2020年04月06日

ロウソクの科学 ファラデー

ロウソクの科学 ファラデー原作 平野累次・文 上野優歩・絵 角川つばさ文庫

 リチウムイオン電池でノーベル化学賞を受賞された吉野彰博士が出演していたテレビ番組で紹介されていた本です。読んでみます。
 原作をわかりやすくするために、小学五年生のふたご、陽菜(ひな)と大翔(ひろと)が出てきて、原出先生(ファラデーのつもり)から学びます。
 
 マイケル・ファラデー:イギリスの科学者。1791年生まれ。日本では、江戸時代、十一代将軍徳川家斉(とくがわいえなり。十五代徳川慶喜が最後の将軍。老中筆頭松平定信。寛政の改革。本居宣長の古事記伝。十返舎一九の東海道中膝栗毛。間宮林蔵樺太探検など)。本書中に、ファラデーは、江戸時代の日本から取り寄せられたロウソクを人からもらったと記述がありました。

 近所の雑木林にある「ロウソク理科研究所」というところで学習します。
 洋画ハリーポッターのシーンを思い出しました。たくさんのロウソクが空中に浮いていました。好きなシーンです。
 
 この本では、牛脂が油として出てきます。お肉の白いかたまりが思い浮かびます。
 牛脂を湯煎で溶かす:材料を入れた入れ物をひとまわり大きな鍋に入れた湯の中へ入れて熱を加える。(23ページに絵がありました)

 『考察』が大事とあります。なぜ、なぜ、どうして。理由を発見する。
 固体(たとえば氷)、液体(水)、気体(水蒸気)。冷やしたり温めたりすることで形を変える。体積が変わる。氷は水に浮く。同じ体積だと氷よりも水のほうが重い。

(つづく)

 表面張力:液体の性質。分子が引っ張り合ってこぼれそうでこぼれない。

 個体になった油があって、芯になる素材があって、ろうそくができる。

 ファラデーは小学校しか行っていない。貧しかった。製本所で働きながら本を読んで勉強した。

 実験を文章にしてあるのでわかりにくい面もあります。(実際に実験に立ち会うことのほうがわかりやすい)

 るつぼ:実験で使用する耐熱容器
 ヘリウムガス:ギリシャ語で「太陽」。無毒。風船、気球、飛行船に利用。甲高い奇妙な声をつくる。

 記述内容は簡単そうにみえるのですが、文章を読みながら頭の中で想像して理解する作業は簡単ではありません。けっこうむずかしい。
 6日間、24回の実験をすることで1冊の本ができあがっています。

 ものを燃やすことができる「酸素」、燃やすことができない「窒素」、窒素があるから「消火」ができる。読みながら思ったことは、ものごとにはプラスとマイナスのふたつの面がある。どちらか一方だけでは生命を維持することはできない。
後半は、生物学の講義を聴いているようでした。良かった言葉として、「理科を学ぶことで、環境のつながりも見えてくる」  

Posted by 熊太郎 at 06:30Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2020年04月05日

アントマン 洋画DVD

アントマン 洋画DVD 2015年公開

 アリ人間、身長1.5センチということで、映像でどんなふうにアクション仕立てにしていくのだろうかという興味をもちながら観始めました。
 人間の体が小さくなる理屈はよくわからないのですが、これは、映像を楽しむ映画です。特撮(特殊撮影)ものです。主人公が、小さくなったり、元のサイズに戻ったりをくりかえしながら、観ている者に、楽しい思いをさせてくれます。
 軍事目的の究極の兵器がアントマンだそうです。イエロージャケットは多目的武器で、着用すると体がちっちゃくなって、相手と戦うこともできるし、機密情報の世界へ侵入することもできます。
 アベンジャーズというのを知らないのですが、翼が生えていてかっこいい。また今度観てみます。
 人間ドラマとして、親子、父と娘の愛情関係をからませてありますが、アクション優先で鑑賞しました。
 女優さんは髪型がチコちゃんカットみたいで、ほかのヘアスタイルのほうがよかった。
 「車はないが羽はある」ということで、主人公が羽アリのアントニーの背中にのって空中移動する姿に見とれました。
 生かすも殺すもできるのが映画と再認識しました。
 機械は壊れる。機械は壊すことができる。
 手に汗握る感がありました。
 異次元移動のような光景は、万華鏡(カレイドスコープ)のようできれいでした。  

2020年04月04日

若おかみは小学生 邦画DVD

若おかみは小学生 邦画DVD 2018年公開

 本は最初の巻(かん)だけ読んだことがあります。
 おととしの夏、映画館で評判が良かったのを覚えていますが、観る機会はありませんでした。

 観終えて、いい映画でした。今年観て良かった1本です。思いやりの映画でした。
 作品の主題として、「復讐、仕返し、憎しみ、憎悪」という作品が多いなかにあって、本作品は、「対立相手との協調」を重視しています。あわせて、たとえ自分が恥をかくことになっても、誇りをもって自分の役割を果たすというメッセージがあります。そこが、神社で八百万の神(やおよろずのかみ)を信仰する日本人らしくていい。バランス感覚に優れています。意図的に悪事を働いたのでなければ相手を許容します。映画では、そこからお互いの助け合いが生まれています。
 
 小学生主人公おっこは、ゲゲゲの鬼太郎状態です。彼女のまわりをゆーれいが固めています。うりぼう(祖母の幼なじみ7歳で事故死)と秋好旅館の後継ぎで感じが悪い同級生秋野真月(あきのまつき)の7才で亡くなった姉のゆうれい美陽(みよ)、あとは、くいしんぼうの小鬼で鈴鬼(すずき)くんがいます。ゆうれいの美陽(みよ)がときおり、「byなになに」とつぶやきます。気に入ったのは、byディズニーの「夢みることができれば実現できる」でした。

 良かったセリフなどとして、「(困っている人がいたら積極的に声をかけようという趣旨で)具合でも悪いのですか? 道に迷われたのですか?」、「みんなが(わたしのことを)心配しているからがんばらなくちゃ」、「春の湯温泉のお湯はだれも拒まない。すべてを受け入れていやしてくれる」、「気にしなーい」、「意地はあるけれど、お客さんには喜んでもらいたいから(敵であるあなたに)頼ります」

 ラストシーン、神楽の踊りの絵が力強い。

 物語のなかでは、旅館同士の対立構図があるのですが、本来は協力関係がある組織だと思っています。


2019年1月6日付読書メモ
若おかみは小学生! 令丈ヒロ子(れいじょう・ひろこ) 講談社青い鳥文庫
 昨夏の映画は観ていませんが、評判はいいようなので読むことにしました。
 小学生女子が和風旅館のおかみさんをやるという設定は、なかなか発想できません。

 両親が事故死(まだ、なんの事故かがわかりません。主人公も同時に事故にあっています)、旅館経営者のおばあちゃんに引き取られるという設定は涙を誘います。
 そして、座敷わらしの登場です。
 主人公の関織子(おっこ)は、いじわるそうな女の子、旅館の人たち、同級生などに囲まれています。
 「あかね」という男子は実は女子ではなかろうか。

 座敷わらしのウリ坊のセリフは文字の字体を変えてあります。幽霊がしゃべりそうな字体です。ウリ坊にはなにか秘密があります。

 物語作成にあたっては、「旅館経営」の知識が必要です。

 「春」と「秋」で、ふたつの旅館が対立しそう。

 ウリ坊はインドの神ガネーシャみたい。また、洋画「ゴースト」のようでもあります。

 読者は読んでいるとだんだん「がんばれ、おっこ」と、主人公を応援したくなります。失敗やドジは成功のもとです。

 「お仕事小説」の面があります。仕事を学ぶ小説です。

 イラストの絵が可愛い。

 良かったセリフの趣旨として、「顔が良くても性格もいいとは限らない」、「(旅館の)朝のミーティング」、「(旅館は客にとって)一時的な滞在地」

(つづく)

 失敗する主人公おっこ(11歳)関織子を見ているとかわいそうになります。おっこは、旅館経営者の祖母の役に立とうと一所懸命です。
 小学校の登校拒否児として、あかね(男子)がいます。
 温泉地での料理コンテストが開催されます。
 調べた言葉として、「ピューレ:野菜果物を半液体状にしたもの」
 がんばれば報われるという成功物語です。でも無理はしないでね。
 「若おかみ」として、世間が認めてくれます。

 最後に主人公が巻き込まれた事故の概要がわかります。やはり、交通事故でした。
 主人公は12歳小学6年生だと思って読んでいましたが、11歳小学6年生でした。
 初版が2003年で、15年経って映画化されたのだとわかり、15年は長いなあと感慨がありました。
  

2020年04月03日

太川&蛭子路線バス乗り継ぎの旅 三重県松阪駅から長野県松本城

太川&蛭子ローカル路線バス乗り継ぎの旅 第12弾 三重県松阪駅から長野県松本城 2012年(平成24年夏) テレビ番組再放送

 名作です。三泊四日ですが、かなりの距離を歩きました。成功しています。見たことのある街の風景がたくさん出てきます。路線バス、コミュニティバスだけで走破したのはミラクルです。地図でルートをふりかえってみましたが、すごいなあ。感嘆に尽きます。
 路線バスは廃止傾向にあるのですが、高齢者の運転が危ういいま、路線バスが見直されて復活するような気がしてなりません。

 8年前の映像です。えびすさんが若くてやるき満々です。ゲストは加藤紀子さんで、けんかをするふたりの仲介役をしたり、バス路線を新規開拓したりと大活躍でした。

①トンネルと抜けると豪雨じゃないと言っていたら、ものすごい豪雨の中で立ち往生する三人でした。
②(えびすさん)「(バス関係者の人たちの)言うことを聞いちゃダメ。無理と言われても無理じゃなかったことがこれまでに何回もある(バス関係者は自社のことしか知らないから)」
③えびすさんがはいている靴の先がぱっかり開いて、えびすさんが靴をキャラクターにみたてて腹話術をやります。加藤紀子さんが、靴先の開いた部分に藁(わら)を食べさせます。
④えびすさんが、名古屋市内のバス停に立っているのに、「名古屋まで行きたいんですけど」と何度も運転手に繰り返す。(名古屋のどのあたりに行きたいのですか)
⑤(えびすさんが道を聞きながら)「道はちゃんとあるのですか?」(国道ですからありますという返事)
⑥ふたりが目的地バス停(河合小橋)を記録しなかったので行き先がわからなくて大ゲンカになったとき、(太川)「(この番組は)もうこの回で終わりだ」(えびす)「仕事がなくなるからそれはだめ」(太川)「(えびすさんは本業のマンガ家で)絵で食べればいい」(えびす)「絵は売れない」その後、加藤紀子さんがルートをきちんとメモしていて、(えびす)「オレいらなくなっちゃう」
⑦長野県馬籠の宿あたりでフランス人観光客の若者に積極的に話しかけるえびすさんにフランス留学経験がある加藤紀子さんが、「ちゃんと話せないのに、どうして果敢に挑戦するの?!」
⑧(車窓から美しい色の池が見えて加藤紀子さんと太川さんが)「バーベキューをやりたい」(えびすさんが)「オレは室内の冷房がきいたところがいい」
⑨(バス停がないので歩くことになって)太川「歩きましょう」、えびす「毎日歩きだよ」、加藤紀子「またやせる。これって、路線バスの旅じゃなくて歩きの旅になってない!?」
⑩今、午後6時と聞いて、えびす「もう」、太川「まだ」と同時に発声。えびすさんは、早くホテルに行きたい。太川さんは、さらにバスに乗って距離を伸ばしたい。

 一日終えてのジョッキビールがおいしそう。
 旅は思い出の道しるべになります。
 瀬戸焼のお皿がきれいでした。
 いずこも駅周辺の市街地がきれいに整備されていたことが記憶に残りました。
 太川さんが選択した、行き詰まったら、バスルートを戻るという行為に感心しました。教訓があります。壁にぶつかったら無理をして前進するのではなく、勇気をもって後退することが、未来のためになるときもあると教えになりました。
 バス旅は、うれしい時もあるし、悲しい時もあります。まるで人生みたいです。
  

2020年04月02日

海よりもまだ深く 邦画DVD

海よりもまだ深く 邦画DVD 2016年公開

 今年観て良かった映画でした。最後は観た人にこの親族の未来を想像してもらう終わりかたです。それぞれ、こうなってほしいと思うところがあるのでしょう。家族関係の修復ができるとか、できないとか、一発なにか良いことで大当たりがないかとか、ハッピーエンドの未来を想像したい。

 最初のうちは、主人公の篠田良多(しのだりょうた。阿部寛さん、離婚して、13才の息子に養育費を支払う義務と面会の権利あり)のいいかげんな生活ぶりが熱演で、観ていて嫌気がさすのですが、それも監督の意図するところでしょう。
 後半、台風のために、祖母、長男、長男の元妻、孫の四人が、ひとり暮らしをしている祖母宅で一夜を過ごします。家族の「回復」を求める風景がかいま見られる優れた作品へと発展していきます。

 篠田良多は島尾敏夫賞を受賞して、その後、売れない小説家をしながら、興信所で人の弱みを握った写真で、不正なポケットマネーを手に入れつつ、その金を競輪につぎ込んで失うというような生活をしています。あわせて、ひとり暮らしをしている母親の部屋からもお金を盗んでばくちにつぎ込んで失います。まあ、いいかげんな男ですが、こういう人はいます。ものすごくひどいというわけではありません。暴力がないだけいい。篠田良多は息子をよく可愛がります。息子も父親になついています。父親本人も人格的にはこどもで、まだ、大人になりきれていない部分があるのでしょう。あるいは、本人も気づいていない状態で父親の深層心理として、大人になりたくないのかも。
 彼の受賞話を聞いて、島尾敏夫作品の内容は第二次世界大戦中の話で、高校生のころに読んだことがあるのを思い出しました。

 母親役の樹木希林さんが発信する言葉の意味が深い。樹木希林さんと長女役の小林聡美さんとのふたり芝居、同様に、希林さんと阿部寛さん、希林さんと真木よう子さん(長男の元妻)の各シーンで、希林さんのセリフが光っていました。
「(子どもの数が減って団地内の公園に子どもがいない)静かだね。もう遊ぶ子どもがいないからね」
「(花も実もつけない木に水をやりながら、息子に対して)あんたみたいだね」
「(だれでも)なにかの役には立っている」
(13才の息子が父親に向かって)「お金だいじょうぶ?」
(同じく孫が祖母に)「宝くじが当たったらいっしょに暮らそう」
13才の息子が、父親の篠田良多と連れションをするのですが、そのときのトイレでの父親の姿が情けない。
(孫が父親篠田良多が買ってくれた野球のスパイクを家ではいて、床が傷だらけ。祖母の樹木希林さんが)「おばあちゃんといっしょ。傷だらけ」
「(台風の)こんな日に、おばあちゃんをひとり残して帰っていくの?泊っていきなさいよ」(孫が泊ることになって)「ほら(わたしは)急に元気になっちゃった」
「文才はとってもステキなもの」
(元妻の言葉)「愛だけじゃ生きていけないのよ大人は」
(孫の言葉)「ヒーローはおばあちゃん」

 祖母宅でみんなが集まっているところで孫が作文を読むシーンを観て、そういえば、自分もそういうことがあったと、もう忘れていた小さいころの記憶が呼び起こされました。父が病死する少し前のことでした。

 不倫を盗撮されるのは芸能人やタレントばかりだと思っていたら、映画のなかでのことですが、興信所の職員がバンバンそういう写真を撮っているのを見て一般人もかと驚きました。

 BGMの口笛の音色に気持ちが落ち着きました。

 昭和40年代の大規模団地の生活の記憶がよみがえりました。タコのすべり台がなつかしい。

 父親になるってどういうことだろうと主人公が思うシーンがありました。
 母は子を産んだことから母親になれますが、父は父になる努力をしなければ父親にはなれないのです。

 相手の至らないところを許していっしょに生活していくのが家族

 先日NHKのテレビ番組で観た愛知県内で暮らす89才のひとり暮らし高齢者女性が決断した時の言葉を思い出しました。施設入所か、東京に住む娘さん夫婦と同居するのか迷うのですが、「人生の最後は、他人に迷惑をかけるのではなく、身内に迷惑をかけることにしました」という言葉が名言として心に残っています。  

2020年04月01日

うなぎ 邦画DVD

うなぎ 邦画DVD 1997年公開

 名作といわれますが、わたしには合わない作品でした。ストーリーが破たんしています。あわせて雰囲気が暗かった。
 
 冒頭で謎の女によって、奥さまが浮気をしているという密告の手紙が読まれますが、この時点で、「この女性はだれ?」という疑問が湧きました。

 何の事情も聴かずに夫が妻をいきなり刃物で刺すという設定はどうなのか。
 受刑者で仮釈放中の主人公である山下さんは、飼育するうなぎと話をするのですが、話をするシーンは少ない。うなぎと人間がしゃべるのは異様です。
 
 役所広司さんと清水美沙さんのふたり劇、役所広司さんと佐藤允(さとうまこと)さんのふたり劇、役所広司さんと柄本明さんのふたり劇です。柄本さんは若い。まるで柄本明さんの息子さんを見ているようでした。

 清水美沙さんが服薬自殺未遂するところが不可解。好きになってはいけない男(ひと)を好きになったようには、その後の経過からそう見えません。

 宇宙人を呼び寄せる話題は何を意味したのか。人間が苦手、人間がキライ、だから宇宙人と話す。同じようにうなぎと話すという理屈が紹介されますがピンときません。

 柄本明さん(山下と同様の刑務所での服役囚)の横入りの登場は、安易な展開

 市原悦子さんが怖かった。突き抜けていて、フラメンコを踊る姿が珍妙でもありました。

 仮釈放制度と保護司制度のことがあり、関係者が見たらいい気持ちがしないかも。

 (浮気をした妻を刺殺したのは)好きだから許せなかった。(愛が憎しみに変化した)
 
 しょせん「金(かね)」なのか。

 うなぎが人間を笑っているような。

 映画の一番の難点は、他人のこどもを自分の子としては、なかなか育てられないということ。