2018年05月24日

カラヴァル ステファニー・ガーバー

カラヴァル Caraval 深紅色の少女 ステファニー・ガーバー 西本かおる訳 キノブックス

 本屋大賞の翻訳部門の受賞作品です。毎年、この部門で選ばれる作品にははずれがありません。(ただ、今回のこの本は、わたしには合いませんでした。)

 カラヴァルというのは、年に1度開催される魔法のゲーム大会です。本作品はファンタジー(幻想)です。そこまでの事前情報を仕入れて読み始めました。

 姉がいて、妹がいます。姉は現在17歳で、10日後にどこかの伯爵と結婚する予定です。ファンタジーなので、子どもさん向けの作品かと思いましたが、内容は、エッチに興味が強い姉と妹であり(軽いアダルト)、父親は姉妹を虐待支配しているようだし、母親は、子どもを捨てて家を出ています。まあ、壊れた家庭です。

 カラヴァルで勝利すると、魔法で、夢をひとつかなえてもらえる。
 姉妹は、こっそり、いまいる島を出て、ロス・スエニョス島(夢の島)で開催されるカラヴァルに参加するべく移動しました。

 権力者の父親に支配されている島がトリスダ島、姉スカーレットは、結婚相手の伯爵が、父親から自分と妹ドナテラを解放してくれると期待している。(貴族は、他者依存で食べていく。できなくなれば、娼婦に身を落とすか、福祉の対象者になるというような記述があり、自活できない部類の人たちであることがわかります。)

 カラヴァル(魔法大会)でかなえたい夢とは、「(移動、職業選択、恋愛などの)自由」のような気がします。

 クリムゾン(深紅色)、スカーレット(緋色。黄色味のある赤)

(つづく)

 舞台になるロス・スエニョス島は、台湾北部にある「きゅうふん」のような雰囲気です。

(つづく)

 読み終えましたが、なんだか、よくわかりません。
 自分には合わない内容なのでしょう。読みこみ不足も否定できません。
 もう一度、速読で、読みなおしてみます。

 スカーレット・ドラグナ(スカー) ニックネーム クリムゾン(深紅色) は、20日に伯爵と結婚する。
 スカーレットの妹ドナテラ・ドラグラナ(テラ)が行方不明になった。スカーレットが妹を探し出すことが目的。テラは人魚になりたがっていた。
 内容が、遊園地の回転木馬とか、観覧車のような感じがします。1周して、元に戻る。これはゲームだ。現実の出来事ではない。だから、内容がないと、興味が失せます。結局、何も起こっていないのと一緒です。
 スカーレットの結婚相手は、ニコラス・ダルシー伯爵だが、スカーレットは彼に会ったことがない。(政略結婚か。人身売買のような記述もあり。)
 ダンテは、レジェンドと誤認されて殺された。ダンテは、前回のカラヴァルの優勝者なのに、カラヴァルの主催者であるレジェンドと誤認されるのだろうか。
 秘密事項が多くて、すっきりしない。

(つづく)

 父親マルチェロ・ドラグナと長女スカーレット・ドラグナの対立があって、母親パロマは、7年前、スカーレットが10歳のときに行方不明になった。
 スカーレットの妹ドナテラ・ドラグナがいる。彼女が、カラバル(魔法大会の主催者)のゲームマスターであるレジェンドにドラグナ姉妹の参加を依頼する。ふたりの案内人として、船乗りジュリアン・マレーロが登場する。
 姉妹は、ジュリアンの案内で、カラヴァルが開催されるロス・スエニョス島、カスティーリヨ・マルディート宮殿へ行く。途中、カサビアン時計店に寄る。店主アルジーに会う。また、一輪車乗りほか、複数の役を務めるジョバンに会う。(登場人物はみんな出し物の役者で、役を演じている。)
 シルクハットは、レジェンドの目印だが、だれが、レジェンドかはなかなかわからない。
 アイコ、ダニエル伯爵、カスパール、クリムゾン、アナリース、フェリペ、ニコラス・ダルシー伯爵、ダンテ、ヴァンティナ、ナイジェル、ローザ、たくさん出てきます。

 キスとか抱擁とか、エッチな雰囲気がただよう作品でした。

 ちょっと、わたしには、無理な世界でした。

調べた言葉として、「フロックコート:19世紀のヨーロッパで男子が着たコート」、「封蠟:ふうろう。封筒の封をするためのシールみたいなもの」、「黒真珠:黒蝶貝からとれる真珠。白はアコヤ貝」、「ターコイズブルー:緑がかった青」、「セージ:草。紫色の花が咲く。」、「ベルベット:生地。柔らかい。」、「デコルテを見せるデザイン:美容用語で首から胸元」

心に残ったフレーズとして、「人生には安全より大切なものがある。(歳をとるとそうは思えない。主人公は若い。)」、「始まりはいつも恋」、「おばあさまのお話が目の前で現実になっていく。」、「結婚は幸せいっぱいのものじゃない」、「母パロマは家族を捨てた。」、「自分の子供の部分はよろこんでいるが、おとなの部分は戸惑っている。」、「駒として、ゲーム盤にのせられているような気がする。」、「1時間、声を貸す。」、「ガラスの鍵」  

Posted by 熊太郎 at 13:40Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2018年05月23日

がっこうだってどきどきしてる

がっこうだってどきどきしてる アダム・レックス文 なかがわちひろ訳 WAVE出版 2018課題図書

新しい学校ができます。
新しい学校は、人間みたいに心をもっています。
新しい学校は、自らのことについて不安をもっています。
新しい学校に来る子どもたちも不安をもっていることでしょう。
新しい学校が、新しい学校にくる子どもたちに「心配いらないよ。」 とメッセージをおくる内容の本です。

 アメリカの学校なので、黄色いスクールバスで、登校する小学生たちがいます。
 厚くて硬い表紙をめくると、黒をバックにアメリカ合衆国の子どもの遊びが描かれています。
 バスケットボール、時計のようなサークル、マス目のゲーム、ケンケンパみたいなワク、さかなつりのさおのさきにボールが餌のように付けられている。(日本では見かけないものが多い。)
 校庭で遊ぶのか、体育館内で遊ぶのかは、わかりません。

 こどもがどきどきしているだろうけれど、がっこうもどきどきしているんだよという内容のメッセージが、作者から読み手の子どもたちにあります。
 
 がっこうをつくる工事のシーンから始まります。がっこうの名前は書いてありません。ただ、「がっこう」 だけです。
 
 がっこうは、自分が「がっこう」であることを知らない。がっこうがどんなことをするところなのかも知らない。

 建物が新品なら、中身も新品のはずです。机、いす、ホワイトボード、地球儀、照明、棚

 せんせいの話はあまり出てきませんが、ようむいんさんの話は、いっぱい出てきます。

 新学期になって、1年生から6年生まで、おおぜいの子どもたちが、がっこうに来てくれました。文章には、「ジャングルジム」 と書いてありますが、絵にジャングルジムはありません。すべりだい、うんてい、はん登棒(はんとうぼう)、平均台などの絵が描いてあります。

くるくるまきげの男子は、がっこうが、だいきらいと言っています。
車いすにのった女子もがっこうへ来ています。
ほっぺにそばかすのある女の子は、登校拒否児です。

がっこうが、くるくるまきげの男子に、水道の水をひっかけたシーンは、笑いました。

がっこうがきらいなそばかすの女の子がいます。がっこうは、その子がきらいです。自分がきらいだと、相手もあなたをきらいだと言います。

どうしたことか、なんということか、がっこうは、そばかすの女の子をがっこうから追い出すために、ひじょうベルを鳴らしてしまいました。だから、子どもたちは、がっこうから出ていきます。がっこうは、びっくりしてそばかすの女の子もふくめて、こどもたち、ひとりひとりにあやまりました。

 昼ごはんの時間がきました。鼻から牛乳を吹き出している男子がいますが、白いものが牛乳に見えない絵です。おべんとうはおべんとうに見えません。絵の具を入れるパレットに見えます。

 ましかくがましかくでないのは、平行四辺形のことをせんせいは言っているのかと絵を見ましたが、平行四辺形の絵はありません。ちょっと、意味がわかりません。女性の先生がもっているものは、たしかにましかくには見えません。

 ようむいんさんは、いつも、ずっと、そうじをしています。おそうじのしごとだけする人は、べつにいそうな気もするのですが、このがっこうは、ようむいんさんだけがそうじをするみたいです。そうじが終わるとようむいんさんは、がっこうとおしゃべりをしたあと、屋上で夕焼けを見物します。とんでいる飛行機が見えるのでいいなあ。

 ようむいんさんとがっこうが夕日を見ながらおしゃべりします。
 ひとの役に立つしごとをしようというようなメッセージがあります。

 学校は、こどもにとっては、長くも短くも、一時的な滞在地です。せめて、そこにいる間だけでも楽しい場所にしたいものです。  

Posted by 熊太郎 at 11:45Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2018年05月22日

森のおくから

森のおくから レベッカ・ボンド作 もりうちすみこ訳 ゴブリン書房 2018課題図書

 カナダ国にある山奥の100年以上昔の実際にあったお話です。
 作者のおじいさんの体験です。

 厚い表紙をめくると、たくさんの森の動物たちの絵があります。
 クマ、オオカミ、大シカ(ムース? 大鹿、ヘラジカでした。)、ハリネズミ(ヤマアラシでした。)、ウサギ、トナカイ、イタチ、リス、ヤマネコ、テン、タヌキ、ネズミ(フクロネズミでした。)、シカなどです。

 茶色の色合いで絵はスタートします。やがて、赤(山火事、火災)となり、最後は、白でおさまります。

 1914年の出来事です。作者のおじいさんアントニオはまだ5歳です。カナダの小さな山奥にある町、ゴーガンダ湖のそばに住むホテル経営者の家族です。5歳のアントニオは、働くおとなたちに囲まれて、幸せな子ども時代を毎日過ごしています。
 日本ではこの年は、大正3年です。世界では、第一次世界大戦(7年間)が始まっています。

 家族、お客さん、ホテル従業員がそろって食べる食事はにぎやかだったことでしょう。でも、なんだか、人が多すぎて、臭そう。

 山火事を消火することはむずかしい。だから、山火事を起こさないようにすることが大事です。
 本では、山火事発生その後の展開がすごい。
 人間たちが、湖の中に避難することは予測できます。
 森の動物たちまでもが、湖に避難してきて、かつ、人間と動物、あるいは、動物同士が、戦う争いにならないところが不思議であり、ありえないでしょうと言いたくなるのです。
天敵同士が争わない。それが、もし、本当なら、人間も動物も山火事の火の勢いに圧倒されたのでしょう。火の神を見る思いだったのでしょう。絵には、人間の失意と、動物の淡々とした生きるための妥協が現れています。

 すごいお話だなあ。湖のなかで、人間と動物が共存しています。

 火事が消えた後の人々の眠る光景の絵を見ていると、雨風しのげる家の中で眠れるということは、幸せなことだと感じます。

 アントニオおじいさんは、5歳から10年間、15歳まで、カナダのゴーガンダで暮らしたそうです。いざという困ったときには、ふだん、対立しているもの同士でも(人間と動物)、共存できるのです。

 昔あったことを次世代につないでいく。伝承の大切さを知りました。  

Posted by 熊太郎 at 06:17Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2018年05月21日

蒲郡市沖三河湾

蒲郡市沖三河湾

湾に浮かぶ小島です。左手奥は、渥美半島です。



竹島方向です。



五月晴れ(さつきばれ)、気持ちの良い一日でした。  

Posted by 熊太郎 at 06:31Comments(0)TrackBack(0)愛知県

2018年05月20日

なずずこのっぺ?

なずずこのっぺ?(なに これ?) カーソン・エリス フレーベル館 2018課題図書

タイトルを見て、なかみを読んで面食らいます(驚いて、どうしていいのかわからなくなる。)。
書いてあることの意味がわからないからです。
昆虫語(虫のことば)なので、調べようがありません。
自分で想像します。参考までに、本の帯に数語だけ翻訳があります。
わっぱど がららん→さっぱり、わからん(読み手のほうがわからん。)
ダンダノビ→はしご
じゃじゃこん!→ばいばい
コロジン→中年オヤジみたいな虫
ムクジャランカ→タランチュラみたいな大きなクモの虫

物事の根本的なことを考える哲学的な本だろうかと思い読み始めました。
 
ページをめくります。
見開き2ページの左側に書いてある木の枝は、幹が戦車で、枝が戦車の主砲に見えます。

「なずずこのっぺ?」 はリズム感があっておもしろい。方言のようです。意味は、「なに、これ?」
答が、「わっぱど がららん(わからん)」 カゲロウトンボみたいな2匹の虫が話し合っています。

また、ページをめくります。
右側のページに、芽が出た状態の植物が書いてあります。
土の下にある種から芽が出たのです。
何の花が咲くのか楽しみです。

ページをめくります。
さっきの戦車の砲台に虫のさなぎがぶらさがっています。最初のページから登場していた毛虫くんがてるてるぼうずのように主砲にぶらさがって羽化の準備に入りました。何の虫に化けるか楽しみです。以下、わたしの勝手な翻訳です。

甲虫その1:(植物の芽を指して) これ なんだ?
甲虫その2:プクロニじゃないか。
テントウムシ:プクロニってなんだ。
甲虫その2:わからん。

植物の成長を巡って、
甲虫その2:だんだんのびてきた。
甲虫その1:ぐんぐんのびた。
テントウムシ:コロジンに聞いてみよう。

おや! 横になっていた樹木の年輪部分が家のドアのように開きました。びっくり。
甲虫その1:コロジン あのね。
甲虫その2とテントウムシ:はしごちょうだい。
 
学者みたいなメガネのイモムシおじさん:(はしごをもちだして)さあ、どうぞ。
甲虫その2:はしご、もってきた!
テントウムシ:はしごの登場だ!

甲虫2:のんびりしましょう。
甲虫1:これはいいアイデアだった。
テントウムシ:のんびりしましょう。
 
夜、輝く満月を見上げながらバイオリンを弾くのは、甲虫1だろうか。昔の童話・民話ではキリギリスだった。

みんなが木材を持ち出したとき、木材を薪(たきぎ)にしてキャンプファイアーでもやるのかと思った。芽が出てのびた植物まで燃えてしまう。

左手に大きなクモが現れました。(このクモなあに。こわいよー)
右のページでは、楽しい秘密基地づくりです。
甲虫その1:アイデア出していこう!

ほう、巨大クモが基地をクモの巣で囲みはじめる。
甲虫たちは、秘密基地を巨大クモに奪われる。
テントウムシ:巨大クモだ。
甲虫その2:にっくき 巨大クモ
甲虫その1:アイデアがだめになる。
カゲロウトンボ:巨大クモ

<順番に大きなものに支配されていくのですが、巨大クモは、巨大な鳥に食われます。弱肉強食の自然界が描かれています。>
虫たちは、目をおおい、うつむいている。

虫たち:巨大クモがいなくなった!

右ページの植物に大きな赤い花が咲きます。
虫たちは数が増えて、かつ、喜んでいます。

ムカデみたいな虫:花を指さしながら、なに それ?
複数の虫が、「ル、なんとか)」
メガネ学者イモムシ:コロバンか。

ルンバボンが、なにか幼児向けの歌にあった。ブンバボンだったっけ。
ダンスミュージックです。

物語と植物の最盛期がありましたが、やがて、寿命が訪れます。赤い花の植物は倒れます。
さなぎは、夜に飛ぶ蛾(ガ)になりました。
四季が終わります。1年が終わります。

やがて春がきますが、前の春とは違います。
植物はたくさんの種を地面に落としました。
たくさんの芽が出てきました。
伝承と継続、発展があります。

ほとんどが、解読不能な虫ことばです。

最後のページの「じゃじゃやこん」は、「ばいばい」です。  

Posted by 熊太郎 at 11:43Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2018年05月18日

奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール

奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール 邦画DVD 2017年公開

 レンタルショップで、人気があるようなビデオだったので借りて観てみました。観る前に、テレビのお昼のワイドショーを見ていて、「色気で男をだまして、男から金をだまし盗る女性が懲役7年の判決を受けた。」という内容で、続けて観たこの映画が類似の内容で、そのつながりがおもしろかった。

 「マレ」というライフスタイル雑誌の若手編集者が、天海あかり(あまみ・あかり)という若くてスタイルが良くて(正直見た目だけの女性で、どうして、男たちがひかれるのか?でした。)にぞっこんになる。あかりさんは、複数の男子と付き合っているものだから若者コーロキくんは、トラブルに巻き込まれる。

 最初は、恋人同士で楽しく観る映画だと思いました。(奥田民生さんのことは知りません。)
 次に、やっぱり、男子ひとりで観る映画だという感想をもちました。(エッチなシーンも多いので)
 まあ、女優さんの魅力を楽しむ映画です。

 まじめに考えると、コーロキ君という若手男性社員の人事異動後転入先職場での半年間、そして、引き続きの2年半で、失ったもの、得たものをふりかえるという映画です。つまり、おとなになることによって、青春が終焉を迎えたのです。失恋の面もありますが、最初から一方的なものでしかなかった。人生の汚点のようで、そうでもない、ほんわかとしたものです。若いなあというのが、鑑賞後の感想でした。

 ラストシーンは予定調和みたいで、予想通りだったので、つまらなかった。そのあとに流れた曲がパフィーの曲みたいだった。(あとで、奥田民生という方が、パフィーを世に出した人だと知りました。)

妻夫木聡 水原希子 監督:大根仁(おおね・ひとし) 原作:渋谷直角(しぶや・ちょっかく)