2023年08月30日
赤と青とエスキース 青山美智子
赤と青とエスキース 青山美智子 PHP
同作者の『月の立つ林で』がなかなか良かったので、こんどはこちらを読んでみます。
こちらの本もなかなかの秀作だという評判をききました。
とはいえ、タイトルの意味がとれません。
数ページを読んで『エスキース』が、絵画を書く時の「下絵(構図をとるデッサン)」だと知りました。本番前の下書きのための下絵のような位置づけです。頭の中で、構想と現実が交錯して、徐々に下絵ができあがっていくイメージです。
舞台はオーストラリアメルボルンから始まっています。
自分はもうずいぶん前ですが、シドニーとか、ゴールドコースト、ケアンズあたりには行ったことがあります。そのときの風景を思い出しながら読書にふけってみます。
「プロローグ」があって「エピローグ」がある。
第一章から第四章まである。
全体で239ページの作品です。
『一章 金魚とカワセミ』
金魚は魚で、カワセミは野鳥です。
擬人法でもあるのだろうか。主人公が金魚で、カップルの相手が野鳥とか。(この章を読み終えて、そのような構図でした)
哲学的な言葉から始まります。
『始まれば終わる』
要旨は、人を好きになることらしい。恋愛が始まって終わっていく。
続けることがむずかしい。
レイ:絵画のモデルを頼まれる。21歳。来週日本に帰国する。日本の大学の交換留学生。免税店でアルバイトをしている。
ブー:男性。21歳。デザインスクールの学生。レイに自分の友人画家が描く絵のモデルになってくれるよう頼む。ブーは日本人だが、日本にいたのは生まれて一年間だけ。あとは、オーストラリア育ち。両親は、画商。両親は、絵が好きというわけではなく、絵を商品と考えている。彼のつぶやき『俺、誰なんだろう』(なんというか、日本で生まれて韓国に行ったことがない韓国人の人みたいな感じで、日本人なんだけれど、日本のことを知らないという類似があって、ちょっとびっくりしました)
ジャック・ジャクソン:20歳。画家の卵。身長は、160cmはなさそうなぐらい。くしゅくしゅとうねったヘアースタイル。目は小さくてあどけない。自分が住むアパートの部屋がアトリエ(絵画制作場所)となっている。
ユリ:日本人女性で、ワーキングホリデーでメルボルンに来ている。(二国間協定に基づく、滞在資金にするための就労許可による学習環境)。30歳
(つづく)
第一章を読み終えました。
『赤』は、大学交換留学生日本人レイが着る赤いコットンブラウスのこと。(つまりタイトルの金魚)
『青』は、青い鳥(カワセミ)」のブローチのこと。(これがタイトルの『カワセミ』)これが、玉手箱です。
夢を抱いてメルボルンに来たけれど、現実は自分が思い描いていたものとは違っていたという内容が続きます。
わたしが、オーストラリアに行った時に見た日本人女性アルバイトさんたちの表情を思い出しました。空虚なのです。喜怒哀楽の感情がある表情をなくして、その場にいて、静かに働いているというようすでした。
オーストラリアで育った国籍だけは日本人である男性との恋愛がある。
その場限りの恋です。
帰国後も関係を続ける意思はお互いにありません。
乙姫さまが、竜宮城にきている状態と表現されています。
そこに、知り合いがいないと『不便』だからという理由だけでつきあう関係です。
主人公のレイは、暗い雰囲気の女性です。海外留学をするようなタイプには見えません。
ビクトリア国立美術館
折り紙。金魚を折る。ばあちゃんのこと。
読んでいると、心にしみじみした感情がわいてくる文章です。
『始まれば終わる。』
自分は中学生の時に美術部員だったことがあるので、書かれている内容は身近に感じられます。
セブンス・ヘブン:すっげーえ幸せ! 最上階の天国という表現だそうです。
『二章 東京タワーとアーツ・センター』
なんだか、リリー・フランキー作品「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」みたいなタイトルです。
『ひとめ見た瞬間に恋に落ちるような……』から始まります。
(うーむ。夢の中の世界です。恋と結婚生活はべつものです。ことに、こどもができると「恋」なんていってはいられません)
アルブル工房:絵画の額縁(がくぶち)を製作するところです。創立13年です。
村崎:アルブル工房の経営者。42歳。アルブルは、フラン語で『木』
語り手の「僕」(空知(そらち)という苗字):美大卒。アルブル工房経営者村崎の弟子。額職人。30歳。経験8年。大学3年の春休み21歳のときにメルボルンで、第一章のジャック・ジャクソンとの出会いあり。
次郎:僕(空知)の美術大学からの友人。文具メーカーで営業職をしている。
円城寺画廊:アルブル工房と2年間の付き合いがある画廊。経営者は円城寺。男性。30歳ぐらい。
立花:円城寺画廊の女性スタッフ。30歳ぐらい。ショートボブの髪型でかわいい。経営者の円城寺とカップルに見える。
モールディング:継ぎ目の装飾。棒状の額竿(がくざお)
完璧な結婚:絵と額縁が完全にマッチした状態
アーツ・センター:メルボルンの芸術指定地域にある。タワーが、東京タワーのような街のシンボルになっている。
伏線として『ペインティングナイフ』
赤と青の二色の絵の具だけで描かれている絵が『エスキース』です。
二十歳ぐらいの女性の絵です。赤いブラウス。青い鳥のブローチ(カワセミという鳥)。
桜の木を使って、額を製作する。
本金箔(ほんきんぱく)をやめて、真鍮箔(しんちゅうはく。銅と亜鉛の合金で金色)にする。
『三章 トマトジュースとバタフライピー』
トマトジュースはわかります。バタフライピーはわかりません。
読んでいたら、バタフライピーは、お茶だということがわかりました。蝶豆(ちょうまめ)。ハーブティー。ブルーの色をしているお茶
売れっ子漫画家のお話です。売れている漫画家は26歳と若い。彼の師匠の漫画家がいます。48歳の師匠の悲哀が書いてあります。
たかしま剣(つるぎ):41歳。漫画家。作品として、「仲見世オン・ザ・ロック」市井(しせい。人家が集まっているところ)の人々の暮らしを描く。
砂川凌(すながわ・りょう):26歳。たかしま剣のアシスタントをしていた。
『人』を観る(みる)のではなく『作品』を観るという趣旨の内容です。
作者と作品は別物なのです。
作者の手から作品が離れたとき、作品はひとり歩きを始めます。受け手と作品の世界が広がります。作者はその世界に口出しすることはできません。
わたしが体験した現実的な話です。
演歌でいい歌がありました。
ある日テレビでその演歌を歌っていた歌手が言ったのです。
『歌のメロディーは、下ネタの歌です』と。下ネタの歌のメロディーに歌詞をのせたと。
がっかりしました。
また別の歌手が言いました。
男女のせつない別れを歌ったいい歌でした。
『企業の吸収合併の悲しみを男女の別れにたとえました』と。
かなり、がっかりしました。
そして、またあるときアイドルだった歌手が言いました。
若いころは、明るく健全な歌を歌っていた人でした。
『当時、異性とは、バンバンに付き合っていました』
相当、失望しました。
この世は、誤解と錯覚で成り立っている。
じょうずに善人をだました人間が金もうけをする。
話は物語に戻ります。
DAP:男性向け情報誌。編集部の乃木(のぎ)
ウルトラ・マンガ大賞(本屋大賞みたいな感じの賞として書いてあります)
このマンガがくる!:最優秀賞がある。
ブラック・マンホール:砂川凌が描いたマンガ。通称ブラマン。下水道管に住んでいるモンスターの話(そういえば、先日読んだ『僕の心臓は右にある 大城文章(おおしろ・ふみあき) 朝日新聞出版』に、著者が小学生時代に、下水道管内を自由自在に移動する友だちがいたと書いてありました。
カドル:喫茶店名。店主が、画商は野蛮(やばん)だと言う。店内に、ジャック・ジャクソンの絵『エスキース』が掲示してあります。絵が、移動という旅をしています。ジャック・ジャクソンはこのころ40歳ぐらいです。
エッジが効いている(きいている):とんがっている。個性が飛びぬけている。際立っている。(きわだっている)
青は藍(あい)より出でて(いでて)藍より青し:弟子が師匠より優っていること(まさっていること。優秀であること)
ルーカス:漫画雑誌
ネットの無責任な個人による評価について、創作者側の苦言が書いてあります。まあ、作品購入ということでお金が動いていますからしかたがありません。
これしかできないから漫画家をしているというメッセージがあります。
以前テレビのドキュメンタリー番組で、アニメ制作者の方の仕事を長期間追ったのですが、アニメ画像の製作は、かなり、ち密で、年月がかかる作業なのです。だれにでもできる作業ではありません。
制作者の方は『自分はこれしかできないから(この作業をする仕事しかできない)』とおっしゃいました。
たしかに、サラリーマンとして、営業とか、事務とか接客ができるタイプではありません。アーチストという職人です。これしかできないから、これを仕事にしているという人は多い。
メッセージとして『正しいことを見極める目をもつ』
『四章 赤鬼と青鬼』
茜(あかね):女性。51歳。独身。50歳で転職した先である輸入雑貨店「リリアル」にて勤務している。オーナと茜のふたりで切り盛りしている。以前、フリーデザイナーの蒼(そう。男性)と同居していた。1年前に同居を解消して、茜が元カレ蒼(そう)の家を出た。
茜が、イギリスへ仕入れに行く話あり。
茜は、パニック障害にかかっている。発作がある。
雑貨店のオーナ女性:還暦(60歳)。ショートのグレイヘア。15歳年下の恋人あり。ボーイフレンドが多い。
蒼(そう):茜の元カレ
白猫:蒼の飼い猫。名前はない。足を怪我していた保護猫。耳のうしろに筋のような傷がある。推定9歳(人間にたとえると52歳ぐらい)
20歳ぐらいのきれいな子(女性):パニック障害の症状が出た茜を救った。ストレートのロングヘア。
茜がイギリスに行くにあたり、パスポートを元カレである蒼(そう)のマンションに置き忘れていたことに気づいたのです。
パスポートを元カレの家に取りに行って、元カレが京都に出張に行って、茜はネコのめんどうをみるために元カレの部屋でしばらく暮らすのです。
『脳の誤作動』
1月31日から2月3日まで、3泊4日の留守番
猫じゃらし:細いスティックに垂らされた(たらされた)糸の先に、青い羽が三枚ついている。
なぜ、ふたりで同居暮らしをしていたのか。(単にひとりになるのがイヤなだけなんだという理由だそうです)
『仲見世オン・ザ・ロック』作・タカシマ・剣(つるぎ)
『エスキース』
この章を読み終えて、そうか、そういうことかと腹に落ちました。
仕事を家に持ち帰ると、心が壊れる。
バイヤー:仕入れ担当者
『人生は一度しかないから「思い切りやれ」は適切な答えではない。一度しかないから思い切りはやれない。体はひとつしかない』という解釈が良かった。
上がった(あがった):女性の機能がなくなった。もう来ない生理
心が落ち着く作品です。
2月3日節分。鬼の日
『エピローグ』
そうか。
ちょっとここには書けません。
ブーは……
レイは……
仕掛けは、感嘆(かんたん。感心、ほめる)に値します。(なかなか解けない)
こういう物語のつくりかたができるのか。
恋愛話、最初はお互いの容姿だけ、見た目だけの恋かと思いました。
天啓(てんけい):神が人間に真理を示すこと。
スクラッチ:この夏に読んだ児童文学を思い出しました。『スクラッチ SCRATCH 歌代朔(うたしろ・さく) あかね書房』
秀抜(しゅうばつ):ほかより、際立って優れている。(きわだってすぐれている)
エスキースでなければならない。(下絵の下書き)
アーチストにとって大事なのは、その人にしかない魅力をもっていること。
押すばかりの文章ではなく、控えて、控えて、最後に押し上げる形態の文章の創造です。
物語には、「スカイツリー」よりも「東京タワー」のほうが似合う。
金を稼ぐ(かせぐ)ためには、「不合理」「不条理」「理不尽」な世界に耐えていかねばなりません。
読むことで成長できる本でした。
今年読んで良かった一冊です。
漫画家の意見が再登場します。
作者ではなく、作品を重視する。
同作者の『月の立つ林で』がなかなか良かったので、こんどはこちらを読んでみます。
こちらの本もなかなかの秀作だという評判をききました。
とはいえ、タイトルの意味がとれません。
数ページを読んで『エスキース』が、絵画を書く時の「下絵(構図をとるデッサン)」だと知りました。本番前の下書きのための下絵のような位置づけです。頭の中で、構想と現実が交錯して、徐々に下絵ができあがっていくイメージです。
舞台はオーストラリアメルボルンから始まっています。
自分はもうずいぶん前ですが、シドニーとか、ゴールドコースト、ケアンズあたりには行ったことがあります。そのときの風景を思い出しながら読書にふけってみます。
「プロローグ」があって「エピローグ」がある。
第一章から第四章まである。
全体で239ページの作品です。
『一章 金魚とカワセミ』
金魚は魚で、カワセミは野鳥です。
擬人法でもあるのだろうか。主人公が金魚で、カップルの相手が野鳥とか。(この章を読み終えて、そのような構図でした)
哲学的な言葉から始まります。
『始まれば終わる』
要旨は、人を好きになることらしい。恋愛が始まって終わっていく。
続けることがむずかしい。
レイ:絵画のモデルを頼まれる。21歳。来週日本に帰国する。日本の大学の交換留学生。免税店でアルバイトをしている。
ブー:男性。21歳。デザインスクールの学生。レイに自分の友人画家が描く絵のモデルになってくれるよう頼む。ブーは日本人だが、日本にいたのは生まれて一年間だけ。あとは、オーストラリア育ち。両親は、画商。両親は、絵が好きというわけではなく、絵を商品と考えている。彼のつぶやき『俺、誰なんだろう』(なんというか、日本で生まれて韓国に行ったことがない韓国人の人みたいな感じで、日本人なんだけれど、日本のことを知らないという類似があって、ちょっとびっくりしました)
ジャック・ジャクソン:20歳。画家の卵。身長は、160cmはなさそうなぐらい。くしゅくしゅとうねったヘアースタイル。目は小さくてあどけない。自分が住むアパートの部屋がアトリエ(絵画制作場所)となっている。
ユリ:日本人女性で、ワーキングホリデーでメルボルンに来ている。(二国間協定に基づく、滞在資金にするための就労許可による学習環境)。30歳
(つづく)
第一章を読み終えました。
『赤』は、大学交換留学生日本人レイが着る赤いコットンブラウスのこと。(つまりタイトルの金魚)
『青』は、青い鳥(カワセミ)」のブローチのこと。(これがタイトルの『カワセミ』)これが、玉手箱です。
夢を抱いてメルボルンに来たけれど、現実は自分が思い描いていたものとは違っていたという内容が続きます。
わたしが、オーストラリアに行った時に見た日本人女性アルバイトさんたちの表情を思い出しました。空虚なのです。喜怒哀楽の感情がある表情をなくして、その場にいて、静かに働いているというようすでした。
オーストラリアで育った国籍だけは日本人である男性との恋愛がある。
その場限りの恋です。
帰国後も関係を続ける意思はお互いにありません。
乙姫さまが、竜宮城にきている状態と表現されています。
そこに、知り合いがいないと『不便』だからという理由だけでつきあう関係です。
主人公のレイは、暗い雰囲気の女性です。海外留学をするようなタイプには見えません。
ビクトリア国立美術館
折り紙。金魚を折る。ばあちゃんのこと。
読んでいると、心にしみじみした感情がわいてくる文章です。
『始まれば終わる。』
自分は中学生の時に美術部員だったことがあるので、書かれている内容は身近に感じられます。
セブンス・ヘブン:すっげーえ幸せ! 最上階の天国という表現だそうです。
『二章 東京タワーとアーツ・センター』
なんだか、リリー・フランキー作品「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」みたいなタイトルです。
『ひとめ見た瞬間に恋に落ちるような……』から始まります。
(うーむ。夢の中の世界です。恋と結婚生活はべつものです。ことに、こどもができると「恋」なんていってはいられません)
アルブル工房:絵画の額縁(がくぶち)を製作するところです。創立13年です。
村崎:アルブル工房の経営者。42歳。アルブルは、フラン語で『木』
語り手の「僕」(空知(そらち)という苗字):美大卒。アルブル工房経営者村崎の弟子。額職人。30歳。経験8年。大学3年の春休み21歳のときにメルボルンで、第一章のジャック・ジャクソンとの出会いあり。
次郎:僕(空知)の美術大学からの友人。文具メーカーで営業職をしている。
円城寺画廊:アルブル工房と2年間の付き合いがある画廊。経営者は円城寺。男性。30歳ぐらい。
立花:円城寺画廊の女性スタッフ。30歳ぐらい。ショートボブの髪型でかわいい。経営者の円城寺とカップルに見える。
モールディング:継ぎ目の装飾。棒状の額竿(がくざお)
完璧な結婚:絵と額縁が完全にマッチした状態
アーツ・センター:メルボルンの芸術指定地域にある。タワーが、東京タワーのような街のシンボルになっている。
伏線として『ペインティングナイフ』
赤と青の二色の絵の具だけで描かれている絵が『エスキース』です。
二十歳ぐらいの女性の絵です。赤いブラウス。青い鳥のブローチ(カワセミという鳥)。
桜の木を使って、額を製作する。
本金箔(ほんきんぱく)をやめて、真鍮箔(しんちゅうはく。銅と亜鉛の合金で金色)にする。
『三章 トマトジュースとバタフライピー』
トマトジュースはわかります。バタフライピーはわかりません。
読んでいたら、バタフライピーは、お茶だということがわかりました。蝶豆(ちょうまめ)。ハーブティー。ブルーの色をしているお茶
売れっ子漫画家のお話です。売れている漫画家は26歳と若い。彼の師匠の漫画家がいます。48歳の師匠の悲哀が書いてあります。
たかしま剣(つるぎ):41歳。漫画家。作品として、「仲見世オン・ザ・ロック」市井(しせい。人家が集まっているところ)の人々の暮らしを描く。
砂川凌(すながわ・りょう):26歳。たかしま剣のアシスタントをしていた。
『人』を観る(みる)のではなく『作品』を観るという趣旨の内容です。
作者と作品は別物なのです。
作者の手から作品が離れたとき、作品はひとり歩きを始めます。受け手と作品の世界が広がります。作者はその世界に口出しすることはできません。
わたしが体験した現実的な話です。
演歌でいい歌がありました。
ある日テレビでその演歌を歌っていた歌手が言ったのです。
『歌のメロディーは、下ネタの歌です』と。下ネタの歌のメロディーに歌詞をのせたと。
がっかりしました。
また別の歌手が言いました。
男女のせつない別れを歌ったいい歌でした。
『企業の吸収合併の悲しみを男女の別れにたとえました』と。
かなり、がっかりしました。
そして、またあるときアイドルだった歌手が言いました。
若いころは、明るく健全な歌を歌っていた人でした。
『当時、異性とは、バンバンに付き合っていました』
相当、失望しました。
この世は、誤解と錯覚で成り立っている。
じょうずに善人をだました人間が金もうけをする。
話は物語に戻ります。
DAP:男性向け情報誌。編集部の乃木(のぎ)
ウルトラ・マンガ大賞(本屋大賞みたいな感じの賞として書いてあります)
このマンガがくる!:最優秀賞がある。
ブラック・マンホール:砂川凌が描いたマンガ。通称ブラマン。下水道管に住んでいるモンスターの話(そういえば、先日読んだ『僕の心臓は右にある 大城文章(おおしろ・ふみあき) 朝日新聞出版』に、著者が小学生時代に、下水道管内を自由自在に移動する友だちがいたと書いてありました。
カドル:喫茶店名。店主が、画商は野蛮(やばん)だと言う。店内に、ジャック・ジャクソンの絵『エスキース』が掲示してあります。絵が、移動という旅をしています。ジャック・ジャクソンはこのころ40歳ぐらいです。
エッジが効いている(きいている):とんがっている。個性が飛びぬけている。際立っている。(きわだっている)
青は藍(あい)より出でて(いでて)藍より青し:弟子が師匠より優っていること(まさっていること。優秀であること)
ルーカス:漫画雑誌
ネットの無責任な個人による評価について、創作者側の苦言が書いてあります。まあ、作品購入ということでお金が動いていますからしかたがありません。
これしかできないから漫画家をしているというメッセージがあります。
以前テレビのドキュメンタリー番組で、アニメ制作者の方の仕事を長期間追ったのですが、アニメ画像の製作は、かなり、ち密で、年月がかかる作業なのです。だれにでもできる作業ではありません。
制作者の方は『自分はこれしかできないから(この作業をする仕事しかできない)』とおっしゃいました。
たしかに、サラリーマンとして、営業とか、事務とか接客ができるタイプではありません。アーチストという職人です。これしかできないから、これを仕事にしているという人は多い。
メッセージとして『正しいことを見極める目をもつ』
『四章 赤鬼と青鬼』
茜(あかね):女性。51歳。独身。50歳で転職した先である輸入雑貨店「リリアル」にて勤務している。オーナと茜のふたりで切り盛りしている。以前、フリーデザイナーの蒼(そう。男性)と同居していた。1年前に同居を解消して、茜が元カレ蒼(そう)の家を出た。
茜が、イギリスへ仕入れに行く話あり。
茜は、パニック障害にかかっている。発作がある。
雑貨店のオーナ女性:還暦(60歳)。ショートのグレイヘア。15歳年下の恋人あり。ボーイフレンドが多い。
蒼(そう):茜の元カレ
白猫:蒼の飼い猫。名前はない。足を怪我していた保護猫。耳のうしろに筋のような傷がある。推定9歳(人間にたとえると52歳ぐらい)
20歳ぐらいのきれいな子(女性):パニック障害の症状が出た茜を救った。ストレートのロングヘア。
茜がイギリスに行くにあたり、パスポートを元カレである蒼(そう)のマンションに置き忘れていたことに気づいたのです。
パスポートを元カレの家に取りに行って、元カレが京都に出張に行って、茜はネコのめんどうをみるために元カレの部屋でしばらく暮らすのです。
『脳の誤作動』
1月31日から2月3日まで、3泊4日の留守番
猫じゃらし:細いスティックに垂らされた(たらされた)糸の先に、青い羽が三枚ついている。
なぜ、ふたりで同居暮らしをしていたのか。(単にひとりになるのがイヤなだけなんだという理由だそうです)
『仲見世オン・ザ・ロック』作・タカシマ・剣(つるぎ)
『エスキース』
この章を読み終えて、そうか、そういうことかと腹に落ちました。
仕事を家に持ち帰ると、心が壊れる。
バイヤー:仕入れ担当者
『人生は一度しかないから「思い切りやれ」は適切な答えではない。一度しかないから思い切りはやれない。体はひとつしかない』という解釈が良かった。
上がった(あがった):女性の機能がなくなった。もう来ない生理
心が落ち着く作品です。
2月3日節分。鬼の日
『エピローグ』
そうか。
ちょっとここには書けません。
ブーは……
レイは……
仕掛けは、感嘆(かんたん。感心、ほめる)に値します。(なかなか解けない)
こういう物語のつくりかたができるのか。
恋愛話、最初はお互いの容姿だけ、見た目だけの恋かと思いました。
天啓(てんけい):神が人間に真理を示すこと。
スクラッチ:この夏に読んだ児童文学を思い出しました。『スクラッチ SCRATCH 歌代朔(うたしろ・さく) あかね書房』
秀抜(しゅうばつ):ほかより、際立って優れている。(きわだってすぐれている)
エスキースでなければならない。(下絵の下書き)
アーチストにとって大事なのは、その人にしかない魅力をもっていること。
押すばかりの文章ではなく、控えて、控えて、最後に押し上げる形態の文章の創造です。
物語には、「スカイツリー」よりも「東京タワー」のほうが似合う。
金を稼ぐ(かせぐ)ためには、「不合理」「不条理」「理不尽」な世界に耐えていかねばなりません。
読むことで成長できる本でした。
今年読んで良かった一冊です。
漫画家の意見が再登場します。
作者ではなく、作品を重視する。