2020年09月13日

ガープの世界 アメリカ映画DVD

ガープの世界 アメリカ映画DVD 1982年公開

 奇想天外なほら話の類(たぐい)ですが、けっこう胸にぐっときて、受け取るべきメッセージがありました。

 こどもはほしいけれど夫はいらないという看護師のジェニー・フィールズが、不正な方法で妊娠して出産したのがガープという男子で、その子の幼児期から、中年期までを、母親のジェニー・フィールズをまじえて物語化してあります。なお、ガープの父親は戦傷病者で亡くなっています。
 母親は今は、おそらく、高校の学生寮で、住み込みの子連れ看護師として働いています。その後は、障害者施設でも働きます。ガープはまだこどもです。
 未来においては、ガープも母親のジェニーも小説家になります。

 シリアス(深刻で、暗くて、悲劇)なのに、コメディ仕立てで笑ってしまいます。悲しい話なのに笑いがあって、ああ、創作物語を観たという実感が湧きました。
 独特な世界観があります。奇妙ですがおもしろい。ふつーじゃない。
 「死」とか、「命」を考える映画です。いつかはみんな死ぬんだよ。だから、しっかり生きていくんだよというメッセージがあります。
 性的な人間の本能の部分をむきだしにしてあっても不快にならない程度に抑えて表現してあります。
 看護師のママの存在が、物語にとって大きい。
 ごつい女性のような男性が登場します。彼(彼女?)もまたいい役割を果たします。
 強姦されて、口止めのために舌を切られた女子がいて、彼女を支援する女性団体がいる。状況は重いのに、そう感じさせない。
 三角関係みたいな男女関係があります。
 夫婦双方の浮気もあります。けっこう悲惨です。夫婦というものは、夫婦になったら、相手の浮気の一回ぐらいは許す度量が必要なようです。争いごとは、双方にとってマイナスを生じます。
 狙撃で血を見るシーンもあります。
 
 ストーリーの中にストーリーがあって、いずれも架空のものです。壮大なほら話なのです。

 救われる気分になれた映画でした。

 良かったセリフなどとして、
「あなたの助けが必要なのよ」
「さみしかった」
「わたしもよ」
「ママ、父親は必要なかったよ」
「このところ小説を書く気にならない。過去のことばかりを思い出す」
「人生は冒険だな」

 小さなかっこいい車が出てくるシーンが良かった。