2018年12月31日

2018年 今年読んでよかった本

2018年 今年読んでよかった本

銀河鉄道の父 門井慶喜 講談社
 宮澤賢治の父と賢治のうまくいかなかった親子関係を描いた作品との読む前情報です。
 久しぶりに小説らしい小説を読んでいる気分です。奇抜な記述はありません。読みやすい。こうであってほしい。
 宮澤賢治に対する狭く一方的な父のやりとりかと予想しましたが、案外そうではありません。こどもたちが5人いて、父親宮澤政次郎さんの子育て小説のような流れです。
 愛情あるお父さんです。自分は受けたくても受けられなかった教育をこどもたちにほどこしてあげたい。本当に心優しいお父さんです。

お金をかけない「老後の楽しみ方」 保坂隆 PHP文庫
 著者の定年前退職アルバイト体験は意外でした。自由な「時間」が欲しかった。同感です。読んで良かった1冊です。親族や親しき友と過ごす時間が大事です。何か目的をもって過ごすのではなく、ただ、一緒にいて、歩いたり、ながめたり、飲んだり、食べたりするだけでいい。思い出づくりです。

(再読))ふなふな船橋 吉本ばなな 朝日新聞出版
 つらい出だしです。父母離婚、父失踪、母再婚、自分は、母親の妹(叔母)とふたり暮らしをこれからする。主人公女子花さん15歳、選択肢のない年齢です。
 ふなっしーのぬいぐるみを母と思って抱いてくれの言葉は、なんと、ひどい母親です(母の分身として)。そんな母も病死します。なんにせよ、母との別れは淋しい。

AX(アックス) 伊坂幸太郎 角川書店
 表の顔は文房店の営業社員、裏の顔は、「殺し屋」。殺し屋名は、「兜(かぶと)」、本名三宅さん、恐妻家、高校3年生の息子が克己。殺し依頼の仲介人がとある病院の医師。

父・横山やすし伝説 木村一八 宝島社
 暴れん坊の親子という印象です。
 こどもの頃の息子さんが、相方の息子さんと漫才をしていたのをテレビで見たことが思い出されます。とてもおもしろかった。かわいらしかった。そのときは、あんな終わり方をするとは予想もできませんでした。暴力事件を起こして、もう、消えた人と思っていましたが、本が出ました。今、48歳です。親子の顔はそっくりです。ただし、身長はずいぶん違います。お父さんは160cmぐらいで、体重は50kgはなく、やせていました。息子さんは180cmぐらいあります。

おとなになるってどんなこと? 吉本ばなな ちくまプリマ―新書
 思春期のこどもさんに向けた小説家である著者の熱いメッセージです。
 自殺防止、うつ脱出、負けるなという気持ちがこもっています。孤独を乗り越える。
 1時間程度で読み終えることができる文章量です。
 魅力ある文章を書かれる人です。

しょせん幸せなんて、自己申告 綾小路きみまろ 朝日新聞出版
 まじめな本でした。今年読んで良かった1冊です。
 語り口調の文章です。笑いが漏れます。
 めげないで! という励ましがあります。
 「縁と運と努力」
 作者と類似体験があるので共感できます。
 縁で考えると著者の場合は、鹿児島出身という地縁が大きい。

定年オヤジ改造計画 垣谷美雨(かきや・みう) 祥伝社
 第1章部分を読み終えて寂しい気持ちになりました。
 やはり、定年退職後のおじさんをいじめる内容でした。妻子から突き放されて、迷惑な存在、嫌悪施設みたいな扱いです。
 そうでしょう。そういうものなのでしょう。

この春、とうに死んでるあなたを探して 榎田ユウリ(えだ・ゆうり) 筑摩書房
 書きだしの文章が気に入って購入しました。転校回数の多さから言葉が始まっています。私自身も転校回数が多いことが共通しました。
「二度同じことを言ったら、それは反対の意味になる暗号」
 気に入った表現として、「(両親)ふたりとも外面良く、円満な家庭を演じていた。」
 終盤のここまで読んで、今年読んで良かった1冊です。(最後まで読んで、そういう世界の話かと驚きましたが、それでも、読んで良かった1冊です。)

ビンボー魂 風間トオル 中央公論社
 貧乏話です。素材はおもしろい。5歳の時に、母親が男をつくって家をでていって、しばらくして、今度は父親が女をつくって出ていって、少ない年金収入しかない祖父母に育てられる。貧困生活を味わう。似たような世代なので、著者だけではなく、あの頃は、みんなが貧しかった時代だったので、貧乏な暮らしの面では、著者と同様の体験があります。ほかの同世代の方もそうだと思います。

さざなみのよる 木皿泉 河出書房新社
 読む前の情報として、小国ナスミという女性43歳が亡くなったところから物語が始まるらしい。どうやって、死んだ後の世界を描いて感動を呼び起こすのか。そこに注目しながら読み始めました。
 全体で14話の短編がくっついて成立している物語です。

いちばんじゃなくて、いいんだね 松野明美 アスコム
 1回目の本読み。まず、1ページずつめくって、最後のページまでいくのが、ときおりのわたしの読書です。
 有名なマラソン選手の方です。明るい人、よくしゃべる人。、熊本県の人、小柄(148cm)、がんばる人、そんなイメージがあります。それから、お子さんが障害児。本を読むまでは、お子さんはお一人だと思っていました。男の子ふたりで、下の子がダウン症です。

ディス・イズ・ザ・デイ 津村記久子 朝日新聞出版
 サッカーJリーグ二部リーグの仮想チーム名が土台で、サッカーの応援が話の素材集という印象をもちます。まだ、第1話34ページまでを読んだところです。全部で11話、それにエピローグがたしてあります。  

Posted by 熊太郎 at 06:06Comments(0)TrackBack(0)熊太郎の語り

2018年12月30日

2018年 今年観て良かった映画

2018年 今年観て良かった映画

きみの膵臓を食べたい DVD 2017年公開
 ひとりで観たい映画です。多少くどい部分もあるので、そばにいる人に気を使って疲れたくない。
 本はずいぶん昔に読みました。
 女性が終始男性をリードしていく映画です。
 おとなになる前に死んでしまう命があります。
 人に食べてもらうとその人の中で魂が生き続ける。
 大切な人の中でわたしは生き続けたいという強くせつない女子の思いがあります。
 偶然でも運命でもない。お互いのこれまでの選択の結果(当然に、必然に)自分の意思で君と出会った。
 お互いに支え合って生きている。
 愛情に満ちたいい作品でした。今年観て良かった1本です。

チアダン DVD 2017公開
 久しぶりに映画を観たなーという気分に浸れました。映画だから、役者さんの演技です。そういう下地を前提に観ています。暗い雰囲気の部分もありますが、チアダンスグループのキャッチフレーズにあるとおりの「明るく、素直に、美しい」映画でした。

8年越しの花嫁 DVD 2017年公開
 本は読んだことがあったので、どうやって、8年間の空白を映像で埋めるのだろうかと想像がつきませんでした。ずっと昏睡状態であったのではなくて、最初は、左手がけいれんするように動き、右手が動き、まぶたが開き、若干記憶喪失状態で、車いす、歩行のリハビリと続いていきます。まいさんを演じた女優さんは熱演です。周囲の役者さんたちも立派な演技で感動しました。まじめな映画を観たい。

ポテチ DVD 2012年公開
 68分の短時間ですが十分感動します。
 冒頭の「引力」の話が、最後のシーンにつながります。
 生年月日が同一の男子ふたりの話です。ひとりは主人公タダシ、もうひとりは試合に出してもらえないプロ野球選手オザキです。ドラマがあります。
 タダシひとりだけの夢が、観ているうちに映画観覧観客全員の夢に格上げされていきます。
 ポテトチップスの塩味とコンソメ味の違いは、タダシとオザキの違いなのです。
 ハートフルなコメディでした。

ハドソン川の奇跡 DVD 2016年月公開
 いい映画でした。感動しました。実際の事故をニュースで知ったのは、2009年1月でした。旅客機が川に着陸するなんて、しかも、全員が無事なんて、なんという機長の機転と腕だろうと驚いたことを覚えています。映画はその快挙を讃える内容だろうと観始めましたが、様子がおかしい。川への着陸は無謀で、離陸したばかりの空港に戻るか、近くの別の空港に着陸できた。つまり、機長の判断は間違っていたのではないかと機長、副操縦士は指摘を受けるのです。

ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男 DVD 2018年公開
 これまでチャーチルという人は偉大な人だと思っていましたが、冒頭付近から、嫌われ者、実績がない者として描かれています。意外でした。

男はつらいよ DVD
第26話 寅次郎かもめ歌 1980年 昭和55年12月
 自分としては、これまで観たシリーズ作品のなかで、いまのところ、この作品が一番好きです。
 国勢調査から始まって、さくらさん一家が戸建住宅を購入、その2階には、寅さんの部屋を用意する。お祝いの金額が2万円で、その当時の2万円は高額でした。(たしか、高卒の初任給が7万円ぐらいでした)

第29話 寅次郎あじさいの恋 1982年 昭和57年8月
 シリーズ中の傑作でしょう。
 今までとは雰囲気が違うドラマ仕立てです。
 いしだあゆみさんが、寅さんに迫りますが、寅さんが引きます。
 映像のなかの光景を見ながら、ああいう暮らしがあったと過去へタイムトラベルしたようです。  

Posted by 熊太郎 at 06:34Comments(0)TrackBack(0)熊太郎の語り

2018年12月29日

パンダのあかちゃんおっとっと

パンダのあかちゃんおっとっと まつもとさとみ うしろよしあき わたなべさとこ 角川書店

 絵本です。
 可愛らしいこどものパンダです。上野動物園のシャンシャンのようです。
 「おっとっと」のかけ声とリズムは、古くは、「デンセンマンの電線音頭」を思い浮かべるのですが、遠い過去から現在まで生きてきた人にとっては心地よい響きです。こどもさんにも受けるでしょう。
 少し離れてパンダのそばにいる小さな緑色をしたカエルさんの存在が、子パンダを引き立てています。
 リス、ペンギン、ゾウ、ワニ、ともだちもいっぱいいます。みな、愛らしい。  

Posted by 熊太郎 at 06:15Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2018年12月28日

平成くん、さようなら 古市憲寿

平成くん、さようなら 古市憲寿(ふるいち・のりとし) 文藝春秋

 本のタイトルの読みは、「平成くん(へいせいくん)」でいいと思いますが、登場人物の名前は、「平成(ひとなり)くん、平成時代が始まった1989年1月8日生まれ、29歳、脚本家、身長187cm、安楽死希望者」です。ひとなりくんとは読みにくいので、読むときはへいせいくんで読みました。
 第160回芥川賞候補作です。2019年1月16日(水)に発表があります。

 なんだかなあという出だしです。女子向けアダルトグッズの記述から始まります。語る「私」は、瀬戸愛さん、亡漫画家の娘です。父親の著作物のおかげで生活している家族の一員です。
 
 7ページ付近を読みながら、<結末はどうなるのだろう>

 読みにくい文章です。リズムがギクシャクしています。最初のうちは、「しかし」が多い。

 「死」を考える小説なのか。

 これまで生きてきた30年の成果とこれから先70年の無意味を論じてあるのですが、わたしは、これまでの60年間は、これからの40年間のためにあったと思いたい。

(つづく)

 平成くんは、元号改元のタイミングで安楽死したい。

 ミライという飼い猫にはなにか意味をもたせてあると考えます。(その後、平成くんはミライを最善の最期として、安楽死させます)

 1999年に安楽死法が成立した。

 小説というよりも論文に近い部分あり。

 2019年4月末が改元のタイミング

 瀬戸愛は、平成くんのどこがいいのだろう。

 なんだか、ポルノっぽくなってきました。

 安楽死を見学する。その日はまた別の人の誕生会にも出席する。
 儀式化するのはどうだろうか。賛否両論意見は分かれるのでしょう。そして、本人がいいと言うならばやるという決着をみるのでしょうが、本人の真意ではなく本人のがまんの事情があるときもあります。
 外国映画で安楽死を選択した老齢男性の物語を見たときは、儀式まではいかず、男性は、ごく近しい人だけ数人を呼んで、湖のそば、大自然の中でこの世にお別れを告げられました。
 自分でボタンを押してあの世へいく行為は自死だし、夫婦、親子ともになら、心中です。
 
 SNSいっぱいの話が続きます。今まで、こういう形式の小説を読んだことがありません。ヤマト運輸の配達員はアマゾンの配達で大忙しです。
 
 平成くんは、暗闇を嫌がる。そこになにかがあります。(目に原因ありで、それは遺伝危惧にまで発展します)

 ファッションへのこだわりはなにを意味するのだろうか。

 「生と死」を考えます。人は、生きることが無意味だと思ったら自死するのか。

 読んでいて、語り手が、瀬戸愛ではなく、平成くんに思えてしまいます。

 「安楽死」に関して、読み手は、超高齢者や不治の病にかかった人を対象者として想像するのですが、この物語では、未来に生きる意味をもてない若者も対象になるようです。若者の気持ちには、これまでの達成感と未来への悲観が混在しています。

 「死」は、残された人が悲しむもの。

 過去のこととして、平成くんの父親は逮捕された。現在、服役中。母親は、亡くなった。

 高層階が「居たがる場所」であることが不思議です。昔は戸建があこがれでした。

 家族がいない。夫婦ではなく、パートナーという異性の存在。
 どうでもいいことを話しできる相手がいない。
 未来の日本人像とは思いたくない。

 お金に苦労しない一族として、著作権で生活できる人。不動産収入の人も加えてほしい。だけどぼんやりしていたら財産を失います。

 元号へのこだわりや愛着をもつのはほとんどが60代以上だと思います。

 食事は自分でつくらないらしい。食事以外のことについてもファッション、移動は、「依存」の世界です。これでは、自分でものをつくれなくなってしまいます。お金がなくなれば死を選択です。昔の王族、貴族みたい。

 調べた単語などとして、「人狼:役割ゲーム。人の姿をした狼を探し出す。(あとになって、舞台の演劇だとわかりました)」、「エビデンス:証拠」、「ブレイズされた金目鯛:油であげるかいためてゆっくり煮込む」、「小沢健二:シンガーソングライター」、「マカロン:フランス菓子。丸くてサンドイッチみたいにはさんである」、「UBERの決済:配車走行サービス」、「Galaxy Note:スマホ、タブレット、サムスン」、「とくだね!:フジテレビ朝のワイドショー」、「新潮45:月刊誌」、「Surfaceを広げる:タブレット端末」、「グーグルホーム:音声アシスタント機能付きスピーカー」、「マシュマロガーゼ:軽くて柔らかいガーゼ。本書の場合、パジャマの生地」、「ウーマナイザー:アダルトグッズ」、わからない言葉がいっぱいです。「テンピュール:アメリカの寝具メーカー」、「アンダーズのルーフトップバー:虎ノ門ヒルズの52階のお店」、「EDM:クラブで流れていたら踊りたくなる音楽。エレクトロニック・ダンス・ミュージック」、「仲違い:なかたがい」、「アクネのロングコート:スェーデンのファッションブランド」、「トマス・モアのユートピア:1516年発表。当時の社会批判」、「Tik Toker:動画アプリにアップしている人」、「アンダーズ:虎ノ門ヒルズの上層階にあるホテル」、「ヨヒンビン:男が元気になる薬」、「ステッパー:ダイエット、その場足踏み運動器具」、「牽強付会:けんきょうふかい。道理に合わないことを自分の都合のいいようにこじつける」、「アダム徳永:イラストレーター」、「ユニクロの暖パン(だんぱん):あったかいズボン。メンズとレディース」、「アンダーカバーのスウェット:アンダーカバーは日本のファッションブランド」、「ヘパリーゼ:ビタミンドリンク」、「ドールのグレープフルーツジュース:ドールはアメリカ合衆国の会社」、「TOKYO MX:東京メトロポリタンテレビジョン。放送地域は東京」、「Periscope:ペリスコープ。ライブ配信ができるアプリ」、「サムネイル:縮小見本」、「ニールバレットのシャツ:イギリス人ファッションクリエーター」、「スターアニスの個室:六本木の中華レストラン」、「スーグラ:ダイエット、薬、糖尿病」、「聞蔵:朝日新聞データベース。きくぞう」、「ヨミダス:読売新聞データベース」、「右上4番、左上4番、歯の位置だと思います」、「ポールスミスのタグ:イギリスのファッションデザイナー、付け札」、「Tinder:位置情報を利用してのデートアプリ。ティンダ―」、「背徳感:後ろめたい罪悪感」、「デュケルム:フランスの社会学者」、「希死念慮:きしねんりょ。死にたいと願う」、「アロマスティック:香り」、「形而上学的:けいじじょうがくてき。? 超自然。見えないものを見ようとする」、「芥川龍之介:1927年、昭和2年、35歳没」、「ブラバンシアのゴミ箱:会社の名称」、「目敏い:めざとい。見つけるのがすばやい」、「AnotherVisionの謎解きイベント:東大生を中心に構成されているクリエイター集団」、「アランデュカスのチョコレート:モナコのシェフ」、「フィオレンティーナのケーキ:六本木ヒルズにあるレストラン」、「蜷川実花:女性写真家」、「情熱大陸の落合くん:カレーをストローで吸う。研究者」、「アントシニアン:健康食品」、「ボルネオに住むプナン:狩猟採集民」、「ミレニアルズ:何を考えているのかわからなという若い世代」、「キャッシュ:パソコンのなかの一時保存」、「INUA:レストランイヌア」、「SCRAP:株式会社スクラップ。イベントの企画・運営:」、「POSSE:労働相談を受け付けるNPO法人」、「エクスペリア:ソニーのスマホ、タブレット端末」、「FGO:スマホのゲーム」、「セオリーのジャケット:アメリカ合衆国のファッションブランド」、「デンハムのデニム:オランダで誕生したブランド」、「エキセントリック:風変り」、「OneDrive:マイクロソフトの無料サービス。専用サーバーにファイルを保存しておける」、「スプツニ子:東京大学准教授」、「アーカイブ:保存記録」、「ペルソムラ:睡眠薬」、「アンリアレイジのデニム:日本のブランド」、「ヴァージルによるルイ・ヴィトンのパーカー:アメリカのデザイナー」、「UBER Eats:フードデリバリーサービス」、「honest bee:オネストビー。配達。食材、日用品、料理」、「Y-3:日本のブランド」、「赤坂インターシティ:超高層複合ビル」、「ヴォストーク:乃木坂バー」、「綻び:ほころび」、「スペシャリテ:名物料理」、「ステンドラ:男が元気になる薬」

 読めない漢字、意味のわからない漢字がたくさん出てくる小説は体験したことがありますが、今回のようにカタカナ表記、アルファベット表記で意味がわからない言葉が大量に出てきた読書は初めての体験です。
 コンビニ人間は女子版でしたが、男子版が平成くんのイメージが残りました。アンドロイド(人造人間)です。

 印象に残った部分として、「お願いだから殺してくれ」

 読み疲れました。
 終わりのない物語です。
 ふーむ。今までに感じたことのない読後感が残ります。  

Posted by 熊太郎 at 06:21Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2018年12月27日

東野・岡村の旅猿 三度目のインド DVD

東野・岡村の旅猿 三度目のインド DVD 2013年 平成25年

 ゲストは出川さんです。DVDは2枚で、「ワクワク編」と「ハラハラ編」です。途中で、東野さんが他番組の収録のために帰国したのにはびっくりしました。それも、撮影途中に突然言い出したものですから、岡村さんも出川さんも見ている視聴者もショックです。
 他の回もそうですが、「自由参加」が旅猿の手法になっています。途中から参加したり、途中でいなくなったりします。
 さて、今回のインド編も観ていて楽しかった。ぐだぐだと時間つぶしのシーンもあるのですが、あいかわらずはちゃめちゃです。1泊目のホテルは宿泊料ひとり2400円で狭くて気の毒でした。いつもぼろぼろの宿ばかりです。さらに、岡村さんは牛のうんこを踏んでいて靴が臭い。そのかわり、2泊目は各自シングルで10400円高級でした。
 ガンジス河の沐浴1回目は笑いました。泥の河で、インド人もこの時期は入らないと現地の人に言われますが、出川さんはまじめです。三人の芸人魂がすごい。2回目の沐浴は、急流できれいな川で、8℃の冷たさでしたが、1回目も2回目も沐浴のあとは、きりっとした表情になられたので、お祈りの効果はあったように見えました。
 文句を言いながらも気を使っている東野さんです。
 観ているだけで、行った気になれます。
 現地観光ガイドのクマールさん一家はいい人たちです。こどもたちも3年たっての再会で大きくなりました。同じアジア人の気持ちが伝わってきます。
 バックに流れる旅猿の歌がいい。  

2018年12月26日

はんぷくするもの 日上秀之

はんぷくするもの 日上秀之 第55回文藝賞 文藝2018冬号

 東日本大震災が背景にあります。
 主人公「毅」、彼の母親は、プレハブ店舗で店を営んでいます。
 居住地が、「赤街」というところ。
 90歳近い高齢者女性のお客さんがいて、古木という借金(店のつけ)を返してくれない男性客がいます。借金の額は3413円です。
 毅の幼なじみが武田、武田のケンカ相手が村田というところまで読みました。

 災害が原因となった暮らしのなかで人間不信が芽生えます。

 「万引き」の肯定があります。

 主人公は、津波の泥水を見て以来、潔癖症なのか、手洗いを励行します。手洗い中毒です。強迫性障害とあります。

 万引きをやめられない人間、タバコをやめられない人間、中毒という病気です。

 高齢者と成年男子の母子家庭。どこも、母親の年金が頼りです。

(つづく)

 車の下にいるかもしれない猫探し、それから、蹴った石ころの行き先、それらが何かを意味しています。
 タイトル「はんぷくするもの」の意味が徐々に姿を現します。

 自分の商売において、自己嫌悪、自虐があります。
 
 借金の返済をしてくれない古木という人の心理の実体がわからないのですが、借りたお金を返さないという人は、本人でも自分の根っこがわからないのかもしれません。
 
 後半になるに従って、作者の「うまさ」が輝いてきます。
 
 ひとりの人間が、「被害者」と「加害者」の二面性をもっている。「生」への強い欲求がある。石ころは「生」の象徴だろうか。確信はもてません。

 「どうすることもできないもの」が生きるエネルギーになる。もうひとつとして、どうすることもできないものはどうすることもできない。

 「捨てたくても捨てきれないもの」は、創作の永遠のテーマのひとつなのでしょう。

 調べた単語などとして、「反駁:はんばく。反論する」、「怯む:ひるむ」、「剣呑:けんのん。危険な感じがして不安を覚える」、「勤しむ:いそしむ」、「刺々しい:とげとげしい」、「弛む:たるむ」、「穢れた:けがれた」、「オランジーナ:フランスの炭酸飲料水」、「膂力:りょりょく。筋肉の力」、「邪な気持ち:邪悪な気持ち」、「嘲る:あざける」、「論駁:ろんばく。相手の論理の誤りを指摘して論じ返すこと」、「拗る:ねじける。ねじれてゆがむ」、「苛む:さいなむ。いじめる」、「表象:シンボル」、「訥々と:とつとつと」、「慰撫:いぶ」、「瑣末:さまつ」、「滔々と:とうとうと」、「跋扈:ばっこ。のさばる。はびこる」、「侮蔑:ぶべつ」、「縋り付き:すがりつき」、「阻喪:そそう。くじけて勢いがなくなる」、「嗜虐的:しぎゃくてき。残酷なことを好むようす」、「瘤:こぶ」、「貶め:おとしめ」、「耄碌:もうろく」、「跨ぐ:またぐ」、「萎む:しぼむ」、「刺々しい:とげとげしい」、「虐める:いじめる」、「擦る:こする」、「痘痕:あばた」、「惰弱:だじゃく。気力に欠ける」

 印象的だった表現として、「自分だけが生き残った(以前タレントが訪問するテレビ番組で家が津波に流されなかった人が、流された人たちにあれこれ言われることがつらいとコメントされていました。いっそのこと、うちも流されていればよかった)」、「我が家は無事だった」(太平洋戦争で生きて帰還した特攻隊員のような心理です)  

Posted by 熊太郎 at 06:40Comments(0)TrackBack(0)読書感想文