2018年05月23日

がっこうだってどきどきしてる

がっこうだってどきどきしてる アダム・レックス文 なかがわちひろ訳 WAVE出版 2018課題図書

新しい学校ができます。
新しい学校は、人間みたいに心をもっています。
新しい学校は、自らのことについて不安をもっています。
新しい学校に来る子どもたちも不安をもっていることでしょう。
新しい学校が、新しい学校にくる子どもたちに「心配いらないよ。」 とメッセージをおくる内容の本です。

 アメリカの学校なので、黄色いスクールバスで、登校する小学生たちがいます。
 厚くて硬い表紙をめくると、黒をバックにアメリカ合衆国の子どもの遊びが描かれています。
 バスケットボール、時計のようなサークル、マス目のゲーム、ケンケンパみたいなワク、さかなつりのさおのさきにボールが餌のように付けられている。(日本では見かけないものが多い。)
 校庭で遊ぶのか、体育館内で遊ぶのかは、わかりません。

 こどもがどきどきしているだろうけれど、がっこうもどきどきしているんだよという内容のメッセージが、作者から読み手の子どもたちにあります。
 
 がっこうをつくる工事のシーンから始まります。がっこうの名前は書いてありません。ただ、「がっこう」 だけです。
 
 がっこうは、自分が「がっこう」であることを知らない。がっこうがどんなことをするところなのかも知らない。

 建物が新品なら、中身も新品のはずです。机、いす、ホワイトボード、地球儀、照明、棚

 せんせいの話はあまり出てきませんが、ようむいんさんの話は、いっぱい出てきます。

 新学期になって、1年生から6年生まで、おおぜいの子どもたちが、がっこうに来てくれました。文章には、「ジャングルジム」 と書いてありますが、絵にジャングルジムはありません。すべりだい、うんてい、はん登棒(はんとうぼう)、平均台などの絵が描いてあります。

くるくるまきげの男子は、がっこうが、だいきらいと言っています。
車いすにのった女子もがっこうへ来ています。
ほっぺにそばかすのある女の子は、登校拒否児です。

がっこうが、くるくるまきげの男子に、水道の水をひっかけたシーンは、笑いました。

がっこうがきらいなそばかすの女の子がいます。がっこうは、その子がきらいです。自分がきらいだと、相手もあなたをきらいだと言います。

どうしたことか、なんということか、がっこうは、そばかすの女の子をがっこうから追い出すために、ひじょうベルを鳴らしてしまいました。だから、子どもたちは、がっこうから出ていきます。がっこうは、びっくりしてそばかすの女の子もふくめて、こどもたち、ひとりひとりにあやまりました。

 昼ごはんの時間がきました。鼻から牛乳を吹き出している男子がいますが、白いものが牛乳に見えない絵です。おべんとうはおべんとうに見えません。絵の具を入れるパレットに見えます。

 ましかくがましかくでないのは、平行四辺形のことをせんせいは言っているのかと絵を見ましたが、平行四辺形の絵はありません。ちょっと、意味がわかりません。女性の先生がもっているものは、たしかにましかくには見えません。

 ようむいんさんは、いつも、ずっと、そうじをしています。おそうじのしごとだけする人は、べつにいそうな気もするのですが、このがっこうは、ようむいんさんだけがそうじをするみたいです。そうじが終わるとようむいんさんは、がっこうとおしゃべりをしたあと、屋上で夕焼けを見物します。とんでいる飛行機が見えるのでいいなあ。

 ようむいんさんとがっこうが夕日を見ながらおしゃべりします。
 ひとの役に立つしごとをしようというようなメッセージがあります。

 学校は、こどもにとっては、長くも短くも、一時的な滞在地です。せめて、そこにいる間だけでも楽しい場所にしたいものです。

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