2018年05月22日

森のおくから

森のおくから レベッカ・ボンド作 もりうちすみこ訳 ゴブリン書房 2018課題図書

 カナダ国にある山奥の100年以上昔の実際にあったお話です。
 作者のおじいさんの体験です。

 厚い表紙をめくると、たくさんの森の動物たちの絵があります。
 クマ、オオカミ、大シカ(ムース? 大鹿、ヘラジカでした。)、ハリネズミ(ヤマアラシでした。)、ウサギ、トナカイ、イタチ、リス、ヤマネコ、テン、タヌキ、ネズミ(フクロネズミでした。)、シカなどです。

 茶色の色合いで絵はスタートします。やがて、赤(山火事、火災)となり、最後は、白でおさまります。

 1914年の出来事です。作者のおじいさんアントニオはまだ5歳です。カナダの小さな山奥にある町、ゴーガンダ湖のそばに住むホテル経営者の家族です。5歳のアントニオは、働くおとなたちに囲まれて、幸せな子ども時代を毎日過ごしています。
 日本ではこの年は、大正3年です。世界では、第一次世界大戦(7年間)が始まっています。

 家族、お客さん、ホテル従業員がそろって食べる食事はにぎやかだったことでしょう。でも、なんだか、人が多すぎて、臭そう。

 山火事を消火することはむずかしい。だから、山火事を起こさないようにすることが大事です。
 本では、山火事発生その後の展開がすごい。
 人間たちが、湖の中に避難することは予測できます。
 森の動物たちまでもが、湖に避難してきて、かつ、人間と動物、あるいは、動物同士が、戦う争いにならないところが不思議であり、ありえないでしょうと言いたくなるのです。
天敵同士が争わない。それが、もし、本当なら、人間も動物も山火事の火の勢いに圧倒されたのでしょう。火の神を見る思いだったのでしょう。絵には、人間の失意と、動物の淡々とした生きるための妥協が現れています。

 すごいお話だなあ。湖のなかで、人間と動物が共存しています。

 火事が消えた後の人々の眠る光景の絵を見ていると、雨風しのげる家の中で眠れるということは、幸せなことだと感じます。

 アントニオおじいさんは、5歳から10年間、15歳まで、カナダのゴーガンダで暮らしたそうです。いざという困ったときには、ふだん、対立しているもの同士でも(人間と動物)、共存できるのです。

 昔あったことを次世代につないでいく。伝承の大切さを知りました。

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