弟だと、長男が父親代わりを務めなければなりません。長男は、ぐれる(不良になる)わけにはいかないのです。男でも家事はやります。料理もチャレンジします。
読んでいると気の毒で、こんな父親は切り捨てればいいと思ってしまいます。
主人公が二重人格になっていきます。外面(そとづら)はいい。家では暗い人間です。(そのうち、父親に対して暴力を振るい始めます。DVドメスティックバイオレンス、父親虐待です)
親がアル中というこども体験のある人はけっこう多そうです。
そういう体験をした人は、おとなになってから、アルコールは飲まないか、たしなむ程度なのでしょう。あるいは逆に遺伝でこどももやっぱりアルコール漬けになることもありそうです。
ナルシスト:自分が好き。自分を愛する。自分は立派な人間だとうぬぼれる。自信たっぷり。
父親のようすを見ていると、世話をするほうは、自分はもうこの世にいたくないと思ってもおかしくありません。父親は、人間のクズです。
父親の友人にあんがいいい人もいます。いい人にも苦労体験があるのでしょう。
理屈ではなく、感情で付き合う人間関係です。
父親は若いころ小説家志望だったらしい。
破滅型の小説家ですな。
不思議なのは、主人公の祖父母とか叔父叔母(おじおば)、いとこは出てきません。
酒乱の父親と宗教のめりこみの母親だと、親戚は距離をおくのかもしれません。
人に優しく(やさしく)されたことがない人は、人に優しくできないということはあります。自分のことは自分でやってきた人です。だから、自分のことは自分でやれ!が思考の基本です。
暗い話です。
救いがありません。
長女を堕胎(だたい)する話があった。(父にとって主人公は)望まれて産まれてきたこどもではない。
ただ、主人公にも大きな課題があります。
なんだろう。主人公に毅然(きぜん。はっきりした)とした意思決定の態度がありません。
まわりの人に、かわいそうなわたしをかわいそうと言ってほしいという気持ちはあります。
主人公は、意思表示をしない人です。
察して(さっして)ほしい人です。
それでは、自立・自活は、無理です。
依存とか寄生によって生活してく人の日常生活です。
主人公は頭がおかしいのではないかとすら思えてきます。
反発しなければならない相手(アル中の父親、DV(暴力をふるう)恋人みたいな男性)にしっぽを振っています。
本の中では主人公のことを『学習性無気力』と表現します。苦しみに耐えすぎて感覚がマヒしています。
自分の思いどおりにならないと、机をたたいたり、イスをけったりする人がいます。まともな人ではありません。距離を置いたほうがいい。
父親は、右半身まひになります。そうなるまで車の運転をしていました。(ひどい。犠牲者が出なくてよかった)
言うのが遅い。
『あんたは、こどもにうらまれて死んでいくんだ!』
友人で、法律事務所で働いていたことがあるミーちゃんという人柄のいい女性がいます。きっと主人公と同じような苦労をされた体験があるから心優しいのだと思います。
最後のほうのマンガの絵は、感情的になりすぎていて、別の本のようで違和感がありました。(しっくりこなかった)
2023年06月20日
ローカル線よくばり絶景旅 村井美樹が行く わたらせ渓谷鉄道
ローカル線よくばり絶景旅 村井美樹が行く わたらせ渓谷鉄道 新名所&穴場徹底満喫スペシャル BSテレ東京
テレビ番組制作者の方たちにとっては、視聴者がどんな思いをもちながら制作された番組を観ているのかはわからないと思います。わたしは番組を『作品』としてとらえています。
文学にしても歌曲にしても、作者の手元から『作品』が離れたときから『作品』はひとり歩きを始めます。『作品』の受け手は、受け手としての人生観をもちながら『作品』に歩み寄ります。
だから、作者は、自分の手から『作品』を手放したときに『作品』とはサヨナラしたという気持ちをもったほうがいい。子どもの巣立ちみたいなものです。
小学生の時に数年間わたらせ渓谷鉄道沿いにある町で生活したことがあります。
映像を見ながらなつかしさにひたることができました。
自分が住んでいたころは、わたらせ渓谷鉄道は『足尾線(あしおせん)』という名称で、蒸気機関車が走っていました。C-11だった記憶ですが、こどもの記憶なのであてになりません。
山奥であり、冬は雪国でした。吹雪の中を蒸気機関車は力強く走っていました。線路の横に人が歩く狭い土の道があり、自分が歩いているすぐ横を機関車が通りすぎて行きました。寒かったけれど、マフラーを首にしっかり巻いて、激しく吹き荒れる白い吹雪のなか、白い息をはきながらまだ小さかった弟といっしょに歩いていた記憶が残っています。今思い出すとドラマチックな光景でした。映画の中のワンシーンみたいです。
鉄道沿線が晩秋を迎えるころには、紅葉で美しい山々の景色がありました。
日が短い暗い夕刻になると、黒い山影の上のほうに『金星』が輝いていました。強い光を放っていました。(はなっていました)
映像でも出ていましたが、春は桜が美しかった。番組では、花桃(はなもも)の花が大量に咲いていていい景色でした。
古い駅舎がいくつか出てきました。
小学生だった自分が座っていた駅舎の中が映像に出てきて不思議な気分にひたりました。タイムトラベルです。たしか、野球のグローブを買いたくて、桐生(きりゅう)行きの列車を待合室でひとりで長いこと待っていました。
成人してから3回、10年おきぐらいに昔住んでいたところを訪問しました。20代の時は友人たちと4人で訪れました。40代のときは、まだ小学生だった息子とふたり旅でした。50代になって妻とふたりで訪れました。
駅のまわりや、住んでいた長屋(ながや)あたりは、人が減って、家も取り壊されてなくなって、昭和40年代(1965年代)ごろとは、ずいぶん風景が変わっていました。
映像では紹介されませんでしたが、終着駅付近では、カモシカを見ることができるとか、ほかには、たしか、砂防ダムとか、学習センターがありました。
自分が小学生だった時は、遠足での行程に『かじか荘』というところがありました。国民宿舎でした。山道をずーっと歩いて登っていきました。そこで飼われている猿を見た覚えがありますが、こどものころの記憶なので不確しかです。
渡良瀬川(わたらせがわ)にそそぐ支流がいくつかあって、とてもきれいな清流でした。
夏の川遊びが楽しかった。
明治時代なかばから始まった公害問題のことは、引っ越しでその地域を離れて中学生になったときに知りました。
自分が住んでいた時は、野生の動植物や川魚、樹木の若葉や紅葉した尾根などの自然、夕陽や星の美しさ、冬に長屋の屋根から雪が解けて水がたれてできた複数の太くて長い氷のつららなど、鉱毒による公害被害を感じるような場所ではなかったのでとても意外でした。
夏は虫取り、冬は、手づくりのそりで斜面を降りたり、山の斜面でスキーをしたり、長屋(ながや)の間にある雪が凍った路上でスケートもできました。(車が少ない時代でした)こどもには楽しい土地でしたが、おとなにとっては、寒くて暮らしにくかったと思います。
群馬県側には、草木ダムがあり、そばに『星野富弘美術館』があります。
体育教師で体操に失敗して車いす生活になった星野富弘さんという障害者の方で、口にくわえた筆でお花の植物絵を描かれる人の作品が展示してある美術館でした。
こちらの番組では、ここまで書いたことの紹介は、ありませんでした。
それでもなかなかいい雰囲気の場所がいくつもありました。
しょうゆ蔵の見学では、昔たしか神戸へ観光バス旅行をしたときに酒蔵を見学したことがあったなとか、この番組を観たときに読んでいた本が『ライスボールとみそ蔵と 横田明子・作 塚越文雄・絵 絵本塾出版』で、みそ蔵の話ですが、似ているなとかの思いつきがありました。
わたらせ渓谷鉄道の車体の色は『あかがね色』で、昔、蒸気機関車が運んでいた『銅』の色だなとピンときました。あかがね色は『銅色』と書きます。
『ながめ余興場』というところが、風情(ふぜい。味わい、たたずまい、雰囲気、ようす)がありました。昔の芝居小屋です。昭和12年に建てられたそうです。(1937年)
福岡県の飯塚市に『嘉穂劇場(かほげきじょう)』というのがあるのですが、風情が似ています。こちらは昭和6年のオープンです。(1931年)
どちらも鉱山開発で人とお金が集まりにぎわったので、娯楽としてできた劇場だと思います。
走る鉄道の映像を見ながら不思議に思ったことがあります。
線路は、がけ地みたいな地形のところを走ります。片方は山の斜面で、もう片方は段差があって、けっこう落差がある下りです。下ったところを渡良瀬川(わたらせがわ)が流れています。
列車走行の映像を見ていて、地面が、あの重たい列車の車体を支え切れるのだろうかと心配になるのですが、ちゃんと計算してつくってあるのでしょう。
季節的に、桜と菜の花の映像がきれいです。
いいお天気で良かった。
村井美樹さんも林家三平さんも健全な方なので、ほかのバラエティー旅番組と違って、波乱の出来事はありませんが、安心感のある旅でした。
テレビ番組制作者の方たちにとっては、視聴者がどんな思いをもちながら制作された番組を観ているのかはわからないと思います。わたしは番組を『作品』としてとらえています。
文学にしても歌曲にしても、作者の手元から『作品』が離れたときから『作品』はひとり歩きを始めます。『作品』の受け手は、受け手としての人生観をもちながら『作品』に歩み寄ります。
だから、作者は、自分の手から『作品』を手放したときに『作品』とはサヨナラしたという気持ちをもったほうがいい。子どもの巣立ちみたいなものです。
小学生の時に数年間わたらせ渓谷鉄道沿いにある町で生活したことがあります。
映像を見ながらなつかしさにひたることができました。
自分が住んでいたころは、わたらせ渓谷鉄道は『足尾線(あしおせん)』という名称で、蒸気機関車が走っていました。C-11だった記憶ですが、こどもの記憶なのであてになりません。
山奥であり、冬は雪国でした。吹雪の中を蒸気機関車は力強く走っていました。線路の横に人が歩く狭い土の道があり、自分が歩いているすぐ横を機関車が通りすぎて行きました。寒かったけれど、マフラーを首にしっかり巻いて、激しく吹き荒れる白い吹雪のなか、白い息をはきながらまだ小さかった弟といっしょに歩いていた記憶が残っています。今思い出すとドラマチックな光景でした。映画の中のワンシーンみたいです。
鉄道沿線が晩秋を迎えるころには、紅葉で美しい山々の景色がありました。
日が短い暗い夕刻になると、黒い山影の上のほうに『金星』が輝いていました。強い光を放っていました。(はなっていました)
映像でも出ていましたが、春は桜が美しかった。番組では、花桃(はなもも)の花が大量に咲いていていい景色でした。
古い駅舎がいくつか出てきました。
小学生だった自分が座っていた駅舎の中が映像に出てきて不思議な気分にひたりました。タイムトラベルです。たしか、野球のグローブを買いたくて、桐生(きりゅう)行きの列車を待合室でひとりで長いこと待っていました。
成人してから3回、10年おきぐらいに昔住んでいたところを訪問しました。20代の時は友人たちと4人で訪れました。40代のときは、まだ小学生だった息子とふたり旅でした。50代になって妻とふたりで訪れました。
駅のまわりや、住んでいた長屋(ながや)あたりは、人が減って、家も取り壊されてなくなって、昭和40年代(1965年代)ごろとは、ずいぶん風景が変わっていました。
映像では紹介されませんでしたが、終着駅付近では、カモシカを見ることができるとか、ほかには、たしか、砂防ダムとか、学習センターがありました。
自分が小学生だった時は、遠足での行程に『かじか荘』というところがありました。国民宿舎でした。山道をずーっと歩いて登っていきました。そこで飼われている猿を見た覚えがありますが、こどものころの記憶なので不確しかです。
渡良瀬川(わたらせがわ)にそそぐ支流がいくつかあって、とてもきれいな清流でした。
夏の川遊びが楽しかった。
明治時代なかばから始まった公害問題のことは、引っ越しでその地域を離れて中学生になったときに知りました。
自分が住んでいた時は、野生の動植物や川魚、樹木の若葉や紅葉した尾根などの自然、夕陽や星の美しさ、冬に長屋の屋根から雪が解けて水がたれてできた複数の太くて長い氷のつららなど、鉱毒による公害被害を感じるような場所ではなかったのでとても意外でした。
夏は虫取り、冬は、手づくりのそりで斜面を降りたり、山の斜面でスキーをしたり、長屋(ながや)の間にある雪が凍った路上でスケートもできました。(車が少ない時代でした)こどもには楽しい土地でしたが、おとなにとっては、寒くて暮らしにくかったと思います。
群馬県側には、草木ダムがあり、そばに『星野富弘美術館』があります。
体育教師で体操に失敗して車いす生活になった星野富弘さんという障害者の方で、口にくわえた筆でお花の植物絵を描かれる人の作品が展示してある美術館でした。
こちらの番組では、ここまで書いたことの紹介は、ありませんでした。
それでもなかなかいい雰囲気の場所がいくつもありました。
しょうゆ蔵の見学では、昔たしか神戸へ観光バス旅行をしたときに酒蔵を見学したことがあったなとか、この番組を観たときに読んでいた本が『ライスボールとみそ蔵と 横田明子・作 塚越文雄・絵 絵本塾出版』で、みそ蔵の話ですが、似ているなとかの思いつきがありました。
わたらせ渓谷鉄道の車体の色は『あかがね色』で、昔、蒸気機関車が運んでいた『銅』の色だなとピンときました。あかがね色は『銅色』と書きます。
『ながめ余興場』というところが、風情(ふぜい。味わい、たたずまい、雰囲気、ようす)がありました。昔の芝居小屋です。昭和12年に建てられたそうです。(1937年)
福岡県の飯塚市に『嘉穂劇場(かほげきじょう)』というのがあるのですが、風情が似ています。こちらは昭和6年のオープンです。(1931年)
どちらも鉱山開発で人とお金が集まりにぎわったので、娯楽としてできた劇場だと思います。
走る鉄道の映像を見ながら不思議に思ったことがあります。
線路は、がけ地みたいな地形のところを走ります。片方は山の斜面で、もう片方は段差があって、けっこう落差がある下りです。下ったところを渡良瀬川(わたらせがわ)が流れています。
列車走行の映像を見ていて、地面が、あの重たい列車の車体を支え切れるのだろうかと心配になるのですが、ちゃんと計算してつくってあるのでしょう。
季節的に、桜と菜の花の映像がきれいです。
いいお天気で良かった。
村井美樹さんも林家三平さんも健全な方なので、ほかのバラエティー旅番組と違って、波乱の出来事はありませんが、安心感のある旅でした。
2023年06月16日
ライスボールとみそ蔵と 横田明子
ライスボールとみそ蔵と 横田明子・作 塚越文雄・絵 絵本塾出版
タイトルは、おにぎりとおみそをつくる場所としての蔵ということでいいのでしょう。
どうして、おにぎりをライスボールにしたのかはまだわかりません。『おにぎり』でいいような……
これから読み始めます。
本の帯に『……みそ屋は大きらい……』とあります。ここ名古屋地区は、みそ汁は『赤だし』で、赤みそ食文化の地域です。みそだらけです。違和感をもちながら読み始めます。(いわかん:しっくりしない感じ。みそ味料理はおいしいです。名古屋メシには、赤みそが付きものです)
(1回目の本読み)
ざーっと目を通しながら最後のページまでいきます。
味噌市(みそし)にある新町(しんまち)小学校4年3組 担任は、小山先生。味噌市には、自動車工場があるそうです。新興住宅地。江戸時代からの蔵のまち。山に囲まれた盆地のようです。小学校では、週に二回英語の授業がある。教えるのは小山先生。
ユキ(長谷川幸):海外からの帰国子女。女子。イギリスのロンドンに三年間いた。父親の海外赴任についていったような記事です。英語がペラペラです。ナスのみそいためが好きらしい。
ジュン(上原):男子。自宅が、みそ屋(古い蔵で、みそをつくる)で、屋号(やごう。店の名前)が『塩屋』。この子が主人公のようです。祖父と父がいる。祖父は厳しい人だそうです。4年生である同級生のタロウに「みそっ子」とからかわれることがイヤです。
アヤノ(宮沢):クラスメート女子
タロウ(小林太郎):クラスメート。いろいろ文句が多そうな男子。給食のナスを紫色、みそを茶色と表現して食べたくないといやがる。給食の時は、教室で、ジュンとタロウが横並び、向かい合わせでアヤノとユキが机で四角い島をつくって顔を見合って、みんなで食べる。タロウは、だれとでも気安く話ができる。ひょうきん(ふざけて、人を笑わせようとする)
この本の目次は、①から⑩まであります。ナスのみそいための話、ユキちゃんの話、塩屋の話、世界の話、笑顔の話、みそ料理の話、ユキちゃんの話、神さまの話、おもてなしの話、ようこそみそ蔵の話、そんな話が書いてあります。ジュンが、ユキちゃんを好きになるような展開が予想されます。(読み終えて、そうでもありませんでした)
給食のおかずです。「ナスのみそいため」「イワシのかば焼き」「ご飯」「牛乳」です。
お米の給食はめずらしい。
お米とみそで、この場所は、米どころ(おいしいお米がたくさんとれる)だろうから、新潟県とか、富山県、東北の山形県などの場所を想像しました。
お昼は給食で「みそいため」帰宅して夕食も「みそいため」です。メニューがかぶるといやがる人もいますが、熊じいさんは、そんなことは気にしません。かまいません。
ユキちゃんが、ジュンの家にある蔵の中を見たいそうです。
みそ蔵を見るために、ユキちゃんが、ジュンの家に来ました。
なにやら、おじいさんが、みそ蔵のことに関して口やかましいらしい。
きちんとしなければなりません。
まあ、みそが商売道具です。みそのおかげで、みんなが生活していけます。みそはだいじです。おじいさんはきちんとした職人気質をもつ人なのでしょう。
英会話が得意なユキが、外国人観光客のふたりと路上でお話しします。みそ蔵を見学したいそうです。なるほど、外国の人は日本の食文化に興味があるわけか。とりあえず、今すぐ見学の案内はできないけれど、店でおみそを買ってねと案内しました。
おみそ屋さんがどうして「塩屋」という名前なのか。(これからわかるのでしょう。読み続けます)(38ページに説明がありました。みそ屋は、もとは塩屋だったそうです)
アンティーク:古美術。こっとう品。古いもので価値が感じられるもの。
えんぎ石:蔵を守る石。本文を読みましたがよくわかりませんでした。石が自力で起き上がったそうです。
みそ蔵:二百年くらい前に建った。1823年ころです。江戸時代です。伊能忠敬(いのうただたか)が、日本地図をつくっていたころです。
(つづく)
蔵の中は日陰だから涼しい。
足下(あしもと)は地面です。コンクリートやアスファルト、板張りではありません。土が冷やっこい。
蔵の中のこと、みそ製造のための道具類についての説明があります。
文章を読んでいると『おみそ』が生きているような感覚があります。
ジュンのお父さん登場です。
さらにおみその説明です。ひとつの樽(たる)に、3トンの重さのおみそが入っているそうです。20万食分とはたいそうな量です。人口20万人の市はけっこう大きい。
はっこう食品の説明があります。納豆(なっとう)とかパンとか、微生物を活用して食べ物をつくります。納豆はなっとう菌(きん)、パンはイースト菌(きん)、なんだかマンガ『アンパンマン』に出てくる『バイキンマン』のようです。バイキンマンは、世の中では、必要な存在なのです。
みそは、塩と大豆と米こうじでできているそうです。『米こうじ(「種コウジというコウジ菌。微生物」』コウジ菌が働く。(発酵はっこうという)
まず『みそ』よりも『塩』が大事だった。
なぜかを調べてみました。
人間の体を維持していくためには『塩』が必要です。
塩は、体の働きを維持してくれる。
塩が不足すると体調が悪化する。血液、消化液、リンパ液などのなかに塩の成分が溶け込んでいる。
こちらの本では37ページに『……みそは塩をたくわえるために考えられたものだ……』とあります。(そうなのか、みそがメインで、塩は付け足しだと思っていました)
戦国時代や江戸時代のお話が出ます。
北前船(きたまえぶね):江戸時代から明治時代に日本列島近海をぐるりと回っていた帆船。運搬する商品のなかに『塩』があった。塩の売買をする店を『塩屋』といった。
塩の街道:愛知県から長野県まで『塩付街道』があったと聞いたことがあります。
ジュンの父親からおみそ製造の歴史が語られます。
日本では第二次世界大戦後、食生活がパンを中心にしたものに変化して、みそを使うことが減ったそうです。なのに、外国であるイギリスロンドンでは和食ブームでみそを使うことが増えたそうです。不思議なものです。お互いに『ないもの』にあこがれるのが人間の心理です。
『蔵(くら)』を観光コースにする。おもに、外国からの観光客がお客さんでしょう。
職人気質があるらしきじいちゃんは、蔵の中に人が入るのを嫌うようです。
じいちゃん対策案のひとつが、蔵の中に見学スーペースを仕切る仕切りをつくる。もうひとつが、みっつある蔵のうちのひとつだけを見学場所にする。
つまらないことかもしれませんが文中で『ユキちゃん』の『ちゃん』はないほうが読みやすいです。意味がすっきり通じます。書き手が、ていねいさに気をつかいすぎだと思います。
(つづく)
こんどは、ジュンがユキのマンションを訪問します。
ロンドン暮らしをしていたせいか、部屋の雰囲気は外国風です。
マフィン:ケーキ上の焼き菓子。紙製のカップのなかにできている。
ナゲット:鶏の肉のかたまりにパン粉をまぶしてあげたもの。
ステーキソースが、みそ味でした。
風味(ふうみ):上品な味わい
ジュンのおじいさんはいますが、おばあさんはいないようです。
(つづく)
みそ料理として『みそにぎり』が紹介されます。
その部分を読んでいて、熊じいさんのもうすぐ90歳になる実母が、昔『なめみそ』というものをごはんにつけて食べていたことを思い出しました。
そういえば、おかしみたいな『ピーナッツみそ』を自分はこどものときに食べていました。
(つづく)
読み終えました。
うーむ。どうもわたしには合わない作品でした。
おとなが書いたこどもの世界です。
おとなが、こどもに、こどもは、こうあるべきだとしつける内容でした。
こどもはおとなに従うのです。
こどもは、おとなの言うことをきくのです。
権力的な構図を感じました。
81ページ以降の感想を記します。
新しくできたみそです。『新みそ』といいます。
音楽係:音楽係ってなにをするのだろう? みんなの前で楽器を演奏して楽しませるという記事をネットで見つけました。ほかに、朝の会や給食のときに音楽を流す。(それは放送部ではなかろうか)
83ページ、ジュンの言葉『ぼくは好きでみそ屋に生まれたわけじゃない』(だれだってそうです。たいていは、どうして自分はこんな家に生まれてきてしまったんだと思うことが多い。だから、思春期をへて、巣立ちができます。(家を出て、自活して、自立する)みそ屋がイヤなら継がなければいい。ちゃんとした親なら、こどもにそこまで強制する気持ちはありません。こどもの人生はこどものものです。もうひとつ、自分の家の仕事には誇りをもったほうがいい。たいていは、どんな仕事でも世のため人のためになっています)
設定として、ジュンは、女子でもよかったのではないか。
87ページ、ロンドンから来るという『ウィル』は、女なのか男なのかわかりません。(意図的に、中性的にしてありました。あとのページでわかります)
ファンタスティック:すばらしい、ステキ、優れている(すぐれている)
シンクロ:タイミングが合う。同時に起きる。
ウェルカム:ようこそ、歓迎します、よろこんで。
『蔵の神さま』
なんでも、神さまのおかげにするのはどうかと思う今日この頃のご時世です。(ごじせい:時代背景)
しばらく前に、宗教二世の人たちの苦悩が書かれた本を読みました。あまりにも気の毒でした。
『信仰から解放されない子どもたち #宗教2世に信教の自由を 横道誠 編・著 明石書店』
神さまは、いたらいいけれど、いないのです。自分でがんばらないといけないのです。
神の存在を肯定するようなことを、まだ、人生体験の少ないこどもに教えることは危険です。人からだまされやすい善人に育ってしまいます。
その本の中では、親は、こどもが18歳になるまで、こどもに宗教を強制しないという法律なりが必要だというメッセージがありました。『宗教活動を18歳未満は禁止にする。成人後、各自がどうするのかを判断する』ということでした。
本作品では、神さまがみそをつくってくれる『コウジきん』を守ってくれていると定義します。蔵には、神が宿っているのです。(やどっている:すみかにしている。とどまっている)
いまどきのこどもが本当に喜ぶのだろうかという疑問がわきました。
みそ蔵の見学、みそ蔵でのみそにぎりとみそ汁の食事です。
『みそっ子レストラン』がキャッチフレーズです。(呼び込みのかけ声)
今、NHKBSで『あまちゃん』の再放送がされていて見ているのですが『海女カフェ(あまかふぇ)』と発想が重なりました。海女さん(あまさん)たちが、まめぶというお汁とセットで、うに丼(うにどん)やコーヒーを提供します。
そうか、外国人観光客の対応をするから『ライスボール(おにぎり)』という表現なのか。
加えて、英語、英会話表現が多い記述になっています。(最近の外国人はけっこう日本語を話すので日本語でいいのではないか。あんがい、外国人は日本人と日本語で会話したいという希望をもっているのではないか)
そんなことをいろいろ考えて終了した読書でした。
タイトルは、おにぎりとおみそをつくる場所としての蔵ということでいいのでしょう。
どうして、おにぎりをライスボールにしたのかはまだわかりません。『おにぎり』でいいような……
これから読み始めます。
本の帯に『……みそ屋は大きらい……』とあります。ここ名古屋地区は、みそ汁は『赤だし』で、赤みそ食文化の地域です。みそだらけです。違和感をもちながら読み始めます。(いわかん:しっくりしない感じ。みそ味料理はおいしいです。名古屋メシには、赤みそが付きものです)
(1回目の本読み)
ざーっと目を通しながら最後のページまでいきます。
味噌市(みそし)にある新町(しんまち)小学校4年3組 担任は、小山先生。味噌市には、自動車工場があるそうです。新興住宅地。江戸時代からの蔵のまち。山に囲まれた盆地のようです。小学校では、週に二回英語の授業がある。教えるのは小山先生。
ユキ(長谷川幸):海外からの帰国子女。女子。イギリスのロンドンに三年間いた。父親の海外赴任についていったような記事です。英語がペラペラです。ナスのみそいためが好きらしい。
ジュン(上原):男子。自宅が、みそ屋(古い蔵で、みそをつくる)で、屋号(やごう。店の名前)が『塩屋』。この子が主人公のようです。祖父と父がいる。祖父は厳しい人だそうです。4年生である同級生のタロウに「みそっ子」とからかわれることがイヤです。
アヤノ(宮沢):クラスメート女子
タロウ(小林太郎):クラスメート。いろいろ文句が多そうな男子。給食のナスを紫色、みそを茶色と表現して食べたくないといやがる。給食の時は、教室で、ジュンとタロウが横並び、向かい合わせでアヤノとユキが机で四角い島をつくって顔を見合って、みんなで食べる。タロウは、だれとでも気安く話ができる。ひょうきん(ふざけて、人を笑わせようとする)
この本の目次は、①から⑩まであります。ナスのみそいための話、ユキちゃんの話、塩屋の話、世界の話、笑顔の話、みそ料理の話、ユキちゃんの話、神さまの話、おもてなしの話、ようこそみそ蔵の話、そんな話が書いてあります。ジュンが、ユキちゃんを好きになるような展開が予想されます。(読み終えて、そうでもありませんでした)
給食のおかずです。「ナスのみそいため」「イワシのかば焼き」「ご飯」「牛乳」です。
お米の給食はめずらしい。
お米とみそで、この場所は、米どころ(おいしいお米がたくさんとれる)だろうから、新潟県とか、富山県、東北の山形県などの場所を想像しました。
お昼は給食で「みそいため」帰宅して夕食も「みそいため」です。メニューがかぶるといやがる人もいますが、熊じいさんは、そんなことは気にしません。かまいません。
ユキちゃんが、ジュンの家にある蔵の中を見たいそうです。
みそ蔵を見るために、ユキちゃんが、ジュンの家に来ました。
なにやら、おじいさんが、みそ蔵のことに関して口やかましいらしい。
きちんとしなければなりません。
まあ、みそが商売道具です。みそのおかげで、みんなが生活していけます。みそはだいじです。おじいさんはきちんとした職人気質をもつ人なのでしょう。
英会話が得意なユキが、外国人観光客のふたりと路上でお話しします。みそ蔵を見学したいそうです。なるほど、外国の人は日本の食文化に興味があるわけか。とりあえず、今すぐ見学の案内はできないけれど、店でおみそを買ってねと案内しました。
おみそ屋さんがどうして「塩屋」という名前なのか。(これからわかるのでしょう。読み続けます)(38ページに説明がありました。みそ屋は、もとは塩屋だったそうです)
アンティーク:古美術。こっとう品。古いもので価値が感じられるもの。
えんぎ石:蔵を守る石。本文を読みましたがよくわかりませんでした。石が自力で起き上がったそうです。
みそ蔵:二百年くらい前に建った。1823年ころです。江戸時代です。伊能忠敬(いのうただたか)が、日本地図をつくっていたころです。
(つづく)
蔵の中は日陰だから涼しい。
足下(あしもと)は地面です。コンクリートやアスファルト、板張りではありません。土が冷やっこい。
蔵の中のこと、みそ製造のための道具類についての説明があります。
文章を読んでいると『おみそ』が生きているような感覚があります。
ジュンのお父さん登場です。
さらにおみその説明です。ひとつの樽(たる)に、3トンの重さのおみそが入っているそうです。20万食分とはたいそうな量です。人口20万人の市はけっこう大きい。
はっこう食品の説明があります。納豆(なっとう)とかパンとか、微生物を活用して食べ物をつくります。納豆はなっとう菌(きん)、パンはイースト菌(きん)、なんだかマンガ『アンパンマン』に出てくる『バイキンマン』のようです。バイキンマンは、世の中では、必要な存在なのです。
みそは、塩と大豆と米こうじでできているそうです。『米こうじ(「種コウジというコウジ菌。微生物」』コウジ菌が働く。(発酵はっこうという)
まず『みそ』よりも『塩』が大事だった。
なぜかを調べてみました。
人間の体を維持していくためには『塩』が必要です。
塩は、体の働きを維持してくれる。
塩が不足すると体調が悪化する。血液、消化液、リンパ液などのなかに塩の成分が溶け込んでいる。
こちらの本では37ページに『……みそは塩をたくわえるために考えられたものだ……』とあります。(そうなのか、みそがメインで、塩は付け足しだと思っていました)
戦国時代や江戸時代のお話が出ます。
北前船(きたまえぶね):江戸時代から明治時代に日本列島近海をぐるりと回っていた帆船。運搬する商品のなかに『塩』があった。塩の売買をする店を『塩屋』といった。
塩の街道:愛知県から長野県まで『塩付街道』があったと聞いたことがあります。
ジュンの父親からおみそ製造の歴史が語られます。
日本では第二次世界大戦後、食生活がパンを中心にしたものに変化して、みそを使うことが減ったそうです。なのに、外国であるイギリスロンドンでは和食ブームでみそを使うことが増えたそうです。不思議なものです。お互いに『ないもの』にあこがれるのが人間の心理です。
『蔵(くら)』を観光コースにする。おもに、外国からの観光客がお客さんでしょう。
職人気質があるらしきじいちゃんは、蔵の中に人が入るのを嫌うようです。
じいちゃん対策案のひとつが、蔵の中に見学スーペースを仕切る仕切りをつくる。もうひとつが、みっつある蔵のうちのひとつだけを見学場所にする。
つまらないことかもしれませんが文中で『ユキちゃん』の『ちゃん』はないほうが読みやすいです。意味がすっきり通じます。書き手が、ていねいさに気をつかいすぎだと思います。
(つづく)
こんどは、ジュンがユキのマンションを訪問します。
ロンドン暮らしをしていたせいか、部屋の雰囲気は外国風です。
マフィン:ケーキ上の焼き菓子。紙製のカップのなかにできている。
ナゲット:鶏の肉のかたまりにパン粉をまぶしてあげたもの。
ステーキソースが、みそ味でした。
風味(ふうみ):上品な味わい
ジュンのおじいさんはいますが、おばあさんはいないようです。
(つづく)
みそ料理として『みそにぎり』が紹介されます。
その部分を読んでいて、熊じいさんのもうすぐ90歳になる実母が、昔『なめみそ』というものをごはんにつけて食べていたことを思い出しました。
そういえば、おかしみたいな『ピーナッツみそ』を自分はこどものときに食べていました。
(つづく)
読み終えました。
うーむ。どうもわたしには合わない作品でした。
おとなが書いたこどもの世界です。
おとなが、こどもに、こどもは、こうあるべきだとしつける内容でした。
こどもはおとなに従うのです。
こどもは、おとなの言うことをきくのです。
権力的な構図を感じました。
81ページ以降の感想を記します。
新しくできたみそです。『新みそ』といいます。
音楽係:音楽係ってなにをするのだろう? みんなの前で楽器を演奏して楽しませるという記事をネットで見つけました。ほかに、朝の会や給食のときに音楽を流す。(それは放送部ではなかろうか)
83ページ、ジュンの言葉『ぼくは好きでみそ屋に生まれたわけじゃない』(だれだってそうです。たいていは、どうして自分はこんな家に生まれてきてしまったんだと思うことが多い。だから、思春期をへて、巣立ちができます。(家を出て、自活して、自立する)みそ屋がイヤなら継がなければいい。ちゃんとした親なら、こどもにそこまで強制する気持ちはありません。こどもの人生はこどものものです。もうひとつ、自分の家の仕事には誇りをもったほうがいい。たいていは、どんな仕事でも世のため人のためになっています)
設定として、ジュンは、女子でもよかったのではないか。
87ページ、ロンドンから来るという『ウィル』は、女なのか男なのかわかりません。(意図的に、中性的にしてありました。あとのページでわかります)
ファンタスティック:すばらしい、ステキ、優れている(すぐれている)
シンクロ:タイミングが合う。同時に起きる。
ウェルカム:ようこそ、歓迎します、よろこんで。
『蔵の神さま』
なんでも、神さまのおかげにするのはどうかと思う今日この頃のご時世です。(ごじせい:時代背景)
しばらく前に、宗教二世の人たちの苦悩が書かれた本を読みました。あまりにも気の毒でした。
『信仰から解放されない子どもたち #宗教2世に信教の自由を 横道誠 編・著 明石書店』
神さまは、いたらいいけれど、いないのです。自分でがんばらないといけないのです。
神の存在を肯定するようなことを、まだ、人生体験の少ないこどもに教えることは危険です。人からだまされやすい善人に育ってしまいます。
その本の中では、親は、こどもが18歳になるまで、こどもに宗教を強制しないという法律なりが必要だというメッセージがありました。『宗教活動を18歳未満は禁止にする。成人後、各自がどうするのかを判断する』ということでした。
本作品では、神さまがみそをつくってくれる『コウジきん』を守ってくれていると定義します。蔵には、神が宿っているのです。(やどっている:すみかにしている。とどまっている)
いまどきのこどもが本当に喜ぶのだろうかという疑問がわきました。
みそ蔵の見学、みそ蔵でのみそにぎりとみそ汁の食事です。
『みそっ子レストラン』がキャッチフレーズです。(呼び込みのかけ声)
今、NHKBSで『あまちゃん』の再放送がされていて見ているのですが『海女カフェ(あまかふぇ)』と発想が重なりました。海女さん(あまさん)たちが、まめぶというお汁とセットで、うに丼(うにどん)やコーヒーを提供します。
そうか、外国人観光客の対応をするから『ライスボール(おにぎり)』という表現なのか。
加えて、英語、英会話表現が多い記述になっています。(最近の外国人はけっこう日本語を話すので日本語でいいのではないか。あんがい、外国人は日本人と日本語で会話したいという希望をもっているのではないか)
そんなことをいろいろ考えて終了した読書でした。
2023年06月15日
わたしと あそんで マリー・ホール・エッツ
わたしと あそんで マリー・ホール・エッツ ぶん/え よだ・じゅんいち やく 福音館書店
原題は『PLAY WITH ME』というアメリカ合衆国の作家がつくった絵本です。良書です。
作者は1895年生まれですから、日本だと明治28年です。明治27年が日清戦争でした。作者は1984年(昭和59年)に亡くなっています。
日本人訳者の方は、1905年(明治38年)生まれで、1997年(平成9年)に亡くなっています。
米国でのこの絵本の初版が1955年(昭和30年)です。日本での初版が1968年(昭和43年)です。
物語の舞台は『はらっぱ』です。
女の子登場です。五歳ぐらいに見えます。
ばったが出てきます。
女の子がばったに『あそびましょ』と声をかけますが、ばったは飛んでいってしまい、いなくなります。
つぎに出てきたかえるもぴょんぴょんはねて、女の子から離れていきました。
ことば(文章)がていねいです。
基本に忠実なことば運びです。
こどもさんが、ことばや会話を覚えるにあたって、基礎がしっかりしています。
かめが出てきました。
ばった、かえる、かめ、そんないきものたちのやさしさが伝わってきます。
かしの木の下にりすがいます。
りすも木の上にあがっていってしまいます。
みんな逃げていくのね。
かけす(野鳥)も飛んでいってしまいました。
だれも女の子とあそんでくれません。
うさぎもいなくなってしまいました。
へびは、穴の中に入っていってしまいました。
どうぶつたちは、人間をこわがります。
しかたがないので、女の子は、ちちくさと遊びます。(ちちくさ:茎や葉を切ると乳のような液を出す草)
それから、池の水面にいるみずすましをながめます。
この部分を読んでいて、自分も小学校低学年の時には、ため池で、アメンボとかゲンゴロウとかを見ていたことを思い出しました。たんぼの横を流れる用水路にはたくさんのおたまじゃくしがいました。熊じいさんのこどものころは、昆虫を中心にして、身近にたくさんのいきもがいました。
宅地化で、日本各地の風景はずいぶん変化してしまいました。
昭和40年前後のころの話です。(1965年前後)
池のそばで、じーっとしている女の子です。
こんどは、いきものたちが女の子に近づいてきます。
ばったが葉っぱにとまりました。
かえるがしゃがみました。
りすが女の子をみつめています。
木の枝にかけすがいます。
うさぎがぴょんとはねます。
へびも穴から出てきました。
いきものたちは、人間たちのたとえのようです。
コミュニケーションの相手ができていきます。
ひきこもりの人が読むと、泣ける絵本でしょう。
相手も話し相手をさがしている。
しかのあかちゃんが顔を出しました。
良書です。
おもしろい。
心あたたまるお話です。
しかが、女の子ほっぺたをなめました。
絵がやさしい。
光があります。
こんど、親戚のちびっこに会ったときにあげる絵本の候補のなかに入れておきます。
『……みんなが わたしと あそんでくれるんですもの。』
いい本でした。
原題は『PLAY WITH ME』というアメリカ合衆国の作家がつくった絵本です。良書です。
作者は1895年生まれですから、日本だと明治28年です。明治27年が日清戦争でした。作者は1984年(昭和59年)に亡くなっています。
日本人訳者の方は、1905年(明治38年)生まれで、1997年(平成9年)に亡くなっています。
米国でのこの絵本の初版が1955年(昭和30年)です。日本での初版が1968年(昭和43年)です。
物語の舞台は『はらっぱ』です。
女の子登場です。五歳ぐらいに見えます。
ばったが出てきます。
女の子がばったに『あそびましょ』と声をかけますが、ばったは飛んでいってしまい、いなくなります。
つぎに出てきたかえるもぴょんぴょんはねて、女の子から離れていきました。
ことば(文章)がていねいです。
基本に忠実なことば運びです。
こどもさんが、ことばや会話を覚えるにあたって、基礎がしっかりしています。
かめが出てきました。
ばった、かえる、かめ、そんないきものたちのやさしさが伝わってきます。
かしの木の下にりすがいます。
りすも木の上にあがっていってしまいます。
みんな逃げていくのね。
かけす(野鳥)も飛んでいってしまいました。
だれも女の子とあそんでくれません。
うさぎもいなくなってしまいました。
へびは、穴の中に入っていってしまいました。
どうぶつたちは、人間をこわがります。
しかたがないので、女の子は、ちちくさと遊びます。(ちちくさ:茎や葉を切ると乳のような液を出す草)
それから、池の水面にいるみずすましをながめます。
この部分を読んでいて、自分も小学校低学年の時には、ため池で、アメンボとかゲンゴロウとかを見ていたことを思い出しました。たんぼの横を流れる用水路にはたくさんのおたまじゃくしがいました。熊じいさんのこどものころは、昆虫を中心にして、身近にたくさんのいきもがいました。
宅地化で、日本各地の風景はずいぶん変化してしまいました。
昭和40年前後のころの話です。(1965年前後)
池のそばで、じーっとしている女の子です。
こんどは、いきものたちが女の子に近づいてきます。
ばったが葉っぱにとまりました。
かえるがしゃがみました。
りすが女の子をみつめています。
木の枝にかけすがいます。
うさぎがぴょんとはねます。
へびも穴から出てきました。
いきものたちは、人間たちのたとえのようです。
コミュニケーションの相手ができていきます。
ひきこもりの人が読むと、泣ける絵本でしょう。
相手も話し相手をさがしている。
しかのあかちゃんが顔を出しました。
良書です。
おもしろい。
心あたたまるお話です。
しかが、女の子ほっぺたをなめました。
絵がやさしい。
光があります。
こんど、親戚のちびっこに会ったときにあげる絵本の候補のなかに入れておきます。
『……みんなが わたしと あそんでくれるんですもの。』
いい本でした。
2023年06月14日
60歳から10万円で始める高配当株投資術 坂本彰 あさ出版
60歳から10万円で始める高配当株投資術 買ってはいけない株 買うべき株の選び方を大公開! 坂本彰 あさ出版 Kindle Unlimited 電子書籍
熊じいさんが実用書を読むときは、まず1回ざーっと最後のページまで、すべてのページに目を通します。
堅い(かたい。ゆとりや遊びがない)雰囲気がある本だと感じましたが、基本を踏まえてある印象でした。たくさん書いてある銘柄も自分の今後の投資活動の参考にしたい。
これから2回目の本読みをします。
1回目で目を通したときに興味がわいた部分を重点的に読んで、自分のこれまでの投資体験と重ねてみます。
投資信託について書いてあります。
熊じいさんもやっています。今は、購入したまま放置してあります。
あまり、興味はわきません。コロナとウクライナの影響で、得はしていません。でも、この5月から盛り返してきました。(この本では、投資信託よりも株式優先と書いてあります。同感です。本には株式のいいところが書いてあります。株式には自分で運用を細かくコントロールできる楽しさがあります。定年退職後年金生活で、時間がある人間には向いています)
『年金以外に100万円を得られる生活』と書いてあります。毎年100万円ぐらいの利益を得るためには、元手(もとで)が1000万円ぐらいはいりそうです。実感として、初心者の人たちは300万円ぐらいから始めている。本格的に取り組んでいるサラリーマンは500万円ぐらいつぎこんでいるような気がします。
普通預金や定期預金に預けても利息が付かないという現実があります。お金の置き場所を考える。利益を生む場所にお金を置く。
株式投資について、細かい決め事が書いてあります。指南書です。(しなんしょ。技術習得のための手引き書)
老後の財産形成と生活設計について書いてあります。
そのことの本を読みなさいとあります。(株式投資の本のこと)
新聞も読みなさいです。
会社説明会とか、イベントにも参加しましょうです。(家では新聞をとっていますが、わたし自身は新聞を読みません。もう読んでもしかたがないと思っている長く生きてきた老齢者です。毎年、同じような時期に同じような記事が書いてあります。人事異動で当地に赴任(ふにん)してきた記者にとっては新鮮な情報でも、長いこと住んでいる人間にとっては既知(きち。とうの昔から知っている)のことがらです。事件や事故は、人間を変えながら繰り返されていくパターンです。それから本の提案にある会合にも行きません。なにかしら束縛(そくばく。負担になること)はされたくありません。ネットで見る情報とテレビの経済情報番組、そして、証券会社担当者からの情報を参考にしています。ただ仕入れた情報を丸のみはしません。自分で判断して決断します。情報は半分信用して、半分信用しない姿勢で聞きます)
過去の株式投資の歴史について書いてあります。
株主優待制度について書いてあります。
熊じいさんが株式投資を始めた頃は、その店舗で使用できる商品券(金券)などをいくつももらいましたが、その後、それらの株は売却して、今は、株主優待制度のある銘柄はもっていません。利益をもらう方法に、人それぞれ好みがあるでしょう。
株価が10倍、100倍になる株について書いてあります。
テンバガーです。
サービス業、IT、ネット系、人材関連だそうです。ほかにも条件があります。
『退職金を投資信託だけで運用しない』
ほかのことにも活用する。
投資信託については、自分はよくわかりませんが、ファンドラップという投資信託は要注意だそうです。忘れないようにここにメモしておきます。
こちらの本の読書は、「買ってはいけない株」の項目まできました。
材料株の会社は買ってはいけない:よくわかりませんが、一時時にその場限りで株価があがる銘柄を指すようです。
景気循環株の会社は買ってはいけない:業種として、紙・パルプ、化学、鉄鋼ほか素材産業、自動車、機械、電気機器、建設業だそうです。
熊じいさんが損切り(マイナスで売却)した自分がもっていた株をふりかえってチェックしてみました。化学、非鉄金属、ガラス・土石製品、鉄鋼、銀行業、建設業でした。売却したときにもうすぐマイナスになりそうで低利益だった株が、鉱業、ゴム製品でした。
こちらの本に書いていることが当たっている部分もありますが、そのままアドバイスを受け入れると、買える株がなくなってしまいそうです。
高すぎるPERの会社は買ってはいけない:こういうアルファベット3文字略字のものは、熊じいさんは、説明文を読んでも、なんのことかわかりません。株価収益率。株価÷(発行済み?)株数=なんとか倍(PER)平均は15倍前後。40倍以上は購入の対象外にする。(自分が保有する株のPERを点検してみました。8.29~24.39にあるものがほとんどでしたが、ひとつだけ71.73もありました。この本によると対象外ですが、その株の株価は最近上昇中です。ケースバイケース(個別事情)もあるのでしょう)
本業がいくつもある会社は買ってはいけない:多角化経営は不祥事が起きやすい。(ときどき点検や検査がいいかげんだったというようなニュースが流れてきます)
本では以降、投資の楽しみ方が書いてあります。
最後に投資にいい銘柄の紹介が続きます。
最初から読みながら、ずーっと会社名を拾ったところ、28社出てきましたので、これから1社ずつチェックして、気に入る銘柄があったら投資先としてチャレンジしてみます。ありがとう。(その後:1社だけ興味をもったところがありました。同社の株価の動きをしばらくみてみます)
最後に著者は、預金口座と同じように証券口座ももちましょうと提言されています。
昔のように高金利の定期預金はのぞめないので、いたしかたありません。
熊じいさんが実用書を読むときは、まず1回ざーっと最後のページまで、すべてのページに目を通します。
堅い(かたい。ゆとりや遊びがない)雰囲気がある本だと感じましたが、基本を踏まえてある印象でした。たくさん書いてある銘柄も自分の今後の投資活動の参考にしたい。
これから2回目の本読みをします。
1回目で目を通したときに興味がわいた部分を重点的に読んで、自分のこれまでの投資体験と重ねてみます。
投資信託について書いてあります。
熊じいさんもやっています。今は、購入したまま放置してあります。
あまり、興味はわきません。コロナとウクライナの影響で、得はしていません。でも、この5月から盛り返してきました。(この本では、投資信託よりも株式優先と書いてあります。同感です。本には株式のいいところが書いてあります。株式には自分で運用を細かくコントロールできる楽しさがあります。定年退職後年金生活で、時間がある人間には向いています)
『年金以外に100万円を得られる生活』と書いてあります。毎年100万円ぐらいの利益を得るためには、元手(もとで)が1000万円ぐらいはいりそうです。実感として、初心者の人たちは300万円ぐらいから始めている。本格的に取り組んでいるサラリーマンは500万円ぐらいつぎこんでいるような気がします。
普通預金や定期預金に預けても利息が付かないという現実があります。お金の置き場所を考える。利益を生む場所にお金を置く。
株式投資について、細かい決め事が書いてあります。指南書です。(しなんしょ。技術習得のための手引き書)
老後の財産形成と生活設計について書いてあります。
そのことの本を読みなさいとあります。(株式投資の本のこと)
新聞も読みなさいです。
会社説明会とか、イベントにも参加しましょうです。(家では新聞をとっていますが、わたし自身は新聞を読みません。もう読んでもしかたがないと思っている長く生きてきた老齢者です。毎年、同じような時期に同じような記事が書いてあります。人事異動で当地に赴任(ふにん)してきた記者にとっては新鮮な情報でも、長いこと住んでいる人間にとっては既知(きち。とうの昔から知っている)のことがらです。事件や事故は、人間を変えながら繰り返されていくパターンです。それから本の提案にある会合にも行きません。なにかしら束縛(そくばく。負担になること)はされたくありません。ネットで見る情報とテレビの経済情報番組、そして、証券会社担当者からの情報を参考にしています。ただ仕入れた情報を丸のみはしません。自分で判断して決断します。情報は半分信用して、半分信用しない姿勢で聞きます)
過去の株式投資の歴史について書いてあります。
株主優待制度について書いてあります。
熊じいさんが株式投資を始めた頃は、その店舗で使用できる商品券(金券)などをいくつももらいましたが、その後、それらの株は売却して、今は、株主優待制度のある銘柄はもっていません。利益をもらう方法に、人それぞれ好みがあるでしょう。
株価が10倍、100倍になる株について書いてあります。
テンバガーです。
サービス業、IT、ネット系、人材関連だそうです。ほかにも条件があります。
『退職金を投資信託だけで運用しない』
ほかのことにも活用する。
投資信託については、自分はよくわかりませんが、ファンドラップという投資信託は要注意だそうです。忘れないようにここにメモしておきます。
こちらの本の読書は、「買ってはいけない株」の項目まできました。
材料株の会社は買ってはいけない:よくわかりませんが、一時時にその場限りで株価があがる銘柄を指すようです。
景気循環株の会社は買ってはいけない:業種として、紙・パルプ、化学、鉄鋼ほか素材産業、自動車、機械、電気機器、建設業だそうです。
熊じいさんが損切り(マイナスで売却)した自分がもっていた株をふりかえってチェックしてみました。化学、非鉄金属、ガラス・土石製品、鉄鋼、銀行業、建設業でした。売却したときにもうすぐマイナスになりそうで低利益だった株が、鉱業、ゴム製品でした。
こちらの本に書いていることが当たっている部分もありますが、そのままアドバイスを受け入れると、買える株がなくなってしまいそうです。
高すぎるPERの会社は買ってはいけない:こういうアルファベット3文字略字のものは、熊じいさんは、説明文を読んでも、なんのことかわかりません。株価収益率。株価÷(発行済み?)株数=なんとか倍(PER)平均は15倍前後。40倍以上は購入の対象外にする。(自分が保有する株のPERを点検してみました。8.29~24.39にあるものがほとんどでしたが、ひとつだけ71.73もありました。この本によると対象外ですが、その株の株価は最近上昇中です。ケースバイケース(個別事情)もあるのでしょう)
本業がいくつもある会社は買ってはいけない:多角化経営は不祥事が起きやすい。(ときどき点検や検査がいいかげんだったというようなニュースが流れてきます)
本では以降、投資の楽しみ方が書いてあります。
最後に投資にいい銘柄の紹介が続きます。
最初から読みながら、ずーっと会社名を拾ったところ、28社出てきましたので、これから1社ずつチェックして、気に入る銘柄があったら投資先としてチャレンジしてみます。ありがとう。(その後:1社だけ興味をもったところがありました。同社の株価の動きをしばらくみてみます)
最後に著者は、預金口座と同じように証券口座ももちましょうと提言されています。
昔のように高金利の定期預金はのぞめないので、いたしかたありません。