2018年05月08日

それまでの明日 原寮

それまでの明日 原寮 早川書房

 初めて読む作家さんです。推理小説です。

 タイトルの意味がわかりません。「それまで」は、現在もしくは過去、「明日」は未来、ゆえに接合できない気がします。

 登場人物は小さなグループになっています。警察グループ、金融会社、強盗、料亭、主人公は、沢崎という男性私立探偵です。

 1項目が7~8ページで読みやすい。

 出だしがおもしろい。交番の前をうろうろする探偵さんです。

 タバコの記述が多いのは、昔風です。

 ひとり行方不明。
 ひとり死体になる。
 
(つづく)

 たぶん、中身は高度で、完成度の高い作品だと思うのですが、昔風なのです。
 ことに、タバコのシーンが連続していきます。タバコで引っ張っていく物語です。昭和時代の名残です。

 読書の玄人(くろうと。熟達した人)受けする文章です。

 だから、「それまでの明日」 というタイトルなのだろうかと勝手な解釈をします。それまで=これまでのやり方で、明日もやるです。変化しない。時代から遅れていく。

 可能性がある複数の提案のあとの選択はしない。
 各人が秘密をもっていてなかなか口外しない。
 正体が明確ではない。
 いろいろな仕掛けがしてあります。

調べた単語として、「警邏:けいら。漢字を初めて見ました。」

いいなと感じた表現です。「出口どころか入口もはっきりしない。」、「職業的な笑み」、「ペンライトの灯りを向ける」  

Posted by 熊太郎 at 10:02Comments(0)TrackBack(0)読書感想文