2018年05月01日

幼な子われらに生まれ 邦画DVD

幼な子われらに生まれ 邦画DVD 2017年公開

 わけありの父親と小学6年生娘さおりの様子から始まります。ほどなくして、重松清作品であることがわかりました。継母とか継父、異父きょうだいとか、異母きょうだいのことを書いたら、重松清さんに勝てる作家さんはほかにいません。無理です。本としては、「卒業」が最高峰です。重松さんと同じパターンで書いても二番煎じでしかありません。

 映画は、お互いに相方と苦しい事情を経て離婚した×1(ばついち)同士の夫婦から始まります。お互いに年頃の娘がいます。思春期であり、反抗期です。

 妻の連れ子の娘薫の言い分は正しい。継父は、「父じゃない。」
 この子の言うことは、ひとつひとつが理にかなっていて、反論できない。なのに、最後にこの子が嘘をついてしまうのは残念でした。

 父じゃないと妻の連れ子に言われた田中さんの言動は、周囲の人間から見れば、「ふざけるな」です。仕事に取り組む姿勢がなってないし、家族のつくりかたもだらしない。考えが甘いのに、自分はちゃんとやっていると自負している。

 子どもは、会わないほうがいいのに、思春期になると、別れた実父母に会いたがります。会って、がっかりします。子どもが思うほど、別れた親は、別れた子どものことを思ってくれていません。

 登場人物各人の言い分を聞いていると、もっともだとも思えます。仕事いちずでいきたかったのに不本意な妊娠をしてしまったという女性がいます。子どもとの接し方がわからないという男性がいます。失敗した結婚があります。

 嘘をついて、嘘でおおって、良い家族を演じ続けることはできない。

 別れた親と会っても、どうしようもない。すべては、済んだこと。過去はあっても未来はない。もう、過去には戻れない。

 たばこのシーンが多い。たばこを吸っても幸せにはなれない。

 反抗期の娘から要求がある「鍵(かぎ)」の設置でもめるシーンがあります。べつにいいんじゃないというのが感想です。シーンの内容ほどこだわることはないでしょう。

 失敗した人間の後悔と謝罪です。暗い。

 タイトルはしっくりきません。最後の最後で、娘からみれば、異父弟が生まれるわけですが、そのあかちゃんが争論の原因とは思えません。