2021年01月06日

やさしいライオン やなせたかし

やさしいライオン やなせたかし フレーベル館

 「ムクムク」という名前のめすのわんちゃんが代理母のようになって、みなしごのあかちゃんライオンで名前は「ブルブル」を育てます。
 ふたりの悲しい別れがあるのですが、最後はハッピーエンドです。

 何か暗示がある擬人法なのでしょう。(動物に人間の特性をもたせる)

 別れたあともライオンのブルブルは代理母親の犬ムクムクのことを忘れられません。

 物語では、思いがけない行動に出たブルブルです。奇想天外です。作者のやなせたかしさんの思い切りがいい。

 「親孝行」なのか、「親への思慕」なのか。
 ていねいに子育てをすると子は親の元に戻ってくるということなのか。

 ライオンのブルブルの悲劇は、現代社会で、山に食べ物がなくなって、街に姿を現して猟銃に撃たれて駆除される熊のようです。

 ぶつりぶつりとシーンが切れるような印象があるのですが、作者の魂が力強くこめられていることが伝わってきます。

 お話は、一歩間違えば、親子心中事件になってしまうのですが、感想は、読んだ人それぞれが各自の経験と判断で考えるのでしょう。
 今の自分があるのは親のおかげと考えるのでしょう。
 ファンタジー(幻想)です。これでいい。そう思わせてくれる結末です。ここに「物語」があります。  

Posted by 熊太郎 at 07:00Comments(0)TrackBack(0)読書感想文