2019年10月19日

まじょのナニーさん まほうでおせわいたします 藤真利子

まじょのナニーさん まほうでおせわいたします 藤真利子 ポプラ社

 子どもさん向け、小学3年生ぐらい向けの本です。初めて読みました。おもしろかった。今年読んで良かった1冊です。
 家政婦さんが魔法使いです。魔法使いではないけれど、サウンドオブミュージックのマリアさんを思い出します。あとは、サリーちゃんとか、アッコちゃんとか、アニメのキャラクターを思い浮かべました。
 干してあって乾いたせんたくものが、自分で、家のなかにはいってくるのはおもしろい。
 魔法を使うのに回数制限ありです。一日につき、自分のために1回、レミさん(小学生)のために1回です。
 童話『三匹の子ブタ』のなかに入っていくのはちょっと抵抗感がありましたが、その後、気にならなくなりました。既存の童話を利用するという部分に抵抗感を感じました。すべては、オリジナルでというこだわりが自分のなかにありました。絵本のなかに魔法の力で入ろうという発想はおもしろい。
 女性は、お茶会が好きです。なにもすることがないときは、お茶会を開いておしゃべりを楽しむのです。
 レミちゃんのママがけがをして入院中です。ママの元気回復を祈って、おりがみに『ママが元気になりますように』と願い事を書いて、お空の天の川に流します。
 『お願い』は、『星』になる。
 お月さまの上で、もちつきをするうさぎが出ます。民話への話のつなぎ方がきれいです。
 『ママ、退院、おめでとう』レミさんはやさしい女の子です。
 楽しくて面白いお話でした。  

Posted by 熊太郎 at 06:34Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2019年10月18日

ねことじいちゃん 邦画DVD

ねことじいちゃん 邦画DVD 2019年公開

 ねこのかわいらしいしぐさを前面に出しながら、人間模様として、死にそうな老人たちの暮らし、高校生カップルの旅立ちの進路による別れ、漁師を継ぐ若者、島に来た若い女性の悩み、へき地担当医師のこと、病気になっての都会に住む息子からの引き取り申し出に対する対応などを盛りながら、ほどほどの楽しみをもって島で暮らして、人生を穏やかに終えるということを表現した映画でした。
 笑うところはつくってあるもののあまり笑えませんでした。
 妻を亡くしてひとり暮らしの主人公男性です。
 岩合光昭さんという監督さんのお名前は新聞でときおり見かけます。ねこの撮影で有名な方なのでしょう。ねこの島というのは、瀬戸内海にあると聞いたことがありますので、その島が舞台なのかもしれません。(ネットで調べたら、愛知県の篠島、日間賀島、佐久島を参考にしたとあり、3島とも訪れたことがあるのでびっくりしました。そんなにねこがいたような記憶がありません)
 ダンスホールのイベント、お葬式、けんかともだち、いろいろありますが、全体的には、山も谷もない平和なお話に仕上がっています。
 ねこが心の支えになっている老人たちの暮らしです。ねこがこどもがわりなのか。
 主人公が料理に専念します。料理番組を見ているようでもありました。  

2019年10月17日

翔んで埼玉 邦画DVD 

翔んで埼玉(とんでさいたま) 邦画DVD 2019年公開

 最後のほうで、登場人物である結納に向かう若い女性愛海(あいみ)さんがつぶやくのですが、「なんなのこれ」という心境で、映画を観終えました。長かった。観続けることが、つらかった。
 関東の人間ではないので、比較(東京、埼玉、千葉、群馬、茨城、神奈川、都民、県民)の意識はないのですが、埼玉は、「ださいたま」、千葉は田舎ということで、下に見られることがあるといのは、テレビ情報で知っています。
 人間差別の映画で始まります。途中でシーンが、ラジオドラマに転換して、現実とドラマが行ったりきたりします。
 真剣になって見る映画ではありません。おもしろおかしい冗談物語です。埼玉県民は怒らないのだろうかと心配しますが、どうも怒らないようです。
 ベースの部分は物まねでしかありません。江戸時代の士農工商とかキリシタン弾圧のための踏み絵、サイタマホイホイ(ゴキブリホイホイ)、敵は流山橋にあり(敵は本能寺にあり)、川中島、カードゲーム、自虐的な歌。通行手形による移動の規制。
 わからないことも多い。なぜ、県に海がないとだめなのか。湘南に埼玉県民が来るといけないのか。最後は埼玉県(なにもないけれど設備がほどよく整っていて住みよい)を讃える内容で終わるのですが、不可解でした。
 映像は、コスプレ、男なのか女なのかわからない百美(ももみ)さん、宝塚歌劇風、おじょうちゃんごっこ、香港デモのような風景・光景(でも主張の中身がありません)、しらこばと(埼玉県民の鳥)、両腕を交叉させて両手の指でまるをつくる決めポーズ。
 とどもつまり(いきつくところ、結局)は、娯楽映画でした。
 駐車場での夫婦の口げんかがおもしろかった。
 状況説明のセリフがけっこう多かった。そして、長かった。映画館での鑑賞だったら途中で退出したと思います。
 評価が両極端に分かれる映画のようですが、なぜか、攻撃されている埼玉県民には受けいれてもらえている内容のようです。不思議。  

2019年10月16日

タンポポの金メダル 山本早苗

タンポポの金メダル 山本早苗 BL出版

 子どもさん向けの絵本です。
 発想がいい。今年読んで良かった1冊になりました。
 山奥のバス停です。バスの絵は、思い出のなかにある古い型のバスのようでもあり、現代の過疎化した地域のバスのようでもあります。
 道をはさんだバス停同士が会話をするのです。そのような発想は初めてです。新鮮でした。バス停1本がしゃべることなら発想できますが、バス停2本が会話することは、なかなか発想できません。そこのところが重要なポイントです。
 絵を見ながら、路線バスをつないで目的地を目指す「路線バスの旅番組」を思い出しました。
 『このバス停はふたごでした』その部分がなかなかいい。名前も『ノボル』と『クダル』で、シンプルでいい。名前の由来は、こどもに読んであげるときに説明が必要でしょう。
 人に優しいバス停です。『アイコ』さんというお名前のおばあさんが登場します。
 バス停同士が思い出話に花を咲かせます。バス停に歴史ありです。
 『エイホ、オイホ』のかけ声もいい。ふたつのバス停が、なにをしているのかは、ここには書きません。
 若いバス運転手さんですが、実際には、再雇用のおじいさん運転手しかいないのでしょう。
 ハッピーエンドの発想が気持ちよかった。この絵本作品の成功は、ひとえに『アイデア』に尽きます。いいお話でした。  

Posted by 熊太郎 at 06:37Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2019年10月15日

北の国から‘98時代 DVD

北の国から‘98時代 DVD

 展開が後ろ向きで暗い雰囲気がありますが、ひとりで観る映像であればそれでいい。
 「時代」を考える作品です。みんな若かった。中島みゆきさんの「時代」が流れます。名曲です。
 作品「北の国から」は、「気持ち」で支えていくドラマです。
 螢は精神的に強くなりました。
 今回印象に残ったセリフの数々として、
 雪子(竹下景子さん)「自分のしたことは戻ってくる(ブーメラン現象。不倫をして男を奪ったら、自分が結婚後、夫を女に奪われた)」
 シュウ(宮沢りえさん)「わたしたちはみんなに試されていると思うから意地でも愛情を貫きたい」という趣旨のセリフ。
 螢(中島朋子さん)「(不倫相手との関係は)終わった。でんでんむしの映像が出るのは、新美南吉作「でんでんむしのかなしみ」からくるのだろうと解釈しました。それから、蛍の言葉で、「だって、正ちゃん、大きいんだもん」
 草太にいちゃん(岩城滉一さん)「しゃべって、楽になれ」、「栄養つけろ」、「オラは螢の味方だ」、「(正吉に向かって)おまえにとって、黒板家は家族だ」、「忘れたらばちがあたるぞ。みーんな、おまえらのおやじさんのおかげなんだぞ」
 正吉(中澤佳仁さん。しゅっとして真田広之さんのように見えます)「答えは昔からとっくにあった」
 
 正吉にとっては、他人のこどもを自分の子どもとする。どう結末をもっていくのだろうか。
 螢が産む子どもが、黒板ファミリーと血がつながっていることには間違いはない。
 
 「結婚」というのは、周囲が気を配ってあげないと、当事者ふたりだけでは成立しにくい。
 正吉と螢の結婚披露宴での五郎(田中邦衛さん)の様子は、まるで、事実のようでした。みなさん、演技が素晴らしい。

 シュウ(宮沢りえさん)のまったくセリフがなかったお父さん役の男優さんの個性設定も良かった。北海道の閉山した炭鉱夫役でした。炭鉱とか銅山とか鉱山労働者のこどもだった世代は、今はもう60代ぐらいを過ぎたあたりの世代でしょう。その部分でも『時代の変化』が表現してありました。  

2019年10月14日

日曜日のちいさな大ぼうけん 愛川美也

日曜日のちいさな大ぼうけん 愛川美也(あいかわ・みや 女性) BL出版

 小学校低学年の子どもさん向けの本です。
 賃貸マンションの部屋でお留守番をしている男の子の目の前にカマキリくんが登場です。
 男の子は、虫がにがて、虫がキライ、虫が怖い。
 2ページめの2行分が好みです。女子みたいな悲鳴をあげたことは秘密だと書いてあります。
 「ぼく」の一人称で、話は進んでいきます。
 だれもカマキリを片付けてくれないから、自分でがんばるしかありません。

 全般的に絵がおもしろい。カマキリの顔の絵は、リアルです。作戦のアイデアもよく、アイデアにそって、闘牛士、鎧兜(よろいかぶと)の武士、おすもうさんが登場するのも気に入りました。

 出来事は、実際に起こりそうなことですし、体験された方も多いでしょう。

 文章の言葉づかいに才能を感じます。公募が成功している作品です。しろうとっぽさは残っています。

 赤をバックにして、緑のカマキリ。反対色が成功しています。

 本のうしろにある扉の絵で、電柱につかまるカマキリがいます。そこが、おもしろかった。

 読み終えて、しばらくじっと考えて、タイトルと中身が合わないような感覚をもちました。  

Posted by 熊太郎 at 05:59Comments(0)TrackBack(0)読書感想文