2020年02月29日

さかなは さかな レオ=レオニ

さかなは さかな かえるの まねをした さかなの はなし レオ=レオニ 訳 谷川俊太郎 好学社

(1回目の本読み)
 さかなは、さかなであって、かえるにはなれない。あなたは、あなたであって、あなた以外の人にはなれないというようなお話だろうかといういうような予測をもって読み始めました。
 水中で、おたまじゃくしと、こざかなの出会いがあります。おたまじゃくしに、足が生えてきました。おたまじゃくしとこざかなを並べる発想がおもしろい。
 おたまじゃくしは、手が出て、しっぽが消えて、やがて、かえるに変化して、水中から陸へ上がりました。かえるの目の前には、外の世界が広がっています。
 いっぽう、こざかなのほうも、陸には上がれないけれど、大きなさかなに成長しました。
 ふたりの再会があります。かえるがさかなに、いろいろと話をしてくれるけれど、その話をもとにさかなが想像するさかなの頭の中にできるすがたかたちは、実際とは少しずつ違っています。鳥とか、牛とか、さらに、人間とかのすがたかたちです。人間の姿の発想の絵は、すごいなあと感心しました。
 かえるの話を聞いて、さかなも陸上の世界を見たい。さかなは、陸に上がろうと挑戦を試みました。結果は失敗でした。
 意味深い内容のお話でした。
 「身の丈に合った暮らしをしなさい」では、現代では、差別的な考えになります。挑戦して、無理だとわかって、ようやく納得に至る物語でした。

(2回目の本読み)
 道徳とか、教訓話ではなくて、読むという行為をすることで、安定した心のリズムを保てる作品と受け止めることにしました。
 ぼくはぼく、わたしはわたしということはあります。
 絵がきれいでした。文章とも合わせて、独創的でした。

(その後)
 人生にはふたつあって、同じ場所でずっと暮らす人と、いろいろな場所を転々と移動する人がいる。それは、事実として、理解することができました。どちらがいいとかわるいとかは、ありません。
  

Posted by 熊太郎 at 06:20Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2020年02月28日

スイミー ちいさな かしこい さかなの はなし レオ=レオニ

スイミー ちいさな かしこい さかなの はなし レオ=レオニ 訳 谷川俊太郎 好学社

 表紙から裏表紙にかけて、海の中の風景画が描いてあります。一匹の小さな黒いお魚だけがいると思っていたら、小さな赤いお魚がたくさんいました。サンゴ礁の海底です。
 たくさんの赤いお魚のなかに黒いお魚が一匹だけ。アンデルセンの「みにくいアヒルの子」が頭に浮かびました。ひとりだけ、仲間外れで、いじめられるのでしょうか。いいえ、そうではありませんでした。一匹だけの小さな黒いお魚はやがてリーダーに育っていきます。
 小さな黒いお魚は、海の中を旅します。赤いゼリーのようなくらげ、気に入った表現として、ブルドーザーみたいな、いせえび、こんぶやわかめの林、うみへびかと思ったら、うなぎでした。お魚は、学校を卒業して社会人になったような初々しい若い人のイメージです。

 小さな黒いお魚は、ひきこもりの赤いお魚たちと出会います。
 「協力」とか、「チームワーク」という言葉が思い浮かびます。
 小さな黒いお魚は、「目」の役割を果たします。
 一匹よりも多数匹です。
 「ひとりが100歩くよりも、100人が1歩、歩く方が尊い」ということを、昔、習ったことを思い出しました。
  

Posted by 熊太郎 at 06:03Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2020年02月27日

としょかんライオン ミシェル・ヌードセン

としょかんライオン ミシェル・ヌードセン・さく ケビン・ホークス・え 福本友美子・やく 岩崎書店

(1回目の本読み)
 本屋さんでひととおり読んだ時点で、これは名作だと思いました。心優しい絵本です。

(2回目の本読み)
 本を手に入れて家で読みました。
 ライオンを怖い感じがする人間に置き換えることもできます。
 多面性がある物語ですが、そのひとつとして、「差別反対」の部分があります。少なくとも図書館内では、だれでも本を楽しむことができるべきなのです。
 次に「役割」という項目があります。だれしも生まれて来て、この世で果たすための役割があてがわれています。この本では、人の役に立つことを「役割」としています。
 物語からの問いかけは、「ルールを守ること」、「ルールとは何か」、「ルールを変えることはできないか、変えることはいけないことか」を考える内容です。

(3回目の本読み)
 ライオンはなにも主張しません。ライオンはさからわずに、まわりの人が決めたままに動きます。
 多面性がある本です。読んだ人が考える本でもあります。正解は人それぞれです。
 孤独なライオンはどこから来たのだろう。
 孤独なライオンはだれかのそばにいたかった。
 マクビーさん:図書館員
 メリーウェザー:図書館長。女性。きまりにうるさい人
 きまりに想定されていない事態が起こったときにどうするのか。ふつうは、責任者であるメリーウェザー図書館長の判断に従います。
 ライオンは自分のために本読みをしてほしい。自分のために本をもっと読んでほしい。
 ライオンは人にかまってほしい。甘えたい。甘えるだけでなくて、だれかの役に立ちたい。
 きまりを守るかどうかのお話です。緊急事態発生を連絡するためにライオンは図書館内で禁じられている大きな音(ライオンのほえる声)を出してしまいました。きまりを破ったライオンは図書館から出て行きました。もうライオンは図書館に来ません。来たくても図書館の中に入れません。
 きまりは、人が幸せになるためにある。だけど、きまりは、完ぺきではない。だから、きまりを絶対に守るのではなく、きまりをできるだけ守るようにすればいいと、学校で習ったことがあります。

 絵が優しい。
 マクビーさんもライオンに対して冷たい人のように見えますが、本当は優しい。
 きそくには、まず、原則があって、例外があります。人を助けるときには、例外を適用するのです。メリーウェザー図書館長を救ってくれたのはライオンなのですから、メリーウェザー図書館長はライオンに感謝したい。
 2007年初版の絵本でした。
  

Posted by 熊太郎 at 06:29Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2020年02月26日

今日も嫌がらせ弁当 邦画DVD

今日も嫌がらせ弁当 邦画DVD 2019年公開

 喜劇でした。ほろりと落涙する映画でした。とくにラスト付近、高校卒業最後のお弁当には泣けます。今年観て良かった1本です。
 前半はつくりもののようで違和感がありましたが、中盤から真剣味が増して、リアルで、心温まるいい映画でした。
 夫が事故死した母子家庭で、母ひとり、高校生の娘ひとりの母子家庭です。(長女はすでに独立してひとり暮らし中)
 高校生の娘は反抗期で、母親とはしゃべりません。目の前にいるのに、スマホを使った文字の会話はリアルな現実なのでしょう。
 娘に言葉を発しさせるために娘が嫌がるキャラ弁をつくり続ける母親です。赤ずきんちゃんに始まって、スギちゃん、酒茶漬け、木工用ボンド、りんぐの貞子、メッセージ弁当、クイズ弁当とつながっていきます。さらに、小島よしお、視力検査、ゾンビ弁当、たこさんウィンナーとつくるなかで、母親は、ブログで父子家庭の父親と仲良しになります。高校生娘の恋心と母親の恋心、母子家庭と父子家庭の事情が重なりながら、2本立てのストーリーが進んでいきます。
 母親の苦労がよく伝わってくる映画でした。映画の下地に「愛情」があります。
 何度か出てきたセリフとして、「ここも東京ですが(ロケ地は八丈島でした。人口7500人、本土から飛行機で55分、船で10時間だそうです)」、「オムライス(月末になると家計が苦しくなってオムライスの日が多くなる)」、「頑張れ」、「途中で映画が終わりかと思わせるエンドロールの導入」、「無駄なことは何もない」
 弁当渡しでの娘の失恋シーンは観ていて予想できました。
 母親の見た目が若すぎるような。(これを観る前日に母親役をしている1991年頃の篠原涼子さんのお笑いDVDを見たので、感慨深いものがありました)
  

2020年02月25日

白狐魔記(しらこまき) 天保の虹 斉藤洋

白狐魔記(しらこまき) 天保の虹 斉藤洋 偕成社

 本の帯をみると、鼠小僧次郎吉(ねずみこぞうじろきち、金持ちの武士から小判を盗んで、ばくちで使って経済効果を果たす。ニセの鼠小僧次郎吉は、小判の一部を屋根の上から庶民にばらまくが、庶民は小判をふだんもたないので、幕府に目をつけられるからもらった小判を使えない)という話があります。
 大塩平八郎の乱のお話もあります。平八郎の乱が江戸時代1837年ですからいまから180年ぐらい前の出来事です。天保の大飢饉とか天保の改革がありました。それから、江戸町奉行所に遠山の金さんがいました。ペリーが浦賀に来るのが1853年ですから開国は近い。
 
 化け狐白狐魔丸(しらこままる)の登場です。タイムトラベラーのごとく、130年ぶりに江戸に来ます。前回は、忠臣蔵の時期でした。いつものように人間に化けて、上方(かみがた、かんさい)の商人九十九小吉(つくもこきち)を名乗ります。白狐魔丸のお師匠さんである仙人さまと呼ばれる狐もちらりと登場しました。

 赤い雌狐(めすぎつね)同じく化け狐の雅姫(つねひめ)もいます。森田座という芝居小屋で6代目市川桜花(いちかわおうか)に化けて役者をしています。九十九小吉と市川桜花は表向きいとこという関係になっています。ふたりが滞在する宿屋は千川(せんかわ)で、主人は、千川伝兵衛です。宿の番頭が伊助です。

 小笠原信濃の守(おがさわわらしななのかみ)の屋敷の先に鼠小僧次郎吉36才が住む屋敷があります。

 火盗改め:放火、盗み、ばくちの取り締まり役
 密偵:みってい。密かにさぐる。スパイ
 盗人に追い銭:ぬすっとにおいせん、損を重ねる。盗人にほかにも何かないかと問われ正直にあると答えてそれも盗人にもっていかれること。

 本能寺で死んだ織田信長が60才過ぎの風貌で現れました。亡霊か。榊原忠之という男です。最初の名前は、織田忠之で、榊原家の養子になったとのこと。

(つづく)

 北町奉行所の榊原忠之(さかきばら・ただゆき)は、賄賂(わいろ)を受け取らない。物語のなかでは、偽物の鼠小僧次郎吉を獄門(ごくもん、さらし首)にかけます。

 南町奉行所の筒井
 同心:どうしん、下級役人
 知行:領主の所領支配権
 為一先生:いいつせんせい。葛飾北斎のこと。
 経師屋:ふすま屋、書画を掛け軸に仕立てることもする。
 朱子学:儒教、自己修養
 市川團十郎(いちかわ・だんじゅうろう)、尾上菊五郎:歌舞伎役者
 鼠小僧次郎吉の衣装は黒ではなく濃い紺色:黒は虹の色ではないが、紺は虹の色に入るとのこと。
 路銀:旅費
 道楽:どうらく、趣味に熱中して楽しむこと。道楽が嵩じる:はなはだしくなる。
 酔狂:すいきょう、もの好き。
大塩平八郎:江戸時代後期の儒学者。物語の中にいる仙人の狐は彼が嫌いなようです。
縛につけ:ばくにつけ、江戸時代、お縄になれ。罪人としてしばられる。
山くじら:猪肉
勘助:本物の鼠小僧次郎吉の別名。物語では、偽物が処刑された。
咲楽:さくら、役者である市川桜花の別名ですが、本物は、人間ではなくて、雅姫(つねひめ、赤い女狐が化けている)です。
火桶:木製の火鉢、内側には金属がはってある。
東町奉行所の大塩格之助:26才、大塩平八郎の養子
与力:江戸幕府の職名。町奉行の補佐
同心:与力の下
洗心洞せんしんどう:大塩平八郎が開いた私塾。大塩平八郎が学者として陽明学を教えている。
陽明学:儒教のひとつ。知行合一(ちぎょうごういつ、知っていて行わないのは、知らないのと同じ)
酒吞童子:平安時代から鎌倉時代の酒飲みの盗賊、関西にいた。
庵:いおり、質素な草ぶきの小屋、僧侶、風流人が利用する。
蹂躙:じゅうりん、ふみにじる、侵害する。
謀反:むほん、そむく、反乱、暗殺
暴徒:ぼうと、集団で暴力をはたらく者
救民:困っている人を助ける。

 庶民が盗んだ小判を使えば不自然なので犯行がばれてしまう。だからばくちで使って小銭にして市中の経済を活性化させる。鼠小僧次郎吉の手法です。

 武士はほかの武士を襲って領土を増やす。

 「にせの鼠小僧」は、赤い化け狐の雅姫(つねひめ)ではないか。
 
 仙人は、白狐魔丸に大鷹に化ける訓練をしますが、なかなかむずかしそうです。

 白狐魔丸は山中で、10歳と8歳ぐらいの男の子に出会います。「魔物の好物は人間の子どもの肉だ」の部分あたりがおもしろい。兄は弟思いです。

 山中で出会った兄弟のことや、自分が、元寇のときに嵐を呼んだことを思い出して、せっぱつまると、日頃できないことが、できてしまうことがあると白狐魔丸は悟ります。

 雅姫(つねひめ)は、京都で、芸者に化けます。彼女の新しい思いを寄せる人は、彦根藩三十五万石(さんじゅうごまんごく。いっこくが、人ひとりが1年間に食べるコメの量だから35万人分養える)井伊家の家老の弟宇津木矩之允(うつぎ・のりのすけ)です。長崎に遊学(故郷を離れてよその土地で勉学する)したこともある学者です。

 雅姫(つねひめ)と白狐魔丸(しらこままる)ふたりの会話の連続部分は、落語を聴くようです。

 大塩平八郎の乱は、2月19日の一日のみとあります。読むと、一揆というよりも盗賊のような、集団はお金を盗むと散って、逃げていきます。テロリストのようでもあります。死者は、一揆側に3名のみです。

 本の最後に年表があります。ながめながら思いついたことです。栄華は永久には続いていません。
平清盛:1181年没。1185年平氏滅亡
源義経:1189年殺害される。
源頼朝:1192年征夷大将軍、1199年没
足利尊氏:1338年征夷大将軍、1358年没
鉄砲伝来:1543年
桶狭間の戦い:1560年
本能寺の変:1582年
豊臣秀吉:1586年太政大臣、1598年没
関ケ原の合戦:1600年
徳川家康:1603年征夷大将軍、1616年没
  

Posted by 熊太郎 at 06:53Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2020年02月24日

旅猿 ジミープロデュース究極のキムチ鍋を作ろうの旅 DVD

旅猿 ジミープロデュース究極のキムチ鍋を作ろうの旅 DVD 2019年3月

 東野さんと岡村さんのジミーさんいじりが激しい。移動中の車内では、ジミーさんもつられて、ギャグ「やってる、やってる」の連発をして、大騒ぎです。ばかばかしいけれどおもしろい。大盛り上がりでした。
 日曜日の午前10時30分新大久保駅前で集合です。韓国料理の本場なのでしょう。このあと世の中は、日韓関係が冷えてしまい残念なことでした。関係回復してほしい。
 食材を手に入れて、名店のレシピで、最高のキムチ鍋をつくることが今回の旅の目的だそうです。結果をみると、岡村さんが、せっかくつくったキムチ鍋にわざとインスタントラーメンのだしを入れて、だいなしにしてしまいました。そこまでいじわるをしなくてもいいのに。
 当時、ジミー大西さんが、吉本を辞めて、風俗店の店長に転職するという話が真実味を帯びてあり、結局、オーナーが逃げて、店長はやれなくなったとやりとりがあります。「吉本で、もうちょっとがんばります」のコメントが本人からありました。ふつー、そういう転職をしようとは思いません。
 千葉県で、ニンジンの収穫、太巻きづくりのコンテスト、名産の豚肉、牛肉を手に入れて、スーパーに立ち寄ります。
 キムチ鍋のつくり方はやや雑で、ジミー大西さんの目分量は多すぎると見えたのですが、おいしいというスープの味でした。
 器(うつわ)へのよそい方が汚らしいのが残念でした。それから、チヂミは、ぶ厚すぎです。インスタントラーメン鍋となってしまったキムチ鍋も含めて、なんだか、もったいなかった。