2018年12月25日

世にも奇妙な物語 2009年 春の特別編DVD

世にも奇妙な物語 2009年 春の特別編DVD

力の入った作品群でした。

「爆弾男のスイッチ」市原隼人
 これまで観た中では、いちばん気に入った作品です。
 太宰治作「走れメロス」を思い出します。
 体に爆弾を仕掛けられた男子大学生が、起爆装置を友人に預けます。
 人の心を試す作品です。

「輪廻の村」伊藤美咲
 亡くなった人の霊が今生きている人のなかにあります。
 うらみ晴らしますの世界です。
 最後は理屈っぽかった。

「クイズ天国・クイズ地獄」石原良純
 2009年当時のクイズ番組を遠回しに非難するような作品です。
 斬新な発想があります。

「真夜中の殺人者」相武紗季
 ふたつのストーリーが同時進行で流れていきます。
 まるっきり違う建物ではないかと想像がつきます。
 どんでん返しがあると予想がつきます。
 どんでん返しのひとつは、予想が当たりましたが、もうひとつははずれました。
 これもいい。よくできた物語でした。

「ボランティア降臨」大竹しのぶ
 ホラーです。
 ボランティアと言いながら、お手伝いさんのように動く大竹しのぶさんは何者だろう。
 奥さんを追い出すのか。
 人間の居場所を問う問題作です。
 何もない空間に、新しい世界をつくり出しました。  

2018年12月24日

居た場所 高山羽根子

居た場所 高山羽根子 文藝2018冬号 河出書房新社

 第160回芥川賞候補作です。2019年1月16日(水)に発表があります。

 「私」と名のる男のひとり語りで原稿用紙147枚の物語が進行します。前半の3分の1ぐらいあたりまで読みました。
 このへんまでは、話が明瞭ではなく、霧の中に形がぼんやり見えるような雰囲気でしたが、中国人妻の故郷への夫婦旅行から輪郭がはっきりしてきました。
 ページにびっしりの文字が埋め込まれていますが、文章は読みやすい。
 
 グーグルマップは、小説や映画の素材として使えます。

 文章には、日常生活の広がりがあります。しみじみとした情感が伝わってきます。
 細かい情景描写が続きます。心地よい。
 テレビ番組「東野・岡村の旅猿」での東南アジアでの移動シーンを観ているようです。

(つづく)

 読み終えましたが、よくわかりません。もう一度読まなければならないのかもしれません。
 マップにモザイクがかかったような不明な場所があります。そこが、中国人妻小翠(シャオツイ)がひとり暮らしをしていた場所です。「居た場所」です。そこを夫婦は訪ねていきます。

 妻が小学生の頃に住んでいた島の小学校で遺跡が発見されます。こどもだった妻は、発掘現場にあった壺の中の水を飲みます。
 水が発作の原因です。この旅で夫婦ともに発作にみまわれるのですが、それが何を意味するのかがわかりません。
 
 夫婦の仕事は、日本酒の醸造を自営で営んでいるのだと思いますが明記はされていません。醸造から「微生物」が導き出されています。
 書中の言葉を借りれば、人間の体の中には、小さな生き物たちがいる。

 地図をつくる。しかし、地図は書けない。

 言葉にはならない「愛情」なのか。

 調べた単語などとして、「咥える:(ストローを)くわえる」、「呑気:のんき」、「蠟:ろう」、「キメラ:ギリシャ神話の怪獣。頭はライオン、尾は蛇、胴はヤギで、口から火を吹く」

(再読)
 主人公日本人男性の妻、おそらく中国人であろう小翠(シャオツイ。親族は、みどりさんと呼ぶ)のルーツを探る。舞台は、上海か香港のような気がします。台湾ではないと思う。
 彼女の起源は消滅したらしき小柄な民族ではないか。そこにしかいない動物として「タッタ」、モルモットより少し大きい、食用にもなるし、ペットにもなる。シャオツイとタッタを重ねてあるのか。
 蜜のように見える薄い草色の液体、透きとおっていて、とろみがある。粘り気がある。液体の浮遊物が文字を形成しようとしているように見える。観たこともない文字。液体は、味がないようであるのではないかという考察があります。液体に何かの意味があります。醸造と微生物。謎解きをするような読書です。
 話は、現在から過去へ移ります。だから今があるのです。
 空撮禁止地域のような区域の地図をつくる。そこは軍事施設ではない。
 シャオツイはどこから来たのか。
 発作は微生物が体に侵入して心身を害したのか。
 自分はどこから来たのか。所属を求める。  

Posted by 熊太郎 at 06:31Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2018年12月23日

しくじり先生 俺みたいになるな!! 第2巻 DVD

しくじり先生 俺みたいになるな!! 第2巻 DVD 2014年 平成26年

「藤崎マーケット」
 ラララライのリズム体操で売れたのですが、実は、正統派漫才が本業だったのにという内容です。東京のテレビ局関係者に振り回されたふたりです。稀有な例でしょう。

「藤崎奈々子」
 8年間同棲しているが、結婚できないという内容です。よく、テレビで、披露できたなと驚きました。

「ジャルジャル」
 楽屋話みたいなにぎやかなおしゃべりでした。
 「とがっている態度」は誤解ですと主張されていました。

「池谷幸雄」
 20代始めに詐欺で3億円を失ったそうです。  

2018年12月22日

いぬやしき DVD

いぬやしき 邦画DVD 2018年公開

 日当たりの悪い小さな一戸建てに引っ越してきた四人家族から始まります。(奥さんからローンの返済の話が何度も出てきて、それなら賃貸でいいんじゃないかと)
 頼りないお父さんです。病気で余命宣告を受けても家族に言い出せません。威厳も尊厳もないお父さんです。
息子は学校で恐喝されている。妻もだまされたらしい。娘はとんがっている。
家族の気持ちがばらばらです。
お父さんが善玉で、獅子神くんが悪玉で対決します。お父さんが犬になるソフトバンクのCMを想像していましたが、最後まで、犬にはなりませんでした。ターミネーターのようでもあるし、スパイダーマンのようでもある。超能力と言っても、空中飛行と指鉄砲だけです。
 母子家庭、祖母と孫娘の家庭。貧困を扱っている部分があります。
 癌が癒えた経過ははっきりしません。
 なんだか、空虚です。
 特撮はすごい。
 観始めて、45分が経過しても退屈です。
 なんだか物足りなかった。
 最後のほうはしつこかった。
 子どもの孤独か。
 大量殺害の理由はそこにあるのか。
 いじめの加害者に対する復讐もののようでもある。

 「僕が救った」というお父さんは、自分の存在価値を見つけました。  

2018年12月21日

1R1分34秒 町屋良平

1R1分34秒(1ラウンド1ぷん34びょう) 町屋良平 201811新潮

 第160回芥川賞候補作になりました。読んだのは候補になる前です。2019年1月16日(水)に賞の発表があります。

 ボクシングのお話しだろうとして、読み始めています。タイトルは、ノックアウトされる瞬間なのか、それとも、ノックアウトするほうなのか。それにしても、ダウンの時期が早い。
 「ぼく」21歳のひとり語り一人称です。デビュー戦1ラウンドKO勝ち、その後、2敗1分け。試合の前に夢の中で対戦相手と親友になる夢をみてしまう。

 読み手は、何を感じればいいのだろうか。

 漢字を意図的にひらがな表記してあります。そこが文の特徴です。光→ひかり、最初→さいしょ、知って→しってなど。

 自問自答の文章が続きます。

 ボクシングも男女関係も空想の世界。主人公にとって近藤青志は、なりたい自分か。青志に対する友情は、主人公である「ぼく」からの一方通行です。

 文脈にリズムがあります。

(つづく)

 主役には、「死にたい願望」があります。

 iPhoneのことがよく出てきます。映画製作を夢みる友人との結びつきです。

 自分は、ボクサーは、こういうことを考えたり、感じたりしないのだろうと思いながら読んでいます。ボクサーを想像して、「孤独」と「愛に飢える22歳の青年の心理をあぶりだす」、「死に近い生(せい)」があります。破壊は再建。二重人格的な部分あり。人生の迷いです。死にたいと思いながらも生きています。せっぱつまっているエネルギーはすさまじい。

 トレーナ役であるウメキチとの信頼関係が構築されていきます。

 減量と運動で、心身を極限状態にもっていきます。

 調べた単語などとして、「拵えた:こしらえた」、「滲む:にじむ」、「rscブランド:ボクシングファッションブランド」、「証左:しょうさ。証拠」、「ダッキング:上体をかがめて相手のパンチを避ける」、「オブジェ:物体」、「フェーズ:段階、局面」、「充溢:じゅういつ。満ちあふれる」、「纏める:まとめる」、「疚しさ:やましさ」、「溜まる:たまる」、「過った:あやまった」、「昂った:たかぶった。高揚、興奮」、「心至った:こころいたった」、「嵌める:はめる」、「ウィービング:防御。頭や上体を前後左右に動かす」、「サークリング:円を描くように左右にステップする」、「怯み:ひるみ。おびえ」、「拙さ:つたなさ」、「夜気:夜の冷たい空気」、「蹲る:うずくまる」、「朧げ:おぼろげ」、「コラージュ:貼り付け」、「嗽:うがい」、「労い:ねぎらい」、「パラレル:並行」

 気に入った表現などとして、「筋肉痛は友だち」、「ぼくの闘志はどうして反応しない」、「(パンチを与えるのではなく)相手を(こぶしで)押せ」、「今度こそ脳を壊してほしい」、「おまえを利用しているだけだ」、「ボクサーになって実家に絶縁された」、「試合が怖い」、「ボクサーとしての自分しかない」、「生きることを考えるのをいったん止める」、「現実のぼくとはぐれたぼく」  

Posted by 熊太郎 at 06:07Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2018年12月20日

旅猿 無人島のサバイバルの旅 DVD

東野・岡村の旅猿 無人島のサバイバルの旅 DVD 2013年 平成25年6月

 沖縄の無人島で1泊2日ですが、結局初日の夜に挫折して、船で人のいる島へ戻っています。それだけ、過酷なのです。難破船で無人島に遭難した人が生き残るのはむずかしい。魚もウサギも簡単には捕れません。水も火もありません。

 ばか騒ぎは、あいかわらず楽しい。修学旅行です。
 最初に、ナイフ(料理用、火起こし用)、レジャーシート、魚とりセット、鍋と米だけ持参という条件は、ハードルが高かった。