2023年06月07日
「株で1000万円を失ってわかった!!」投資の心理 中村紀典
なぜ損切りできないのか? 「株で1000万円を失ってわかった!!」投資の心理 NPO法人セルフ・カウンセリング普及協会 理事 中村紀典 Kindle Unlimited 電子書籍
この本の主題である『カウンセリング』の部分には関心は湧かないのですが、損をしないためにあえてマイナスで株を売却しようという視点に関心が湧いたので読んでみることにしました。
ご本人の株式投資体験において、1990年代のバブル崩壊で1000万円を失ったそうです。
31歳から52年間株式投資を続けて、現在は82歳の方です。(この本の出版時)ベテラン投資家です。
自分のような失敗をほかの人たちには、しないでほしいそうです。
最近、政府は『投資』を勧めているけれど、気をつけてほしいというメッセージがあるのです。良心的です。
株式投資の人生をふりかえって計算し直すと、適切に『損切り』をしていれば、600万円が手元に残っていたそうです。
損切りして、手元に戻ってきた資金で、別の有望株に投資しなおしたほうが、損が少ないということはあります。
下がってしまった株の株価が再び上がる可能性は4割ぐらいで、6割の株の株価は下がり続ける。
ご自身は、10%株価が下がったら『損切り』すると決めていたのに実行できなかった。どうして実行できなかったのかを考えるのがこの本の素材です。『心理上のカラクリ』があるそうです。
しろうと投資家がもうかっている状態は、単に経済の景気がいいからだった。高度経済成長期のご自身のことをそう割り切られています。自分の実力ではなかった。だれがやっても、だれもが、もうかった時代だった。
1989年日経平均株価最高¥38,915-が、2003年には¥7,607-です。
重ねての記述になりますが、そのときに、ご自身の保有する株の含み益1000万円が、溶けてなくなっています。当時著者は63歳です。
ご自身の投資が失敗した原因は、株式相場の動きではなく、ご自身の心の働きにあると決定づけられておられます。
10%下落したら『損切りする』というご自身で決めたルールを守っていたら、1000万円を失うことはなかった。記録をもとに計算したところ、手もとに600万円が残っていたそうです。
自己管理というような、自分で自分の心の動きをコントロールする力をつけるというようなご趣旨の本に思えます。うーむ。熊じいさん自身はわりと自分で自分をコントロールできるとうぬぼれています。ときに失敗もありますが、完ぺきにはできないし、完ぺきをめざしてもいません。
さて、どんなことが書いてあるのだろうか。
自分の欲望を満たす理屈をつくることを『やりくり』と表現されています。(なるほど)
1971年3月から始まる思い出話です。昭和46年です。昭和45年が大阪万博でした。
『商船三井』『日立』『新潟鉄工』の3つの株を購入されています。
1973年第一次石油ショック(昭和48年)中東情勢の悪化が原因:店舗からトイレットペーパーが消えました。
『信用取引』というものは、自分は知りませんが、知らないほうがいいと思っています。著者は手を出しておられます。(証券会社から株(お金)を借りて取引するようです)
1979年第二次石油ショック(昭和54年)イラン革命:これまでのもうけ300万円全てを失った。
読んでいると、今とはシステムがだいぶ違うことがわかります。パソコンもスマホもない時代です。
グラフであるチャートも今のように簡単に見ることはできなかった。
バブル景気:利益が800万円になった。
バブル経済の崩壊:1989年12月がピークで、大暴落になった。その後も、いつかは株価が上がると思い込んでいて、株を売却しなかった。株価は上がらなかった。『損をしたくない』という気持ちが、株の売却を思いとどまらせていた。結果的に1000万円の大損になってしまった。
先日読んだ『最短でラクラク2000万 手堅く稼ぐ! 成長株 集中投資術 株の買い時・著 KADOKAWA Kindle Unlimited 電子書籍』では『損切り』について、「7~8%損失が出たら売る」と書いてありました。こちらの本では「10%」です。だいたいそのあたりが、損切りをするときの目安(めやす。基準)なのでしょう。
この本を読んでいて歴史が感じられたので、思いついたことがあります。
わたしが保有する株ではありませんが、わたしの親族が保有する株をわたしが管理している銘柄があります。わたしに売買する権利はありません。めんどくさがりやで、事務仕事がにがてな親族なので、わたしが代わりに値動きなどを記録して管理しているだけです。かなり古い取得年月日です。購入後放置状態になっています。銘柄は書きにくいので、アルファベットにして考察してみます。
A社:1988年10月17日取得(昭和63年)1株8,610円 2023年5月某日現在1株13,165円
B社:1989年3月28日取得(平成元年。この年の12月がピークで大暴落します)1株4,210円 2023年5月某日現在1株2,003円
C社:1998年10月13日取得(平成10年)1株4,880円 2023年5月某日現在1株8,080円
D社:2001年2月20日取得(平成13年)1株21,710円 2023年5月某日現在1株2,411円
銘柄によって、大きく上がっているものもありますし、逆に、10分の1ぐらいに下がっているものもあります。合計では損失が出ています。まあ、なんともいいようがありません。購入した本人は、高齢になったあと、もう天国へ行かれてしまいました。形見として相続で保管してあるだけの株です。売却の予定もなく、配当金だけは相続した親族が毎年受け取り続けています。これらの株は、このまま次の世代へ引き継いでいく財産になる可能性が高いです。
なんというか、人は自分の死期が近づくにつれて思うことがあります。『自分がこの時代に、この場所にいたという証拠を残しておきたい』
そのひとつが『株』であったりもします。自分が残した株が子孫代々引き継がれていきます。株からは毎年『配当金』が子孫に対して支給されます。遺族年金のようなものです。子孫は先祖に感謝するでしょう。先祖の名前を忘れず、代々語り継がれることでしょう。あの人はいい人だったと。
こちらの本の著者は、株価が波瀾万丈(はらんばんじょう。いろいろ苦労があった)の経過をたどる時代を生き抜かれて、現在八十代になっておられるという実感をもって、この本を読み続けてみます。
人間の欲求について考える。
自分を肯定したい。
自分を否定したくない。
『やりくり』(自分の欲望を満たすための理由づくり)が始まると、現実と妄想との距離ができる。乖離(かいり。離れている状態)が起きる。喜怒哀楽の感情を抜いての理論的な判断ができなくなる。
参考になるかどうかわかりませんが、わたしは、ああしたい、こうしたいという欲望が満ちてきたときは、自分がつくった言葉に従うようにしています。『ひとつがまんすれば、ふたついいことがある』お得なのです。たいてい、ふたついいことがあります。ひとつは災難を避けることができる。(株取引の場合は、思いがけない下落があります)、そして、もうひとつは、「もうかる」です。あんがい、いい確率でラッキーなことがあります。『ひとつがまんすれば、ふたついいことがある』のです。
自分の体験からいうと、株価の最高値ぐらい(ピーク)で売却することはとてもむずかしい。これまで、たいていは、売却したあと、株価はさらに上がりました。もうそのへんになると、個人が生まれ持っている『金運』次第だと割り切るようにしています。あきらめます。
事前に、この価格になったら売る、この価格になったら買うと決めておいて、ロボットのような意識になって、機械的に処理したほうがいい結果につながる気がします。
本のほうは、株の売買取引で、なかなか迷う著者です。優柔不断なところがあります。自分でつくったルールをなかなか守れません。悩みます。人間らしくていい。
『やりくり』をしないことをめざしておられます。
『ノートに書く』という手法はなかなかいいと思います。わたしもメモ魔なので、たくさん書きます。メモ用紙、手帳、小型のノート、広告の裏紙白紙などに書きまくります。
書きながら頭の中を整理して行きます。ときには、言葉を図や大小の矢印に変えてみて思考したりもします。アイデアが湧いてきます。
本の最後のほうに書いてありますが、現実の勝率は6割程度だという考察があります。同感です。わたしも自分の方針として『人生は60点で十分生きていける』という自分でつくった言葉があります。勝負も6勝4敗でいいのです。全戦全勝なんてできません。
この本の主題である『カウンセリング』の部分には関心は湧かないのですが、損をしないためにあえてマイナスで株を売却しようという視点に関心が湧いたので読んでみることにしました。
ご本人の株式投資体験において、1990年代のバブル崩壊で1000万円を失ったそうです。
31歳から52年間株式投資を続けて、現在は82歳の方です。(この本の出版時)ベテラン投資家です。
自分のような失敗をほかの人たちには、しないでほしいそうです。
最近、政府は『投資』を勧めているけれど、気をつけてほしいというメッセージがあるのです。良心的です。
株式投資の人生をふりかえって計算し直すと、適切に『損切り』をしていれば、600万円が手元に残っていたそうです。
損切りして、手元に戻ってきた資金で、別の有望株に投資しなおしたほうが、損が少ないということはあります。
下がってしまった株の株価が再び上がる可能性は4割ぐらいで、6割の株の株価は下がり続ける。
ご自身は、10%株価が下がったら『損切り』すると決めていたのに実行できなかった。どうして実行できなかったのかを考えるのがこの本の素材です。『心理上のカラクリ』があるそうです。
しろうと投資家がもうかっている状態は、単に経済の景気がいいからだった。高度経済成長期のご自身のことをそう割り切られています。自分の実力ではなかった。だれがやっても、だれもが、もうかった時代だった。
1989年日経平均株価最高¥38,915-が、2003年には¥7,607-です。
重ねての記述になりますが、そのときに、ご自身の保有する株の含み益1000万円が、溶けてなくなっています。当時著者は63歳です。
ご自身の投資が失敗した原因は、株式相場の動きではなく、ご自身の心の働きにあると決定づけられておられます。
10%下落したら『損切りする』というご自身で決めたルールを守っていたら、1000万円を失うことはなかった。記録をもとに計算したところ、手もとに600万円が残っていたそうです。
自己管理というような、自分で自分の心の動きをコントロールする力をつけるというようなご趣旨の本に思えます。うーむ。熊じいさん自身はわりと自分で自分をコントロールできるとうぬぼれています。ときに失敗もありますが、完ぺきにはできないし、完ぺきをめざしてもいません。
さて、どんなことが書いてあるのだろうか。
自分の欲望を満たす理屈をつくることを『やりくり』と表現されています。(なるほど)
1971年3月から始まる思い出話です。昭和46年です。昭和45年が大阪万博でした。
『商船三井』『日立』『新潟鉄工』の3つの株を購入されています。
1973年第一次石油ショック(昭和48年)中東情勢の悪化が原因:店舗からトイレットペーパーが消えました。
『信用取引』というものは、自分は知りませんが、知らないほうがいいと思っています。著者は手を出しておられます。(証券会社から株(お金)を借りて取引するようです)
1979年第二次石油ショック(昭和54年)イラン革命:これまでのもうけ300万円全てを失った。
読んでいると、今とはシステムがだいぶ違うことがわかります。パソコンもスマホもない時代です。
グラフであるチャートも今のように簡単に見ることはできなかった。
バブル景気:利益が800万円になった。
バブル経済の崩壊:1989年12月がピークで、大暴落になった。その後も、いつかは株価が上がると思い込んでいて、株を売却しなかった。株価は上がらなかった。『損をしたくない』という気持ちが、株の売却を思いとどまらせていた。結果的に1000万円の大損になってしまった。
先日読んだ『最短でラクラク2000万 手堅く稼ぐ! 成長株 集中投資術 株の買い時・著 KADOKAWA Kindle Unlimited 電子書籍』では『損切り』について、「7~8%損失が出たら売る」と書いてありました。こちらの本では「10%」です。だいたいそのあたりが、損切りをするときの目安(めやす。基準)なのでしょう。
この本を読んでいて歴史が感じられたので、思いついたことがあります。
わたしが保有する株ではありませんが、わたしの親族が保有する株をわたしが管理している銘柄があります。わたしに売買する権利はありません。めんどくさがりやで、事務仕事がにがてな親族なので、わたしが代わりに値動きなどを記録して管理しているだけです。かなり古い取得年月日です。購入後放置状態になっています。銘柄は書きにくいので、アルファベットにして考察してみます。
A社:1988年10月17日取得(昭和63年)1株8,610円 2023年5月某日現在1株13,165円
B社:1989年3月28日取得(平成元年。この年の12月がピークで大暴落します)1株4,210円 2023年5月某日現在1株2,003円
C社:1998年10月13日取得(平成10年)1株4,880円 2023年5月某日現在1株8,080円
D社:2001年2月20日取得(平成13年)1株21,710円 2023年5月某日現在1株2,411円
銘柄によって、大きく上がっているものもありますし、逆に、10分の1ぐらいに下がっているものもあります。合計では損失が出ています。まあ、なんともいいようがありません。購入した本人は、高齢になったあと、もう天国へ行かれてしまいました。形見として相続で保管してあるだけの株です。売却の予定もなく、配当金だけは相続した親族が毎年受け取り続けています。これらの株は、このまま次の世代へ引き継いでいく財産になる可能性が高いです。
なんというか、人は自分の死期が近づくにつれて思うことがあります。『自分がこの時代に、この場所にいたという証拠を残しておきたい』
そのひとつが『株』であったりもします。自分が残した株が子孫代々引き継がれていきます。株からは毎年『配当金』が子孫に対して支給されます。遺族年金のようなものです。子孫は先祖に感謝するでしょう。先祖の名前を忘れず、代々語り継がれることでしょう。あの人はいい人だったと。
こちらの本の著者は、株価が波瀾万丈(はらんばんじょう。いろいろ苦労があった)の経過をたどる時代を生き抜かれて、現在八十代になっておられるという実感をもって、この本を読み続けてみます。
人間の欲求について考える。
自分を肯定したい。
自分を否定したくない。
『やりくり』(自分の欲望を満たすための理由づくり)が始まると、現実と妄想との距離ができる。乖離(かいり。離れている状態)が起きる。喜怒哀楽の感情を抜いての理論的な判断ができなくなる。
参考になるかどうかわかりませんが、わたしは、ああしたい、こうしたいという欲望が満ちてきたときは、自分がつくった言葉に従うようにしています。『ひとつがまんすれば、ふたついいことがある』お得なのです。たいてい、ふたついいことがあります。ひとつは災難を避けることができる。(株取引の場合は、思いがけない下落があります)、そして、もうひとつは、「もうかる」です。あんがい、いい確率でラッキーなことがあります。『ひとつがまんすれば、ふたついいことがある』のです。
自分の体験からいうと、株価の最高値ぐらい(ピーク)で売却することはとてもむずかしい。これまで、たいていは、売却したあと、株価はさらに上がりました。もうそのへんになると、個人が生まれ持っている『金運』次第だと割り切るようにしています。あきらめます。
事前に、この価格になったら売る、この価格になったら買うと決めておいて、ロボットのような意識になって、機械的に処理したほうがいい結果につながる気がします。
本のほうは、株の売買取引で、なかなか迷う著者です。優柔不断なところがあります。自分でつくったルールをなかなか守れません。悩みます。人間らしくていい。
『やりくり』をしないことをめざしておられます。
『ノートに書く』という手法はなかなかいいと思います。わたしもメモ魔なので、たくさん書きます。メモ用紙、手帳、小型のノート、広告の裏紙白紙などに書きまくります。
書きながら頭の中を整理して行きます。ときには、言葉を図や大小の矢印に変えてみて思考したりもします。アイデアが湧いてきます。
本の最後のほうに書いてありますが、現実の勝率は6割程度だという考察があります。同感です。わたしも自分の方針として『人生は60点で十分生きていける』という自分でつくった言葉があります。勝負も6勝4敗でいいのです。全戦全勝なんてできません。