2020年04月23日

最初の晩餐 邦画DVD

最初の晩餐 邦画DVD 2019年公開

 「家族」を考える映画でした。

 お通夜のワンシーンに、回想をからませながら、最後まで引っ張ります。

 五人家族ですが、夫の連れ子がふたり(お姉ちゃんと弟)、妻の連れ子がひとり(高校生ぐらい男子)で、再婚同士です。継父、継母、血縁関係がないきょうだいの関係があります。子どもにとっては、かなりつらい。子どもはあきらめるしかない。
 有名な役者さんばかりなので、ひとりひとりが独立しているようで、見ていて、夫婦は夫婦のように見えないし、親子は親子のように見えないし、きょうだいはきょうだいのように見えなくて、そういう点で、うまくいかない家族像が上手に構成されていました。

 おそらく癌で亡くなったのが、父親役の永瀬正敏さんです。彼が残した遺言代わりのレシピをもとにして回想が進んでいきます。
 最初の晩餐が、「創作目玉焼き」でした。以降、みそ汁(赤味噌、白みそでもめるのは、体験したことがある人間にはわかりやすい)、やきいも、焼き魚の骨(骨がのどにひっかからないようにするための、おまじないがあります)、マッシュルームピザ、餃子(ぎょうざ)、大きなチャーシューが入ったラーメン、すき焼き、おはぎと続いていきます。

 登場人物たちは、九州弁でしゃべりますが、背景の風景は九州ではありません。本州のアルプスがある地方に見えます。九州地方で育ったことのある人間には違和感があります。

 暗い。無言の時間帯が、観ていて重苦しい。亡くなった永瀬正敏さんは、「すまん」を繰り返すばかりです。

 母親役斉藤由貴さんの存在感が薄いと感じていたのですが、彼女の告白によって、後半部になって、それまで隠れていた家族の秘密が表面に出てきます。
 重苦しい。セリフのひとつとして、「おれたちは、お互いに知らないことだらけだ」

 家族って何だろうという問いが繰り返されます。「家族」は、与えられるものではなく、お互いが努力しないと、「家族」は成立しない。
 どうして結婚するのか、どうして、叔父叔母がいるのかという問いもあります。ひとりだとさみしいから支え合うために配偶者を求め、子をつくり、血縁関係や姻族関係を築くということはあります。

 最後は、亡くなった父親役永瀬正敏さんの食事の趣向で楽しく終わる映画でした。