2023年06月29日

がいこつさん 五味太郎

がいこつさん 五味太郎(ごみ・たろう) 文化出版局

 こどもさん向けの絵本です。
 読んでいてのこととして『がいこつ』ですから、骨しかないのですが、内容は、肉が付いている人間みたいな雰囲気があるのです。

 『がいこつ』が寝ているところから始まります。
 『がいこつ』は熟睡(じゅくすい)できていないらしく、夜中に目が覚めます。(なにかを忘れていて、気になって目が覚めたらしい)

 文章は『がいこつ』を観察する書き方なのに『がいこつ』自身が自分の気持ちを語っているように思えるという不思議な文章です。
 (この絵本の読み聞かせでは、ちびっこたちは、興味津々でしょう。(きょうみしんしん:どきどき、わくわくするようす)

 『なにか、忘れていることがある……』(なにを、忘れているのだろう?)
 思い出せない『がいこつ』です。

 おもしろい発想があります。

 『考えながら 歩きます。歩きながら 考えます』(いい文章です。いいなあ)

 電話ボックスがあります。
 推理小説の要素があります。
 1982年(昭和57年)初版の絵本です。
 そのとき、スマホは、まだこの世には、ありませんでした。
 
 ページをめくって、めくって、進んでも、『がいこつ』が忘れていることが、何なのかがわかりません。

 井上陽水(いのうえ・ようすい)さんの『さがしものは なんですかーー』という歌が思い出されます。タイトルは何だったけ? 忘れました。思い出せません。自分は、歳(とし)をとりました。(曲名を調べました。『夢の中へ』でした)

 絵本に描かれている絵がきちっとしています。
 外の世界を知る冒険です。
 『がいこつ』は『がいこつ』の姿のまま、街を歩きます。歩きながら考えます。『自分は何かを忘れている。なにを忘れているのだろうか?』と。

 『がいこつ』が百貨店のトイレに入ります。(なにを排泄するのだろう。はいせつ:おしっこやうんこをする。『がいこつ』には骨しかありません。おしっこもうんこもありません。へんです)
 洗面台の鏡に映った自分の顔を見た『がいこつ』は、はたと気づきました。(何を思い出したのだろう? 読み手は、想像もつきません)
 ははははは(笑い)、そうか。そういうことか。わかりました。(ここに書きたいけれど書けません。本を買って読んでくださいな)

 おやすみ。かわいいがいこつさん。
 また、あした、あおうねーっ。(会おうね)
 心にやさしい絵本でした。  

Posted by 熊太郎 at 06:22Comments(0)TrackBack(0)読書感想文