2018年12月28日

平成くん、さようなら 古市憲寿

平成くん、さようなら 古市憲寿(ふるいち・のりとし) 文藝春秋

 本のタイトルの読みは、「平成くん(へいせいくん)」でいいと思いますが、登場人物の名前は、「平成(ひとなり)くん、平成時代が始まった1989年1月8日生まれ、29歳、脚本家、身長187cm、安楽死希望者」です。ひとなりくんとは読みにくいので、読むときはへいせいくんで読みました。
 第160回芥川賞候補作です。2019年1月16日(水)に発表があります。

 なんだかなあという出だしです。女子向けアダルトグッズの記述から始まります。語る「私」は、瀬戸愛さん、亡漫画家の娘です。父親の著作物のおかげで生活している家族の一員です。
 
 7ページ付近を読みながら、<結末はどうなるのだろう>

 読みにくい文章です。リズムがギクシャクしています。最初のうちは、「しかし」が多い。

 「死」を考える小説なのか。

 これまで生きてきた30年の成果とこれから先70年の無意味を論じてあるのですが、わたしは、これまでの60年間は、これからの40年間のためにあったと思いたい。

(つづく)

 平成くんは、元号改元のタイミングで安楽死したい。

 ミライという飼い猫にはなにか意味をもたせてあると考えます。(その後、平成くんはミライを最善の最期として、安楽死させます)

 1999年に安楽死法が成立した。

 小説というよりも論文に近い部分あり。

 2019年4月末が改元のタイミング

 瀬戸愛は、平成くんのどこがいいのだろう。

 なんだか、ポルノっぽくなってきました。

 安楽死を見学する。その日はまた別の人の誕生会にも出席する。
 儀式化するのはどうだろうか。賛否両論意見は分かれるのでしょう。そして、本人がいいと言うならばやるという決着をみるのでしょうが、本人の真意ではなく本人のがまんの事情があるときもあります。
 外国映画で安楽死を選択した老齢男性の物語を見たときは、儀式まではいかず、男性は、ごく近しい人だけ数人を呼んで、湖のそば、大自然の中でこの世にお別れを告げられました。
 自分でボタンを押してあの世へいく行為は自死だし、夫婦、親子ともになら、心中です。
 
 SNSいっぱいの話が続きます。今まで、こういう形式の小説を読んだことがありません。ヤマト運輸の配達員はアマゾンの配達で大忙しです。
 
 平成くんは、暗闇を嫌がる。そこになにかがあります。(目に原因ありで、それは遺伝危惧にまで発展します)

 ファッションへのこだわりはなにを意味するのだろうか。

 「生と死」を考えます。人は、生きることが無意味だと思ったら自死するのか。

 読んでいて、語り手が、瀬戸愛ではなく、平成くんに思えてしまいます。

 「安楽死」に関して、読み手は、超高齢者や不治の病にかかった人を対象者として想像するのですが、この物語では、未来に生きる意味をもてない若者も対象になるようです。若者の気持ちには、これまでの達成感と未来への悲観が混在しています。

 「死」は、残された人が悲しむもの。

 過去のこととして、平成くんの父親は逮捕された。現在、服役中。母親は、亡くなった。

 高層階が「居たがる場所」であることが不思議です。昔は戸建があこがれでした。

 家族がいない。夫婦ではなく、パートナーという異性の存在。
 どうでもいいことを話しできる相手がいない。
 未来の日本人像とは思いたくない。

 お金に苦労しない一族として、著作権で生活できる人。不動産収入の人も加えてほしい。だけどぼんやりしていたら財産を失います。

 元号へのこだわりや愛着をもつのはほとんどが60代以上だと思います。

 食事は自分でつくらないらしい。食事以外のことについてもファッション、移動は、「依存」の世界です。これでは、自分でものをつくれなくなってしまいます。お金がなくなれば死を選択です。昔の王族、貴族みたい。

 調べた単語などとして、「人狼:役割ゲーム。人の姿をした狼を探し出す。(あとになって、舞台の演劇だとわかりました)」、「エビデンス:証拠」、「ブレイズされた金目鯛:油であげるかいためてゆっくり煮込む」、「小沢健二:シンガーソングライター」、「マカロン:フランス菓子。丸くてサンドイッチみたいにはさんである」、「UBERの決済:配車走行サービス」、「Galaxy Note:スマホ、タブレット、サムスン」、「とくだね!:フジテレビ朝のワイドショー」、「新潮45:月刊誌」、「Surfaceを広げる:タブレット端末」、「グーグルホーム:音声アシスタント機能付きスピーカー」、「マシュマロガーゼ:軽くて柔らかいガーゼ。本書の場合、パジャマの生地」、「ウーマナイザー:アダルトグッズ」、わからない言葉がいっぱいです。「テンピュール:アメリカの寝具メーカー」、「アンダーズのルーフトップバー:虎ノ門ヒルズの52階のお店」、「EDM:クラブで流れていたら踊りたくなる音楽。エレクトロニック・ダンス・ミュージック」、「仲違い:なかたがい」、「アクネのロングコート:スェーデンのファッションブランド」、「トマス・モアのユートピア:1516年発表。当時の社会批判」、「Tik Toker:動画アプリにアップしている人」、「アンダーズ:虎ノ門ヒルズの上層階にあるホテル」、「ヨヒンビン:男が元気になる薬」、「ステッパー:ダイエット、その場足踏み運動器具」、「牽強付会:けんきょうふかい。道理に合わないことを自分の都合のいいようにこじつける」、「アダム徳永:イラストレーター」、「ユニクロの暖パン(だんぱん):あったかいズボン。メンズとレディース」、「アンダーカバーのスウェット:アンダーカバーは日本のファッションブランド」、「ヘパリーゼ:ビタミンドリンク」、「ドールのグレープフルーツジュース:ドールはアメリカ合衆国の会社」、「TOKYO MX:東京メトロポリタンテレビジョン。放送地域は東京」、「Periscope:ペリスコープ。ライブ配信ができるアプリ」、「サムネイル:縮小見本」、「ニールバレットのシャツ:イギリス人ファッションクリエーター」、「スターアニスの個室:六本木の中華レストラン」、「スーグラ:ダイエット、薬、糖尿病」、「聞蔵:朝日新聞データベース。きくぞう」、「ヨミダス:読売新聞データベース」、「右上4番、左上4番、歯の位置だと思います」、「ポールスミスのタグ:イギリスのファッションデザイナー、付け札」、「Tinder:位置情報を利用してのデートアプリ。ティンダ―」、「背徳感:後ろめたい罪悪感」、「デュケルム:フランスの社会学者」、「希死念慮:きしねんりょ。死にたいと願う」、「アロマスティック:香り」、「形而上学的:けいじじょうがくてき。? 超自然。見えないものを見ようとする」、「芥川龍之介:1927年、昭和2年、35歳没」、「ブラバンシアのゴミ箱:会社の名称」、「目敏い:めざとい。見つけるのがすばやい」、「AnotherVisionの謎解きイベント:東大生を中心に構成されているクリエイター集団」、「アランデュカスのチョコレート:モナコのシェフ」、「フィオレンティーナのケーキ:六本木ヒルズにあるレストラン」、「蜷川実花:女性写真家」、「情熱大陸の落合くん:カレーをストローで吸う。研究者」、「アントシニアン:健康食品」、「ボルネオに住むプナン:狩猟採集民」、「ミレニアルズ:何を考えているのかわからなという若い世代」、「キャッシュ:パソコンのなかの一時保存」、「INUA:レストランイヌア」、「SCRAP:株式会社スクラップ。イベントの企画・運営:」、「POSSE:労働相談を受け付けるNPO法人」、「エクスペリア:ソニーのスマホ、タブレット端末」、「FGO:スマホのゲーム」、「セオリーのジャケット:アメリカ合衆国のファッションブランド」、「デンハムのデニム:オランダで誕生したブランド」、「エキセントリック:風変り」、「OneDrive:マイクロソフトの無料サービス。専用サーバーにファイルを保存しておける」、「スプツニ子:東京大学准教授」、「アーカイブ:保存記録」、「ペルソムラ:睡眠薬」、「アンリアレイジのデニム:日本のブランド」、「ヴァージルによるルイ・ヴィトンのパーカー:アメリカのデザイナー」、「UBER Eats:フードデリバリーサービス」、「honest bee:オネストビー。配達。食材、日用品、料理」、「Y-3:日本のブランド」、「赤坂インターシティ:超高層複合ビル」、「ヴォストーク:乃木坂バー」、「綻び:ほころび」、「スペシャリテ:名物料理」、「ステンドラ:男が元気になる薬」

 読めない漢字、意味のわからない漢字がたくさん出てくる小説は体験したことがありますが、今回のようにカタカナ表記、アルファベット表記で意味がわからない言葉が大量に出てきた読書は初めての体験です。
 コンビニ人間は女子版でしたが、男子版が平成くんのイメージが残りました。アンドロイド(人造人間)です。

 印象に残った部分として、「お願いだから殺してくれ」

 読み疲れました。
 終わりのない物語です。
 ふーむ。今までに感じたことのない読後感が残ります。


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