2018年02月22日

ねこのおうち 柳美里

ねこのおうち 柳美里(ゆう・みり) 河出書房新社

短編4本です。

「ニーコのおうち」
 一人暮らし高齢者(こども3人に見捨てられた)おばあさんと捨て猫たちの物語です。おばあさんは、捨てられた猫たちに餌を供給します。ちょっと精神にはきついお話でした。
 童話のような出だしです。万引きした少年が今はおとなとなって、ネコを捨てに行きます。彼は、心の中で、離婚しようと思っています。彼は、お嫁さんも捨てるのです。

 印象に残った文節として、「猫はひっそりと生きている」

 おばあさんの味方はいるようでいません。猫の命を守る愛情は住民から許容されません。それが、現代社会です。「排除」ありきの「平和」です。そして、お金の話です。日本人は、お金が好きな民族です。


「スワンのおうち」
 第一話を読んで、最後は、「幸福」という言葉にたどり着けない作品群かと思っていたら、この短編はそうではありませんでした。ほっとしました。
 小学校3年生女児3人のいじめ含みの仲間意識があります。3人寄れば、ひとりは仲間はずれにされます。それを本当は、「仲間」とはいいません。
行きたくもないのに強制的に私立中学校を受験させられて登校拒否になった中学生がいます。こどもには、こどもの人生があり、こどもが選択するものです。親は反対できません。
 姉のお古は嫌だという2番目のこどもの気持ちがあります。

 食卓を囲むのが、「家族」です。

 良かった言葉として、スーちゃん」


「アルミとサンタのおうち」、「ゲンゴロウとラテとニーコのおうち」

 お父さんはいませんの原田正樹君小学校3年生。同じくお父さんがいなくなって成長した佐藤ひかる27歳男性ライター。
 文字数は多くない。(17年ぐらい前、著者が、たどたどしい指使いでワープロを打っているシーンをテレビで見たことを思い出しました。)
 短時間で読み終えることができる文章量の1冊です。

 第2話「スワンのおうち」とシンクロ(交錯、同時に起こる。)しました。

 クリスマスページェント:イエスキリストの誕生を劇で演じて神の子の誕生を祝う。

 児童虐待話が出ます。

 10代後半から20代前半になるとだれしも自分の原点を知りたくなって、児童期の体験場所を再訪したくなります。

 怒られるかもしれませんが、似た者同士が集まって、傷をなめあっても、克服にはつながりません。

 自分がネタの物語づくりです。

 「明るい家庭」は、「フリ」だった。

 滝廉太郎は、23歳で病死するまでに名曲をたくさんつくった。

 なんで風邪ばっかりひくんだろう。(タバコを吸うからです。)

 「期待に弱い人」

 「カフェラテ」

 休職を認めてもらえないなら退職する。

 捨て猫がつなぐ人間関係です。

 死んでもだれにも知らせないでね。

 後半は理屈っぽかった。

 着地点は良かった。
  

Posted by 熊太郎 at 18:49Comments(0)TrackBack(0)読書感想文