2024年07月25日

隣人X 邦画 2023年

隣人X 邦画 2023年(令和5年) 2時間 動画配信サービス

 観始めからしばらくは、なんだこの映画は? という感じでしたが、終わってみればいい映画でした。さわやかな気持ちが最後に胸に残ります。
 以下鑑賞しながらの感想の経過です。
 
 宇宙人が、人間になりかわっているという無茶で無理な設定です。
 SF映画の未来感覚はなく、週刊誌編集部記者たちの現実的な映像が続きます。
 サイエンスフィクションだけど、うそくさい。

 冒頭しばらくして、観ている自分は、主人公である林遣都さんが、宇宙人Xなんじゃなかろうかと思ってしまう。

 人間が、宇宙人にスキャンされて、トレースされる。スキャンはわかりますが、トレースがわかりませんでした。
 トレース:なぞるようにして、人間に姿を変えるということか。

 ふたつの恋愛話が同時進行で流れていくストーリーでした。

 途中、ありえないような状況設定なので、なんだかばかばかしくなって、どう楽しめばいい映画なのか困惑しました。

 いえることは、週刊誌のネタにしてお金をもうけるために、ひとりの女性をだまして犠牲者にするという動機は不純です。つまらない。

 雨の匂いが好き:変な表現だと思いました。

 本がちらちらと出てくるのです。自分が読んだ本もあります。
 『あひる 今村夏子 書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)』、『博士の愛した数式 小川洋子 小学館』、青山美智子作品として、『赤と青とエスキース 青山美智子 PHP(かなりいい作品です)』、『お探し物は図書室まで 青山美智子 ポプラ社(読みました。なかなかおもしろい、いい本です。)』、『猫のお告げは樹の下で 青山美智子 宝島社文庫(読んだことがありません。そのうち読んでみます)』、『星の王子さま サン・テグジュペリ 新潮文庫(読んだことはありますが、良さがピンときませんでした)』

 なんだか、盛り上がらない内容です。
 宇宙人の何が恐怖なの?
 宇宙人は、侵略者なの? そうではないような雰囲気です。

 強調されることは、『相手を色眼鏡で観ない(先入観をもたない。とくに悪い方向で先入観をもたない』、『相手を外見で見るのではなく、自分の心で、相手の心を観る』、『かんじんなことは、目には見えないんだよ』

 おとなが、ごっこ遊びをしているような映像に見えます。

 施設に入所している認知症のおばあちゃんが、自分の指輪を息子の恋人である女性に渡しました。でも、息子は、週刊誌のトクダネ記事を書くために女性をだましているのです。とんでもない男です。

 宇宙人の髪の毛のDNA鑑定はどうなっているのか。
 握手をしたときに、電気が走ったのはどういう現象なのか。
 いろいろあいまいです。

 ロケ地は北海道の湖のほとりかと思っていたら琵琶湖周辺でした。彦根とか長浜はよく訪れたのですが、映像を観ても気づけませんでした。

 伏線があります。
 こどものころにすごした木造の古い家屋、宝くじ(スクラッチで、9マスのうちタテヨコナナメのいずれかで、同じマークが並べば当たりです)、おばあさんの大きな石がついた指輪(願いとか祈りがこめられています)。

 マスコミの人間の傍若無人さがあります。ぼうじゃくぶじん:まわりに人がいても、勝手に押しかけてひどい行為を平然とする。かれらは、正義の味方ではありません。

 トカゲのしっぽ切り、担当者のせいにして、担当者に責任をとってもらう。(手切れ金は渡す)

 恋愛は、破談の方向へとものすごいスピードで進んでいきます。二組ともです。カップルは破たんします。ただ、映画ですから、ただそれだけでは終われません。現実では、お別れでしょう。とくに主人公は、あまりにもひどいことをしでかしました。

 う~む。認知症入所施設の利用料が払えない理由がわかりませんでした。
 年金に応じて払っているだろうし、払える人が入所できているはずです。利用料をとりはぐれたら施設は経営がたちいかなくなってしまいます。
 
 よかれと思ってやっていても、相手に迷惑をかけていたということは、よくあることです。
 人間の生活は、そんなものなのです。
 時間が過ぎてから、あれはあれで良かったと思うしかないのです。
 
 差別や偏見をのりこえて、共存しましょうというメッセージです。

 いい映画でした。

(疑問)
 途中、同じ人間が、いっぽうは逮捕されて、もういっぽうはふつうに生活しています。
 意味を理解できませんでした。
 もともと人間だった人物がいて、その人物をコピーした宇宙人がいるというように想像しました。
 それぞれの存在の理屈はわかりません。同一人物の犯罪と逮捕というシーンはないほうが、話がすっきりします。