2023年06月22日

月の立つ林で 青山美智子

月の立つ林で 青山美智子 ポプラ社

目次を見ると、五つ(いつつ)の章があります。
タイトルの『月が立つ』とはどういうことだろう。
五つの章には『月が立つ』はありません。
単純に考えると『月が昇る』です。

第一章:誰かの朔(さく? 人の名前らしい)
第二章:レゴリス(今はまだ、意味がわかりません)
第三章:お天道様(読みは「おてんとうさま」でしょう)
第四章:ウミガメ
第五章:針金の光

(読み終えて:群像劇でした。章ごとに主人公が変わります)

『一章 誰かの朔(さく)』
朔ヶ崎怜花(さくがさき・れいか):主人公女性。41年間ずっと同じ一軒家に住んでいるそうです。41歳です。未婚。元看護士。三か月前、総合病院を辞めた。実家暮らし。40過ぎの無職の未婚女性に貸してくれる不動産物件なしのため実家暮らしをしている。印刷所の事務員の求職に申し込んだ。
高校生のとき、うさぎ(小雪という名前)を飼っていたことがある。

朔ヶ崎祐樹(さくがさき・ゆうき):怜花の弟。『劇団ホルス(ホルスは「太陽神」古代エジプトの男神)』の劇団員。30歳ぐらい。あまり自宅では泊まらない。劇団の稽古場(けいこば)とか知り合いの家を泊まり歩いている。ツイッターのフォロワーが2300人ぐらい。

怜花の母:とくに特徴なし。

怜花の父:今年いっぱいで定年退職する。

樋口淳(夫):怜花宅の隣人。半年前、空き家だった隣家を購入して居住開始。フォトグラファー

樋口妻:猫を飼っている。WEBデザイナー。挙動不審。浮気しているんじゃないかと読者に思わせるような出だしです。(違っていました)51歳ぐらい。

ルナ:樋口宅の飼い猫。白い猫

神城龍(かみしろ・りゅう):52歳。28歳のとき劇団ホルスを立ち上げた同劇団の主宰者(しゅさいしゃ。中心人物。まとめる人)11年前に離婚した。高校生の息子と同居している。シングルファーザー

杉浦:看護師だった時の主人公の部下女性看護師。看護師経験三年目。プリセプター制度(先輩が後輩をマンツーマンで指導する)の先輩看護師役を務める。

近野(こんの):杉浦から教えられる後輩看護師。新人

和恵(かずえ):主人公の同僚看護師

 いい出だしです。
 『人のために役に立ちたいと、ずっとそう思ってきたけれど、「人」とはいったい誰のことなんだろう。』
 これから始まるのは、じっくり読ませる文章でしょう。

 パンプス:婦人向けの革靴。甲の部分が広い。

 急な旅行だから、家の飼い猫ルナを祐樹に預けるという隣家の樋口夫人です。(旅行は急にはしません。親族の葬儀ぐらいです)
 
 ポッドキャスト:アマゾンミュージック。ネット上で、音声・動画を公開する。この物語では『ツキない話 タケトリ・オキナ(秘密の人物として書かれています。推理小説的です) 毎日午前七時に10分間アップされている。ラジオのような無料コンテンツ 話の素材は「竹取物語」 月の通り道を「白道(はくどう)」と呼ぶなどの話が紹介される。出だしは「かぐや姫は元気かな」 月は年に3.8センチ地球から遠ざかっている……』

 いま21ページ付近にいます。
 しみじみとした雰囲気がいい感じの作品です。

(つづく)

 チュール:ねこのおやつ。水分を含んだペースト状の食べ物
 パウチ:フィルムでできた小袋
 『虹の橋を渡る』:猫や犬が天国に行くことの表現。宮沢賢治作品『銀河鉄道の夜』を思い出しました。わたしのかすかな記憶では、同作品では、水難事故(タイタニック号氷山ぶつかり沈没のイメージ)の死者たちの善良な霊が、夜空を飛ぶ蒸気機関車に乗って、天の川(あまのがわ。三途の川。さんずのかわのたとえ)を渡って、あの世(天国)へ行くのです。
 ツイート:書き込みの投稿
 リツイート:自分はツイッターというものをやらないのでわからないのですが、もう一回表示することのようです。
 リプライ:返信すること。
 ラスタ:ハンドメイドの通販サイト(この物語の中の設定のようです)
 朔(さく):ラスタで見つけた指輪の名称。作家の名前が『mina』1800円
 紗がかかる(しゃがかかる):ぼんやりしている。陰りが(かげり)がある。
 
 いいなあと思った文章です。
 『……濡れた衣服を洗濯カゴに入れるためだろう。そこに放り込んでおけば自動的にきれいになると思っていることが腹立たしい』
 
 この話の設定には無理があります。
 ふだんから実家にいない31歳の独身男に隣家の奥さんが、自分の旅行不在中の数日間、飼い猫のルナを預けるという設定です。

 主人公の朔ヶ崎怜花(さくがさき・れいか)について、退職してしまいましたが、看護師長への昇進話があったことが書いてあります。結果的には、ぽしゃっています。退職のきっかけのひとつでしょう。
 再就職話として、元看護士を事務職で使うのは雇い主としては、使いづらい。(やはり、不採用でした)看護師資格がある人は、看護師を続けたほうがいい。(その方向へ向かうようです)

 お話は、平面的です。
 ストーリーを楽しむよりも、語り手である主人公の心理の動きを読む小説です。
 主人公は看護して働いていて、部下への指導の面で落ち度があったのですが、根はいい人です。
 たいていの労働者は、賃金と休みのことしか考えていません。
 主人公はそんなことはありません。

 『朔(さく)(月における新月の意味があるそうです)(ブラックムーンストーンというものでつくってある)』という指輪が、ストレス社会で生きる自分へのご褒美(ごほうび)になる。

 9号:指輪のサイズ。4センチ9ミリ

 もうひとつ良かった表現です。
 『わ・た・し・は。』

 『生活をリセットする』
 推理小説のような運びです。

 ふーむ。思考を楽しむ文章です。
 生活臭(せいかつしゅう。暮らしぶりがただよってくる日常生活の雰囲気がありません)

『二章 レゴリス』
 しみじみとくるいい話でした。
 レゴリスとは…… あとから書きます。

青森県に実家がある『僕』のひとり語りです。
 僕(本田。芸名が『ポン重太郎』解散した漫才のコンビ名が『ポンサク』):宅配便会社ミツバ急便で契約社員として働いている。正社員ではない。軽自動車で配達をしている。
 22歳のときに地元の大学を卒業した。地元の信用金庫の就職内定を断って、お笑い芸人になりたくて青森県から東京に出てきて8年、今は30歳になったけれど、芸人としては売れないまま、お笑いの世界にかろうじてしがみついている。
 お笑い芸人養成所で出会った男とコンビを組んだが、相手がほかの道に行くと言って、お笑い界を去った。以降、ひとりでお笑いの活動をしているが、売れない。
 
てっちゃん:主人公の同級生。大学生の頃、故郷である地元で、主人公とコンビを組んでいた。『ゴエモンズ』がコンビ名だった。てっちゃんは、現在、地元にある公立中学校で教師をしている。

夜風(よかぜ):主人公のツイッターのフォロワーのアカウント名。人物不詳。性別・年齢・職業不明だが、主人公にとっては心の支えになっている存在。『いいね』をつけてくれる。夜風もツイッターをしているが、フォロワーはだれもいない。

恵里佳(えりか):主人公の妹。青森県にある実家の近くに居住。29歳。既婚。福祉施設勤務

吉沢:企画会社の社長

 以降、ツイッターのことなんかが書いてあります。

 今は9月。
 
 洋画『ローマの休日』:今の若い人は観るのだろうか。王女と新聞記者のふたりが乗っていたスクーターがベスパ(イタリア語で「スズメバチ」、すずめはイタリア語で「パッセロ」)

 黒歴史:暗い過去。恥ずかしい。なかったことにしたい。

 東京生まれの人と地方生まれの人の気持ちの表現が出てきます。
 地方から出てくる人は『志(こころざし)』が高いと思います。

 レゴリス:月の表面にある細かい砂。この砂のおかげで、月が美しく見える。太陽光を四方八方(しほうはっぽう)にはねかえす。

 主人公の父親の還暦祝い(60歳)がある。

 『月は昔エンタメだった』もいい表現です。エンターテインメント(人々の心を楽しませるもの)
 太古の昔、人々は白く輝く月を見上げる。日々、月の形は変化していく。神秘的な光景だったことでしょう。そして、月の周りには満点の星が広がっているのです。

 中途半端な自分がみっともない。(主人公の気持ち)

 心やさしいご両親がいます。『帰ってこなくてもいいし、帰ってきてもいいよ……』

 伏線が『靴づれ』です。なるほどという気持ちになります。うまい!

 月の話です。見えない新月(しんげつ。地球から月が見えない)に願いとか、祈りを立てる。(太古の昔から)しみじみと味わいが心に広がる作品です。
 文中にある解釈が素敵です。『……月って、願いよりも祈りがふさわしいと思うんです……だけど祈りは、なすすべのないことにただ静かに想いを込めることなんじゃないかな』
 月は人を見守ってくれている。
 心の中にある自分だけの信仰です。
 さわやかな読後感があります。

『三章 お天道様(おてんとうさま。太陽のこと)』
 味わいのある作品が続きます。
 こちらの作品は、嫁いだ娘を新月にたとえて、お父上(おちちうえ)が娘を思うせつない気持ちを表現してありました。

 夫 高羽:自営自動二輪(バイク)の整備工場経営 56歳 東京のはずれに居住
 妻 千代子:主婦
 長女 亜弥(あや):24歳 大卒社会人二年目で、できちゃった結婚になる。結婚式はしない。夫は大学の同級生
 長女の夫 内川信彦:大手電機メーカーのSE(システムエンジニア) 勤務地は福岡県内 夫の高羽は最初、娘のだんなになる内川のことを『知らん男』と表現する。

 『俺』という高羽のひとり語り一人称で話は進んでいきます。
 四十歳のときに自動車工場を辞めて独立した。
 二輪車が好き。二輪専門の自動車工場を自営している。

 これまでの章で登場してきた人物もからみます。ただしその姿は現れませんが。この本の素材である『新月(しんげつ。姿は見えないけれど確かにそこに存在している)』のようです。

 ノートパソコンとかアイパッドのことが書いてあります。
 熊じいさんは、10年間使い続けていたノートパソコンの動きが不安定になったので、先日新しいノートパソコンを電気店で買ってきました。
 いろいろ昔とは変わっていて驚かされました。
 今は、大きな画面のノートパソコンは少ない。SDカードのスロット(入れるところ)はないのが普通。パソコンのハードディスクにDドライブはない。クラウドに保存するのが当たりまえ。どんどん自動的に保存されていくシステムです。
 最初はとまどいましたが、慣れてきました。
 こちらの小説を読むと、ノートパソコンよりも指でタッチするタブレットのほうが今は主流のようです。ちょっと年寄りにはつらい。なんとか新しい技術ややり方についていきたいという気持ちがありますが、目はかすみ、脳みその働きも低下してきています。
 
 125ページの表現がなかなかいい。
 以下概略としてですが、昔から人は太陽と月をペアとしてとらえて、いろいろな思いをつくっていた。太陽が父なるもの、月が母なるものという位置づけをした。太陽は男、月は女(これはこれで男女差別になるのかも)
 このあと131ページで、太陽は父、月は母というたとえばなしがあります。(うまいなあ)

 父親から見て不本意な男に嫁いだ娘を『月』として心配する父親の愛情があります。
 されど、娘はもうその不本意な男の手にあるのです。
 そんな屈折した父親の気持ちが洗われる出来事があります。
 148ページにある『無言の心遣い(こころづかい)』という表現が光っています。
 ぶきようだけれど、心がやさしい人がいます。
 伏線として『熊みたい』があります。ていねいにつくってあります。
 156ページにある『月のキャッチボール』は、娘を月にたとえてあると思うのですが、ピンときませんでした。

『四章 ウミガメ』
 8月が18歳の誕生日である高校三年生女子高生の話です。母ひとり子ひとりの母子家庭です。
 中学一年のときに両親が離婚して、名前が『村田那智(むらた・なち)』から『逢坂那智(あいさか・なち)』に変わっています。父親は女をつくって家を出て行きました。

 女子高生の愛するものが、なんだかんだあってようやく買ったスクーターです。(買ったときは、中古でボロボロで泥で汚れていた。車種は「ベスパ(74ページに記事がありました)」)
 スクーターに自分でつけた愛称が『夜風』です。
 女子高生は孤独な毎日を送っています。高校へ行っても友だちはいません。

神城仁(かみしろ・じん):逢坂那智のクラスメイト。母親が切り絵作家

 こちらの四章で、これまでの章に出ていた人物とか話の展開がつながっていきます。じょうずな構成です。感心しました。

 出だしの一行目がいい。
 『さびしいと思わずにすむ一番の方法は、人と関わらないことだ……』
 なかなか書ける文章ではありません。
 さらに160ページで『明るいと思っていた場所で生まれてみたら、この世は真っ暗で、雨で……』(すごいなあ。こういう文章はなかなか書けない。この作品が本屋大賞を受賞しても良かった)
 
 ジェンガ:木片でつくられたタワーをくずさないように、順番にひとつずつ木片を抜いていく。

 このつながった短編集では『タケトリ・オキナ』が語るポッドキャストが、各章の主人公をつなげていきます。
 女子高生の父親は女をつくって家を出て行き、離婚後の母親は恋人を変えながら歳をとっていく。女子高生は、こんな家は高校を卒業したら出て行ってやるといきまいている。
 女子高生はさみしい。父親似の自分の顔を母親は嫌っている。女子高生はともだちがいない。
 女子高生の心の支えは『スクーター(愛称:夜風)』です。

 もうひとり、ともだちがいなさそうな男子高生が出てきます。意外に女子高生のそばにいた人物でした。彼もひとり親家庭です。

 バイク通学はしてはいけない。バイトはしてはいけない。
 世代と住む場所での意識の差を感じます。
 わたしが高校生の時は、バイク通学は当然でした。
 いなかゆえ、通学の足がありません。バス停までの距離が遠い。バスの本数がない。
 先日、BSテレビで、去年の鎌倉時代を題材にした大河ドラマにも出た若手の俳優さんが、出身地紹介ということで、福岡県の山のふもとあたりにあるまちを旅する番組を観ました。自分の高校の同級生たちが住んでいるところでなつかしく拝見しました。同級生たちは毎日高校までバイクで通学していました。雨の日はカッパを着てバイクで高校まで来ていました。
 アルバイトの制限というのは、生徒を守るという意味があるのでしょうが、どちらかといえば、事故があった時の、学校関係者たちの責任回避が目的ではなかろうか。
 わたしは中学二年生の秋から高校を卒業するまで朝刊の新聞配達をしていました。母子家庭のこどもは働かないと、修学旅行の積立金や給食費、参考書や問題集を買うお金がないのです。
 そんな話を就職したときに同期で採用された女の子に話をしたことがあります。その女の子は、自分は牛乳配達をしていたと言ったのでびっくりしました。その子も母子家庭でした。
 女の子は、大卒の学歴よりもお金が欲しかった。自分が働いてもらった給料で、自分が着たい服を買いたかった。自分のお金で自分が食べたいものを買って食べたかったと言っていました。
 この本に出てくる女子高生を本の中で見ていて思ったことです。
 『自立心がないと仕事は続かない』
 
 うまいなあと思わせてくれる文章表現です。
 167ページ『ひとめ見て、この子だ、とわかった。思ったんじゃない。わかったんだ。』

 男女の出会いがあります。
 素敵な話がつくってあります。
 
 両親が離婚した体験をもつ人にとって実感がわく作品です。

 『……学校ってすごいよね、いろんなこと教えてくれて』(いい感じの表現です)

 主人公女子高生のお父さんについてです。
 そうか、お父さんはお母さんに束縛(そくばく。何かと命令や指示をされて、自分の思いどおりのことができない)される人生がイヤで家を出て行った。父は母に寄生されていた。

 75ページにある『東緑地公園』が再登場しています。

 読み終えました。
 すごい。力強い作品に仕上がっています。

『五章 針金の光』
私:南沢睦子(みなみさわむつこ 「苗字(みょうじ)から minaと名乗る」)→結婚して「北島睦子」。ハンドメイドアクセサリー販売をしている。結婚して三年。25歳で結婚した。「ラスタ」というハンドメイド通販サイトに出店している。『ワイヤーアクセ』という工芸品の制作をしている。

剛志(つよし):minaの夫。ひとりっ子

剛志の母:息子夫婦の賃貸マンションから徒歩10分のところに住んでいる。

篠宮(しのみや):編集者。24歳女子。『グーグル・ポッドキャスト』の番組を配信する仕事をしている。

リリカ:切り紙作家。イギリスのアートコンクールで受賞歴あり。50歳手前のほっそりした女性

深川:隣町の町内会長

 縁があります。つながりです。物語は、最終章です。

 仕事場と日常生活を送る場所は分けたほうがいい。
 夫婦仲がうまくいかないmiwaです。
 『もうだめかもしれない。私たち夫婦は。』とあります。(その部分を読んで思ったことです。お互いになにかひとつでも尊敬できるところがあれば、ほかのことは許せるということはあります)

 バングル:ブレスレット。留め具はない。

 タイトルにもある「月が立つ」の意味があります。なかなかいい。
 この本を買って読まない人にとっては、一生知ることもないであろう情報であることから、ここに記しておきます。
 「月が立つ」は、「月の始まり」を指す。新月の状態です。(太陰暦において)新月が、一か月の始まりの日だった。「つきがたつ」という言葉がやがて「ついたち」に変化した。「一日(ついたち)」です。
 これから、始まるのです。
 そういうことかと腑に落ちました。(ふにおちる。納得する)
 新月の夜に林がある。林の木々の一本一本が人間で、それぞれにつながりがあるのです。
 そして、これから始まるものがある。
 人は過ち(あやまち)を犯す。
 ただし、再起はできる。
 いつだって『今』が始まりなのです。めげなくていい。
 (林は、竹林のイメージがあります。竹林に立つ竹は、土の下で、根っこは、お互いにつながっているのです)

 (すごいなあ。こういうふうには書けません)
 夫から、誕生日に欲しいものをたずねられて、妻は『ひとりの時間が欲しい』と答えています。

 男性が女性を自分の所有物と思う男性の心もちがあります。まちがった考えです。

 この世には、自分の世話をしてくれる人の悪口を言うことで自分の心を支える人がいます。
 直りません(なおりません)。悪口を言うことをやめると、その人は死んでしまいます。生きていても死んでいるような状態になります。しかたがありません。しかたがないから悪口を聞くしかありません。

 目薬とアロマオイルを間違えて目にさしてしまう主人公です。(そんなことがあるのだろうか。アロマオイルというものを自分は知らないので、似た容器に入っているのでしょう)

 『救急医療相談』(そういうところ(ネットでの情報提供サイト)があるのか。初めて知りました)

 そうか、タケトリ・オキナがだれなのか判明しました。その部分を読んで思ったことがあります。
 先日自衛隊の隊員候補生が訓練中に小銃で上司と先輩に発砲する事件がありました。
 小さなころに絵本をしっかり読んでいたら、あんな事件を起こすことにはならなかったと思うのです。

 さきざき、ドラマか映画になってほしい作品です。
 ていねいにつくられた作品です。
 最初は関係なかったことが、(本人は知らないのですが、読者にはわかる)判明していくのです。月明かりに徐々に照らされてわかっていくような感覚があります。
 すごいなあ。こんなふうには書けません。
 『西の空の低いところに、二日目の月が見えた』
 最後の一行(いちぎょう)も良かった。
 『あの針金のような光は、これから確かに、ゆっくりと膨らんで(ふくらんで)いくのだ。』
 
 読後に調べたら、以前この作者さんの作品で『お探し物は図書館まで』を読んだことがありました。
 それから、わたしは、これから読む本を段ボール箱の中に並べてあって、そのなかに同作者の『赤と青とエスキース』がありました。わたしは、書評を読んで回っていて、評判が良かった作品はとりあえず取り寄せて、順番に読んでいます。まだ、先になると思いますが、その本の感想もいつか書くでしょう。


 竹林の話が出てきます。タケトリ・オキナのつぶやきです。『竹林よりお送りしております』
 朝、熊太郎じいさんが歩く散歩コースに、きれいな竹林があります。
 最近の竹林のようすを写真にして、ここに落としておきます。
 つゆどきの雨に濡れて、しっとりとした雰囲気をただよわせています。















 小説『月の立つ林で』は、いい作品でした。

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