2020年01月22日

たいせつなこと うちだややこ・やく

たいせつなこと マーガレット・ワイズ・ブラウン・さく レナード・ワイスガード・え うちだややこ・やく フレーベル館

 2001年9月の発行で、訳者は、内田也哉子さん、内田裕也さんと樹木希林さんの娘さんです。当時の年齢が、25歳ぐらいです。

 各自の個性を大切にするいうメッセージがあります。

 最初にコオロギが、「たいせつなのは、くろいこと」から始まります。

 立体的な絵です。
 グラスにとってたいせつなこと…
 スプーンにとってたいせつなこと…
 (この時点で、人間にはそれぞれ生まれながらに役割が割り当てられているということを思い浮かべました。)
 ひなぎくにとってたいせつなこと…
 あめにとってたいせつなこと…
 (人のためになることをする)
 くさにとってたいせつなこと…
 (物事を良い方向に考える)
 ゆきにとってたいせつなこと…
 (自然、季節、雪、本質(根本的なもの)に迫る)
 りんごにとってたいせつなこと…
 かぜにとってたいせつなこと…
 そらにとってたいせつなこと…
 (暗示、囲まれていて、囲まれているなかに存在している)
 くつにとってたいせつなもの…
 (啓示)
 人間の根っこ

 絵本の文章を書いた人は、もう110年ぐらい前に生まれた人です。68年前に亡くなっています。絵を描いた人も、104年前に生まれた人です。

 絵の色合いは濃く、ものの存在感を強調しています。

 内田也哉子さんのあとがきがあります。
 きれいな言葉がつづられています。絵本を「星」にたとえます。
 昔絵本を読んでもらった。今度は自分が読んであげる立場になった。そんなことが書いてありますが、最初に読んだ時は、なぜかしら、肌で「孤独」を感じました。自分は自分であるという強い意志をもっていないと、心が折れる。そういうメッセージが、絵本のなかにあるような気がしたからです。


*この本を読んだ日の夜に、たまたま樹木希林さんご夫婦と内田也哉子さんご家族に関するテレビ番組「樹木希林の天国からコンニチワ」がありました。そちらの感想も添えてみます。
 内田也哉子さんは、こどものころに、いじめにあっていたとお話しされました。母親は怒りっぽくがんこで、父親も短気、どちらも怖かった。ふたりがそろったときは最高に怖かったそうです。そういったことを聞いてから、この絵本を読むと、怖い環境のなかにあっても、自分は、強い心をもって、自分を信じて生きてゆくんだという意志が感じられるのです。
  

Posted by 熊太郎 at 06:43Comments(0)TrackBack(0)読書感想文