2024年12月17日

あめだま ペク・ヒナ作 長谷川義史・訳

あめだま ペク・ヒナ作 長谷川義史(はせがわ・よしふみ)訳 ブロンズ新社

 先日読んだ、『ぼくは犬や ペク・ヒナ作 長谷川義史(はせがわ・よしふみ)訳 ブロンズ新社』と同じ作者、訳者の絵本です。
 『ぼくは犬や』が、2020年(令和2年)の発行で、こちらの、『あめだま』が、2018年(平成30年)の発行です。
 同じ登場人物が出てきます。
 こどもさんの名前が、『ドンドン』という男の子で、『あめだま』のほうは8歳で、『ぼくは犬や』のほうは、3歳ぐらいに見えます。時系列でいうと順番が逆ですな。
 こちらの、『あめだま』の絵本のほうが売れているようですが、わたしは、先日読んだ、『ぼくは犬や』のほうが好みです。『ぼくは犬や』のほうが好きですな。
 ちなみに、犬のお名前は、『グスリ』です。

 立体的な写真に見える絵本です。
 リアルです。表情とか、とくに手のひらのしわとかが本物の人間の手みたいです。

 紅葉がきれいな絵本でした。
 葉っぱが、黄色とかオレンジ色です。
 紅葉(もみじ)や、イチョウの木の葉っぱが地面に落ちて広がっています。

 8歳(日本だと小学二年生)のドンドンが、犬のお散歩で、グスリの首に付いているヒモを引っ張っています。
 ドンドンは、新しいビー玉が欲しいそうです。

 文房具屋か雑貨屋のおじいさんが、ドンドンに、あめだまが入った袋をくれました。
 袋には、6個のあめだまが入っています。

1個目のあめだま:ハッカ味。あめだまをなめると、しゃべらない物がしゃべる声が聞こえるという効果があるらしい。自宅の居間にあるリビングがしゃべる声が聞こえてきます。
 読んでいて、笑いました。ソファーが言います。お~れの(ソファーの)わき腹にテレビのリモコンがはさまっているから取ってほしい。わき腹が痛いそうです。
 あわせて、キミのパパの『おなら』がつらい。息ができんと訴えてきます。おもしろい。

2個目のあめだま:犬のグスリが話す声が聞こえてきました。自分はもう年寄りの犬で、若い頃のような元気はなくなってきているから、いっしょに駆け回って遊ぶのもほどほどにしてちょうだいとドンドンに相談しています。走り回ることがしんどい年齢だそうです。グスリはおじいちゃんになってしまったのね。(人間のおじいちゃんみたいです)

 突然パパがでてきて、ドンドンに、ああしろ、こうしろと命令と指示が山のように出てきました。
 ページいっぱいに、ああしろ、こうしろと文字が書いてあります。
 しゅくだいしたんか? おもちゃちゃんとかたづけろ……
 うっとおしいなあ。
 3個目のあめだまをなめました。どういうわけか、『すき(好き)』の連呼です。
 なんだかんだ言われても、ドンドンは、パパが好きということを表現したのでしょうが、読んでいるわたしには、ちょっと意味がわかりませんでした。
 パパの愛情に感謝なのでしょうが、あまりにも指示や命令が多すぎます。(そういえば、この家にはママがいません。わけありですな)。

 4個目のあめだま:おばあちゃんの声が聞こえてきました。先日読んだ、『ぼくは犬や』に出ていたおばあちゃんは、それから5年ぐらいが過ぎた設定で、こちらの絵本では亡くなっています。
 2冊の絵本の出版時期と内容が前後していますが、あとから出版された絵本のほうが、時代をさかのぼっています。
 おばあちゃんの声は元気です。(ゆうれいのおばあちゃんです)
 『ドンドンや。元気にしてるか?』。おばあちゃんは、女学校のときの友だちみんなと会ったそうです。(天国で)。
 おばあちゃんから、ドンドンは、ともだちとぎょうさん走って遊びなはれとアドバイスがあります。
 
 5個目のあめだま:たぶん公園でしょう。紅葉がとてもきれいです。遠くにぼんやり人の姿が見えます。バイバイの声が聞こえてきました。

 6個目のあめだま:声は聞こえてきません。だから、ドンドンから声をかけました。『ぼくと いっしょに あそべへん?』。新しいともだちの出現です。公園にいた子どもに声をかけました。

 りくつっぽいかなと思います。
 あとは、詩的です。
 なにせ、紅葉の背景が美しい。
 なんとなく、心が温まる、少年の心理でした。  

Posted by 熊太郎 at 06:15Comments(0)TrackBack(0)読書感想文