2018年02月26日

ホワイトラビット 伊坂幸太郎

ホワイトラビット 伊坂幸太郎 新潮社

 本屋大賞候補作「AKアックス斧」の出来が良かったので、この本も読んでみることにしました。

 仙台市内、一戸建て籠城事件「白兎事件」です。

 主人公は、兎田孝則(うさぎだ・たかのり)。誘拐業。経験2年

 犯人らしき者は、今のところ(40ページ付近)、黒澤、中村、今村の三人組

 オリオン座。五角形の下に台形をくっつけたような正座(物語の下地となる。二等星の三つ星あり。)。ペテルギウスとリゲルが一等星。ひしゃく型は北斗七星

 犯罪者の側からの記述が続く。

 オリオオリオが経理の話で逃げている。

 時刻の位置が不明。意図的に時間を操作してあります。

 勇介とその母親の家に賊(ぞく)が入る。

 セリフが多い。セリフが進行役です。

 黒澤、中村、今村の三人が仕事をする。空き巣業。

唆す:そそのかす。読めなかった。

(つづく)

110ページ付近まで読みました。
レ・ミゼラブルがそうなのかどうかわかりませんが、どうもその真似をしてあるらしく、作中に書き手である小説家が登場してきます。そして、解説をします。

SIT(シット)の夏之目課長が捜査の指揮にあたります。

譬え:たとえ。読めませんでした。 蘊蓄:うんちく。同じく。

「綿子ちゃん」というのは、犬か猫じゃなかろうか。

いい表現として、「個人情報を出さないでくれ」、「行動を自重させるのは法や道徳ではなく損得勘定」

調べたのは、「トートロジー:無意味な同語反復」

(つづく)

 オリオン座が深く関与してきます。星座のことは知らないので星座の写真を見ました。きれいでした。

 仙台市内の地図を見ました。5区、人口100万。書中では、田舎とあります。

 読み続けています。おもしろいことはおもしろい。話は少し複雑ですが、なんとか理解に努めようとついていっています。

 途中で、「?」。(あとでわかります。)

 「ほう(驚きと、感心のため息)」

 204ページです。あと、64ページ。40分間ほどで読み終えます。

(つづく)

 読み終えました。「AKアックス」のほうが、はるかにおもしろくてためになります。
 本作品を読むための下地として、オリオン座をめぐる星座の知識、作品レ・ミゼラブルの知識があるといいのでしょうが、あいにく、自分には備えがありません。

良かった表現として、「(主旨が)説明不足」、「(いたぶるシーンで)娯楽だ。」、「そういう無駄なところが物語を豊かにする。」

読めなかった文字として、「目を瞑れば:めをつむれば」

嫌だった表現として、DVめいた稲葉の行動

わからなかったこととして、「ホステージ:人質事件のアメリカ映画」

黒澤の男気がテーマか。  

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2018年02月25日

芥川賞の謎を解く 鵜飼哲夫

芥川賞の謎を解く 鵜飼哲夫 文春新書

 読み終えました。
 古い過去のお話を聞くようでした。内容は重厚です。歯ごたえがあります。

 出版不況です。
 出版社は本を売って稼ぎたい。組織を維持したい。個人のふところを潤したい。
 売れる本をつくる。イメージをつくる。
 芥川賞の選出ポイントは、「話題性」になったようです。
 この本では、本物にこだわっていた時代がやがて崩壊していく経過を記したように見えます。
 偉大な小説家たちが、激しく対立しながら芥川賞受賞作品を選んでいきます。
 賛否両論です。同じ作品でも賛美する審査員と否定する審査員がいます。

 この本を読んだ書き手は、評価を気にする必要はないという結論に達します。ファンがつけばいいのです。批判されてもめげることはない。
良かった表現のひとつとして、「男と女、五分と五分」。意思を貫くことが大事です。

 芥川賞は、「新人賞」である。ゆえに、本格的でなくていい。これからの期待を買う。

 デカダン:退廃的、晦渋:かいじゅう。難解、メタファ:暗喩、比喩(表面に出さない)

 太宰治、安部公房(93年68歳で死去ノーベル文学賞候補だった。)、

 女流作家たちは、元気がいい。曽野綾子(今も現役90歳ぐらい)、有吉佐和子53歳で死去、河野多恵子(こないだ読んだ寂聴さんの本にいっぱい書いてあった。)、川上弘美、吉本ばなな、

 ひんしゅくをかう小説家たちが受賞する時期が過去にあった。駄作群が続く時代もあった。良かった表現として、「プロレスは悪玉がいてこそ盛り上がる。」。若者で、バカで、よそ者が受賞する。

 文学は多数決じゃない。(河野多恵子さんの言葉)

 記録書として秀逸な本です。  

Posted by 熊太郎 at 18:52Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2018年02月23日

おちゃめに100歳! 寂聴さん 瀬尾まなほ

おちゃめに100歳! 寂聴さん 瀬尾まなほ

先日、「いのち」を読み終えました。
家族が、日本人秘書とテレビに登場していたと話しました。
たしか、書中では、「モナさん」だった。
「外国人じゃないの?」
「いや、日本人だった。」

読み始めました。
日本人でした。何かの本で、「モナさん」と書いたらしい。その人が書いたこの本です。

主人公の寂聴さんを浮き彫りにするように書いてあります。読んでいて、小説家、作家として、命がけの創作活動、講演活動をなさっていると、魂の叫びが伝わってきます。小説家としての心意気があります。

「得度式:とくどしき。仏門に入り、僧となるための儀式」

嵯峨野あたりの京都の風情がいい。

朝出勤して、グーグーのいびきを聞いて、「良かった死んでいなかった。」がいい。

朝食がパン食はイメージ離れで驚きました。人参嫌いも同様です。

怪傑えみチャンネルとカプチーノが好きなのはわたしも同じです。

第二章から、著者の半生記になります。はぶられたのは、かわいそうです。

本が折れそうな心を支えてくれます。

「いらち:すぐいらいらする性格」

小説家とは、自分の恥を書いて銭にする仕事

壮絶です。(寂聴さんの若かりし頃の行い)

寂聴さんは、エネルギーの固まりです。個人営業主だからできることもあります。
酒とお肉とお菓子とおいしいものは何でも食べます。ちょっと考えられない。秘書さんの若いエネルギーを吸い取っているとあります。

「貞操」を守るとか、処女でお嫁にいくとか、なつかしい、昔の感覚があります。それと並べて、だれとでも寝る自由という現代の感覚があります。
日本は、極端から極端に変わりました。不倫の肯定があります。ちょっと、ついていけない。先生のお話はすさまじすぎる。迫力があります。

カウンセラーとは、ケアマネージャーのことでしょう。

正直、記事内容がスカスカな部分がありますが、とにかく、明るいのがいい。そのあと、濃厚な寂聴さんの言葉が続くバランスがいいのでしょう。

「育ててこその親」

「今いる場所がすべてじゃない(前向きな肯定の意味)。」  

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2018年02月22日

ねこのおうち 柳美里

ねこのおうち 柳美里(ゆう・みり) 河出書房新社

短編4本です。

「ニーコのおうち」
 一人暮らし高齢者(こども3人に見捨てられた)おばあさんと捨て猫たちの物語です。おばあさんは、捨てられた猫たちに餌を供給します。ちょっと精神にはきついお話でした。
 童話のような出だしです。万引きした少年が今はおとなとなって、ネコを捨てに行きます。彼は、心の中で、離婚しようと思っています。彼は、お嫁さんも捨てるのです。

 印象に残った文節として、「猫はひっそりと生きている」

 おばあさんの味方はいるようでいません。猫の命を守る愛情は住民から許容されません。それが、現代社会です。「排除」ありきの「平和」です。そして、お金の話です。日本人は、お金が好きな民族です。


「スワンのおうち」
 第一話を読んで、最後は、「幸福」という言葉にたどり着けない作品群かと思っていたら、この短編はそうではありませんでした。ほっとしました。
 小学校3年生女児3人のいじめ含みの仲間意識があります。3人寄れば、ひとりは仲間はずれにされます。それを本当は、「仲間」とはいいません。
行きたくもないのに強制的に私立中学校を受験させられて登校拒否になった中学生がいます。こどもには、こどもの人生があり、こどもが選択するものです。親は反対できません。
 姉のお古は嫌だという2番目のこどもの気持ちがあります。

 食卓を囲むのが、「家族」です。

 良かった言葉として、スーちゃん」


「アルミとサンタのおうち」、「ゲンゴロウとラテとニーコのおうち」

 お父さんはいませんの原田正樹君小学校3年生。同じくお父さんがいなくなって成長した佐藤ひかる27歳男性ライター。
 文字数は多くない。(17年ぐらい前、著者が、たどたどしい指使いでワープロを打っているシーンをテレビで見たことを思い出しました。)
 短時間で読み終えることができる文章量の1冊です。

 第2話「スワンのおうち」とシンクロ(交錯、同時に起こる。)しました。

 クリスマスページェント:イエスキリストの誕生を劇で演じて神の子の誕生を祝う。

 児童虐待話が出ます。

 10代後半から20代前半になるとだれしも自分の原点を知りたくなって、児童期の体験場所を再訪したくなります。

 怒られるかもしれませんが、似た者同士が集まって、傷をなめあっても、克服にはつながりません。

 自分がネタの物語づくりです。

 「明るい家庭」は、「フリ」だった。

 滝廉太郎は、23歳で病死するまでに名曲をたくさんつくった。

 なんで風邪ばっかりひくんだろう。(タバコを吸うからです。)

 「期待に弱い人」

 「カフェラテ」

 休職を認めてもらえないなら退職する。

 捨て猫がつなぐ人間関係です。

 死んでもだれにも知らせないでね。

 後半は理屈っぽかった。

 着地点は良かった。
  

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2018年02月20日

上司が壊す職場 見波利幸

上司が壊す職場 見波利幸 日経プレミアシリーズ

 もうすぐ定年退職なので、いまさら読んでもしかたがないのですが、本屋で手にして、おもしろそうだったので買ってしまいました。

 管理職の立場の者を分析・評価・対策する内容です。逆の立場から物申させていただくと、メンタルヘルスの面で、長期間通院しても復職できないというのは、本当に治療する気があるのかと疑うのです。書中に一瞬だけ記事がありましたが、医療機関にとって都合の良い「顧客扱い」になっているのではないか。

 パワハラ上司は何人か観てきました。許される時代でした。もう、これからは、許されません。書中にありますが、マネジメント専門職をつくるべきでしょう。仕事の名職人イコール名監督者ではありません。
 昔は、耳に痛いことを言ってくれる人は大切にしなさいと教わりましたが、今は、良かれと思って、耳に痛いことを言うと、仕返しをされる時代です。

 マシンガンのように話す人は危ないというようなことが書いてあります。とくに、女性管理職にそのタイプが多いような気がします。

 完ぺきな人っていないと思う。

 最後は、「誠意」で締められています。

 人の真実を見抜く本です。案外、結婚相手の判断にも通じます。

 もう、どうしようもなくなったら、辞めるしかない。

 後半に、問題行動ある管理職との面談の仕方が書いてあります。相手に、ずばり本音を言わない手法です。本音をはっきり言って、けんか別れになってもいいというパターンもあると思います。はっきり言わないとお互い何を考えているのか、わかりあえないということが、年齢を重ねてわかるようになりました。

 採用試験を厳しく実施するとあります。ゆるい選抜は将来、問題行動ありの上司を生む。

 無関心はだめ。

 公務員社会は危うい。教員も同様

 最近の優良企業脱落の原因がここにある。

 AIについて書いてありますが、未来社会では、AIが人間グループを公平・公正にマネジメントするのかもしれません。

印象に残った言葉として、「チームの生産性」、「仕事量の多さや勤務時間の長さで組織が壊れるのではない。」、「大部分の上司は普通」、「面従腹背:めんじゅうふくはい。うわべだけ従う。内心反抗」、「独自のコード(ルール)」、「裏の顔をもつ幹部職員」  

Posted by 熊太郎 at 18:46Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2018年02月18日

いのち 瀬戸内寂聴

いのち 瀬戸内寂聴 講談社

 有名な方ですが、ほとんど存じ上げません。
 しばらく前から高齢者筆記者の本を読むようになり、今回手に取りました。

 短編小説かと思って読み始めましたが、違っていました。
 筆者の日常記録と思い出記録です。
 本物の人がいるわけで、すでに亡くなった方のとくに性癖など書いていいのだろうかと、読みながら心配しましたが、許される年齢(95歳)、許される実績をもった方です。

 岡本太郎氏のお話がおもしろかった。小説家なんかやめて、おれの愛人になれみたいな表現で、それも、一人目ではなくて、二人目、三人目みたいな表現。岡本氏の非常識さがいい。

 若くして、みんなガンで死んでいく。そして、死にたくないと叫ぶ。ガンにならないようにと心配してくれる人がガンで死んでいく。命の継続に無情なさだめがあります。

 性風俗を描写する作家としてデビューして、友人もその路線できて、交友があって、老いて、亡くなって、自分は長命でという流れで記述があります。

 しょっちゅう会わなくても友情は継続する。
 そのほか、小説家稼業への愛着と誇りがあります。

 いつも仲良しというわけにいかないのが、友だちづきあいです。けんかもします。それでも付き合いは死ぬまで長続きしていきます。「腐れ縁」です。

 著者の強気なイメージがくつがえされる面もあります。男の後を追うのです。男と女のからみあいがあります。女は著者です。出家の理由はそのあたりにあるのかと考えました。

 若い頃、河野さんという女流作家と湘南に行った。男がらみの話ですが、強い思い出として語られています。

 なかなか聞けない本音(ほんね)が書いてあります。

 お金があるからできることもあります。(大金を友達に送金する。返済不要)

 人妻からだんなを奪う女を「あくにん」と呼ぶ。

 項目は、「帰路」、「無」、「秘密」、「新婚」、「ライバル」、「混沌」、「野分(のわけ。秋から初冬の台風にともなう防風)」、「白い胡蝶蘭」、「二匹の鹿」

調べた言葉として、「ブロック注射:麻酔。痛みをとる」、「束脩:そくしゅう。師匠に収める金銭」、「円地文子:えんちふみこ。読めませんでした。おじょうさん。」

印象に残った言葉として、「まだ、死ねない」、「祇園を書くにはまず、金がいる。」、「お面をかぶったような無表情」、「私は小説家でありたい」  

Posted by 熊太郎 at 11:36Comments(0)TrackBack(0)読書感想文