2018年02月18日

いのち 瀬戸内寂聴

いのち 瀬戸内寂聴 講談社

 有名な方ですが、ほとんど存じ上げません。
 しばらく前から高齢者筆記者の本を読むようになり、今回手に取りました。

 短編小説かと思って読み始めましたが、違っていました。
 筆者の日常記録と思い出記録です。
 本物の人がいるわけで、すでに亡くなった方のとくに性癖など書いていいのだろうかと、読みながら心配しましたが、許される年齢(95歳)、許される実績をもった方です。

 岡本太郎氏のお話がおもしろかった。小説家なんかやめて、おれの愛人になれみたいな表現で、それも、一人目ではなくて、二人目、三人目みたいな表現。岡本氏の非常識さがいい。

 若くして、みんなガンで死んでいく。そして、死にたくないと叫ぶ。ガンにならないようにと心配してくれる人がガンで死んでいく。命の継続に無情なさだめがあります。

 性風俗を描写する作家としてデビューして、友人もその路線できて、交友があって、老いて、亡くなって、自分は長命でという流れで記述があります。

 しょっちゅう会わなくても友情は継続する。
 そのほか、小説家稼業への愛着と誇りがあります。

 いつも仲良しというわけにいかないのが、友だちづきあいです。けんかもします。それでも付き合いは死ぬまで長続きしていきます。「腐れ縁」です。

 著者の強気なイメージがくつがえされる面もあります。男の後を追うのです。男と女のからみあいがあります。女は著者です。出家の理由はそのあたりにあるのかと考えました。

 若い頃、河野さんという女流作家と湘南に行った。男がらみの話ですが、強い思い出として語られています。

 なかなか聞けない本音(ほんね)が書いてあります。

 お金があるからできることもあります。(大金を友達に送金する。返済不要)

 人妻からだんなを奪う女を「あくにん」と呼ぶ。

 項目は、「帰路」、「無」、「秘密」、「新婚」、「ライバル」、「混沌」、「野分(のわけ。秋から初冬の台風にともなう防風)」、「白い胡蝶蘭」、「二匹の鹿」

調べた言葉として、「ブロック注射:麻酔。痛みをとる」、「束脩:そくしゅう。師匠に収める金銭」、「円地文子:えんちふみこ。読めませんでした。おじょうさん。」

印象に残った言葉として、「まだ、死ねない」、「祇園を書くにはまず、金がいる。」、「お面をかぶったような無表情」、「私は小説家でありたい」


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