2021年01月16日

パパ、お月さまとって! エリック=カールさく

パパ、お月さまとって! エリック=カール・さく もりひさし・やく 偕成社

 こどもさん向けの絵本です。
 まずは、全体を1ページずつめくってみました。なんというか、すごい絵本です。
 しかけがある絵本です。ダイナミックです。
 1986年が初版です。

 アメリカの田舎町でしょう。夜空も地上も広い。
 なんていう長いハシゴなんだ。

 今年読んで良かった一冊です。
 
 なにせハシゴが長い。
 おーっ、ほんとうに、ハシゴが月に届きそうです。
 そして、ハシゴが月に届きました。
 昭和44年(1969年)アポロ11号の月面着陸、翌年大阪万博での月の石の展示が思い浮かびました。

 絵の色は独特でしっかり塗りこんであります。
 きれいな月です。美しいブルーとホワイト、そして、イエローです。
 おーっ、パパは月をつかまえて、小さくなった月を手にもって、地球へもどってきました。
 むすめさんのモニカが月をとってくれとパパにお願いしたのです。月と遊びたいらしいのですが、どうやって、どういうふうに遊ぶのだろう。
 もってかえってきた月がいったん消えてなくなって、再び夜空に浮かんだという流れが好ましい。
 ネコがワンポイントになって絵のなかにいます。
 ラストシーンにも満足しました。
 感情抜きで、淡々と事象だけを表現する手法が素敵でした。  

Posted by 熊太郎 at 07:37Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2021年01月15日

太川&蛭子のローカル路線バス乗継の旅 宮崎-長崎 DVD

太川陽介&蛭子能収のローカル路線バス乗継の旅 第23弾 宮崎-長崎 DVD 2016年放映分

 以前、テレビでチラリと短いシーンだけ観たことがあります。別府鉄輪温泉(かんなわおんせん)で無駄なバスの利用があったところと、長崎のグラバー園で蛭子能収さんがごきょうだいと対面されたところのシーンでした。
 テレビ放映のときは、熊本地震のときと重なって、放映を先延ばしにされたとの記憶です。
 地震の発生が、2016年4月14日夜、同じく16日のお昼で、ロケが、4月12日から15日の3泊4日です。宿泊場所は、12日が宮崎県高千穂、13日が別府鉄輪温泉、14日が佐賀市です。

 映像で街並みを見ながら自分も行った気分になれました。やはり九州はのんびりした田舎でいい雰囲気です。

 不思議だったのは、ルートを見ていると、熊本空港から熊本駅方向へ行くバスに乗ればいいのに大分、別府方面へ回っています。

 蛭子能収(えびすよしかず)さん語録として、
 「自分が神さま(えびすだから)自分は神さま仏さまを信じない」
 九州長崎出身者ですが、どうも九州の地理には詳しくない。
 「(長崎で)兄貴に会うよりも大村ボート(競艇場)へ行ったほうがよい」
 「グラバー邸はたいしたことないけれど、そこからの(海をのぞむ)景色がいい」

 ロケはたいへんです。とくにマドンナは大変です。今回は、はいだしょうこさんでした。長崎のみかんの形をしたバス停の中で歌ったときの歌声がよかった。そこはフルーツ街道で、メロン、スイカ、イチゴの形をしたバス停が続いていました。

 自分も行ったことがある場所がいくつも出てきてなつかしかった。九州の人の言葉もなつかしい。
 有明海でとれた海苔(のり)、魚のてんぷらの揚げ物がおいしそうでした。  

2021年01月14日

青春ノイローゼ みうらじゅん

青春ノイローゼ みうらじゅん 双葉文庫

 テレビで、この方の本を読んで救われたという話を聞きました。自分は、どんな人なのかは知りません。興味が湧いたので読むことにしました。漫画家の方でした。この本は、雑誌に寄稿したエッセイがまとめられています。1999年12月に単行本が発行されています。

 読み始めて、書いてあることのなにもかもがなつかしい。ああそういうことがあったと思い出しました。TBSテレビドラマ「ありがとう」とか「肝っ玉かあさん」とか、親と一緒に観ていました。
 この本では、俳優の岡本信人(おかもとのぶと)さんに着目しています。「信人的(のぶとてき)」な個性設定が大事だと強調されています。本によると、「信人的」というのは、主役ではない脇役だが妙に気になる存在感がある。目立ちたがり屋ではないが、一度見たら忘れることがない強烈な印象が残る。さわやかな天然発光体ということだそうです。
 信人的(のぶとてき)な俳優さんとして、小倉一郎、下条アトム、森川正太、三ツ木清隆、頭師佳孝、大和田獏、志垣太郎、大門正明、柴俊夫、荻島真一、どんどん続きます。最終的には代表格として「岡本信人、小倉一郎、森川正太」の三名に絞られます。
 ほかにも名前が出てきますが、本に書かれてから何年もたっており、今では、それぞれ年配の時代を迎えておられます。忍者「赤影」に出ていた白影役(しろかげ)の牧冬吉さんもなつかしい。亡くなられた俳優さん方にはご冥福をお祈りいたします。
 
 自分も何度か訪れて見学した奈良の仏像の話が興味深い。場所は、東大寺戒壇院(かいだんいん)です。
 
 目立たない人の存在価値を認めるという分析が行われています。
 文章は小説のようです。
 この本の読書は、過去という時間帯へのタイムトラベル(時間旅行)です。
 読んでいて、洋楽のことは知識も経験もないのでなんのことかはわかりません。
 今回の読書は過去への旅です。「欽ちゃんのどんと行ってみよう」の気仙沼ちゃんに会いに行かれています。この時点ですでに、そのテレビ番組の話題から20年ぐらいが経過しています。書かれたのは、1997年の記事です。さらに現在は、そこから20年ぐらいが経過しています。2021年です。

 最近ふと思うことがあります。
 自分が30歳だったころに、60歳ぐらいだった方たちは、現在は大半がお亡くなりになりました。あのころそれなりに人と人、グループとグループの対立とか、いさかいとかのシーンがありましたが、対立していた当事者のほとんどが亡くなってしまった今になってみると、あの争いはいったい何だったのだろうかという思いにかられます。結局最後は、みんな死んじゃうんだから、ほかのやりようはなかったのだろうかと考えこむのです。

 記述の内容として、メインではなく、サブ・カルチャーに重要性をみいだして生きていく。
 ただ生きていればいい。
 旅に出て、何かを感じられたらそれでいい。
 テレビ番組「ヤングおー!おー!」もなつかしい。
 自由にさせてくれた京都の実家の父親に対する感謝と愛情にあふれている文章です。おとうさんもご自分自身がご苦労された人生があったからだとお察しします。
 先日読んだばかりの星新一作品「ボッコちゃん」が出てきたのでびっくりしました。
 記述にあるなにもかもがなつかしい。東京ボンバーズのローラーゲーム、落合恵子さんレモンちゃん、渚ゆう子さんの「京都慕情」、ウルトラマンに変身するハヤタ隊員
 小学4年生で仏像マニアというちょっと変わった著者です。
 青春時代の愚かな言動には哀愁があり、愛着が湧き、癒されます。
 たぶんだれにでもある情けなくも情緒あふれる思い出のかたまりが披露されています。4歳年上女性との結婚を前提とした付き合いが紹介されていますが、結果は、失恋というよりも喪失という結末を迎えています。人間とはなんと自分の都合のいいように生きる生き物なのだろうか。
 
 印象的だった文節などとして、
 (おとうさんの言葉)「妊娠だけはさせたらあかんで」
 (映画伊豆の踊子で)「学生さん、今度活動(映画のこと)に連れて行ってくださいね」
 (母親の言葉)「あんた、私ら死んだら、この家をあんたの博物館にしたらええがな」
 (自分自身のことを)「己のことを詩人と呼ぶノイローゼな少年」「ホーボーになる(家をもたず、流浪の旅を続ける人になる)」「(本人いわく)オレは完ぺきに二重人格の青春期を送っていた」

 調べた言葉などとして、
 鑑(かがみ):模範、お手本
 ノイローゼ:神経症。不安にとらわれる。精神的なバランスが崩れる。まわりの環境に適応できなくなる。動悸、息切れ、不安と恐怖心
 インディーズバンド:メジャーバンド(ソニー、ワーナー、ユニバーサル)傘下以外のレコード会社所属のバンド
 ニ―ル・ヤング:カナダ出身のシンガーソングライター
 テクノカット:もみあげが短い。えりあしを刈りあげてある。  

Posted by 熊太郎 at 07:45Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2021年01月13日

相棒 映画 鑑識・米沢守の事件簿 DVD

相棒 映画 鑑識・米沢守の事件簿 DVD 2009年公開

 なつかしい。亀山薫刑事(寺脇康文)さんの笑顔を見ました。

 内容は、雰囲気が暗かった。
 自殺にみせかけた若い女性の殺人事件です。
 不思議な設定でした。殺人事件で亡くなった被害者女性が米沢さんの離婚した奥さんに似ているけれど別人で、さらに、被害者女性は、別の警察職員の奥さんでした。

 2009年なので、データの保存場所がCD-ROMです。当時は先端の記憶媒体だったのでしょう。そういえば、その昔、フロッピーディスクが多用されていた時期もありました。いまはもうフロッピーディスクは見かけなくなりました。

 殺人犯行の種明かしは、明瞭でわかりやすかった。
 お金がらみの殺人です。お金は怖い。お金のために人殺しまでする人間は怖い。あと先のことを考えずに人殺しをしてしまうのは、自分で自分の感情のコントロールをうまくできないからなのでしょう。
 ドラマの内容は、予算を使い切るという役所のやり方を痛烈に批判するものでした。横領した事務員の所属課長が確認していたのは、(偽造した)領収書だけだったという事務員の証言が強烈でした。(課長は、根拠のない信用と手間の省略目的で、納入した品物を自分または複数の事務員の目視で確認していませんでした。だから、ヒラ職員の横領が可能だったということです)
 人を見て判断するときに、性善説よりも性悪説が優位という分析結果と受け止めました。  

2021年01月12日

だんまりこおろぎ 虫の音(ね)がきこえる本

だんまりこおろぎ 虫の音(ね)がきこえる本 エリック=カール・作 くどうなおこ・訳 偕成社

 ページをめくっていって、最後のページをめくると、こおろぎの鳴き声が聞こえ始める仕掛け絵本です。
 楽しい。こどもさんには秘密で読み聞かせをすると、きっとこどもさんは驚いて喜ぶことでしょう。

 絵が外国風です。虫の顔がリアルです。日本人の感覚とは違います。
 筆致は線ではなくて面です。(あとでわかったのですが、コラージュ(張り紙)でした)
 文章は歌詞のようです。リズム感があります(翻訳の結果として)
 夜空に浮かぶ満月の絵がきれいです。月が輝いています。

 最初のページに生まれたばかりのあかちゃんこおろぎとおとなのこおろぎが登場します。
 あかちゃんこおろぎは生まれたばかりですからまだ鳴けません。
 あかちゃんこおろぎは、いっしょうけんめい、羽をこすり合わせますが音は出ません。
 ページをめくるたびに、あかちゃんこおろぎには、新しい虫との出会いがあります。
 ばった、かまきり、りんごくいむし、あわぶくぶくむし、せみ
 あかちゃんこおろぎは、あいさつがわりに、羽をこすって鳴く音を出そうとしますが、なかなか音が出ません。
 はち、とんぼ、か、が
 そしてなんと、あかちゃんこおろぎは、成長して、こおろぎの女の子と出会います。
 恋の始まりです。
 なんどもなんども男の子こおろぎの鳴き声が続きます。
 素敵な愛の歌でした。短い文章のなかに成長の長い過程があります。  

Posted by 熊太郎 at 07:11Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2021年01月11日

ふしぎなナイフ 絵本

ふしぎなナイフ 中村牧江・林健造・さく 福田隆義・え 福音館書店

 フォークとナイフのナイフです。
 ナイフの絵がリアルで、最初は怖い。
 ページをめくりはじめるとおもしろくなります。
 だんだん内容がふくらんで、どんどんおもしろくなります。そして、楽しい。
 今年読んで良かった1冊です。
 アイデア出しの教示書です。
 きれいなナイフの絵が続きます。

 ナイフの横向き構図の位置は同じで、ページをめくるごとにナイフの形が変化していき、そこに単語が添えられます。たとえば「曲がる」

 予想もしない、突然調子はずれになるような形にナイフが変化します。

 シンプルで美しい色調です。ホワイトとブルーとブラック

 こどもさんにとっては、ことばの勉強にもなります。
 表現の勉強です。
 最後は、ばーんです。(はじける)

 調べた言葉として、グラフィックデザイン:ポスター、雑誌広告、新聞広告、チラシなど。美術による情報伝達

 1985年(昭和60年)初版の絵本でした。  

Posted by 熊太郎 at 07:22Comments(0)TrackBack(0)読書感想文